JP2012031442A - 皮膜形成用水溶液 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗料やトップコートの優れた性能を維持しつつ耐傷性に優れ、かつ保護膜厚の薄い表面保護方法を提供する。
【解決手段】水酸基を含有する水溶性有機ポリマー下記式Aと1種以上の添加剤を含んだ、基材表面に皮膜を形成する水溶液であって、

該添加剤がCr、Co、Fe、Ni、Zn、Y、La、Mo、W、Ti、Al、Zr、Mn、Vより選択される1種以上の金属のイオン、リンの酸素酸、珪酸化合物より選択される1種以上含む添加剤である水溶液。
【選択図】図1

Description

本発明は金属および非金属の部材の表面保護用の水溶液ならびに表面保護方法を提供するものである。
金属あるいは非金属の基材を表面処理液に浸漬させて表面保護を行う手法は塗布、焼き付け、スプレーなどの表面処理と同様、幅広く行われている。これはめっき皮膜上、化成皮膜上にあっても同様であり、防錆効果、装飾効果、保護膜的な効果などを付加することを目的として行われる。
これらの表面処理液には各種効果の付与を目的として塗料やケイ酸塩、リン酸塩等、並びにアクリル酸系ポリマー等有機樹脂が用いられ、浸漬した部位に塗膜、ケイ酸塩皮膜、リン酸塩皮膜など無機皮膜、そしてアクリル酸系などの有機樹脂皮膜を形成する。例えば特開2005−126796号には三価クロム化成皮膜上に各種オーバーコートを施すことが記載されている。また、特許第3332373号には、三価クロムを用いた化成皮膜に行うトップコート処理について記載されている。特に三価クロム黒色化成皮膜処理後に三価クロム、リンの酸素酸、亜鉛、有機酸からなる群から選択した一種以上を含有する液に浸漬する仕上げ処理を行うことは一般的に行われている手法であり、仕上げ処理液に有機樹脂を添加して性能を向上させることも行われている。例えばWO2007/100135号には上記の仕上げ処理液にメタクリル酸系樹脂を添加して用いている実施例が存在する。
また、塗料による塗装を化成皮膜上に施して各種性能を得ることも一般的に行われている。例えば特開2003−166305号にはアルミニウム部材上に化成皮膜を形成し、その上に太陽熱遮蔽塗料を電着塗装する方法が開示されている。
特開2005−126796号公報 特許第3332373号公報 国際公開第2007/100135号パンフレット 特開2003−166305号公報
しかし、塗料を用いた表面処理ではその膜厚の厚さに欠点がある。塗膜厚は一般的には数十μm程度であり、寸法の精密さを要求される部材に用いることが出来ない。例えばボルトやナットの締結部位に塗料を用いた場合、ボルトが締結できないなどの問題が発生することが知られている。
無機皮膜および有機樹脂皮膜のトップコートに関しては塗料と比べれば膜厚の問題は少ないものの、前記引用文献の実施例を実際に実施した場合には塗料と比較して耐傷性が不足する傾向があり、塗料やトップコートの優れた性能を維持しつつ耐傷性に優れ、かつ保護膜厚の薄い表面保護方法が望まれている。
三価クロム黒色化成皮膜処理後の仕上げ処理皮膜については有機樹脂を添加しないと撥水性、耐食性、耐傷性などの機能が不足する。アクリル酸・メタクリル酸系有機樹脂を添加した場合、撥水性、耐食性は向上するが耐傷性については十分に向上しない問題がある。さらに三価クロム黒色化成皮膜に有機樹脂系トップコートを施した場合には水で膨潤することにより白化し不良発生の原因となることがある。また、これらの有機樹脂の代わりにケイ酸塩やコロイダルシリカなどケイ酸化合物を添加して耐食性を向上させる発明が特開2005−320573号に開示されている。しかし、実際に実施した場合、皮膜の干渉色が強くなり、望まれる黒色外観が得られにくい問題がある。
本発明者が鋭意研究した結果、水酸基を含有する水溶性有機ポリマーを無機皮膜及び有機樹脂皮膜のトップコート並びに化成皮膜処理後の仕上げ処理液、特に三価クロム黒色化成皮膜処理後の仕上げ処理液といった、添加剤と成りうる物質を含有する水溶液に添加することによりトップコート並びに仕上げ皮膜の性能、撥水性、耐傷性を高めることを見出した。特に耐傷性を十分に高めることはアクリル酸系・メタクリル酸系などの有機樹脂を用いた場合には達成出来なかったことである。撥水性、耐傷性を高める原理は不明だが水酸基含有ポリマー、特にポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタールを用いたときに大幅に向上する。また、三価クロム黒色化成皮膜後の仕上げ処理に用いた場合、上記有機樹脂を添加したときと異なり、水で膨潤しづらい特徴があるため白化現象は見られない。
水溶性有機ポリマーについては特に制限はないが、ポリビニルアセタール及びポリビニルアルコールにおいて特にトップコート並びに仕上げ処理液の性能を向上させる効果が高い。
しかし、これらの水溶性有機ポリマーのみの水溶液においては上記の保護効果は非常に小さく、主たる成分としての金属、リンの酸素酸、珪酸化合物などのうち1種以上と水溶液中に共存させることによって保護効果を発揮することが分かる。
以下の説明では発明の範囲を限定することを企図しないが、本発明における有機樹脂保護皮膜形成としては図1のモデルが考えられる。また、図1のモデルはポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール単独では有効な皮膜を形成しないが添加剤と共存させることで皮膜を形成することが出来ることを提示することを目的としており、各種機能発現原理を提示することを目的としていない。以下、説明のために三価クロム化成皮膜(これは酸化クロム又は水酸化クロムを骨格としている)をポリビニルアルコールと三価クロムの混合水溶液に浸漬させるモデルで説明するが、例えば前記化成皮膜の代わりに他の基材並びにホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩皮膜等、そしてポリビニルアルコールの代わりに各種水溶性有機ポリマー、仕上げ剤中のクロムの代わりにその他の金属イオン、珪酸化合物、リンの酸素酸等に置き換えても同様の議論が成立する。浸漬処理を行うと三価クロム化成皮膜上にポリビニルアルコールと三価クロムの水溶液が均一に広がることになる。ここから乾燥で水を飛ばした場合、水の量が減るにつれてポリビニルアルコールの酸素と三価クロムイオンの配位結合が強くなり、酸化クロム又は水酸化クロムを含有したポリマーが析出する。クロムイオンは例えば水分子に由来する下地の酸素原子又は金属原子と配位結合して骨格を伸ばし皮膜を厚くするとともに、ポリビニルアルコールの疎水基が表面に現れる。これにより、撥水性を発揮ならしめると考える。いわば、ポリビニルアルコールと共存させる金属イオン、リンの酸素酸、珪酸化合物など添加物が下地の金属並びに化成皮膜とポリビニルアルコールのバインダーの役割を果たしているといえる。
ポリビニルアルコールおよびポリビニルアセタール単独の水溶液では性能を発揮しない理由は以下の通りであると考えられる。ポリビニルアルコールだけではポリビニルアルコールの水酸基が下地の金属並びに化成皮膜と直接、引きつけあうことになるが、バインダー層的なものがないためこの結合が弱く、ポリビニルアルコールの皮膜を形成しづらいために性能を発揮しないと考えられる。さらに、ポリビニルアルコールの場合は繰り返し単位中の水酸基が多く、水溶性が高いため、形成した皮膜も水に溶解し耐水性が低いと考える。
ポリビニルアルコール及びポリビニルアセタールの代わりにポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等を用いた場合も同様の議論が成立するが、生成した皮膜の耐キズ性が、ポリビニルアルコール及びポリビニルアセタールを用いた場合より低い。
以上の知見を基礎として、本発明は水酸基を含有する水溶性有機ポリマーと1種以上の添加剤を含んだ、浸漬により基材表面に皮膜を形成する水溶液であって、該水溶性有機ポリマーが以下の式Aの単位を60モル%以上の割合で含有するポリマーであり、
(式中、R1は水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−ヒドロキシルエチル−CH2CH2(OCH2CH2)xOH(Xは0〜6)又は2−ヒドロキシルエチル−CH2CH2(OCCH2CH2)xOH(Xは0〜6)を表わす)
該添加剤がCr、Co、Fe、Ni、Zn、Y、La、Mo、W、Ti、Al、Zr、Mn、Vより選択される1種以上の金属のイオン、リンの酸素酸、珪酸化合物より選択される1種以上含む添加剤である水溶液である。
さらに本発明は、一実施形態において前記基材は金属または金属の酸化物及び水酸化物、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩より選択される1種以上を含む化成皮膜である水溶液である。
さらに本発明は、一実施形態において前記水溶性有機ポリマーがさらに以下の式B及び/又は式Cの単位を含む、水溶液である。
(式中、R2、R3、R4及びはそれぞれ独立して水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−ヒドロキシルエチル−CH2CH2(OCH2CH2)xOH(Xは0〜6)又は2−ヒドロキシルエチル−CH2CH2(OCCH2CH2)xOH(Xは0〜6)を表わす)
さらに本発明は、一実施形態において前記水溶性有機ポリマーがポリビニルアルコール、又はポリビニルアセタールから選択される1種以上を含む前記の水溶液である。
さらに本発明は、一実施形態において前記添加剤において、前記金属イオンが三価クロムイオンである前記の水溶液である。
さらに本発明は、一実施形態において前記添加剤において、前記珪酸化合物がコロイダルシリカである前記の水溶液である。
さらに本発明は、一実施形態において前記化成皮膜が三価クロムを含む化成皮膜である前記の水溶液である。
さらに本発明は、一実施形態において前記基材を前記の水溶液に浸漬し、厚さ5μm以下の薄膜を形成することを特徴とする皮膜形成方法である。
さらに本発明は、一実施形態において前記の方法により皮膜を形成した部材である。
ポリマー、添加剤、及び化成皮膜の相互作用による皮膜形成を表すモデル図である。
本発明に係る処理液は水溶性有機ポリマーと金属イオン、リンの酸素酸、珪酸化合物などより選択される1種以上の物質の水溶液によって与えられる。
本発明に用いる水溶性有機ポリマーは特にポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールが有効であるがこれに限定されるものではなく、式Aのサブユニットを60モル%以上含有するものであれば適用可能である。化合物の種類、構造、分子量並びに1種以上の物質の種類や濃度はその目的や共存物質により最適な条件が変化すると考える。
添加剤としての金属イオンは例えば、Cr、Co、Fe、Ni、Zn、Y、La、Mo、W、Ti、Al、Zr、Mn、Vより選択される1種以上を使用することができる。リンの酸素酸としてはリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸及びこれらの塩等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。ケイ酸化合物としては各種水溶性ケイ酸塩の他、水分散性コロイダルシリカが使用できる。コロイダルシリカとしては、例えば、スノーテックス(商標)シリーズ(日産化学工業(株))、アデライト(商標)ATシリーズ、((株)ADEKA)、シリカドール(商標)シリーズ(日本化学工業(株))、カタロイド(商標)シリーズ(日揮触媒化成(株))、等が挙げられる。以上に例示した添加剤は本発明を限定するものではなく、他の原子あるいは分子と配位結合するものであれば何でも良い。添加剤濃度は金属、リンの酸素酸、ケイ素化合物の総和が10〜300g/L、より好ましくは20〜100g/Lである。
例えば三価クロム黒色化成皮膜の仕上げ液への使用では現在使用されている仕上げ液に0.1〜2g/Lのポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどを添加することで効果を発揮する。0.1g/L以下では十分な効果を発揮せず、2g/L以上添加しても効果は頭打ちであり、経済性を損なう。
本願発明の処理液の対象となる基材は表面処理、オーバーコートの対象となるものであれば特に限定は存在しないが、好適に用いられるものは、化成皮膜である。ここで化成皮膜とは基材と何らかの物質が化学反応することにより生成する保護皮膜のことをいう。そして、前記化成皮膜は、金属を含み、例えば、Cr、Co、Fe、Ni、Zn、Y、La、Mo、W、Ti、Al、Zr、Mn、Vより選択される一種以上が含まれる。前記金属は本発明を限定するものではなく、他の原子と配位結合するものであれば何でも良い。また前記金属は例えば、酸化物及び水酸化物、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩より選択される1種以上の形態で化成皮膜に含まれる。
本願発明の処理液によって処理される部材は前記、表面処理、オーバーコートの対象となる部位を含むものであれば何ら限定は存在しない。その部材は自動車をはじめ電気製品、船舶、建築材からコンピュータに至るまで、各種工業製品の部品として用いられるものが主である。例えば、金属板、ボルト、ナット、パイプ、ビス、プリント基板、ダクト、エンジン部品、ホイール、ギヤ、ネジ、バネ、各種複合部品、切削加工品、ワッシャー、工具、等が挙げられるがこれに限定されない。
また、本願発明の処理液を用いて、部材表面に形成される皮膜の厚さは、5μm以下であり、好ましくは、2μm以下である。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明する。実施例で用いためっきの種類、化成処理の組成及び処理条件、並びに仕上げの組成及び処理条件については表1の通りである。
ここで、ポリビニルアセタールは、式Aに記載のサブユニットを60〜95モル%の割合で含み、式Bに記載のサブユニットを5〜40モル%含み、式Cに記載のサブユニットを含まず、式Aと式Bの含有率の合計が100モル%になる化合物である。ポリビニルアルコール(PVA)は、式Aに記載のサブユニットを70〜100モル%の割合で含み、式Bに記載のサブユニットを含まず、式Cに記載のサブユニットを0〜30モル%含み、式Aと式Cの含有率の合計が100モル%になる化合物である。またポリアクリル酸ナトリウムは、式A〜式Cのサブユニットを含まない。以下の実験では特に断りのない限り、ポリビニルアセタールは式Aに記載のサブユニットを90モル%、式Bに記載のサブユニットを10モル%(式A中のR1は水素であり、式B中のR2はプロピル、R3は水素)含むものを、PVAは式Aに記載のサブユニットを90モル%含み、式Cに記載のサブユニットを10モル%含むものを用いた(式A中のR1は水素であり、式C中のR4は水素である)。また、実施例で用いたコロイダルシリカは、スノーテックス(商標)((日産化学工業(株))製である。
試験は亜鉛又は亜鉛合金めっきを行ったボルトおよびナットあるいは鉄板(以下に示す耐キズ(2)の試験のみ)を用いて行った。めっき皮膜上に化成皮膜処理を行い、次いで仕上げ処理を行った後の耐キズ性、耐食性、撥水性、外観、ボルトとナットの双方を表面処理した場合の締結について評価した。耐キズ性は(1)JIS K 5600−5−4に従う鉛筆硬度試験を行った。さらには(1)と別に、(2)振とう機を利用した耐キズ性試験を行った。容器の底面に仕上げ処理をした鉄板を貼り付け、上に長さ1cm前後のビスを厚さ5cm程度敷き詰め、200rpmで5分振とうさせて、鉄板に付いたキズの量を評価した。以下に示す実施例2と比較例4を標準とし、キズの量が実施例2と同等以下なら○、実施例2と比較例4の中間なら△、比較例4と同等以上なら×の評価とした。耐食性はJIS Z 2371に従う塩水噴霧試験を行い、亜鉛めっきについては白錆5%発生した時間が240時間を基準に、それ以上で○、それ未満で×とした。亜鉛鉄合金、亜鉛ニッケル合金めっきではそれぞれ360時間、480時間を基準とした。撥水性については仕上げ処理後の皮膜表面に水滴を滴下して接触角を測定した。60度以上を○、30度以上〜60度未満を△、30度未満を×とした。外観はツヤ、黒味、干渉色などを目視にて総合的に判断した。経時変化は仕上げ後の乾燥を自然乾燥のみとし、膨潤しやすい状況下で一日置いた後の変色(白化)の有無を評価した。締結は仕上げ処理後のボルトとナットを締結して、処理前のボルト、ナットと同様に締結できれば○、人力では締結できない、若しくは過度に力を入れないと締結できない状況に陥ったら×とした。膜厚測定は仕上げ皮膜の膜厚をグロー放電発光表面分析(GDS)により測定した。
比較例1、2
ポリビニルアセタール(比較例1)、ポリビニルアルコール(比較例2)の水溶液を作成し、実施例1、2と同条件で仕上げ処理したところ、艶もそれほどなく、耐傷性、耐食性も向上しなかった。
比較例3
実施例1で仕上げ処理の代わりにウレタン樹脂をエアスプレー塗布し、平均20μmの塗膜を形成したところ、艶もよく、耐キズ性においても向上した。しかし、処理したボルトをナットに締結させようとしたところ、締結することができなかった。
比較例4
ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールを添加しない以外は実施例1、2と同条件で後処理を行ったところ、耐食性は実施例と同等レベルまで向上したものの外観に艶がなく、耐傷性も劣る結果となった。
比較例5
アクリル酸系ポリマーをポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールの代わりに添加し、処理したところ、実施例1、2と同等につやのある外観が得られたが耐傷性が劣る結果となった。また、経時で白化する現象が見られた。
比較例6、7
比較例1、2では皮膜がほとんど形成されなかったので、ポリマーの量を200倍にして同様の実験を行った。結果、わずかに皮膜が形成されたものの、性能は実施例より大きく劣る。
比較例8
ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールを添加しない以外は実施例4と同条件で後処理を行ったところ、耐食性は実施例と同等レベルだが撥水性、耐傷性が大きく劣る。
ポリビニルアセタール、PVAの式Aのサブユニットの割合を変化させて実施例1、実施例2を行い、実施例14〜18とした(下記表中の式A〜式Cにおいて、R1は水素、R2はプロピル、R3は水素、R4は水素である)。また、式Aが55モル%、式Bが45モル%のポリビニルアセタールを用いて試験を行おうとしたところ、ポリビニルアセタールが処理液に溶解しなかった(比較例9)
実施例1で仕上げ剤のリン酸クロム(III)をリン酸コバルト、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムに変更して試験を行った。
実施例1の仕上げ剤条件で、処理対象となる化成皮膜を変化させて耐キズ性、撥水性試験、締結試験を行った。なお、バナジウム化成皮膜はメタバナジン酸カリウム2g/L、硫酸セリウム10g/L、硝酸リチウム20g/Lの水溶液に40℃、pH3.0で60秒浸漬させて形成した。リン酸塩皮膜は市販のプレパレンZ(日本パーカライジング(株))にて表面調整後、70℃に加温した市販のリン酸塩皮膜処理液(パルボンド3300:日本パーカライジング(株))に15秒間浸漬し皮膜生成を行った。また、実施例22〜25の評価は実施例1の仕上げ剤から水溶性ポリマーを除いた比較例4の仕上げ剤を用いた場合との相対評価である。
実施例1、2と比較例1、2の比較により、ポリビニルアセタール及びポリビニルアルコールは仕上げ剤に添加することで仕上げ剤の性能を向上させるが、単独で使用しても何の効果ももたらさないことが分かる。
実施例3、4により、ポリビニルアセタール及びポリビニルアルコールの効果は下地のめっきおよび仕上げ剤の種類にかかわらないことが分かる。
実施例1、2と比較例3の比較により、塗料は精密さを要求される部材においては膜厚の問題で使用できないことが分かる。
実施例1、2と比較例4の比較により、ポリビニルアセタール及びポリビニルアルコールを添加しない場合、添加した場合より耐傷性、外観などが劣ることが分かる。
実施例1、2と比較例5の比較により、従来のアクリル酸系ポリマーとポリビニルアセタール及びポリビニルアルコールを比較した場合に耐傷性、経時変化の面で問題があることが分かる。
実施例1、2と比較例6、7の比較により、水溶性有機ポリマー単独の皮膜を水溶性有機ポリマー高濃度の仕上げ液を用いることで形成しようとした場合、わずかに皮膜が形成し、耐傷性が向上するが、それ以外の機能は向上しないことが分かる。
実施例4と比較例8の比較により、無機系トップコートにおいても水溶性有機ポリマーの添加で耐傷性が向上していることが分かる。
実施例5〜13は仕上げ剤の組成変化である。添加剤並びに水溶性有機ポリマーが好ましい濃度範囲内であれば、いずれも水溶性有機ポリマーの効果が発揮されていることが分かる。
実施例14〜18は、水溶性ポリマー中の式Aのサブユニットの割合を変化させている。前記割合が好ましい範囲内であれば、いずれも水溶性有機ポリマーの効果が発揮されていることが分かる。
実施例19〜21では、仕上げ剤の金属を変更した実施例である。仕上げ剤に添加する金属が、クロムに限らず、他の金属であっても同様の効果が得られることが分かる。
実施例22〜25では、化成皮膜の組成を変更した実施例である。三価クロム化成皮膜に限らず他の基材や皮膜であっても同様の効果が得られることが分かる。

Claims (9)

  1. 水酸基を含有する水溶性有機ポリマーと1種以上の添加剤を含んだ、浸漬により基材表面に皮膜を形成する水溶液であって、該水溶性有機ポリマーが以下の式Aの単位を60モル%以上の割合で含有するポリマーであり、
    (式中、R1は水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−ヒドロキシルエチル−CH2CH2(OCH2CH2)xOH(Xは0〜6)又は2−ヒドロキシルエチル−CH2CH2(OCCH2CH2)xOH(Xは0〜6)を表わす)
    該添加剤がCr、Co、Fe、Ni、Zn、Y、La、Mo、W、Ti、Al、Zr、Mn、Vより選択される1種以上の金属のイオン、リンの酸素酸、珪酸化合物より選択される1種以上含む添加剤である水溶液。
  2. 前記基材は金属または金属の酸化物及び水酸化物、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩より選択される1種以上を含む化成皮膜である水溶液。
  3. 前記水溶性有機ポリマーがさらに以下の式B及び/又は式Cの単位を含む、請求項1又は2に記載の水溶液。
    (式中、R2、R3、R4及びはそれぞれ独立して水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−ヒドロキシルエチル−CH2CH2(OCH2CH2)xOH(Xは0〜6)又は2−ヒドロキシルエチル−CH2CH2(OCCH2CH2)xOH(Xは0〜6)を表わす)
  4. 前記水溶性有機ポリマーがポリビニルアルコール、又はポリビニルアセタールから選択される1種以上を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の水溶液。
  5. 前記添加剤において、前記金属イオンが三価クロムイオンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の水溶液。
  6. 前記添加剤において、前記珪酸化合物がコロイダルシリカである請求項1〜4のいずれか1項に記載の水溶液。
  7. 前記化成皮膜が三価クロムを含む化成皮膜である請求項1〜6のいずれか1項に記載の水溶液。
  8. 前記基材を請求項1〜7のいずれか1項に記載の水溶液に浸漬し、厚さ5μm以下の薄膜を形成することを特徴とする皮膜形成方法。
  9. 請求項8記載の方法により皮膜を形成した基材。
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