JP2012028025A - 導電パターン形成基板の製造方法及び導電パターン形成基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁基板11(21)、及び、前記絶縁基板11(21)の少なくとも一方の面に設けられ、導電性を有する無機物のネットワーク部材を含む透明導電層aを備えた導電性基板Aに、集光手段42を介してレーザ光Lを照射することにより、前記透明導電層aに絶縁部を形成する導電パターン形成基板の製造方法であって、前記透明導電層aから離れた位置に前記集光手段42の焦点Fを設けて、前記レーザ光Lを照射することを特徴とする。
【選択図】図4
Description
入力装置の導電性基板の透明導電層を構成する材料としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)やポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸に代表されるπ共役系導電性高分子(有機導電体)が広く知られている。
パターンの形成方法としては、例えば、特許文献1には、透明基材の表面の全面に、塗工により透明導電層を形成した後、CO2レーザやQスイッチを利用したパルス幅100n秒程度のYAGレーザを照射して、絶縁にする部分の透明導電層をアブレーションにより除去する方法が開示されている。
特許文献2、3には、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等の印刷により透明基材の表面に導電部を所定のパターンで形成する方法が開示されている。
特許文献4には、透明基材の表面の全面に、塗工により透明導電層を形成した後、プラズマエッチングにより、絶縁にする部分の透明導電層を除去する方法が開示されている。
特許文献5には、バインダ(樹脂)中に金属ナノワイヤ(金属極細繊維)を分散させ硬化してなる透明導電膜に、レーザを照射して絶縁化し、導電パターンを形成する技術が開示されている。尚、透明導電膜から外部へ突出した金属ナノワイヤはレーザで除去することとしている。
特許文献6には、タッチパネル用ITO蒸着基板に対して紫外線レーザを使用し、ビーム径とレンズの焦点距離を制御し、集光エリア内の加工幅を制御することで10μm程度の微細なアブレーションにより微細パターンを形成する技術が開示されている。
そこで、例えばレーザ光のエネルギ密度を低減させて透明導電層に照射することが考えられるが、この場合、絶縁部の絶縁性が十分に確保できないおそれがある。
すなわち本発明は、絶縁基板、及び、前記絶縁基板の少なくとも一方の面に設けられ、導電性を有する無機物のネットワーク部材を含む透明導電層を備えた導電性基板に、集光手段を介してレーザ光を照射することにより、前記透明導電層に絶縁部を形成する導電パターン形成基板の製造方法であって、前記透明導電層から離れた位置に前記集光手段の焦点を設けて、前記レーザ光を照射することを特徴とする。
入力装置1は、入力者側に配置された導電パターン形成基板10と、この導電パターン形成基板10に対向するように画像表示装置側に配置された導電パターン形成基板20と、これらの間に設けられた透明なドットスペーサ30とを備えた抵抗膜式タッチパネルである。
導電パターン形成基板20は、透明な絶縁基板21と、絶縁基板21において少なくとも入力者側を向く面に設けられた透明導電層22と、を備えている。
このように、絶縁部Iにおいては、透明基体2から金属極細繊維4が除去されていることから、該透明基体2(透明導電層12、22)における導電部Cと絶縁部Iとでは、互いに化学的組成が異なっている。
本実施形態で説明する導電パターン形成基板の製造方法では、絶縁基板11(21)の一方の面に形成された前記ネットワーク部材を含む透明導電層(導電パターン形成前の透明導電層)aに、短パルスのパルス状レーザであるレーザ光Lを所定のパターンで照射する方法を用いている。
尚、以下の説明において、レーザ加工前における絶縁基板11(21)と該絶縁基板11(21)の一方の面に形成された透明導電層aとを有する積層体のことを、導電性基板Aという。
そして、レーザ光発生手段41から集光レンズ42を介して透明導電層aにレーザ光Lを照射して、該透明導電層aに絶縁部Iを形成するとともに導電パターンを形成する。
ステージ43は、絶縁基板11(21)が透明でレーザ光Lの出力が1Wを超える場合、ナイロン系若しくはフッ素系の樹脂材料、又は、シリコーンゴム系の高分子材料を用いることが好ましい。
まず、ステージ43の上面に導電性基板Aを、透明導電層aが絶縁基板11(21)より上に配置されるように載置する。ここで、導電性基板Aとしては、絶縁基板11(21)と透明導電層aの透明基体2とが、互いに同一材料又は同一系統の樹脂材料からなるものを用いることが好ましい。詳しくは、例えば絶縁基板11(21)がポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、透明基体2にはポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。
尚、本実施形態における導電性基板A(導電パターン形成基板10、20)は、透明である。
パルス幅が1p秒未満のレーザ(例えばフェムト秒レーザ)では、エネルギ密度1×1016〜7×1017W/m2、単位面積あたりの照射エネルギは1×105〜1×106J/m2が好ましい。
パルス幅が1〜100n秒のレーザ(YAGレーザ又はYVO4レーザ)では、エネルギ密度1×1017〜7×1018W/m2、単位面積あたりの照射エネルギは1×106〜1×107J/m2が好ましい。
すなわち、エネルギ密度・照射エネルギが上記数値範囲よりも小さな値に設定された場合、絶縁部Iの絶縁が不十分になるおそれがある。また、上記数値範囲よりも大きな値に設定された場合、加工痕が目立つようになり、透明タッチパネルや透明電磁波シールドなどの用途では不適当となる。
また、スポット径面積Sは、下記式により定義される。
S=S0×D/FL
S0:レンズで集光されるレーザのビーム面積
FL:レンズの焦点距離
D:透明導電層aの表面(上面)と焦点との距離
導電性基板Aの透明導電層aのうち、網状部材3を構成する無機導電体としては、銀、金、ニッケルなどの金属ナノワイヤが挙げられる。また、透明導電層aのうち、透明基体2を構成する絶縁体としては、透明な熱可塑性樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン)、熱や紫外線や電子線や放射線で硬化する透明な硬化性樹脂(メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコーン樹脂)が挙げられる。
また、絶縁基板11(21)の両面に形成された透明導電層aのうち、片面側の透明導電層aのみを絶縁化する場合には、集光レンズ42として開口数が0.5より大きいものを使用することとしてもよい。
例えば、前述の実施形態では、絶縁基板11、21がともに透明であることとしたが、これら絶縁基板11、21のいずれか又は両方にある程度の透明性を有した着色が施されていても構わない。
また、導電性を有する無機物のネットワーク部材として、前述の網状部材3の代わりに、例えば、膜状部材等からなるネットワーク部材を用いてもよい。具体的には、後述する実施例(製造例2)に示すようなネットワーク部材が採用可能である。
特に、YAGレーザやYVO4レーザの基本波など波長が1000nm近辺のレーザを用いるとともに、上記機能層として、アクリル系高分子素材を使用する場合には、外観特性の観点から、レーザ照射後に機能層を設けることが好ましい。
厚さ100μmの透明なポリエステル(PET)フィルム(絶縁基板11、21)に、Cambrios社のOhm(商品名)インク(金属極細繊維4を含む混合液)を塗布乾燥後、紫外線硬化性のポリエステル樹脂インク(透明基体2)を上塗りして、乾燥・紫外線処理を施すことにより、PETフィルム上に線径50nm程度、長さ15μm程度の銀繊維(金属極細繊維4)からなる導電性の2次元ネットワーク(網状部材3)を有する耐摩擦性の透明導電層aを形成した(図2)。
次いで、この銀ナノワイヤ導電フィルムを、長さ210mm、幅148mmの長方形に切断加工し、銀ナノワイヤ導電フィルム試験片とした。
波長750nm、出力10mW、パルス幅130f秒、繰り返し周波数1kHz、ビーム径5mmのフェムト秒レーザ(製造装置40)を用い、焦点距離FL=100mmの集光レンズ42とガルバノミラーを使用して、試験片を厚さ5mmのガラス板上に、前記透明導電層がガラス板とは反対側を向くように載置し、該試験片における前記透明導電層の表面から集光レンズ42側に向かって1.5mm離間した位置に集光レンズ42(レーザ光L)の焦点Fが設定されるように調整した後、集光点を1mm/秒で試験片の幅方向に横断させるように移動して、直線描画(絶縁パターンの形成)を行った。
波長1064nm、出力12W、パルス幅20n秒、繰り返し周波数100kHz、ビーム径6.7mmのYVO4レーザ(製造装置40)を用い、焦点距離FL=300mmの集光レンズ42とガルバノミラーを使用して、試験片を厚さ5mmのジュラコン(ポリプラスチックス株式会社・登録商標)板上に、前記透明導電層がジュラコン(登録商標)板とは反対側を向くように載置し、該試験片における前記透明導電層の表面から集光レンズ42側に向かって3mm離間した位置に集光レンズ42(レーザ光L)の焦点Fが設定されるように調整した後、集光点を100mm/秒で試験片の幅方向に横断させるように移動して、直線描画を行った。
集光点の移動速度を300mm/秒とした以外は実施例2と同様の条件として、同一箇所に繰り返し5回の直線描画を行った。
集光レンズ42(レーザ光L)の焦点Fを、前記透明導電層の表面上とした以外は実施例1と同様の条件として、直線描画を行った。
集光点の移動速度を300mm/秒とし、集光レンズ42(レーザ光L)の焦点Fを前記透明導電層の表面上とした以外は実施例2と同様の条件として、直線描画を行った。
尚、評価の基準(A、B、C、D)は、下記の通りとした。
A:優良。電気抵抗値が10MΩを超えて絶縁が確実になされており、かつ、導電パターンが全く視認できないもの。
B:良。電気抵抗値が10MΩを超えて絶縁が確実になされており、かつ、導電パターンが殆んど視認できないもの(タッチパネルに組み上げた際に、実質的に加工痕が視認できないもの)。
C:可。電気抵抗値が10MΩを超えて絶縁が確実になされているが、導電パターンが視認できるもの(タッチパネルに組み上げた際に、製品として用いることができる程度のレベル)。
D:不可。電気抵抗値が10MΩ以下であり絶縁化が不十分のもの、又は、目視で確認できる程度に焼き焦げや穴あきが形成されたもの。すなわち、製品として使用できないもの。
一方、製造例1を用いた比較例1、2において照射領域を観察したところ、透明導電層自体がアブレーションによりPETフィルム上から除去されていることが確認された。そして、評価はCとなり、導電パターンが視認された。
厚さ100μmの透明なPETフィルムの片面にシリコーンアクリルのハードコート層を設けたものを用意し、このハードコート層とは反対の面に、マグネトロンスパッタ装置により厚さ60nmの酸化亜鉛膜を形成した。次いで、その酸化亜鉛膜の表面に、マグネトロンスパッタ装置を用いて、厚さ27nmの銀膜を形成した。さらに、この銀膜の表面に、上記酸化亜鉛膜と同様にして、厚さ60nmの酸化亜鉛膜を形成した(図6)。これにより、PETフィルム上に酸化亜鉛膜及び銀膜からなる導電性の2次元ネットワーク(膜状部材からなるネットワーク部材)を有する透明導電層が形成された。詳しくは、図6に示すように、銀蒸着層(銀膜)は、複数の粒状体が密集して連結されつつも、若干の隙間を設けるようにして形成されている。
次いで、この銀蒸着導電フィルムを、長さ210mm、幅148mmの長方形に切断加工し、銀蒸着導電フィルム試験片とした。
そして、前記試験片に、前述の実施例2、3及び比較例2の条件で直線描画を行ったところ、下記結果となった。
一方、製造例2を用いた比較例2においては、目視で焼け焦げが確認され、製品として使用できない状態であった(評価D)。
次に、本発明の導電パターン形成基板10(20)を用いたメンブレン式タッチパネル(配線基板)の製造例について説明する。
次いで「+」マークを基点に、比較例1の条件でコネクタパターンを横断する形で絶縁パターンを形成し、25mm角の入力エリアを持つタッチパネル用配線基板を得た。尚、このタッチパネル用配線基板は一対用意し、テスタで確認したところ、これらタッチパネル用配線基板は、入力エリア端部における配線パターン間が絶縁状態であった。
このように製造されたタッチパネル1は、ドットスペーサ30、配線パターンとも目に付かず、また、キーマトリクスとして機能することが確認された。
予めドットスペーサ30を印刷した導電性基板Aに、製造例3と同様の条件でパターニングを行ったところ、ドットスペーサ30が黒く変色したものが目視で確認された。
3 網状部材(導電性を有する無機物のネットワーク部材)
4 金属極細繊維
10、20 導電パターン形成基板
11、21 絶縁基板
12、22 透明導電層
42 集光レンズ(集光手段)
A 導電性基板(導電パターン形成前の導電パターン形成基板)
a 透明導電層(導電パターン形成前の透明導電層)
C 導電部
F 焦点
I 絶縁部
L レーザ光
Claims (9)
- 絶縁基板、及び、前記絶縁基板の少なくとも一方の面に設けられ、導電性を有する無機物のネットワーク部材を含む透明導電層を備えた導電性基板に、集光手段を介してレーザ光を照射することにより、前記透明導電層に絶縁部を形成する導電パターン形成基板の製造方法であって、
前記透明導電層から離れた位置に前記集光手段の焦点を設けて、前記レーザ光を照射することを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 請求項1に記載の導電パターン形成基板の製造方法であって、
前記レーザ光は、パルス状レーザであることを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の導電パターン形成基板の製造方法であって、
前記導電パターン形成基板は、透明であることを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電パターン形成基板の製造方法であって、
前記透明導電層は、絶縁性を有する透明基体内に前記ネットワーク部材が保持されて形成されており、
前記レーザ光を照射することにより、前記ネットワーク部材の少なくとも一部が除去されることで、前記絶縁部が形成されることを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電パターン形成基板の製造方法であって、
前記ネットワーク部材は、前記絶縁基板上に金属極細繊維を含む液体を塗布する過程を経て、該絶縁基板上に前記金属極細繊維が分散配置されることにより形成されたことを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 請求項5に記載の導電パターン形成基板の製造方法であって、
前記透明基体は、前記絶縁基板上に分散配置された前記金属極細繊維の間に液状部材を充填した後硬化させることで形成されたことを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 請求項4〜6のいずれか一項に記載の導電パターン形成基板の製造方法であって、
前記絶縁基板と前記透明基体とが、互いに同一材料又は同一系統の樹脂材料からなることを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電パターン形成基板の製造方法であって、
前記焦点は、前記集光手段と前記透明導電層との間に設けられることを特徴とする導電パターン形成基板の製造方法。 - 絶縁基板と、
前記絶縁基板の少なくとも一方の面に設けられ、絶縁性を有する透明基体内に導電性を有する無機物のネットワーク部材を含む透明導電層と、を備えた導電パターン形成基板であって、
前記透明導電層には、該透明導電層から離れた位置に焦点が設けられた集光手段を介してレーザ光が照射されたことにより、前記ネットワーク部材の少なくとも一部が除去されてなる絶縁部が形成されていることを特徴とする導電パターン形成基板。
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