JP2012040991A - 自転車用フレームの製造方法及び自転車用フレーム - Google Patents
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Abstract
【課題】フレーム本体の軽量化及び強度の向上を図ることができるようにする。
【解決手段】自転車用フレーム10の製造方法は、以下の工程を含む。第1の金型21aに複数の繊維シートを積層し、第1の繊維シート群S1を設ける工程。第1の金型21aとフレーム本体1の幅方向Zと直交する接合方向に対向する第2の金型22aに複数の繊維シートを積層し、第2の繊維シート群S2を設ける工程。次に、第1の金型21aと第2の金型22aを型閉めし、第1の繊維シート群S1と第2の繊維シート群S2を接合方向に接合すると共にフレーム本体1を成形する工程。第1の金型21a及び第2の金型22aからフレーム本体1を脱型する工程。そして、第1の繊維シート群S1と第2の繊維シート群S2の接合箇所Qは、フレーム本体1の幅方向Zの側部に形成される。
【選択図】図3
【解決手段】自転車用フレーム10の製造方法は、以下の工程を含む。第1の金型21aに複数の繊維シートを積層し、第1の繊維シート群S1を設ける工程。第1の金型21aとフレーム本体1の幅方向Zと直交する接合方向に対向する第2の金型22aに複数の繊維シートを積層し、第2の繊維シート群S2を設ける工程。次に、第1の金型21aと第2の金型22aを型閉めし、第1の繊維シート群S1と第2の繊維シート群S2を接合方向に接合すると共にフレーム本体1を成形する工程。第1の金型21a及び第2の金型22aからフレーム本体1を脱型する工程。そして、第1の繊維シート群S1と第2の繊維シート群S2の接合箇所Qは、フレーム本体1の幅方向Zの側部に形成される。
【選択図】図3
Description
本発明は、炭素繊維やガラス繊維等の複合材料を用いた自転車用フレームの製造方法及び自転車用フレームに関する。
近年、炭素繊維やガラス繊維等の複合材料からなる自転車用フレームが普及している。従来の複合材料を用いた自転車用フレームの形状としては、例えば前側と後側の2つの三角形を合わせて形成されるダイヤモンド形フレームがある。このダイヤモンド形の自転車用フレームは、操舵部分であるヘッドパイプと、トップチューブと、ダウンチューブと、シートチューブと、シートステイと、チェーンステイと、ボトムブラケットシェルとから構成されている。
次に、図9を参照して従来の自転車用フレームの製造方法について説明する。
図9は、従来の自転車用フレームの製造方法を示す斜視図である。
図9に示すように、従来の自転車用フレーム100は、複数のパイプ材を接合して形成されるフレーム本体101から構成されている。なお、複数のパイプ材は、複合材料から形成されている。
図9は、従来の自転車用フレームの製造方法を示す斜視図である。
図9に示すように、従来の自転車用フレーム100は、複数のパイプ材を接合して形成されるフレーム本体101から構成されている。なお、複数のパイプ材は、複合材料から形成されている。
このフレーム本体101は、ヘッドパイプ102に、シートチューブ104と一体に成形されたトップチューブ103と、ボトムブラケットシェル108と一体に成形されたダウンチューブ105を接合している。また、フレーム本体101は、シートチューブ104にシートステイ106と接合し、ボトムブラケットシェル108にチェーンステイ107を接合している。
そして、このフレーム本体101は、エポキシ系接着剤を用いて複数のパイプ材を固定している。そのため、フレーム本体101の複数の箇所に接着材が必要となり、重量が増加するという問題を有していた。また、複数の箇所を接合するため、接着不良が起こる確率が増加する、という問題も有していた。
また、接合箇所を削減させるために、ヘッドパイプ、トップチューブやダウンチューブ等を一体に成形する技術も用いられている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載された技術では、幅方向に分割した中空の略半円状の部材を接合することで、ヘッドパイプやトップチューブ等を形成している。
次に、図10及び図11を参照して従来の他の自転車用フレームの製造方法について説明する。
図10は従来の他の自転車用フレームの製造方法を示す斜視図、図11は従来の他の自転車用フレームを示す斜視図である。図12は、従来の他の自転車用フレームの製造方法を示す断面図である。
図10は従来の他の自転車用フレームの製造方法を示す斜視図、図11は従来の他の自転車用フレームを示す斜視図である。図12は、従来の他の自転車用フレームの製造方法を示す断面図である。
図10及び図11に示すように、従来の他の自転車用フレーム200は、複合材料から形成されたフレーム本体201から構成されている。このフレーム本体201は、ヘッドパイプ202と、トップチューブ203と、シートチューブ204と、ダウンチューブ205と、ボトムブラケットシェル208を複合材料によって一体に成形している。
そして、図12に示すように、このフレーム本体201は、一対の成形型210と、内圧バッグ214を用いて製造される。一対の成形型210は、フレーム本体201の幅方向Zの一側を成型する下型211と、他側を成型する上型212とから構成されている。すなわち、下型211と、上型212は、フレーム本体201の幅方向Zに対向している。そして、内圧バッグ214は、下型211と、上型212の各々に積層された複合材料の間に内包される。
次に、従来の他の自転車用フレーム200の製造方法について説明する。
まず、図12に示すように、下型211に複合材料による複数の繊維シートを積層させて第1の繊維シート群S1を設けると共に、上型212に複数の繊維シートを積層させて第2の繊維シート群S2を設ける。そして、内圧バッグ214を間に挟んで、下型211と、上型212を型閉めする。なお、このとき内圧バッグ214に第3の繊維シートを巻回する場合もある。
まず、図12に示すように、下型211に複合材料による複数の繊維シートを積層させて第1の繊維シート群S1を設けると共に、上型212に複数の繊維シートを積層させて第2の繊維シート群S2を設ける。そして、内圧バッグ214を間に挟んで、下型211と、上型212を型閉めする。なお、このとき内圧バッグ214に第3の繊維シートを巻回する場合もある。
次に、内圧バッグ214を加圧して第1の繊維シート群S1及び第2の繊維シート群S2を下型211と、上型212に密着させながら加熱して、フレーム本体201を成形する。このとき、下型211に設けられた第1の繊維シート群S1の端部と、上型212に設けられた第2の繊維シート群S2の端部が接合する。これにより、自転車用フレーム200の製造が完了する。
なお、図11に示すように、自転車用フレーム200は、フレーム本体201の幅方向Zの略中心部に第1の繊維シート群S1と第2の繊維シート群S2の接合箇所Rが形成されている。特に、トップチューブ203及びダウンチューブ205での接合箇所Rは、フレーム本体201の上下方向Yに向いている。
ここで、自転車は、構造的にクランク(ペダル)が力点となり、地面に接するタイヤが支点となる。そのため、自転車用フレームでは、ボトムブラケットシェルが力点となり、タイヤにつながるヘッドパイプと、シートステイ及びチェーンステイの軸方向の他端部が支点と置き換えることができる。よって、自転車用フレームには、フレーム本体の縦方向、すなわち上下方向Yからの外力または応力の影響が大きく作用する。
そして、自転車用フレームのうち、特にトップチューブとダウンチューブには、フレーム本体の上下方向Yへ大きな曲げ応力が作用する。そのため、トップチューブやダウンチューブの上部や下部、すなわちフレームの幅方向の略中心には、大きな力が作用する。
しかしながら、特許文献1に記載された自転車用フレームの製造方法や図10及び図11に示す自転車用フレーム200の製造方法では、成形型210をフレーム本体201の幅方向Zに分割している。そのため、トップチューブ203やダウンチューブ205の上下方向Yの上部や下部における幅方向Zの略中心には、第1の繊維シート群S1と第2の繊維シート群S2の接合箇所Rが形成されている。
よって、複合材料を形成する繊維シートの端は、フレーム本体201の幅方向Zの略中心に配置される。その結果、従来の自転車用フレームでは、複合材料を形成する繊維の端が、フレーム本体に作用する応力の影響が最も大きい箇所に配置されるため、複合材料を構成する繊維が剥離し、フレーム本体の強度が低下する、という問題を有していた。
また、成形型の分割部分は、余剰樹脂や繊維シートに内包された空気を取り除くための通路として用いられる。そのため、繊維シートの硬化後には、この成形型の分割部分にボイド(樹脂空隙)の発生率が高くなる。そして、従来の自転車用フレームの製造方法では、成形型は、フレーム本体の幅方向に沿って型閉め及び型開けが行われる。すなわち、成形型は、フレーム本体の幅方向の略中心で分割している。その結果、フレーム本体に最も力が作用する箇所にボイドが発生し、フレーム本体の強度の低下を招いていた。
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、フレーム本体の軽量化及び強度の向上を図ることができる自転車用フレームの製造方法及び自転車用フレームを提供することにある。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の自転車用フレームの製造方法は、複合材料を構成する複数の繊維シートから自転車用フレームのフレーム本体を一体に成形する方法であり、以下(1)から(4)を示す工程を含んでいる。
(1)第1の金型に複数の繊維シートを積層し、第1の繊維シート群を設ける工程。
(2)第1の金型とフレーム本体の幅方向と直交する接合方向に対向する第2の金型に複数の繊維シートを積層し、第2の繊維シート群を設ける工程。
(3)第1の金型と第2の金型を型閉めし、第1の繊維シート群と第2の繊維シート群を接合方向に接合すると共にフレーム本体を成形する工程。
(4)第1の金型及び第2の金型からフレーム本体を脱型する工程。
そして、第1の繊維シート群と第2の繊維シート群の接合箇所は、フレーム本体の幅方向の側部に形成される。
(1)第1の金型に複数の繊維シートを積層し、第1の繊維シート群を設ける工程。
(2)第1の金型とフレーム本体の幅方向と直交する接合方向に対向する第2の金型に複数の繊維シートを積層し、第2の繊維シート群を設ける工程。
(3)第1の金型と第2の金型を型閉めし、第1の繊維シート群と第2の繊維シート群を接合方向に接合すると共にフレーム本体を成形する工程。
(4)第1の金型及び第2の金型からフレーム本体を脱型する工程。
そして、第1の繊維シート群と第2の繊維シート群の接合箇所は、フレーム本体の幅方向の側部に形成される。
また、本発明の自転車用フレームは、複合材料を構成する複数の繊維シートによって複数のパイプ状のフレームが一体に成形されたフレーム本体と、を備えている。フレーム本体は、複数の繊維シートを積層した第1の繊維シート群及び第2の繊維シート群をフレーム本体の幅方向と直交する方向で接合することで形成されている。そして、第1の繊維シート群と第2の繊維シート群の接合箇所が、フレーム本体の幅方向の側部に形成されている。
本発明の自転車用フレームの製造方法及び自転車用フレームによれば、第1の繊維シート群及び第2の繊維シート群をフレーム本体の幅方向と直交する方向で接合している。そのため、第1の繊維シート群と第2の繊維シート群の接合箇所が、フレーム本体の幅方向の側部に形成されている。これにより、繊維シートの端部となるつなぎ目が、フレーム本体に最も力が作用するフレーム本体の幅方向の略中心に配置されない。その結果、繊維シートの繊維が剥離したり、フレーム本体の幅方向の略中心にボイドが発生したりすることを防止することができ、フレーム本体の強度を向上させることができる。
更に、フレーム本体を一体に成形していため、フレーム材を接合する必要がない。そのため、フレーム材を接着させるための接着材が不要となり、フレーム本体の軽量化を図ることが可能である。
以下、本発明の自転車用フレームの製造方法及び自転車フレームの実施の形態例について、図1〜図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、説明は以下の順序で行うが、本発明は、必ずしも以下の形態に限定されるものではない。
1.自転車用フレームの構成例
2.自転車用フレームの製造方法
3.成形型の分割位置及び繊維シートの接合箇所
1.自転車用フレームの構成例
2.自転車用フレームの製造方法
3.成形型の分割位置及び繊維シートの接合箇所
1.自転車用フレームの構成例
まず、図1を参照して本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる自転車用フレームの構成例について説明する。図1は、本例の自転車用フレーム10を示す側面図である。
まず、図1を参照して本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる自転車用フレームの構成例について説明する。図1は、本例の自転車用フレーム10を示す側面図である。
本例の自転車用フレーム10は、炭素繊維、ガラス繊維やアラミド繊維等の複合材料からなるフレーム本体1によって構成されている。このフレーム本体1は、前側と後側の2つの三角形を合わせた形状をなしており、いわゆるダイヤモンド形フレームである。
そして、フレーム本体1は、操舵部分であるヘッドパイプ2と、トップチューブ3と、シートチューブ4と、ダウンチューブ5と、シートステイ6と、チェーンステイ7と、ボトムブラケットシェル8とから構成されている。なお、ヘッドパイプ2と、シートチューブ4と、トップチューブ3と、ダウンチューブ5と、シートステイ6と、チェーンステイ7と、ボトムブラケットシェル8は、複合材料によって一体に成形されている。
また、ヘッドパイプ2と、トップチューブ3と、シートチューブ4と、ダウンチューブ5と、シートステイ6と、チェーンステイ7と、ボトムブラケットシェル8は、それぞれパイプ状の部材であり、本発明のフレーム材を示している。
ここで、ヘッドパイプ2側をフレーム本体1の前側とし、シートステイ6及びチェーンステイ7の後端部側をフレーム本体1の後側とする。そして、トップチューブ3側をフレーム本体1の上側とし、ボトムブラケットシェル8側をフレーム本体1の下側とする。
ヘッドパイプ2には、トップチューブ3の軸方向の一端部と、ダウンチューブ5の軸方向の一端部が一体に接続されている。トップチューブ3の軸方向の他端部には、シートチューブ4の軸方向の一端部に接続されている。シートチューブ4の軸方向の一端部には、シートステイ6の軸方向の一端部が接続されている。そして、シートチューブ4の軸方向の他端部には、ボトムブラケットシェル8が設けられている。
このボトムブラケットシェル8には、ダウンチューブ5の軸方向の他端部と、チェーンステイ7の軸方向の一端部が接続されている。そして、ボトムブラケットシェル8には、クランク軸が取り付けられる取付孔8aが設けられている。
なお、この自転車用フレーム10における繊維シートの接合箇所Qは、フレーム本体1の前後方向X及び/又は上下方向Yに沿って、フレーム本体1における幅方向Zの両側部に形成されている。
2.自転車用フレームの製造方法
次に、図2〜図4を参照して上述した構成を有する本例の自転車用フレーム10の製造方法について説明する。
図2は、本例の自転車用フレーム10及び成形型20を示す斜視図、図3は、本例の自転車用フレーム10及び成形型20を示す側面図である。図4は、図3のE−E´線断面図である。
次に、図2〜図4を参照して上述した構成を有する本例の自転車用フレーム10の製造方法について説明する。
図2は、本例の自転車用フレーム10及び成形型20を示す斜視図、図3は、本例の自転車用フレーム10及び成形型20を示す側面図である。図4は、図3のE−E´線断面図である。
本例の自転車用フレーム10は、複合材料を構成する複数の繊維シートを成形型20によって成形することで製造される。繊維シートとしては、例えば炭素繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグや、ドライファブリックに樹脂を塗布したものでもよい。
まず、成形型20について説明する。図2及び図3に示すように、成形型20は、フレーム本体1の幅方向Zと直交する方向(接合方向)に分割された、複数の金型21a〜23eから構成されている。そして、この成形型20は、第1の金型群21と、第2の金型群22と、第3の金型群23とを有している。本例では成形型20は、18個の金型から構成されているが、成形型20を構成する金型の数は、18個以下あるいは19個以上でもよく、フレーム本体1の形状に合わせて適宜設定されるものである。
第1の金型群21は、7つの金型21a〜21gから構成されている。そして、この第1の金型群21は、フレーム本体1を形成する三角形の外側、すなわちフレーム本体1の前後方向X及び上下方向Yの外側に配置されている。第2の金型群22は、第1の金型群21と同様に、6つの金型22a〜22fから構成されている。そして、この第2の金型群を構成する6つの金型22a〜22fは、第1の金型群21を構成する7つの金型21a〜21gとフレーム本体1の幅方向Zと直交する方向(接合方向)に対向して配置されている。
第3の金型群23は、主にフレーム本体1のシートチューブ4及びボトムブラケットシェル8を形成するものである。この第3の金型群23は、5つの金型23a〜23eから構成されている。第1金型23aと第5金型23eは、シートチューブ4を間に挟んでフレーム本体1の前後方向Xに対向して配置されている。第2金型23b及び第3金型23cと第4金型23dも同様に、シートチューブ4を間に挟んでフレーム本体1の前後方向Xに対向して配置されている。
また、第1金型23aの一部は、第1の金型群21の第2金型21bと対向しており、第5金型23eの一部は、第1の金型群21の第1金型21aと対向している。さらに、第3金型23cの一部は、第1の金型群21の第4金型21dと対向しており、第4金型23dの一部は、第1の金型群21の第5金型21eと対向している。そして、この第1の金型群21の第4金型21d及び第5金型21eと、第3の金型群23の第3金型23c及び第4金型23dが、ボトムブラケットシェル8を成形する。
そして、成形型20を構成する金型21a〜23eのうち対向する2つの金型のうち一側が本発明の第1の金型を示しており、他側が第2の金型を示している。
このように、成形型20を複数の金型で構成することで、1つの金型の大きさを小さくすることができる。よって、金型を小さくすることができるため、金型の加工が行いやすくなる。そのため、金型の寸法精度を向上させることができる。これにより、成形時に繊維シートにしわがより難くなり、より正確な成形を行うことができる。
また、図4に示すように、成形時には、各金型21a〜23eにおける対向する金型との間には、内圧バッグ24が内包される。
次に、成形型20及び内圧バッグ24を用いた自転車用フレーム10の製造方法について説明する。
まず、図4に示すように、第1の金型群21の第1金型21aに複数の繊維シートを積層し、第1の繊維シート群S1を設ける。また、第1の金型群21の第1金型21aに対向する第2の金型群22の第1金型22aに複数の繊維シートを積層し、第2の繊維シート群S2を設ける。なお、他の金型21b〜21g、22b〜22f、23a〜23eにも繊維シートを積層し繊維シート群を設ける。
まず、図4に示すように、第1の金型群21の第1金型21aに複数の繊維シートを積層し、第1の繊維シート群S1を設ける。また、第1の金型群21の第1金型21aに対向する第2の金型群22の第1金型22aに複数の繊維シートを積層し、第2の繊維シート群S2を設ける。なお、他の金型21b〜21g、22b〜22f、23a〜23eにも繊維シートを積層し繊維シート群を設ける。
次に、成形型20内に内圧バッグ24を内包して、成形型20をフレーム本体1の幅方向Zと直交する方向(接合方向)に型閉めする。なお、このとき内圧バッグ24に繊維シートを巻いてもよい。そして、内包した内圧バッグ24を加圧して、成形型20の内部から積層した繊維シートに圧力を加える。そのため、第1の繊維シート群S1及び第2の戦地シート群S2は、成形型20を構成する金型21a〜23eに密着する。
次に、成形型20を電熱炉やオートクレーブ等の加熱方法によって加熱し、成形する。このとき、第1の繊維シート群S1の端部と第2の繊維シート群S2がフレーム本体1の幅方向Zと直交する方向(接合方向)に接合する。そして、成形型20を冷却し、フレーム本体1の幅方向Zと直交する方向に沿って複数の金型21a〜23eを型開けする。次いで、成形型20から成形されたフレーム本体1を脱型する。これにより、自転車用フレーム10の製造が完了する。
本例では、フレーム本体1に形成される繊維シートの接合箇所Qは、フレーム本体1の幅方向Zの両側部に位置する。よって、フレーム本体1に最も力が作用するフレーム本体1の幅方向Zの略中心に繊維シートのつなぎ目が配置されないため、繊維が剥離することを防止することができ、フレーム本体1の強度を向上させることが可能である。
また、成形型20をフレーム本体1の幅方向Zと直交する方向に分割し、フレーム本体1の幅方向Zと直交する方向に沿って金型21a〜23eの型閉め及び型開けを行っている。そのため、ボイド(樹脂空隙)は、フレーム本体1に最も力が作用するフレーム本体1の幅方向Zの略中心ではなく、フレーム本体1の幅方向Zの両側部に形成される。すなわち、フレーム本体1の強度の低下につながるボイドがフレーム本体1に最も力が作用する箇所に形成されない。これにより、フレーム本体1の強度がボイドによって低下することを防ぐことができる。
さらに、つなぎ目がなく連続した繊維からなる繊維シートを、フレーム本体1に最も力が作用する箇所に配置することができる。これにより、要求される強度に応じた繊維シートの積層を行うことができ、安全性に優れた自転車用フレーム10を製造することができる。
また、複数のフレーム材を一体成形することで、フレーム材を接合するための接着剤が不要となり、フレーム本体1の軽量化を図ることもできる。
なお、本例では、内圧バッグ24を用いた、いわゆる内圧成形方法による成形例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、成形型20内にインサート材を設置し、成形型20を型閉めした後に樹脂を注入すると共に含浸させて成形するRTM(Resin Transfer Molding)成形や、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形等を用いることができる。
3.成形型の分割位置及び繊維シートの接合箇所の範囲
次に、成形型の分割位置及び繊維シートの接合箇所の範囲について図4〜図8を参照して詳細に説明する。
図5及び図6は、フレーム材に作用する力を説明する説明図、図7及び図8は、成形型の分割位置及び繊維シートの接合箇所を説明する説明図である。
次に、成形型の分割位置及び繊維シートの接合箇所の範囲について図4〜図8を参照して詳細に説明する。
図5及び図6は、フレーム材に作用する力を説明する説明図、図7及び図8は、成形型の分割位置及び繊維シートの接合箇所を説明する説明図である。
ここで、自転車は、構造的にクランク(ペダル)が力点となり、地面に接するタイヤが支点となる。そのため、自転車用フレーム10では、ボトムブラケットシェル8が力点となり、タイヤにつながるヘッドパイプ2と、シートステイ6及びチェーンステイ7の軸方向の他端部が支点と置き換えることができる。
そして、自転車用フレーム10に作用する応力は、フレーム本体1の上下方向の加重の影響が大きい。以下、トップチューブ3に作用する曲げ応力を考慮して成形型20の分割位置及び繊維シートの接合箇所の範囲を決定する。
図5及び図6では、フレーム材としてトップチューブ3に作用する力について説明する。なお、説明を簡単にするためにトップチューブ3の形状を円柱状とする。
図5に示すように、自転車用フレーム10のフレーム本体1に力が作用すると、トップチューブ3には、曲げモーメントMが加わる。このとき、図6に示すように、トップチューブ3の上下方向mの上部Tには、圧縮力P1が作用し、トップチューブ3の上下方向mの下部Sには、圧縮力P1と等しい引張力P2が作用する(P1=P2)。
図5に示すように、自転車用フレーム10のフレーム本体1に力が作用すると、トップチューブ3には、曲げモーメントMが加わる。このとき、図6に示すように、トップチューブ3の上下方向mの上部Tには、圧縮力P1が作用し、トップチューブ3の上下方向mの下部Sには、圧縮力P1と等しい引張力P2が作用する(P1=P2)。
そして、トップチューブ3のたわみ(変位)量は、圧縮力P1及び引張力P2に比例し、トップチューブ3の縦弾性係数E及びトップチューブ3の断面2次モーメントIに反比例する。ここで、図6及び図7に示すように、トップチューブ3における圧縮力P1が有効に作用する上部Tの約中心から引張力P2が有効に作用する下部Sの約中心までの距離hは、トップチューブ3の上下方向mの長さの約90%となる。一般的に、図7に示すように、側面領域のうち、約70%の範囲kは、外力による影響を無視できる範囲といえる。
ここで、トップチューブ3内において伸び縮みをしない面を中立面という。また、この中立面とトップチューブ3を幅方向Zで切断した断面との交線を中立軸nという。そして、図8に示すように、トップチューブ3の幅方向Zの側面領域を、トップチューブ3の中立軸nからトップチューブ3の上下方向mに±45°の範囲とする。
上述したように、トップチューブ3の幅方向Zの側面領域のうち約70%の範囲は、曲げ応力による影響を無視できる。そのため、成形型20の分割位置及び第1の繊維シート群S1と第2の繊維シート群S2の接合箇所Qは、トップチューブ3の幅方向Zの側面部の領域の70%の範囲、すなわち中立軸nからトップチューブ3の上下方向mに±約38°の範囲内に設定される。これにより、接合箇所Qに対して力が加わることを抑制することができ、繊維シートの剥離を効果的に防止することができる。
また、円柱形以外の様々な断面形状を考慮すると、成形型20の分割位置及び接合箇所Qは、トップチューブ3の中立軸nからトップチューブ3の上下方向mに角度±35°(θ1)の範囲内に設定することが好ましい(図4参照)。更に、中立軸n上は、トップチューブ3のうち最も変位が少ない箇所である。そのため、成形型20の分割位置及び接合箇所Qをトップチューブ3の中立軸n上に設けることがより好ましい。
なお、上述ではフレーム材の一具他例としてトップチューブ3を例に挙げて説明したが、他のフレーム材であるヘッドパイプ2、ダウンチューブ5、シートステイ6及びチェーンステイ7も同様である。すなわち、それぞれのフレーム材の中立軸からフレーム材の上下方向に角度±35°の範囲内に成形型20の分割位置及び接合箇所Qを設定されるものである。
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。上述した実施の形態例では、フレーム本体1をダイヤモンド形フレームとして形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。フレーム本体1の形状は、例えばダウンチューブとシートステイを除いたZ形フレームでもよい。あるいは、ダウンチューブとトップチューブを一体に構成すると共にシートステイとチェーンステイを一体に構成したX形フレーム等その他各種の形状をフレーム本体に適用することができる。
また、ヘッドパイプ、トップチューブ、シートチューブ、ダウンチューブ及びボトムブラケットシェルのみを一体に成形し、シートステイとチェーンステイを固定ねじや接着によって固定してもよい。
1…フレーム本体、 2…ヘッドパイプ、 3…トップチューブ、 4…シートチューブ、 5…ダウンチューブ、 6…シートステイ、 7…チェーンステイ、 8…ボトムブラケットシェル、 20…成形型、 21…第1の金型群、 22…第2の金型群、 23…第3の金型群、 21a〜23e…金型、 24…内圧バッグ、 n…中立軸、 Z…幅方向、 m…フレーム材の上下方向、 Y…フレーム本体の上下方向、 S1…第1の繊維シート群、 S2…第2の繊維シート群
Claims (6)
- 複合材料を構成する複数の繊維シートから自転車用フレームのフレーム本体を一体に成形する方法であって、
第1の金型に前記複数の繊維シートを積層し、第1の繊維シート群を設ける工程と、
前記第1の金型と前記フレーム本体の幅方向と直交する接合方向に対向する第2の金型に前記複数の繊維シートを積層し、第2の繊維シート群を設ける工程と、
前記第1の金型と前記第2の金型を型閉めし、前記第1の繊維シート群と前記第2の繊維シート群を前記接合方向に接合すると共に前記フレーム本体を成形する工程と、
前記第1の金型及び前記第2の金型から前記フレーム本体を脱型する工程と、
を含み、
前記第1の繊維シート群と前記第2の繊維シート群の接合箇所は、前記フレーム本体の幅方向の側部に形成される
ことを特徴とする自転車用フレームの製造方法。 - 前記第1の金型及び前記第2の金型は、複数設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の自転車用フレームの製造方法。 - 前記接合箇所は、前記フレーム本体を構成するフレーム材の中立軸から前記フレーム材の上下方向に±35°の範囲に設定される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用フレームの製造方法。 - 前記接合箇所は、前記フレーム材の前記中立軸上に位置される
ことを特徴とする請求項3に記載の自転車用フレームの製造方法。 - 前記第1の金型と前記第2の金型の間に、前記第1の繊維シート群及び前記第2の繊維シート群を前記第1の金型及び前記第2の金型へ密着させる内圧バッグを設けた
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自転車用フレームの製造方法。 - 複合材料を構成する複数の繊維シートによって複数のパイプ状のフレーム材が一体に成形されたフレーム本体と、を備え、
前記フレーム本体は、前記複数の繊維シートを積層した第1の繊維シート群及び第2の繊維シート群を前記フレーム本体の幅方向と直交する方向で接合することで形成され、
前記第1の繊維シート群と前記第2の繊維シート群の接合箇所が、前記フレーム本体の幅方向の側部に形成されている
ことを特徴とする自転車用フレーム。
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---|---|---|---|
JP2010185204A JP2012040991A (ja) | 2010-08-20 | 2010-08-20 | 自転車用フレームの製造方法及び自転車用フレーム |
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KR101434649B1 (ko) | 2013-06-05 | 2014-08-26 | 주식회사 티포엘 | 카본섬유시트를 이용한 일체형 자전거프레임의 성형금형 및 그 성형금형을 이용한 자전거프레임의 제조방법 |
KR20190006761A (ko) * | 2017-07-11 | 2019-01-21 | 도레이첨단소재 주식회사 | 자전거 프레임 |
-
2010
- 2010-08-20 JP JP2010185204A patent/JP2012040991A/ja active Pending
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