JP2012029640A - ハーブ様、甘いアップルティー様の香りを伴ったフルーツ様の香気が付与されたビールテイスト飲料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(Z)−3−ヘキセン−1−オール、リナロール、ゲラニルアセテート、β−シトロネロール、ネロール、へプタン酸、β−イオノン、イソブチルイソブチラート、およびシス−リナロールオキシドを少なくとも含んでなるビールテイスト飲料。
【選択図】なし
Description
各成分の濃度範囲が
・(Z)−3−ヘキセン−1−オール:1.9〜3.6ppb
・リナロール:38.0〜73.2ppb
・ゲラニルアセテート:3.0〜5.8ppb
・β−シトロネロール:24.3〜38.7ppb
・ネロール:4.6〜6.8ppb
・へプタン酸:42.1〜63.2ppb
・β−イオノン:0.13〜0.14ppb
・イソブチルイソブチラート:37.6〜62.1ppb
・シス−リナロールオキシド:4.5〜9.4ppb
であり、かつ
リナロールに対する(Z)−3−ヘキセン−1−オール、ゲラニルアセテート、β−シトロネロール、ネロール、へプタン酸、β−イオノン、イソブチルイソブチラート、およびシス−リナロールオキシドの濃度比率が
・(Z)−3−ヘキセン−1−オール:0.0493〜0.051
・ゲラニルアセテート:0.0786〜0.0791
・β−シトロネロール:0.5284〜0.6395
・ネロール:0.0925〜0.121
・へプタン酸:0.8642〜1.1062
・β−イオノン:0.0018〜0.0037
・イソブチルイソブチラート:0.849〜0.9874
・シス−リナロールオキシド:0.1189〜0.1283
の範囲である、ビールテイスト飲料(以下、「本発明による飲料」という)。
・ヘキサン酸、エチルエステル(Hexanoic acid, ethyl ester)
・ヘプタン酸、エチルエステル(Heptanoic acid, ethyl ester)、および
・プロパン酸、2−メチル−、プロピルエステル(Propanoic acid, 2-methyl-, propyl ester)
を含んでなり、かつ
・α−フムレン(α-humulene)、
・2−トリデカノン(2- Tridecanone)、
・ブタン酸、2−メチル、2−メチルブチルエステル(butanoic acid, 2-methyl-, 2-methylbutyl ester)、および
・リナロール(linalool)
の少なくとも1種含んでなる、前記(4)に記載の製造方法。
本発明による飲料は、9種の香気成分、すなわち、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、リナロール、ゲラニルアセテート、β−シトロネロール、ネロール、へプタン酸、β−イオノン、イソブチルイソブチラート、およびシス−リナロールオキシドを所定の含有量で含有することを特徴とする。本発明による飲料においてハーブ様、甘いアップルティー様の香りを伴ったフルーツ様の香気が明確に感じられるように、これらの9種の香気成分の含有量は以下のような範囲にすることができる。
・リナロール:38.0〜73.2ppb
・ゲラニルアセテート:3.0〜5.8ppb
・β−シトロネロール:24.3〜38.7ppb
・ネロール:4.6〜6.8ppb
・へプタン酸:42.1〜63.2ppb
・β−イオノン:0.13〜0.14ppb
・イソブチルイソブチラート:37.6〜62.1ppb
・シス−リナロールオキシド:4.5〜9.4ppb
・ゲラニルアセテート:0.0786〜0.0791
・β−シトロネロール:0.5284〜0.6395
・ネロール:0.0925〜0.121
・へプタン酸:0.8642〜1.1062
・β−イオノン:0.0018〜0.0037
・イソブチルイソブチラート:0.849〜0.9874
・シス−リナロールオキシド:0.1189〜0.1283
本発明による飲料は、9種の香気成分、すなわち、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、リナロール、ゲラニルアセテート、β−シトロネロール、ネロール、へプタン酸、β−イオノン、イソブチルイソブチラート、およびシス−リナロールオキシドを所定の含有量となるように添加することにより製造することができる。例えば、酵母による発酵工程を経ずに得られる飲料は、上記9種の香気成分を添加することにより本発明による飲料とすることができる。
・ヘキサン酸、エチルエステル
・ヘプタン酸、エチルエステル、および
・プロパン酸、2−メチル−、プロピルエステル
を含んでなり、かつ
・α−フムレン、
・2−トリデカノン、
・ブタン酸、2−メチル、2−メチルブチルエステル、および
・リナロール
の少なくとも1種含んでなるものが挙げられる。このようなホップとしてはフェニックス種ホップ(産国:イギリス)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
予め、ホップを使用した発酵飲料の試験醸造・香気成分の分析を行う。その結果から、ホップの添加時期、添加量を変数とした場合の、香気成分との重回帰式を求める。該重回帰式を用いて算出した、各香気成分が望ましい範囲に入るホップ添加量、添加時期で製造された発酵前液を、発酵させることにより、製造することができる。このとき、ホップは、
・ヘキサン酸エチルエステル、
・ヘプタン酸エチルエステル、および
・プロパン酸、2−メチル−、プロピルエステル
を含んでなり、
・α−フムレン、
・2−トリデカノン、
・ブタン酸2−メチル、2−メチルブチルエステル、および
・リナロール
の少なくとも1種含んでなるものを使用することが好ましい。より好ましくは、前記ホップを単独で使用する。
60品種のホップについてビール醸造後の香気試験を実施したところ、フェニックス種(Phoenix)(産国:イギリス)のホップの香気が、ハーブ様、甘いアップルティー様の香りを伴ったフルーツ様の香気(以下、「本発明が目的とする香気」ということがある)であることを見出した。
キャピラリーカラム:商品名:HP-INNOWAX(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
オーブン温度:40℃,0.3分−3℃/分→240℃,20分
キャリアガス:He、10psi低圧送気
トランスファーライン温度:240℃
MSイオンソース温度:230℃
MSQポール温度:150℃
フロント注入口温度:200℃
モニタリングイオン:以下、定量イオンと同じ
定量に用いたイオン
Borneol m/z=110
(Z)-3-hexen-1-ol m/z=82
linalool m/z=93
Geranyl acetate m/z=93
β-Citronellol m/z=69
Nerol m/z=93
Heptanoic acid m/z=60
β-Ionone m/z=177
Isobutyl isobutyrate m/z= 89
Cis-Linalool Oxide m/z= 94
・甘いフルーツ様香気:β−イオノン(β-ionone)
・フローラル様香気:リナロール(linalool)
・香草様香気:ヘプタン酸(heptanoic acid)
(a)醸造方法
評価に用いた貯酒サンプルは1.5Lスケールの装置を用いて作成した。仕込麦汁13.5度に調整した仕込麦汁(仕込時の麦芽使用比率67%,副原料(米・コーングリッツ・コーンスターチ)使用比率33%)を醸造試験に用いた。醸造試験では仕込麦汁を煮沸し、煮沸中あるいは煮沸後静置時に所定量のフェニックス種ホップ(入手先:Barth社)を添加した(後記表2の試験区A、B、C、D、E、F)。具体的には、煮沸強度が一定で、かつ、60分間で蒸発率が10%となるように調節しながら、電気ヒーターで仕込麦汁を加温煮沸した。煮沸終了後、蒸発量と同量の水をサンプルに追加した上で、95℃で60分間、麦汁を静置させた。ろ紙ろ過後、氷水で麦汁を冷却させた麦汁にビール酵母を添加し、1週間主発酵、4日間後発酵を行なったサンプルを試飲用貯酒サンプルとした。
得られた貯酒サンプルの香気成分の分析は試験例1に従って質量分析計付きガスクロマトグラフィー(GC/MS)により行った。
各香気成分の濃度とホップ添加条件、すなわち、添加後の煮沸時間(分)(以下、単に「煮沸時間」という)および添加量(g/L)から重回帰分析(多変量解析ソフトウエア「STATISTICA」:スタットソフト社)を行った。なお、試験区E、Fは煮沸後の添加のため、「煮沸時間」を「0.1」として、統計解析を行った。結果は表3に示される通りであった。
成分の予測値=《係数(時間)×(煮沸時間(分))》+《係数(量)×(添加量(g/L))》+切片
具体例を挙げると下記の通りとなる。
(Z)-3−ヘキセン−1−オール=《-0.0319×(煮沸時間(分))》+《0.4200×(添加量(g/L))》+1.2291
リナロール=《-1.8419×(煮沸時間(分))》+《4.5833×(添加量(g/L))》+36.4766
・リナロール:38.0〜73.2ppb
・ゲラニルアセテート:3.0〜5.8ppb
・β−シトロネロール:24.3〜38.7ppb
・ネロール:4.6〜6.8ppb
・へプタン酸:42.1〜63.2ppb
・β−イオノン:0.13〜0.14ppb
・イソブチルイソブチラート:37.6〜62.1ppb
・シス−リナロールオキシド:4.5〜9.4ppb
上記(c)で行った重回帰分析で得られた回帰式を利用して、各香気成分値が望ましい範囲に入るためにどのような条件設定を行うべきか、シミュレーションを行った。その結果、煮沸時間5分での添加の場合、5.4〜6.1g/Lのホップ添加で望ましい範囲に入ることが分かった。より具体的には、煮沸時間5分での添加の場合、6g/Lのホップ添加によってでも、(Z)−3−ヘキセン−1−オールは3.6ppb、リナロールは54.8ppb、ゲラニルアセテートは5.6ppb、β−シトロネロールは32.7ppb、ネロールは5.7ppb、β−イオノンは0.13ppb、イソブチルイソブチラートは45.7ppb、シス−リナロールオキシドは5.6ppb、およびへプタン酸は61.0ppbとなり、各香気成分が望ましい範囲に入ることが分かった。また煮沸後静置時の添加、すなわち、ワールプールでの添加の場合、1.7g/Lのホップ添加によってでも、(Z)−3−ヘキセン−1−オールは1.9ppb、リナロールは44.1ppb、ゲラニルアセテートは3.0ppb、β−シトロネロールは26.4ppb、ネロールは5.0ppb、β−イオノンは0.13ppb、イソブチルイソブチラートは41.4ppb、シス−リナロールオキシドは5.0ppb、およびへプタン酸は43.4ppbとなり、各香気成分が望ましい範囲に入ることが分かった。
ホップに共通して存在し、フローラルあるいはホッピーな香気に関連しているリナロールを基準とし、各成分の組成比を表2から得た。結果は表4に示される通りであった。
・ゲラニルアセテート:0.0786〜0.0791
・β−シトロネロール:0.5284〜0.6395
・ネロール:0.0925〜0.121
・へプタン酸:0.8642〜1.1062
・β−イオノン:0.0018〜0.0037
・イソブチルイソブチラート:0.849〜0.9874
・シス−リナロールオキシド:0.1189〜0.1283
18種の市販品(ビール、発泡酒、雑酒、リキュール)の香気成分を分析した。具体的には、市販品の香気成分の分析を試験例2に従って質量分析計付きガスクロマトグラフィー(GC/MS)により行った。結果は表5に示される通りであった。なお、n.d.は検出されなかったことを示す。
実施例1で使用したフェニックス種ホップの成分分析を行った。具体的には、フェニックス種ホップの精油成分をエタノール濃度の異なる水溶液で分画抽出し、試験醸造を行い、本発明が目的とする香気が得られる画分を同定した。そして、その画分含まれる成分を試験例1の手順に従ってGC/MSのスキャンモードで分析した。その結果、フェニックス種ホップに含まれる成分のうち本発明が目的とする香気を生じさせる分画は表8に示した成分から構成されていることが判明した。
表8:本発明が目的とする香気を得るための精油画分に含まれる成分
・2−ペンタノン、3−メチル(2-pentanone, 3-methyl-)
・3−ブテン−2−オール、2−メチル−(3-buten-2-ol, 2-methyl-)
・プロパン酸、2−メチル、プロピルエステル(propanoic acid, 2-methyl-, propyl ester)
・ブタン酸、3−メチル、エチルエステル(butanoic acid, 3-methyl-, ethyl ester)
・プロパン酸、2−メチル−、2−メチルプロピルエステル(propanoic acid, 2-methyl-, 2-methylpropyl ester)
・1,6−オクタジエン、2,7−ジメチル−(1,6-octadiene, 2,7-dimethyl-)
・1−ブタノール、2−メチル−、アセテート(1-butanol, 2-methyl-, acetate)
・β−ミルセン(β-myrcene)
・1−ブタノール、3−メチル、プロパノエート(1-butanol, 3-methyl-, propanoate)
・プロパン酸、2−メチル−、ペンチルエステル(propanoic acid, 2-methyl-, pentyl ester)
・プロパン酸、2−メチル−、2−メチルブチルエステル(propanoic acid, 2-methyl-, 2-methylbutyl ester)
・ヘキサン酸エチルエステル(hexanoic acid, ethyl ester)
・ブタン酸、2−メチル、2−メチルブチルエステル(butanoic acid, 2-methyl-, 2-methylbutyl ester)
・ペンチル 3−メチルブタノエート(pentyl 3-methylbutanoate)
・シクロヘキサノン(cyclohexanone)
・2−ブテン−1−オール、3−メチル−(2-buten-1-ol, 3-methyl-)
・ピノール(pinol)
・ヘプタン酸、エチルエステル(heptanoic acid, ethyl ester)
・メチル 4−メチルヘキサ−2−エノエート(methyl 4-methylhexa-2-enoate)
・6−メチル−5−ヘプテン−2−オン(6-methyl-5-hepten-2-one)
・1−ヘキサノール(1-hexanol)
・3−ペンタオン、2,4−ジメチル−(3-pentanone, 2,4-dimethyl-)
・2−ノナノン(2-nonanone)
・テトラデカノン(tetradecane)
・ベンゼン、1,3−ビス(1,1−ジメチルエチル)−(benzene, 1,3-bis(1,1-dimethylethyl)- )
・リナロールオキシド(linalool oxide)
・1−ヘプタノール(1-heptanol)
・2−ブトキシエチルアセテート(2-butoxyethyl acetate)
・トランス−リノールオキシド(trans-linlool oxide)
・α−コパエン(α-copaene)
・リナロールL(linalool L)
・プロパン酸、2−メチル−(propanoic acid, 2-methyl-)
・ヘキサデカン(hexadecane)
・2−ウンデカノン(2-undecanone)
・カリオフィレン(caryophyllene)
・安息香酸、メチルエステル(benzoic acid, methyl ester)
・1−ヘキサデカン(1-hexadecene)
・α−フムレン(α-humulene)
・β−セリネン(β-selinene)
・α−セリネン(α-selinene)
・δ−カジネン(δ-cadinene)
・オクタデカン(octadecane)
・2−トリデカノン(2-tridecanone)
・エイコサン(eicosane)
・ヘキサン酸エチルエステル(hexanoic acid, ethyl ester)
・ヘプタン酸エチルエステル(heptanoic acid, ethyl ester)
(2)少数の限られた他の品種にも共通する成分
・プロパン酸、2−メチル−、プロピルエステル(propanoic acid, 2-methyl-, propyl ester)
(3)他の品種にも含まれる、ホップに由来する共通成分
・α−フムレン(α-humulene)
・2−トリデカノン(2-tridecanone)
・ブタン酸、2−メチル、2−メチルブチルエステル(butanoic acid, 2-methyl-, 2-methylbutyl ester)
・リナロール(linalool)
Claims (5)
- (Z)−3−ヘキセン−1−オール((Z)-3-hexen-1-ol)、リナロール(linalool)、ゲラニルアセテート(geranyl acetate)、β−シトロネロール(β-citronellol)、ネロール(nerol)、へプタン酸(heptanoic acid)、β−イオノン(β-ionone)、イソブチルイソブチラート(isobutyl isobutyrate)、およびシス−リナロールオキシド(cis-linalool oxide)を少なくとも含んでなる、ビールテイスト飲料であって、
各成分の濃度範囲が、
・(Z)−3−ヘキセン−1−オール:1.9〜3.6ppb
・リナロール:38.0〜73.2ppb
・ゲラニルアセテート:3.0〜5.8ppb
・β−シトロネロール:24.3〜38.7ppb
・ネロール:4.6〜6.8ppb
・へプタン酸:42.1〜63.2ppb
・β−イオノン:0.13〜0.14ppb
・イソブチルイソブチラート:37.6〜62.1ppb
・シス−リナロールオキシド:4.5〜9.4ppb
であり、かつ
リナロールに対する(Z)−3−ヘキセン−1−オール、ゲラニルアセテート、β−シトロネロール、ネロール、へプタン酸、β−イオノン、イソブチルイソブチラート、およびシス−リナロールオキシドの濃度比率が
・(Z)−3−ヘキセン−1−オール:0.0493〜0.051
・ゲラニルアセテート:0.0786〜0.0791
・β−シトロネロール:0.5284〜0.6395
・ネロール:0.0925〜0.121
・へプタン酸:0.8642〜1.1062
・β−イオノン:0.0018〜0.0037
・イソブチルイソブチラート:0.849〜0.9874
・シス−リナロールオキシド:0.1189〜0.1283
の範囲である、ビールテイスト飲料。 - 麦芽飲料である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
- 発酵飲料である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
- 少なくともホップが添加された発酵前液を発酵させることを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
- ホップが
・ヘキサン酸エチルエステル(hexanoic acid, ethyl ester)、
・ヘプタン酸エチルエステル(heptanoic acid, ethyl ester)、および
・プロパン酸、2−メチル−、プロピルエステル(propanoic acid, 2-methyl-, propyl ester)
を含んでなり、
・α−フムレン(α-humulene)、
・2−トリデカノン(2- tridecanone)、
・ブタン酸2−メチル、2−メチルブチルエステル(butanoic acid, 2-methyl-, 2-methylbutyl ester)、および
・リナロール(linalool)
の少なくとも1種含んでなる、請求項4に記載の製造方法。
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