JP2012037310A - 半導体集積回路の故障解析装置及び故障解析方法 - Google Patents

半導体集積回路の故障解析装置及び故障解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】故障箇所の絞り込みが困難である高抵抗故障を比較的容易に特定することができる半導体集積回路の故障解析装置及び故障解析方法を提供する。
【解決手段】解析対象とする半導体集積回路801の特定の素子に対してレーザーを照射して特定の素子を加熱するレーザー照射装置102と、レーザーの照射と同期して半導体集積回路の入力端子にテストパターンを印加するテストパターンジェネレータ101と、テストパターンジェネレータが半導体集積回路の入力端子に印加するテストパターンに同期して半導体集積回路に過渡的に流れる電源電流を検出する過渡電源電流検出装置103と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体集積回路の故障解析装置及び故障解析方法に関する。特に、高抵抗故障などの遅延故障の原因となる箇所を特定する故障解析装置及び故障解析方法に関する。
半導体集積回路の回路規模が大きくなるにつれてその故障解析も困難になって来ている。特に本来低抵抗で接続されているべき配線ネットの一部が高抵抗になっている高抵抗故障などの遅延故障は、発見が困難である。高抵抗故障は、配線の一部が断線しているにもかかわらず、通常の動作時には、その断線箇所の寄生容量によりあたかも断線がないように動作してしまい、特定の使用条件化のみで機能不良となる場合もある。
遅延故障を含む半導体集積回路の故障解析には、一般に、(1)テスタ調査段階、(2)テスタリンク解析段階、(3)外観観察段階、(4)原因分析段階の4段階の解析段階を経て故障箇所を絞り込み、故障原因を解明する。
(1)テスタ調査段階の調査は、LSIテスタによる調査結果を元にして故障モードと故障箇所を絞り込む。(2)テスタリンク解析段階は、(1)のテスタ調査段階で絞り込んだ故障をさらに故障解析装置を用いて故障箇所を絞り込む。(3)の外観観察段階は、破壊解析を実施して、故障箇所の外観観察を実施する。さらに、(4)原因分析段階によって、断面観察、元素分析を実施して、故障原因を特定する。
(1)テスタ調査段階でLSIテスタでの調査によって絞り込める故障モードとは、テスタ調査結果の特徴から、配線短絡故障、配線高抵抗による遅延故障、ゲート絶縁膜破壊故障などに分類できる故障の種類のことである。故障モードによって、故障箇所の絞り込みに適用する解析装置および解析方法は決まる。また、LSIテスタでの調査によって絞り込める故障箇所とは、テスタ調査結果を故障診断用ソフトウェアで処理して、配線やトランジスタをレイアウト座標上で推定した故障箇所のことである。
(3)外観観察段階以降では、故障のモードと故障箇所の絞込みの推定にしたがって作業を進めるので、想定した作業時間以内に完了する。また、(3)の外観観測段階まで進むと故障箇所が下層に存在する場合には、上層配線等を除去して外観観測を行うので、(1)のテスタ調査段階や(2)のテストリンク解析段階に戻ることができない。(2)のテストリンク解析段階で故障箇所が絞り込めていないまま、(3)の外観観測段階に進むと、結局そのサンプルの原因が解明できず、そのサンプル不良原因については迷宮入りとなる可能性もある。したがって、(1)テスタ調査段階と(2)テスタリンク解析段階で、できるだけ正確に故障モードと故障箇所の絞込みを行うことが故障解析の技術上重要である。
また、(1)テスタ調査段階で故障モードと故障箇所の推定ができない場合には、(1)テスタ調査段階で故障モードと故障箇所の絞込みができている故障品の解析と比較して、解析に要する時間が長大化する場合がある。(2)テスタリンク解析段階でどの故障解析装置を用いて故障箇所を絞り込むべきかが判定できない場合には、故障モードと故障解析装置が合致するまで解析装置を変更するか、または故障モードに不適切な故障解析装置での解析を強行するために、余分な解析時間を要するからである。したがって、(1)テスタ調査段階での正確な故障モードの推定と、高精度な故障箇所絞り込みの有無が解析時間の短縮に大きく影響する。(1)テスタ調査段階で故障モードを特定する手法として、IDDQ(静的電源電流、quiescent power supply current)測定とshmooプロット計測を用いることが知られている。
はじめにIDDQ測定について説明する。IDDQ測定は電源電流から故障を検出する手法である。IDDQ測定による故障検出の原理を以下で説明する。ごく微弱なリーク電流を除き、CMOS半導体集積回路では定常状態では電源電流が流れない。したがって故障を検出したテストパターンの各アドレスでの静止状態で電源線に流れる異常電流を観測することによって、回路内部のショート故障の有無を検出できる。IDDQ測定結果と診断ソフトウェアを組み合わせて故障候補箇所を絞り込む解析方法は既に確立されており、その解析手法を用いることによって解析に要する時間を短縮できる。
次にshmooプロット計測について説明する。shmooプロットとは、電源電圧と動作周波数といった相関のあるパラメータを2軸とし、対象となる半導体集積回路の動作の検証した結果を正常と異常をプロットしたグラフである。ロジック回路の故障モードを推定する場合には、ロジック回路に印加する電源電圧とそのテスト動作速度を規定するクロック周期を2軸パラメータと設定したテスト条件でのパス/フェイルの計測結果をプロットする。信号配線内に高抵抗箇所があるために生じる遅延故障サンプルでは、正常サンプルと比較して低電圧かつ高速動作テスト条件でパスする領域が減少することから、配線内に高抵抗箇所がある故障と判明する。配線の高抵抗箇所を絞り込める故障診断ソフトウェアは無い。shmooプロット計測によって故障モードが判明した場合は、テスタリンク解析段階に進み、配線の高抵抗故障箇所の絞込みに適した故障解析装置と方法で故障箇所を絞り込む。
図8は、従来の高抵抗故障箇所を絞り込むテストリンク故障解析装置の構成を示すブロック図である。この故障解析装置700は、被試験半導体集積回路801の入力端子に2つ以上のテストパターン列(2アドレス以上のテストパターン)を入力するLSIテスタ701と、半導体集積回路801の故障候補箇所が存在する領域にレーザーを照射して反射パターン像を取得する機能とレーザー照射によって局所加熱を実現する機能とを有する走査型レーザー顕微鏡702と、パターン像とPASS/FAIL切り替わりマップの重ねあわせを実現する画像処理装置704と、重ねあわせ画像を表示して高抵抗箇所を示すディスプレイ705からなる。上記LSIテスタ701は、通常のLSIテスタとして保有する機能以外に、上記テストパターン系列を入力したときに被試験半導体集積回路801の外部出力に到達した信号からテスト結果を判定し、上記半導体集積回路801が異常を示すか否かを決定するPASS/FAILを判定して画像処理装置704に転送する機能を備えている。
次に故障解析装置700の動作について説明する。はじめに故障解析装置700で半導体集積回路801をテストするマージナルなテスト条件について定義する。配線内に高抵抗が存在する故障した半導体集積回路においては、測定温度のみを上昇させた測定条件でshmooプロットを計測すると、PASS/FAIL領域が変化する。配線の高抵抗故障の温度特性によって、室温ではPASSしていたテスト条件でも高温で測定するとFAILしたり、逆に室温ではFAILしていたテスト条件でも高温で測定するとPASSしたりする。このようなテスト条件をマージナルなテスト条件と定義する。LSIテスタ701は、故障半導体集積回路801をマージナルなテスト条件で駆動する。その際、走査型レーザー顕微鏡702は、一回のテスト毎に各走査ポイントでのPASS/FAIL信号を取得できるように、LSIテスタのテストと同期してレーザー照射領域を走査させる。動作速度に対してマージナルな特性を示す故障品では、走査ポイント毎に各テストパターンのPASS/FAIL結果をマッピングすると、高抵抗故障箇所を含む領域にレーザーが照射された場合にのみ、PASSからFAILへ、あるいはFAILからPASSへ切り替わる。レーザー反射パターン像と各走査領域でのPASS/FAIL信号のマップを画像処理装置704で重ね合わせてディスプレイ705に画像を表示させて高抵抗故障箇所を絞り込む。
また、(1)テスタ調査段階で、半導体集積回路の内部回路がテストパターンに同期して動作したときに流れる電源電流である過渡電源電流IDDT(transient power supply current)と故障シミュレーションとを用いて評価する故障解析方法、故障解析装置が特許文献1に記載されている。図9は、特許文献1に記載の従来の故障解析装置の構成を示すブロック図である。
この故障解析装置900は、被試験半導体集積回路DUTの入力端子に2つ以上のテストパターンからなるテストパターン系列を入力するテストパターン系列入力手段901と、上記テストパターン系列を入力したときに発生する被試験半導体集積回路DUTの過渡電源電流を測定し、上記過渡電源電流が異常を示すか否かを決定する過渡電源電流試験手段902と、上記被試験半導体集積回路DUTの過渡電源電流が異常を示す複数のテストパターン系列を格納しておく異常パターン系列記憶手段903と、上記被試験半導体集積回路DUTの過渡電源電流が異常を示さない複数のテストパターン系列を格納しておく正常パターン系列記憶手段904と、上記異常パターン系列記憶手段903および上記正常パターン系列記憶手段904に格納された各テストパターン系列に対し故障シミュレーションを行ない、上記テストパターン系列とそのテストパターン系列にて検出される故障推定箇所のリストを作成する故障箇所リスト生成手段905と、上記故障箇所リスト生成手段905から得られた1以上の故障推定箇所リストをもとに上記被試験半導体集積回路DUT内部の故障箇所を推定する故障箇所推定手段906と、によって構成されている。
この装置では、IDDT異常パターン系列と正常パターン系列の比較結果を故障シミュレーションに適用して故障候補を抽出し、更にその故障候補を絞り込むためにパターンを作成してテストし、そのパターンでのIDDT異常パターン系列と正常パターン系列の比較結果を故障シミュレーションに適用して故障候補を更に絞り込むよう動作する。
特開2006−337377号公報
以下の分析は本発明により与えられる。図8を用いて説明した第1の従来の技術である
故障解析装置700では、マージナルなテスト条件での故障状態と正常状態の再現が困難なため、故障解析が実施できない場合がある。具体的には、故障解析を実施する際のテスタリンクでは、LSIテスタ701とDUTボード上の半導体集積回路801との間を信号ケーブルで接続している。その信号ケーブルによって生じる伝播の遅延が原因となり、微小な高抵抗故障品の解析に必要なクロック信号の高速印加が実現できなくなる。そのために故障状態の再現が不可能になる場合がある。また、故障解析装置700では、テスト結果を半導体集積回路の外部端子まで出力しなければ、テスト結果を判定することができない。単に全体の機能のPASS/FAILを判定するだけでなく、故障箇所を絞り込まなければならないため、特にテスト結果について順序回路を介して出力する場合には、テストパターンも膨大な長さになり、テスト時間も長くなる。
一方、特許文献1に記載の過渡電源電流を試験する場合には、テスト結果を外部端子まで出力しなくとも電源電流により故障が存在するか否かが推定できる利点がある。しかし、故障箇所を絞り込むには、半導体集積回路内部のそれぞれ一部の回路が動作し、他の回路が動作しない組み合わせの多数のテストパターン系列を用いて、それぞれ過渡電流が異常であるか正常であるかを試験し、その多数のテストパターン系列を用いてテストした結果と、故障シミュレーションの結果により、故障箇所を絞り込まなければならない。また、複数のインバータが直列に接続されている回路など常に同時に変化するゲートや配線では、どのようなテストパターンを作成しても、故障箇所をそれ以上絞り込むことはできない。
本発明の第1の側面による半導体集積回路の故障解析装置は、解析対象とする半導体集積回路の特定の素子に対してレーザーを照射して前記特定の素子を加熱するレーザー照射装置と、前記レーザーの照射と同期して前記半導体集積回路の入力端子にテストパターンを印加するテストパターンジェネレータと、前記テストパターンジェネレータが前記半導体集積回路の入力端子に印加するテストパターンに同期して前記半導体集積回路に過渡的に流れる電源電流を検出する過渡電源電流検出装置と、を備える。
本発明の第2の側面による半導体集積回路の故障解析方法は、半導体集積回路の入力端子からテストパターンを印加してテストパターンに同期して前記半導体集積回路の電源に過渡的に流れる過渡電源電流を測定し、前記半導体集積回路内の素子であって、前記テストパターンを印加したときに状態の変化する特定の素子に対して局所的に加熱し、前記特定の素子を加熱した状態でテストパターンを印加したときの前記過渡電源電流プロファイルと、前記特定の素子を加熱しない状態で前記テストパターンを印加したときの前記過渡電源電流プロファイルと、から、前記特定の素子に故障が存在するか否かを推定する。
本発明によれば、半導体集積回路に含まれる素子のうち、特定の素子を加熱した状態で過渡電源電流を測定することにより、当該特定の素子に故障があるか否かを推定することができる。特に当該特定の素子に故障がある場合には、特定の素子を加熱するか否かによって、過渡電源電流プロファイルが変化することから特定の素子に故障があることが推認できる。
本発明の実施例1による半導体集積回路の特定の素子を加熱して過渡電源電流(IDDT)を検出する故障解析装置の構成を示すブロック図である。 実施例1による特定の素子に対する加熱の有無による過渡電源電流(IDDT)の変化を検出する半導体集積回路の故障解析方法の処理手順を示す処理フローチャートである。 実施例2による過渡電源電流(IDDT)を検出して半導体集積回路の高抵抗故障ネットを絞り込む過渡電源電流検出故障診断装置の構成を示すブロック図である。 実施例2による過渡電源電流(IDDT)を検出して半導体集積回路の高抵抗故障ネットを絞り込む故障診断方法の処理手順を示す処理フローチャートである。 (a)正常なインバータと、(b)微小遅延の発生したインバータと、(c)遅延故障が発生したインバータと、による出力信号波形の鈍りと過渡電源電流波形を示す。 (a)は、各ネットに高抵抗故障が存在すると仮定した場合に期待される過渡電源電流のパス/フェイル判定パターンを示す図である。(b)高抵抗故障を含む半導体集積回路の過渡電源電流を測定した場合のパス/フェイル判定パターンを示す図である。 実施例3による特定素子に対する加熱過渡電源電流解析の処理の流れと、各工程で必要なデータ及び装置とを示す処理フローチャートである。 従来の高抵抗故障箇所を絞り込むテストリンク故障解析装置の構成を示すブロック図である。 特許文献1に記載の従来の故障解析装置の構成を示すブロック図である。 (a)故障解析の対象とする回路の一例を示す回路図と、(b)そのテストパターンの一例を示す図である。
本発明の実施例について詳細に説明する前に、実施形態の概要について説明しておく。なお、概要の説明において引用する図面及び図面の符号は実施形態の一例として示すものであり、それにより本発明による実施形態のバリエーションを制限するものではない。
一例として図1に示すように、本発明の一実施形態の半導体集積回路の故障解析装置100は、解析対象とする半導体集積回路801の特定の素子に対してレーザーを照射して特定の素子を加熱するレーザー照射装置102と、レーザーの照射と同期して半導体集積回路801の入力端子にテストパターンを印加するテストパターンジェネレータ(LSIテスタ101の機能の一部)と、テストパターンジェネレータが半導体集積回路801の入力端子に印加するテストパターンに同期して前記半導体集積回路に過渡的に流れる電源電流を検出する過渡電源電流検出装置103と、を備える。たとえば、図10(a)のNANDゲートD1の出力ノードから出力端子Cまでは常に同時に動作するので、パスPCのどの素子(コンタクト、配線等)に故障があるのか過渡電源電流からでは、絞り込むことができない。上記故障解析装置100によれば、パスPC上の任意の素子(配線、コンタクト、ゲート等)を加熱しながら過渡電源電流を検出することにより、パスPCのうち、どの部分に高抵抗箇所があるのか推定することができる。
また、本発明の一実施形態の半導体集積回路の故障解析方法では、半導体集積回路801の入力端子からテストパターンを印加してテストパターンに同期して半導体集積回路の電源に過渡的に流れる過渡電源電流を測定し、半導体集積回路内の素子であって、テストパターンを印加したときに状態の変化する特定の素子に対して局所的に加熱し、特定の素子を加熱した状態でテストパターンを印加したときの過渡電源電流プロファイルと、特定の素子を加熱しない状態で前記テストパターンを印加したときの過渡電源電流プロファイルと、から、特定の素子に故障が存在するか否かを推定する。図5に示すように、特定の素子を加熱することにより、特定の素子に故障が存在する場合の電流波形は、図5(a)から(b)、さらに(c)へと変化したり、図5(c)から(b)、さらに(a)へと変化することが考えられる。図8を用いて説明した第1の従来技術のように出力端子から出力されるデータにより遅延故障の有無を判断する場合には、図5(b)の微小遅延故障を故障として検出することは困難であり、図5(c)の遅延故障にまで至らないと故障の判定が出来ない場合が多かった。この実施形態では、加熱により図5(a)と図5(b)の間で状態が遷移するだけでも微小遅延故障を故障として検出することが可能である。
以下、本発明について実施例に基づいて、さらに詳しく説明する。
図1は、実施例1による半導体集積回路の特定の素子を加熱して過渡電源電流(IDDT)を検出する故障解析装置の構成を示すブロック図である。図1の故障解析装置100は、解析対象とする半導体集積回路801に対して、電源を供給し、半導体集積回路801の入力端子に入力テストパターンを与え、半導体集積回路801の出力端子から出力される出力信号をモニタするLSIテスタ101を備えている。また、LSIテスタ101は、半導体集積回路801が静止状態のときの電流を検出する静止電源電流(IDDQ)モニタ機能を備えている。
なお、図1に示すLSIテスタ101は、最低限、半導体集積回路801の入力端子に入力テストパターンを与えることができるテストパターンジェネレータ101の機能を備えていればよい。半導体集積回路801に電源を供給する機能、半導体集積回路801の出力端子から出力される出力信号をモニタする機能、静止電源電流(IDDQ)モニタ機能は、必須ではないが、そのような機能を備えていれば、故障解析を容易にすることができる。
走査型レーザー顕微鏡102は、半導体集積回路801の半導体素子形成面を走査し、半導体集積回路801のパターン像を取得すると共に、パターン像を取得する走査範囲内の故障候補となる半導体集積回路801の特定の素子に対してレーザーを照射し、特定の素子以外の半導体集積回路801の素子をできるだけ加熱しないように特定の素子だけを局所的に加熱する機能を備えている。なお、図1に示す走査型レーザー顕微鏡102は、好ましいレーザー照射装置の一例であり、解析対象とする半導体集積回路の特定の素子に対してレーザーを照射して特定の素子を加熱する機能を備えていれば、走査型レーザー顕微鏡以外のレーザー照射装置102を用いてもよい。
過渡電源電流検出装置103は、LSIテスタ101が半導体集積回路801に供給する電源電流のテストパターンに同期した過渡電源電流IDDTのプロファイルを検出する機能を備えている。図5に示すように、インバータが動作する入力テストパターン(図5(a)〜(c)に示すインバータ入力信号電圧の立ち上がり、または立下り)をLSIテスタが半導体集積回路801に与えたとき、テストパターンに同期して流れる過渡電源電流のプロファイルを検出する。過渡電源電流のプロファイルは、図5(a)の正常なインバータの場合は、入力信号電圧の変化に同期して出力信号電圧は短い期間に立ち上がり、立ち下がりを行うので、電源電流も短い時間に過渡電流が流れるだけである。図5(b)の微小遅延が発生したインバータでは、インバータの出力インピーダンスはやや高くなっているので、出力信号電圧は図5(a)の正常なインバータより鈍る。したがって、電源電流は入力信号電圧が立ち上がった、立ち下がった後もやや長い時間過渡電流が流れ続ける。さらに、図5(c)の遅延故障が発生したインバータの場合には、出力信号電圧はさらに鈍り、過渡電源電流もより長い期間流れる。この図5(c)の段階になると高速動作の試験において、機能的にも正常動作をしなくなる。
過渡電源電流検出装置103は、過渡電源電流のプロファイルを検出し、電源電流が図5(a)〜(c)のどの状態であるか検出する。なお、過渡電源電流検出装置103の過渡電源電流の基準としては、たとえば、入力信号電圧が立ち上がって(立ち下がって)から一定時間後の電源電流の値によって判定してもよい。さらに、過渡電源電流検出装置103は、過渡電源電流モニタ信号の検出結果について、マップ像データとして出力する。なお、過渡電源電流検出装置103のグランドは、半導体集積回路801のグランド、lSIテスタのグランドと共通に接続されている。
画像処理装置104は、パターン像データにマップ像データを重ね合わせて表示するように表示データを「高抵抗箇所を表示するディスプレイ105」へ出力する。画像処理装置104により、マップ像データに含まれる高抵抗箇所は、パターン像データに含まれる半導体集積回路のパターンデータと重ね合わせられる。「高抵抗箇所を表示するディスプレイ105」はこの表示データを受けて、半導体集積回路のパターン像の中に過渡電源電流検出装置103が検出した高抵抗箇所を重ねて表示する。解析者は、このディスプレイを観測することにより、半導体集積回路に含まれる故障箇所として推定された箇所を認識することができる。
なお、上述したように、LSIテスタ101は、単にテストパターンを半導体集積回路の入力端子に与えるだけでなく、半導体集積回路801に電源を供給し、IDDQをモニタし、半導体集積回路801の出力端子から出力される出力信号をモニタする機能を有することが望ましいが、上記機能は必須ではなく、最低限半導体集積回路の入力端子にテストパターンを印加するテストパターンジェネレータの機能を備えていればよい。
次に、実施例1の故障解析装置100の動作について、故障解析の処理フローチャートである図2と、半導体集積回路の波形図である図5に基づいて説明する。
まず始めに、故障候補箇所のレイアウト位置からレーザーを走査するエリアを決定してレーザー反射パターン像を取得する(ステップS11)。次に、走査エリア内の一箇所にレーザーを照射して特定のパターンアドレスでの過渡電源電流(IDDTデータ)を測定する(ステップS12)。次に異常IDDTのピークを示す時間が加熱しない場合と加熱した場合で変化しているかどうかを判定する(ステップS13)。次にレーザー走査範囲内に故障候補箇所の中で未照射箇所があるか判断する(ステップS14)。ステップS14で未照射箇所がある場合は、先のレーザー照射箇所に近接する未照射箇所にレーザー照射位置を変更し(ステップS15)、ステップS12に戻ってレーザーの照射とIDDTデータの取得を実行する。
ステップS14でレーザー走査範囲内の故障候補経路について未照射箇所がない場合は、ステップS16へと進む。ステップS16では、走査エリア内の測定した全てのIDDT測定データについて、加熱によって異常IDDTのピーク時間のシフトがあったか否か、過渡電源電流のプロファイルに変化があったか否かを確認する。ステップS16で異常IDDTのピーク時間にシフトがあった場合は、故障箇所絞込みに成功したと判断し(ステップS17)、異常IDDTのピークのシフトの有無のマップと反射レーザーパターン像を重ね合わせて故障箇所を絞り込む(ステップS18)。ステップS16で異常IDDTのピークのシフトがない場合は、レーザー照射を実施していない領域に故障候補経路があるかどうかを確認する(ステップS19)。ステップS19で故障候補経路がある場合は、その故障候補がある領域でステップS11に戻ってレーザーの照射による加熱とIDDTデータの取得を実行する。ステップS19で他に故障候補経路がない場合は、故障箇所絞込みに失敗したと判断し(ステップS20)、同一テスト条件での故障解析を終了する。
ここでS13の異常IDDTのピークのシフトの判定方法について、インバータ回路内に高抵抗故障があった場合に、レーザー照射によって異常IDDTのピークを示す時間が変化することを模式的に示した図5を用いて詳細に説明する。図5は、(a)正常なインバータ、(b)微小遅延故障が発生したインバータ、(c)遅延故障が発生したインバータ、それぞれについて、インバータの入力信号電圧、出力信号電圧、電源電流の波形を示す模式図である。
図5(a)の正常なインバータでは、入力信号電圧の変化に即応して出力信号電圧が変化し、出力論理が切り替わる際に過渡的に大きな電源電流が流れる時間も非常に短い。図5(b)に示す微小遅延が発生したインバータでは、入力信号電圧の変化に遅れて出力信号電圧が変化し、出力論理が切り替わる際に過渡的に大きな電源電流が流れる時間も長くなる。この微小遅延が発生したインバータで、測定温度を上げて特性を測ると、高抵抗箇所の温度特性によって、図5(b)に模式的に示した特性が、図5(a)の正常なインバータの特性にシフトしたり、図5(c)のさらに高抵抗故障が存在するインバータの特性にシフトしたりする。
上記の温度変化をレーザー照射によって局所化して、インバータに過渡的に流れる電源電流の時間の長さの変化、またはピークを示す時間の中央値のずれをマッピングするとインバータ内の高抵抗故障箇所が絞り込める。
実施例1により、第1の従来技術として説明した故障解析装置700(図8)の問題点である、マージナルなテスト条件での故障状態と正常状態の再現が困難なため故障解析が実施できないこと、が解決される理由について図5を用いて具体的に説明する。
第1の従来技術のPASS/FAILマップとパタン像を重ね合わせて高抵抗故障箇所を絞り込む故障解析では、遅延がその経路のPASS/FAILを判定する素子にまで到達する必要がある。そのため図5(b)のような微小な遅延の場合には、PASS/FAILを厳密に判定するために半導体集積回路を駆動するクロックを高速で動作させる必要がある。故障解析を実施するためには、LSIテスタと被疑半導体集積回路を接続したDUTをケーブルで接続する必要があり、そのためクロック動作の上限値が20MHz程度に制約されてしまい、それ以上高速動作領域でFAILする故障品の解析は実施できない問題がある。また、図5(b)の微小遅延の場合は、特定の条件でのみFAILと、それ以外の条件ではPASSと判定される場合もあるが、PASSと判定される限り、故障は検出できない。すなわち、第1の従来技術では、機能として正常に動作している限り、図5(a)の正常なインバータと図5(b)の微小遅延が発生したインバータとの区別をつけることができない。
実施例1では高抵抗故障箇所の検出に、過渡的に電源電流が流れる期間の変化、あるいは過渡的に電源電流が流れる時間の中央値のずれを用いる。そのため高速動作領域など特定の条件でのみFAILする故障品でもクロック動作速度を上げるなど、FAILする条件を忠実に再現できなくても絞込みが可能である。
また、過渡電源電流(IDDT)をモニタすることにより微小遅延や遅延故障を検出できるので、テスト結果を出力端子まで出力するテストパターンを作成する必要がないのでテストパターンが比較的容易に作成でき、テストパターンの長さも短くすることができる。すなわち、実施例1では、高抵抗故障箇所の検出に、過渡的に電源電流が流れる期間の変化、あるいは過渡的に電源電流が流れる時間の中央値のずれを用いる。そのため一回ごとの測定は異常IDDTが発生するパターンアドレスまでの実行で異常IDDTが発生しているか否かを検出することができるので、第1の従来技術のように測定結果を外部端子まで出力してモニターするテストパターンを実行させる待ち時間が発生しない。
さらに、特許文献1では、直列接続されたインバータなど、テストパターンを変えても常に同時に動作するネット(パス)がある場合には、その常に動作するネット(パス)のどの箇所に故障が存在するのかそれ以上絞り込むことができない。実施例1では、故障候補となる箇所が比較的多数であっても、それぞれ一つずつレーザーにより加熱し、過渡電源電流(IDDT)の変化を検出することにより故障箇所を特定できる可能性が高い。
図3は、実施例2による過渡電源電流(IDDT)を検出して半導体集積回路の高抵抗故障ネットを絞り込む過渡電源電流検出故障診断装置の構成を示すブロック図である。図3を引用して過渡電源電流検出故障診断装置300の構成について説明する。過渡電源電流(IDDT)変化を計測する過渡電源電流検出故障診断装置300は、被試験半導体集積回路801の入力端子にテストパターンを入力するLSIテスタ101と、半導体集積回路801での異常IDDTピークの有無を判定する過渡電源電流検出装置(IDDT測定装置)103と、各テストアドレスでの異常IDDTの有無を利用した故障診断装置304からなる。
実施例2の過渡電源電流検出故障診断装置300の動作について、故障診断方法の処理手順を示す処理フローチャートである図4と、複数の故障候補での故障を仮定した場合の異常過渡電源電流(異常IDDT)の有無と実際のテストパターンアドレスでの異常IDDTの有無とを照合して真の故障候補を絞り込む方法を模式的に示した図6を用いて説明する。
まず始めに、高抵抗故障が発生している故障品において、異常IDDTが発生したアドレスとIDDTが正常なアドレスをそれぞれ複数採取できるまで、故障を検出したテストパターンの複数のパターンアドレスでのIDDTデータを採取する(ステップS31)。次に、IDDTを測定したパターンアドレス毎に異常IDDTの有無を判別する(ステップS32)。次に、あらかじめ調べておいた故障診断による故障候補毎に異常IDDTが発生しうるテストパターンアドレスと、実際の故障品のテスタ計測で異常IDDTが発生したアドレスを照合する(ステップS33)。ステップS33で照合して一致する故障候補があった場合は、照合結果が合致する故障候補の数が単一か複数かを判定する(ステップS34)。ステップS34で単一の故障候補に絞り込めた場合は、単一の故障候補に特化した故障解析で故障箇所を特定する必要があると判定し(ステップS35)、診断を終了する。
ステップS33で照合して一致する故障候補がない場合と、ステップS34で照合結果が合致する故障候補の数が複数だった場合とでは、LSIテスタとリンクした故障解析で故障箇所を特定する必要があると判定し(ステップS36)、診断を終了する。
ここで、ステップS33の故障診断による故障候補で異常IDDTが発生しうるアドレスと、実際の故障品のテスタ計測で異常IDDTが発生したアドレスを照合して故障候補を絞り込む方法について、模式的に示した図6を用いて説明する。
図6(a)は横軸にIDDTを測定したアドレス、縦軸に各故障候補ネットでの論理期待値の変化ありを1、変化なしを0としてプロットしたグラフである。論理期待値が変化しているアドレスでは異常IDDTが発生すると仮定している。図6(b)のグラフは横軸にIDDTを測定したアドレス、縦軸には実際の故障品のテスタ計測での異常IDDTありを1、異常IDDTなしを0としてプロットしている。故障候補ネットに高抵抗故障があると仮定して擬似的にプロットした異常IDDTと実際の異常IDDTを照合し、単一の故障候補ネットの擬似異常IDDTプロットのみが実際の異常IDDTプロットと一致する場合に故障候補が単一に絞り込めたと判断する。
すなわち、図6(a)では、あらかじめ遅延故障の発生が考えられるネット毎に、遅延故障が発生した場合に過渡電源電流IDDTが観測されるテストパターンのアドレスを故障シミュレーションにより求めておく。図6(a)では、ネット1に遅延故障が発生した場合には、パターンアドレス4、5、10で過渡電源電流IDDTが観測され、パターンアドレス1−3、5−9では観測されないはずである。同様に、ネット2に遅延故障が発生した場合には、パターンアドレス3、8、9で過渡電源電流が観測され、パターンアドレス1−2、4−7、10では観測されず、ネット3に遅延故障が発生した場合には、パターンアドレス2、6で過渡電源電流が観測され、パターンアドレス1、3−5、7−10では観測されないはずであることが故障シミュレーションで求められる。
一方、図6(b)は、過渡電源電流検出故障診断装置300の過渡電源電流検出装置103(図3参照)により過渡電源電流IDDTが観測されたテストパターンアドレスを示しており、パターンアドレス2、6で過渡電源電流が観測され、パターンアドレス1、3−5、7−10では過渡電源電流が観測されていない。これは、図6(a)に示すネット3に遅延故障が存在すると仮定した故障シミュレーションの結果と一致しており、ネット3に遅延故障が存在すると推定できる。
模式的に示した簡単な回路とテストパターンを例示してもう少し詳しく説明する。図10(a)は、故障解析の対象とする回路の一例を示す回路図であり、図10(b)は、そのテストパターンの一例を示す図である。図10(a)に示す回路は、入力端子A、Bから入力された入力信号がそれぞれインバータI1、I2で反転されてNANDゲートD1の入力ノードn1とn2に接続され、NANDゲートD1の出力信号がインバータI3により反転されて出力端子Cに接続されている極めて簡単な組み合わせ回路である。入力端子AからインバータI1を経由してノードn1に接続するパス(ネット)をPA、入力端子BからインバータI2を経由してノードn2に接続するパス(ネット)をPB、NANDゲートD1の出力ノードからインバータI3を経由して出力端子Cに接続するパス(ネット)をPCとする。
図10(b)は、図10(a)の回路の故障解析に用いられるテストパターンである。図10(b)のアドレスはテストパターンのアドレス(またはテストパターン列の番号)であり、入力端子A、Bは、入力端子A、Bに印加されるテストパターンであり、出力端子Cは、出力端子Cの期待値パターンである。過渡電源電流の解析では、出力端子Cの期待値パターンは必ずしも必要はないが、動作が正常に行われているか否かを確認するためには出力端子Cの期待値パターンもあった方が望ましい。
IDDT(過渡電源電流)は、故障シミュレーションで求めたパスPA、PB、PCにそれぞれ遅延故障があった場合に過渡電源電流が観測される場合をFAIL、観測されない場合をPASSとして示している。例えば、パターンアドレス0からパターンアドレス1に遷移した場合、入力端子Aから入力されるテストパターンの論理レベルが変化し、出力端子Cの期待パターンも変化しているので、それぞれパスPAとPCに遅延故障が存在する場合には、パターンアドレス1で過渡電源電流が観測され、FAILとなることが予想されるのでFAILと記載している。一方、パターンアドレス0からパターンアドレス1に遷移しても入力端子Bから入力されるテストパターンの論理レベルは変化しないので、パスPBに遅延故障が存在しても、パターンアドレス1で過渡電源電流は観測されず、PASSすると考えられるのでPASSと記載している。
実施例2では、パスPA、PB、PCのいずれのパスに遅延故障が存在するか推定することまではできるが、例えばパスPCに遅延故障が存在すると推定する結果が得られたとしてもパスPCのどこに遅延故障が存在するのかまで絞り込むことはできない。すなわち、遅延故障が、NANDゲートD1の出力ノードなのか、NANDゲートD1とインバータI3の間の配線または配線コンタクトなのか、インバータI3なのか、インバータI3と出力端子Cの間の配線または配線コンタクトなのかまで絞り込むことはできない。これを絞り込むには、例えば、実施例1のようにパスPCの中で故障が考えられる箇所を局所的に加熱して過渡電源電流の変化を観測する等の解析が必要となる。
ただし、実施例2によれば、走査型レーザー顕微鏡等の設備を必要としないので、比較的簡単に解析を行うことができる。また、あらかじめ故障シミュレーションを行って過渡電源電流の期待値パターンを作成しておき、複数のパターンアドレスからなるテストパターンを用いて過渡電源電流の測定を一回で済ますこともできる。
図7にテストパターンの作成から故障解析の対象とする半導体集積回路(不良LSI)を入手して故障解析を行って原因が解明するまでの処理フローと、処理フローの各工程で必要とするデータや設備をまとめた処理フローチャートを示す。
ステップS1では、半導体集積回路(LSI)801の設計データ401からテストパターン402を作成する。ステップS2では、設計データ401とテストパターン402に基づいて過渡電源電流IDDTを求める故障シミュレーションを行い、半導体集積回路801の内部に遅延故障が発生した場合に半導体集積回路801のパス(ネット)毎に過渡電源電流IDDTが観測されるテストパターンのアドレスを求め、IDDT故障候補ネット対応リスト403として出力する。このIDDT故障候補ネット対応リスト403には、例えば、図10(b)に示したネット毎のIDDTのPASS、FAILの期待値パターンが含まれる。
ステップS3では、内部に故障が含まれると考えられる半導体集積回路801について、実施例2で示したLSIテスタ101と過渡電源電流(IDDT)検出装置103を用いて半導体集積回路801のIDDTを測定し、テストパターン毎のIDDT実測データとして記録する。LSIテスタ101は、テストパターン402を用いる。ステップS4では、実施例2で説明した故障診断装置304を用いて、ステップS3で記録したテストパターン毎のIDDT実測データをステップS2で作成したIDDT故障候補ネット対応リストと照合し、故障候補となるネットリストを絞り込み故障候補ネットリスト404として記録する。なお、実施例2のようにステップS3とステップS4を同時に実行することもできる。ステップS3とステップS4を同時に実行する場合も、故障診断装置304そのものは、LSIテスタ101やIDDT測定装置103とは離間した場所に配置され、インターネット等の回線により接続されていてもよい。一方、LSIテスタ101、IDDT測定装置103は測定対象とする半導体集積回路801に密接して配置される。
ステップS5では、実施例1で説明した故障解析装置100を用いて故障候補ネットリスト404に含まれる故障候補の箇所毎に走査型レーザー顕微鏡102を用いて局所的に加熱し、過渡電源電流IDDTの変化を観測する。なお、故障候補の箇所毎の位置については、設計データ401のレイアウトデータから抽出した素子座標データ405を用い、レーザーを照射する位置を指定してもよい。ステップS6では、ステップS5の結果等を総合し、推定される故障箇所を特定する。ステップS7では、故障箇所より上層の配線層や絶縁層を除去し、故障箇所を露出させて外観観測を行う。このステップS7は破壊解析であり、ステップS7まで進むと半導体集積回路801としての機能は失われ、再び、ステップS3やステップS5に戻って解析をやり直すことはできない。ステップS8では、故障推定箇所の断面観察、元素分析を実施して故障の原因について解析する。ステップS9では、原因が解明できて故障解析を終了させる。
なお、本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
100、700、900:故障解析装置
101:LSIテスタ(テストパターンジェネレータ)
102:走査型レーザー顕微鏡(レーザー照射装置)
103:過渡電源電流検出装置
104、704:画像処理装置
105、705:高抵抗箇所を表示するディスプレイ
300:過渡電源電流検出故障診断装置
304:故障診断装置
401:設計データ
402:テストパターン
403:IDDT故障候補ネット対応リスト
404:故障候補ネットリスト
405:素子座標データ
701:LSIテスタ
702:走査型レーザー顕微鏡
801:(解析対象となる)半導体集積回路[不良LSI]
901:テストパターン系列入力手段
902:過渡電源電流試験手段
903:異常パターン系列記憶手段
904:正常パターン系列記憶手段
905:故障箇所リスト生成手段
906:故障箇所推定手段
D1:NANDゲート
I1、I2、I3:インバータ
n1、n2:NANDゲートD1の入力ノード
PA、PB、PC:パス(ネット)

Claims (11)

  1. 解析対象とする半導体集積回路の特定の素子に対してレーザーを照射して前記特定の素子を加熱するレーザー照射装置と、
    前記レーザーの照射と同期して前記半導体集積回路の入力端子にテストパターンを印加するテストパターンジェネレータと、
    前記テストパターンジェネレータが前記半導体集積回路の入力端子に印加するテストパターンに同期して前記半導体集積回路に過渡的に流れる電源電流を検出する過渡電源電流検出装置と、
    を備えることを特徴とする半導体集積回路の故障解析装置。
  2. 前記レーザー照射装置は、前記半導体集積回路のパターン像を取得する走査型レーザー顕微鏡であって、
    前記特定の素子は、前記レーザー顕微鏡の前記パターン像を取得する走査範囲内の故障候補となる素子であり、
    前記レーザー顕微鏡によって、前記特定の素子を加熱したときに、前記過渡電源電流検出装置が異常を検出するか否かを前記特定の素子の位置と共に示すマップ像を前記パターン像に重ねて表示する画像処理装置をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の故障解析装置。
  3. 前記レーザー顕微鏡の走査範囲内に含まれる複数の故障候補となる素子に対して前記走査型レーザー顕微鏡が順次加熱するのと同期して前記テストパターンジェネレータがテストパターンを印加し、それぞれ過渡電源電流検出装置によって前記複数の故障候補となる素子の異常の有無を素子の位置と共に前記マップ像に表示することを特徴とする請求項2記載の故障解析装置。
  4. 前記過渡電源電流検出装置は、前記テストパターンジェネレータが前記テストパターンに同期してクロックを前記半導体集積回路に印加してから特定時間後の過渡電源電流を、前記特定の素子を加熱した状態において測定し故障を解析することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の故障解析装置。
  5. 前記特定の素子を加熱した状態における過渡電源電流を前記特定の素子を加熱しない状態における過渡電源電流と比較し故障を解析することを特徴とする請求項4記載の故障解析装置。
  6. 前記故障解析装置がLSIテスタを備え、前記テストパターンジェネレータが前記LSIテスタの機能の一部であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の故障解析装置。
  7. 半導体集積回路の入力端子からテストパターンを印加してテストパターンに同期して前記半導体集積回路の電源に過渡的に流れる過渡電源電流を測定し、
    前記半導体集積回路内の素子であって、前記テストパターンを印加したときに状態の変化する特定の素子に対して局所的に加熱し、前記特定の素子を加熱した状態でテストパターンを印加したときの前記過渡電源電流プロファイルと、前記特定の素子を加熱しない状態で前記テストパターンを印加したときの前記過渡電源電流プロファイルと、から、
    前記特定の素子に故障が存在するか否かを推定することを特徴とする半導体集積回路の故障解析方法。
  8. 前記特定の素子に対する局所的な加熱は、特定の素子に対してレーザーを照射することによって、前記特定の素子以外の素子の温度に影響を与えないように局所的に加熱することを特徴とする請求項7記載の半導体集積回路の故障解析方法。
  9. 前記過渡電源電流プロファイルが、前記テストパターンに同期して前記半導体集積回路のクロック端子にクロックを印加してから特定時間後の過渡電源電流値であることを特徴とする請求項7又は8記載の半導体集積回路の故障解析方法。
  10. 前記半導体集積回路について、あらかじめ故障の原因となり得る素子をリストアップする準備調査ステップと、
    前記リストアップした素子について、1素子毎に、当該素子を局所的に加熱し、且つ、前記加熱した状態で、当該素子の状態の変化するテストパターンを印加して前記過渡電源電流を測定する加熱過渡電源電流測定ステップと、
    を備えることを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項記載の半導体集積回路の故障解析方法。
  11. 前記準備調査ステップは、前記加熱を行わずに、前記半導体集積回路に含まれる複数の素子が組み合わせを変えて状態が変化するように作成された複数のテストパターン列からなるテストパターンを前記半導体集積回路の入力端子から印加し、前記複数のテストパターン列毎に前記半導体集積回路の電源に過渡的に流れる過渡電源電流を測定し、前記複数の素子のうち、前記複数のテストパターン列毎の状態が変化する素子と前記複数のテストパターン列毎に観測された過渡電源電流から前記半導体集積回路に含まれる複数の素子のうち、故障の原因となり得る素子をリストアップすることを特徴とする請求項10記載の半導体集積回路の故障解析方法。
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