JP2012032023A - 調湿装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾燥剤の可逆的水分吸着特性を利用することによって、夏場及び冬場での空気の調湿を効率的に行うことできる調湿装置を提供する。
【解決手段】乾燥剤を表面層として備えている金属製のフィン群31と、空気入口13と空気出口14とを有してフィン群31を収容している通気室12と、フィン群31を加熱して乾燥剤を加熱するための加熱手段20A,20Bと、を備える。乾燥剤は、吸湿温度領域が0〜30℃であり、脱水温度領域が60〜80℃である合成ゼオライトでなる。加熱手段20A,20Bには、太陽熱温水器81やヒートポンプ40が含まれる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、調湿装置、特に、吸湿温度領域とそれよりも高温域の脱水温度領域とが存在する可逆的水分吸着特性を発揮する乾燥剤の上記特性を利用している調湿装置に関する。
従来より、建物内の空気環境を適切な範囲に保つことのために、自然素材や人工調湿建材(無垢材等)の可逆的水分吸着特性を利用するという着想が存在している(たとえば、特許文献1参照)。
特開2004−333106号公報(0049〜0051)
しかしながら、特許文献1に記載されている上記の着想だけでは、夏場や冬場に居住空間の調湿を効率的に行うことには無理がある。
本発明は、以上の状況の下でなされたものであり、上記したような無垢材等以外の特定の乾燥剤が可逆的水分吸着特性を発揮することに着目し、その乾燥剤の可逆的水分吸着特性を利用することによって、夏場及び冬場での外気又は内気(室内空気)の調湿を効率的に行うことできる調湿装置を提供することを目的とする。
本発明に係る調湿装置は、空気中の水分を吸収する吸湿温度領域とこの吸湿温度領域よりも高温領域に含まれて吸収した水分を空気中に放出する脱水温度領域とが存在する可逆的水分吸着特性を発揮する乾燥剤を表面層として備えている金属製のフィン群と、空気入口と空気出口とを有して上記フィン群を収容している通気室と、上記フィン群を加熱して上記乾燥剤を脱水温度領域に属する温度に加熱するための加熱手段と、を備えている。
この構成の調湿装置において、フィン群の表面層を形成している乾燥剤の吸湿温度領域に含まれる温度に空気を制御して通気室に導入すると、通気室内の空気が乾燥剤に接触してその乾燥剤が空気中に含まれる水分を吸収し、空気の湿度が低下する。
その一方で、フィン群の表面層を形成している乾燥剤による水分の吸収能力には限界があり、その吸収能力が飽和してしまうと、乾燥剤による水分の吸収能力は発揮されなくなる。そこで、加熱手段の作用でフィン群を加熱して乾燥剤を脱水温度領域に属する温度に加熱すると、乾燥剤に吸収されている水分が通気室内の空気中に放出されて、当該乾燥剤による水分の吸収能力が再生される。
したがって、気温の高い夏場のように外気や室内空気の湿度が高いときには、フィン群の表面層を形成している乾燥剤による水分の吸収能力を活用することによって空気の湿度を下げることができ、気温の低い冬場のように外気や室内空気が乾燥しているときには、加熱手段の作用で乾燥剤を脱水温度領域に属する温度に加熱することによって、乾燥剤に吸収されている水分を通気室内の空気中に放出させて空気の湿度を上げることができる。
本発明において、上記表面層を形成している乾燥剤は、吸湿温度領域が0〜30℃であり、脱水温度領域が60〜80℃である合成ゼオライトでなることが望ましい。合成ゼオライトは、天然に産出するゼオライトに由来する乾燥剤であり、「モレキュラーシーブ」あるいは「エスロン」と称されることがある。このものは、60〜80℃の熱を加えると、吸収している水分をすべて放出するのに対し、30℃前後では水分を吸収する。また、30℃以下であっても、氷点下以外の温度領域では水分を吸収する。したがって、気温と空気中の湿度の高い夏場には上記合成ゼオライトの水分吸収性能を利用することにより、また、気温と空気中の湿度の低い冬場には上記合成ゼオライトの水分放出性能を利用することより、空気の湿度を適切に調節することが可能になる。
本発明において、上記加熱手段には、上記フィン群が固着された主伝熱管と、この主伝熱管内で流通する温水を発生させる太陽熱温水器とを有する主加熱手段を利用することが可能である。太陽熱温水器は、太陽熱で水を温めて温水を発生させる機能を備え、多くの場合には住宅の屋根に設置される。この太陽熱温水器によると、気温の高い夏場に効率よく温水を発生させることができ、また、気温の低い冬場であっても温水を発生させることが可能である。
本発明において、上記加熱手段は、上記フィン群が固着された主伝熱管と、この主伝熱管内で流通する温水を発生させる太陽熱温水器とを有する上記主加熱手段と、上記フィン群が固着された副伝熱管と、この副伝熱管内で流通する熱媒を発生させるヒートポンプとを備える補助加熱手段と、によって構成されていてもよい。この構成であると、太陽熱温水器によって十分に高温の温水を発生させることが困難なときに、ヒートポンプによって発生させた高温の熱媒を利用してフィン群の表面層を形成している乾燥剤を加熱して脱水させることが可能になる。
以上のように、本発明によると、合成ゼオライトのような乾燥剤の可逆的水分吸着特性を利用して、夏場及び冬場での空気の調湿を効率的に行うことができるようになる。
本発明の実施形態に係る調湿装置を例示した説明図である。 夏場の調湿運転モードを例示した空調システムの全体説明図である。 (A)〜(D)は夏場の調湿運転での切替弁などの状態を示した説明図である。 夏場の乾燥剤再生運転モードを例示した空調システムの全体説明図である。 夏場の乾燥剤再生運転での切替弁の状態を示した説明図である。 冬場の水分吸収運転モードを例示した空調システムの全体説明図である。 冬場の水分吸収運転での切替弁などの状態を示した説明図である。 冬場の調湿運転モードを例示した空調システムの全体説明図である。 冬場の調湿運転での切替弁などの状態を示した説明図である。 ラジエータの説明図である。
図1は本発明の実施形態に係る調湿装置10を例示した説明図である。同図の調湿装置は、矩形箱形の筐体11の内部空間が通気室12として形成されていて、その通気室12に連通する空気入口13と空気出口14とが筐体11の相反する側に設けられている。通気室12には、蛇行状の主伝熱管21及び蛇行状の副伝熱管25とが配備されている。そして、主伝熱管21の熱媒入口22及び熱媒出口23が筐体11の相反する側に突出している。同様に、副伝熱管25の熱媒入口26及び熱媒出口27も筐体11の相反する側に突出している。また、蛇行状に曲がっている主伝熱管21及び副伝熱管25には、金属薄板で作られて平行に配備された多数のフィンの集合であるフィン群31が固着されていて、このフィン群31に通気室12を流通する空気が接触するように構成されている。
主伝熱管21の熱媒入口22には、太陽熱温水器の温水供給管路(不図示)が接続されているのに対し、主伝熱管21の熱媒出口23には、上記太陽熱温水器の温水戻り管路(不図示)が接続されている。そして、太陽熱温水器で発生した温水が主伝熱管21の管路を流通することによってフィン群31が加熱されるように構成されている。したがって、フィン群31が固着されている主伝熱管21と太陽熱温水器とによって主加熱手段20Aが構成されている。
また、副伝熱管25の熱媒入口26にはヒートポンプ40の熱媒供給管路41が接続され、副伝熱管25の熱媒出口27には、ヒートポンプ40の熱媒戻り管路42が接続されている。そして、ヒートポンプ40の熱媒体が副伝熱管25の管路を流通することによってもフィン群31が加熱されるように構成されている。したがって、フィン群31が固着された副伝熱管25とヒートポンプ40とによって補助加熱手段20Bが構成されている。この補助加熱手段20Bは、主加熱手段20Aによる加熱作用を補助する役割を担っている。
図1中に拡大して示したように、フィン群31を形成している個々のフィン32の外面には乾燥剤が塗布されていて、この乾燥剤がフィン群31の表面層50を形成している。フィン群31の表面層50を形成している乾燥剤は可逆的水分吸着特性を発揮する。ここで、乾燥剤の可逆的水分吸着特性とは、乾燥剤自体が、空気中の水分を吸収する吸湿温度領域と吸収した水分を空気中に放出する脱水温度領域とを有していて、吸湿温度領域に含まれる温度では乾燥剤が空気中の水分を吸収し、脱水温度領域に含まれる温度では乾燥剤が吸収している水分を放出するという特性のことである。そして、この実施形態に採用されているフィン群31の表面層50を形成している乾燥剤は、脱水温度領域が吸湿温度領域よりも高温領域に含まれている。
この実施形態で使用されている乾燥剤は、吸湿温度領域が0〜30℃であり、脱水温度領域が60〜80℃である合成ゼオライトである。上記したように、合成ゼオライトは、天然に産出するゼオライトに由来する乾燥剤であり、「モレキュラーシーブ」あるいは「エスロン」と称されている。また、実施形態のように合成ゼオライトを乾燥剤として用いると、合成ゼオライトの水分吸収性能を利用することにより、気温と空気中の湿度の高い夏場の空気中の水分を吸収させて湿度を低下させることができる。また、合成ゼオライトの水分放出性能を利用することより、気温と空気中の湿度の低い冬場の空気中に水分を放出させて空気の湿度を上げ、空気の過乾燥を防ぐことができる。
次に、図1を参照して説明した調湿装置10を利用して居住室の湿度調整を行う空調システムを図2〜図9を参照して説明する。図2、図4、図6及び図8は空調システムの全体説明図である。これらの図によって明らかなように、調湿装置10の空気入口13に居住室Rから延び出た空気戻り管路61が接続され、空気出口14には居住室Rに通じる送気管路62が接続されている。そして、空気戻り管路61の途中箇所に、外気を空気戻り管路61に導入する外気管路63が接続されていて、その接続箇所に、居住室Rの空気を上記空気入口13に導入するモードと、外気を上記空気入口13に導入するモードとを切り換えるための切替弁aが介在されている。また、送気管路62には、湿度計64と送風ファン(シロッコファン)65が介在されていると共に、上記空気出口14から出た空気を居住室Rの外方へ排出することに使われる切替弁cが介在されている。さらに、上記した空気戻り管路61における切替弁aの下流側部分にバイパス管路71が接続されていて、このバイパス管路71に空気冷却用のラジエータ72が介在されている。バイパス管路71の上流側端部と空気戻り管路61との接続箇所に切替弁bが介在されていて、この切替弁bによって、空気をラジエータ72を通さずに調湿装置10の空気入口13に導入するモードと、空気をラジエータ72を通して調湿装置10の空気入口13に導入するモードと、を選択することができるようになっている。ラジエータ72の構成は図10に概略的に示してあり、同図のラジエータの構成については後述する。
居住室Rの屋根に太陽熱温水器81が設置されている。そして、太陽熱温水器81の温水供給管路82が調湿装置10の熱媒入口22に接続されていて、その温水供給管路82の途中箇所に遮断弁dが介在されている。調湿装置20の熱媒出口23に太陽熱温水器81の温水戻り管路83が接続されている。
上記した空気戻り管路61や外気管路63は、それらの一部が地中に設置された温度調整ユニット66に接続されている。この温度調整ユニット66は、地熱温度が季節の変化に関係なく年間を通じてほゞ一定に保たれていることを利用して、空気戻り管路61や外気管路63を流通する空気の温度を地熱温度と同等に制御する機能を有している。
図10を参照してラジエータ72の構成を説明する。同図のように、このラジエータ72は、矩形箱形の筐体73の内部空間が通気室74として形成されていて、その通気室74に連通する空気入口75と空気出口76とが筐体73の相反する側に設けられている。通気室74には、フィン群77を有する蛇行状の伝熱管78が配備されている。そして、伝熱管78の熱媒入口及び熱媒出口が筐体73の相反する側に突出している。
次に、空調システムの作用を夏場と冬場に分けて説明する。ここで、夏場とは、外気温が高く、外気の湿度が50%以上を示す季節のことであり、冬場とは、外気温が低く、外気の湿度が50%以下を示す季節のことである。
図2は夏場に居住室Rの室内空気の湿度を50%以下に調節する場合を示している。夏場の外気は湿度が高いので、夏場の調湿運転は、居住室Rの室内空気の湿度を下げることを意図する運転である。
図2又は図3(A)に示したように、切替弁aは、居住室Rの空気が、空気戻り管路61を流通して温度調整ユニット66を通過し、調湿装置10の空気入口13に導入されるモードに切り換えられている。また、切替弁cは調湿装置10の空気出口14から出た空気が居住室Rに送られるモードに切り換えられている。さらに、切替弁bは空気をラジエータ72を通さずに調湿装置10に送るモードに切り換えられ、遮断弁dは遮断モードに設定されている。
居住室Rの空気の湿度を50%に以下に抑えるための夏場の調湿運転において、送風ファン65が起動されると、居住室Rの空気が、空気戻り管路61を流通して温度調整ユニット66を通過し、切替弁a及び切替弁bを経て調湿装置10の空気入口13に導入され、調湿装置10の通気室12を流通し、空気出口14から出て送気管路62を通って居住室Rに送気される。
このような循環経路は、湿度計64によって計測される送気管路62の空気の湿度が50%以下である間は維持され、湿度計64によって計測される送気管路62の空気の湿度が50%以上になったときには上記経路が遮断される。この点についてはさらに後述する。
上記した夏場の調湿運転において、温度調整ユニット66を通過した空気の温度は地熱温度と同等の温度に制御される。地熱温度は年間を通じて0℃以上30℃以下、たとえば25℃前後を維持しているので、温度調整ユニット66に入る空気が仮に30℃以上の高温であっても、温度調整ユニット66を通過した空気の温度は0〜30℃以下に制御される。そのため、調湿装置10の通気室12では、30℃以下の温度に制御された空気が、図1に示したフィン群31の表面層50を形成している乾燥剤と接触する。この乾燥剤は、吸湿温度領域が0〜30℃で空気中の水分を吸収するという吸着特性を有しているため、通気室12を流通する空気中の水分が乾燥剤に吸収される。その結果、居住室Rに送気される空気の湿度が50%以下になり、居住室Rでは蒸し暑さを感じない程度の湿度環境が保たれる。
上記した夏場の調湿運転では、居住室Rの空気を空気戻り管路61を経て居住室Rに再循環させる事例を説明したけれども、この点は、外気を居住室Rに送気するという外気導入運転を行うことも可能である。夏場の調湿運転で、上記の外気導入運転を行う場合には、図3(B)のように切替弁aを切り換えることにより、外気管路63に導入した外気を空気戻り管路61に送気する。外気管路63にも温度調整ユニット66が備わっているので、この外気導入運転を行うことによっても、居住室Rに送気される空気の湿度が50%以下になり、居住室Rでは蒸し暑さを感じない程度の湿度環境が保たれる。
また、調湿装置10の上流側に設けられているラジエータ72を利用して空気を冷却することにより、調湿装置10の通気室12に導入される空気の飽和水蒸気量を少なくして調湿効率を高めることも可能である。この場合において、上記した夏場の調湿運転では、図3(C)のように切替弁bを切り換えて空気をバイパス71に送り込む。このようにすると、空気がラジエータ72の通気室74を通過することにより冷却されてその飽和水蒸気量が少なくなる。したがって、調湿装置10の乾燥剤による水分吸収のための負担が軽減されて、長時間の連続した夏場の調湿運転が可能になる。同様に上記した外気導入運転下でも、図3(D)のように切替弁bを切り換えて空気をバイパス71に送り込むことにより同様の作用が発揮される。
上記した夏場の調湿運転を連続して行うと、調湿装置10のフィン群31の表面層50を形成している乾燥剤の水分吸収能力が低下していく。そこで、湿度計64による計測値が50%以上になったところで、乾燥剤を再生するための乾燥剤再生運転に移行する。
図4は夏場の乾燥剤再生運転を行う場合を示している。この乾燥剤再生運転では、湿度計64の計測値が50%以上になったところで、図4及び図5に示したように、切替弁aは、外気管路63に導入した外気を空気戻り管路61に送気するモードとし。また、遮断弁dが切り換えられて、太陽熱温水器81で発生した温水が温水供給管路82を経て調湿装置10の熱媒入口22に導入され、併せて、切替弁cが切り換えられて調湿装置10の空気出口14が外気に開放される。この乾燥剤再生運転を行うと、調湿装置10の主伝熱管21に太陽熱温水器81で発生した温水が供給されるため、主伝熱管21に固着されているフィン群31の表面層50を形成している乾燥剤が加熱される。そして、上記温水により乾燥剤がその脱水温度領域である60〜80℃の範囲内の温度に加熱されると、乾燥剤の可逆的水分吸着特性により、乾燥剤に吸収されていた水分が空気中に放出されて乾燥剤が再生される。なお、この乾燥剤再生運転では、調湿装置10の通気室12を流通する空気に乾燥剤から放出された水分が混ざってその空気の湿度が上がる。したがって、この高湿度の空気は切替弁cを経て外気に放出される。
乾燥剤再生運転を行うときに、たとえ夏場であっても、太陽熱温水器81で発生する温水が乾燥剤の脱水温度領域である60〜80℃に達しないことも起こり得る。その場合には、ヒートポンプ40を運転することにより、60〜80℃の熱媒体を調湿装置10の副伝熱管25に送り込む。
夏場の乾燥剤再生運転では、切替弁aは外気が調湿装置10の空気入口13に導入されるモードに設定され、切替弁cは調湿装置10の空気出口14を外気に開放するモードに設定されている。これにより、外気が、外気管路63を流通して、調湿装置10の空気入口13に導入され、調湿装置10の通気室12を流通し、空気出口14から出て外気に放出される。
乾燥剤再生運転を行うことよって、乾燥剤が再生されたか否かは、湿度計64による計測値によって判断し、湿度計64の計測値が50%以下の十分に低い値に達したところで、上記した夏場の調湿運転に回帰する。
なお、居住室Rの室温制御は、居住室Rに設置したエアーコンディショナーCを利用して行うことが可能である。
図6は冬場に居住室Rの室内空気の湿度を50%以上の適切な値に調節する場合を示している。冬場の外気は乾燥しているので、冬場の調湿運転は、居住室Rの室内空気の湿度を高くすることを意図する運転である。
冬場の調湿運転を行うに先立ち、調湿装置10のフィン群31の表面層50を形成している乾燥剤に水分を吸収させるという水分吸収運転(冬場の水分吸収運転)が行われる。
図6及び図7に示したように、切替弁aは温度調整ユニット66を通過した外気が調湿装置10の空気入口13に導入されるモードに設定され、切替弁bは外気をラジエータ71を通さずに調湿装置10に送るモードに切り換えられている。また、切替弁cは調湿装置10の空気出口14を外気に開放するモードに設定されている。さらに、遮断弁dは遮断モードに設定されている。
冬場の水分吸収運転において、送風ファン65が起動されると、外気が、外気管路63を流通して温度調整ユニット66を通過し、切替弁a及び切替弁bを経て調湿装置10の空気入口13に導入され、調湿装置10の通気室12を流通し、空気出口14から出て切替弁cにより外気に放出される。
こうして冬場の水分吸収運転を行うと、外気が温度調整ユニット66を通過することによって地熱温度と同等の温度に制御される。地熱温度は年間を通じて0〜30℃、たとえば25℃前後を維持しているので、温度調整ユニット66を通過した空気の温度は0〜30℃に制御される。そのため、調湿装置10の通気室12では、0〜30℃の温度に制御された空気が、図1に示したフィン群31の表面層50を形成している乾燥剤と接触する。この乾燥剤は、吸湿温度領域が0〜30℃で空気中の水分を吸収するという吸着特性を有しているため、通気室12を流通する空気中の水分が乾燥剤に吸収される。乾燥剤に空気中の水分が十分に吸収されたか否かは、切替弁cから外気に放出される空気の湿度を湿度計64によって計測して判断することが可能である。
こうして乾燥剤に十分な量の空気中の水分を吸収させた後に、冬場の調湿運転に移行する。
冬場の調湿運転では、図8又は図9のように、切替弁cが切り換えられて、調湿装置10の空気出口14を出た空気が居住室Rに送り込まれる。また、遮断弁dが切り換えられて、太陽熱温水器81で発生した温水が温水供給管路82を経て調湿装置10の熱媒入口22に導入される。こうして冬場の調湿運転を行うと、調湿装置10の主伝熱管21に太陽熱温水器81で発生した温水が供給されるため、主伝熱管21に固着されているフィン群31の表面層50を形成している乾燥剤が加熱される。そして、上記温水により乾燥剤がその脱水温度領域である60〜80℃の範囲内の温度に加熱されると、乾燥剤の可逆的水分吸着特性により、乾燥剤に吸収されていた水分が空気中に放出される。これにより、調湿装置10の通気室12を流通する空気に乾燥剤から放出された水分が混ざってその空気の湿度が上がる。したがって、居住室Rに送り込まれる空気の乾燥度が低下し、居住室Rの湿度環境が良好に保たれる。
冬場の調湿運転を行うときに、太陽熱温水器81で発生する温水が乾燥剤の脱水温度領域である60〜80℃に達しないことも起こり得る。その場合には、ヒートポンプ40を運転することにより、60〜80℃の熱媒体を調湿装置10の副伝熱管25に送り込む。
この調湿運転は、切替弁aによって居住室Rに空気が循環されるモードが選定されているときでも、切替弁aによって外気が居住室Rに送り込まれるモードが選定されているときでも、同様に行うことが可能である。
冬場の調湿運転を連続して行うと、乾燥剤に吸収されている水分量が減少してその調湿運転を続行できなくなる。そこで、湿度計64の計測値により、居住室Rに送り込まれる空気が乾燥しすぎていると判断されたときに、図6及び図7を参照して説明した冬場の水分吸収運転に移行する。
なお、居住室Rの室温制御は、居住室Rに設置したエアーコンディショナーCを利用して行うことが可能である。
以上では、夏場の調湿運転と乾燥剤再生運転とを交互に行い、冬場の調湿運転と水分吸収運転とを交互に行う事例を説明したけれども、この点は、図2、図4、図6、図8に示した空調システムを2系統用意し、夏場には、一方側の空調システムで調湿運転を行っているときに他方側の空調システムで乾燥剤再生運転を行い、冬場には、一方側の空調システムで調湿運転を行っているときに他方側の空調システムで水分吸収運転を行うことも可能である。このようにすると、夏場及び冬場に、連続した調湿運転を行うことが可能である。
10 調湿装置
12 通気室
13 空気入口
14 空気出口
20A 主加熱手段(加熱手段)
20B 補助加熱手段(加熱手段)
21 主伝熱管
25 副伝熱管
31 フィン群
40 ヒートポンプ
50 表面層
81 太陽熱温水器

Claims (4)

  1. 空気中の水分を吸収する吸湿温度領域とこの吸湿温度領域よりも高温領域に含まれて吸収した水分を空気中に放出する脱水温度領域とが存在する可逆的水分吸着特性を発揮する乾燥剤を表面層として備えている金属製のフィン群と、
    空気入口と空気出口とを有して上記フィン群を収容している通気室と、
    上記フィン群を加熱して上記乾燥剤を脱水温度領域に属する温度に加熱するための加熱手段と、
    を備えていることを特徴とする調湿装置。
  2. 上記表面層を形成している乾燥剤は、吸湿温度領域が0〜30℃であり、脱水温度領域が60〜80℃である合成ゼオライトでなる請求項1に記載した調湿装置。
  3. 上記加熱手段は、上記フィン群が固着された主伝熱管と、この主伝熱管内で流通する温水を発生させる太陽熱温水器とを有する主加熱手段を備える請求項1又は請求項2に記載した調湿装置。
  4. 上記加熱手段は、上記フィン群が固着された主伝熱管と、この主伝熱管内で流通する温水を発生させる太陽熱温水器とを有する上記主加熱手段と、
    上記フィン群が固着された副伝熱管と、この副伝熱管内で流通する熱媒を発生させるヒートポンプとを備える補助加熱手段と、
    によって構成されている請求項1又は請求項2に記載した調湿装置。
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