JP2012026514A - 電動車両の回生制動時差動制限制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】S301、S303で再設定された差動制限トルクと、これに対し、S305で、操舵角θに応じた、大速舵で小さな差動制限トルクのリミット値Tlimθを設定し、これと、S303で再設定したTdiffとの小さい方を差動制限トルクTdiff=min(Tdiff, Tlimθ)として再設定する。S307では、横加速度YGに応じた、大横加速度ほど大きな差動制限トルクのリミット値TlimYGを設定し、これと、Tdiffinitとの小さい方min(Tdiffinit, TlimYG)を、S305で再設定したTdiffと比較し、大きい方を最終的な差動制限トルクTdiff=max{min(Tdiffinit, TlimYG),Tdiff}とする。
【選択図】図3
Description
この電動車両は、電動モータからの駆動力(正駆動力)をディファレンシャルギヤ装置のような減速装置により左右駆動輪に分配出力することにより走行可能なものである。
かかる回生制動時は、車輪から電動モータに向かう逆駆動力が、ディファレンシャルギヤ装置のような減速装置を、正駆動時とは逆方向に辿る。
冬期の雪道・凍結路走行時や、雨天時のマンホール通過時や、高速走行中に片輪がハイドロプレーニング現象を発生した時のように、左右輪の路面摩擦係数が異なる場合に(以下、このような走行路を総称してスプリットμ路と言う)、以下の理由から回生制動が損なわれるという問題を生ずる。
また、回生制動により得られる車両の減速度も、低μ側車輪の路面摩擦分しか発生し得ず、不足気味となって所謂減速度抜けという現象を発生する。
旋回方向内側車輪の路面摩擦係数が低下すると当時に、旋回方向外側車輪の摩擦係数が増大することによって、見かけ上、上記スプリットμ路において生ずると同様な現象、つまり回生制動不十分(エネルギー回収不足および減速度不足)の現象が発生する。
先ず、本発明の前提となる電動車両を説明するに、これは、
差動制限式ディファレンシャルギヤ装置を介し回転電機からの駆動力を車輪に伝えて走行可能であると共に、駆動力が逆に車輪から回転電機に向かう逆駆動時は該回転電機への発電負荷により上記車輪を回生制動し得るようにしたものである。
上記回生制動時に上記ディファレンシャルギヤ装置を差動制限状態となし、該差動制限の程度を上記回生制動トルクに応じて制御する差動制限制御手段を設けた構成に特徴づけられる。
回生制動時は回生制動トルクに応じ、ディファレンシャルギヤ装置を介した車輪間の差動が制限されてこれら車輪間が回生制動トルクに応じた結合状態にされることとなる。
高μ側車輪の回生制動能力をも活用しつつ、車両全体の回生制動を十分なものとなすことができる。
また、回生制動により得られる車両の減速度も、高μ側車輪の回生制動による減速度分が加算されて十分なものとなり、前記した減速度抜けの現象が発生するという問題も回避することができる。
<構成>
図1は、本発明の一実施例になる回生制動時差動制限制御装置を具えた電動車両の駆動系および制動系を示す概略システム図であり、
1L,1Rはそれぞれ左右前輪を示し、また2L,2Rはそれぞれ左右後輪を示す。
ただし電動モータ3と左右前輪1L,1Rとの間には終減速機4およびディファレンシャルギヤ装置5を介在させ、
電動モータ3からの動力が終減速機4およびディファレンシャルギヤ装置5を順次経て、ディファレンシャルギヤ装置5による差動機能のもと、左右前輪1L,1Rへ分配出力されることで電気自動車の走行を可能ならしめるものとする。
図1では、差動制限機構5aを湿式多板クラッチで構成し、その締結力(締結油圧)を高くするほどディファレンシャルギヤ装置5の差動制限程度が大きくなるものとする。
電動モータ3のトルクが統合コントローラ6からの目標モータトルクTmotに一致するよう、当該電動モータ3の駆動制御を行うものとする。
この目標モータトルクTmotは、トルク値(停車時の0を含む)のほかに、電気自動車の前進・後退制御のための回転方向に係わる情報を内包するものとする。
この時統合コントローラ6は、電動モータ3が回生制動により発電した電力を、インバータ8により交流−直流変換してバッテリ7に充電する。
つまりマスターシリンダは、ブレーキペダル踏力をマスターシリンダ液圧に変換し、このマスターシリンダ液圧により、左右前輪1L,1Rおよび左右後輪2L,2Rに個々に設けられているブレーキキャリパなどの摩擦ブレーキユニット9L,9Rおよび10L,10Rを液圧作動させて、対応車輪に摩擦制動トルクを付与する。
ブレーキコントローラ11は、かかる摩擦ブレーキユニット9L,9Rおよび10L,10Rの作動制御に加えて、差動制限機構5aの動作、前輪自動操舵機構1Sの操作、および後輪自動操舵機構2Sの操作をも行い、これらにより本発明が狙いとする後述の回生制動時差動制限制御を行う。
車速Vを検出する車速センサ12からの信号と、
アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ13からの信号と、
ステアリングホイール操舵角θを検出する操舵角センサ14からの信号と、
車両挙動としてのヨーレートφおよび横加速度YGを検出する挙動センサ15からの信号と、
左右前輪1L,1Rおよび左右後輪2L,2Rの回転数を個々に検出する車輪速センサ16L,16Rおよび17L,17Rからの信号とをそれぞれ入力する。
ブレーキコントローラ11は、上記の入力情報をもとに図2のメインルーチンを実行して、以下のごとくに本発明が狙いとする回生制動時差動制限制御を行う。
先ずステップS1において、統合コントローラ6からの前記目標モータトルクTmotを読み込む。
ここで目標モータトルクTmotは、加速時の正駆動トルクであれば正極性を呈し、減速時の逆駆動トルクであれば負極性を呈するものとする。
Tmot<0ではなくて、Tmot≧0であると判別する場合は、目標モータトルクTmotが正極性であり(正駆動時であり)、図2の回生制動時差動制限制御が不要であるため、制御をそのまま終了させて、図2の制御から離れる。
従ってステップS3は、本発明における差動制限制御手段に相当する。
当該ステップS3での演算は、図3に示すごとくにこれを行う。
なお、目標モータトルクTmot(回生制動トルク)および差動制限トルクTdiffは共に、ドライブシャフト端のトルクとする。
この設定値αは、目標モータトルクTmot(回生制動トルク)や車速Vの関数としても良い。
具体的には、目標モータトルクTmot(回生制動トルク)のβ%相当値を差動制限トルクTdiffとする、
Tdiff=Tmot×β[%]
などであり、このTdiffを差動制限トルク基本値Tdiffinitとしてメモリする。
この車速Vによる差動制限トルクのリミット値TlimVは、車速Vの変数や条件式にしてもよいし、図4に例示するごとく車速Vに関するマップとして与えてもよい。
ステップS303においては更に、上記車速Vによる差動制限トルクのリミット値TlimV と、ステップS301で求めた差動制限トルクTdiffとを比較し、小さい方を差動制限トルクTdiffとして以下のごとくに再設定する。
Tdiff=min(Tdiff, TlimV)
この操舵角θによる差動制限トルクのリミット値Tlimθは、操舵角θの変数や条件式にしてもよいし、図5に例示するごとく操舵角θに関するマップとして与えてもよい。
なお本実施例では、車速Vによる差動制限トルクのリミット値TlimVと、操舵角θによる差動制限トルクのリミット値Tlimθとを個別に設定することにしたが、
例えば低車速時にのみ操舵角θによるリミットを入れるなど、2つのパラメータでリミッタを設定してもよい。
Tdiff=min(Tdiff, Tlimθ)
この横加速度YGは、次のステップS307で車両旋回方向内側車輪の荷重が抜ける状況を検出することから、図1における挙動センサ15の検出値を用いるのが好ましいが、挙動センサ15を設けない場合は、車速Vと操舵角θとから推定により求めてもよい。
また、各車輪への輪荷重を測定できる車両においては、当該測定した輪荷重検出値から横加速度YGを求めてもよい。
かかるリミット値TlimYGの設定に当たっては、横加速度YGによる荷重移動を考慮し、伝達力が旋回方向内側車輪から抜けないようにする差動制限トルク値を当該リミット値TlimYGと定める。
なおステップS306で各輪の荷重が計測できている場合は、旋回方向内側車輪の輪荷重を直接演算してもよい。
これと、ステップS305で再設定した差動制限トルクTdiffとの大きい方を最終的な差動制限トルクTdiffとして以下のごとくに最終設定する。
Tdiff=max{min(Tdiffinit, TlimYG),Tdiff}
しかし差動制限機構5aは、これに限られるものでなく、油圧式や、左右前輪1L,1Rを個々に締結・増速させるようなトルクベクトリング式の差動制限機構であってもよいのは言うまでもない。
ステップS4のスプリットμ路判定処理は図7に明示するごときもので、以下この図7に基づきスプリットμ路判定処理を詳述する。
次のステップS402においては、上記左右輪回転数の差回転を演算し、これを基にスプリットμ路であるか否かを判定する。
従ってステップS402は、本発明におけるスプリットμ路判定手段に相当する。
そこでステップS402においては、上記左右輪回転数の差回転が一定量を超えた時をもってスプリットμ路であると判定する。
なお、図3のステップS302〜ステップS305において、車速Vおよび操舵角θに応じた差動制限トルクに対する制限が行われている場合は、図7のステップS402でスプリットμ路と判定しないようにしてもよい。
スプリットμ路であるとの判定結果である場合は、制御を順次ステップS404およびステップS405に進める。
従ってステップS404は、本発明における回生制動時ヨーモーメント減殺手段に相当する。
なお上記のプリチャージ液圧は、摩擦ブレーキユニット9L,9Rおよび10L,10Rが摩擦制動を開始する直前の状態にする液圧で、例えば0.1MPa程度の圧力である。
かかる前輪自動操舵機構1Sおよび/または後輪自動操舵機構2Sの中立位置オフセット処理によれば、前記した差動制限トルクTdiffの付与に伴って、路面摩擦係数(車輪回転数)が高い方の高μ側車輪周りに発生する車両ヨーモーメントを打ち消す、または少なくとも減殺するヨーモーメントを発生させることができる。
従ってステップS405は、本発明における回生制動時ヨーモーメント減殺手段に相当する。
なお、前輪自動操舵機構1Sおよび/または後輪自動操舵機構2Sの中立位置オフセット処理は、運転者に違和感を感じさせない程度の変化速度で当該オフセットを行うのがよいのは言うまでもない。
ステップS406においては、スプリットμ路でないことから、アンチスキッド制御装置(ABS)や車両挙動制御装置(VDC)が作動しないことに呼応して、各輪の摩擦ブレーキユニット9L,9Rおよび10L,10Rにプリチャージ液圧を供給するブレーキ液圧プリチャージ処理を解除する。
なお、ブレーキ液圧プリチャージ処理が行われていない場合、その解除が不要であって、ステップS406は、摩擦ブレーキユニット9L,9Rおよび10L,10Rにプリチャージ液圧が供給されない現状を継続する。
かかる前輪自動操舵機構1Sおよび/または後輪自動操舵機構2Sの中立位置オフセット解除処理は、運転者に違和感を感じさせない程度の変化速度で当該オフセットの解除を行うのがよいのは言うまでもない。
なお、中立位置オフセット処理が行われていい場合、その解除が不要であって、ステップS407は、前輪自動操舵機構1Sおよび/または後輪自動操舵機構2Sの中立位置を現状のままに保持する。
ステップS5の車両ヨーモーメント補正処理は図8に明示するごときもので、以下この図8に基づき車両ヨーモーメント補正処理を詳述する。
次のステップS502においては、ステアリングホイール操舵角θおよび車速Vから、車両の目標ヨーレートtφを演算する。
従ってステップS503は、本発明におけるヨーモーメント推定手段に相当する。
なお、この回生制動によるヨーモーメントYMmotは、運転者のステアリング操作によるヨーモーメントを阻害しているモーメント成分である。
従ってステップS504は、本発明における回生制動時ヨーモーメント減殺手段に相当する。
YMfsty =YMmot −YMbrk
とする。
従ってステップS505は、本発明における回生制動時ヨーモーメント減殺手段に相当する。
ただし前輪1L,1Rは、運転者がステアリン操作により転舵する主操舵輪であることから、ステップS505での前輪自動操舵によるヨーモーメントYMfsty(前輪舵角)に一定の制限を設けることとする。
YMrsty=YMmot −YMbrk −YMfsty
とする。
従ってステップS506は、本発明における回生制動時ヨーモーメント減殺手段に相当する。
ただし過度の後輪操舵は運転者に、車両が挙動不安定になったような不安感を与えることがあり、ステップS506での後輪自動操舵によるヨーモーメントYMrsty(後輪舵角)には一定の制限を設けることとする。
この判定は、YMmotと、(YMbrk+YMfsty+YMrsty)とを対比し、
YMmot>YMbrk+YMfsty+YMrsty
であれば、打ち消し不能と判定し、
YMmot≦YMbrk+YMfsty+YMrsty
であれば、打ち消し可能と判定する。
ステップS508において、回生制動によるヨーモーメントYMmotをYMbrk,YMfsty,YMrstyによって完全に打ち消すことができる値まで低下させるのに必要な回生制動トルク制限値を演算する。
これにより、回生制動によるヨーモーメントYMmotをYMbrk,YMfsty,YMrstyによって完全に打ち消すことができるようになる。
ステップS508をスキップして、図8のループから脱し、制御を図2のステップS6に戻すことにより、回生制動トルク(目標モータトルクTmot)を制限することなく現状のままに保つ。
従ってステップS6は、本発明におけるパワーステアリング制御手段に相当する。
操舵助勢力は通常、通常車速感応制御により、低車速ほど助勢力が大きくなり、高車速になるほど助勢力が小さくなるよう制御される。
ステップS6においては、上記のように設定された補正前の助勢力Tinit(V)に対し、次式で示すような係数γおよび回生制動トルクTmot(目標モータトルク)に応じた補正を行って、補正後の最終的な操舵助勢力Tassistを演算し、
Tassist=Tinit(V)+Tmot×γ
このパワーステアリング装置の操舵助勢力を、かかる補正後の最終的な操舵助勢力Tassistとなるよう制御する。
なお本実施例では、回生制動トルクTmotのみに応じて補正量(Tmot×γ)を設定しているが、車速Vに応じても補正量が変化するように設定してもよい。
上記した本実施例の回生制動時差動制限制御によれば、以下のような作用効果が奏し得られる。
つまり、ステップS2で回生制動中と判定する間、ステップS3において図3の制御プログラムを実行することにより、目標モータトルクTmot(回生制動トルク)の絶対値から設定値αを差し引いて得られる差値(|Tmot|−α)を差動制限トルクTdiffと定め(ステップS301)、基本的にはこれを差動制限機構5aの締結力制御に資するため(ステップS308)、
回生制動時にディファレンシャルギヤ装置5を差動制限状態となし、該差動制限の程度を回生制動トルクTmotに応じて制御することとなる。
従って、スプリットμ路での走行中や、大横G旋回中において、電動モータ3による回生制動トルクが、路面摩擦係数の低い低μ側車輪だけでなく、差動制限分だけ路面摩擦係数の高い高μ側車輪にも伝達され、
高μ側車輪の回生制動能力をも活用しつつ、車両全体の回生制動を十分なものとなすことができる。
また、回生制動により得られる車両の減速度も、高μ側車輪の回生制動による減速度分が加算されて十分なものとなり、前記した減速度抜けの現象が発生するという問題も回避することができる。
つまり大操舵時は、車輪1L,1Rの大転舵により内外輪速差が大きくなって、タイトコーナーブレーキング現象や、曲がりにくい状況となり易いが、大操舵ほど差動制限の程度を小さくしたため、当該タイトコーナーブレーキング現象や、曲がりにくい状況を生じないようにすることができる。
つまり大横G旋回では、荷重移動により旋回方向内側車輪の輪荷重が抜けることで内側車輪の限界トルクが下がり、回生制動トルクを十分に伝達することができなくなるが、横加速度YGが大きいほど差動制限の程度を大きくしたことで、回生制動トルクを旋回方向外側車輪へ十分伝達することが可能となり、内側車輪による回生制動トルク不足を外側車輪側への回生制動トルクにより確実に補うことができる。
しかし本実施例では、図2のステップS5において図5の制御プログラムを実行することにより、差動制限下での回生制動によって車両に付与される回生制動時ヨーモーメントYMmotを推定し(ステップS503)、この回生制動時ヨーモーメントYMmotに逆らう方向の逆向きヨーモーメントYMbrk(摩擦制動による逆向きヨーモーメント),YMfsty(前輪自動操舵による逆向きヨーモーメント),YMrsty(後輪自動操舵による逆向きヨーモーメント)を車両に付与して回生制動時ヨーモーメントYMmotを減殺するようにしたため(ステップS504、ステップS505、ステップS506)、上記した車両の挙動不安定を緩和、若しくは防止することができる。
しかし本実施例のように、スプリットμ路判定時に前もってブレーキ液圧プリチャージ処理により車輪の摩擦制動が開始される直前状態にしておけば、突然不安定な車両挙動が発生した場合においても、遅滞なくこれに対処した摩擦制動力制御を介入させることができる。
しかし本実施例のように、スプリットμ路判定時に前もって自動操舵機構1S,2Sの中立位置を低μ側車輪の方向へオフセットさせておけば、突然高μ側車輪周りに車両が回転するような不安定な挙動が発生しても、遅滞なくこれに対処した自動操舵により、上記の挙動不安定を解消することができる。
つまり、スプリットμ路のように路面摩擦力が不安定な状況では、ディファレンシャルギヤ装置5を差動制限していると、左右一方側車輪のスリップ傾向を判別し難いが、本実施例のスプリットμ路判定によれば、かかる状況下でも確実にスプリットμ路の判定を行うことができて、上記の作用効果を更に確実なものにすることができる。
本実施例のごとく回生制動トルクTmotに応じパワーステアリング装置の操舵助勢力を大きくなるよう制御すれば、かかる問題を回避することができる。
図示の実施例では、ディファレンシャルギヤ装置5の差動制限機構5aを前記した通り湿式多板クラッチ式として、その締結油圧(差動制限トルクTdiff)をソレノイドバルブにより制御するようになすことで、差動制限トルクTdiffを電気的に制御し得るようにしたが、
ディファレンシャルギヤ装置5を、機械式トルセンデフなど、入力軸のトルクに応じて機械的に差動を制限する型式のディファレンシャルギヤ装置で構成し、前記した諸々の作用効果が奏し得られるようにしてもよい。
具体的には、減速側にワンウェイ型の機械式リミテッドスリップデフを設定し、入力トルクに対して差動制限トルクが若干小さくなるようにカム角や多板クラッチの材質・枚数などを決定するのがよい。
つまり、前または後の片輪が低μ路などで空転傾向となった場合に、逆側の軸で回生制動力を伝達することができ、回生エネルギーの回収効率を高め得ると共に、十分な減速度を確保することが可能となる。
1S 前輪自動操舵機構
2L,2R 左右後輪
2S 後輪自動操舵機構
3 電動モータ(回転電機)
4 終減速機
5 ディファレンシャルギヤ装置
5a 差動制限機構
6 統合コントローラ
7 バッテリ(蓄電器)
8 インバータ
9L,9R,10L,10R 摩擦ブレーキユニット
11 ブレーキコントローラ
12 車速センサ
13 アクセル開度センサ
14 操舵角センサ
15 車両挙動センサ
16L,16R,17L,17R 車輪速センサ
Claims (12)
- 差動制限式ディファレンシャルギヤ装置を介し回転電機からの駆動力を車輪に伝えて走行可能であると共に、駆動力が逆に車輪から回転電機に向かう逆駆動時は該回転電機への発電負荷により前記車輪を回生制動し得るようにした電動車両において、
前記回生制動時に前記ディファレンシャルギヤ装置を差動制限状態となし、該差動制限の程度を前記回生制動トルクに応じて制御する差動制限制御手段を設けたことを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 請求項1に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記差動制限下での回生制動によって車両に付与される回生制動時ヨーモーメントを推定するヨーモーメント推定手段と、
該手段で推定した回生制動時ヨーモーメントに逆らう方向の逆向きヨーモーメントを車両に付与して前記回生制動時ヨーモーメントを減殺する回生制動時ヨーモーメント減殺手段とを具備してなることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 前記電動車両が、少なくとも左右輪間で摩擦制動トルクを個別に制御可能なものである、請求項2に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記回生制動時ヨーモーメント減殺手段が、前記左右輪間の摩擦制動トルク差により前記逆向きヨーモーメントを車両に付与するものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 請求項3に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
車輪間で路面摩擦係数が異なるのを判定するスプリットμ路判定手段を設け、
該手段により車輪間で路面摩擦係数が異なると判定されたとき、前記回生制動時ヨーモーメント減殺手段は、該当車輪の摩擦制動が開始される直前状態にするものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 前記電動車両が、少なくとも一対の左右輪を舵角制御可能な舵角制御手段を有したものである、請求項2〜4のいずれか1項に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記回生制動時ヨーモーメント減殺手段が、前記左右輪の舵角制御により前記逆向きヨーモーメントを車両に付与するものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 請求項5に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
車輪間で路面摩擦係数が異なるのを判定するスプリットμ路判定手段を設け、
該手段により車輪間で路面摩擦係数が異なると判定されたとき、前記回生制動時ヨーモーメント減殺手段は、前記舵角制御手段の非転舵中立位置を前記路面摩擦係数の小さい方の車輪側へオフセットさせるものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 請求項4〜6のいずれか1項に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記差動制限の程度を決定する差動制限トルクは、前記回生制動トルクよりも設定値だけ小さなトルク値とし、
前記スプリットμ路判定手段は、車輪間の差回転が所定値を超えた時をもって、車輪間で路面摩擦係数が異なると判定するものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 前記電動車両が、操舵力を助勢するパワーステアリング装置を具えたものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記パワーステアリング装置による助勢力を前記回生制動トルクに応じて大きくするパワーステアリング制御手段を設けたことを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記差動制限制御手段は、低車速域で前記差動制限の程度を小さくするものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記差動制限制御手段は、高車速域で前記差動制限の程度を小さくするものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記差動制限制御手段は、大操舵ほど前記差動制限の程度を小さくするものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載された電動車両の回生制動時差動制限制御装置において、
前記差動制限制御手段は、車両横加速度が大きいほど前記差動制限の程度を大きくするものであることを特徴とする電動車両の回生制動時差動制限制御装置。
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