JP2012032103A - 伝熱板とこれを用いた熱交換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】暖房時の除湿において、室内の暖房負荷の増加を抑制すると共に、消費電力の増加を抑制し、連続的に除湿が行える伝熱板とこれを用いた熱交換素子を提供することを目的とする。
【解決手段】室内側空気と室外側空気を熱交換させて室内側空気を除湿する熱交換素子1に用いられる伝熱板2であって、この伝熱板2は透湿層6と断熱層7を有する複層の構成で、断熱層7は少なくとも室外空気側に設けられることを特徴とする伝熱板2と、この伝熱板2を複数積層したことを特徴とする熱交換素子1。
【選択図】図2
【解決手段】室内側空気と室外側空気を熱交換させて室内側空気を除湿する熱交換素子1に用いられる伝熱板2であって、この伝熱板2は透湿層6と断熱層7を有する複層の構成で、断熱層7は少なくとも室外空気側に設けられることを特徴とする伝熱板2と、この伝熱板2を複数積層したことを特徴とする熱交換素子1。
【選択図】図2
Description
本発明は、除湿用の熱交換素子に関するものである。
従来、湿度も交換する全熱交換素子を用いた除湿において、暖房時に室内の除湿を行いたい場合、顕熱も交換してしまうため、室内の暖房負荷が増加してしまうという課題があった。
この課題に対応するため、水蒸気のみ移動させる吸湿材のロータを用いた除湿装置が考案されている(例えば特許文献1参照)。
この装置について図3を用いて説明する。
図3に示すように、室内空気を矢印イの方向で循環させる通路と室外空気を矢印ロの方向で循環させる通路を仕切っている仕切り板101を貫通して、室内空気循環通路および室外空気循環通路を遮るように吸湿材のデシカントロータ102が回転可能に設置され、室外空気循環通路内デシカントロータ102の上流側にヒータ103が設けられている。
上記構成で、室内空気の水蒸気をデシカントロータ102で吸着し、その吸着した水蒸気をデシカントロータ102の回転により室外空気循環通路側に移動させ、ヒータ103で加熱された室外空気が室内空気の水蒸気を吸着したデシカントロータ102を通過することにより、デシカントロータ102に吸着されていた水蒸気を脱着させ、室外空気に放湿させている。
このような従来の除湿装置においては、連続的に除湿するためには、除湿ロータをヒータ等で加熱再生する必要があり、消費電力が増加するという課題を有していた。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、室内の暖房負荷の増加を抑制すると共に、消費電力の増加を抑制し、連続的に除湿が行える伝熱板とこれを用いた熱交換素子を提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明は、室内側空気と室外側空気を熱交換させる熱交換素子に用いられる伝熱板であって、この伝熱板は、水蒸気のみを選択的に透過させる透湿膜を有する透湿層と、空隙を有する断熱層を備え、前記断熱層の厚みは、前記透湿層の厚みより厚いことを特徴とする伝熱板であり、これにより所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、水蒸気のみを選択的に透過させる透湿膜を有する透湿層と、空隙を有する断熱層を備え、断熱層の厚みが、透湿層の厚みより厚い伝熱板により、顕熱の交換を抑制し水蒸気の交換を促進することが可能となり、温度低下を抑えた除湿が実現できる。
すなわち、暖房時に除湿が必要な室内側空気と低温の室外側空気との熱交換の場合、従来の全熱交換の場合は、顕熱も交換され、室内側空気は除湿されると共に低温の室外側空気と顕熱交換するため温度低下し、室内の暖房負荷を増加させていたが、本発明の伝熱板を用いた熱交換の場合、室内側空気の水蒸気を室外側空気に移動させるが、透湿層の厚みより厚い断熱層を備えた断熱効果により顕熱交換を抑制できるので、室内の暖房負荷の増加も抑制できるという効果を有する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に示すように、熱交換素子1は、水蒸気のみを選択的に透過させる透湿膜を有する透湿層と、空隙を有する断熱層を備える、すなわち透湿性と断熱性を有する伝熱板2を、間隔板3により各伝熱板2どうしの間隔を設けて積層され構成されている。
図1に示すように、熱交換素子1は、水蒸気のみを選択的に透過させる透湿膜を有する透湿層と、空隙を有する断熱層を備える、すなわち透湿性と断熱性を有する伝熱板2を、間隔板3により各伝熱板2どうしの間隔を設けて積層され構成されている。
そして隣合う伝熱板2の間隔は、実線の矢印で示す室内側空気を通過させる室内側風路4と、破線の矢印で示す室外側空気を通過させる室外側風路5が交互になるよう風路構成されている。ここで、室内側風路4を通過する室内側空気は室内を循環させ、室外側風路5を通過する室外側空気も室外で循環させており、室内と室外の空気交換、いわゆる換気は行われていない。
伝熱板2は、図2に示すように、水蒸気のみを選択的に透過させる透湿層6と顕熱を通過させにくい断熱層7の複層構造で、図2(a)は室外空気側に断熱層7を設け、図2(b)は透湿層6の両側に断熱層7を設けた例である。
伝熱板2の透湿層6は、厚さが0.2〜0.1mm、好ましくは0.1〜0.01mmの伝熱性と透湿性を有する非水溶性の透湿膜で構成される。透湿膜としては、ポリプロピレン(以下、PPと記載)、ポリエチレン(以下、PEと記載)、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)、ポリテトラフルオロエチレン、別名テフロン(登録商標)(以下、PTFEと記載)、エーテル系ポリウレタンなどを素材とし、非水溶性に処理したエーテル系のポリウレタン系樹脂、エーテル系のポリエステル系樹脂などを素材とし、非水溶性に処理した無孔質樹脂シートである。図2に示した伝熱板2の透湿層6は、エーテル系のポリエステル系樹脂を素材とした厚さ0.05mmの非水溶性に処理した無孔質樹脂シートの透湿膜で構成される。
また、伝熱板2の透湿層6は前記透湿膜の別の形態として、非水溶性の多孔質樹脂膜の片面に、気体遮蔽性を有する非水溶性の親水性透湿膜を重合した2層構造の透湿膜で構成してもよい。多孔質樹脂膜としては、PP、PE、PET、PTFEなどを素材とした多孔質樹脂シートである。特に多孔質樹脂膜として、孔径が小さく、非常に空隙率を大きくでき、膜厚を薄くできるPTFEが好ましい。気体遮蔽性を有する非水溶性の親水性透湿膜としては、エーテル系のポリウレタン系樹脂、エーテル系のポリエステル系樹脂などを素材とする。
図2に示した伝熱板2の透湿層6は、PTFEを素材とした厚さ0.02mmの多孔質樹脂膜の片面に、エーテル系のポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂を厚さ0.01mmに薄く形成した親水性透湿膜を重合した2層構造の透湿膜である。この明細書における重合とは、膜と膜をつなぎ合わせること、すなわち多孔質樹脂膜と親水性透湿膜をヒートシールやラミネートなどの加工による構造的な密着状態のことである。
伝熱板2の断熱層7は、空隙を有する非水溶性の多孔質樹脂基材で構成される。多孔質樹脂基材としては、PETなどのポリエステル系樹脂、PP、PEなどのポリオレフィン系樹脂などを素材とした熱可塑性樹脂の不織布を用いる。不織布は、坪量が30g/m2以上で、厚みが0.15mm以上であり、多孔質により空隙を有するため、空気による断熱効果を創出する。
さらに不織布を構成する繊維として中空糸構造を用いると、空気による断熱効果を増加させることができ、例えばPETを素材とした中空糸構造の繊維の不織布で、坪量40g/m2、厚さ0.2mmの多孔質樹脂基材を用いることができる。
図2(a)に示した伝熱板2は、多孔質樹脂膜と親水性透湿膜を重合した2層構造の透湿膜の片面に、断熱層7をヒートシールやラミネートなどの加工により重合したものである。伝熱板2は、断熱層7の厚みが0.2mmであり、透湿層6の厚みが0.01mmの2層構造の透湿膜であり、伝熱板2の厚みは0.21mmとなるが、断熱層7の厚みは透湿層6より厚い構成である。
図2(b)に示した伝熱板2は、図2(a)の伝熱板2の透湿層6面に断熱層7を接着剤で点接着したドットラミー加工により貼り合わせたものである。伝熱板2は、断熱層7の厚みが0.2mmであり、透湿層6の厚みが0.01mmの2層構造の透湿膜であり、伝熱板2の厚みは0.41mmとなるが、断熱層7の厚みは透湿層6より厚い構成である。
上記構成において、室内の温度と湿度が高く、室外の温度と湿度が低い暖房時において、図1に示した熱交換素子1は、室内側風路4に室内側空気を通過させ、室外側風路5に室外側空気を通過させると、図2に示したように伝熱板2は、水蒸気のみを選択的に透過させる透湿層6と顕熱を通過させにくい断熱層7の複層構造で構成されているため、室内と室外の絶対湿度差により室内の湿度は室外に透過して室内は除湿される。また、除湿の際に室内側空気と室外側空気との間で伝熱板2を介して起こる顕熱交換は、断熱層7が顕熱を通過させにくい構成のため、室内の温度は室外の低温によって低下することを抑制することができ、室内の暖房負荷の増加を抑制することができる。
図2(a)の伝熱板2において室内から室外への湿度の移動は、室内側の湿度は透湿層6の透湿膜により水蒸気のみが選択的に透過し、断熱層7では空隙の不織布の間の空気を通過して室外側の空気に湿度が移動していくことにより、室内は除湿される。
また、室内と室外の温度(顕熱)交換においては、室外側に設けた断熱層7で空気を含む不織布の厚みによる温度勾配により伝熱を抑制することができる。さらに、不織布を構成する繊維として中空糸構造を用いた場合、不織布の繊維が中空糸構造であるため、中空糸の中の空気が断熱効果を高めるので、室内の温度は室外の低温によって低下することを抑制することができる。
図2(a)の伝熱板2は室外空気側に断熱層7を設けた構成であり、例えば幹線道路の近傍の住宅では、室外の空気は室内の空気より汚れているため、断熱層7は空隙を有する不織布で構成することにより、少なくとも室外側の断熱層7はフィルターのように汚れる可能性はあるが、透湿機能を有する透湿層6は室外空気の汚れが付着することがなく、透湿性能を長期に保持することができる。
図2(b)の伝熱板2は、図2(a)の伝熱板2に室内側にも断熱層7を設けた構成であり、図2(b)の伝熱板2において、特に室内と室外の温度(顕熱)交換では、室内側に設けた断熱層7により一層の断熱効果が得られ、室内の温度は室外の低温によって低下することを一層抑制することができる。さらに伝熱性を有する透湿層6を断熱層7で挟み込む構成とすることにより、透湿層6を直接室内側空気に触れさせず、断熱効果を高めることができる。
伝熱板2の透湿層6は骨組みを非水溶性の多孔質樹脂膜が担い、この骨組みに気体遮蔽性と透湿性を有する非水溶性の親水性透湿膜を重合したことにより親水性透湿膜を薄くすることができ、気体移行が少なく水蒸気のみを選択的に、且つ透過抵抗を小さくすることができるので、気流の漏れを防止することができると伴に、水蒸気透過を向上することができる。
また多孔質樹脂膜は細孔を多数有するため、親水性透湿膜が細孔に入り込むように重合することができるので、2層構造の透湿膜はアンカー効果により重合強度を向上することができ、剥離がなくなることで透湿膜の基本性能を長期に保持することができる。
またPTFEは多孔質樹脂膜の孔径を小さく、多数にすることができるため空隙率を大きくすることができるので、多孔質樹脂膜と重合した親水性透湿膜の有効透湿面積は広くなり水蒸気透過を向上することができる。
また図2の透湿層6は多孔質樹脂膜と親水性透湿膜を重合した2層構造の透湿膜であり、図2(a)の伝熱板2では、多孔質樹脂膜の片面に親水性透湿膜を重合した他面に、断熱層7をヒートシール加工で重合することができる。すなわち、多孔質樹脂膜の細孔に断熱層7の不織布が入り込むように重合することができるので、アンカー効果により重合強度を向上することができる。
また図2(b)の伝熱板2は、前記図2(a)の伝熱板2の親水性透湿膜面と断熱層7とを、接着剤で点接着したドットラミー加工により貼り合わせたものであり、親水性透湿膜は透湿性能を高めるため、薄く凹凸が少なく形成しているので、接着剤を用いた点接着により確実な接着強度と透湿面の減少を抑制することができる。
以上のように、透湿膜による透湿性と空隙による断熱性を有する伝熱板2、すなわち水蒸気のみを選択的に透過させる透湿膜を有する透湿層6と、空隙を有する断熱層7を備え、断熱層7の厚みが、透湿層6の厚みより厚い伝熱板2を熱交換素子1に用いることより、顕熱の交換を抑制し水蒸気の交換を促進することが可能となり、温度低下を抑えた除湿が実現できる。
すなわち、暖房時に除湿が必要な室内側空気と低温の室外側空気との熱交換の場合、従来の全熱交換の場合は、顕熱も交換され、室内側空気は除湿されると共に低温の室外側空気と顕熱交換するため温度低下し、室内の暖房負荷を増加させていたが、本発明の伝熱板を用いた熱交換の場合、室内側空気の水蒸気を室外側空気に移動させるが、透湿層の厚みより厚い断熱層を備えた断熱効果により顕熱交換を抑制できるので、室内の暖房負荷の増加も抑制できるという効果を有する。
本発明にかかる伝熱板とこれを用いた熱交換素子は、顕熱交換を抑制し、潜熱交換を促進させるものであるので、暖房時の室内の除湿装置として有用である。
1 熱交換素子
2 伝熱板
3 間隔板
4 室内側風路
5 室外側風路
6 透湿層
7 断熱層
2 伝熱板
3 間隔板
4 室内側風路
5 室外側風路
6 透湿層
7 断熱層
Claims (3)
- 室内側空気と室外側空気を熱交換させる熱交換素子に用いられる伝熱板であって、
この伝熱板は、水蒸気のみを選択的に透過させる透湿膜を有する透湿層と、空隙を有する断熱層を備え、
前記断熱層の厚みは、前記透湿層の厚みより厚いことを特徴とする伝熱板。 - 断熱層は少なくとも室外空気側に配置される構成としたことを特徴とする請求項1記載の伝熱板。
- 請求項1または2に記載の伝熱板を複数積層したことを特徴とする熱交換素子。
Priority Applications (1)
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JP2010173362A JP2012032103A (ja) | 2010-08-02 | 2010-08-02 | 伝熱板とこれを用いた熱交換素子 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104142087A (zh) * | 2014-08-04 | 2014-11-12 | 杨文举 | 一种提高散热器热效率的散热片制造方法 |
-
2010
- 2010-08-02 JP JP2010173362A patent/JP2012032103A/ja active Pending
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