JP2012032647A - 光拡散機能を有する位相差フィルム及びその製造方法、複合偏光板、偏光板並びに液晶表示装置用バックライトユニット - Google Patents

光拡散機能を有する位相差フィルム及びその製造方法、複合偏光板、偏光板並びに液晶表示装置用バックライトユニット Download PDF

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Abstract

【課題】安価に製造でき、高い光拡散機能を有する位相差フィルムを提供する。
【解決手段】本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、非晶性熱可塑性樹脂により形成された単層の位相差フィルムである。本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムには、光拡散機能を発現するように、片面又は両面に複数の凸部又は凹部が設けられている。本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムのヘイズ値は40%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、液晶表示装置のコントラスト及び視野角を改善するために用いられる位相差フィルムに関し、より詳細には、光拡散機能をも有する位相差フィルム、並びに該位相差フィルムを用いた複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置用バックライトユニットに関する。
液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)は、パーソナルコンピューターの表示装置及び液晶テレビ等の用途で広く普及している。
上記液晶表示装置として、TN(Twisted Nematic)モードの液晶表示装置がある。このTNモードの液晶表示装置は、視野角が狭く、応答速度が遅いという問題点がある。
そこで、TNモードの液晶表示装置のような旋光モードではなく、複屈折モードを利用したVA(Vertical Alignment)モードの液晶表示装置が提案されている。また、VAモードの液晶表示装置として、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モードの液晶表示装置が提案されている。
上記MVAモードの液晶表示装置では、液晶セルを構成する基板の内面に、傾斜面を有する突起等のドメイン規制手段が設けられている。このドメイン規制手段によって液晶分子の配向方向が2方向以上に分割され、液晶セルを通過する光量が均一化される。これによって見込み角度による表示輝度の差異が抑制され、視野角依存性がある程度改善される。
しかし、上記MVAモードの液晶表示装置でも、液晶表示面の法線に対して斜め45°から液晶表示面を見ると、コントラストが低下するという問題がある。従って、上記MVAモードの液晶表示装置では、視野角依存性をより一層改善するために、一般に位相差フィルムが用いられている。
また上記VAモードの液晶表示装置とともに、IPS(In−Plane Switching)モードの液晶表示装置も現在広く用いられている。IPSモードの液晶表示装置は、TNモードの液晶表示装置及びVAモードの液晶表示装置と比べて、視野角性能に優れている。従って、IPSモードの液晶表示装置は、パーソナルコンピューターのモニター及び小型テレビとして用いられている。
上記IPSモードの液晶表示装置では、VAモードの液晶表示装置と比較すると、黒表示時における斜めから漏れた光の着色現象及びカラーシフトがわずかに生じる。このため、IPSモードの液晶表示装置でも、視野角依存性を改善するために位相差フィルムが用いられている。
上記位相差フィルムの機能を十分発揮するためには、液晶パネルの複屈折との合わせ込みが必要があり、位相差フィルムの面内に均一な位相差値を適切に設計する必要がある。それによって、VAモード、MVAモード及びIPSモードの各種の液晶表示装置の視野角性能をより一層改善できる。
一方で、視野角依存性を改善したり、バックライトに用いられる冷陰極管及びLED等のランプイメージを消したりするために、液晶表示装置に拡散シートが用いられている。拡散シートは、液晶表示装置を透過する光を全方位に散乱させ、視野の光を平均化させることにより、視野角依存性の改善に寄与する。
通常、位相差フィルム及び拡散シートは、別々の部材として用意され、液晶表示装置に組み込まれている。近年、位相差フィルムと拡散シートとを一体化することが提案されている。
例えば、下記の特許文献1には、位相差フィルムに粘着層又はアンカー層を介して光拡散層を積層した積層フィルムが開示されている。しかしながらこの積層フィルムは、上記各層が積層され多層構造を有するため、厚みが厚くなったり、製造プロセスが複雑でコストが高くつくという問題がある。
特開2008−268285号公報
本発明の目的は、位相差フィルムに光拡散機能を付与し、部材の削減によりコストを低くしかつ生産効率を高め、更に液晶表示装置の薄型化に対応できる光拡散機能を有する位相差フィルム、並びに該光拡散機能を有する位相差フィルムの製造方法、及び該光拡散機能を有する位相差フィルムを用いた複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置用バックライトユニットを提供することである。
本発明の限定的な目的は、ロール状に巻かれたときに、内層と外層とのブロッキングを生じ難くすることができる光拡散機能を有する位相差フィルム、並びに該光拡散機能を有する位相差フィルムの製造方法、及び該光拡散機能を有する位相差フィルムを用いた複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置用バックライトユニットを提供することである。
本発明の広い局面によれば、非晶性熱可塑性樹脂により形成された単層の位相差フィルムであり、片面又は両面に複数の凸部又は凹部が設けられており、ヘイズ値が40%以上である、光拡散機能を有する位相差フィルムが提供される。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、好ましくは溶融押出法により成膜されたフィルムであって、かつ非晶性熱可塑性樹脂により形成されたフィルムを延伸しながら、又は該フィルムを延伸した直後に、該フィルムの片面又は両面に複数の凸部又は凹部を設けることにより得られる。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムの他の特定の局面では、複数の上記凸部の平均高さ又は複数の上記凹部の平均深さが0.5μm以上である。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムのさらに他の特定の局面では、複数の上記凸部又は凹部が、エンボス模様又は連続山形模様である。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムのある特定の局面では、正面レターデーションRoが50nm以上であり、かつ厚みレターデーションRthの絶対値が20nm以上である。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法は、溶融押出法により成膜し、非晶性熱可塑性樹脂により形成されたフィルムを得る工程と、該フィルムを延伸する延伸工程と、該延伸工程において、又は該延伸工程の直後に、上記フィルムの片面又は両面に複数の凸部又は凹部を設けて、光拡散機能を有する位相差フィルムを得る工程とを備える。
本発明に係る複合偏光板は、本発明に従って構成された光拡散機能を有する位相差フィルムと、該光拡散機能を有する位相差フィルムの一方の表面に積層された偏光板とを備える。
本発明に係る偏光板は、本発明に従って構成された光拡散機能を有する位相差フィルムと、該光拡散機能を有する位相差フィルムの一方の表面側に配置された偏光子とを備える。
本発明に係る液晶表示装置用バックライトユニットは、液晶セルと、バックライトと、該液晶セルと該バックライトとの間に配置されており、かつ本発明に従って構成された光拡散機能を有する位相差フィルムとを備える。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、非晶性熱可塑性樹脂により形成された単層の位相差フィルムであり、光拡散機能を発現するように片面又は両面に凸部又は凹部が設けられており、更にヘイズ値が40%以上であるので、光拡散機能を発揮でき、かつ部材の削減によりコストを低くしかつ生産効率を高めることができる。さらに、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは単層であるので、液晶表示装置の薄型化に対応できる。
図1は、溶融押出成形法により、非晶性熱可塑性樹脂をフィルム状に成膜する装置の一例を示す概略構成図である。 図2は、延伸機を用いて光拡散機能を有する位相差フィルムを製造する方法の一例を説明するための模式的な概略構成図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、非晶性熱可塑性樹脂により形成された単層の位相差フィルムである。従って、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、位相差フィルムに光拡散シート又は光拡散層が積層された積層フィルムとは異なる。光拡散機能を発現するように、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムの片面又は両面に凸部又は凹部が設けられている。本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムのヘイズ値は40%以上である。
上記構成の採用により、光拡散シート又は光拡散層を別途用意しなくてもよく、部材を削減できる。このため、光拡散機能を有する位相差フィルムを、安価に製造でき、かつ生産効率を高めることもできる。さらに、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは単層であるので、厚みを薄くすることができ、液晶表示装置の薄型化に対応できる。
従って、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムの使用により、VAモード、MVAモード及びIPSモードの各種の液晶表示装置の視野角性能を改善することができ、液晶表示装置の色むら等の光学的な品質低下を抑制できる。
さらに、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは片面又は両面に複数の凸部又は凹部を有するので、光拡散機能を有する位相差フィルムがロール状に巻かれたときに、内層と外層とのブロッキングを生じ難くすることができる。
(非晶性熱可塑性樹脂)
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、非晶性熱可塑性樹脂を用いて形成されている。
上記フィルムを構成する非晶性熱可塑性樹脂の透明性は、高いことが好ましい。透明性が高い上記非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリスチレン系、環状オレフィン系、ポリビニルアルコール系、酢酸セルロース系、ポリ塩化ビニル系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリアリレート系又はポリアミド系などの高分子が挙げられる。ポリ(メタ)アクリル系高分子としては、ポリメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。非晶性熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記非晶性熱可塑性樹脂は、環状オレフィン系高分子であることが好ましく、ノルボルネン系樹脂であることがより好ましい。ノルボルネン系樹脂は、光弾性係数が小さく、外部応力に対するレターデーション安定性に優れている。
上記ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加(共)重合体及びこれらの誘導体等が挙げられる。ノルボルネン系樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
開環を伴う(共)重合体では、必然的に、不飽和結合が残留することがある。さらに、付加(共)重合体であっても、モノマーの種類によっては不飽和結合が残留することがある。熱履歴による酸化劣化の抑制又は紫外線等による着変色の抑制などの耐久性を重視する観点からは、不飽和二重結合の量を少なくするために、上記ノルボルネン系樹脂は、水素添加により飽和されていることが好ましい。
位相差フィルムの機能を阻害しない範囲において、フィルム成形中における非晶性熱可塑性樹脂の劣化防止並びに位相差フィルムの耐熱性及び耐紫外線性等を向上させるために、上記非晶性熱可塑性樹脂に各種の添加剤が添加されてもよい。該添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤及び帯電防止剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記熱劣化防止剤としては、ラクトン系熱劣化防止剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びアクリロニトリル系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記滑剤としては、脂肪族アルコールのエステル系滑剤、多価アルコールの部分エステル系滑剤及び部分エーテル系滑剤等が挙げられる。上記帯電防止剤としては、アミン系帯電防止剤等が挙げられる。
(光拡散機能を有する位相差フィルムの詳細及びその製造方法)
上記非晶性熱可塑性樹脂を用いて、延伸前のフィルム(原反フィルム)を得る方法としては、従来から汎用されている方法を用いることができる。延伸前のフィルムは、実質的に無延伸のフィルムである。
延伸前のフィルムを得る方法としては、具体的には、非晶性熱可塑性樹脂を溶解した溶液を適宜の担持体上に流延した後、溶剤を乾燥により除去し、更に担持体から剥離してフィルムを得る溶液キャスト法、並びに非晶性熱可塑性樹脂を押出機に供給して溶融、混練し、押出機の先端に取り付けた金型からフィルム状に押し出してフィルムを得る溶融押出法等が挙げられる。コストが安く、かつ環境負荷が小さいことから、溶融押出法が好ましい。延伸前のフィルムは、溶融押出法により成膜されていることが好ましく、溶融押出フィルムであることが好ましい。
図1に、溶融押出成形法により、非晶性熱可塑性樹脂をフィルム状に成膜する装置の一例を示す概略構成図を示す。
図1に示す溶融押出装置11を用いて、非晶性熱可塑性樹脂をフィルム状に成膜する際には、先ず、押出機12から溶融状態の非晶性熱可塑性樹脂を押出し、金型13に供給する。
金型13に供給された非晶性熱可塑性樹脂を金型13の開口から押出し、排出し、非晶性熱可塑性樹脂をフィルム状に成膜する。排出されたフィルムAを、冷却ロール14に接触させ、冷却する。冷却ロール14にフィルムAを押圧するために、タッチロール15が設けられている。
冷却ロール14により冷却されたフィルムAを、冷却ロール16,17により更に冷却して、固化し、巻き取り、ロール状の原反フィルムを得る。該ロール状の原反フィルムは、長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムである。
金型13の開口から、フィルムAが冷却ロール14に接する接点までの距離、すなわちエアギャップは短いほうが好ましい。エアギャップが短いと、外乱による厚みばらつきを低減できる。すなわち、適正な厚みプロファイルを有するフィルムを安定的に製造できる。エアギャップは、70mm以下であることが好ましい。
フィルムAが冷却ロール14に接触する際に、冷却ロール14とフィルムAとの間に空気が入らないことが望ましく、かつ冷却速度がフィルムAの全面で均一であることが望ましい。従って、フィルムAと冷却ロール14との接点の下流側近傍において、タッチロール15などの押圧手段により、フィルムAを冷却ロール14側に押圧することが望ましい。
押圧手段は、タッチロール15に限定されない。該押圧手段として、エアナイフ又は静電ピニング等を用いてもよい。安定性に優れており、かつフィルムAを均一に冷却ロール14に圧接させ得るため、弾性材料により形成された表面を有するタッチロールが好適に用いられる。
冷却ロール14の温度は、フィルムAを構成する非晶性熱可塑性樹脂の種類によって適宜変更され得る。非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)としたとき、冷却ロール14の温度は、(Tg−10)℃〜(Tg−100)℃の範囲内であることが望ましい。
フィルムAの平滑性と透明性とを確保するためには、冷却ロール14の表面の表面粗さは、JIS B 0601に定義されているRy値で、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。
冷却ロール14は様々な材料で構成され得る。冷却ロール14の表面は、金属により形成されていることが好ましく、炭素鋼又はステンレス鋼により形成されていることがより好ましい。金属表面を有する冷却ロール14を用いた場合、冷却ロール14の温度を速やかに一定温度に維持することができ、かつフィルムAを効率よく冷却できる。
フィルムAの長さ方向の厚み精度を高めるために、冷却ロール14の偏心振れは小さい方が望ましい。冷却ロール14の偏心振れは、30μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがより望ましい。
金型13の温度がばらつくと非晶性熱可塑性樹脂の流動性が変化するので、金型13の温度は安定していることが望ましい。金型13のフィルムAを構成する溶融樹脂に接触する部分の温度は、設定温度±0.5℃以内であることが望ましく、設定温度±0.2℃以内であることがより望ましい。
一般に、冷却ロール14の温度は、非晶性熱可塑性樹脂の固化点に大きく影響する。従って、冷却ロール14を様々な温度に温度調節できる構造を有するように、冷却ロール14は軸芯部に、温度調節手段を有することが望ましい。好ましい温度調節手段としては、シーズヒーターが軸芯部に組み込まれており、冷却ロール14を適当な温度に設定するように加熱する電気加熱方式の温度調節手段、誘導発熱コイルによる電磁誘導作用による温度調節手段、並びに軸芯部に設けられた流路に温度制御用の熱媒体を循環させて冷却ロールを設定温度に加熱する熱媒体循環加熱方式などの温度調節手段等が挙げられる。なかでも、熱媒体循環加熱方式が好ましい。該熱媒体循環方式に用いられる熱媒体として、気体を用いてもよく、水又は油などの液体を用いてもよい。上記熱媒体として、熱容量が大きい水又は油などの液体を用いることが望ましい。熱媒体流路の好適な例としては、内部に二条スパイラル構造又は四条スパイラル構造を有するものが挙げられる。
溶融押出装置11を用いて、フィルムを成膜する際に、フィルムに光拡散性能を付与してもよい。例えば冷却ロール14又はタッチロール15の表面に、光拡散機能を有する位相差フィルムの表面の凸部又は凹部の形状を反転した凹部又は凸部を設けてもよい。凹部又は凸部が表面に設けられた冷却ロール14又はタッチロール15の使用により、該冷却ロール14及びタッチロール15の表面の形状が、溶融押出しされた非晶性熱可塑性樹脂フィルムの表面に転写される。但し、溶融押出装置11を用いて、フィルムを成膜する際に、フィルムの表面に凸部又は凹部を設けないことが好ましい。溶融押出装置11を用いて原反フィルムを得た後に該原反フィルムを延伸する場合には、原反フィルムの表面に凸部又は凹部が設けられていると、延伸により凸部又は凹部自体が引き延ばされ、得られる光拡散機能を有する位相差フィルムのヘイズ値が低下するおそれがある。
従って、溶融押出法により成膜されたフィルムであって、かつ非晶性熱可塑性樹脂により形成されたフィルムを延伸しながら、又は該フィルムを延伸した直後に、光拡散機能を発現するように該フィルムの片面又は両面に複数の凸部又は凹部を設けることが好ましい。すなわち、延伸工程内又は延伸工程の後の工程で、フィルムに凸部又は凹部の形状を付与する賦形処理が行われることが好ましい。なかでも、これによって、得られる光拡散機能を有する位相差フィルムのヘイズ値をより一層容易にかつ適度に高くすることができる。
次に、上記長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを用いて延伸を行い、光拡散機能を有する位相差フィルムを製造する方法の詳細を述べる。
上記長尺状の非晶性熱可塑性樹脂フィルムを用いて光拡散機能を有する位相差フィルムを製造するには、非晶性熱可塑性樹脂フィルムを、該非晶性熱可塑性樹脂フィルムを構成する非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg近傍の温度で延伸する。それによって、ポリマー分子を所定方向に配向させる。
フィルムを延伸する手法としては、フィルムの長さ方向(縦方向とも記載する)に延伸を行う縦延伸法、フィルムの幅方向(以下、横方向とも記載する)に延伸を行う横延伸法、縦延伸後に横延伸を行う逐次二軸延伸法、横延伸後に縦延伸を行う逐次二軸延伸法、並びに縦方向と横方向とに同時に延伸を行う同時二軸延伸法等が挙げられる。本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムを得るための延伸法特に限定されない。付与したい位相差値によって延伸方法は適宜使い分けられる。
縦延伸法としては、例えば、ロール間ネックイン延伸法及び近接ロール延伸法等を適用できる。レターデーションを制御しやすく、フィルムに傷及び皺等の不良が発生しにくいという利点があるので、ロール間ネックイン延伸法が望ましい。ロール間ネックイン延伸法とは、フィルム幅に比して十分に長い延伸ゾーンを挟んで位置する二対のニップロールで搬送中のフィルムを挟んで保持するとともに、上流側のニップロールの周速に対して下流側のニップロールの周速を大きくすることによって、所望の延伸倍率を得る方法である。なお、このとき、フィルムの幅方向の両端は拘束されない自由端であり、縦方向の延伸に伴って幅方向にネックイン現象を呈する。
横延伸法としては、例えば、テンター延伸機を用いて、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップ等の任意の把持手段によって把持し、この把持手段を互いに離間する方向に徐々に変位させながら走行させる方法が挙げられる。
同時二軸法としては、例えばテンター延伸機を用いて、フィルムの幅方向の両端部をテンタークリップ等の任意の把持手段によって把持し、この把持手段を互いに離間する方向に徐々に変位させ、かつ同時にフィルムの長手方向にも把持手段を離間させ徐々に変位させながら走行させる方法が挙げられる。
例としてここでは縦延伸法により、光拡散機能を有する位相差フィルムを製造する方法について詳細を述べる。図2は、非晶性熱可塑性樹脂フィルムをロール間ネックイン延伸法により縦延伸し、かつ得られる位相差フィルムに光拡散機能を付与する延伸装置の一例を示す概略構成図である。
図2に示すように、ロール状の原反フィルムから巻き出された長尺状のフィルムA1を縦方向に延伸する際には、インフィードニップロール1及びアウトフィードニップロール2でそれぞれフィルムA1を挟んで保持するとともに、搬送する。インフィードニップロール1よりもアウトフィードニップロール2の周速を速くすることによって、フィルムA1を延伸する。この際、延伸炉3内で加熱することにより、延伸時のフィルムの温度を高くし、フィルムを破断することなく延伸することができる。
延伸時のフィルムの温度、すなわち上記非晶性熱可塑性樹脂フィルムを縦方向に延伸する際のフィルムの温度は、得られる位相差フィルムに付与したい補償位相差量によって適宜に調整される。フィルムを、該フィルムを構成する非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg近傍の温度で延伸することが好ましい。これによって、非晶性熱可塑性樹脂の分子を所定方向に配向させることができる。なお、本明細書において、ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計によって測定される。
非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、延伸する際のフィルムの温度T1は、好ましくは(Tg−20)℃以上、より好ましくは(Tg−10)℃以上、好ましくは(Tg+50)℃以下、より好ましくは(Tg+40)℃以下である。上記温度T1が上記下限以上であると、延伸時にフィルムがより一層破断し難くなる。上記温度T1が上記上限以下であると、位相差フィルムのレターデーションがより一層良好になる。
フィルムの延伸倍率は、1.1倍以上、5.0倍以下であることが好ましい。図2に示す延伸装置の場合には、インフィードニップロール1とアウトフィードニップロール2との周速差によって、延伸倍率が調整される。延伸倍率が上記下限以上であると、付与したい所望の位相差値を得ることが容易であり、またフィルムの搬送張力が低下し難くなり、フィルムが蛇行するおそれが低下する。延伸倍率が上記上限以下であると、フィルムの破断が生じ難くなる。
次に、得られる位相差フィルムの表面に凸部又は凹部を設ける方法の詳細を述べる。
位相差フィルムを得るためのフィルム又は位相差フィルムの表面に凹凸形状を賦形する方法としては、延伸前に凹凸形状を賦形する方法、延伸時に凹凸形状を賦形する方法、延伸後に凹凸形状を賦形する方法が挙げられる。延伸前に凹凸形状を賦形すると、延伸によりフィルム表面の凹凸形状が緩和され、位相差フィルムのヘイズ値が低下するおそれがある。よって所望のヘイズ値を確保するためには、延伸時又は延伸後に凹凸形状を賦形する方法が望ましく、延伸時又は延伸直後に凹凸形状を賦形する方法がより望ましい。
また延伸終了後に賦形する方法においても、別工程を用いて賦形すると工程数が増えるため望ましくない。好ましくは延伸装置内において、フィルムの延伸時又は延伸の直後に賦形することが望ましい。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、溶融押出法により成膜されたフィルムであって、かつ非晶性熱可塑性樹脂により形成されたフィルムを延伸しながら、又は該フィルムを延伸した直後に、光拡散機能を発現するように該フィルムの片面又は両面に凸部又は凹部を設けることにより得られる光拡散機能を有する位相差フィルムであることが好ましい。本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムを得るために、延伸工程において、又は延伸工程の直後に、光拡散機能を発現するようにフィルムの片面又は両面に凸部又は凹部を設けて、光拡散機能を有する位相差フィルムを得る工程が備えられることが好ましい。なお、延伸工程の直後とは、加熱延伸されたフィルムが冷却固化される前の時点をいう。
図2に示す延伸装置を用いる場合には、インフィードニップロール1とアウトフィードニップロール2との間に配置された賦形ロール4でフィルムA1の表面に凸部又は凹部を設けることができ、凹凸形状を賦形することができる。図2に示す賦形ロール4は2つのロールによるニップロール形状である。賦形ロールは、1つのロールであってもよく、3つ以上の隣接したロールであってもよい。凸部の高さ又は凹部の深さを適切に制御する観点からは、賦形ロールは、一対のロールであることが好ましく、ニップロール形状であることが好ましい。
2つのロールである賦形ロール4に関して、位相差フィルムの片面のみに凸部又は凹部を付与する場合は、1つのロールの表面のみに凹部又は凸部を設ければよい。位相差フィルムの両面に凸部又は凹部を付与する場合は、2つのロール表面にそれぞれ凹部又は凸部を設ければよい。
賦形ロール4を延伸炉入口付近に設置すると、その設置位置はフィルムのネックインが始まる地点であるため、フィルムの延伸を阻害するおそれがある。このため、フィルム面内の位相差の均一性が悪化したり、フィルムが折れて皺が発生したりするおそれがある。
よって、賦形ロール4の設置位置は、フィルムのネックインが完了している位置であることが望ましく、延伸炉入口から(フィルムの幅×1倍)以上離れた位置であること望ましく、延伸炉入口から(フィルムの幅×3倍)以上離れた位置であることが最も望ましい。
賦形ロールの温度は賦形したい凹凸形状によって適宜に設定される。賦形ロール4の温度は、好ましくは(未延伸フィルムのガラス転移温度Tg(℃)−20)℃以上、より好ましくは(未延伸フィルムのガラス転移温度Tg(℃)−10)℃以上、好ましくは(未延伸フィルムのガラス転移温度Tg(℃)+50)℃以下、より好ましくは(未延伸フィルムのガラス転移温度Tg(℃)+40)℃以下である。賦形ロール4の温度が上記下限以上であると、付与した位相差が良好になり、賦形時に剥離不良が生じ難くなり、フィルムが蛇行し難くなる。賦形ロール4の温度が上記上限以下であると、より一層良好な凸部又は凹部の形状で賦形できる。
また、図2のように賦形ロールが2つのロールによるニップロール形状である場合は、賦形時に剥離不良対策として、片側のロール温度を、(未延伸フィルムのガラス転移温度Tg(℃))℃以下に設定してもよい。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムの凸部又は凹部、並びに賦形ロールの凸部又は凹部の形状としては、ドット形状及びライン形状など挙げられる。均一な光拡散性を得るためには、凸部又は凹部の形状は、ドット形状であることがより好ましい。ドット形状の凸部又は凹部を設ける方法としては、エンボス加工が表面に施された賦形ロールを用いる方法、微粒子を含む液を賦形ロールの表面に塗布し、凸部又は凹部を形成する方法等が挙げられる。特に賦形ロールの表面に略半球状の凸部又は凹部をドットパターンに形成したマイクロレンズ形状が、賦形ロールの表面に設けられていることが好ましい。本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムの複数の凸部又は凹部は、略半球状の凸部又は凹部をドットパターンに形成したマイクロレンズ形状であることが好ましい。この場合には、均一な光拡散性を得ることができる。
光拡散機能をより一層高めるために、光拡散機能を有する位相差フィルムの複数の凸部又は凹部は、エンボス模様又は連続山形模様であることが好ましい。複数の凸部又は複数の凹部は全体で、エンボス模様又は連続山形模様であることが好ましい。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムの凸部又は凹部の大きさ、並びに賦形ロールの表面に設ける凸部又は凹部の大きさは、光拡散機能を有する位相差フィルムに付与するヘイズ値等により適宜設定される。光拡散機能を有する位相差フィルムの凸部又は凹部の直径、並びに賦形ロールの表面に設ける凸部又は凹部の直径、高さ及び深さはそれぞれ、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。略半球状の凸部又は凹部がドット形状である場合に、均一な光拡散性を得るためには、光拡散機能を有する位相差フィルムの凸部又は凹部の直径、並びに賦形ロールの表面に設ける凸部又は凹部の直径、高さ及び深さはそれぞれ、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
上述の要領で所望の位相差値と所望のヘイズ値とを有する得られた光拡散性を有する位相差フィルムは、延伸炉3を出た後に、未延伸フィルムのガラス転移温度Tg(℃)以下で冷却固化されることが好ましい。
フィルム表面の濡れ性を改質するために、上記のようにして得られた光拡散機能を有する位相差フィルムの表面は、コロナ処理、プラズマ処理又はアンカー層コーティング処理等が施されてもよい。表面保護のために、光拡散機能を有する位相差フィルムの表面に、プロテクトフィルムを貼り付けてもよい。光拡散機能を有する位相差フィルムの両端部にナーリング処理を施してもよい。所望の幅とするために、光拡散機能を有する位相差フィルムの両端部をスリット加工により除去してもよい。これらの処理又は加工は、光拡散機能を有する位相差フィルムの仕様に応じて適宜選択される。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、ロール状に巻かれた巻重体の状態であってもよい。本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムの表面には、複数の凸部又は凹部が設けられているので、ロール状に巻かれたときに内層と外層とのブロッキングを生じ難くすることができる。
光拡散性能を効果的に高め、液晶表示装置のランプイメージを良好にするために、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムのヘイズ値は、40%以上である。該ヘイズ値は、好ましくは50%以上、好ましくは95%以下である。ヘイズ値が上記上限以下であると、液晶表示装置のランプイメージがより一層良好になる。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、光拡散機能を発現するように、複数の凸部の平均高さ又は凹部の平均深さが0.5μm以上であることが好ましい。複数の凸部の平均高さ又は複数の凹部の平均深さが0.5μm以上であれば、光拡散機能が十分に発現する。複数の凸部の平均高さ又は複数の凹部の平均深さは、好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。複数の凸部の平均高さ又は複数の凹部の平均深さが上記上限以下であると、凸部又は凹部の形状の賦形が容易であり、かつ光拡散機能を有する位相差フィルムのヘイズ値を好適な範囲に容易に制御できる。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、下記式(1)で定義される正面レターデーションR0(nm)が、50nm以上であることが好ましい。正面レターデーションR0(nm)は、好ましくは500nm以下である。
R0(nm)=|nx−ny|×d・・・式(1)
上記式(1)中、nxは光拡散機能を有する位相差フィルムの面内の最大屈折率を表し、nyは光拡散機能を有する位相差フィルムの面内のnx方向と直交する方向の屈折率を表し、dは光拡散機能を有する位相差フィルムの平均厚み(nm)を表す。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、下記式(2)で定義される厚みレターデーションRth(nm)の絶対値が、20nm以上であることが好ましい。該厚みレターデーションRth(nm)の絶対値は、好ましくは50nm以上、好ましくは600nm以下である。
Rth(nm)=((nx+ny)/2−nz)×d ・・・式(2)
上記式(2)中、nxは光拡散機能を有する位相差フィルムの面内の最大屈折率を表し、nyは光拡散機能を有する位相差フィルムの面内のnx方向と直交する方向の屈折率を表し、nzはnx方向及びny方向と直交する方向の屈折率を表し、dは光拡散機能を有する位相差フィルムの平均厚み(nm)を表す。
正面レターデーションR0及び厚みレターデーションRthが上記下限以上及び上記上限以下であると、光拡散機能を有する位相差フィルムを液晶表示装置に組み込んだときに、表示画像を高品位にすることができる。正面レターデーションR0が50〜500nmの範囲を逸脱したり、厚みレターデーションRthの絶対値が20〜600nmの範囲を逸脱したりすると、液晶を通過する際の複屈折を充分に補償しきれず、位相差フィルムとしての商品価値が低下する。
(光拡散機能を有する位相差フィルムの用途)
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、必要に応じて所定の大きさに切断された後に、複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置において、光拡散シート及び位相差フィルムの各機能を果たすために好適に用いられる。
上記複合偏光板は、例えば、光拡散機能を有する位相差フィルムと、該光拡散機能を有する位相差フィルムの一方の表面に積層された偏光板とを備える。上記光拡散機能を有する位相差フィルムと上記偏光板とは一体化されていることが好ましい。
上記偏光板は、例えば、上記光拡散機能を有する位相差フィルムと、該光拡散機能を有する位相差フィルムの一方の表面側に配置された偏光子とを備える。上記偏光板は、好ましくは、上記光拡散機能を有する位相差フィルムと、該光拡散機能を有する位相差フィルムの一方の表面側に配置された接着剤層と、該接着剤層の上記光拡散機能を有する位相差フィルムが積層された表面とは反対側の表面に積層された偏光子とを備える。上記光拡散機能を有する位相差フィルムと上記偏光子とは、上記接着剤層を介して一体化されていることが好ましい。
上記液晶表示装置は、例えば液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に、上記複合偏光板又は上記偏光板とを積層することにより得ることができる。この液晶表示装置は、液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された上記複合偏光板又は偏光板とを備える。
また、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、液晶表示装置用バックライトユニットを得るために好適に用いられる。該液晶表示装置用バックライトユニットは、液晶セルと、バックライトと、該液晶セルと該バックライトとの間に配置された光拡散機能を有する位相差フィルムとを備えることが好ましい。
上記光拡散機能を有する位相差フィルムは、液晶表示装置の部品として好適に用いられる。上記光拡散機能を有する位相差フィルムは、単独で用いられてもよく、偏光板と積層されて複合偏光板として用いられてもよい。さらに、光拡散機能を有する位相差フィルムは、偏光板の液晶セル側の保護フィルムのかわりとして、接着剤層を介して偏光子に積層されて偏光板として用いられてもよい。
上記光拡散機能を有する位相差フィルムを単独で用いた液晶表示装置を製造する方法としては、液晶セルを構成している一対の基板のそれぞれの外表面に偏光板を配設し、上記液晶セルの基板のうちの少なくとも一方の基板と該基板に対向する偏光板との間に上記位相差フィルムを配置し、更に、液晶セルにおける液晶表示面とは反対側の基板側に配設した偏光板上に、バックライト型又はサイドライト型の公知の照明システムを配設し、駆動回路を組み込む方法等が挙げられる。上記光拡散機能を有する位相差フィルムは、液晶表示面側の基板の外表面に配置されることが好ましい。
本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムはVAモード、MVAモード及びIPSモードの液晶表示装置の視野角を改善するのに十分に有効なフィルムである。本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムを用いた上記液晶表示装置では、色むら等の光学的な品質低下が生じ難い。また、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、光拡散シートとしての機能と位相差フィルムとしての機能との双方を有するので、光拡散シート又は光拡散層を別途用いなくてもよく、液晶表示装置の部材を削減し、また液晶テレビ等の薄膜化に寄与できる。また、本発明に係る光拡散機能を有する位相差フィルムは、光拡散シート単体としても使用可能である。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例に限定されない。
(実施例1)
飽和ノルボルネン系樹脂(非晶性熱可塑性樹脂、日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア1420」を用意した。示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名「DSC220C」)を用いて測定された上記飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgは135.5℃であった。
上記飽和ノルボルネン系樹脂を一軸押出機に供給して、溶融し、混練し、一軸押出機の先端に取り付けたTダイから溶融押出しして、平均厚み40μmの長尺状の原反フィルムを得た。なお、樹脂のガラス転移温度Tgを示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名「DSC220C」)によって測定したところ、135.5℃であった。
得られた長尺ロール状の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを連続的に巻き出し、ロール間ネックイン延伸機を用いて、長さ方向(縦方向)に延伸を行った。フィルムを連続的に150℃に加熱し、延伸倍率が1.75倍になるように、150℃で延伸を行い、Ro=140nm、Rth=70nmの位相差を付与した。
さらに、連続して、位相差が付与されたフィルムを145℃に加熱されたロールと、表面にエンボス処理が施されたロール(ランダムに配置された直径10μmの半球形状の複数の凹部が設けられている)との間に通し、フィルムの片面に複数の凸部(エンボス模様)を形成した。このとき、ヘイズ値が70%となるようロール圧を調整した。次に、23℃まで徐々に冷却して、光拡散機能を有する位相差フィルムを得、該光拡散機能を有する位相差フィルムをロール状に巻き取った。得られた光拡散機能を有する位相差フィルムの表面には、平均高さ10μmの複数の凸部(エンボス模様)が形成されていた。なお、得られた光拡散機能を有する位相差フィルムでは、Ro=140nm、Rth=70nmであった。
(実施例2)
凸部形状を形成時にロール圧を調整して、ヘイズ値が50%となるように調整したこと以外は実施例1と同様とし、光拡散機能を有する位相差フィルムを得、該光拡散機能を有する位相差フィルムをロール状に巻き取った。得られた光拡散機能を有する位相差フィルムの表面には、平均高さ10μmの凸部が形成されていた。なお、得られた光拡散機能を有する位相差フィルムでは、Ro=140nm、Rth=70nmであった。
(比較例1)
フィルム表面にエンボス処理を行わず、表面に凸部及び凹部を形成しなかったこと以外は実施例1と同様とし、位相差フィルムを得、該位相差フィルムをロール状に巻き取った。なお、得られた位相差フィルムでは、Ro=140nm、Rth=70nmであった。
(比較例2)
原反フィルムを得る際に、かつ延伸前にフィルム表面にエンボス処理を行い、ヘイズ値が70%の原反フィルムを得た。その後、実施例1と同様に延伸を行い、但し延伸時にエンボス処理をせずに、Ro=140nm、Rth=70nmの位相差を付与し、次に23℃まで徐々に冷却して、位相差フィルムを得、該位相差フィルムをロール状に巻き取った。延伸後の得られた位相差フィルムのヘイズ値は35%だった。なお、得られた位相差フィルムでは、Ro=140nm、Rth=70nmであった。
(評価)
(1)ヘイズ値の測定
ヘイズメーター(日本電色工業社製、商品名「NDH−2000」)を用いて、JIS K6714に準拠して、得られたフィルムのヘイズ値を測定した。
(2)すべり性
得られたフィルムがロール状に巻かれた巻重体を用いて、内層と外層とのブロッキングが生じるか否かを評価した。ブロッキングが生じなかった場合を「○」、ブロッキングが生じた場合を「×」と判定した。
(3)干渉縞
得られたフィルムの上に、厚み2mmのガラス板を置いて、干渉縞の発生の有無を目視にて確認した。干渉縞が目視では全く確認されなかった場合を「○○」、干渉縞がほとんど確認されなかった場合を「○」、干渉縞が確認された場合を「×」と判定した。
(4)ランプイメージ
得られたフィルムの光拡散性能を評価するために、32インチの直下型バックライト装置(冷陰極管(線状光源)16灯)の冷陰極管上に、得られたフィルムを置いて、バックライト装置を点灯させた。このときのバックライトユニットの正面方向におけるランプイメージを、目視にて確認した。ランプイメージが目視では全く確認されなかった場合を「○○」、ランプイメージがほとんど確認されなかった場合を「○」、ランプイメージが確認された場合を「×」と判定した。
結果を下記の表1に示す。
Figure 2012032647
1…インフィードニップロール
2…アウトフィードニップロール
3…延伸炉
4…賦形ロール
11…溶融押出装置
12…押出機
13…金型
14…冷却ロール
15…タッチロール
16,17…冷却ロール
A,A1…フィルム

Claims (9)

  1. 非晶性熱可塑性樹脂により形成された単層の位相差フィルムであり、
    片面又は両面に複数の凸部又は凹部が設けられており、
    ヘイズ値が40%以上である、光拡散機能を有する位相差フィルム。
  2. 溶融押出法により成膜されたフィルムであって、かつ非晶性熱可塑性樹脂により形成されたフィルムを延伸しながら、又は該フィルムを延伸した直後に、該フィルムの片面又は両面に複数の凸部又は凹部を設けることにより得られる、請求項1に記載の光拡散機能を有する位相差フィルム。
  3. 複数の前記凸部の平均高さ又は複数の前記凹部の平均深さが0.5μm以上である、請求項1又は2に記載の光拡散機能を有する位相差フィルム。
  4. 複数の前記凸部又は凹部が、エンボス模様又は連続山形模様である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散機能を有する位相差フィルム。
  5. 正面レターデーションRoが50nm以上であり、かつ厚みレターデーションRthの絶対値が20nm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散機能を有する位相差フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光拡散機能を有する位相差フィルムの製造方法であって、
    溶融押出法により成膜し、非晶性熱可塑性樹脂により形成されたフィルムを得る工程と、
    前記フィルムを延伸する延伸工程と、
    前記延伸工程において、又は前記延伸工程の直後に、前記フィルムの片面又は両面に複数の凸部又は凹部を設けて、光拡散機能を有する位相差フィルムを得る工程とを備える、光拡散機能を有する位相差フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光拡散機能を有する位相差フィルムと、
    前記光拡散機能を有する位相差フィルムの一方の表面に積層された偏光板とを備える、複合偏光板。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光拡散機能を有する位相差フィルムと、
    前記光拡散機能を有する位相差フィルムの一方の表面側に配置された偏光子とを備える、偏光板。
  9. 液晶セルと、
    バックライトと、
    前記液晶セルと前記バックライトとの間に配置された請求項1〜5のいずれか1項に記載の光拡散機能を有する位相差フィルムとを備える、液晶表示装置用バックライトユニット。
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