JP2012026318A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、内燃機関の制御装置に関し、EGR利用時にも高精度に吸入ガス流量を推定可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】吸気管34内に排気ガスを還流させる場合、吸気管34内のガス密度ρmが変化する。ガス密度ρmは、ρm=MPm/RTm(M:ガスの分子量)で表され、吸気管34内のガス温度Tmと反比例の関係にある。そのため、還流排気ガス流量が少ない場合には吸気管34内のガス温度が低く、吸気管34内のガス密度が上昇するので吸入ガス量が増加する。一方、還流排気ガス流量が多い場合には吸気管34内のガス温度が高く、吸気管34内のガス密度が低下するので吸入ガス量が減少する。従って、吸気管34内のガス密度の変化分、吸入ガス量を補正することで外部EGR活用時の吸入ガス量を精度良く予測することができる。
【選択図】図5

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に関し、より詳細には、内燃機関の排気通路と吸気管とを接続する排気ガス環流(Exhaust Gas Recirculation:EGR)管を備える内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1には、内燃機関における燃料噴射量制御に関し、筒内に吸入される吸入ガス流量を、吸気弁モデルを用いて推定する方法が開示されている。吸入ガス量は、吸気弁の閉弁時に確定し、その時点での筒内圧力と比例関係にある。また、吸気弁閉弁時の筒内圧力は、吸気弁の上流の圧力、即ち、吸気管圧と等しいとみなすことができる。そのため、吸入ガス量は、吸気管圧と比例関係にあると言える。このような前提の下、特許文献1の吸気弁モデルは、経験則に基づく下記式(1)に従って筒内に吸入される吸入ガス流量mc**を求め、この吸入ガス流量mc**を用いて、一吸気行程において筒内に吸入される吸入ガス量を求めている。
mc**=(T/Tm**)・(c・Pm**−d) ・・・(1)
上記式(1)において、Pm**は吸気管圧であり、Tは吸気温度(大気温度)、Tm**は吸気管内ガス温度である。また、cは比例係数であり、dは筒内に残存している既燃ガスを表す値である。
吸入ガス流量mc**の具体的な推定方法は次のとおりである。即ち、この吸気弁モデルは、エンジン回転数Ne、吸気弁の開閉タイミングVT及び吸気弁の最大リフト量Lmaxと、上記比例係数c及び既燃ガス量dとの関係をそれぞれ規定するテーブルを記憶しており、実際のエンジン回転数Ne、吸気弁開閉タイミングVT、吸気弁最大リフト量Lmaxと、それぞれのテーブルとから、比例係数c及び既燃ガス量dを求める。そして、この吸気弁モデルは、比例係数c、既燃ガス量dを求める際に、別途推定した吸気管圧Pm**、吸気管内ガス温度Tm**を上記式(1)に適用して、吸入ガス流量mc**を推定する。
国際公開第03/033897号
ところで、上記吸気弁モデルを、EGR管を備える内燃機関に適用したと仮定する。そうすると、EGR管を流れる排気ガス(外部EGRガス)が吸気管内に流入することになるので、吸気管内のガス量が急激に変化する。つまり、上記式(1)における既燃ガス量dの値が変化するので、吸入ガス流量mc**の推定精度が低下してしまう。従って、上記吸気弁モデルをそのまま適用すると、吸入ガス流量の推定精度の低下に繋がってしまう。このような推定精度の低下を防ぐためには、既燃ガス量dを再度求めればよい。しかしながら、既燃ガス量dを再度求めれば、その算出時間が拡大するので制御性が悪化するという問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、EGR利用時にも高精度に吸入ガス流量を推定可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の吸気管におけるガス温度と吸気管圧とを少なくとも使用して、筒内に吸入される吸入ガス流量を算出するための吸気弁モデルを備える内燃機関の制御装置であって、
大気温度を取得する大気温度取得手段と、
前記内燃機関の排気通路と前記吸気管とを接続するEGR管と、
前記EGR管を流れる還流排気ガス流量を取得する還流排気ガス流量取得手段と、
前記EGR管を流れる還流排気ガス温度を取得する還流排気ガス温度取得手段と、
前記EGR管との接続部よりも上流側の吸気管におけるガスに関するモデルに、前記吸入ガス流量、前記大気温度、前記還流排気ガス流量を適用して、前記上流側の吸気管におけるガス温度を上流ガス温度として推定する上流ガス温度推定手段と、
前記EGR管との接続部よりも下流側の吸気管における吸気管圧を下流吸気管圧として取得する下流吸気管圧取得手段と、
前記下流側の吸気管の壁面温度を取得する壁面温度取得手段と、
前記下流側の吸気管におけるガスに関するモデルに、前記大気温度、前記還流排気ガス流量、前記還流排気ガス温度、前記下流吸気管圧及び前記壁面温度を適用して、前記下流側の吸気管におけるガス温度を下流ガス温度として推定する下流ガス温度推定手段と、
前記吸気弁モデルに、前記上流ガス温度、前記下流吸気管圧及び前記下流ガス温度を適用して、筒内に吸入される吸入ガス流量を算出する吸入ガス流量算出手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記EGR管に設けられたEGRクーラーを更に備え、
前記還流排気ガス温度取得手段は、前記EGRクーラーの温度を前記還流排気ガス温度として取得することを特徴とする。
第1の発明によれば、EGR管との接続部よりも上流側の吸気管におけるガス温度(上流ガス温度)、下流側の吸気管におけるガス温度(下流ガス温度)をそれぞれ推定し、取得した下流吸気管圧と共に、これらを吸気弁モデルに適用して吸入ガス流量を算出できる。排気ガスが吸気管内に還流されると、吸気管内のガス密度が変化する。ここで、吸気管内のガス密度は、吸気管内のガス温度と反比例の関係にある。そのため、上流ガス温度と下流ガス温度とをそれぞれ推定し吸気弁モデルに適用すれば、吸気管内のガス密度変化分の補正をすることができる。従って、EGRを活用する場合であっても、吸入ガス流量を高精度に推定できる。
第2の発明によれば、下流ガス温度を推定するために必要な還流排気ガス温度を、EGRクーラー温度で代用できる。従って、システムの増大化を防止することができる。
実施の形態のシステム構成を説明するための図である。 実施の形態の制御装置が吸入ガス量を推定する際に使用するモデルの接続関係を示した機能ブロック図である。 吸入ガス流量補正係数α(=Tm*i/Tm)の一例を示した図である。 EGR率に対する吸入ガス量の変化を表した図である。 ECU70により実行される吸気管内ガス温度Tmの算出手順を示すフローチャートである。 ECU70により実行される吸気管内ガス温度Tm*iの算出手順を示すフローチャートである。 ECU70により実行される吸入ガス流量mcの算出手順を示すフローチャートである。 実施の形態の変形例を説明するための図である。 実施の形態の変形例を説明するための図である。 実施の形態の変形例を説明するための図である。
[システム構成の説明]
以下、図1乃至図10を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態のシステム構成を説明するための図である。本実施形態のシステムは、内燃機関としてのエンジン10を備えている。エンジン10の気筒数および気筒配置は特に限定されるものではない。
エンジン10は、内部にピストン12を有するシリンダブロック14を備えている。ピストン12は、クランク機構を介してクランク軸16と接続されている。クランク軸16の近傍には、クランク角センサ18が設けられている。クランク角センサ18は、クランク軸16の回転角度(クランク角)を検出するように構成されている。
シリンダブロック14の上部にはシリンダヘッド20が組み付けられている。ピストン12上面からシリンダヘッド20までの空間は燃焼室22を形成している。シリンダヘッド20には、燃焼室22内の混合気に点火する点火プラグ24が設けられている。シリンダヘッド20は、燃焼室22と連通する吸気ポート26を備えている。吸気ポート26と燃焼室22との接続部には吸気弁28が設けられている。吸気弁28は、可変動弁機構30に接続されている。可変動弁機構30は、吸気弁28の開弁特性(開閉弁時期、作用角、リフト量)を変更可能に構成されている。
吸気ポート26には、該吸気ポート26近傍に燃料を噴射するインジェクタ32が設けられている。吸気ポート26には、吸気管34が接続されている。吸気管34には、上流側から順にエアクリーナ36、スロットルバルブ38及びサージタンク40がそれぞれ設けられている。スロットルバルブ38は、全閉位置と全開位置との間で開、閉される電子制御式のバタフライ弁により構成され、アクセル開度センサ42により検出されるアクセル開度に基づいて駆動される。サージタンク40は、吸気脈動の減衰効果等を発揮するために、吸気管34の途中に一定の広がりをもつ空間を形成している。
また、シリンダヘッド20には、燃焼室22と連通する排気管44が接続されている。排気管44には、EGR管46の一端が接続されている。EGR管46の他端は、サージタンク40に接続されている。EGR管46の途中には、EGRクーラー48が設けられている。EGRクーラー48は、EGR管46を流れる排気ガスを冷却するように構成されている。EGRクーラー48よりも吸気管34側のEGR管46には、EGR弁50が設けられている。EGR弁50は、例えば、ステッピングモータにより開閉操作される流量制御弁である。このEGR弁50が開弁されると、排気管44を流れる排気ガスの一部が、EGR管46及びEGRクーラー48を通って吸気管34に環流される。
また、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)60を備えている。ECU70の入力側には、上述したクランク角センサ18やアクセル開度センサ42の他、大気温度検出手段52、大気圧検出手段54、吸気管圧検出手段56、壁面温度検出手段58、還流排気ガス流量検出手段60、還流排気ガス温度検出手段62その他車両やエンジン10の制御に必要な各種のセンサが接続されている。
ここで、大気温度検出手段52は、スロットルバルブ38の上流温度(即ち、大気温度)Tを検出するためのものであり、大気圧検出手段54は、スロットルバルブ38の上流圧(即ち、大気圧)Pを検出するためのものである。また、吸気管圧検出手段56は、EGR管46との接続部よりも下流側の吸気管34における吸気管圧Pmを検出するためのものであり、壁面温度検出手段58は、EGR管46との接続部よりも下流側の吸気管34の壁面温度Tを検出するためのものである。また、還流排気ガス流量検出手段60は、EGR管46を流れて吸気管34に流入する還流排気ガス流量mEGRを検出するためのものであり、還流排気ガス温度検出手段62は、EGR管46を流れて吸気管34に流入する還流排気ガス温度TEGRを検出するためのものである。
一方、ECU70の出力側には、点火プラグ24、インジェクタ32、スロットルバルブ38等を含む各種のアクチュエータが接続されている。ECU70は、上述した各種のセンサによりエンジン10の運転情報を検出し、その検出結果に基づいて各アクチュエータを駆動することにより、エンジン10の運転制御を行う。
[燃料噴射量制御]
ECU70によるエンジン10の運転制御の一つに、燃料噴射量制御がある。この燃料噴射量制御は、吸気弁28の閉弁時に燃焼室22内に吸入されるであろう吸入ガス量Mcを、吸気弁が閉弁する前に予測し、下記式(2)に基づいて燃料噴射量fcを決定する。 fc=K・Mc ・・・(2)
上記式(2)において、Kは目標空燃比に応じて変化する係数である。
図2は、ECU70による吸入ガス量Mcの予測時に使用するモデルの接続関係を示した機能ブロック図である。本実施形態のシステムが吸入ガス量Mcを推定する際には、図2に示すように、電子制御スロットルモデルM10、スロットルモデルM20、上流吸気管モデルM30、下流吸気管モデルM40及び吸気弁モデルM50のシミュレーションモデルを使用する。
(電子制御スロットルモデルM10)
電子制御スロットルモデルM10は、現時点までのアクセルペダル操作量AAに基づいて、現時点から所定時間T先の時刻tにおけるスロットルバルブ開度θtを推定するモデルである。本実施形態においては、電子制御スロットルモデルM10は、ECU70に別途記憶されたアクセルペダル操作量AAと目標スロットルバルブ開度θrとの関係を規定するテーブルに、アクセル開度センサ42で検出したアクセルペダル操作量AAを適用して暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1を求める。そして、この暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1を所定時間Tだけ遅延させた値を最終的な目標スロットルバルブ開度θrとして決定する。
このように、目標スロットルバルブ開度θrは、現時点から所定時間Tだけ前の時点におけるアクセルペダル操作量AAに応じて決定された暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1と等しいから、現時点から所定時間Tだけ先の時刻tにおける目標スロットルバルブ開度θrは、現時点から時間(T−T)前における暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1と等しい。また、現時点から時間(T−T)前における暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1は、スロットルバルブの作動遅れ時間を無視すれば、スロットルバルブ開度θtと等しい。このような考えに基づき、電子制御スロットルモデルM10は、現時点から所定時間Tだけ先の時刻tにおけるスロットルバルブ開度θtを推定する。即ち、現時点から時間(T−T)前における暫定的な目標スロットルバルブ開度θr1を現時点から所定時間Tだけ先の時刻tにおけるスロットルバルブ開度θtとして推定する。
(スロットルモデルM20)
スロットルモデルM20は、スロットルバルブ38を通過する新気の流量(スロットル通過新気流量)mtを、エネルギー保存則、運動量保存則、質量保存則、及び状態方程式等の物理法則に基づいて得られた下記式(3)及び下記式(4)に基づいて推定するモデルである。スロットルモデルM20は、スロットルバルブ38の上流圧Pが、その下流側の圧力、具体的には、スロットルバルブ38の設置部から、EGR管46との接続部までの吸気管34(以下、単に「上流側吸気管部」と称す。)における吸気管圧Pmより大きい順流の場合に下記式(3)を使用し、スロットルバルブ上流圧Pが吸気管圧Pmより小さい逆流の場合に下記式(4)を使用する。この結果、スロットル通過新気流量mtは、順流の場合には正の値をとなり、逆流の場合には負の値となる。
Figure 2012026318
上記式(3)及び式(4)において、Tはスロットルバルブ38の上流温度、Tmは上流側吸気管部吸気管内ガス温度、Rは気体定数、κは比熱比(物性値)、をそれぞれ表す。また、上記式(3)及び式(4)において、θtは電子制御スロットルモデルM10により推定されたスロットルバルブ開度、Ct(θt)はスロットルバルブ開度θtに応じて変化する流量係数、At(θt)はスロットルバルブ開度θtに応じて変化するスロットル開口面積(吸気管34の開口面積)をそれぞれ表す。流量係数Ct(θt)は、スロットルモデルM20が、ECU70に別途格納されたスロットルバルブ開度θtと流量係数Ct(θt)との関係を規定したテーブルに、推定したスロットルバルブ開度θtを適用することで求められる。同様に、At(θt)は、スロットルモデルM20が、スロットルバルブ開度θtと開口面積At(θt)との関係を規定したテーブルに、推定したスロットルバルブ開度θtを適用することで求められる。
具体的に、スロットルモデルM20は、スロットルバルブ38の上流圧P、スロットルバルブ38の上流温度Tを、大気圧検出手段54、大気温度検出手段52からそれぞれ取得するとともに、吸気管圧Pmを後述する上流吸気管モデルM30から取得し、これらの値を上記式(3)又は式(4)に適用して、時刻tにおけるスロットル通過新気流量mtを推定する。
ここで、上記スロットルモデルM20を記述した上記式(3)及び式(4)の導出過程について説明する。スロットルバルブ38の上流の開口断面積をAu、新気の密度をρu、新気の流速をvuとし、スロットルバルブ38による吸気管34の開口断面積をAd、そこでの新気密度をρd、スロットルバルブ38を通過する新気の流速をvdとすると、スロットル通過新気流量mtは下記式(5)で表すことができる。下記式(5)は、質量保存則を記述した式と言える。
mt=Ad・ρd・vd=Au・ρu・vu ・・・(5)
一方、運動エネルギーは、新気の質量をmAIRとすると、スロットルバルブ38の上流でmAIR・vu/2であり、スロットルバルブ38を通過する場所でmAIR・vd/2である。他方、熱エネルギーは、スロットルバルブ38の上流でmAIR・Cp・Tuであり、スロットルバルブ38を通過する場所でmAIR・Cp・Tdである。従って、エネルギー保存則により、下記式(6)が得られる。なお、Tuはスロットルバルブ上流の新気温度、Tdはスロットルバルブ下流の新気温度、Cpは定圧比熱である。
AIR・vu/2+mAIR・Cp・Tu=mAIR・vd/2+mAIR・Cp・Td ・・・(6)
ところで、状態方程式は下記式(7)、比熱比κは下記式(8)、マイヤーの関係は下記式(9)でそれぞれ示すことができるから、下記式(7)〜式(9)よりCp・Tは下記式(10)のように表される。なお、Pは気体の圧力、ρは気体の密度、Tは気体の温度、Rは気体定数、Cvは定容比熱である。
P=ρ・R・T ・・・(7)
κ=Cp/Cv ・・・(8)
Cp=Cv+R ・・・(9)
Cp・T={κ/(κ−1)}・(P/ρ)・・・(10)
上記式(10)の関係を用いて上記式(6)を書き換えると、下記式(11)が得られる。なお、Puはスロットルバルブ38の上流における新気の圧力、Pdはスロットルバルブ38を通過する場所での新気の圧力である。
AIR・vu/2+{κ/(κ−1)}・(Pu/ρu)=mAIR・vd/2+{κ/(κ−1)}・(Pd/ρd) ・・・(11)
そして、スロットルバルブ38の無限上流を考えると、Au=∞、vu=0であるから、上記式(11)は、下記式(12)に書き換えることができる。
{κ/(κ−1)}・(Pu/ρu)=mAIR・vd/2+{κ/(κ−1)}・(Pd/ρd) ・・・(12)
次に、運動量について説明する。断面積Auの部分と断面積Adの部分との間をつなぐ固定された空間の平均圧力をPmeanとすると、下記式(13)が得られる。
ρd・vd・Ad−ρu・vu・Au=Pu・Au−Pd・Ad+Pmean・(Ad−Au) ・・・(13)
上記式(13)で、Au=∞、vu=0とすると、下記式(14)が得られるので、上記式(13)及び下記式(14)とから、下記式(15)の運動量に関する関係(運動量保存則に基づく関係)が得られる。
Pmean=Pu ・・・(14)
ρd・vd=Pu−Pd ・・・(15)
従って、上記式(5)、式(12)及び式(15)から、下記式(16)が得られる。
Figure 2012026318
上記式(16)において、Puはスロットルバルブ38の上流圧Pであり、Pdは吸気管圧Pmであるから、流量係数にCt(θt)を導入し、開口断面積Adを開口面積At(θt)と置き直して整理すると、上記式(3)が得られる。上記式(4)の導出過程は、上記式(3)と同様であるので省略する。
(上流吸気管モデルM30)
上流吸気管モデルM30は、質量保存則とエネルギー保存則とにそれぞれ基づいた下記式(17)及び式(18)、スロットル通過新気流量mt、吸気温度T、吸入ガス流量mc及び還流排気ガス流量mEGRから、吸気管圧Pm及び吸気管内ガス温度Tmを求めるモデルである。なお、下記式(17)及び式(18)において、Vmは上流側吸気管部の容積である。
d(Pm/Tm)/dt=(R/Vm)・{mt−(mc−mEGR)} ・・・(17)
dPm/dt=κ・(R/Vm)・{mt・T−(mc−mEGR)・Tm} ・・・(18)
具体的に、上流吸気管モデルM30は、スロットルバルブ38の上流温度T、還流排気ガス流量mEGRを、大気温度検出手段52、還流排気ガス流量検出手段60からそれぞれ取得する。また、スロットル通過新気流量mtをスロットルモデルM20から取得し、吸入ガス流量mcを後述する吸気弁モデルM40からを取得する。そして、これらの値を上記式(17)及び式(18)に適用して、時刻tにおける吸気管圧Pm及び吸気管内ガス温度Tmを求める。
ここで、上流吸気管モデルM30を記述した上記式(17)及び式(18)の導出過程について説明する。上流側吸気管部における総新気量をMとすると、総新気量Mの時間的変化は、上流側吸気管部に流入する新気の流量に相当するスロットル通過新気流量mtと、吸気管34から流出する新気量との差として表すことができる。また、吸気管34から流出する新気量は、燃焼室22内に吸入された吸入ガス流量mcから、吸気管34に流入した還流排気ガス流量mEGRを除いたガス量(mc−mEGR)に等しい。これらのことから、質量保存則に基づく下記式(19)が得られる。
dM/dt=mt−(mc−mEGR) ・・・(19)
また、状態方程式は下記式(20)で示せるので、上記式(19)と下記式(20)とから総新気量Mを消去することにより、質量保存則に基づく上記式(17)が得られる。
Pm・Vm=M・R・Tm ・・・(20)
次に、上流側吸気管部に関するエネルギー保存則について検討すると、この場合、吸気管部の容積Vmは変化せず、また、エネルギーのほとんどが温度上昇に寄与する(運動エネルギーは無視し得る)と考えられる。従って、上流側吸気管部の新気のエネルギーM・Cv・Tmの時間変化量は、上流側吸気管部に流入する新気のエネルギーCp・mt・Tと、上流側吸気管部から流出する新気のエネルギーCp・(mc−mEGR)・Tmとの差に等しいので、下記式(21)が得られる。
d(M・Cv・Tm)/dt=Cp・mt・T−Cp・(mc−mEGR)・Tm ・・・(21)
上記式(21)を、上記式(8)と、上記式(20)とを用いて変形することにより、上記式(18)が得られる。
(下流吸気管モデルM40)
下流吸気管モデルM40は、EGR管46との接続部から燃焼室22との接続部までの吸気管34(以下、単に「下流側吸気管部」と称す。)における吸気管内ガス温度Tmを、下記式(22)及び式(23)に基づいて推定するモデルである。なお、下記式(22)又は式(23)において、i,i−1は計算ステップ数を表し、Cpaは上流側吸気管部における定圧比熱、Maは上流側吸気管部における新気量である。また、CpEGRは下流側吸気管部における定圧比熱であり、MEGR は下流側吸気管部における還流排気ガス量である。Qは吸入ガスへの伝熱量である。
Tm=Tmi−1+ΔTm ・・・(22)
ΔTm=Q/(Cpa・Ma+CpEGR・MEGR ) ・・・(23)
吸気管34内に排気ガスを還流させる場合、吸気管34内のガス密度ρmが変化する。ガス密度ρmは、ρm=MPm/RTm(M:ガスの分子量)で表され、吸気管34内のガス温度Tmと反比例の関係にある。そのため、還流排気ガス流量が少ない場合には吸気管34内のガス温度が低く、吸気管34内のガス密度が上昇するので吸入ガス量が増加する。一方、還流排気ガス流量が多い場合には吸気管34内のガス温度が高く、吸気管34内のガス密度が低下するので吸入ガス量が減少する。従って、吸気管34内のガス密度の変化分、吸入ガス量を補正することで外部EGR活用時の吸入ガス量を精度良く予測することができる。
しかしながら、下流側吸気管部におけるガス温度は、新気流量や還流排気ガス流量によって急激に変化するため、高応答に検出することは困難である。そこで、本実施の形態においては、上記式(22)及び式(23)に基づいて下流側吸気管部におけるガス温度Tmを推定する。
ここで、上記スロットルモデルM40を記述した上記式(22)及び式(23)の導出過程について説明する。下流側吸気管部における熱収支の関係は、吸入ガスへの伝熱量Q、排気ガスの熱量QEGR、新気の熱量Qa、筒内に吸入された吸入ガスの熱量Qc、下流側吸気管部の壁面からの熱伝達量Qwを用いて下記式(24)の様に表すことができる。
Q=QEGR+Qa−Qc+Qw ・・・(24)
上記式(24)の右辺の各項は、Δtを計算ステップ時間とすると、下記式(25)〜式(28)でそれぞれ表すことができる。
EGR=CpEGR・mEGR・TEGR・Δt ・・・(25)
Qa=Cpa・ma・T・Δt ・・・(26)
Qc=Cpa・mci−1・(1−FEGR )・Tmi−1+CpEGR・mci−1・FEGR ・Tmi−1・Δt ・・・(27)
Qw=hw・A・(Tw−Tmi−1)・Δt ・・・(28)
上記式(25)において、TEGRはEGR管46を流れて吸気管34に流入する還流排気ガス温度である。また、上記式(26)において、Tは大気温度である。また、上記式(26)において、maは吸気管34に新たに流入した新気流量であり、前回計算ステップ時における吸入ガス流量mci−1と、還流排気ガス流量mEGRとを用いて、下記式(29)の様に表すことができる。
ma=mci−1−mEGR ・・・(29)
また、上記式(27)において、FEGR はEGR率であり、新気量Maと還流排気ガス量MEGR とを用いて下記式(30)の様に表される。
EGR =MEGR /(Ma+MEGR ) ・・・(30)
ここで、上記式(30)において、新気量Maは、今回計算ステップ時に流入した新気と、前回計算ステップ時の新気であって筒内に吸入されずに吸気管34に残留するものとを用いて下記式(31)で表すことができる。同様に、還流排気ガス量MEGR も、今回計算ステップ時に還流させた排気ガスと、前回計算ステップ時の排気ガスであって、筒内に吸入されずに吸気管34に残留する排気ガスとを用いて下記式(32)で表すことができる。なお、下記式(31)及び(32)において、Vmは下流側吸気管部の体積、Rは気体定数を示す。
Ma={Pm・Vm/(R・Tmi−1)−mci−1・Δt}・(1−FEGR i−1)+ma・Δt ・・・(31)
EGR ={Pm・Vm/(R・Tmi−1)−mci−1・Δt}・FEGR i−1+mEGR・Δt ・・・(32)
また、上記式(28)において、hwは吸気管34の壁面から管内のガスへの熱伝達率であり、流速uと動粘度νの関数であるレイノルズ数(Re=d・u/ν)、ガス物性値特性を示すプラントル数Pr、ガスの熱伝導率λ、レイノルズ数の関数であるヌセルト数αによって決まる。従って、熱伝達率hwは、β及びδを定数とすると下記式(33)で表すことができる。
hw=λ・α・Reβ・Prδ/d ・・・(33)
ここで、下流側吸気管部におけるガスの流速は、その体積流量を吸気管34の断面積で除した値であると考えることができる。よって、吸気管34の断面積をAp、下流側吸気管部におけるガスの流速をuとした場合、下流側吸気管部で成立する状態方程式を変形すれば、下記式(34)のように表すことができる。
u=R・Tmi−1・mci−1/(Ap・Pm) ・・・(34)
以上のことから、下流吸気管モデルM40は、還流排気ガス流量mEGR、還流排気ガス温度TEGR、大気温度Tを、還流排気ガス流量検出手段60、還流排気ガス温度検出手段62、大気温度検出手段52からそれぞれ取得し、上記式(29)〜式(34)から導出した新気流量ma、EGR率FEGR 、熱伝達率hw、流速uや、前回ステップ時に推定した吸入ガス流量mci−1、吸気管内ガス温度Tmi−1と共に上記式(25)〜式(28)に適用することで上記式(24)の右辺の各項を算出できる。よって、上記式(24)から算出されたQの値を用いて、上記式(22)及び式(23)から吸気管内ガス温度Tmを推定できる。
(吸気弁モデルM50)
吸気弁モデルM50は、下記式(35)、吸気管圧Pm、吸気管内ガス温度Tm*i、Tmから、吸気弁28の周囲を通過するガス流量、即ち燃焼室22に吸入される吸入ガス流量mcを推定するモデルである。
mc=α・(a・Pm+b) ・・・(35)
上記式(35)において、αは吸入ガス流量補正係数であり、α=Tm*i/Tmで表すことができる。αは、1よりも小さい値であり、例えば図3に示すようにEGR率0で最大値1をとり、EGR率が高くなるほど小さくなる。また、上記式(35)において、aは比例係数であり、bは筒内に残存している既燃ガスを表す値である。
吸気弁モデルM50による吸入ガス流量mcの推定方法は具体的に次のとおりである。吸気弁モデルM50は、吸気管圧Pmを吸気管圧検出手段56から取得する。また、吸気管内ガス温度Tm*i、Tmを上流吸気管モデルM30、下流吸気管モデルM40からそれぞれ取得する。同時に、この吸気弁モデルM50は、エンジン回転数Ne、吸気弁の開閉タイミングVT及び吸気弁の最大リフト量Lmaxと、上記比例係数a及び既燃ガス量bとの関係をそれぞれ規定するテーブルを記憶しており、実際のエンジン回転数Ne、吸気弁開閉タイミングVT、吸気弁最大リフト量Lmaxと、それぞれのテーブルとから、比例係数a及び既燃ガス量bを求める。そして、これらの値を上記式(35)に適用して、時刻tにおける吸入ガス流量mcを求める。
ここで、吸気弁モデルM50を記述する上記式(35)の採用理由について説明する。上記式(1)を説明した際に述べたとおり、吸入ガス量は、吸気弁の閉弁時に確定し、その時点での筒内圧力と比例関係にある。また、吸気弁閉弁時の筒内圧力は、吸気弁の上流の圧力、即ち、吸気管圧と等しいとみなすことができる。そのため、吸入ガス量は、吸気管圧と比例関係にあると言える。また、下流吸気管モデルM40の説明の際に述べた様に、吸気管34内に排気ガスを還流させる場合、吸気管34内のガス密度ρmが変化し、このガス密度ρmはガス温度と反比例の関係にある。そこで、本実施形態においては、排気ガスによるガス密度ρmの変化(ガス温度の変化)により精度高く追従可能な上記式(35)を採用している。
このように推定された吸入ガス流量mcを、吸気弁28が開弁したタイミングから閉弁するタイミングまで時間積分することで、エンジン10の吸気行程において燃焼室22に吸入される吸入ガス量Mcを推定できる。そして、図2に示した燃料噴射量決定手段において、上記式(2)に吸入ガス量Mcを適用して燃料噴射量fcを決定する。
図4は、EGR率に対する吸入ガス量の変化を表した図である。図4に示す3つの曲線のうち、Mc(補正あり)とあるのは、上記式(35)を用いて推定した場合の吸入ガス量Mcを示したものであり、Mc(補正なし)とあるのは、上記式(1)を用いて推定した場合の吸入ガス量Mcを示したものである。また、もう一つの曲線(実測値)は、吸気管圧Pm、吸気管内ガス温度Tm*i、Tmを実測して求めた吸入ガス量を示す。図4から分かるように、EGR率が高くなるに連れて吸入ガス量が減少する(実測値)。また、上記式(1)は排気ガスを還流させることを前提としないため、上記式(1)を用いた場合には、EGR率が高くなるにつれて実測値からの乖離が大きくなる(Mc(補正なし))。その一方で、上記式(35)を用いて推定した場合には、実測値に近い吸入ガス量Mcを推定できる(Mc(補正あり))。
次に、図5〜図7を参照して、上述した燃料噴射制御を実現するための具体的な処理について説明する。まず、図5は、本実施形態において、ECU70により実行される吸気管内ガス温度Tmの算出手順を示すフローチャートである。図5に示すルーチンは、エンジンの運転中に繰り返し実行されるものとする。
図5に示すルーチンによれば、ECU70は、先ず、還流排気ガス流量mEGRと、還流排気ガス温度TEGRとを読み込む(ステップ100)。上述したように、ECU70は、還流排気ガス流量検出手段60、還流排気ガス温度検出手段62と接続されているので、これらから還流排気ガス流量mEGR、還流排気ガス温度TEGRをそれぞれ読み込むことができる。
続いて、ECU70は、前回ステップで筒内に流入した吸入ガス流量mci−1と、吸気管内ガス温度Tmi−1と、吸気管圧Pmとを読み込む(ステップ110)。ECU70は、過去に推定した吸入ガス流量mc、吸気管内ガス温度Tm(kは自然数)を記憶するための記憶部を別途備えている。そのため、この記憶部から前回値である吸入ガス流量mci−1と、吸気管内ガス温度Tmi−1とを読み込むことができる。また、上述したように、ECU70は、吸気管圧検出手段56と接続されているので、吸気管圧Pmを読み込むことができる。
続いて、ECU70は、ステップ100、110で読み込んだ還流排気ガス流量mEGRと、吸入ガス流量mci−1とを用いて、吸気管34に新たに流入した新気流量maを算出する(ステップ120)。なお、本ステップで使用する式は上記式(29)が該当する。
続いて、ECU70は、ステップ100、110で読み込んだ還流排気ガス流量mEGR、吸入ガス流量mci−1、吸気管内ガス温度Tmi−1、吸気管圧Pmと、前回ステップで算出したEGR率であるFEGR i−1とを用いて、新気量Ma、排気ガス量MEGR 、EGR率FEGR をそれぞれ算出する(ステップ130)。ECU70は、吸入ガス流量mc、吸気管内ガス温度Tmの他、その記憶部に過去に算出したEGR率FEGR (kは自然数)を記憶している。そのため、この記憶部からEGR率の前回値FEGR i−1を読み込み、還流排気ガス流量mEGR、吸入ガス流量mci−1、吸気管圧Pmを用いて、新気量Ma、排気ガス量MEGR 、EGR率FEGR をそれぞれ算出できる。なお、本ステップで使用する式は上記式(30)〜式(32)が該当する。本ステップで求められたEGR率FEGR は、次回の本ルーチン実行の演算のために、ECU70の記憶部に格納される。
続いて、ECU70は、ステップ110で読み込んだ吸入ガス流量mci−1と、吸気管内ガス温度Tmi−1と、吸気管圧Pmとを用いて、吸気管34内のガスの流速uを算出する(ステップ140)。なお、本ステップで使用する式は上記式(34)が該当する。
続いて、ECU70は、ステップ140で算出したガスの流速uを用いて、吸気管34壁面からガスへの熱伝達率hwを算出する(ステップ150)。なお、本ステップで使用する式は上記式(33)が該当する。
続いて、ECU70は、吸気管34の壁面温度Tと、スロットルバルブ38の上流温度Tとを読み込む(ステップ160)。上述したように、ECU70は、壁面温度検出手段58、大気温度検出手段52と接続されているので、これらから壁面温度T、スロットルバルブ38の上流温度Tをそれぞれ読み込むことができる。
続いて、ECU70は、ステップ160で読み込んだ壁面温度T、スロットルバルブ38の温度Tの他、ステップ100で読み込んだ還流排気ガス流量mEGR、還流排気ガス温度TEGRや、ステップ120で算出した新気流量ma、ステップ130で算出したEGR率FEGR 、ステップ150で算出した熱伝達率hw等を用いて、排気ガスの熱量QEGR、新気の熱量Qa、筒内に吸入された吸入ガスの熱量Qc、下流側吸気管部の壁面からの熱伝達量Qwをそれぞれ算出する。そして、算出したこれらを基に、下流側吸気管部における熱収支の関係式から吸入ガスへの伝熱量Qを算出する(ステップ170)。なお、本ステップで使用する式は上記式(24)〜式(28)が該当する。
最後に、ECU70は、ステップ130で算出した新気量Ma、還流排気ガス量MEGR と、ステップ160で算出した吸入ガスへの伝熱量Qとを用いて吸気管内ガス温度Tmの更新をする(ステップ180)。なお、本ステップで使用する式は上記式(22)及び式(23)が該当する。本ステップで求められた吸気管内ガス温度Tmは、次回の本ルーチン実行の演算のために、ECU70の記憶部に格納される。
図6は、本実施形態において、ECU70により実行される吸気管内ガス温度Tm*iの算出手順を示すフローチャートである。図6に示すルーチンは、図5に示すルーチン同様、エンジンの運転中に繰り返し実行されるものとする。
図6に示すルーチンによれば、先ず、ECU70は、スロットルバルブ開度θtを推定し、このスロットルバルブ開度θtと、ECU70内部に格納された各種テーブルとを用いて、流量係数Ct(θt)、開口面積At(θt)をそれぞれ求める(ステップ200)。上述したように、ECU70は、スロットルバルブ開度θtと流量係数Ct(θt)との関係を規定したテーブルと、スロットルバルブ開度θtと開口面積At(θt)との関係を規定したテーブルとを格納しており、これらのテーブルにスロットルバルブ開度θtを適用することで流量係数Ct(θt)、開口面積At(θt)をそれぞれ求める。
続いて、ECU70は、ステップ200で求めた流量係数Ct(θt)、開口面積At(θt)、前回ステップで推定した吸気管内ガス温度Tm*i−1、前回ステップで推定した吸気管圧Pm*i−1、スロットルバルブ38の上流温度T、スロットルバルブ38の上流圧P等を用いて、スロットル通過新気流量mtを算出する(ステップ210)。ECU70は、吸入ガス流量mc等の他、その記憶部に過去に算出した吸気管内ガス温度Tm*l、吸気管圧Pm*l(lは自然数)を記憶している。そのため、この記憶部から吸気管内ガス温度の前回値Tm*i−1、吸気管圧の前回値Pm*i−1を読み出すことができる。また、ECU70は、大気温度検出手段52、大気圧検出手段54と接続されているので、これらからスロットルバルブ38の上流温度T、スロットルバルブ38の上流圧Pをそれぞれ読み込むことができる。なお、本ステップで使用する式は上記式(3)または(4)が該当する。本ステップで求められたスロットル通過新気流量mtは、次回の本ルーチン実行の演算のために、ECU70の記憶部に格納される。
続いて、ECU70は、前回ステップで算出したスロットル通過新気流量mti−1、吸入ガス流量mci−1、還流排気ガス流量mEGRを用いて、吸気管内ガス温度Tm*i、吸気管圧Pm*iを求める(ステップ220)。ここで、還流排気ガス流量mEGR、吸入ガス流量mci−1は、図5のステップ100、110同様に読み込むことができる。なお、本ステップは上記式(17)、(18)を積分して離散化した下記式(36)、(37)を使用する。本ステップで求められた吸気管内ガス温度Tm*i、吸気管圧Pm*iは、次回の本ルーチン実行の演算のために、ECU70の記憶部に格納される。
Pm*i/Tm*i=Pm*i−1/Tm*i−1+Δt・(R/Vm){mti−1−(mci−1−mEGR) ・・・(36)
Pm*i=Pm*i−1+Δt・κ・(R/Vm)・{mti−1・T−(mci−1−mEGR)・Tm*i−1} ・・・(37)
図7は、本実施形態において、ECU70により実行される吸入ガス流量mcの算出手順を示すフローチャートである。図7に示すルーチンは、図5に示すルーチン同様、エンジンの運転中に繰り返し実行されるものとする。
図7に示すルーチンによれば、ECU70は、先ず、下流吸気管モデルM40から吸気管内ガス温度Tmを読み込む(ステップ300)。本ステップでは、ECU70は、図5のステップ180で更新した吸気管内ガス温度Tmを読み込む。
続いて、ECU70は、吸気管圧Pmを読み込む(ステップ310)。上述したように、ECU70は、吸気管圧検出手段56と接続されているので、吸気管圧Pmを読み込むことができる。
続いて、ECU70は、吸気管内ガス温度Tm*iを読み込む(ステップ320)。本ステップでは、ECU70は、図6のステップ220で求めた吸気管内ガス温度Tm*iを読み込む。
続いて、ECU70は、ステップ300、320でそれぞれ読み込んだ吸気管内ガス温度Tm、吸気管内ガス温度Tm*iから、吸入ガス流量補正係数αを演算する(ステップ330)。
続いて、ECU70は、ステップ310で読み込んだ吸気管圧Pm、ステップ330で演算した吸入ガス流量補正係数α、比例係数a及び既燃ガス量bを用いて、吸入ガス流量mcを演算する(ステップ340)。上述したように、ECU70は、エンジン回転数Ne、吸気弁の開閉タイミングVT及び吸気弁の最大リフト量Lmaxと、上記比例係数a及び既燃ガス量bとの関係をそれぞれ規定するテーブルを記憶している。そのため、比例係数a及び既燃ガス量bは、実際のエンジン回転数Ne、吸気弁開閉タイミングVT、吸気弁最大リフト量Lmaxと、それぞれのテーブルとから求めることができる。なお、本ステップで使用する式は上記式(35)が該当する。
本ステップで推定された吸入ガス流量mcを、吸気弁28が開弁したタイミングから閉弁するタイミングまで時間積分することで、エンジン10の吸気行程において燃焼室22に吸入される吸入ガス量Mcを推定できる。そして、推定した吸入ガス量Mcを上記式(2)に適用することで燃料噴射量fcを求めることができる。
以上、図5〜図7に示したルーチンによれば、図5に示すルーチンで上流側吸気管部における吸気管内ガス温度Tmを求め、図6に示すルーチンで下流側吸気管部における吸気管内ガス温度Tm*iを求め、図7に示すルーチンでこれらの値と、比例係数aと既燃ガス量bとを用いて吸入ガス流量mcを求めることができる。従って、吸気管34内に排気ガスを還流させる場合に、排気ガスによるガス密度ρmの変化分の補正をすることができるので、吸入ガス流量mcを精度高く推定できる。特に、吸入ガス流量mcの推定に際し、既燃ガス量bの算出が一度で済むので、算出時間の拡大による制御性の悪化を良好に抑制できる。
なお、本実施の形態においては、上記式(33)のレイノルズ数Reの算出時に、流速uとして瞬間流速を用いたが、吸気弁28の開弁期間中の平均流速を用いてもよい。図8、図9は、本実施の形態の変形例を説明するための図である。具体的に、図8は、クランク角と吸気ポート流速との関係を吸気バルブリフトと関連付けた図であり、図9は、クランク角と熱伝達率hwとの関係を説明した図である。
図8に示すように、吸気管34のガス流速は間欠流であり、吸気弁28の開弁期間のみ流速が発生する。また、図9に示すように、流速が遅いときには、吸気管34の壁面から管内のガスへの熱伝達率hwが小さく、流速が速くなるに連れて熱伝達率hwが大きくなる。このように、熱伝達率hwが発生するのは、流速が速くなる吸気弁28の開弁期間中が大部分であり、閉弁期間中は十分に無視できる。よって、瞬時流速の代わりに吸気弁28の開弁期間中の平均流速を用いても、熱伝達率hwを求めることができる。そして、吸気弁28の開弁期間中の平均流速を用いれば、瞬時流速を用いる場合に比べて計算負荷を抑えることができ、また、計算に要する時間間隔を短くできるので制御性を向上できる。
また、本実施の形態においては、下流側吸気管部の壁面からの熱伝達量Qwを上記式(28)から算出して用いたが、熱伝達量Qwの代わりにエンジン10の1サイクルで平均化した熱伝達量Qwaveを用いてもよい。図10は、本実施の形態の変形例を説明するための図である。図9の説明の際に述べたように、熱伝達率hwが発生するのは、流速が速くなる吸気弁28の開弁期間中が大部分であり、閉弁期間中は十分に無視できる。従って、吸気弁28の開弁期間中の熱伝達量Qwを1サイクルで平均化したQwaveを用いれば、吸気弁28の開弁時と閉弁時とで熱伝達を算出する場合に比べて計算負荷を抑えることができ、更に計算に要する時間間隔を短くできるので制御性を向上できる。更には、壁面温度検出手段58の代わりに、吸気管34の壁面から吸入ガスへの熱流速センサを設置して、下流側吸気管部の壁面からの熱伝達量Qwを算出してもよい。
また、本実施の形態においては、還流排気ガス温度TEGRを還流排気ガス温度検出手段62で検出したが、EGRクーラー48の温度を代用してもよい。還流排気ガス温度TEGRは、還流排気ガスを冷却する目的で設けられたEGRクーラー48の温度と相関があるので、EGRクーラー48の温度を代用できる。同様に、本実施の形態においては、壁面温度Tを壁面温度検出手段58で検出したが、エンジン10の冷却水温を壁面温度Tとして用いてもよい。このように、システムに既存の検出手段から検出した値を代用することで、システムの増大化を防止することができる。
10 エンジン
22 燃焼室
34 吸気管
46 EGR管
48 EGRクーラー
52 大気温度検出手段
56 吸気管圧検出手段
58 壁面温度検出手段
60 還流排気ガス流量検出手段
62 還流排気ガス温度検出手段
70 ECU

Claims (2)

  1. 内燃機関の吸気管におけるガス温度と吸気管圧とを少なくとも使用して、筒内に吸入される吸入ガス流量を算出するための吸気弁モデルを備える内燃機関の制御装置において、
    大気温度を取得する大気温度取得手段と、
    前記内燃機関の排気通路と前記吸気管とを接続するEGR管と、
    前記EGR管を流れる還流排気ガス流量を取得する還流排気ガス流量取得手段と、
    前記EGR管を流れる還流排気ガス温度を取得する還流排気ガス温度取得手段と、
    前記EGR管との接続部よりも上流側の吸気管におけるガスに関するモデルに、前記吸入ガス流量、前記大気温度、前記還流排気ガス流量を適用して、前記上流側の吸気管におけるガス温度を上流ガス温度として推定する上流ガス温度推定手段と、
    前記EGR管との接続部よりも下流側の吸気管における吸気管圧を下流吸気管圧として取得する下流吸気管圧取得手段と、
    前記下流側の吸気管の壁面温度を取得する壁面温度取得手段と、
    前記下流側の吸気管におけるガスに関するモデルに、前記大気温度、前記還流排気ガス流量、前記還流排気ガス温度、前記下流吸気管圧及び前記壁面温度を適用して、前記下流側の吸気管におけるガス温度を下流ガス温度として推定する下流ガス温度推定手段と、
    前記吸気弁モデルに、前記上流ガス温度、前記下流吸気管圧及び前記下流ガス温度を適用して、筒内に吸入される吸入ガス流量を算出する吸入ガス流量算出手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記EGR管に設けられたEGRクーラーを更に備え、
    前記還流排気ガス温度取得手段は、前記EGRクーラーの温度を前記還流排気ガス温度として取得することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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