JP2012031935A - 摺動構造およびその摺動構造に用いる摺動部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】Cu基軸受合金層を有する摺動部材とダイヤモンドライクカーボン層を有する被摺動部材とを備えたものであって、非焼付性に優れる摺動構造およびその摺動構造に用いる摺動部材を提供する。
【解決手段】相対的な摺動を行う摺動部材2と被摺動部材3とを備えている摺動構造1において、摺動部材2は摺動面を形成するCu基軸受合金層4を有し、被摺動部材3は摺動面を形成するDLC層6を有し、Cu基軸受合金層4は硬質粒子4bを含んでいる。DLC層6の硬さは、ビッカース硬さでHV1000以上であり、硬質粒子4bの硬さに対して1倍を超え4倍以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、Cu基軸受合金層を有する摺動部材とダイヤモンドライクカーボン層を有する被摺動部材とを備えた摺動構造およびその摺動構造に用いる摺動部材に関する。
相対的な摺動を行う摺動部材と被摺動部材とを備えた摺動構造においては、摺動部材および被摺動部材の耐疲労性、耐摩耗性、非焼付性、耐食性などの軸受特性が良好であることが好ましい。軸受特性の向上を図った摺動構造は、例えば特許文献1および特許文献2に開示されている。
特許文献1には、例えば摺動部材の摺動面側にCu基軸受合金層を設け、被摺動部材の摺動面側にDLC層(ダイヤモンドライクカーボン層)を設けることにより、摺動面での焼付の発生の低減や摺動面の摩擦係数の低減が図れることが開示されている。
特許文献2には、Cu基軸受合金層を有する摺動部材において、Cu基軸受合金層に硬質粒子を含ませることにより、摺動部材の耐食性の向上が図れることが開示されている。
また、被摺動部材の摺動面には、摺動によって生じた凝着物が付着していることがある。凝着物が被摺動部材に付着したまま摺動部材と被摺動部材とが摺動すると、凝着物が摺動部材の摺動面と接して焼付が発生することがある。ここで、摺動部材の摺動面に硬質粒子が多く分布しているほど、被摺動部材の摺動面に付着している凝着物は、この硬質粒子によって掻き落とされやすくなる。したがって、摺動部材の摺動面に硬質粒子を多く分布させることにより、焼付の発生の低減が図られる。
特開2008−164097号公報 特開2003−269456号公報
Cu基軸受合金層を有する摺動部材とDLC層を有する被摺動部材とを備えた摺動構造において、硬質粒子が硬すぎると硬質粒子に接するDLC層の一部は削られやすくなる。これにより、被摺動部材にDLC層を設けたことによる焼付の発生の低減や摩擦係数の低減の効果が得られにくくなる。一方、硬質粒子が軟らかすぎるとDLC層に接する硬質粒子は破壊されやすくなる。これにより、被摺動部材(DLC層)の摺動面に付着している凝着物は掻き落とされにくくなり、焼付が発生しやすくなる。
そこで、Cu基軸受合金層を有する摺動部材とダイヤモンドライクカーボン層を有する被摺動部材とを備えたものであって、非焼付性に優れる摺動構造およびその摺動構造に用いる摺動部材を提供する。
本発明の一実施形態の摺動構造は、相対的な摺動を行う摺動部材と被摺動部材とを備えている。ここで、摺動構造に用いられる摺動部材は摺動面を形成するCu基軸受合金層を有し、摺動構造に用いられる被摺動部材は摺動面を形成するDLC層を有し、Cu基軸受合金層は硬質粒子を含んでいる。そして、本発明の一実施形態の摺動構造は、DLC層の硬さがビッカース硬さでHV1000以上であり、硬質粒子の硬さに対して1倍を超え4倍以下であることを特徴としている(請求項1、請求項7)。
摺動構造は、相対的に摺動を行う2つの部材を有している。以下、相対的に摺動を行う2つの部材のうち、一方を摺動部材、他方を被摺動部材として説明する。
摺動部材は、摺動面を形成するCu基軸受合金層を有している。Cu基軸受合金層の面のうち被摺動部材と摺動する側の面が、摺動部材(Cu基軸受合金層)の摺動面となる。
Cu基軸受合金層には、Cuと硬質粒子とが含まれ、必要に応じてその他の成分が含まれている。Cu基軸受合金層に含まれる硬質粒子の一部は、Cu基軸受合金層の摺動面に露出して設けられていることが好ましい。この露出している硬質粒子は、Cuマトリクスに覆われていない面を有している。すなわち、露出している硬質粒子には、Cu基軸受合金層の摺動面から突出している硬質粒子も含まれる。この露出している硬質粒子は、Cu基軸受合金層に含まれる硬質粒子の量の割合(質量%)および硬質粒子の粒子径の大きさを調整することにより得られる。
Cu基軸受合金層は、鉄などから形成される裏金層上に設けてもよい。摺動部材が裏金層を有する場合、裏金層とCu基軸受合金層との間に、当該裏金層とCu基軸受合金層とを良好に接着させる接着層を設けてもよい。接着層としてはCuめっき層であることが好ましい。
被摺動部材は、摺動面を形成するDLC層(ダイヤモンドライクカーボン層)を有している。DLC層の面のうち摺動部材と摺動する側の面が、被摺動部材(DLC層)の摺動面となる。
DLC層は、炭化水素、あるいは炭素の同素体からなる非晶質(アモルファス)を主成分として形成されている層である。被摺動部材がDLC層を有することにより、次の作用によって摩擦係数が低減できると考えられる。すなわち、摺動部材と被摺動部材とが摺動すると、摺動部材のCu基軸受合金層の摺動面および被摺動部材のDLC層の摺動面において摩擦熱が生じる。その結果、被摺動部材のDLC層は、この摩擦熱によってグラファイト化して軟らかくなり、DLC層の剪断力は弱くなる。これにより、被摺動部材のDLC層の摩擦係数は低減される。
DLC層は、プラズマCVD法(化学気相成長法)、PVD法(物理気相成長法)などによって、例えば鉄などから形成される基材上に設けられている。
被摺動部材のDLC層の硬さは、ビッカース硬さでHV1000以上である。このような硬くて摩擦係数の小さいDLC層を被摺動部材に設けることにより、摺動構造での焼付の発生の低減および摩擦係数の低減の効果が得られる。
被摺動部材のDLC層の硬さは、硬質粒子の硬さに対して1倍を超え4倍以下である。DLC層の硬さが硬質粒子の硬さに対して1倍以下であると、DLC層と硬質粒子とが接して、DLC層が削られてその表面が粗くなる。そうなると、摺動面を形成するCu基軸受合金層が荒らされて、焼付に至ることになる。被摺動部材のDLC層の硬さが硬質粒子の硬さに対して4倍超えであると、DLC層と硬質粒子とが接して、硬質粒子が破壊されて脱落する。そうなると、DLC層の摺動面に付着している凝着物を掻き落とすことができず、凝着物がCu基軸受合金層の摺動面に付着することによる焼付の発生を低減させる効果が得られない。
DLC層の硬さは、例えば、DLC層に含まれる水素の含有量の調整、DLC層の混成軌道の比(sp2/sp3)の調整等をすることにより得られる。
硬質粒子としては、硼化物、珪化物、酸化物、窒化物、炭化物および金属間化合物からなる群より選択される少なくとも1種類の化合物であることが好ましい。また、硬質粒子の粒子径は、平均0.1〜20μmであることが好ましい(請求項2)。
硼化物としては、NiB、Ni3B、CrB、CrB、ZrB2、CoB、TiB2、VB2、TaB2、WB、MoB、Fe−B系などであることが好ましい。珪化物としては、TiSi2、WSi2、MoSi2、TaSi2、CrSi2、Fe−Si系、Mn−Si系などであることが好ましい。酸化物としては、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2、WO、MoO3、Mn−O系、Fe−O系、V−O系などであることが好ましい。窒化物としては、Si24、TiN、ZrN、TaN、VN、AlN、C−BN、Cr2Nなどであることが好ましい。炭化物としては、WC、W2C、SiC、B4C、TiC、TaC、VC、ZrC、Mo2Cなどであることが好ましい。金属間化合物としては、Ni−Sn系、Fe−W系、Fe−Mo系、Fe−Mn系、Fe−Cr系、Fe−Al系、Cr−Al系、V−Al系、Ti−Al系、W−Al系などであることが好ましい。
また、他の硬質粒子の材料として、Ni基自溶性合金(Ni−B−Si系)、Co基自溶性合金(Co−Mo−Si−B系)、C、WまたはMoを用いてもよい。
硬質粒子の粒子径が平均0.1μm以上である場合、硬質粒子がCu基軸受合金層の摺動面から露出しやすくなりDLC層の摺動面に接しやすくなる。これにより、DLC層の摺動面に付着している凝着物は硬質粒子によって掻き落とされやすくなり、凝着物がDLC層の摺動面に付着することによる焼付の発生の低減の効果が得られやすくなる。また、硬質粒子が被摺動部材のDLC層と接しやすくなるため、DLC層は摺動面で生ずる摩擦熱によってグラファイト化しやすくなり、DLC層の摺動面の摩擦係数を低減する効果が得られやすくなる。硬質粒子の粒子径が平均20μm以下である場合、Cu基軸受合金層中に硬質粒子が分散して存在しやすくなる。硬質粒子の粒子径を平均0.1〜20μmとすることにより、Cu基軸受合金層の摺動面において、Cu基軸受合金層に含まれる硬質粒子の量の割合が少ない場合でも、効率的に多くの数の硬質粒子をCu基軸受合金層の摺動面に露出させやすくできる。
Cu基軸受合金層に含まれる硬質粒子は、2種類以上でもよい。
また、硬質粒子がWC、W2CおよびMo2Cからなる群より選択される少なくとも1種類の化合物である場合、これらの硬質粒子の粒子径は、平均0.5〜10μmであることがより好ましい(請求項3)。
上述したように、硬質粒子による掻き落としの効果および摩擦係数の低減の効果が良好に得られるとともに、硬質粒子をCu基軸受合金層の摺動面側に露出させやすくできる。
Cu基軸受合金層に含まれる硬質粒子の平均の粒子径は、例えばフィッシャー法によって特定できる。
Cu基軸受合金層のうち硬質粒子を除く部分、すなわちCu基軸受合金層のCuマトリクスの硬さは、ビッカース硬さでHV50〜200であることが好ましい(請求項4)。
Cuマトリクスの硬さがビッカース硬さでHV50以上である場合、Cuマトリクス自身の耐摩耗性が向上し、摺動部材の耐摩耗性が向上する。Cuマトリクスの硬さがビッカース硬さでHV200以下である場合、Cuマトリクスは塑性変形しやすくクッションとして作用しやすくなる。そのため、Cu基軸受合金層の摺動面に分布している硬質粒子に被摺動部材の荷重が集中して加えられると、この硬質粒子はCu基軸受合金層の内部側に沈みやすくなる。これにより、荷重を受けた硬質粒子がDLC層の摺動面に比較的ソフトに接触し易くなり、被摺動部材のDLC層は削られにくくなる。したがって、DLC層の効果を良好に維持することができる。
Cuマトリクスの硬さは、例えばマイクロビッカース硬さ試験機を用いて測定して得られる。
Cu基軸受合金層には、BiおよびPbの少なくとも1種類を総量で10質量%以下含まれていることが好ましい(請求項5)。
BiおよびPbはCuマトリクス中に分散されやすいため、Cu基軸受合金層にBiおよびPbの少なくも1種類を含ませることにより、Cuマトリクス中にBiまたはPbから形成される軟質相を形成させることができる。Cuマトリクス中にこの軟質相を形成させることにより、Cuマトリクスが塑性変形しやすくなるとともに、Cu基軸受合金層の異物埋収性および非焼付性の向上を図ることができる。Cu基軸受合金層にBiおよびPbの少なくとも1種類を総量で20質量%以下含まれている場合、Cuマトリクスの強度が適度に高く、摺動部材の耐摩耗性および耐疲労性は良好となる。
Cu基軸受合金層の摺動面において、硬質粒子の総面積は、Cu基軸受合金層の摺動面の表面積に対して0.5〜10%を占めていることが好ましい(請求項6)。硬質粒子が摺動面から突出する場合、硬質粒子の面積は、突出している硬質粒子をCu基軸受合金層の摺動面に投影させた面積である。
Cu基軸受合金層の摺動面に存在している硬質粒子の総面積が、Cu基軸受合金層の摺動面の表面積に対して0.5%以上である場合、Cu基軸受合金層の摺動面で露出する硬質粒子を容易に設けることができる。また、Cu基軸受合金層の摺動面に存在している硬質粒子の総面積が、Cu基軸受合金層の摺動面の表面積に対して10%以下である場合、DLC層の摺動面におけるグラファイト化される部分の面積を十分に確保しながら優れた耐摩耗性を奏することができる。
硬質粒子の面積率は、Cu基軸受合金層の摺動面の顕微鏡写真を画像解析装置により解析し、例えば観察視野0.0125mm2に存在する全硬質粒子の粒子を抽出し、その抽出結果を基にして全硬質粒子の各面積を求めて、面積率を算出することにより得られる。なお、観察視野の面積に存在する硬質粒子の総面積と観察視野の表面積との面積比は、Cu基軸受合金層の摺動面で露出している硬質粒子の総面積とCu基軸受合金層の摺動面の表面積との面積比と通常同じであるが、用途に応じて意図的に部位により面積比を変えてもよい。
Cu基軸受合金層の摺動面において、当該DLC層側に存在している硬質粒子の総面積は、硬質粒子の粒子径の大きさを変更することによって調整される。
Cuマトリクスの結晶粒の大きさは、平均が0.07mm以下であることが好ましい。
Cuマトリクスの結晶粒が微細であるほど、Cuマトリクスの強度が向上し、耐疲労性に優れたものになる他、特に潤滑油による腐食の防止にも効果がある。この微細な結晶粒は、後述する焼結および圧延を繰り返すことにより得られる。また、Cu基軸受合金層に含ませる硬質粒子としてWC、W2C、Mo2C、C、W、Moのいずれか1種類以上の粒子であり且つこの粒子の平均の粒子径が0.5〜10μmのものを用いることにより、Cuマトリクスの微細化がより一層図れる。
Cuマトリクスの結晶粒の大きさは、「JIS H 0501」の伸銅品結晶粒度試験方法で特定できる。
本発明の一実施形態の摺動構造を概略的に示す断面図
本実施形態の摺動構造を図1に示す。図1に示す摺動構造1は、相対的な摺動を行う円筒状の摺動部材2および円柱状の被摺動部材3を備えている。摺動部材2は、Cu基軸受合金層4を有している。Cu基軸受合金層4は、Cuマトリクス4aと硬質粒子4bとから構成され、図示しない円筒状の裏金層の内周面上に設けられている。被摺動部材3は、円柱状の基材5の外周面上にDLC層6が設けられて構成されている。
図1に示すように、摺動部材2の内周に被摺動部材3が配置される場合、摺動部材2(Cu基軸受合金層4)の内周面および被摺動部材3(DLC層6)の外周面が、それぞれ摺動面となる。
次に、本実施形態の摺動構造の製造方法について説明する。
まず、摺動構造の摺動部材の製造方法について説明する。最初に、Cu粉末と、粒子径が予め所定の大きさに調整されている硬質粒子(Mo2C)と、その他の成分の粉末とを所定の質量の比率となるように混合機で混合する。Cu粉末の代わりに、Cu−Sn−Ni合金、またはCu−Sn−Ni−Zn合金などからなるCu合金粉末を用いてもよい。硬質粒子は2種類以上用いてもよい。
次に、予めCuめっき層を被着した厚さ1.3mmの帯状の鋼板(裏金)に、上記のように混合機で混合された粉末を散布する。次に、粉末が散布された鋼板を還元性雰囲気にて800〜950℃に加熱して初回の焼結を約15分行う。その後、Cu基軸受合金層(Cuマトリクス)の緻密化のためにロール圧延および焼結を繰り返すことにより、総厚約1.6mm、Cu基軸受合金層の厚さが約0.4mmのバイメタルが得られる。次に、得られたバイメタルを半円筒状に加工して半円筒状の摺動部材が得られる。2つの半円筒状の摺動部材を合わせることにより、円筒状の摺動部材が得られる。
被摺動部材は、所定の円柱状に形成された基材の外周面に、一般的なプラズマCVD法、PVD法などによってDLC層を形成することにより得られる。
次に、本実施形態の摺動構造の非焼付性の効果を確認するために、表1に示す試料(実施例品1〜11および比較例品1〜9)を用い、表2に示す試験条件で非焼付性の試験を行った。試験結果を表1に示す。試料は、成分が異なる以外、いずれも上述の製造方法で得た。DLC層の硬さは、DLC層に含まれる水素の含有量を調整、およびDLC層の混成軌道の比(sp2/sp3)を調整して得た。
Figure 2012031935
Figure 2012031935
表1中の「硬質粒子の特性」の「硬さ」の値は、硬質粒子の粉末のみを圧粉成形して焼結を行い、その焼結品の硬さを、マイクロビッカース硬さ試験機を用いて測定することによって得た。表1中の「硬質粒子の特性」の「平均の粒子径」の値は、フィッシャー法によって得た。表1中の「硬質粒子の特性」の「面積比」の値は、Cu基軸受合金層の摺動面の顕微鏡写真を画像解析装置により解析し、観察視野0.0125mm2に存在する全硬質粒子の粒子を抽出し、その抽出結果を基にして全硬質粒子の各面積を求めて、面積率を算出することによって得た。
表1中の「Cu基軸受合金層のマトリクスの硬さ」の値は、摺動部材において所定量の硬質粒子を含むCu基軸受合金層のCuマトリクスの硬さを、マイクロビッカース硬さ試験機を用いて測定することによって得た。
表1中の「DLCの硬さ」の値は、被摺動部材のDLC層の硬さであり、当該DLC層をマイクロビッカース硬さ試験機を用いて測定することによって得た。
表1中の「DLCの硬さ/硬質粒子の硬さ」の値は、上述の「DLCの硬さ」の値を表1中の「硬質粒子の特性」の「硬さ」の値で割って得た。
図示はしないが、Cuマトリクスの結晶粒の大きさは、「JIS H 0501」の伸銅品結晶粒度試験方法によって得た。
次に、焼付試験の結果について解析する。
実施例品1〜11と比較例品1〜3との対比から、実施例品1〜11は、摺動部材のDLC層の硬さがビッカース硬さでHV1000以上であり且つ硬質粒子の硬さに対して1倍を超え4倍以下であるため、比較例品1〜3よりも非焼付性に優れていることが理解できる。
実施例品1〜11と比較例品4との対比から、実施例品1〜11は、硬質粒子の粒子径が平均0.1〜20μmであるため、比較例品4よりも非焼付性に優れていることが理解できる。
また、実施例品1〜11の対比から、実施例品5〜11は、硬質粒子が炭化物であり且つ硬質粒子の粒子径が平均0.5〜10μmであるため、実施例品1〜4と同等以上に非焼付性に優れていることが理解できる。
実施例品1〜11と比較例品4〜7との対比から、実施例品1〜11は、Cu基軸受合金層のマトリクスの硬さがビッカース硬さでHV50〜200であるため、比較例品4〜7よりも非焼付性に優れていることが理解できる。
実施例品9と比較例品7との対比から、実施例品9は、摺動部材のCu基軸受合金層にBiを20質量%以下含むため、比較例品7よりも非焼付性に優れていることが理解できる。
実施例品1〜11と比較例品8、9との対比から、実施例品1〜11は、硬質粒子の総面積がCu基軸受合金層の摺動面の表面積に対して0.5〜10%を占めているため、比較例品8、9よりも非焼付性に優れていることが理解できる。
なお、図示はしないが、Cuマトリクスの結晶粒の大きさが0.07mm以下である試料は、耐疲労性、耐食性に優れていた。
本実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
不可避的不純物については説明を省略し、各成分には不可避的不純物が含まれ得る。
図面中、1は摺動構造、2は摺動部材、3は被摺動部材、4はCu基軸受合金層、4aはCuマトリクス(Cu)、4bは硬質粒子、6はDLC層を示す。

Claims (7)

  1. 相対的な摺動を行う摺動部材と被摺動部材とを備え、
    前記摺動部材は、摺動面を形成するCu基軸受合金層を有し、
    前記被摺動部材は、摺動面を形成するDLC層を有し、
    前記Cu基軸受合金層は、硬質粒子を含み、
    前記DLC層の硬さは、ビッカース硬さでHV1000以上であり、前記硬質粒子の硬さに対して1倍を超え4倍以下であることを特徴とする摺動構造。
  2. 前記硬質粒子は、硼化物、珪化物、酸化物、窒化物、炭化物および金属間化合物からなる群より選択される少なくとも1種類の化合物であり、
    前記硬質粒子の粒子径は、平均0.1〜20μmであることを特徴とする請求項1記載の摺動構造。
  3. 前記硬質粒子は、WC、W2CおよびMo2Cからなる群より選択される少なくとも1種類の化合物であり、
    前記硬質粒子の粒子径は、平均0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の摺動構造。
  4. 前記Cu基軸受合金層のCuマトリクスの硬さは、ビッカース硬さでHV50〜200であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の摺動構造。
  5. 前記Cu基軸受合金層は、BiおよびPbの少なくとも1種類を総量で20質量%以下含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の摺動構造。
  6. 前記Cu基軸受合金層の摺動面において、前記硬質粒子の総面積は、前記Cu基軸受合金層の摺動面の表面積に対して0.5〜10%を占めていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の摺動構造。
  7. 請求項1から6のいずれか一項記載の摺動構造に用いられることを特徴とする摺動部材。
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