JP2012025785A - 熱伝導性に優れたプリプレグ、プリプレグの製造方法、および積層板 - Google Patents

熱伝導性に優れたプリプレグ、プリプレグの製造方法、および積層板 Download PDF

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タン チェンチュン
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Abstract

【課題】効率よく耐熱特性、放熱特性および寸法安定性に優れた樹脂組成物からなるプリプレグおよび積層板を提供する。
【解決手段】窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体1〜99質量部と熱硬化性樹脂99〜1質量部からなる熱硬化性樹脂組成物であり、該多孔体の空隙に熱硬化性樹脂が充填して結合されていることを特徴とする熱伝導性に優れるプリプレグ。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物からなるプリプレグ、積層板およびその製造方法に関する。更に詳しくは、構造の規定された窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体と熱硬化性樹脂からなる基材を用いることによる、熱伝導性に優れるプリプレグ及びその製造方法に関する。
近年、各種電気・電子機器製品の高性能化、高機能化および小型軽量化に伴いプリプレグを用いた積層板も様々な特性が求められている。特に、積層板がプリント配線板の絶縁層として、パソコンなどへの半導体素子類の高密度実装機器、自動車のエンジンルーム等に用いられる場合は、実装部品、あるいは周辺部材の発熱に伴い、積層板が高温状態に暴露されることにより樹脂が劣化するなどして、実装部品の機能低下が避けられない。
例えば、走行時のエンジン発熱やブレーキ系摩擦による発熱が顕著な自動車の場合、高度に電子化された車の制御システムにおける電子デバイスやユニットの耐久性や動作特性は、使用環境の影響を直接的に受けることになる。電子制御機器が自動車全体の信頼性に及ぼす影響は非常に大きいことから、エンジンルームに配置されるプリント配線板の絶縁層において、積層板の耐熱性及び放熱性を向上させることは大きな課題となっている。
かかる絶縁層の放熱特性を向上させるべく、例えば特許文献1にはエポキシ樹脂からなる絶縁接着シートに高熱伝導性の金属板を貼付することによる積層板が提案されている。更に、特許文献2では、シート状の繊維不織布からなる基材に熱硬化性樹脂を含むワニスを含浸して形成するプリプレグにおいて、高熱伝導率の無機材料からなるフィラーをワニスに添加するものが開示されている。
しかしながら、特許文献1の如き絶縁接着シートと金属板の物理的な貼付による積層板では、スルーホールを形成するときに金属板の絶縁処理が煩雑になる。また、絶縁性や寸法特性も低下するこという問題がある。また特許文献2に開示されている、高熱伝導性無機材料系のフィラーをワニスに添加した積層板では、フィラーによってワニスの粘度が顕著に増大し、繊維不織布からなる基材中にフィラーを含んだワニスを十分に含浸するには限界があり、積層板の耐熱性及び放熱性を十分に向上させることができなかった。
一方これらの課題に対して、特許文献3に示すように、熱伝導性の高い無機繊維からなる不織布に熱伝導性のフィラーおよび熱硬化性樹脂を含浸し、成形することで耐熱性と放熱性を改良し、かつ加工性も有するプリプレグが提案されている。しかしながらここで用いられる無機繊維はバルクの不織布であり、より効果的に寸法安定性や放熱特性を発現するにはバルクサイズよりも微細かつ均質な繊維とフィラー、および樹脂の複合化が望ましい。またここで用いられるバルクのフィラー、熱伝導性無機繊維は何れも従来の絶縁性熱伝導材料であり、これらの熱伝導率は高々50〜100W/m・Kと金属材料と比較して低いレベルにある。従って、パワー系などより高レベルかつ高性能な放熱特性を要求される用途も含め、原理的に熱伝導率の観点から限界がある。
上述したような課題の解決には、ナノサイズの無機粒子やカーボンナノチューブのようなナノフィラーを使用することが考えられるが、カーボンナノチューブは絶縁上の問題から使用に制限があり、また無機粒子は凝集し易く、通常ナノレベルでの分散を実現するのが困難である。更に層状、板状の無機微粒子は線状構造のチューブとは異なり、二次元的な広がりを有するため複合樹脂の表面形状への影響が大きく、分散が十分でないと表面平滑性を損なう要因となり素材の使用が制限される一因となる。
従来のフィラーの効果不足や不均一分散による樹脂複合プリプレグの物性低減などの課題を解決し、高い機械的強度、耐熱性を有し、かつ樹脂の寸法安定性,均質性に優れた高熱伝導性の熱硬化性樹脂複合材料からなるプリプレグを得るべく、ナノレベルの単位サイズで構成され、大きな比表面積による樹脂との均質複合が可能で、かつ物理化学的に高熱伝導率を有するナノフィラー部材の開発が望まれている。
特開平8−167775号公報 特開2005−136051号公報 特開2007−9089号公報
本発明の目的は、従来のようなバルク、あるいはナノ分散困難な無機フィラーを含有する熱硬化性樹脂組成物からなるプリプレグとは異なり、成型加工プロセスにおける加工性などを低下させること無く、効率よく耐熱特性、放熱特性および寸法安定性等を向上させたプリプレグ、積層板を提供することにある。
本発明者らは、絶縁性の無機ナノ繊維であり、かつ従来の無機系熱伝導性材料と比較し遥かに高い熱伝導率を有する窒化ホウ素ナノチューブを予め不織布状の多孔性構造体した後に、熱硬化性樹脂の硬化前ワニスを密に含浸、均質に複合化せしめて硬化成形することにより、効率よく耐熱特性、放熱特性および寸法安定性に優れた樹脂組成物からなるプリプレグおよび積層板が得られることを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下を要旨とする。
1. 窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体1〜99質量部と熱硬化性樹脂が99〜1質量部からなる組成物であり、多孔体の空隙に熱硬化性樹脂が充填して結合されていることを特徴とする熱伝導性に優れるプリプレグ。
2. 窒化ホウ素ナノチューブの平均直径が0.4nm〜1μm、平均アスペクト比が5以上であることを特徴とする上記1.に記載のプリプレグ。
3. 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、尿素樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記1.または2.に記載のプリプレグ。
4. 窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体に、少なくとも1種の熱硬化性樹脂を硬化前に含浸せしめた後、熱硬化させる工程を含む請求項1〜3のいずか1項に記載のプリプレグの製造方法。
5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリプレグ1枚以上を加熱加圧することにより成形された積層板。
本発明により、ナノメートルオーダーの繊維径からなる窒化ホウ素ナノチューブにより構成される不織布状多孔体の空隙に、熱硬化性樹脂をバルク繊維系不織布に比べてより細密かつ均質に含浸することができる。また、窒化ホウ素ナノチューブ自体が従来の無機熱伝導材に比べて遥かに高い熱伝導率を有するため、特別なフィラーを別途添加することなしに樹脂複合体としての放熱特性を効果的に獲得することができる。高度に熱伝導性のフィラーとしての機能を兼ねた窒化ホウ素ナノチューブ系繊維系不織布に均質に樹脂が複合されることにより、両成分の相互作用が相乗的に発現し、プリプレグとしての耐熱性及び放熱性を向上できる。更に窒化ホウ素ナノチューブ系繊維の優れた機械特性と大きな比表面積効果により、樹脂とチューブが十分に界面接触することになり、更に窒化ホウ素ナノチューブ系繊維の密度が低い場合でもプリプレグの強度が維持され、成形物が損傷を受けることなく、樹脂ワニスを多孔構造内に含浸することができる。
本発明のプリプレグ、および該プリプレグ1枚以上を加熱加圧して成形される積層板、および該積層板を絶縁層として用いるプリント配線板では、機械特性に加え、耐熱特性および高熱伝導性が発現するので、高温雰囲気下での使用が予想される自動車機器用のプリント配線板、パソコン等の高密度実装プリント配線板に代表される、熱伝導性と絶縁性が必要な電子機器に用いられる電子部品の素材として好適に利用することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
(窒化ホウ素ナノチューブおよびその不織布状多孔体)
本発明において、窒化ホウ素ナノチューブとは、窒化ホウ素からなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管もしくは多重管になっているものである。窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は、好ましくは0.4nm〜1μm、より好ましくは0.6〜500nm、さらにより好ましくは0.8〜200nmである。ここでいう平均直径とは、一重管の場合、その平均外径を、多重管の場合はその最外側の管の平均外径を意味する。平均長さは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。平均アスペクト比は、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上である。平均アスペクト比の上限は、平均長さが10μm以下であれば限定されるものではないが、上限は実質25000である。よって、窒化ホウ素ナノチューブは、平均直径が0.4nm〜1μm、平均アスペクト比が5以上であることが好ましい。
窒化ホウ素ナノチューブの平均直径および平均アスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることが出来る。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)測定を行い、その画像から直接窒化ホウ素ナノチューブの直径および長手方向の長さを測定することが可能である。また組成物中の窒化ホウ素ナノチューブの形態は例えば繊維軸と平行に切断した繊維断面のTEM(透過型電子顕微鏡)測定により把握することが出来る。
窒化ホウ素ナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法、化学的気相成長法を用いて合成できる。また、ホウ化ニッケルを触媒として使用し、ボラジンを原料として合成する方法も知られている。また、カーボンナノチューブを鋳型として利用して、酸化ホウ素と窒素を反応させて合成する方法もが提案されている。本発明に用いられる窒化ホウ素ナノチューブは、これらの方法により製造されるものに限定されない。窒化ホウ素ナノチューブとしては、強酸処理や化学修飾、あるいは他の高分子で被覆されるなどの表面改質を施した窒化ホウ素ナノチューブも使用することができる。特に高分子での被覆については、窒化ホウ素ナノチューブと相互作用が強く、また熱硬化性マトリクス樹脂との相互作用も強いものが好ましい。これらの高分子としては、例えば、ポリフェニレンビニレン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリフェニレン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリアセチレン系高分子等の共役系高分子が挙げられる。中でも、ポリフェニレンビニレン系高分子、ポリチオフェン系高分子が好ましい。更に共役系高分子以外にも、必要に応じてマトリックス樹脂との接着性、反応性等を改良するためにマトリックス樹脂と相溶性または反応性を有する他の樹脂でコーティングされてもよい。例えば、熱硬化性マトリクス樹脂がフェノール樹脂である場合、窒化ホウ素ナノチューブに対し更にノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂を付着処理することも好ましく実施できる。
更に共役高分子やマトリクス樹脂による被覆以外にも、窒化ホウ素ナノチューブはカップリング剤で表面被覆処理されていてもよい。ここで使用されるカップリング剤としては、例えばシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤等が挙げられる。具体的にはシラン系カップリング剤の例としては、トリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グルシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グルシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。チタネート系カップリング剤の例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルオリス(ジオクチルバイロフォスフェート)、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルバイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルバイロフォスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。また、アルミネート系カップリング剤の例としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。これらの化合物は、水溶液、またはアルコール類、ケトン類、グリコール類、炭化水素類の有機溶媒の溶液、あるいは水とこれら有機溶媒との混合溶媒の溶液として使用される。必要に応じて上記溶液に、酢酸、塩酸等の酸、またはアルカリによりpH調整を行ってもよい。
本発明においては、上記のように得られた窒化ホウ素ナノチューブを、不織布の形状(以下、不織布状多孔体と称することがある)にして用いる。窒化ホウ素ナノチューブを不織布状多孔体にするには、公知の不織布の製造方法を適用しうる。なかでも、窒化ホウ素ナノチューブを溶媒に分散させた分散液を濾過または湿式抄紙して、窒化ホウ素ナノチューブをシ−トの形状に捕集したのち、このシート状物を乾燥する方法が簡便で好ましい。その際、窒化ホウ素ナノチューブを分散させる溶媒としては、炭素数1〜10のアルコール類、アミン類、有機カルボン酸類、有機カルボン酸エステル類、有機酸アミド類、ケトン類、エーテル類、スルホキシド、スルホン、スルホラン類などの有機溶媒、水または界面活性剤を含む水などが挙げられる。窒化ホウ素ナノチューブと溶媒の混合量は、窒化ホウ素ナノチューブ1gあたり、溶媒が1〜100000mLとなる量であると好ましく、2〜10000mLとなる量であるとより好ましく、5〜1000mLとなる量であると更に好ましく、10〜500mLとなる量であると特に好ましい。また、窒化ホウ素ナノチューブの溶媒への分散性を高めるために、攪拌・振盪処理や超音波処理を行ってもよい。
上記の分散液の濾過などにより得られた窒化ホウ素ナノチューブのシート状物を、さらに乾燥することにより、本願発明にて用いる不織布状多孔体が得られる。該乾燥処理は、自然乾燥でも加熱乾燥でもよく、常圧雰囲気下での乾燥でも減圧下の乾燥でもよく、連続式でもバッチ式でもよい。
窒化ホウ素ナノチューブは、カーボンナノチューブに匹敵する、優れた機械的物性、熱伝導性を有するだけでなく、化学的に安定でカーボンナノチューブよりも優れた耐酸化性を有することが知られている。また、ホウ素原子と窒素原子の間のダイポール相互作用により局所的な極性構造を有しており、極性構造を有する媒体への親和性、分散性がカーボンナノチューブより優れることが期待される。更に電子構造的に広いバンドギャップを有するため絶縁性であり、絶縁放熱材料としても期待できる他、カーボンナノチューブと異なり白色であることから着色を嫌う用途にも応用できるなど、ポリマーの特徴を活かしたプリプレグの創製が可能となる。
本発明のプリプレグにおいては、熱硬化性樹脂99〜1質量部に対して、窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体が、1〜99質量部の範囲内で含有される。よりこのましくは熱硬化性樹脂95〜20質量部に対して、窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体が、5〜80質量部の範囲内で含有されるプリプレグであり、更に好ましくは熱硬化性樹脂90〜30質量部に対して、窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体が、10〜70質量部の範囲内で含有されるプリプレグである。
上記範囲内とすることにより、窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体を効率的に熱硬化性樹脂と複合化させることが可能となるからである。また、窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体が過度に多い場合は、樹脂マトリクスが多孔体上を十分に被覆することが困難となり好ましくない。本発明の樹脂組成物は、窒化ホウ素ナノチューブに由来する窒化ホウ素フレーク、触媒金属等を含む場合がある。
本発明で使用する熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記の熱硬化性樹脂のなかでも、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、尿素樹脂、及び、メラミン樹脂等が好適であり、これらから選ばれる1つ以上のものが、熱硬化性樹脂のうちの50質量%以上であることが好ましい。これら本発明において使用される熱硬化性樹脂は、ポリマー分子鎖内に酸素や窒素原子のような極性元素を有しており、その結果ナノレベルで構造の規定された極性窒化ホウ素ナノチューブと分子レベルで静電的に相互作用することが可能である。ポリマーとナノチューブ間の特異的な相互作用とナノサイズの直径を有する繊維の高い比表面積の相乗的な結果として得られた複合組成物からなるプリプレグにおいては、少量のフィラー添加においても、従来のバルクレベルでの熱硬化性樹脂複合組成物に比べて効率の良い耐熱性、熱伝導性および機械特性の改良が可能であり、バルクの無機フィラー添加熱硬化性樹脂プリプレグの範囲を超える高性能を発現することも期待される。
上記エポキシ樹脂とは、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ樹脂中のエポキシ基の数としては、1分子当たり1個以上であることが好ましく、1分子当たり2個以上であることがより好ましい。ここで、1分子当たりのエポキシ基の数は、エポキシ樹脂中のエポキシ基の総数をエポキシ樹脂中の分子の総数で除算することにより求められる。
上記エポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができ、例えば、以下に述べるエポキシ樹脂(1)〜エポキシ樹脂(10)等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ樹脂(1)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物や臭素化物等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(2)としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4 −エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等の脂環族エポキシ樹脂等が挙げられる。かかるエポキシ樹脂(2)のうち市販されているものとしては、例えば、ダイセル化学工業社製の商品名「EHPE−3150」(軟化温度71℃)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(3)としては、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2〜9(好ましくは2〜4)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(4)としては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(5)としては、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、m−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(6)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートと、エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(7)としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエン等の共役ジエン化合物を主体とする重合体又はその部分水添物の重合体における不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(8)としては、例えば、エポキシ化SBS等のような、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック又はその部分水添物の重合体ブロックとを同一分子内にもつブロック共重合体における、共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(9)としては、例えば、1分子当たり1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(10)としては、例えば、上記エポキシ樹脂(1)〜(9)の構造中にウレタン結合やポリカプロラクトン結合を導入した、ウレタン変成エポキシ樹脂やポリカプロラクトン変成エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂の硬化反応に用いる硬化剤としては特に限定されず、従来公知のエポキシ樹脂用の硬化剤を用いることができ、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、光潜在性カチオン重合開始剤、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アミン化合物としては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の鎖状脂肪族アミン及びその誘導体;メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の環状脂肪族アミン及びその誘導体;m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族アミン及びその誘導体等が挙げられる。
上記アミン化合物から合成される化合物としては特に限定されず、例えば、上記アミン化合物と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジヒドロイソフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等のカルボン酸化合物とから合成されるポリアミノアミド化合物及びその誘導体;上記アミン化合物と、ジアミノジフェニルメタンビスマレイミド等のマレイミド化合物とから合成されるポリアミノイミド化合物及びその誘導体;上記アミン化合物とケトン化合物とから合成されるケチミン化合物及びその誘導体;上記アミン化合物と、エポキシ化合物、尿素、チオ尿素、アルデヒド化合物、フェノール化合物、アクリル化合物等の化合物とから合成されるポリアミノ化合物及びその誘導体等が挙げられる。
上記3級アミン化合物としては特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1及びその誘導体等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては特に限定されず、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
上記ヒドラジド化合物としては特に限定されず、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びその誘導体等が挙げられる。
上記メラミン化合物としては特に限定されず、例えば、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン及びその誘導体等が挙げられる。
上記酸無水物としては特に限定されず、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物、クロレンド酸無水物及びその誘導体等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては特に限定されず、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール及びその誘導体等が挙げられる。
上記熱潜在性カチオン重合触媒としては特に限定されず、例えば、6フッ化アンチモン、6フッ化リン、4フッ化ホウ素等を対アニオンとした、ベンジルスルホニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ベンジルホスホニウム塩等のイオン性熱潜在性カチオン重合触媒;N−ベンジルフタルイミド、芳香族スルホン酸エステル等の非イオン性熱潜在性カチオン重合触媒が挙げられる。
上記熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、上記ポリフェニレンエーテル樹脂をグリシジル基、イソシアネート基、アミノ基等の熱硬化性を有する官能基で変性した樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性ポリイミド樹脂としては、分子主鎖中にイミド結合を有する樹脂であり、具体的には、例えば、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸との縮合重合体、芳香族ジアミンとビスマレイミドとの付加重合体であるビスマレイミド樹脂、アミノ安息香酸ヒドラジドとビスマレイミドとの付加重合体であるポリアミノビスマレイミド樹脂、ジシアネート化合物とビスマレイミド樹脂とからなるビスマレイミドトリアジン樹脂等が挙げられる。なかでもビスマレイミドトリアジン樹脂が好適に用いられる。これらの熱硬化性ポリイミド樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ケイ素樹脂としては、分子鎖中にケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合又はケイ素−窒素結合を含むものであり、具体的には、例えば、ポリシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラザン等が挙げられる。
上記尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの付加縮合反応で得られる熱硬化性樹脂である。上記尿素樹脂の硬化反応に用いられる硬化剤としては特に限定されず、例えば、無機酸、有機酸、酸性硫酸ナトリウムのような酸性塩からなる顕在性硬化剤;カルボン酸エステル、酸無水物、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の塩類のような潜在性硬化剤が挙げられる。なかでも、貯蔵寿命等から潜在性硬化剤が好ましい。
上記メラミン樹脂はメラミンおよびその誘導体とホルムアルデヒドとの付加縮合反応で得られる熱硬化性樹脂である。上記メラミン誘導体としては特に制限はなく、メチル化メラミン、ブチル化メラミン、イソブチル化メラミンなどが挙げられる。中でも水溶性を有するメチル化メラミンが最も好ましい。上記メラミン樹脂の硬化反応に用いられる硬化剤としては特に限定されず、例えば、無機酸、有機酸、酸性硫酸ナトリウムのような酸性塩からなる顕在性硬化剤;カルボン酸エステル、酸無水物、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の塩類のような潜在性硬化剤が挙げられる。なかでも、貯蔵寿命等から潜在性硬化剤が好ましい。
本発明のプリプレグには、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて適宜、ポリビニルアセタール樹脂やゴム類の樹脂成分を添加することができる。添加化合物として使用できるゴム類としては特に限定されず、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。樹脂との相容性を高めるために、これらの熱可塑性エラストマーを官能基変性したものであってもよい。 これらの熱可塑性エラストマー類は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記ゴムとしては特に限定されず、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。樹脂との相溶性を高めるために、これらのゴムを官能基変性したものであることが好ましい。これらのゴム類は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらポリビニルアセタール樹脂やゴム類のような他の樹脂成分の配合量としては、熱硬化性樹脂の特徴を活かすため、熱硬化性樹脂に対して質量比で1:1以下の配合量が好ましく、より好ましくは質量比0.8:1の配合量である。他の樹脂成分の配合量が、他の樹脂成分:熱硬化性樹脂=1:1(質量比)を超えると樹脂硬化物の難燃性が損なわれることがある。また熱可塑性樹脂を含む場合には熱硬化性樹脂に対して0.4:1(質量比)が好ましく、0.3:1(質量比)であるとより好ましい。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂は、窒化ホウ素ナノチューブ系繊維より成る不織布状多孔体、及び他の添加剤と複合、成形後に更に加熱し硬化反応を進行せしめることにより最終的な成形物を製造することができる。
(プリプレグの製造方法について)
本発明の熱硬化性樹脂プリプレグは、以下に述べる方法によって製造される。即ち、硬化前の熱硬化性樹脂を、これら熱硬化性樹脂を溶解可能な有機溶媒、あるいは水系溶媒に分散した溶液に、窒化ホウ素ナノチューブ系繊維より成る不織布状多孔体を浸漬させて熱硬化性樹脂を含有する溶液を多孔体内に十分に含浸せしめ、次いで加熱、加圧下により溶媒を蒸発させると同時に硬化させることによりシート状の強化繊維材料と熱硬化性樹脂を一体化させる方法を好ましく用いることができる。
また、共役系高分子やカップリング剤で表面を被覆処理された窒化ホウ素ナノチューブを使用する場合は、窒化ホウ素ナノチューブにこれらを被覆処理した後、被覆された窒化ホウ素ナノチューブ繊維より成る不織布状多孔体を上記のように熱硬化性樹脂溶液に含浸、次いで加熱、加圧下により溶媒を蒸発させると同時に硬化させることによりシート状の強化繊維材料と熱硬化性樹脂を一体化させる方法により本発明の樹脂組成物を製造することができる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。なお、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エビクロン850、エポキシ等量:190)を、またメラミン樹脂として日産化学工業(株)製、サントップ・M700(樹脂固形分55%)を用いた。
(1)熱膨張係数
熱膨張係数は、TAインストルメント製TA2940を用いて空気中、30〜80℃の範囲で昇温速度10℃/分にて測定し、セカンドスキャンの値より求めた。
(2)熱伝導度
熱伝導度は、50mm×80mmのサンプルを用い、プローブ法(非定常熱線法)により、迅速熱伝導率測定計(KEMTHERM QTM-D3 型、京都電子工業(株)製)を用いて測定した。具体的には熱伝導率既知の基準試料の上に試料を乗せて、みかけの熱伝導率を次式により基準試料の熱伝導率(対数)に対してプロットし、偏差が0となるときの熱伝導率を内挿により求めて、試料の熱伝導率を導出した。
偏差={(未知試料込のみかけの熱伝導率)−(基準試料の熱伝導率)}/(基準試料の熱伝導率)
[参考例1 窒化ホウ素ナノチューブの製造]
窒化ホウ素製のるつぼに、1:1のモル比でホウ素と酸化マグネシウムを入れ、るつぼを高周波誘導加熱炉で1300℃に加熱した。ホウ素と酸化マグネシウムは反応し、気体状の酸化ホウ素(B)とマグネシウムの蒸気が生成した。この生成物をアルゴンガスにより反応室へ移送し、温度を1100℃に維持してアンモニアガスを導入した。酸化ホウ素とアンモニアが反応し、窒化ホウ素が生成した。1.55gの混合物を十分に加熱し、副生成物を蒸発させると、反応室の壁から310mgの白色の固体が得られた。続いて得られた白色固体を濃塩酸で洗浄、イオン交換水で中性になるまで洗浄後、60℃で減圧乾燥を行い窒化ホウ素ナノチューブ(以下、BNNTと略すことがある)を得た。この操作を繰り返す事で1gのBNNTを得た。いずれも、平均直径が27.6nm、平均長さが2460nmのチューブ状であった。
[参考例2 窒化ホウ素ナノチューブ不織布(多孔体)の製造]
参考例1で得られた窒化ホウ素ナノチューブ1gを1−プロパノール100mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で10分超音波処理を行うことで窒化ホウ素ナノチューブが懸濁した分散液を得た。この窒化ホウ素ナノチューブが均一分散した懸濁液を、面積5cm×5cmの濾紙上に展開、溶媒吸引することにより捕集、乾燥することで目付け400g/mの窒化ホウ素ナノチューブ不織布を調製した。該不織布の走査型電子顕微鏡観察より、窒化ホウ素ナノチューブが互いに絡み合って積層した微細繊維構造を基本として不織布状多孔体が形成されていることを確認した(以下、上記の窒化ホウ素ナノチューブ不織布を窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体と称する)。
[実施例1]
参考例2で得られた窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体1g(5cm×5cm)を金型基板上に静置した。これに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、エビクロン850、エポキシ等量:190)57.96質量部、フェノール化合物(大日本インキ化学工業社製、フェノライト(登録商標)TD−2090、水酸基等量:105)32.04質量部からなるエポキシ樹脂組成物1.5gおよび硬化促進剤として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製)0.1gを5mlのベンゼンで希釈混合した溶液を滴下したところ、溶液は窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体内に均一に浸透した。この溶液含浸した窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体を室温にて2時間、ついで50℃下に2時間乾燥した。次いで、乾燥後の樹脂複合した窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体を金型に固定したまま110℃で3時間加熱し、樹脂組成物からなる厚さ約1mmの板状成形体を作製した。金型より取り出し、更に170℃で30分間加熱して硬化を完了した後、これを50×10mmおよび50mm×80mmに切り出すことにより試験用成型体を作成した。成型体の熱膨張係数は24.1ppm/℃であった。また、熱伝導率は9.1W/m・Kであった。
[実施例2]
参考例2で得られた窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体1g(5cm×5cm)を金型基板上に静置した。これに、メラミン樹脂として日産化学工業(株)製、サントップ(登録商標)M700(樹脂固形分55%)1.5g、パラトルエンスルホン酸30%メタノール溶液を、樹脂液に対し0.1g滴下したところ、溶液は窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体内に均一に浸透した。この溶液含浸した窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体を室温にて2時間、ついで50℃下に2時間乾燥した。次いで、乾燥後の樹脂複合した窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体を金型に固定したまま110℃で3時間加熱し、樹脂組成物からなる厚さ約1mmの板状成形体を作製した。金型より取り出し、更に170℃で30分間加熱して硬化を完了した後、これを50×10mmおよび50mm×80mmに切り出すことにより試験用成型体を作成した。成型体の熱膨張係数は21.7ppm/℃であった。また、熱伝導率は9.7W/m・Kであった。
[比較例1]
窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体を含有しない以外は、実施例1と同様にエポキシ樹脂の成型体を作製した。成型体の熱膨張係数は45.5ppm/℃であった。また、熱伝導率は0.18W/m・Kであった。
[比較例2]
窒化ホウ素ナノチューブ不織布状多孔体を含有しない以外は、実施例2と同様にメラミン樹脂の成型体を作製した。成型体の熱膨張係数は39.2ppm/℃であった。また、熱伝導率は0.17W/m・Kであった。
以上の結果より本発明の窒化ホウ素系ナノチューブからなる不織布を含有する熱硬化性樹脂組成物は、窒化ホウ素ナノチューブを含有しない熱硬化性樹脂に比べて優れた耐熱特性、放熱特性および寸法安定性等を有することがわかる。

Claims (5)

  1. 窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体1〜99質量部と熱硬化性樹脂が99〜1質量部からなる組成物であり、多孔体の空隙に熱硬化性樹脂が充填して結合されていることを特徴とする熱伝導性に優れるプリプレグ。
  2. 窒化ホウ素ナノチューブの平均直径が0.4nm〜1μm、平均アスペクト比が5以上であることを特徴とする請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、尿素樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 窒化ホウ素ナノチューブからなる不織布状多孔体に、少なくとも1種の熱硬化性樹脂を硬化前に含浸せしめた後、熱硬化させる工程を含む請求項1〜3のいずか1項に記載のプリプレグの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリプレグ1枚以上を加熱加圧することにより成形された積層板。
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