JP2012040297A - 衣原料注ぎ具、および、それを用いた天ぷらの製造方法 - Google Patents

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Kimishiro Taniguchi
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亨 重松
Takashi Ito
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Abstract

【課題】熟練しなくとも、適量の衣原料を天ぷら用素材に注加して、華を咲かせた天ぷらを製造することを可能にする衣原料注ぎ具、および、それを用いた天ぷらの製造方法を提供する。
【解決手段】天ぷらの衣原料を収容する衣原料収容部5と、衣原料収容部に連通し、且つ、衣原料収容部5に収容された天ぷらの衣原料を天ぷら用素材に注ぐための開口7を有するノズル6と、ノズルの開口を閉鎖する閉鎖位置Aとノズルの開口を開放する開放位置との間で移動可能に配置された栓部材16と、栓部材を閉鎖位置と開放位置との間で移動させる操作部とを備える衣原料注ぎ具1を用いて、適量の天ぷらの衣原料を自重によりノズル6の開口7から天ぷら用素材に注加する。
【選択図】図1

Description

この発明は、衣原料注ぎ具、および、それを用いた天ぷらの製造方法に関し、詳しくは、熟練者でなくとも、華を咲かせた天ぷらを製造することを可能にする衣原料注ぎ具、および、それを用いた天ぷらの製造方法に関する。
海老を始めとする魚介類の天ぷらでは、見栄えや食感を良くするために衣を大きくすることが行われる。これを「華を咲かせる」と呼ぶ。華を咲かせるには、衣原料を付着させた海老等の素材を油に入れた後、その上から適量の衣原料を糸のように垂らし、先に付着させてある衣の周りに形よく衣を付加していく。しかし、油面を動く天ぷらに形良くきれいに華を咲かせるには熟練した技が必要であり、一般の人が華を咲かせた天ぷらを製造するのは困難である。
天ぷらの製造方法として、例えば、特許文献1には、凹凸面の底面と、その両側に連なる傾斜面とからなる衣形成用凹部を備えた衣形成台を用い、この衣形成凹部に天ぷら具材を載せ、その上から衣液を掛けて天ぷら具材に付着させ、フライヤーで油ちょうすることが記載されている。この方法によれば、衣液が傾斜面に沿って具材の中心方向に流れて集まり、また、凹凸面によって具材の裏面に凹凸空間が生じるので、裏面にも凹凸状の厚みのある、形のよい衣層が形成できるとされている。
また、特許文献2には、天ぷら冷凍食品の製造方法として、天ぷら素材に泡立てられた卵白と小麦粉を含む一次バッターを付けて油ちょうし、その上から小麦粉を含む二次バッターを注加することにより、一次バッターの外側に二次バッターを層状に付けることが記載されている。これにより、保型性が良く、解凍油ちょう時の魚介類からの離水による衣の破裂やべたつきを防止することができるとされている。
しかし、特許文献1および2のいずれの方法によっても、天ぷらに華を咲かせることはできない。
特開平5−244920号公報 特開昭59−59181号公報
そこで、この発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、熟練しなくとも、適量の衣原料を天ぷら用素材に注加して、華を咲かせた天ぷらを製造することを可能にする衣原料注ぎ器、および、それを用いた天ぷらの製造方法を提供することにある。
この発明に係る衣原料注ぎ具は、天ぷらの衣原料を収容する衣原料収容部と、衣原料収容部に連通し、且つ、衣原料収容部に収容された天ぷらの衣原料を天ぷら用素材に注ぐための開口を有するノズルと、ノズルの開口を閉鎖する閉鎖位置と前記ノズルの開口を開放する開放位置との間で移動可能に配置された栓部材と、栓部材を閉鎖位置と開放位置との間で移動させる操作部とを備え、操作部により栓部材を開放位置に移動させることで衣原料収容部に収容された天ぷらの衣原料を自重により前記ノズルの開口から注ぐことを特徴とする。
また、ノズルの開口の内径が、1.5〜3.5mmであることが好ましい。
この発明の天ぷらの製造方法は、天ぷらの衣原料を上記に記載の衣原料注ぎ具の衣原料収容部に収容し、衣原料を付着させた天ぷら用素材を、所定の温度に加熱された油中に沈め、天ぷら用素材が油面に浮上する前に、天ぷら用素材の上方から、衣原料注ぎ具を用いて天ぷらの衣原料を注加することを特徴とする。
また、衣原料が油ちょうされてなる衣に実質上凹凸をつけることがない凹部が形成された載置面を有する天ぷら用補助部材を油中に配置し、衣原料を付着させた天ぷら用素材を、天ぷら用補助部材の載置面上に載置することが好ましい。
また、天ぷら用補助部材は、載置面から油面までの高さが、載置面上に載置される衣原料を付着させた天ぷら用素材の高さの1.0〜2.0倍となる位置に配置されることが好ましい。
本発明によれば、熟練しなくとも、適量の衣原料を天ぷら用素材に注加することができ、華を咲かせた天ぷらを容易に製造することができる。
この発明の実施形態1に係る衣原料注ぎ具の構成を示す断面図である。 実施形態1に係る衣原料注ぎ具の衣原料注出時の様子を示す断面図である。 実施形態1に係る衣原料注ぎ具を用いた天ぷら製造方法を説明するための図である。 実施形態2に係る衣原料注ぎ具の構成を示す断面図である。 実施形態3に係る天ぷら製造方法において用いられる天ぷら用補助板を示す平面図である。
以下に、添付の図面に示す好適な実施形態に基づいて、この発明を詳細に説明する。
実施形態1
図1に、この発明の実施形態1に係る衣原料注ぎ具1の構成を示す。
衣原料注ぎ具1は、ほぼ筒形状を有し且つその中心軸がほぼ鉛直方向に向けられた本体2を有している。本体2は、円筒部3とこの円筒部3の下端に連通する円錐部4からなり、円筒部3と円錐部4の内部に、天ぷらの衣原料を収容するための衣原料収容部5が形成されている。円錐部4は、下端に向かうほど径が小さくなる形状を有して、この円錐部4によりノズル6が構成されており、ノズル6の下端部に内径Dの開口7が形成されている。
本体2の円筒部3の内周面上に、本体2の中心軸方向に延びる固定部材8が固定されている。固定部材8の上端部は、円筒部3の上縁部から上方へ突出して支持部9を形成し、固定部材8の下端部は、円筒部3内でL字状に屈曲されてフランジ部10を形成している。円筒部3の上部には、レバー部材11が円筒部3の径方向を向くように配置され、レバー部材11の中央部がピン12を介して支持部9に回転可能に支持されている。レバー部材11の一端部は、本体2の外部に位置して、このレバー部材11を操作するための操作レバー13を形成している。一方、レバー部材11の他端部は、本体2の中心軸付近まで本体2の内方へ向かって延び、操作レバー13の操作に応じて鉛直方向に揺動する揺動部14を形成している。
このレバー部材11の揺動部14にロッド15の上端部が回転可能に連結され、ロッド15の下端部に円板形状の栓部材16が取り付けられている。レバー部材11の揺動部14の近傍と固定部材8のフランジ部10との間に引っ張りバネ17が配置され、これにより、レバー部材11の揺動部14が下方へ向けて付勢され、栓部材16がノズル6の下端部付近でノズル6の内周部に押圧された状態となっている。また、本体2の円筒部3の外周部には、操作レバー13の直下に位置するように、支持ハンドル18が固定されている。操作レバー13とロッド15と引っ張りバネ17により、この発明の操作部が構成されている。
通常時、栓部材16は、引っ張りバネ17の付勢力により、ノズル6の下端部付近でノズル6の内周部に押圧され、図1に示されるように、栓部材16の周端部がノズル3の内周面と接触してノズル6の開口7を閉鎖する閉鎖位置Aに位置している。このため、衣原料収容部5に天ぷらの衣原料(追いだね)を収容しても、衣原料は栓部材16によってせき止められ、ノズル6の開口7から注出されることがない。
このような状態から、例えば、調理者が、操作レバー13に指を掛けて、操作レバー13を下方へ押し下げると、レバー部材11は、支持部9のピン12を中心として、図1において時計回りに回転し、レバー部材11の揺動部14が上昇する。この揺動部14の上昇に伴って、揺動部14に連結されたロッド15が上昇し、さらに、ロッド15の下端部に取り付けられた栓部材16も上昇する。その結果、図2に示されるように、栓部材16の周端部がノズル3の内周面から離れて、栓部材16は、ノズル6の開口7を開放する開放位置Bへと移動する。このため、衣原料収容部5に天ぷらの衣原料Sが収容されていれば、衣原料Sは、図中の矢印方向に沿って、自重で、栓部材16の周端部とノズル3の内周面との間に形成された間隙を通り、ノズル6の開口7から注出されることとなる。
その後、調理者が、操作レバー13から指を放す、または、操作レバー13を押す力を弱めると、引っ張りバネ17の付勢力により、レバー部材11は、支持部9のピン12を中心として、図2において反時計回りに回転し、レバー部材11の揺動部14が下降する。この揺動部14の下降に伴って、ロッド15および栓部材16も下降し、栓部材16は、開放位置Bから閉鎖位置Aに戻され、衣原料Sの注出が停止される。
このように、操作レバー13に置かれた指の力加減で、栓部材16を自在に閉鎖位置Aと開放位置Bとの間で移動させることができ、容易に、衣原料注ぎ具1から天ぷらの衣原料Sを注出したり、注出を停止したりすることができる。
なお、開口7の内径Dは、1.5〜3.5mmであることが好ましい。このような大きさの内径Dであれば、天ぷらの衣原料Sがダマになりにくいので、適量の衣原料Sを、スムーズに、自重で、注出することができる。
衣原料注ぎ具1の材質は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、ステンレス及びプラスチック等を用いることができる。
実施形態1に係る衣原料注ぎ具1は、このように構成されているので、この衣原料注ぎ具1を用いれば、熟練しなくとも、簡単な作業(操作)で、適量の衣原料Sを、天ぷら用素材に注加することができ、華を咲かせた天ぷらを容易に製造することができる。
次に、衣原料注ぎ具1を用いた天ぷらの製造方法を説明する。
まず、図3に、天ぷらを製造する際に用いられるフライヤー20の構成を示す。フライヤー20は、油槽21と、油槽21の内部の油22を加熱する電熱ヒーター23と、電熱ヒーター23を保護する金網24と、天ぷら用補助板25と、天ぷら用補助板25を油槽21内の所定の位置に支持する天ぷら用補助板支持部材26とを備えている。
図3は、フライヤー20の構成を明瞭に示すために、フライヤー20の前面の壁部材を取り除いて表してある。図示しない前側部分には、油22の温度を調整する操作部が設けられている。図示例では、フライヤー20は、電熱ヒーター23による電気加熱方式のものであるが、ガス加熱方式やその他の加熱方式のものであってもよく、従来用いられている各種のフライヤーを利用することができる。
天ぷら用補助板25は、衣原料を付着させた天ぷら用素材27を載置するためのものであり、平滑な載置面を有している。
天ぷら用補助板25は、油ちょう温度の油22に浸漬されても変質や劣化を生じない素材であって、伝熱効率の良いものであればよい。例えば、ステンレス、タングステン等が好適である。
天ぷら用補助板25の全体の厚さは、本実施形態の効果に特に影響を与えない。したがって、天ぷら用補助板25は、板状のものには限定されず、任意形状の部材とすることができる。
天ぷら用補助板25は、天ぷら用素材27が載置される面から、油22の表面までの深さd(図3参照)が、天ぷら用補助板25に載置される天ぷら用素材27の高さ(最高部までの高さ)の1.0〜2.0倍となる位置に配置されるのが好ましい。1.0倍以上とするのは、天ぷら用素材27が完全に油22に潜る深さを確保するためであり、2.0倍以下とするのは、これよりも深いと、追いだねとして注加した衣原料の多くが天カスとなってしまうからである。
天ぷら用補助板25は、各種サイズのフライ鍋に対応する大きさや形状にすることができ、各種のフライ鍋等で用いることができる。例えば、家庭用のフライ鍋に用いることも可能である。
天ぷら用補助板支持部材26は、上記深さdの位置に天ぷら用補助板25を配置するためのもので、天ぷら用補助板25を載せる水平部分26aと、油槽21の上端に引っ掛かる水平部分26bと、水平部分26aおよび26bをつなぐ垂直腕部分26cとからなる。図3の例では、対象の形状を有する2つの天ぷら用補助板支持部材26,26が、油槽21の左右に取り付けられ、2つの支持部材26,26によって天ぷら用補助板25の両端が支持されている。
なお、天ぷら用補助板支持部材26は、天ぷら用補助板25を所定深さdに保持できるものであれば、他の形状であってもよい。また、一対の天ぷら用補助板支持部材26を水平部分26aで接続して一体的に形成したものであってもよい。
また、天ぷら用補助板支持部材26,26と天ぷら用補助板25とが一体的に構成されていてもよい。
油22は、通常の揚げ油である。また、天ぷら用素材27としては、海老、いか、魚、野菜等、各種の素材が用いられるが、華を咲かせる食材としては、海老を始めとする魚介類が一般的である。
天ぷらを製造する際には、フライヤー20の油槽21に油22を張り、油ちょう温度に加熱した後、衣原料を付着させた天ぷら用素材27を、天ぷら用補助板25の上面(載置面)に載せる。天ぷら用素材27は天ぷら用補助板25の上で油ちょうされ、衣原料から衣が形成されて、浮上し始める。
天ぷら用素材27が油面に浮上する前、好ましくは天ぷら用補助板25から離れて浮上し始める前に、天ぷら用素材27の上方から、衣原料注ぎ具1を用いて、天ぷらの衣原料Sを注加する。
注加の方法としては、例えば、天ぷら用素材として海老を用いた場合、海老の一端部から他端部まで、衣原料注ぎ具1を一往復させつつ衣原料Sを注加すればよい。
具体的にいえば、まず、調理者は、操作レバー13に親指を掛けて、支持ハンドル18を握り、衣原料注ぎ具1を海老(天ぷら用素材)27の尾部27aの上方に配置する。なお、このとき、栓部材16は閉鎖位置Aに位置しており、衣原料収容部5に収容されている衣原料Sは栓部材16によってせき止められているものとする。
そして、天ぷら用素材27が油面に浮上する前に、操作レバー13を親指で押し、レバー部材11を回転させて、栓部材16を閉鎖位置Aから開放位置Bへと移動する。これにより、衣原料収容部5に収容されている天ぷらの衣原料Sは、自重で、海老27へ注加される。
このように、調理者は、レバー部材13を押し続けながら、衣原料注ぎ具1を、海老の尾部27aの上方から他端部27bの上方まで移動させた後、再び、尾部27aの上方にまで戻して、天ぷらの衣原料(追いだね)Sを海老27に注加する。
このようにして、衣原料注ぎ具1を海老27の長さ方向に一往復動かして衣原料Sを海老27に注加したところで、調理者が、操作レバー13から指を放す、または、操作レバー13を押す力を弱めれば、引っ張りバネ17の付勢力により、レバー部材11が回転して、栓部材16は、開放位置Bから閉鎖位置Aに戻される。これにより、海老27への衣原料Sの注加が停止される。
注加された衣原料Sは、油22の中で天ぷら用素材27の全体にきれいに華を咲かせる。それとともに、天ぷら用素材27に付いた華の分の浮力が生じ、油面に浮上する。
天ぷら用素材27に火が通り、衣に色が付いた後、調理者が油22から取り上げれば完成である。
なお、天ぷら用素材27は、自然に油面に浮上すれば、調理者が取り上げ易い点で好ましいが、浮上しなくても品質上の問題はない。また、華が咲き浮上した後は、油面で不規則に移動しても不都合はない。
実施形態1に係る衣原料注ぎ具1を用いれば、熟練しなくとも、簡単な作業で、適量の衣原料Sを、天ぷら用素材に注加することができ、容易に華を咲かせた天ぷらを製造することができる。また、操作レバー13を操作するだけで、天ぷらの衣原料Sを手に付着することなく、天ぷらに華を咲かせることができるので、衛生的に天ぷらを製造することができる。
実施形態2
上記実施形態1に係る衣原料注ぎ具1は、円板形状の栓部材16が取り付けられているが、この発明は、その形状に限定されず、図4に示すような、ノズル6内の先端部に嵌入できる円錐形状を有する栓部材31であってもよい。
栓部材31の材質は、特に制限はなく、実施形態1の衣原料注ぎ具1と同様に、例えば、アルミニウム、ステンレス及びプラスチック等を用いることができる。
この実施形態2に係る衣原料注ぎ具30を用いれば、栓部材31が、その外周面によりノズル6の内面に対して大きな接触面積で接触することとなり、栓部材31を閉鎖位置から、開放位置へ移動させるとき、栓部材31とノズル6の内面との間に円錐面状の流路が形成され、この流路を通して衣原料収納部5に収納された衣原料を安定してノズル6の先端部へ送ることができる。このため、熟練しなくとも、適量の衣原料を、簡単な作業で、天ぷら用素材に注加することができ、華を咲かせた天ぷらを容易に製造することができる。
実施形態3
上記実施形態1に係る衣原料注ぎ具1を用いた天ぷら製造方法では、天ぷら用補助板として、平滑な搭載面を有するものを使用したが、図5に示すような、多数の凹部33を有する搭載面をもつ天ぷら用補助板32であってもよい。
天ぷら用補助板32の材質、厚さ、配置、大きさ及び形状は、天ぷら用素材27の搭載面に多数の凹部33を有することができれば、特に制限されない。好適な例として、実施形態1において示した天ぷら用補助板25の態様が挙げられる。
凹部33は、載置された天ぷら用素材の衣に凹凸を付けることがない程度の深さおよび大きさが好ましい。衣に凹凸が付くほどの深さおよび大きさとすると、天ぷら用補助板32の上で油ちょうされ形成された衣(固体化したもの)が凹部33に引っ掛かってしまうことがあるので好ましくないからである。凹部33を、天ぷら用補助板32を貫通する穴とした場合や、天ぷら用補助板として網を用いた場合も同様に、衣が引っ掛かってしまうことがある。
したがって、凹部33は、天ぷら用補助板32の幅および深さに対応して形成されるが、幅または直径12mm以下、深さ0.5mm〜1.6mmとするのが好ましく、幅または直径6mm〜11mm、深さ1.0mm〜1.2mmとするのが更に好ましい。
また、凹部33は、天ぷら用補助板32の幅に対応して形成されるが、6〜15mm間隔で形成されることが好ましく、また12〜13mm間隔で形成されることがより好ましく、図5で示されるように、縦方向および横方向によって、間隔を変えて形成されていてもよく、同一間隔で形成されていてもよい。
また、本発明者の研究によれば、凹部33の面積占有率(密度)が30%以上、逆に言えば、天ぷら用素材27に接する部分の面積率が70%以下となるように、凹部33を設けることが好ましい。天ぷら用素材27の浮上開始までに30秒以上の時間を確保することができるからである。ただし、凹部33の面積占有率が80%を超えると、天ぷら用素材27は、凹部33の底面に接触するようになるため、80%以下とするのが好ましい。
凹部33の形状には特に制限はなく、円形、楕円形、四角形や六角形やその他の多角形などとすることができる。また、凹部33を、縦方向または横方向の筋目状に形成してもよい。
載置面にこのような凹部33を設けた天ぷら用補助板32は、載置面が平滑である補助板に比して、載置された天ぷら用素材27が油面に浮上するまでの時間を長くする効果を有する。
すなわち、天ぷら用補助板の載置面が平滑である場合、衣原料付きの天ぷら用素材27は、天ぷら用補助板25に載せられると間もなく浮上し始め、油面に浮かぶようになる。図3に示されるように、油面に浮かんだ天ぷら用素材27は、油面の揺れによって油層21内を不規則に移動する。天ぷら用素材27に華を咲かせるためには、天ぷら用素材27に衣原料Sを素早く注加することが必要であるが、油面に浮かんだ、しかも不規則に移動する天ぷら用素材27に、形良く衣原料Sを付けることは、熟練していない人には難しい。上手くいかないと、天ぷら用素材27に偏って付着してしまったり、付着せずに天カスとなってしまったりする。
しかし、凹部33を設けた天ぷら用補助板32を用いた場合は、衣原料付きの天ぷら用素材27は、天ぷら用補助板32に載せられた後、30〜60秒程度経過した後に浮上し始める。そのため、天ぷら用素材27が油面に浮かぶ前に、衣原料Sを注加することができる。通常、油22を掻き回さなければ、天ぷら用素材27は、油面に浮上するまでは油22内を大きく移動することはない。また、油中で衣原料Sをつける方が、注加した衣原料を天ぷら用素材27の全体に均一に付着させやすく、きれいな華を咲かせやすい。そのため、このような効果を有する凹部33を設けた天ぷら用補助板32を用いるとともに、容易な作業で天ぷらに華を咲かせることができる衣原料注ぎ具1を用いれば、天ぷら用素材27が油面に浮かぶ前に天ぷら用素材27に形良く衣原料Sを付けて華を咲かせることは、油面に浮かんだ後に比べて格段に容易である。
また、販売用の天ぷらを連続的に製造する場合、一度に複数の天ぷら用素材27を油22に入れて調理するのが効率的である。しかし、天ぷら用補助板の載置面が平滑である場合、油22に入れた複数の天ぷら用素材27がすぐに浮かび上がってしまうため、全ての天ぷら用素材27に同様にきれいな華を咲かせるのは、熟練しなければ困難である。
これに対し、実施形態3に係る天ぷらの製造方法の場合には、油22に入れられ天ぷら用補助板32に載置された天ぷら用素材27が油面に浮上するまでの時間が長く、さらに、容易な作業で天ぷらに華を咲かせることができる衣原料注ぎ具1を用いるので、天ぷら用素材27が油面に浮上するまでに油22の中の複数の天ぷら用素材27の全てに、適量の衣原料Sを形良く均等に付けることができ、熟練者でなくとも、容易に、全ての天ぷらに同様にきれいな華を咲かせることができる。
平滑面を有するステンレス製の厚さ2mmの板を、天ぷら用補助板とした。この天ぷら用補助板を、油層の油面から30mmの位置に固定し、油の温度を170℃にして海老の天ぷらを作製したところ、天ぷら用補助板に載置した場合に、その高さが16mmである衣原料付きの海老が浮上し始めるまで(天ぷら用補助板を離れるまで)の時間は、この海老を天ぷら用補助板に載せてから20秒であった。
次に、同様にして海老の天ぷらを作製し、今度は、実施形態1に係る衣原料注ぎ具1を用いて、この天ぷらに華を咲かせることを試みた。衣原料注ぎ具1は、そのノズル6の開口7の内径Dが、3.5mmであるものを使用した。衣原料付きの海老を天ぷら用補助板に載せてからこの海老が浮上し始めるまでの20秒の時間内に、海老の上方から、海老の一端部から他端部まで、衣原料注ぎ具1を一往復させつつ、適量の衣原料を注加して、形良くきれいな華を咲かせることが出来た。また、追加の衣原料が海老に偏って付着したり、海老に付着せずに天カスとなったものも少なかった。
ステンレス製の厚さ2.0mmの板の片面に、長軸11mm、短軸8mm、深さ1.0mmの楕円形の凹部を、縦に14mm間隔、横に6mm間隔でエンボス加工により形成して、天ぷら用補助板を得た。このとき、凹部の面積占有率は50%であった。
この天ぷら用補助板を油層の油面から30mmの位置に固定し、油の温度を170℃にして海老の天ぷらを作製したところ、天ぷら用補助板に載置した場合に、その高さが16mmである衣原料付きの海老が浮上し始めるまで(天ぷら用補助板を離れるまで)の時間は、この海老を天ぷら用補助板に載せてから60秒であった。
次に、同様にして海老の天ぷらを作製し、今度は、実施形態1に係る衣原料注ぎ具1を用いて、この天ぷらに華を咲かせること(実施形態3に係る天ぷらの製造方法)を試みた。衣原料注ぎ具1は、そのノズルの開口の内径が、3.5mmであるものを使用した。衣原料付きの海老を天ぷら用補助板に載せてからこの海老が浮上し始めるまでの60秒の時間内に、海老の上方から、海老の一端部から他端部まで、衣原料注ぎ具1を一往復させつつ、適量の衣原料を注加して、形良くきれいな華を咲かせることが出来た。また、追加の衣原料が海老に偏って付着したり、海老に付着せずに天カスとなったものも少なかった。また、作業時間に余裕をもって、天ぷらに華を咲かせることができた。
比較例
平滑面を有するステンレス製の厚さ2mmの板を、天ぷら用補助板とした。この天ぷら用補助板を、油層の油面から30mmの位置に固定し、油の温度を170℃にして海老の天ぷらを作製したところ、天ぷら用補助板に載置した場合に、その高さが16mmである衣原料付きの海老が浮上し始めるまで(天ぷら用補助板を離れるまで)の時間は、この海老を天ぷら用補助板に載せてから20秒であった。
次に、同様にして海老の天ぷらを作製し、今度は、手に、衣原料を付着させ、指先から、衣原料を糸のように垂らして、この天ぷらに華を咲かせることを試みた。その結果、衣原料付きの海老を天ぷら用補助板に載せてからこの海老が浮上し始めるまでの20秒の時間内では、海老全体に衣原料を注加することができず、また、さらに、油面に浮上してから衣原料を注加することとなったため、追加の衣原料は海老に偏って付着し、また、海老に付着せずに天カスとなったものも多かった。
1,30 衣原料注ぎ具、2 本体、3 円筒部、4 円錐部、5 衣原料収容部、6 ノズル、7 開口、8 固定部材、9 支持部、10 フランジ部、11 レバー部材、12 ピン、13 操作レバー、14 揺動部、15 ロッド、16,31 栓部材、17 引っ張りバネ、18 支持ハンドル、20 フライヤー、21 油槽、22 油、23 電熱ヒーター、24 金網、25,32 天ぷら用補助板、26 天ぷら用補助板支持部材、27 天ぷら用素材(海老)、33 凹部、A 閉鎖位置、B 開放位置、D 内径、S 天ぷら用衣原料、d 載置面から油面までの深さ。

Claims (5)

  1. 天ぷらの衣原料を収容する衣原料収容部と、
    前記衣原料収容部に連通し、且つ、前記衣原料収容部に収容された前記天ぷらの衣原料を天ぷら用素材に注ぐための開口を有するノズルと、
    前記ノズルの開口を閉鎖する閉鎖位置と前記ノズルの開口を開放する開放位置との間で移動可能に配置された栓部材と、
    前記栓部材を前記閉鎖位置と前記開放位置との間で移動させる操作部と
    を備え、前記操作部により前記栓部材を前記開放位置に移動させることで前記衣原料収容部に収容された前記天ぷらの衣原料を自重により前記ノズルの開口から注ぐことを特徴とする衣原料注ぎ具。
  2. 前記ノズルの開口の内径が、1.5〜3.5mmである請求項1に記載の衣原料注ぎ具。
  3. 天ぷらの衣原料を請求項1または2に記載の衣原料注ぎ具の前記衣原料収容部に収容し、
    衣原料を付着させた天ぷら用素材を、所定の温度に加熱された油中に沈め、
    前記天ぷら用素材が油面に浮上する前に、前記天ぷら用素材の上方から、前記衣原料注ぎ具を用いて前記天ぷらの衣原料を注加することを特徴とする天ぷらの製造方法。
  4. 前記衣原料が油ちょうされてなる衣に実質上凹凸をつけることがない凹部が形成された載置面を有する天ぷら用補助部材を油中に配置し、
    前記衣原料を付着させた天ぷら用素材を、前記天ぷら用補助部材の載置面上に載置することを特徴とする請求項3に記載の天ぷらの製造方法。
  5. 前記天ぷら用補助部材は、前記載置面から前記油面までの高さが、前記載置面上に載置される前記衣原料を付着させた天ぷら用素材の高さの1.0〜2.0倍となる位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載の天ぷらの製造方法。
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