JP2012040763A - 成形品、床材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明が解決しようとする課題は、薄肉であっても優れた外観と優れた強度を両立した成形品を提供することである。
【解決手段】本発明は、強化繊維(a1)及び熱硬化性樹脂(a2)を含有する繊維含有率1質量%〜30質量%の成形材料(A)を用いて形成される層(I)と、繊維織物(b1)及び熱硬化性樹脂(b2)を含有する繊維含有率40質量%〜90質量%のプリプレグシート(B)を用いて形成される層(II)とが積層された、厚み0.5mm〜5mmであることを特徴とする成形品を提供するものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、強化繊維(a1)及び熱硬化性樹脂(a2)を含有する繊維含有率1質量%〜30質量%の成形材料(A)を用いて形成される層(I)と、繊維織物(b1)及び熱硬化性樹脂(b2)を含有する繊維含有率40質量%〜90質量%のプリプレグシート(B)を用いて形成される層(II)とが積層された、厚み0.5mm〜5mmであることを特徴とする成形品を提供するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えば床材等の様々な用途に使用可能な成形品およびその製造方法に関する。
従来、繊維強化樹脂(FRP)は、優れた耐蝕性、耐煮沸性を有し、軽量、高強度であることから、浴槽等の浴室部材、パネルタンク等の工業部材あるいは船艇等に広く使用されている。
しかし、近年、成形サイクルの短縮による合理化及び使用原材料の低減によるコストダウンの為に成形品の更なる軽量化が求められ、その軽量化を実現する手段として、成形品の薄肉化が検討されている。
前記薄肉化された成形品としては、例えば熱硬化性樹脂、アスペクト比が30以下の充填材、ポリマー粒子、及び、アスペクト比が50〜2000の補強繊維を特定割合で含有するものであって、前記ポリマー粒子が、ガラス転移点20℃以下のゴム状ポリマー相とガラス転移点が50℃以上のガラス状ポリマー相とからなる多相構造を有し、重量平均粒子径が2〜100μmの範囲である熱硬化性樹脂組成物を成形して得られる成形品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記方法で得られた薄肉の成形品であれば、軽量化を実現できるものの、該成形品の外観不良や強度の低下を引き起こす場合があった。
前記薄肉の成形品の外観を向上させるためには、成形材料の繊維含有率を低下させる必要がある一方、その強度を向上させるためには繊維含有率を上昇させる必要があるため、それらを両立した成形品を見出すことは、これまで困難であった。
本発明が解決しようとする課題は、薄肉であっても優れた外観と優れた強度とを両立した成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討した結果、強化繊維含有率の異なる特定の成形材料とプリプレグシートとを一体成形して得られる成形品であれば、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、強化繊維(a1)及び熱硬化性樹脂(a2)を含有する繊維含有率1質量%〜30質量%の成形材料(A)を用いて形成される層(I)と、繊維織物(b1)及び熱硬化性樹脂(b2)を含有する繊維含有率40質量%〜90質量%のプリプレグシート(B)を用いて形成される層(II)とが積層された、厚み0.5mm〜5mmであることを特徴とする成形品を提供するものである。
本発明の成形品は、薄肉、軽量で、優れた外観と優れた強度を有することから、例えば、床材や浴槽エプロン等の浴室部材、洗面部材、車輌内装材等の様々な用途に使用することが可能である。
本発明の成形品は、強化繊維(a1)及び熱硬化性樹脂(a2)を含有する繊維含有率1質量%〜30質量%の成形材料(A)を用いて形成される層(I)と、繊維織物(b1)及び熱硬化性樹脂(b2)を含有する繊維含有率40質量%〜90質量%のプリプレグシート(B)を用いて形成される層(II)とが積層されたものであって、その厚みが0.5mm〜5mmの薄肉のものである。
本発明の成形品は、軽量化を図るうえで薄肉である必要があるとともに、優れた外観と優れた強度とを有する必要がある。これらを両立するためには、前記層(I)と前記層(II)とから構成される積層体からなる成形品を使用することが重要である。
前記成形品の厚みは、前記軽量化を図る観点から0.5mm〜5mmであることが重要である。ここで、前記厚みは、前記層(I)と前記層(II)とから構成される平面部の厚みを指し、本発明の成形品が後述するリブ構造等の凸部を有する場合であっても、そのリブ等の凸部の厚みを含むものではない。
また、本発明の成形品としては、それを構成する層(II)の厚みが本発明の成形品の厚みの5%〜50%の範囲であることが、表面平滑性と高光沢の外観と高強度とを両立した成形品を得るうえで好ましい。
次に、本発明の成形品を構成する層(I)及びそれを形成する成形材料(A)について説明する。
本発明の成形品を構成する層(I)は、後述する成形材料(A)を成形し硬化させることによって形成できる。
前記成形材料(A)としては、強化繊維(a1)と熱硬化性樹脂(a2)とを含有するものを使用することができる。具体的には、一般にシートモールディンウコンパウンド(SMC)やバルクモールディングコンパウンド(BMC)といわれるものを使用することが、得られる成形品の薄肉化と優れた外観とを両立するうえで好ましい。
前記強化繊維(a1)としては、無機繊維や有機繊維を使用することができる。前記無機繊維としては、ガラス繊維を使用することが好ましい。
また、有機繊維としては、例えば炭素繊維、アラミド繊維、その他ビニロン繊維、ポリエステル繊維等を使用することができ、これらを単独、または前記無機繊維や他の有機繊維と組み合わせて使用することができる。
前記強化繊維(a1)の形態は、チョップドストランドであることが好ましい。
また、前記強化繊維(a1)としては、0.5mm〜25mmの長さのものを使用することが成形材料(A)中における強化繊維の偏りを防止し、表面平滑性に優れた成形品を得る上で好ましい。
前記成形材料(A)中に含まれる前記強化繊維(a1)の含有率(強化繊維含有率)は、1質量%〜30質量%であり、好ましくは25質量%以下であることが、プレス成形時における強化繊維(a1)のうねりや、得られる成形品の表面に強化繊維が露出するのを防止し、表面平滑性を備えた成形品を得るうえで好ましい。
また、前記成形材料(A)に含まれる熱硬化性樹脂(a2)としては、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂であり、それぞれを単独あるいは併用して用いることができる。
前記成形材料(A)としては、成形材料(A)全体に対して熱硬化性樹脂(a2)を20質量%〜50質量%含有するものを使用することが好ましい。
前記成形材料(A)は、形成する前記層(I)の平滑性や光沢を向上させる観点から、充填材を含むことが好ましい。
前記充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、アルミ粉、シリカパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、セルロース等が挙げられ、これらの1種類以上を混合して用いることができる。
前記充填材は、成形材料(A)全体に対して30質量%〜60質量%含まれることが好ましい。
次に、本発明の成形品を構成する層(II)及びそれを形成するプリプレグシート(B)について説明する。
本発明の成形品を構成する層(II)は、得られる成形品の強度を向上させる補強層の役割を有するものであって、後述するプリプレグシート(B)を硬化させることによって形成することができる。
前記プリプレグシート(B)は、繊維織物(b1)及び熱硬化性樹脂(b2)を含有するシート状のものであって、前記繊維織物(b1)に前記熱硬化性樹脂(b2)を含浸させた未硬化のシートである。なかでも、プレス成形の際に、金型の形状に対応した賦形を可能とし、とりわけ3次元曲面等の形状を成形品に賦形することを容易にするうえで、柔軟なプリプレグシートを使用することが好ましい。
前記プリプレグシート(B)を構成する繊維織物(b1)としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、その他ビニロン繊維、ポリエステル繊維などを単独または併用して得られた織物を使用することができる。
繊維織物(b1)の形態は平織、綾織、朱子織、模紗織、からみ織等のクロス織物であることが好ましい。
前記繊維織物(b1)の目付量としては、50g/m2〜800g/m2のものを使用することが好ましい。また、前記繊維織物(b1)の厚みは、0.1mm〜2mmのものを使用することが好ましい。
前記プリプレグシート(B)中に含まれる前記繊維織物(b1)の含有率は40質量%〜90質量%であり、50質量%〜80質量%の範囲であることが好ましい。
また、前記プリプレグシート(B)中に含まれる前記繊維織物(b1)の含有率は、前記成形材料(A)中に含まれる強化繊維(a1)の含有率よりも、常に高いことが重要である。これにより、薄肉であっても、優れた外観と高強度とを両立した成形品を得ることが可能となる。
前記プリプレグシート(B)に含まれる熱硬化性樹脂(a2)は、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂であり、それぞれを単独あるいは併用して用いることができる。
前記プリプレグシート(B)としては、前記プリプレグシート(B)に対して熱硬化性樹脂(b2)を10質量%〜60質量%含むものを使用することが好ましい。
また、前記プリプレグシート(B)は、前記熱硬化性樹脂(b2)を増粘させることでその取り扱い性を向上させ、また、それらをプレス成形する際にプリプレグシード(B)から熱硬化性樹脂(b2)が絞り出されることを防止することを目的として、ポリイソシアネート増粘剤を使用することができる。
前記ポリイソシアネート増粘剤としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等を使用することができる。
前記ポリイソシアネート増粘剤は、前記熱硬化性樹脂(b2)に対して、2質量%〜20質量%の範囲で含有することが好ましい。
次に、本発明の成形品の製造方法について説明する。
本発明の成形品は、例えばプレス成形法の場合、金型のコア型にプリプレグシート(B)を配置し、次いで前記シートモールディングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウンド等の成形材料(A)を金型内に投入して、加圧、加熱一体成形することによって製造することができる。
また、前記成形品は、あらかじめ前記プリプレグシート(B)と前記成形材料(A)とを重ね合わせたものを、前記プリプレグシート(B)がコア型に接触するように金型内に投入し、プレス成形することによって製造することもできる。
前記プレス成形法は、金型を取りつけたプレス成形装置により行うことができる。前記プレス成形装置としては、前記金型のうちキャビ型(雌型)が上型、コア型(雄型)が下型として設置されたプレス成形装置であることが好ましい。
また、前記金型としては、キャビ型とコア型の勘合部に喰いきり構造を有する一般的なSMCもしくはBMC成形用金型を使用することもできる。
プレス成形の条件は、金型のキャビ型(雌型)温度が90〜160℃、より好ましくは120〜140℃、金型のコア型(雄型)温度が90〜160℃、より好ましくは100〜130℃の範囲で、加圧力は3〜15MPa、より好ましくは5〜12MPaの範囲である。加圧時間は成形品の肉厚により1〜10分の範囲から適宜設定できる。
本発明の成形品は、前記したプレス成形法以外の成形方法によって製造することも可能である。しかし、前記成形材料(A)と前記プリプレグシート(B)とを金型の締め切り圧力によってより強固に密着させた状態で、前記熱硬化性樹脂(a2)や熱硬化性樹脂(b2)を硬化させることによって、薄肉であっても優れた強度と優れた外観を有する成形品が得られるため、プレス成形法を採用することが好ましい。
前記方法で得られた本発明の成形品には、必要に応じてリブ構造を設けることができる。前記リブ構造は、前記層(II)側に設けられることが好ましく、前記層(II)を形成するプリプレグシート(B)の一部によって形成されることが好ましい。
前記リブ構造は、該リブの形状を賦形可能な金型を使用し、例えば前記プレス成形法によって成形することで形成することができる。
前記リブの高さは、0.5mm〜3mmであることが好ましく、リブの幅は1mm〜5mmの範囲であることが、厚みの均一な層(II)及びリブを形成できるため好ましい。
以上のように、本発明の成形品は、その優れた表面外観と強度と軽量性とを両立できることから、例えば、床材や浴槽エプロン等の浴室部材、洗面部材、車輌内装材等の様々な用途に使用することができる。その際、本発明の成形品は、表面外観の優れた層(I)からなる面が表面または上部となり、かつ、前記層(II)が裏面または下部となる態様で使用することが、優れた外観を示すうえで好ましい。
また、本発明の成形品は、前記層(I)や層(II)表面に、必要に応じて他の層を設けてもよい。具体的には、前記成形品の層(I)や層(II)の表面に、各種コーティング剤を塗布し、皮膜を形成してもよい。
前記コーティング剤としては、例えば前記表面に親水性能や柔軟性能等を付与可能な皮膜を形成可能なものを使用することができる。
とりわけ床材、好ましくは浴室床材等に使用する場合には、前記層(I)表面に、親水性能や柔軟性能等を付与可能な皮膜を設けることが好ましい。また、前記床材を構成する層(II)の下部に、ウレタンフォーム等の多孔層を設けたりすることによって、柔軟な風合いを備えた床を構成することができる。
[実施例1]浴槽エプロンの作製
浴槽エプロンの層(I)に相当する層を形成する成形材料(A−1)としては、熱硬化性樹脂(a2−1)としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部、充填材としての水酸化アルミニウム150質量部と、強化繊維(a1−1)として長さが1インチのガラス繊維44質量部とを含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維含有率15質量%)を使用した。
浴槽エプロンの層(I)に相当する層を形成する成形材料(A−1)としては、熱硬化性樹脂(a2−1)としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部、充填材としての水酸化アルミニウム150質量部と、強化繊維(a1−1)として長さが1インチのガラス繊維44質量部とを含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維含有率15質量%)を使用した。
また、浴槽エプロンの層(II)を形成するプリプレグシード(B−1)としては、熱硬化性樹脂(b2−1)としてビニルエステル樹脂100質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート10質量部と、繊維織物(b1−1)としての400g/m2の平織ガラスクロスからなる繊維織物256質量部とを含むプリプレグシート(繊維織物含有率が70質量%)を使用した。
浴槽エプロンの製品面側(層(I))を形成する金型であるキャビ型の温度を145℃に調整し、層(II)を形成する金型であるコア型の温度を130℃に調整した。
前記コア型の上に、予め浴槽エプロンの形状に裁断した前記プリプレグシート(B−1)を配し、次いでプリプレグシート(B−1)の上に、あらかじめ浴槽エプロンの形状裁断した前記成形材料(A−1)であるシートモールディングコンパウンドを配した。
次いで、それらを10MPaの圧力で2分間プレス成形することによって、前記成形材料(A−1)によって形成された層(I)と、前記プリプレグシード(B−1)によって形成された層(II)とが積層した浴槽エプロンを得た。
得られた浴槽エプロンは、その層(I)の厚みが1.2mmで、層(II)の厚みが0.3mmであり、浴槽エプロン全体としては1.5mmの肉厚のものであった。
また、前記で得た浴槽エプロンの形状は、長さ1650mm、幅400mmであり、製品面側(層(I)側)に凸の3次元形状をしていた。その3次元形状は、浴槽エプロンの長さ方向が半径11360mmの円弧で、幅方向が半径680mmの円弧で形成されていた。
[実施例2]床材の作製
床材の層(I)を形成する成形材料(A−2)としては、熱硬化性樹脂(a2−2)としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部、充填材としての水酸化アルミニウム150質量部と、強化繊維(a1−2)として長さが1インチのガラス繊維83質量部とを含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維含有率25質量%)を使用した。
床材の層(I)を形成する成形材料(A−2)としては、熱硬化性樹脂(a2−2)としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部、充填材としての水酸化アルミニウム150質量部と、強化繊維(a1−2)として長さが1インチのガラス繊維83質量部とを含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維含有率25質量%)を使用した。
また、成形品の層(II)を形成するプリプレグシート(B−2)としては、熱硬化性樹脂(b2−2)としてビニルエステル樹脂100質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12質量部と、繊維織物(b1−2)としての330g/m2の平織ガラスクロスからなる繊維織物448質量部とを含むプリプレグシート(繊維織物含有率が80質量%)を使用した。
床材の製品面側(層(I))を形成する金型であるキャビ型の温度を145℃に調整し、床材の裏面側(層(II))を形成する金型であるコア型の温度を130℃に調整した。
前記コア型の上に予め999mm×999mmのサイズに裁断した前記プリプレグシード(B−2)を配し、次いでプリプレグシート(B−2)の上に、あらかじめ900mm×900mmの形状裁断した前記成形材料(A−2)であるシートモールディングコンパウンドを配した。前記プリプレグシート(B−2)および成形材料(A−2)は、いずれもコア型の中央位置に配置した。
次いで、それらを8MPaの圧力で3分間プレス成形することによって、前記成形材料(A−2)によって形成された層(I)と、前記プリプレグシード(B−2)からなる層(II)とが積層した床材を得た。
得られた床材は、その層(I)の厚みが1.8mmで、層(II)の厚みが0.2mmであり、床材全体としては2.0mmの肉厚のものであった。
また、前記で得た床材の形状は、縦999mm、横999mmの正方形で、平面部のみで形成されるものであった。
[比較例1]浴槽エプロンの作製
浴槽エプロンの層(I)を形成する成形材料(A−3)としては、熱硬化性樹脂(a2−3)としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部、充填材としての水酸化アルミニウム150質量部と、強化繊維(a1)として長さが1インチのガラス繊維107質量部とを含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維含有率30質量%)を使用した。
浴槽エプロンの層(I)を形成する成形材料(A−3)としては、熱硬化性樹脂(a2−3)としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部、充填材としての水酸化アルミニウム150質量部と、強化繊維(a1)として長さが1インチのガラス繊維107質量部とを含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維含有率30質量%)を使用した。
また、浴槽エプロンの層(II)を形成するプリプレグシード(B−3)としては、熱硬化性樹脂(b2−3)としてビニルエステル樹脂100質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート10質量部と、繊維織物(b1−3)としての400g/m2の平織ガラスクロスからなる繊維織物47質量部を含むプリプレグシート(繊維織物含有率が30質量%)を使用した。
浴槽エプロンの製品面側(層(I))を形成する金型であるキャビ型の温度を145℃に調整し、裏面側(層(II))を形成する金型であるコア型の温度を130℃に調整した。
前記コア型の上に、予め浴槽エプロンの形状に裁断した前記プリルレグシート(B−3)を配し、次いでプリルレグシート(B−3)の上に、あらかじめ浴槽エプロンの形状裁断した前記成形材料(A−3)であるシートモールディングコンパウンドを配した。
次いで、それらを10MPaの圧力で2分間プレス成形することによって、前記成形材料(A−3)によって形成された層(I)と、前記プリプレグシード(B−3)によって形成された層(II)とが積層した浴槽エプロンを得た。
得られた浴槽エプロンは、その層(I)の厚みが1.1mmで、層(II)の厚みが0.4mmであり、浴槽エプロン全体としては1.5mmの肉厚のものであった。
また、前記で得た浴槽エプロンの形状は、長さ1650mm、幅400mmであり、製品面側(層(I)側)に凸の3次元形状をしていた。その3次元形状は、浴槽エプロンの長さ方向が半径11360mmの円弧で、幅方向が半径680mmの円弧で形成されていた。
[比較例2]床材の作製
床材の層(I)を形成する成形材料(A−4)としては、熱硬化性樹脂(a2−4)としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部、充填材としての水酸化アルミニウム150質量部と、強化繊維(a1−4)として長さが1インチのガラス繊維250質量部とを含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維含有率50質量%)を使用した。
[比較例2]床材の作製
床材の層(I)を形成する成形材料(A−4)としては、熱硬化性樹脂(a2−4)としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部、充填材としての水酸化アルミニウム150質量部と、強化繊維(a1−4)として長さが1インチのガラス繊維250質量部とを含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維含有率50質量%)を使用した。
また、成形品の層(II)を形成するプリプレグシート(B−4)としては、熱硬化性樹脂(b2−4)としてビニルエステル樹脂100質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12質量部と、繊維織物(b1−4)としての330g/m2の平織ガラスクロスからなる繊維織物48質量部とを含むプリプレグシート(繊維織物含有率が30質量%)を使用した。
床材の製品面側(層(I))を形成する金型であるキャビ型の温度を145℃に調整し、床材の裏面側(層(II))を形成する金型であるコア型の温度を130℃に調整した。
前記コア型の上に予め999mm×999mmのサイズに裁断した前記プリプレグシード(B−4)を配し、次いでプリプレグシート(B−4)の上に、あらかじめ900mm×900mmの形状裁断した前記成形材料(A−4)であるシートモールディングコンパウンドを配した。前記プリプレグシート(B−4)および成形材料(A−4)は、いずれもコア型の中央位置に配置した。
次いで、それらを8MPaの圧力で3分間プレス成形することによって、前記成形材料(A−4)によって形成された層(I)と、前記プリプレグシード(B−4)からなる層(II)とが積層した床材を得た。
得られた床材は、その層(I)の厚みが1.2mmで、層(II)の厚みが0.8mmであり、床材全体としては2.0mmの肉厚のものであった。
また、前記で得た床材の形状は、縦999mm、横999mmの正方形で、平面部のみで形成されるものであった。
[表面外観の評価方法]
表面外観は、60度鏡面光沢計(株式会社 堀場製作所社製のGLOSS CHECKER IG−310)を用い、実施例及び比較例で得られた浴槽エプロンや床材の製品面側(層(I)側)の表面の光沢値を測定することによって評価した。前記光沢値が80以上のものは、外観に優れると評価し、90以上のものは特に外観に優れると評価した。
表面外観は、60度鏡面光沢計(株式会社 堀場製作所社製のGLOSS CHECKER IG−310)を用い、実施例及び比較例で得られた浴槽エプロンや床材の製品面側(層(I)側)の表面の光沢値を測定することによって評価した。前記光沢値が80以上のものは、外観に優れると評価し、90以上のものは特に外観に優れると評価した。
[強度の評価方法]
強度は、落球衝撃試験によって評価した。具体的には、縦50mm、横50mm、長さ1mの角材4本で構成された枠からなる定盤上に、前記浴槽エプロンや床材を、その製品面側(層(I)側)が上になるよう置いた。
強度は、落球衝撃試験によって評価した。具体的には、縦50mm、横50mm、長さ1mの角材4本で構成された枠からなる定盤上に、前記浴槽エプロンや床材を、その製品面側(層(I)側)が上になるよう置いた。
次いで、直径30mm及び質量112gの鋼球を、高さ1mmから自由落下させることによって、前記浴槽エプロン及び床材の製品面側のおよそ中央部分に衝撃を加えた。
前記衝撃を加わった部分を目視で観察し、前記浴槽エプロン及び床材を構成する層(I)及び層(II)のいずれにもクラック等の損傷が見られなかったものを「○」、層(I)または層(II)のいずれか一方または両方にクラック等の損傷が見られたものを「×」と評価した。
Claims (10)
- 強化繊維(a1)及び熱硬化性樹脂(a2)を含有する繊維含有率1質量%〜30質量%の成形材料(A)を用いて形成される層(I)と、繊維織物(b1)及び熱硬化性樹脂(b2)を含有する繊維含有率40質量%〜90質量%のプリプレグシート(B)を用いて形成される層(II)とが積層された、厚み0.5mm〜5mmであることを特徴とする成形品。
- 前記強化繊維(a1)が長さ0.5mm〜25mmのガラス繊維であり、かつ、前記熱硬化性樹脂(a2)が不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂である、請求項1に記載の成形品。
- 前記繊維織物(b1)が目付量50g/m2〜800g/m2のクロス織物である、請求項1に記載の成形品。
- 前記熱硬化性樹脂(b2)が不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂である、請求項1に記載の成形品。
- 前記プリプレグシート(B)が、前記繊維織物(b1)及び前記熱硬化性樹脂(b2)の他に、更にポリイソシアネート増粘剤を含有するものである、請求項1に記載の成形品。
- 前記層(II)の厚さが、前記成形品の厚さの5%〜50%の範囲である、請求項1に記載の成形品。
- 前記層(II)が、高さ0.5mm〜3mm及び幅1mm〜5mmのリブ構造を有するものである、請求項1に記載の成形品。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形品からなる床材。
- 前記成形品が曲面部を有するものである、請求項1に記載の成形品。
- プレス成形用金型に、繊維織物(b1)及び熱硬化性樹脂(b2)を含有する繊維含有率40質量%〜90質量%のプリプレグシート(B)を配置し、次いで、前記プリプレグシート(B)の上に、強化繊維(a1)及び熱硬化性樹脂(a2)を含有する繊維含有率1質量%〜30質量%の成形材料(A)を配置し、それらをプレス成形法によって一体成形することを特徴とする、前記成形材料(A)を用いて形成される層(I)と、前記プリプレグシート(B)を用いて形成される層(II)とが積層された、厚み0.5mm〜5mmである成形品の製造方法。
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