JP2012041416A - インクを製造する方法、印刷方法 - Google Patents

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Yasuyuki Takiguchi
泰之 滝口
Tatsuaki Yamaguchi
達明 山口
Ikumo Motosugi
郁雲 本杉
Ryoji Nakamura
亮士 中村
Hiroshi Yuki
洋 由岐
Shinji Nakada
伸二 中田
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Abstract

【課題】フリーラジカル発生剤を天然色素に添加することで天然色素の退色速度を速めたインクを製造する方法を提供案する。
【解決手段】フリーラジカル発生剤を天然色素に添加することで天然色素の退色速度を速めたインクを製造する方法であり、フリーラジカル発生剤は過酸化ベンゾイルを含有することを特徴とし、さらに抗酸化剤を天然色素に添加して天然色素の退色速度を調整し、抗酸化剤はトコフェロールを含有することを特徴とするインクを製造する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、天然色素の退色速度を速めたインクを製造する方法と、天然色素の退色速度を速める印刷方法に関する。
紙などの印刷媒体に印刷した場合、不要になると当該印刷媒体をシュレッダーにかけて破棄することが行われてきた。しかしながら、近年になってコスト削減や資源の無駄使い防止の観点から、印刷後においても印刷部分を消去可能なインクが開発されてきている。
例えば、特許文献1、2においては、印刷後において印刷部分を加熱することにより文字などを消去することが可能なインクが開示されている。また、特許文献3、4においては、印刷後において印刷部分に対して摩擦を加えることにより文字などを消去することが可能なインクが開示されている。
特開平10−88046 特開2001−302954 特開2000−351922 特開2003−335095
しかしながら、従来技術においては、印刷後において文字などを消去するために、加熱したり、摩擦を加えたりするなど、特定の作業を行う必要があった。このような作業は、印刷部分を後々消去することが分かっている場合においては、特に無駄な作業となっていた。
そこで、本願においては、フリーラジカル発生剤を天然色素に添加することで天然色素の退色速度を速めたインクを製造する方法を提案する。
また、印刷物上にてフリーラジカル発生剤を天然色素に添加することで天然色素の退色速度を速める印刷方法を提案する。
本願の発明により、印刷や記載の表示を所定期間経過後にほぼ無色透明にして、表示をほとんど見えなくすることが可能になる。
実施形態1の製造方法の流れの一例を示す図 実施形態1の印刷機器の具体的なハードウェア構成の一例を示す図 実施形態1の印刷機器の内部処理の一例を示す図 実施例1の結果を示す図 実施形態2の製造方法の流れの一例を示す図 実施形態2の印刷機器の内部処理の一例を示す図 実施例2の結果を示す図
以下、本件発明の実施の形態について説明する。各実施形態と請求項の関係は以下の通りである。実施形態1にて、主に請求項1、2、5、6、7、10の特徴について説明する。実施形態2にて、主に請求項3、4、8、9の特徴について説明する。
<実施形態1>
<概要>
本実施形態においては、天然色素の退色速度を速めたインクを製造する方法と、天然色素の退色速度を速める印刷方法について説明する。これらの発明により、印刷や記載の表示を所定期間経過後にほぼ無色透明にして、表示をほとんど見えなくすることが可能になる。
<インクを製造する方法>
本実施形態の製造方法により製造されるインクは天然色素の退色速度を速めたインクである。当該製造方法の特徴は、フリーラジカル発生剤を天然色素に添加して、天然色素の退色速度を速めることにある。
「フリーラジカル発生剤」は、添加する対象物にフリーラジカルを発生させる物質である。具体的には、過酸化ベンゾイル(BPO)のような有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ化合物が挙げられる。これらのフリーラジカル発生剤を天然色素に添加すると、ラジカル反応により天然色素の構造が変化し、退色することになる。
なお、フリーラジカル発生剤は一種類である必要はなく、複数組み合わせて用いることが考えられる。例えば、光開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)、熱開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を組み合わせることにより、紫外線の量や温度環境に応じて、退色速度の促進量を調整することが可能である。なお、インクの保存時においてラジカル反応が開始しないように、適当な素材・形状のインク収納物を用いたり、保存環境を整えたりすることが好ましい。例えば、光開始剤を用いる場合は紫外線などを通さない素材とし、熱開始剤を用いる場合は所定温度以下の環境にて保存しておくことが考えられる。
フリーラジカル発生剤の添加量は、目的とする退色速度の促進量や、インクによる記載物・印刷物が置かれることになる周囲環境の条件などによって適宜調整することが考えられる。例えば、退色速度の促進量を大きくしたい場合は多めのフリーラジカル発生剤を加え、紫外線強度が強い環境に記載物・印刷物が置かれることが想定される場合(例えば、屋外に記載物・印刷物が配置される場合など)は、紫外線強度が弱い環境に比べてフリーラジカル発生剤の添加量を少なくすることが考えられる。これらの具体的な添加量は、以下に述べる実施例1の実験結果などに基づいて決定することが可能である。
「天然色素」は種々考えられるが、例えばカロテノイド系色素、フラボノイド系色素、アントシアニン系色素などが考えられる。その他、プルフィリン系色素、キノン系色素、アザフィロン系色素、ジケトン系色素、ベタシアニン系色素なども考えられる。これらの天然色素は空気中の酸素と反応して徐々に退色変化していく物質であるが、フリーラジカル発生剤を添加すると退色速度がさらに速まる。つまり、フリーラジカル発生剤によって天然色素の退色速度を調整し、記載物・印刷物の表示を所定期間に限定することが可能になる。また、天然色素を用いているため、食品に対して用いることも可能である。
カロテノイド系色素としては、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、リコペン、βカロチン、カプサンチン、クチナシ黄色素、ニンジンカロチン、パーム油カロチン、アナトー色素、デュナリエラカロチン、トマト色素、パプリカ色素などが挙げられる。
また、フラボノイド系色素としては、ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色素、シタン色素、カロブ色素、スオウ色素、タマリンド色素、カカオ色素、タマネギ色素、カキ色素、カンゾウ色素、コウリャン色素などが挙げられる。
また、アントシアニン系色素としては、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、赤キャベツ色素、赤ダイコン色素、シソ色素、紫イモ色素、紫コーン色素、ハイビスカス色素、エルダーベリー色素、ボイセンベリー色素などが挙げられる。
その他、プルフィリン系色素としては、スピルリナ色素、クロロフィリン、クロロフィルなどが挙げられる。また、キノン系色素としては、シコン色素、コチニール色素、アカネ色素、ラック色素などが挙げられる。また、アザフィロン系色素としては紅麹色素などが挙げられ、ジケトン系色素としてはウコン色素などが挙げられ、ベタシアニン系色素としては赤ビート色素などが挙げられる。
また、フリーラジカル発生剤や天然色素の他の成分としては、天然色素を溶解する溶剤が主として考えられる。溶剤は、天然色素の溶媒となる液体であれば特に限定されるものではなく、天然色素に応じて適宜選択することが可能である。
溶剤として、例えばアルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。これらは一種類単独で使用しても良いし、二種類以上併用して使用しても良い。
前記アルコール類系溶剤としては、例えば、エチルアルコール、メチルアルコール、2プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3ブタンジオール、1,4ブタンジオール、3メチル1,ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,2,4ブタンロリオール、1,2,3ブタントリオール、2メチル2,4ペンタジオール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,2,6ヘキサントリオール、へトリオール等が挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールイソブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダソリジノン等が挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、等が挙げられる。その他の溶剤としては、クロロホルム、アセトン等の溶剤の使用も可能である。
なお、溶剤の他に、分散剤や、界面活性剤を合わせてインクに含有させることも可能である。分散剤としては、ポリオキシエチレン、ジグリセリエーテルのステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン、テトラグリセリルエーテル、ステアリン酸エステル又は安息香酸エステテル、ポリオキシエチレン、ソルビタントリオレエート、JONCRYL63J(BASF製)、JONCRYL60J(BASF製)、JONCRYLHPD96J(BASF製)等が挙げられる。
界面活性剤としては、中性あるいはアルカリ性の種々のものが挙げられる。ただし、フッ素系界面活性剤(例えば、旭硝子製、住友スリーエム製、DIC製のもの)を用いることが好ましい。
また、紫外線吸収剤をインクに含有させて天然色素の退色作用を促進させることも可能である。紫外線吸収剤としては、酸化チタンや、酸化亜鉛、酸化セリウム、ベンゾフェノン系、ベンゾリアゾール系、オクチル系、ケイ皮酸類、パラアミノ安息香酸系、サリチル酸誘導体等が挙げられる。
(インクの製造方法の流れ)
図1は、本実施形態のインクの製造方法の流れの一例を示す図である。
まず、ステップS0101において、有機溶剤と水を攪拌する(溶剤攪拌ステップ)。ここで、インクの吐出安定性を鑑みて、有機溶剤としてグリセリン、2−プロパノール、エチレングリコールを用いることが好ましい。特に、2−プロパノール:5〜25ml、エチレングリコール:1〜25ml、グリセリン:1〜15ml、純水:5〜50ml程度の配合とすることが好ましい。また、有機溶剤は潤滑剤の機能を兼ね備えていることが好ましい。
次に、ステップS0102において、溶剤攪拌ステップにて生成された液体に天然色素を添加し、攪拌する(天然色素攪拌ステップ)。
次に、ステップS0103において、天然色素攪拌ステップにて生成された液体にフリーラジカル発生剤を添加し、攪拌する(フリーラジカル発生剤攪拌ステップ)。
次に、ステップS0104において、フリーラジカル発生剤攪拌ステップにて生成された液体に分散剤を添加して攪拌する(分散剤攪拌ステップ)。
なお、上記の製造方法の流れは一例であり、これに限定されるものではない。例えば、天然色素攪拌ステップとフリーラジカル発生剤攪拌ステップを同時に行ったり、逆の順番で行ったりすることも可能である。また、分散剤攪拌ステップを省略したり、界面活性剤を添加して攪拌するステップをさらに設けたりすることも可能である。
(インクの用途)
本実施形態の退色速度が促進されるインクは、水性インクに限られず、溶剤乾燥タイプのインクや紫外線により硬化するタイプのインクとして使用することも可能である。
また、本実施形態のインクは、表示期間が経過するとほぼ無色透明になるため、以下の用途に用いることも可能である。例えば、食品に文字などを表示するために用いる場合は、当該表示の色の濃さと食品の鮮度とを関連付けておくことが可能になる。消費者は当該表示の色の濃さを見て、その食品がどれくらい新鮮であるかを判断することができる。従来においては、pH指示薬を用いて食品の鮮度を示すことが行われていたが、pH指示薬の退色反応は可逆性であり、酸又はアルカリを添加することにより元の色に戻せてしまうという問題点があった。これに対して、天然色素の退色反応は不可逆反応であるため、色を元に戻すことができず、表示の信頼性を高めることが可能になる。
また、本実施形態のインクを用いて秘密事項や個人情報などを記載・印刷した場合、所定期間経過後に表示がほぼ無色透明になるため、これらの情報の機密性を高めることができる。また、子供が壁に落書きなどをしても所定期間経過するとほぼ無色透明になるため、落書きを消す手間や労力が軽減される。
<印刷方法>
本実施形態の印刷方法は、天然色素の退色速度を速める印刷方法である。当該印刷方法の特徴は、印刷物上にてフリーラジカル発生剤を天然色素に添加して、天然色素の退色速度を速めることにある。
印刷物上にてフリーラジカル発生剤を天然色素に添加する手段としては、例えば天然色素を含有するインクを収めたカートリッジとフリーラジカル発生剤を収めたカートリッジを印刷機器にそれぞれ設け、各カートリッジからプリンタヘッドを介して所定箇所に適量噴射することが考えられる。
天然色素に対するフリーラジカル発生剤の添加量は、例えばプリンタヘッドを制御することにより調整することが可能である。なお、プリンタヘッドの方式としては、ピエゾ型やサーマル型など種々の方式が考えられるが、ピエゾ型を用いることが好ましい。また、プリンタヘッドは、天然色素用とフリーラジカル発生剤用とをそれぞれ設ける構成が好ましい。
(印刷機器の具体的な構成・処理)
本実施形態の印刷方法を実現する印刷機器は、例えば図2に示すようなハードウェア構成を有することが考えられる。この図の例では、印刷機器は、「CPU」0201と、「RAM」0202と、「ROM」0203と、「プリンタヘッド」0204と、「プリンタヘッド駆動部」0205と、「通信機器」0206と、「通信インターフェイス」0207と、「入力機器」0208と、「入力インターフェイス」0209と、から構成される。これらの構成は、「システムバス」0210のデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお、インクカートリッジなども物理的な構成として含まれるが、この図においては省略している。
なお、印刷機器の内部処理として、図3に示す処理を行うことが一例として考えられる。まずステップS0301において、印刷表示の希望表示期間を受け付ける。当該希望表示期間は、入力機器や通信機器を介して受け付けてもよいし、内部のプログラムによって決定されてもよい。
次にステップS0302において、ROMに保持されるフリーラジカル発生剤の退色速度の平均的促進量を示す値と天然色素の平均的退色速度を示す値をRAMの所定のアドレスに格納する。フリーラジカル発生剤の退色速度の平均的促進量や天然色素の平均的退色速度は、種類や配合率と関連付けてそれぞれテーブル形式で保持しておくことが考えられる。
次にステップS0303において、CPUはフリーラジカル発生剤の退色速度の平均的促進量と天然色素の平均的退色速度に基づいて、希望表示期間を達成するための配合率を算出する処理を行う。
次にステップS0304において、CPUは算出された配合率に基づいて各カートリッジからプリンタヘッドを介して天然色素とフリーラジカル発生剤を適量噴射するようプリンタヘッド駆動部を制御する処理を行う。
なお、上記処理の他に、紫外線の量をセンサーで検出し、紫外線の量に応じてフリーラジカル発生剤と天然色素の配合率を調整する処理を行うことも可能である。また、印刷面に酸素や紫外線を除去するための膜を形成する処理を行うことも可能である。
(印刷機器以外の印刷方法)
また、上記のように印刷機器を利用して印刷する方法の他に手動噴射器(スプレー)などを利用して印刷する方法も可能である。この場合は、フリーラジカル発生剤を噴射する回数や噴射器の噴射口径などを調整することにより、フリーラジカル発生剤の添加量を適宜調節することが可能である。
<効果>
本実施形態の発明により、印刷や記載の表示を所定期間経過後にほぼ無色透明にして、表示をほとんど見えなくすることが可能になる。
(過酸化ベンゾイルを用いたアスタキサンチンの退色速度の促進量の評価)
本実施例では、フリーラジカル発生剤である過酸化ベンゾイルをカロテノイド色素であるアスタキサンチン(Astaxanthin)に添加し、退色速度の促進量を評価した。
アスタキサンチン色素1.0mgを、10ml のエタノール溶液に加え、60〜70℃で加熱・撹拌し、濃度0.1mg/mlのアスタキサンチン溶液を調製した。調製した色素溶液にそれぞれ過酸化ベンゾイル(BPO)を0.15、0.10、0.05mg/mlの濃度となるように添加し、各濃度での色素の退色速度の比較を行った。
ろ紙に上記溶液を1μL滴下してスポットを作成した。また、波長365nmの紫外線ランプ(UV-L21)を使用し、照射距離を15cmとした。また、それ以外の光の照射を防ぐため黒いボックスを設置した。温度は約21℃に保った。
色素の退色速度の比較は、色度計を用いた。色度計で対象色素の色を数値化して、退色前後の色差(ΔE)を算出し、ΔEの変化率(%)で退色速度の比較を行った。色の数値化には、人の視覚と比較的近い値で色の数値化が行えるL*a*b表示系を用いた。
下記表1とこれをプロットした図4は、過酸化ベンゾイル(BPO)の濃度ごとに、時間経過に伴う色差(ΔE)の変化率(%)を示している。この結果が示すように、添加する過酸化ベンゾイル(BPO)の濃度に比例して、色素の退色速度が促進されていくことが分かる。具体的には、色素と同濃度の添加量で約2倍の速度で退色が進むことが確認できる。
Figure 2012041416
<実施形態2>
<概要>
本実施形態においては、天然色素の退色速度の促進量を調整したインクを製造する方法、天然色素の退色速度の促進量を調整する印刷方法について説明する。これらの発明により、印刷や記載の表示を所定期間経過後にほぼ無色透明にして、表示をほとんど見えなくすることが可能になる。
<インクを製造する方法>
本実施形態の製造方法により製造されるインクは、天然色素の退色速度の促進量を調整したインクである。当該製造方法の特徴は、フリーラジカル発生剤と抗酸化剤を天然色素に添加して、天然色素の退色速度の促進量を調整することにある。以下、実施形態1との相違点である抗酸化剤について説明する。
「抗酸化剤」は、酸化を遅らせる物質である。具体的には、トコフェロール、没食子酸、有機酸、アスコロビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、メタ亜硫酸カリウムなどが挙げられる。これらの物質は天然色素の酸化(ラジカル反応)を抑えて、天然色素の退色を抑制する性質を有する。
なお、抗酸化剤は一種類である必要はなく、複数組み合わせて用いることも可能である。また、天然色素の退色作用を抑制したい程度に応じて、抗酸化剤の添加量を調整したり、複数の抗酸化剤を使い分けたりすることが考えられる。
(インクの製造方法の流れ)
図5は、本実施形態のインクの製造方法の流れの一例を示す図である。
まず、ステップS0501において、有機溶剤・潤滑剤と水を攪拌する(溶剤攪拌ステップ)。
次に、ステップS0502において、溶剤攪拌ステップにて生成された液体に天然色素を添加し、攪拌する(天然色素攪拌ステップ)。
次に、ステップS0503において、天然色素攪拌ステップにて生成された液体にフリーラジカル発生剤を添加し、攪拌する(フリーラジカル発生剤攪拌ステップ)。
次に、ステップS0504において、フリーラジカル発生剤攪拌ステップにて生成された液体に抗酸化剤を添加し、攪拌する(抗酸化剤攪拌ステップ)。
次に、ステップS0505において、抗酸化剤攪拌ステップにて生成された液体に分散剤を添加して攪拌する(分散剤攪拌ステップ)。
なお、上記のインクの製造方法の流れは一例であり、これに限定されるものではない。たとえば、天然色素攪拌ステップとフリーラジカル発生剤攪拌ステップと抗酸化剤攪拌ステップを同時に行ったり、異なる順番で行ったりすることも可能である。また、分散剤攪拌ステップを省略したり、界面活性剤を添加して攪拌するステップをさらに設けたりすることも可能である。
<印刷方法>
本実施形態の印刷方法は、天然色素の退色速度の促進量を調整する印刷方法である。当該印刷方法の特徴は、印刷物上にてフリーラジカル発生剤と抗酸化剤を天然色素に添加して、天然色素の退色速度の促進量を調整することにある。
印刷物上にてフリーラジカル発生剤と抗酸化剤を天然色素に添加する手段としては、例えば天然色素を含有するインクを収めたカートリッジと、フリーラジカル発生剤を収めたカートリッジと、抗酸化剤を収めたカートリッジを印刷機器に設置し、各カートリッジからプリンタヘッドを介して特定の箇所に噴射することが考えられる。
天然色素に対するフリーラジカル発生剤、抗酸化剤の添加量は、例えばプリンタヘッドを制御することにより調整することが可能である。また、プリンタヘッドは、天然色素用と、フリーラジカル発生剤用と、抗酸化剤用とをそれぞれ設ける構成が好ましい。
(印刷装置の具体的な構成・処理)
本実施形態の印刷方法を実現する印刷機器としては、例えば実施形態1の図2に示したハードウェア構成を用いることが考えられる。
なお、印刷機器の内部処理として、図6に示す処理を行うことが一例として考えられる。まずステップS0601において、印刷表示の希望表示期間を受け付ける。当該希望表示期間は、入力機器や通信機器を介して受け付けてもよいし、内部のプログラムによって決定してもよい。
次にステップS0602において、ROMに保持されるフリーラジカル発生剤の退色速度の平均的促進量を示す値と、抗酸化剤の退色速度の平均的抑制量を示す値と、天然色素の平均的退色速度を示す値をRAMの所定のアドレスに格納する。フリーラジカル発生剤の退色速度の平均的促進量、抗酸化剤の退色速度の平均的抑制量、天然色素の平均的退色速度は、種類や添加量(配合率も含む)と関連付けてそれぞれテーブル形式で保持しておくことが考えられる。
次にステップS0603において、CPUはフリーラジカル発生剤の退色速度の平均的促進量と、抗酸化剤の退色速度の平均的抑制量と、天然色素の平均的退色速度に基づいて、希望表示期間を達成するための配合率を算出する処理を行う。
次にステップS0604において、CPUは算出された配合率に基づいて各カートリッジからプリンタヘッドを介してフリーラジカル発生剤と抗酸化剤と天然色素を適量噴射するようプリンタヘッド駆動部を制御する処理を行う。
なお、上記処理の他に、紫外線の量をセンサーで検出し、紫外線の量に応じてフリーラジカル発生剤と抗酸化剤と天然色素の配合率を調整する処理を行うことも可能である。また、印刷面に酸素や紫外線を除去するための膜を形成する処理を行うことも可能である。
(印刷装置以外の印刷方法)
また、上記のように印刷機器を利用して印刷する方法の他に手動噴射器(スプレー)などを利用して印刷する方法も可能である。この場合は、フリーラジカル発生剤と抗酸化剤を噴射する回数や噴射器の噴射口径などを調整することにより、フリーラジカル発生剤と抗酸化剤の添加量を適宜調節することが可能である。
<効果>
本実施形態の発明により、印刷や記載の表示を所定期間経過後にほぼ無色透明にして、表示をほとんど見えなくすることが可能になる。
(トコフェロールを用いたアスタキサンチンの退色速度の抑制量の評価)
本実施例では、抗酸化剤であるトコフェロールをカロテノイド色素であるアスタキサンチン(Astaxanthin)に添加し、退色速度の抑制量を評価した。
実施例1と同様に、アスタキサンチン色素1.0mgを、10mlのエタノール溶液に加え、60〜70 ℃で加熱・撹拌し、濃度0.1 mg/mlのアスタキサンチン溶液を調製した。調製した色素溶液にそれぞれトコフェロールを1.0、0.1、0.01 mg/mlの濃度となるように添加し、各濃度での色素の退色速度の比較を行った。
ろ紙に上記の溶液を1μL滴下してスポットを作成した。また、波長365nmの紫外線ランプ(UV-L21)を使用し、照射距離を15cmとした。また、それ以外の光の照射を防ぐため黒いボックスを設置した。温度は約21℃に保った。
色素の退色速度の比較は、実施例1と同様に色度計を用いた。色度計で対象色素の色を数値化し、退色前後の色差(ΔE)を算出し、ΔEの変化率(%)で退色速度の比較を行った。色の数値化には、人の視覚と比較的近い値で色の数値化が行えるL*a*b表示系を用いた。
表2とこれをプロットした図は、トコフェロールの濃度ごとに、時間経過に伴う色差(ΔE)の変化率(%)を示している。この結果にて明らかなように、添加したトコフェロールの濃度に比例して、色素の退色速度が抑制されていく。具体的には、色素の10倍濃度のトコフェロールの添加で紫外線防止フィルムと同等か、それ以上の退色抑制効果が得られる。
Figure 2012041416
0201…CPU、0202…RAM、0203…ROM、0204…プリンタヘッド、0205…プリンタヘッド駆動部、0206…通信機器、0207…通信インターフェイス、0208…入力機器、0209…入力インターフェイス、0210…システムバス

Claims (10)

  1. フリーラジカル発生剤を天然色素に添加することで天然色素の退色速度を速めたインクを製造する方法。
  2. フリーラジカル発生剤は過酸化ベンゾイルを含有することを特徴とする請求項1に記載のインクを製造する方法。
  3. さらに抗酸化剤を天然色素に添加して天然色素の退色速度を調整する請求項1又は2に記載のインクを製造する方法。
  4. 抗酸化剤はトコフェロールを含有することを特徴とする請求項3に記載のインクを製造する方法。
  5. 天然色素は、カロテノイド系色素、フラボノイド系色素、アントシアニン系色素のいずれか一以上からなる請求項1から4のいずれか一に記載のインクを製造する方法。
  6. 印刷物上にてフリーラジカル発生剤を天然色素に添加することで天然色素の退色速度を速める印刷方法。
  7. フリーラジカル発生剤は過酸化ベンゾイルを含有することを特徴とする請求項6に記載の印刷方法。
  8. 印刷物上にてさらに抗酸化剤を天然色素に添加することで天然色素の退色速度を調整する請求項6又は7に記載の印刷方法。
  9. 抗酸化剤はトコフェロールを含有することを特徴とする請求項8に記載の印刷方法。
  10. 天然色素は、カロテノイド系色素、フラボノイド系色素、アントシアニン系色素のいずれか一以上からなる請求項6から9のいずれか一に記載の印刷方法。
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