JP2012030508A - 吸水性発泡成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続気泡層を有する樹脂発泡シートの表面に樹脂フィルムをラミネートしたフィルム積層発泡シートに前記樹脂フィルム側から該樹脂フィルムを貫通して前記連続気泡層に至る複数の吸水孔を穿設する吸水孔形成工程と、該吸水孔の形成されたフィルム積層発泡シートを2次発泡させる2次発泡工程と、該2次発泡工程後のフィルム積層発泡シートを熱成形する熱成形工程とを実施する吸水性発泡成形品の製造方法であって、前記2次発泡工程において前記吸水孔の開口部を広げる方向に前記樹脂フィルムに張力を発生させることにより該2次発泡工程前よりも大きく開口された吸水孔を備えた吸水性発泡成形品を作製することを特徴とする吸水性発泡成形品の製造方法を提供する。
【選択図】 図1
Description
そして、この種の発泡成形品は、一回の熱成形に必要な長さずつ前記原反ロールからシート成形機にフィルム積層発泡シートを順次供給して前記シート成形機でフィルム積層発泡シートに1又は複数の製品形状を形成させた後に、トムソン刃型などで製品形状の外縁部に沿って切断してフィルム積層発泡シートから発泡成形品を取り出すような連続的な製造がなされている。
該吸水孔形成工程は、通常、複数の針状刃の鋭利な刃先を表面から突出させた孔明けローラーをラミネート後の移動経路に配置して実施されており、例えば、フィルム積層発泡シートの移動に伴って前記孔明けローラーをフィルム積層発泡シート上で回転させて連続的に前記吸水孔が形成されたりしている。
そして、このようなフィルム積層発泡シートは、前記のような連続的な成形方法によって蓋付容器の蓋体などに成形加工されている。
例えば、弁当容器のような食品包装容器の蓋体などに前記フィルム積層発泡シートを利用することで、当該蓋体は、暖かい食品を収容させた容器本体に被せた場合でも、食品が発する水蒸気が前記吸水孔を通じて連続気泡層に導入されることから結露を生じにくく、仮に結露を生じた場合でも前記吸水孔から毛細管現象を利用して結露水を連続気泡層に吸水させることができる。
そのようなことから、従来、吸水性発泡成形品の吸水率を十分に向上させることが困難な状況となっている。
すなわち、製造される吸水性発泡成形品の吸水率を従来の吸水性発泡成形品よりも向上させ得る。
本実施形態に係る吸水性発泡成形品の製造方法においては、連続気泡層を有する樹脂発泡シートの表面に樹脂フィルムをラミネートしたフィルム積層発泡シートに前記樹脂フィルム側から該樹脂フィルムを貫通して前記連続気泡層に至る複数の吸水孔を穿設する吸水孔形成工程と、該吸水孔の形成されたフィルム積層発泡シートを2次発泡させる2次発泡工程と、該2次発泡工程後のフィルム積層発泡シートを熱成形する熱成形工程とを実施する。
本実施形態の吸水性発泡成形品の製造方法においては、連続気泡層の形成された一般的な樹脂発泡シートに樹脂フィルムがラミネートされたフィルム積層発泡シートを用いることができる。
このフィルム積層発泡シートを構成する樹脂発泡シートとしては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を主成分とした樹脂組成物を発泡押出しさせてなるポリオレフィン系樹脂発泡シートや、スチレン単独重合体や、スチレンに共重合させることができるモノマーとスチレンとの共重合体などのポリスチレン系樹脂を主成分とした樹脂組成物を発泡押出しさせてなるポリスチレン系樹脂発泡シートが挙げられる。
このような方法によって得られる樹脂発泡シートは、通常、独立気泡率が高く気泡径の細かな表面スキン層などと呼ばれる層が表面に形成され、この表面スキン層の内側に、該表面スキン層よりも気泡径が大きく隣接する気泡の間の気泡膜に破れが生じて連通状態をなった連続気泡を多数有する(連続気泡率の高い)連続気泡層が備えられている。
すなわち、“表面スキン層/連続気泡層/表面スキン層”の3層構成を有し、前記連続気泡層を吸水(保水)のための層として利用することができるものである。
また、後者の発泡シートは、独立気泡層の2次発泡性を利用してフィルム積層発泡シートの成形性向上を図ることができる点においても優れているといえる。
特に、JIS K 7215記載のデュロメータタイプA硬度(HDA)の値が30〜90のものが好ましい。
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2−エチルブタジエンなどの炭素数4〜10の共役ジエンが挙げられ、好ましいスチレン−共役ジエン共重合体の水素添加物としては、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物である。
これら共重合体の完全飽和型構造は、例えばスチレン−エチレン・ブチレン共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体などである。
これらの共重合体はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を混合してもよい。
また、気泡調整剤として用いることの可能なアゾジカルボンアミドなどの分解型の発泡剤を、単独、又は、前記発泡剤と組み合わせて用いることができる。
前記発泡剤としては、樹脂発泡シートの製造時(1次発泡時)および2次発泡時における発泡性を考慮すると、イソブタンとノルマルブタンを50:50〜80:20の割合で混合した混合ブタンが好ましい。
これは、上記のようにして作製される独立気泡層は、通常、表面スキン層よりも厚みが厚くなるために連続気泡層までの経路長を勘案すると表面スキン層の側に吸水孔を設ける方が吸水性の点において有利となりやすく、しかも、独立気泡層を貫通する形で吸水孔を穿設するとその2次発泡性が損なわれるおそれを有するためである。
このような点においても、フィルム積層発泡シートは、樹脂フィルムの側から順に“樹脂フィルム/表面スキン層/連続気泡層/独立気泡層”となる構成とすることが好ましい。
また、前記独立気泡層は、通常、1mm〜3mmの厚みとされる。
また、ASTM D2856−87に基づいて測定することができる連続気泡層の連続気泡率としては、通常、60%〜90%であり、前記独立気泡層の連続気泡率は、
通常、0%〜30%である。
また、樹脂フィルムは、その材質も特に限定がされるものではないが、リサイクルなどの観点から、樹脂発泡シートと同じ種類の樹脂が用いられることが好ましい。
例えば、前記樹脂発泡シートとしては、食品包装用容器などにおいて広く用いられており、安価で強度に優れる点においてポリスチレン系樹脂発泡シートが好ましく採用されうるものであるが、その場合には、樹脂フィルムとしてもポリスチレン系樹脂フィルムを採用することが好ましい。
このポリスチレン系樹脂フィルムとポリスチレン系樹脂発泡シートとの組み合わせは、これらを直接ヒートラミネートすることが可能である点においても好適なものであるといえる。
ただし、要すれば、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリプロピレン樹脂フィルムをドライラミネートしたものや、接着剤を介してポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートしたフィルム積層発泡シートも製造する吸水性発泡成形品に求められる特性に応じて適宜採用が可能なものである。
したがって、前記樹脂フィルムとしては、一軸延伸、或いは、二軸延伸された延伸フィルムを採用することが好ましい。
この防曇処理については、樹脂フィルムの素材自体に界面活性剤などを分散させて樹脂フィルムの水に対する濡れ性を改善させる方法や、界面活性剤など含んだ防曇処理剤を樹脂フィルムの表面に塗布して防曇被膜を形成させる方法など、従来採用されている方法を採用することができる。
また、前記防曇処理剤には、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が12〜18で、0.1質量%水溶液の25℃での表面張力が30〜39mN/mである非イオン性界面活性剤(A成分)と、0.1質量%水溶液の25℃での表面張力が40〜60mN/mである非イオン性界面活性剤(B成分)とを前記A成分と前記B成分とが、30:70〜95:5(A成分:B成分)となる割合で含有させることが好ましい。
その具体的な指標としては、下記の通りである。
界面活性剤は、そのHLB値が1〜3程度では水にほとんど分散せず、消泡剤などに使用される。
HLB値が3〜6程度では一部が水に分散し、w/o型エマルジョンの乳化剤として使用される。
HLB値が6〜8程度ではよく混合することによって水に分散して乳濁液となり、w/o型エマルジョンの乳化剤、湿潤剤として使用される。
HLB値が8〜10程度では水に安定に分散して乳濁液となり、湿潤剤やo/w型エマルジョンの乳化剤として使用される。
HLB値が10〜13程度では水に半透明に溶解し、o/w型エマルジョンの乳化剤として使用される。
HLB値が13〜16程度では水に透明に溶解し、o/w型エマルジョンの乳化剤、洗浄剤として使用される。
HLB値が16〜19程度では水に透明に溶解し、可溶化剤として使用される。
前記蓋体を形成させるために、まず、フィルム積層発泡シートに前記樹脂フィルム側から該樹脂フィルムを貫通して前記連続気泡層に至る複数の吸水孔を穿設する吸水孔形成工程を実施する。
該吸水孔形成工程は、前記吸水孔を穿設するための複数の刃を供えた孔明け治具を用いるなどして実施することができる。
図1は、外周部に複数の刃1xを有する刃付円板1の正面図及び側面図であり、図2は、この刃付円板1と該刃付円板1よりも小径な円板状のスペーサー2とを交互に並べてその中心部に回転軸3を貫通させてなる孔明けローラー(孔明け治具)を示す図である。
前記刃付円板1は、その外周部において、径方向に角張った凹凸が周方向に連続して形成されており、この凸部を吸水孔形成のための刃1xとして利用するものである。
すなわち、刃付円板1の外周に設けられている複数の刃1xは、刃厚一定の三角刃であり先端部の稜線1aの長さを谷1bの長さと一致させている。
該刃付円板1は、その中心部に前記回転軸3を挿通させるための円形の中心孔10が設けられており、該中心孔10を画定している内周縁部の一部を矩形に切り欠く形で前記回転軸3に固定させるためのキー溝11が形成されている。
前記刃1xの先端部分の刃厚は、形成させる吸水孔の大きさなどにもよるが、0.5mm〜2mmであることが好ましく、0.75mm〜1.5mmであることが特に好ましい。
一方で、回転軸3は、前記刃付円板1並びに前記スペーサー2のキー溝とともに矩形のキー孔を形成させ得るように、その長さ方向に沿ってキー溝が設けられている。
そして、前記孔明けローラーは、回転軸3に交互にセットした刃付円板1とスペーサー2とが前記キー孔にキー4が差し込まれて固定されており、前記回転軸3を軸周りに回転させることによって刃付円板1を前記回転軸3周りに回転させうるように構成されている。
すなわち、前記間隙を独立気泡層の層厚み程度に設定して、樹脂フィルム側が孔明けローラー側となるようにしてフィルム積層発泡シートをこれらのローラー間を通過させることにより樹脂フィルムを貫通して連続気泡層に至る吸水孔を帯状のフィルム積層発泡シートに連続的に形成させることができ、効率よく吸水孔形成工程を実施させることができる。
このことを図3を参照しつつ説明する。
図3(a)は、上から順に、樹脂フィルム21、表面スキン層22、連続気泡層23、及び、独立気泡層24の積層構造を有するフィルム積層発泡シート20を長手方向(樹脂発泡シートの押出(MD)方向)に移動させつつ前記孔明けローラーを回転させて前記樹脂フィルム21に刃1xを侵入させて吸水孔30を穿設する様子を示した概略側面図と要部拡大概略斜視図であり、図3(b)は、穿設された吸水孔30をフィルム積層発泡シート20の上面側から見た平面図である。
その後、刃付円板1の回転が進むと、樹脂フィルム21が完全に破れ、刃1xの先端の稜線1aに沿った方向(樹脂発泡シートの幅(TD)方向)に裂けるとともに当該刃1xが、ある程度の刃厚を有することで、侵入した刃1xの両エッジe1,e2によって稜線1a方向と直交する方向(MD方向)に樹脂フィルム21が裂けて、アルファベット大文字の“H”のような形状に樹脂フィルム21が裂けて吸水孔30が形成されることになる。
例えば、MD方向に沿った裂け目だけを形成させると、樹脂フィルム21にTD方向に張力を加えると裂け目の幅が広がって、開口部が大きく拡大することになるが、MD方向に張力を加えた場合には開口部を広げる効果があまり発揮されないおそれを有する。
一方で、本実施形態においては、TD方向とMD方向とに裂け目が形成されることから、いずれの方向に張力を加えた場合でも、いずれかの裂け目が大きく広がって吸水孔の開口部を拡大させることができる。
したがって、刃1xの侵入によって内側に曲がった樹脂フィルム21が真っ直ぐな状態に復元されたとしても、少なくとも、この断片21aの分だけ開口部が確保されることになる。
なお、このようにして形成させる吸水孔は、樹脂フィルムを貫通して連続気泡層に到達するように形成させることが重要であり、好ましくは、連続気泡層の全厚みにわたって貫通させることが好ましい。
そして、本実施形態においては、後段において説明するように、2次発泡工程においてこの吸水孔の開口部を広げる操作が行われることから従来の先鋭な刃を用いて吸水孔形成工程を実施しても吸水性発泡成形品を吸水性に優れたものとすることができるものの、刃が抜き去られた後に樹脂フィルムが孔明け前の状態に復元してしまうことを防止することができる点においては、前記刃付円板1の三角刃のように最先端まである程度の厚みを有する刃を用いることが好ましい。
なお、このような効果は、前記樹脂フィルムとして、引裂きが生じやすい延伸フィルムが利用されていることによってより顕著に発揮されるものである。
開口部が0.5mm2/個未満では、この開口部を2次発泡工程において拡大させる際に樹脂フィルムに加えるべき張力が大きくなりすぎるおそれを有し、場合によっては、開口部が狭すぎて、蒸気や水の吸収性が不十分となるおそれがある。
一方、開口部が2mm2/個を超える大きさにしても、それ以上に蒸気や水の吸収性を向上させることが難しく、過度に開口部を大きくさせた場合には、吸水性発泡成形品の強度を低下させるおそれがある。
上記のような吸水孔形成工程を実施した後は、次いで、吸水孔の穿設されたフィルム積層発泡シートを、上下に加熱用ヒーターを配した加熱装置に導入し前記ヒーター間で所定時間保持して2次発泡させる工程を実施する。
該2次発泡工程においては、例えば、帯状のフィルム積層発泡シートであれば、その幅方向両端部をクランプして加熱装置に導入し、且つ、前記クランプを離間させる方向(TD方向)にフィルム積層発泡シートを引っ張って樹脂フィルムにテンションを加え、前記吸水孔の開口部を拡張させることが重要である。
また、要すれば、フィルム積層発泡シートの長手(MD)方向にテンションを加えて吸水孔の開口部を拡張させてもよい。
このとき、フィルム積層発泡シートの厚みや大きさ、材質などにもよるが、通常、2次発泡工程に導入される前の幅(長さ)に対して、加熱装置内におけるフィルム積層発泡シートの幅(長さ)の伸長割合(〔2次発泡後の幅(長さ)−2次発泡前の幅(長さ)〕/2次発泡前の幅(長さ)×100%)が、0.5%以上、好ましくは1.0%以上となるように幅方向への引っ張りを実施することが好ましい。
このことによって吸水孔の開口部の大きさが2次発泡前に比べて拡大されることから吸水性の向上を期待することができる。
なお、過度に引っ張りを行うとクランプ外れなどを引き起こすおそれを有することから加熱装置内におけるフィルム積層発泡シートの幅方向への伸長割合は5.0%以下とすることが好ましい。
さらには、2次発泡工程における加熱温度や時間については、フィルム積層発泡シートにおける発泡剤の残存量からも適宜決定することができる。
前記2次発泡工程に続けて実施する熱成形工程は、所謂シート成形機を用いて実施することができ、真空成形、圧空成形、真空・圧空成形、プレス成形などの成形方法で所望の形状をフィルム積層発泡シートに形成させる方法を採用することができる。
本実施形態に係る吸水性発泡成形品として、食品包装容器用の蓋体を形成させるに際しては、食品から発する水分によって結露を生じやすい蓋体の内側に前記吸水孔が来るように熱成形を実施することが好ましい。
このようにして得られる吸水性発泡成形品には、フィルム積層発泡シートに当初穿設させた吸水孔よりも大きく開口された状態で吸水孔が備えられていることから、優れた吸水性を発揮するものである。
以上のように本実施形態における吸水性発泡成形品の製造方法は、製造される蓋体のような吸水性発泡成形品に対して従来よりも優れた吸水性を与えうるものである。
試料となる蓋体を被せる容器本体としてポリスチレン系発泡シート製の縦205mm、横108mm、高さ45mmの略矩形状容器を用意した。
この容器本体に炊き立ての米飯を260g入れて、予め質量:M0(g)を測定した蓋体を直ちに被せた。
30分放置後、蓋体内側の水滴の付着状況を目視で確認し、付着している水ごと蓋体の質量:M1(g)を測定した。
次に、付着している水分を拭き取った後、蓋体の質量:M2(g)を測定した。
(A)蓋体への付着水分量(g)=M1−M0
(B)蓋体吸水量(g)=M2−M0
連続気泡層(及び表面スキン層)の形成用に、ポリスチレン樹脂(大日本インキ化学工業社製 、商品名「XC−515」、メルトマスフローレイト:1.3g/10分)78.9質量%、スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素添加物(旭化成社製、商品名「SS9000」)15.8質量%、高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名「HJ565W」、密度:0.968g/cm3、メルトマスフローレイト:5.0g/10分)5.3質量%を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、界面活性剤として商品名「エレストマスターS−520」(花王社製のアルキルスルホン酸系界面活性剤20質量%含有ポリスチレン樹脂マスターバッチ)を10質量部、気泡調整剤としてタルク0.6質量部を混合した混合原料を、内径115mmの第一押出機と、内径150mmの第二押出機が連結されたタンデム押出機の第一押出機のホッパーに供給した。
押出機のシリンダー温度は最高220℃とし、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)を前記混合樹脂組成物100質量部に対する割合が3.5質量部となるように圧入、混練して、第二押出機にて発泡性溶融混合物を冷却し、樹脂温度を161℃に調整して、150kg/hの押出量で合流金型に流入した。
押出機のシリンダー温度は最高230℃とし、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)を前記ポリスチレン樹脂100質量部に対する割合が4.0質量部となるように圧入、混練し、その後冷却して溶融混合物の樹脂温度を154℃に調整して、100kg/hの押出量で合流金型に流入した。
合流金型で合流された樹脂は、口径175mmの環状金型に注入され、厚み0.45mmのスリットより円筒形状に押出され、口径670mmの冷却用マンドレルに沿わせて引き取り、マンドレル後部に取り付けた2枚のカッターで円筒状の発泡体を切開して上下2枚の樹脂発泡シートを得た。
なお、このとき、スリットから出た直後の発泡体の内および外にエアーを吹付けて発泡体表面を冷却した。
また、独立気泡層における連続気泡率は9.9%、厚みは0.9mm、密度は0.089g/cm3であった。
このフィルム積層発泡シートに対して、図1に示すような形状を有し、外径(刃先までの径)127mm、刃数50、刃角(側面視における頂点角度)60度、刃厚一定(1.0mm)の刃を用い、樹脂フィルム表面からの侵入深さが1.5mmとなるように設定して縦8mm、横16mmの間隔で吸水孔を穿設した(吸水孔形成工程)。
ただし、フィルム積層発泡シートが厚み方向に弾性変形するために、必ずしも、刃先の侵入深さは1.5mmとはならなかった。
そして、吸水孔を穿設した直後に、このフィルム積層発泡シートを、2次発泡後の幅が2次発泡前に比べて約2%広幅となるようTD方向に張力を加えつつ2次発泡させた(2次発泡工程)。
その後、熱成形して縦205mm、横108mm、高さ2.4mmの略矩形状の食品包装容器用の蓋体を製造した(熱成形工程)。
成形後の吸水孔の開口面積は、1.44mm2であり、2次発泡前よりも拡大されていた。
また、蓋体の内側表面積に占める吸水孔の開口部の割合は1.2%であった。
さらに、先の吸水評価の結果は、
(A)蓋への付着水分量が1.08g、
(B)蓋吸水量が0.67g
となった。
刃角60度に代えて90度の刃を用いたこと、刃先の侵入深さの設定値を1.5mmに代えて1.6mmにしたこと以外は、実施例1と同様に吸水孔形成工程を実施し、蓋体を作製した。(2次発泡工程、熱成形工程も実施例1に同じ)
成形後の吸水孔の開口面積は1.58mm2であり、2次発泡前よりも拡大されていた。
また、蓋体の内側表面積に占める吸水孔の開口部の割合は、1.8%であった。
さらに、先の吸水評価の結果は、
(A)蓋への付着水分量が1.14g、
(B)蓋吸水量が0.91g
となった。
根元直径1.2mmの先鋭な針状の刃を用いたこと以外は、実施例1と同様に吸水孔形成工程を実施し、蓋体を作製した。
成形後の吸水孔の開口面積は、2次発泡前よりも拡大されていたが、蓋体の内側表面積に占める吸水孔の開口部の割合は、上記実施例2よりも僅かに劣り、1.4%であった。
さらに、先の吸水評価の結果は、
(A)蓋への付着水分量が3.55g、
(B)蓋吸水量が0.34g
となった。
このように、吸水孔穿設工程後に比べて2次発泡後の吸水孔は、樹脂フィルムが真っ直ぐな状態に復元しているにも関わらず、大きく開口していることがわかる。
また、図4からも、樹脂フィルムの一部が切断されて吸水孔の底部に侵入された状態になっていることもわかる。
なお、実施例1、2では、蓋吸水量(B)の値が付着水分量(A)の半分以上の値を示し、蓋体の内部に多くの水分が吸収されていることが確認できた。
一方で、実施例3では、開口部の割合が、実施例1よりも大きいにも関わらず付着水分量(A)の約1割程度の蓋吸水量(B)となっていた。
これは、実施例3では、樹脂フィルム表面における開口面積をある程度確保したものの、針状の刃を用いたために刃厚一定の板状刃を用いた実施例1、2の場合に比べて吸水孔が深さ方向に急速に縮径したためであると考えられる。
このことからも先端部にある程度の厚みを有する刃や、ある程度の先端面積を有する円錐台形状のような刃を用いる方が、より一層吸水性向上に効果的であることがわかる。
1x:刃
20:フィルム積層発泡シート
21:樹脂フィルム
23:連続気泡層
30:吸水孔
Claims (3)
- 連続気泡層を有する樹脂発泡シートの表面に樹脂フィルムをラミネートしたフィルム積層発泡シートに前記樹脂フィルム側から該樹脂フィルムを貫通して前記連続気泡層に至る複数の吸水孔を穿設する吸水孔形成工程と、該吸水孔の形成されたフィルム積層発泡シートを2次発泡させる2次発泡工程と、該2次発泡工程後のフィルム積層発泡シートを熱成形する熱成形工程とを実施する吸水性発泡成形品の製造方法であって、
前記2次発泡工程において前記吸水孔の開口部を広げる方向に前記樹脂フィルムに張力を発生させることにより該2次発泡工程前よりも大きく開口された吸水孔を備えた吸水性発泡成形品を作製することを特徴とする吸水性発泡成形品の製造方法。 - ポリスチレン系樹脂が用いられてなる二軸延伸フィルムをポリスチレン系樹脂発泡シートにラミネートした前記フィルム積層発泡シートを用いる請求項1記載の吸水性発泡成形品の製造方法。
- 製造する吸水性発泡成形品が食品包装容器用の蓋体であり、前記樹脂フィルムの表面に防曇処理が施されているフィルム積層発泡シートを用いて前記樹脂フィルム側が内側となるように前記熱成形を実施する請求項1又は2記載の吸水性発泡成形品の製造方法。
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