JP2012042655A - 中間転写ベルト及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

中間転写ベルト及びこれを備えた画像形成装置 Download PDF

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さやか 加藤
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淳 青戸
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Abstract

【課題】中間転写ベルトのトナー接触面に存在する潤滑剤の厚みをμmオーダーで存在することができるようにした中間転写ベルトを提供する。
【解決手段】潤滑剤塗布機構を装備した画像形成装置に用いられる中間転写ベルトであって、2層又はそれ以上の層構成でそれらの層の1つは弾性層であり、かつ表面層となるトナー接触面はトナーの粒径より小さく潤滑剤の粒径より大きい凹凸形状であり、少なくともその凸部分は転写ローラによるニップ圧でクリープ変性しない硬質であり、及び凹部分は潤滑剤が100nm以上の厚みで存在できることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、コピー・プリンター等の画像形成装置に装備されるシームレスベルト状の中間転写ベルト、及びそれを用いた画像形成装置に関し、詳しくは、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写ベルト及びそれを用いた画像形成装置に関する。
電子写真方式の複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、その装置内において様々な機能、用途でシームレスベルト部材が用いられている。例えば、定着ベルト、転写ベルト、紙搬送ベルトなどが挙げられる。
また、フルカラー画像形成装置においては、感光体(像担持体)上に形成された4色のトナー画像を、一旦中間転写ベルトに転写することにより、中間転写ベルト上にフルカラー画像を形成し、その後に紙などの転写材(記録媒体)に一括転写する方式があり、これにはシームレスベルト部材である中間転写ベルトが用いられる。中間転写ベルトは、複写機等の画像形成装置のフルカラー化が進み、需要が急増している。中間転写ベルトとしては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、ゴムやエラストマーなどの材料が使用されている。
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムで用いられていたがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントとしては、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では紙の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、4連タンデム方式に中間転写方式を採用することが主流になってきている。
このような情勢の中で中間転写ベルトにおいても、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。
ところで、中間転写ベルトは像担持体からトナーを受け取る1次転写と紙へトナーを受け渡す2次転写の機能を持つが、共に転写率の向上が求められる。特に2次転写では転写率が低いと紙に転写しきれなかったトナーが中間転写ベルト上に残ってしまい、画像の不具合やフィルミングの原因となりやすい。
また、昨今普通紙だけでなく凹凸紙などへのプリント需要が増え、凹凸紙に対応した中間転写ベルトの開発もさかんになってきている。一般的に、凹凸紙へのプリントは普通紙に比べて2次転写率が下がる傾向にあり、その原因は中間転写ベルトが凹凸紙の凹部まで密着しないため、トナーが紙へ転写しきれず中間転写ベルト上に残ってしまうことが挙げられる。そして、普通紙対応の中間転写ベルトと同様、凹凸紙に対応した中間転写ベルトにおいてもベルト上にトナーが固着するとフィルミングができてしまい画像の劣化につながる。
このような問題を解決するために以下のような技術が提案されている。
例えば、トナーの転写率を上げるために、(a)1次転写では中間転写体の表面エネルギーが低いと感光体から中間転写体へのトナーの転写率が低下するため中間転写体の表面に粗さを持たせ、また2次転写では中間転写体の表面の粗さによりトナーとの接触面積を小さくし、中間転写体から紙へのトナーの転写性を上げるようにした画像形成装置(特許文献1参照)、(b)ベルトの十点平均高さ(Rz)が2μm以下で、原子間力顕微鏡(AFM)で見た1μm四方での平均表面粗さが2nm以上であるシームレスベルトを中間転写体とした画像形成装置(特許文献2参照)が提案されている。
また、(c)基材、中間層、表面層の3層構成3層構造により、機械的強度と転写性と離型性を兼ね備えた中間転写ベルトが提案されている。具体的には、ポリイミド樹脂等の樹脂材料および導電剤を構成成分とするヤング率35000kg/cm2以上の基材と、フッ素系ゴムまたはシリコーンゴム等の弾性材料で構成された中間層と、フッ素系樹脂等の表面エネルギーの小さい材料を構成成分とする表面層との3層構造の中間転写ベルトである(特許文献3参照)。
また、(d)中間転写ベルトの表層として、分子内に2重結合を持つ材料(ハロゲン含有ゴム)を用い、紫外線照射することによってその表面の分子を架橋させて改質させることにより、トナーとの離型性を上げることを特徴とした中間転写ベルトが提案されている(特許文献4参照)。
中間転写ベルト上のトナーフィルミングを防止するものとして、(e)ベルト上に潤滑剤を塗布する機構を設け、ベルトとトナーとの間に常時潤滑剤が介在することを前提としたシステムが提案されている(特許文献5参照)。
また、(f)中間転写体上に凹凸をもたせ凹部の間隔が125μm以下であり、また凹凸の十点平均粗さが現像剤の外添剤より大きく、現像剤より小さいことによりことにより外添剤が凸部分に集めあえて125μm以下の濃度ムラを作ることにより、人の視覚では判別できないようにした中間転写体が提案されている(特許文献6参照)。
しかしながら、上記(a)の画像形成装置では2次転写部の転写率が100%でなければ経時で中間転写体上にトナーフィルミングが起こり、結果として画像劣化となる恐れがある。また、上記(b)の中間転写ベルトにおいてもトナーフィルミングが起こる可能性は高い。
また、上記(c)、(d)の中間転写ベルトは、弾性を持たせ、かつ最表層を表面エネルギーの低くすることにより2次転写率は向上するものの、それでも転写しきれず中間転写ベルト上に残ったトナーは問題となる。
また、上記(e)の中間転写ベルトは潤滑剤の被覆率は十分ではなく、フィルミングを防ぐためには更なる改良が必要である。
更に、上記(f)の中間転写体では、外添剤が凸部に集まっていても、長時間使用しているうちに凹部に外添剤がフィルミングしてしまう恐れがある。外添剤はワックスなどを含むため、紙粉などが付着しやすくなるなどの恐れもある。
本発明の目的は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、中間転写ベルトのトナー接触面に存在する潤滑剤の厚みが数nmオーダーではなくμmオーダーで存在できるようにすることにより、用紙等の転写材の表面性状によらず転写性の向上とフィルミングが阻止される中間転写ベルトと、その中間転写ベルトを装備した画像形成装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、中間転写ベルトに弾性の層を含むことにより転写材の種類によらず2次転写率を上げ、かつ最表層が潤滑剤を保持するのに適した表面形状を維持し、中間転写ベルトとトナーの間に常時潤滑剤が介在できるようにすることにより、トナーの固着を防ぐことができる中間転写ベルトと、その中間転写ベルトを装備した画像形成装置を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、弾性層のある中間転写ベルトであっても表面に微細な粗さを維持し、従来技術で中間転写ベルトや像担持体に塗布されていた潤滑材の量よりも多量の潤滑剤を保持しできる表面状態持ち、かつその形状を維持できる方法を見出した。本発明はこうした知見に基づいてなされてものである。即ち、上記課題は以下に記載する発明によって達成される。
(1)潤滑剤塗布機構を装備した画像形成装置に用いられる中間転写ベルトであって、2層又はそれ以上の層構成でそれらの層の1つは弾性層であり、かつ表面層となるトナー接触面はトナーの粒径より小さく潤滑剤の粒径より大きい凹凸形状であり、少なくともその凸部分は転写ローラによるニップ圧でクリープ変性しない硬質であり、及び凹部分は潤滑剤が100nm以上の厚みで存在できることを特徴とする中間転写ベルト。
(2)前記表面層の凹凸形状は、山頂と山頂との間隔が0.1〜15μm、山頂と谷底との距離が0.1〜10μmであることを特徴とする上記(1)に記載の中間転写ベルト。
(3)像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像をトナーで現像してトナー画像を形成する現像手段と、該トナー画像を中間転写体に転写する中間転写手段と、該中間転写体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、前記中間転写体に転写されたトナー画像を転写材に静電的に転写する転写手段と、該転写材上に転写されたトナー画像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置において、前記中間転写体が上記(1)又は(2)のいずれかに記載の中間転写ベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
(4)前記潤滑剤が脂肪酸金属塩であることを特徴とする上記(3)に記載の画像形成装置。
(5)前記脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする上記(4)に記載の画像形成装置。
本発明の弾性層を有する中間転写ベルトは、その表面がトナー径より小さく、潤滑剤の粒径より大きい凹凸形状を持たせることにより、潤滑剤と中間転写ベルトの接触面積が増え、トナーと中間転写ベルトの接触面積を減らすことにより、中間転写ベルト上の潤滑剤の被覆率が向上し、トナー固着によるフィルミングが起こりにくくなる。中間転写ベルトは凹凸形状の少なくとも凸部分が硬質であるため、潤滑剤塗布ブラシで擦られても凹凸形状に変化が生じることはない。また、中間転写ベルトの層中に弾性層が配されていても表面層の凹凸形状がクリープ変形することなく維持できる。こうしたことから、本発明の中間転写ベルトを備えた画像形成装置によれば、用紙等の転写材の表面性状によらず良質の画像を得ることができる。
潤滑剤が塗布された中間転写ベルト上に感光体からのトナーが転写された状態の模式図である。 本発明に係るシームレスベルトからなる1つの中間転写ベルトに沿って複数の感光体ドラムが並設されている画像形成装置の一構成例を示す要部模式図である。 本発明の中間転写ベルトの4例を示す図である。 図3に示す中間転写ベルトの表面に潤滑剤が存在している状態を説明するための図である。
本発明の中間転写ベルトは、2層かそれ以上の層構成でそれらの層の1つは弾性層であり、表面となるトナー接触面はトナーの粒径より小さく潤滑剤の粒径より大きい凹凸形状であり、少なくともその凸部分は転写ローラによるニップ圧でクリープ変性しない硬質であり、該凹凸形状の凹部分には潤滑剤を厚さ100nm以上に埋めることができるというものである。
したがって、中間転写ベルトの層構成としては、例えば、(i)基材層上に弾性層、樹脂層を積層したもの、(ii)基材層上に弾性層を積層したもの等を挙げることができる。これらの層構成においては、中間転写ベルトの表面層は(i)では樹脂層であり、(ii)では弾性層である。ただし後記から明らかになるように、表面に球状粒子の層が存在して前記凹凸形状の凸部分を形成している場合には、この球状粒子の層が表面層の一部を構成することもある。
前記凹凸形状の少なくとも凸部分は転写ローラによるニップ圧でクリープ変性しない硬質であるが、その硬さの程度は微小硬度計(フィッシャー社製)にて2mN/20secで測定したマルテンス硬度が100N/mm以上が適当である。100N/mmより小さいとクリープ変形を起す可能性がある。
図1は、中間転写ベルト4の表面は凹凸の幅(山頂と山頂との間隔)a、凹部の深さ(山頂と谷底との距離)bを有する凹凸形状を呈しており、この表面層上に、潤滑剤塗布ブラシ1から供給された潤滑剤2、及び図示されていない感光体から転写されたトナー像のトナー3が存在している様子を表している。凹凸の幅aは0.1〜15μm、凹凸の高さ(山頂と谷底との距離)bは0.1〜10μmが適当である。
ここで表面層は、図1に示すように、中間転写ベルト4の表面にトナー径より小さく、潤滑剤の1次粒子径より大きい凹凸形状を呈している。凹凸形状は中間ベルト表面上に偏り無く分布している必要がある。これにより、凹凸形状の凹部分には潤滑剤が厚さ100nm以上に埋まるようにすることができる。これに対して、前記特許文献6に記載されるように、凹凸形状の凸部と凸部との間隔が開いているとステアリン酸亜鉛等の潤滑剤は数nmの厚さしか付着させることが出来ず、十分ではない。
〔基材層〕
まず、基材層について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)などのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
本発明に用いられるポリイミド樹脂としては、限定されるものではないが芳香族系のポリイミドが好ましい例として挙げられる。芳香族系のポリイミドは、一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得ることができる。
また、ポリアミドイミドは、分子骨格中に剛直なイミド基と柔軟性を付与するアミド基を有する樹脂であり、本発明に用いられるポリアミドイミドとしては一般的に知られている構造のものを使用することができる。一般的にポリアミドイミド樹脂を合成する方法としては、酸クロライド法(a):酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体ハライド、最も代表的には当該誘導体のクロライド化合物とジアミンとを溶媒中で反応させて製造する公知の方法(例えば、特公昭42−15637号公報参照)が知られている。または別な方法として、イソシアネート法(b):酸無水物基とカルボン酸を含む3価の誘導体と芳香族イソシアネートとを溶媒中で反応させて製造する公知の方法(例えば、特公昭44−19274号公報)等が知られており、いずれも使用することができる。
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。また、本発明の中間転写ベルトの製造における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には、必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
中間転写ベルトとして好適に装備されるシームレスベルトに含有される電気抵抗調整材は、好ましくは表面抵抗で1×10〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×10〜1×1012Ω・cmとなる量とされるが、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。
基材層の厚さは40〜100μmくらいが適当である。
〔弾性層〕
弾性層としては各種ゴムやエラストマーを用いることができる。具体的にはスチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピハロヒドリンゴム、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
またゴムやエラストマーの種類により、電気抵抗が異なる上記基材層と同様に適宜、電気抵抗調整材で調整する必要がある。
弾性層の厚さは、厳格に規定されるものではないが、100〜800μmが適当である。
弾性層が表面層である場合、転写ローラーによるニップ圧でゴム凹凸形状のクリープ変形を防ぐためには、転写ロールのニップ圧によるクリープ変形が起こらない樹脂やエラストマーを採用すること、加硫条件、添加剤(例えば導電材料)の種類や量を調整して所望の硬度とすること、クリープ変形しない硬度を持った球状粒子等を弾性層表面全体に付着させること、等によるのが好ましい。
前記の表面層に転写ロールのニップ圧によるクリープ変形が起こらない樹脂やエラストマーを採用した場合、及び加硫条件、添加剤の調整等を採用した場合は、凹凸形状の作製方法に関しては特に限定されることはなく、金型で凹凸形状をつける、ショットブラストなどで後加工するなど、使用する中間転写ベルト表面層に適した加工方法を採用すればよい。
また、クリープ変形しない硬度を持った球状粒子等を弾性層の表面全体に付着させることを採用した場合は、具体的には弾性層表面に樹脂粒子などを付着させることが挙げられる。弾性層表面に球状粒子を付着させた場合、この上に樹脂をコーチングされるのが好ましいが、樹脂のコーチングが省略された場合は、球状粒子は表面層の一部を構成することになる。
前記樹脂粒子の材料としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでもよい。また、ここで言う樹脂粒子の中には、ゴム材料も含む。ゴム材料で作製された球状粒子の表面を硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。また、中空であったり、多孔質であったりしてもよい。
これらの樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐磨耗性を付与できる機能の高いものとして、シリコーン樹脂が最も好ましい。これら樹脂を用い、重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、本発明においては、樹脂粒子は真球に近いものほど好ましい。また、その粒径は1.0〜3.0μmで、かつ分布がシャープな単分散である方が良い。粒径が3.0μm以上では、粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じるため好ましくない。
弾性層表面に形成された樹脂粒子は、これを真上から観察した場合、均一な粒径の球状粒子が独立して整然と配列する形態が採られている。また樹脂粒子は弾性層へ埋設された形態が採られているが、その埋没率は、50%〜90%が好ましい。50%以下では、画像形成装置での長期使用において粒子の脱離が起きやすく、耐久性に劣る。一方、90%以上では、粒子による転写性への効果が低減し好ましくない。
さらにこの樹脂粒子は、弾性層に対して、厚み方向に単一層で形成される。厚み方向に複数の粒子を含むような構成では、粒子の含有される分布がむらになり、粒子の有する電気抵抗値の影響により、ベルト表面の電気特性が不均一となり画像乱れを生じる。具体的には、樹脂粒子が多く存在する部分での電気抵抗値が高くなり、ここに残留電荷による表面電位が発生し、ベルト表面において表面電位のばらつきが発生し、隣接した部分での画像濃度に差が生じる等による画像乱れが顕在化する。
弾性層表面に樹脂粒子の層が埋設されて凹凸形状が形成されているものでは、この上に被覆層となる樹脂層がコーチングされているのが好ましい。この樹脂層が設けられているときは、本発明においてはこの樹脂層が表面層となる。
〔樹脂層〕
樹脂層の材料としては、トナー離型が良い公知の材料を用いることができるが、その中でも好ましいものとして、ポリカーボネート樹脂又はその変性樹脂、アクリル樹脂又はその変性樹脂、ナイロン樹脂又はその変性樹脂、フッ素樹脂又はその変性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独又は複数ブレンドして使用することができる。また、樹脂自体の表面エネルギーが高いと、トナーとの離型性が悪くなるのでフッ素系やシリコーン系の添加剤を添加することが好ましい。
ポリカーボネート系の変性樹脂としては、例えばシリコーン変性ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。アクリル系の変性樹脂としては、例えばシリコーン変性アクリル樹脂などが挙げられる。ナイロン系の変性樹脂としては、例えばシリコーン変性ナイロン樹脂などが挙げられる。
フッ素の変性樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチエン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリフッ化ビニルエーテル(PFVE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などが挙げられる。
樹脂層の厚みは、弾性層の特徴を生かすために、好ましくは1.0〜10.0μm、より好ましくは2.0〜5.0μmである。膜厚が1.0μmより薄いと、耐久性に劣る。逆に膜厚が10.0μmより以上となると、弾性層の柔軟性が損なわれてしまい、用紙への中間転写ベルト追従性、変形性が悪化してしまうため好ましくない。樹脂層は微小硬度計(フィッシャー社製)にて2mN/20secで測定したマルテンス硬度が100N/mm以上の硬質層のものである。
通常、ゴムのような弾性層の上にそれよりも硬い樹脂層を積層した場合は屈曲により、割れやはがれを生じるが、本発明の構成によれば弾性層と樹脂層の間に独立した樹脂粒子が存在することにより、上述したような割れ(クラック)、はがれが起こりにくい。そのため、上記膜厚の範囲内であれば、トナー離型性に優れたポリカーボネート系の変性樹脂、アクリル系の変性樹脂、ナイロン系の変性樹脂、フッ素系の変性樹脂などの材料を被覆層とすることができる。
また樹脂層においては、比較的厚手(5〜10μm)の表面(トナー接触面)が凹凸形状を有する硬質の樹脂層であってもよく、こうした樹脂層では、これと弾性層/基材層の積層体とを接合させて本発明の中間転写ベルトとすることができる。
〔中間転写ベルトの作製〕
次に、上記本発明の中間転写ベルトを作製する方法の幾つか(A、B、C)を説明する。なお、本発明における中間転写ベルトは、上記の材料を遠心成形や押出成形などでベルト状に加工されるが、遠心成形で作製する場合は、金型に凹凸をつけることによりベルト上にその凹凸を転写する。また、鏡面の金型を用いて遠心成形でベルト状にした後、ショットブラストなどで表面に凹凸形状がつけられる。押出成形で作製したベルトは後加工により表面に凹凸形状がつけられる。
(方法A)
まず本発明の少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち前記ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基材層を製造する方法について説明する。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行って、基材層を形成する。充分に冷却後、引き続き、前記の基材層上に弾性層を積層する。
弾性層は、射出成形、押し出し成形などにより基層上に形成することも可能であるが、ここでは、熱硬化型の液状のエラストマー材料を用い、基材層上に塗布形成する方法について説明する。
少なくとも液状の熱硬化型エラストマー材料を含む塗布液を、基材層同様、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、基材層上に、ノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。
その後、回転速度を所定速度まで上げ、所望の時所定速度に達したら一定速度に維持し、間回転を継続する。そして、十分にレベリングしたところで粉体供給装置から球形粒子を表面に均一にまぶし、表面にまぶされた球形粒子を押し当て部材により一定圧力にて押し当てる。この押し当て部材により、樹脂層へ粒子を埋設させつつ、余剰な粒子を取り除く。本発明では、特に単分散の球形粒子を用いるために、このような押し当て部材でのならし工程のみの簡単な工程で、均一な単一粒子層を形成することが可能である。均一な粒子層を形成後、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ粒子層を形成させる。充分に冷却後、引き続いて樹脂層をコーティングして粒子層上に表面層となる被覆層(樹脂層)を形成させる。
樹脂層は、本発明の樹脂成分を少なくとも含む塗工液、即ちアクリル樹脂、フッ素変性樹脂等を含む塗工液を用い形成する方法について説明する。少なくとも前記の塗工液を、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、スプレーやノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体(粒子層全体)に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、十分にレベリングしたところで、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ樹脂層を形成する。充分に冷却後、金型から基材層ごと脱離させ、所望のシームレスベルト(中間転写ベルトA)を得る。
(方法B)
内周面に微細凹凸のある円筒状の金属金型を用い、遠心成形機で回転させながら、その円筒状金型の内周面に表面層となる弾性層用塗工液を均一に塗布し乾燥機にて乾燥させてフィルム状の弾性層を形成する。充分に冷却後、金型から弾性層を脱離させ、この弾性層と方法Aで作製される基材層とを接着剤により貼り合わせて所望のシームレスベルト(中間転写ベルトB)を得る。
(方法C)
内表面に微細凹凸のある円筒状の金属金型を用い、遠心成形機で回転させながら、その円筒状金型の内周面に表面層となる樹脂層用塗工液を均一に塗布し乾燥機にて乾燥させてフィルム状の樹脂層とし、その上にさらに弾性層用塗工液を均一に塗布し乾燥機にて熱硬化させて弾性層を形成する。充分に冷却後、金型から弾性層及び樹脂層ごと脱離させ、この弾性層と方法Aで作製される基材層とを接着剤により貼り合わせて所望のシームレスベルト(中間転写ベルトC)を得る。
図3は本発明の中間転写ベルトの表面層付近の凹凸形状を示した4例の断面図である。図3(1)は弾性層1b表面に硬質粒子(樹脂粒子)1aが付着された状態のものを表している。図3(2)は弾性層2b表面に凹凸形状を有する樹脂層(硬質層)2aが接合された状態のものを表している。図3(3)は凹凸形状を有する弾性層3b表面に樹脂層(硬質層)3aがコーチングにより形成された状態のものを表している。図3(4)は弾性層4b表面に凹凸形状を有する樹脂層(硬質層)4aが接合された状態のものを表している。
図4は、図3に示す中間転写ベルトの表面に潤滑剤が供給されている状態を説明するための図である。図中、cは潤滑剤、c′は潤滑剤の厚みを表している。
〔画像形成装置〕
図2は、本発明に係るシームレスベルトからなる1つの中間転写ベルトに沿って複数の感光体ドラムが並設されている画像形成装置の一構成例を示す要部模式図である。4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK),(21Y),(21M),(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図2において、プリンタ本体(10)は電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための、画像書込部(12)、画像形成部(13)、給紙部(14)、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y),シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
画像形成部(13)は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)を備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙(P)は、給紙部(14)から給紙された後、レジストローラ(16)を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト(50)に坦持される。そして、中間転写ベルト(22)と転写搬送ベルト(50)とが接触するところで、上記中間転写ベルト(22)上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ(60)により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙(P)上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙(P)は、転写搬送ベルト(50)により定着装置(15)に搬送され、この定着装置(15)により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、上記2次転写時に転写されずに中間転写ベルト(22)上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング装置(25)によって中間転写ベルト(22)から除去される。このベルトクリーニング装置(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(表示略)が配設されている。この潤滑剤塗布装置は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。該導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
潤滑剤はステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等が挙げられ、高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等が挙げられるが、脂肪酸金属塩が好ましく、更にはステアリン酸亜鉛が最も好ましい。
また、位置検知用マークが中間転写ベルト(22)の外周面あるいは内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト(22)の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニング装置(25)の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト(22)の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ(28)は、2次転写バイアスローラ(60)とベルト駆動ローラ(24)との間の位置に設けられる。位置検知は中間転写ベルト表面からの光反射を検知することによって行なっている。よって、中間転写ベルト表面の光沢度が低下する、または不均一になると検出が安定しない。本発明の中間転写ベルトを用いることで表面光沢度の低下を抑制でき、検出を安定化することができる。
なお、本発明におけるシームレスベルトは、上述したような中間転写ベルト(22)を装備した中間転写ベルト方式の画像形成装置に好適に適用できる他、中間転写ベルト(22)の代りに転写搬送ベルトを装備した転写搬送ベルト方式の画像形成装置にも適用できる。さらに、転写搬送ベルト方式の画像形成装置の場合においても、前記1感光体ドラム方式あるいは4感光体ドラム方式の何れにも適用可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。なお、ここでの部は重量基準である。
下記の各塗工液を調製し、この塗工液を用いて表層(樹脂層)と弾性層を作製し、後加工により、弾性層と下記のポリイミドの基材層を接着して中間転写ベルトとした。
また、金型の表面形状と塗工する液種と成形加工方法によりそれぞれ実施例1〜3、比較例1〜3のサンプルを作製した。
<塗工液の調製>
(表層)先ず、ポリカーボネート(パンライトTS2050;帝人社製)をテトラヒドロフラン/シクロヘキサノン(1:1)の混合溶液に固形分5%となるように溶解させ、表層の塗工液とした。
(弾性層)ウレタン(ウレハイパー1627;DIC社)100部に対しN,N-ジメチルホルムアミド40部と混合し、弾性層塗工液とした。
<基材層>
ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して基材層用塗工液を調製した。
次に、外径100mm、長さ300mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpmで回転させながら、基材層用塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)して、シームレスベルト基材層を製造した。
[成形加工1]
外径100mm、長さ300mmの内周面に微細凹凸のある金型(円筒型)を用い、遠心成形機で50rpmに回転させながら、その円筒状金型の内周面に表層用塗工液をディスペンサーにより均一に塗布し、乾燥機にて150℃で乾燥させて厚さ4μmほどの表層となるフィルム(硬質層)を形成し、その上にさらに弾性層用塗工液を同様に塗布し90℃で乾燥させて均一に500μmほど積層し、150℃で熱硬化させて弾性層を形成したのち金型からとりはずした。次いで、弾性層と前記の基材層とを、エポキシ変性シリコーン樹脂系弾性接着剤(工業用EP001セメダイン(セメダイン社製))を用いて貼り合わせて、中間転写ベルトを得た。この中間転写ベルトの表面の硬度は、微小硬度計(フィッシャー社製)にて2mN/20secで測定した表面層のマルテンス硬度が150N/mmである。
[成形加工2]
外径100mm、長さ300mmの内周面が鏡面仕上げした金型(円筒型)を用い、遠心成形機で50rpmに回転させながら、その円筒状金型の内周面に表層用塗工液をディスペンサーにより均一に塗布し、乾燥機にて150℃で乾燥させて厚さ4μmほどの表層となるフィルム(硬質層)を形成し、その上にさらに弾性層用塗工液を同様に塗布し、乾燥機にて90℃で乾燥させて均一に500μmほど積層し、150℃で熱硬化させて弾性層を形成したのち金型からとりはずした。次いで、弾性層と前記の基材層とを、エポキシ変性シリコーン樹脂系弾性接着剤(工業用EP001セメダイン(セメダイン社製))を用いて貼り合わせて、中間転写ベルトを得た。この中間転写ベルトの表面の硬度は、微小硬度計(フィッシャー社製)にて2mN/20secで測定した表面層のマルテンス硬度が150N/mmである。
[成形加工3]
外径100mm、長さ300mmの内周面が鏡面仕上げした金型(円筒型)を用い、遠心成形機で50rpmに回転させながら、その円筒状金型の内周面に弾性層用塗工液をディスペンサーにより均一に塗布し、乾燥機にて150℃で熱硬化させて厚さ500μmの弾性層を形成したのち金型からとりはずした。次いで、この弾性層と前記の基材層とを、エポキシ変性シリコーン樹脂系弾性接着剤(工業用EP001セメダイン(セメダイン社製))を用いて貼り合わせて、中間転写ベルトを得た。この中間転写ベルトには、表層となるフィルム(硬質層)は設けられていない。この中間転写ベルトの表面の硬度は、微小硬度計(フィッシャー社製)にて2mN/20secで測定した表面層のマルテンス硬度が150N/mmである。
[成形加工4]
外径100mm、長さ300mmの内周面に微細凹凸のある金型(円筒型)を用い、遠心成形機で50rpmで回転させながら、その円筒状金型の内周面に弾性層用塗工液をディスペンサーにより均一に塗布し、乾燥機にて150℃で熱硬化させて厚さ500μmの弾性層を形成したのち金型からとりはずした。次いで、この弾性層と前記の基材層とを、エポキシ変性シリコーン樹脂系弾性接着剤(工業用EP001セメダイン(セメダイン社製))を用いて貼り合わせて、中間転写ベルトを得た。この中間転写ベルトには、表層となるフィルム(硬質層)は設けられていない。この中間転写ベルトの表面の硬度は、微小硬度計(フィッシャー社製)にて2mN/20secで測定したマルテンス硬度が0.8N/mmの硬質層のものである。
〔実施例1〕
前記[成形加工1]の方法でトナーとの接触面の凹凸形状の、図1のa部分が1μm±0.2μm、図1のb部分が0.8μm±0.2μmとなる中間転写ベルトを得た。
〔実施例2〕
前記[成形加工1]の方法で、トナーとの接触面の凹凸形状の、図1のa部分が3μm±0.2μm、図1のb部分が1.5μm±0.2μmとなる中間転写ベルトを得た。
〔実施例3〕
前記[成形加工1]の方法でトナーとの接触面の凹凸形状の、図1のa部分が0.4μm±0.1μm,図1のb部分が0.2μm±0.1μmとなる中間転写ベルトを得た。
〔比較例1〕
前記[成形加工2]の方法にて、中間転写ベルトのトナーとの接触面に凹凸形状を持たない中間転写ベルトを得た。
〔比較例2〕
前記[成形加工3]の方法にて中間転写ベルトのトナーとの接触面に凹凸形状を持たない中間転写ベルトを得た。
〔比較例3〕
前記[成形加工4]の方法にて、中間転写ベルトのトナーとの接触面の凹凸形状が弾性材料であり、図1のa部分が1μm±0.2μm,図1のb部分が0.8μm±0.2μmとなる中間転写ベルトを得た。
実施例1〜3と比較例1〜3の中間転写ベルトを、潤滑剤塗布機構を持つ単体機に装着し48時間潤滑剤を塗布した。潤滑剤の厚み(図4のc’)を日本電子社製の電解放射走査電子顕微鏡(JSM−7400F)を用いて、計測した。また、潤滑剤塗布後のサンプルをそれぞれ図2の装置に装着して、ベタ画像を出力し、中間転写ベルトから紙へのトナー移動量を量ることで2次転写率を評価した。これらの計測値、評価結果を表1に示す。
Figure 2012042655
表1の評価結果から明らかなように、本発明の中間転写ベルトの使用によれば、感光体表面から転写されたトナーは、記録材へ高転写率で転写することができる。
(図1において)
1 潤滑剤塗布ブラシ(繊維)(図2の27の繊維)
2 潤滑剤
3 トナー
4 中間転写ベルト
a 凹凸の幅
b 凹凸の高さ
(図2において)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
(図3、図4において)
1a 硬質粒子
1b 弾性層
2a 硬質層
2b 弾性層
3a 硬質層
3b 弾性層
4a 硬質層
4b 弾性層
特開2004‐054001号公報 特開2004‐240176号公報 特開平10‐83122号公報 特開2001‐142309号公報 特開平6‐337598号公報 特開2009‐134152号公報

Claims (5)

  1. 潤滑剤塗布機構を装備した画像形成装置に用いられる中間転写ベルトであって、2層又はそれ以上の層構成でそれらの層の1つは弾性層であり、かつ表面層となるトナー接触面はトナーの粒径より小さく潤滑剤の粒径より大きい凹凸形状であり、少なくともその凸部分は転写ローラによるニップ圧でクリープ変性しない硬質であり、及び凹部分は潤滑剤が100nm以上の厚みで存在できることを特徴とする中間転写ベルト。
  2. 前記表面層の凹凸形状は、山頂と山頂との間隔が0.1〜15μm、山頂と谷底との距離が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
  3. 像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像をトナーで現像してトナー画像を形成する現像手段と、該トナー画像を中間転写体に転写する中間転写手段と、該中間転写体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、前記中間転写体に転写されたトナー画像を転写材に静電的に転写する転写手段と、該転写材上に転写されたトナー画像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置において、前記中間転写体が請求項1又は2に記載の中間転写ベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  4. 前記潤滑剤が脂肪酸金属塩であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 前記脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
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