JP2012025676A - スマトリプタンコハク酸塩を含有する内用液剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
片頭痛の頭痛発現時に即服用可能なスマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤であって、長期保存安定性に優れ、かつ、苦味がマスキングされて服用性が改善されたスマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤の提供。
【解決手段】
スマトリプタンコハク酸塩、薬理学上許容しうる有機酸、好ましくはヒドロキシ置換を有してもよい炭素数4〜6のジ又はトリカルボン酸又はアスコルビン酸、及び水を含有し、好ましくは、さらに該有機酸のアルカリ金属塩、甘味剤を含有することを特徴とする内用液剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、長期保存安定性に優れ、かつ服用しやすいスマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤に関する。
スマトリプタン(Sumatriptan、化学名:3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルインドール−5−メタンスルホンアミド)は、5−HT1受容体、特に5−HT1B及び5−HT1D受容体に作用して、頭痛発作時に過度に拡張した頭蓋内外の血管を収縮させることにより、片頭痛を改善すると考えられている。また、スマトリプタンは三叉神経に作用して、神経末端からのCGRP(calcitonin gene-related peptide)など起炎性ペプチドの放出を抑制することも、片頭痛の緩解に寄与していると考えられている。従って、スマトリプタンを含有する製剤は、優れた片頭痛薬として知られている。
スマトリプタン含有製剤としては、現在、錠剤、注射剤及び点鼻剤が医薬品として上市されている。しかしながら、錠剤は服用するのに水等を必要とするため、特に外出時等には、片頭痛の頭痛発現時に服用するための剤形として患者の利便性が低く、かつ、高齢者等の嚥下が困難な患者にとっては、QOL(Quality of Life)上も好ましくない。また、点鼻剤もその投与が患者に苦痛を与えることがあることから、敬遠されることが多々ある。さらに注射剤は、病院等の特定の場所でなければ投与できないなど不便である。したがって、これらの現状から医療現場では、スマトリプタンを有効成分として含有する内用液剤が望まれていた。
一方、スマトリプタン又はその薬理学的に許容される塩、例えばスマトリプタンコハク酸塩は、通常の条件下では酸、塩基、酸化及び紫外線照射には安定であり、90℃に加熱したときは酸性、塩基性及び酸化性条件下で分解することが知られている(非特許文献1)。
本発明者らの検討によれば、スマトリプタンコハク酸塩の内用液剤の場合、上記の90℃加熱より緩和な条件であっても、酸素濃度やpH値により、スマトリプタンコハク酸塩の分解及び内用液剤の変色が起こる。また、スマトリプタンコハク酸塩は、苦味を有することが知られている。スマトリプタンコハク酸塩を含む内用液剤の開発にはこれらの全ての問題を解決することが求められる。
スマトリプタンコハク酸塩を含む内用液剤は、例えば特許文献1等により公知である。特許文献1には、上記のスマトリプタンコハク酸塩を活性成分とする内用液剤として、例えば、シロップ剤又は懸濁液が開示されている。該シロップ剤は、ヒドロキシメチルセルロース、水及び緩衝液を含むとされているが、具体的な緩衝液の開示はなく、また、甘味剤等も含まれないことから、到底上記問題点が解決されている製剤とは言い難い。また、懸濁液は、モノステアリン酸アルミニウム、甘味剤及び分留されたココヤシ油を含み、水を含まない製剤であり、内用剤としての服用性等の問題が解決されているか疑問である。
現在市販されている経口剤として、スマトリプタンコハク酸塩を含む錠剤があり、該錠剤においては、フィルムコートにより、苦味防止を図っている。スマトリプタンを含むその他の市販製剤としては、点鼻液及び注射液があるが、内用液剤の市販品はない。
点鼻液では、リン酸二水素カリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、硫酸及び水酸化ナトリウムを含み、これによりpH5〜6の緩衝液を形成させ、スマトリプタンの保存安定性を図っていると思われる。また、注射液においては、pHを4.2〜5.3とした塩化ナトリウム水溶液である。
内用液剤の開発には、前記の長期安定性と共に、服用性の問題の解決を図る必要があり、それらの問題を同時に解決することが困難なため、現在まで内用液剤が実用的に開発されなかった理由と考えられる。
特公平6−23197
J. Pharm. Biomed. Anal., Vol.26, No.3, Page.367-377 (2001)
本発明は、長期保存安定性に優れると共に、服用性も改善した、スマトリプタンコハク酸塩を含有する内用液剤の開発を目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討したところ、本発明者らは、薬理学上許容しうる有機酸、好ましくは、後記する、ヒドロキシ置換を有してもよい炭素数4〜6のジ又はトリカルボン酸又はアスコルビン酸、及び水を含有する内用液剤は、スマトリプタンコハク酸塩の類縁物質の増加が抑制され、長期保存安定性に優れること、さらに該有機酸のアルカリ金属塩を含む場合、内用液が緩衝化され、保存安定性が向上すると共に、甘味剤との併用により、服用性が改善されることを見出した。また、スマトリプタンコハク酸塩の服用性の改善のための甘味剤としては、甘味剤を少なくとも2種併用することにより、より服用性を高めることができることを見出した。
即ち、本発明は、
(1) スマトリプタンコハク酸塩、薬理学上許容しうる有機酸及び水を含有する内用液剤、
(2) 該薬理学上許容しうる有機酸がヒドロキシ置換を有してもよいC4〜C6脂肪族ジ又はトリカルボン酸、又はアスコルビン酸である上記(1)に記載の内用液剤、
(3) 該薬理学上許容しうる有機酸がクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、上記(1)又は(2)に記載の内用液剤、
(4) さらに有機酸塩を含有する、上記(1)〜(3)の何れか一項に記載の内用液剤、
(5) 該有機酸塩が、該薬理学上許容しうるヒドロキシ置換を有してもよいC4〜C6脂肪族ジ又はトリカルボン酸のアルカリ金属塩、又はアスコルビン酸のアルカリ金属塩である、上記(4)に記載の内用液剤、
(6) 該有機酸がクエン酸であり、該有機酸塩がクエン酸ナトリウムである、上記(5)に記載の内用液剤、
(7) さらに甘味剤を含有する、上記(1)〜(6)の何れか一項に記載の内用液剤、
(8) 甘味剤が、甘味がショ糖の0.5〜5倍である弱甘味剤と甘味がショ糖の100倍以上の強甘味剤の併用である上記(7)に記載の内用液剤、
(9) 甘味がショ糖の100倍以上の強甘味剤が、甘味がショ糖の100倍〜400倍の中強甘味剤と甘味がショ糖の400倍以上の超強甘味剤の併用である上記(8)に記載の内用液剤、
(10) 弱甘味剤としてキシリトール、中強甘味剤としてアセスルファムカリウム及び超強甘味剤としてスクラロースの3者を含有する、上記(9)に記載の内用液剤、
(11) スマトリプタンコハク酸塩1質量部に対して、それぞれ、弱甘味剤を2〜10質量部、中強甘味剤を0.02〜0.12質量部、超強甘味剤を0.05〜0.3質量部を含有する、上記(9)又は(10)に記載の内用液剤、
(12) 0.1〜70mg/mLのスマトリプタンコハク酸塩を含み、該液剤のpHが4.4〜5.0である、上記(1)〜(11)の何れか一項に記載の内用液剤、
(13) 内用液剤の総量に対して、スマトリプタンコハク酸塩を0.1〜70mg/mL、該薬理学上許容しうる有機酸を0.02〜30mg/mL、該有機酸塩を0.02〜40mg/mL、及び、該甘味剤を1〜320mg/mL含有し、残部が水及び薬学上許容しうる添加剤である、上記(7)〜(12)の何れか一項に記載の内用液剤、
に関する。
本発明のスマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤は、片頭痛の発現時に、服用のための水を準備すること無く、直ちに服用可能であり、かつ、有機酸、好ましくは水酸基を有してもよい炭素数4〜6のヒドロキシカルボン酸又はアスコルビン酸により、スマトリプタンの類縁物質の増加が抑制され、長期保存安定性に優れる。さらに、該有機酸の塩を含有させることにより、長期保存安定性が向上する。また、更に、甘味剤、特に、弱甘味剤と強甘味剤の少なくとも2種を含有する内用液剤とした場合、スマトリプタンコハク酸塩の有する苦味がマスキングされ、服用感が良好であるという特徴を有する。
本発明を以下により詳しく説明する。
本発明のスマトリプタン内用液剤は、スマトリプタンコハク酸塩、薬理学上許容しうる有機酸及び水を含有する。また、好ましくは、さらに有機酸塩及び/又は甘味剤を含有する。
本発明のスマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤(以下、本発明のスマトリプタン内用液剤又は本発明の内用液剤という。)に含まれるスマトリプタンコハク酸塩は、市販されているか、又は当業者に既知の方法で、例えば特許文献1(特公平6−23197号公報)に記載の方法又はそれに準じた方法で製造することができる。
本発明の内用液剤におけるスマトリプタンコハク酸塩の含有量は、0.1〜70mg/mL、好ましくは10〜60mg/mL、より好ましくは30〜40mg/mLである。例えば、本発明の内用液剤がスマトリプタンコハク酸塩として35mg/mLを含有する場合、スマトリプタンとしては25mg/mLを含有する。
本明細書においては、特に断りのない限り、「部」は質量部を、割合は質量割合をそれぞれ表す(グラムは特に断りが無い限り、質量単位である)。
また、本発明の内用液剤において、「スマトリプタンコハク酸塩を含有する」といった場合、本発明の内用液剤は水溶液剤であることから、当業者においては当然に理解されるように、実際には該水溶液中においては該コハク酸塩は、イオンとして平衡状態において存在するが、便宜上水溶液中においても、スマトリプタンコハク酸塩として存在するとして取り扱うものである。従って、液剤の原料としてスマトリプタンコハク酸塩を用いた場合は、全て、便宜上そのように取り扱う。また、該水溶液剤中におけるスマトリプタンコハク酸塩の含量という場合も、同様である。本発明の内用液剤中のスマトリプタンは、実際には、例えば塩を形成しないフリーの状態、コハク酸との塩、フリーのコハク酸、更に、コハク酸以外の上記有機酸との塩及びフリーの有機酸等の平衡状態における混合物として存在する。
本発明の内用液剤に含まれる有機酸としては、薬理学上許容しうる有機酸であり、スマトリプタンコハク酸塩の安定に寄与するものであればいずれも使用できる。 そのような有機酸の好ましいものとしては、例えばリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、グルコン酸等の水酸基を有してもよい炭素数4〜6の脂肪族ジ又はトリカルボン酸、又は、アスコルビン酸(L体又はD体何れであってもよい)を挙げることができる。
なお、水酸基を有してもよい炭素数4〜6の脂肪族ジ又はトリカルボン酸における炭素数は、カルボキシ基における炭素も含めた数である。これらの有機酸は、単独で用いてもよく、又は2種以上の混合物として用いてもよい。通常は単独で用いるのが好ましい。該有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸又は酒石酸等の炭素数4〜6の脂肪族ヒドロキシジ又はトリカルボン酸がさらに好ましく、保存安定性の点では、クエン酸又はアスコルビン酸が特に好ましく、着色等のおそれも無く、長期保存安定性もよいという点で、最も好ましいのはクエン酸である。該クエン酸は、スマトリプタン内用液剤の服用性改善の面からも、好ましい。
該有機酸の含有量は、通常、スマトリプタン1質量部に対して0.01〜1質量部、好ましくは0.02〜0.5質量部、より好ましくは0.03〜0.2質量部である。
また本発明の内用液剤における該有機酸の含有量は、0.02〜30mg/mL、好ましくは0.2〜20mg/mL、より好ましくは0.5〜10mg/mL、特に好ましくは1〜7mg/mLである。
本発明の内用液剤において、スマトリプタンコハク酸塩を溶解する溶媒としては水が用いられ、通常、精製水が使用される。当該溶媒には、必要に応じて、他の溶媒、例えば無水エタノール及びエタノール等の有機溶媒等を加えることもできる。通常は水のみが好ましい。
本発明の内用液剤においては、上記有機酸とともに、緩衝作用示す有機酸塩を含有するのが好ましい。好ましい該有機酸塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができ、コスト面などからは、ナトリウム塩がより好ましい。
好ましい有機酸塩としては、前記の好ましい有機酸のアルカリ金属塩であり、より具体的には、水酸基を有してもよい炭素数4〜6の脂肪族ジ又はトリカルボン酸のアルカリ金属塩、又はアスコルビン酸アルカリ金属塩である。通常、有機酸と共に、該有機酸塩を含むことにより、pH緩衝剤として作用し、内用液剤の安定に寄与すると共に、服用面の改善も認められる。
該有機酸塩は、内用液剤に含まれる有機酸と共に緩衝作用示すものであれば特に限定されないが、通常は、内用液剤に含まれる有機酸の塩が好ましい。該有機酸塩の好ましい具体例としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム及び酒石酸ナトリウム等のそれぞれの酸のアルカリ金属塩が挙げられ、それぞれ対応する有機酸と共に内用液剤に含まれるようにするのがより好ましい。例えば、内用液剤に含まれる有機酸がクエン酸の時は、クエン酸のアルカリ金属塩(より好ましくはクエン酸ナトリウム)と組み合わせるのが好ましい。
上記の有機酸塩は、上記有機酸とともに本発明の内用液剤のpHを目的の範囲に調整できるように、適量使用すればよい。上記有機酸塩の含有量は、スマトリプタン1質量部に対して、0.01〜1質量部、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.05〜0.3質量部である。また、本発明の内用液剤における上記有機酸塩の含有量は、通常0.02〜40mg/mLであり、好ましくは0.2〜25mg/mLであり、より好ましくは0.5〜15mg/mLであり、特に好ましくは2〜12mg/mLである。
本発明の薬理学上許容しうる有機酸と、有機酸塩との組み合わせの好ましい具体例としては、上記有機酸がクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸及び酒石酸のいずれかであり、上記有機酸塩がそれぞれ対応する有機酸のアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩である組み合わせが挙げられる。クエン酸とクエン酸ナトリウムとの組み合わせが最も好ましい。
上記有機酸及び上記有機酸塩及びその含有量を適宜調整することにより、本発明の内用液剤のpHを一定の範囲に調整することが好ましい。本発明の内用液剤のpHは、通常4.2〜5.3程度であれば良いが、長期安定性の面からは、好ましくは4.4〜5.0程度であり、特に好ましくは4.6〜4.8程度である。これらの範囲に調整することにより、スマトリプタンに由来する特定の不純物の増加が抑制された、より安定な内用液剤を得ることができる。
本発明の内用液剤には、服用性を改善するために、甘味剤を含有するのが好ましい。該甘味剤としては、糖、糖アルコール又は合成甘味料がある。
本発明の内用液剤に使用しうる甘味剤の具体例としては、例えば、ショ糖、液糖、果糖、果糖ブドウ糖液、ブドウ糖果糖液糖、黒砂糖、高果糖液糖、ブドウ糖、乳糖、白糖、精製白糖、精製白糖球状顆粒、ハチミツ、精製ハチミツ及び単シロップなどの糖;エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、D−ソルビトール液、マルチトール、マルチトール液、マルトース及びD−マンニトールなどの糖アルコール;アマチャ抽出物、甘草抽出物、ステビア抽出物等の植物抽出甘味料;アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ネオテーム、ソーマチン、グリシン、グリセリン、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム及びグリチルリチン酸モノアンモニウムなどの合成甘味料が挙げられる。
上記の甘味剤は、本発明の内用液剤に、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明のスマトリプタンコハク酸塩を含有する内用液剤においては、スマトリプタンコハク酸塩の不快な味(苦味等)をマスキングでき、安定性に悪影響を与えないものであれば何れの甘味剤でも使用出来るが、本発明者らの検討によれば、本発明においては、糖又は糖アルコール等のように甘味がショ糖の0.5〜5倍の弱甘味剤と甘味がショ糖の100倍以上の強甘味剤との併用が好ましい。また、強甘味剤も、甘味がショ糖の100〜400倍程度の中強甘味剤と甘味がショ糖の400倍以上の超強甘味剤との併用がより好ましい。このように2種又は3種の甘味剤を組み合わせることにより、スマトリプタンコハク酸塩の水溶液における不快な味(苦味等)をマスキングできると共に、服用後の後味等も改善することができる。
甘味がショ糖の100〜400倍の中強甘味剤としては通常合成甘味剤が挙げられ、具体的には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム等であり、好ましくは甘味がショ糖の200〜300倍程度の甘味剤であり、より好ましくはアセスルファムカリウムである。
また、甘味がショ糖の400倍以上の超強甘味剤としては具体的には、サッカリン、サッカリンナトリウム、ネオテーム、スクラロース等であり、より好ましくは甘味がショ糖の500倍以上の甘味剤が好ましく、最も好ましくはスクラロースである。
本発明においては、弱甘味剤の少なくとも一種と強甘味剤の少なくとも一種を併用するのが好ましく、より好ましくは強甘味剤として、中強甘味剤と超強甘味剤の二種を併用する態様である。
本発明においては、上記のように、甘味剤を含むことにより、スマトリプタンコハク酸塩の苦味をほとんど感じることなく、服用時の味、及び服用後の後味も良好にすることができる。
好ましい併用としては、強甘味剤として、甘味が強く、その甘みがショ糖の100倍以上の合成甘味料、より好ましくはアセスルファムカリウム及びスクラロースの少なくとも1種と糖アルコールとの併用を挙げることができる。
糖アルコールとしては、前記したものの中ではキシリトールがより好ましい。
従って、服用性をより良く改善できる弱甘味剤として、糖アルコール、好ましくはキシリトールを用い、強甘味剤としてアセスルファムカリウム及びスクラロースから選ばれる少なくとも1種(好ましくは両者)を用いることが好ましい。
本発明における甘味剤は、内用液剤のスマトリプタンコハク酸塩の不快な味、特に苦味を感じなくして、服用感を改良するために添加される。服用感は人により、かなりの差があり、更に甘味剤の種類により、その配合量は大きく異なるため、一概に含量を決めるのは難しい。
本発明の内用液剤において、甘味剤として、甘味がショ糖の100倍以上の強甘味剤と上記弱甘味剤とを併用する場合、該内用液剤における甘味剤の含量は、スマトリプタン1質量部に対して、5.0〜10.5質量部、好ましくは6.6〜10.0質量部、より好ましくは7.5〜9.0質量部である。
また、本発明の内用液剤における甘味剤の含有量は、甘味剤の種類により大幅に異なり、甘味の強い甘味剤では少量で良く、甘味の弱いものでは多くなる。従って、通常1〜320mg/mL程度の範囲内となる。好ましくは5〜320mg/mLである。甘味の強い強甘味剤(通常合成甘味剤)とショ糖などの弱甘味剤(好ましくは糖アルコール、より好ましくはキシリトール)を併用する場合は、甘味剤の含有量は、好ましくは100〜320mg/mL程度、より好ましくは160〜250mg/mLである。
甘味がショ糖の100倍以上の強甘味剤と弱甘味剤(好ましくは糖アルコール、より好ましくはキシリトール)の併用の場合、両者の比率は、強甘味剤1質量部に対して、弱甘味剤(例えば糖アルコール等)が10〜300質量部程度、好ましくは20〜200質量部程度、より好ましくは30〜100質量部程度である。
本発明の内用液剤における弱甘味剤(好ましくは糖アルコール、より好ましくはキシリトール)のスマトリプタンに対する含有割合は、スマトリプタン1質量部に対して5.0〜10.0質量部、好ましくは6.5〜9.5質量部、より好ましくは7.5〜8.5質量部である。また、本発明の内用液剤における弱甘味剤(好ましくは糖アルコール、より好ましくはキシリトール)の含有量は、通常50〜400mg/mLであり、好ましくは100〜300mg/mLであり、より好ましくは150〜250mg/mLである。
本発明において、強甘味剤のスマトリプタンに対する含有割合は、スマトリプタン1質量部に対して、0.05〜0.9質量部、好ましくは0.1〜0.7質量部、より好ましくは0.15〜0.6質量部程度である。
本発明における好ましい中強甘味剤の一つとして用いられるアセスルファムカリウムは、白色の結晶性粉末で、熱、弱酸性、弱アルカリ性に対して安定な、カロリーのない甘味料である。本発明の内用液剤における中強甘味剤(好ましくはアセスルファムカリウム)のスマトリプタンに対する含有割合は、スマトリプタン1質量部に対して0.01〜0.16質量部、好ましくは0.05〜0.12質量部、より好ましくは0.07〜0.1質量部である。また、本発明の内用液剤における中強甘味剤(好ましくはアセスルファムカリウム)の含有量は、通常0.1〜8mg/mLであり、好ましくは0.5〜5mg/mLであり、より好ましくは1〜3mg/mLである。
また、本発明における好ましい超強甘味剤の一つとして用いられるスクラロースは、砂糖の約600倍の甘味度を持ち、苦味や渋みがほとんどなく、熱安定性も高い高甘味度甘味料である。本発明の内用液剤における超強甘味剤(好ましくはスクラロース)のスマトリプタンに対する含有割合は、スマトリプタン1質量部に対して0.01〜0.4質量部、好ましくは0.05〜0.35質量部、より好ましくは0.1〜0.3質量部である。また、本発明の内用液剤における超強甘味剤(好ましくはスクラロース)の含有量は、通常0.05〜20mg/mLであり、好ましくは0.5〜15mg/mLであり、より好ましくは2〜8mg/mLである。
本発明において、強甘味剤として、中強甘味剤(好ましくはアセスルファムカリウム)と超強甘味剤(好ましくはスクラロース)を併用する場合、両者の割合は、中強甘味剤1質量部に対して、超強甘味剤を0.5〜8質量部、好ましくは1〜6質量部、より好ましくは、1.5〜3.5質量部程度である。
上述のとおり、本発明における甘味剤としては、甘味がショ糖の100倍以上の強甘味剤と弱甘味剤の併用が好ましく、より好ましくは、強甘味剤として中強甘味剤と超強甘味剤の併用であり、最も好ましくは、キシリトール、アセスルファムカリウム及びスクラロースの3種の併用である。この3者併用の場合、スマトリプタンに対するそれぞれの好ましい含有割合は、前記した通り、スマトリプタン1質量部に対して、キシリトールが7.5〜8.5質量部、アセスルファムカリウムが0.07〜0.1質量部、スクラロースが0.1〜0.3質量部である。キシリトール、アセスルファムカリウム及びスクラロースを上記の割合で含有する本発明の内用液剤は、特に良好な服用性を有する。
本発明の内用液剤に含有させることのできる甘味剤は、スマトリプタンコハク酸塩の保存安定性に、悪影響を与えないものは何れも使用可能である。甘味剤の前記弱甘味剤として、キシリトールを用いる場合は、むしろ内用液剤の安定性に好ましい効果を有する。
その他、本発明の内用液剤には、薬理学上許容しうる添加剤として、必要に応じて、等張化剤、防腐剤、界面活性剤、及び、その他の医薬液体製剤に通常用いられる添加剤をさらに添加することができる。
等張化剤としては、例えばグリセリン、濃グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリハロース、シュクロース、ソルビトール、マンニトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウム等を挙げることができる。
防腐剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール及び安息香酸ナトリウム等を挙げることができる。
界面活性剤としては、例えばポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、マクロゴール200、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール2000及びラウロマクロゴール等を挙げることができる。
その他の医薬液体製剤に通常用いられる添加剤としては、例えばアルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアルコール等の粘稠剤;天然着色料(カラメル、β−カロチン等)及び合成着色料(食用色素、リン酸リボフラビンナトリウム等)等の着色料;オレンジ油、レモン油、メントール、バニリン、ハチミツ、果実系フレーバー(ストロベリー、パイナップル、オレンジ、アップル、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、生薬系フレーバー(ハーブ、ミント等)、ドリンク系フレーバー(ココア、紅茶、ラムネ等)及び菓子系フレーバー(チョコレート、ヨーグルト等)等の香料等が含まれるが、これらに限定されない。
これら添加剤のうち、好ましい添加剤としては、天然着色料、防腐剤、香料等を挙げることができる。
上記の薬理学上許容しうる添加剤の含有量の範囲は、通常0〜20mg/mL程度、好ましくは0〜10mg/mL程度、より好ましくは0〜5mg/mL程度である。
本発明の内用液剤における、上記各成分の含有量を、好ましい場合も含めて例示すれば、下記の通りである。
スマトリプタンコハク酸塩:0.1〜70mg/mL、好ましくは10〜60mg/mL、より好ましくは30〜40mg/mL、
薬理学上許容しうる有機酸:0.02〜30mg/mL、好ましくは0.2〜20mg/mL、より好ましくは0.5〜10mg/mL、特に好ましくは1〜7mg/mL
有機酸塩:0.02〜40mg/mL、好ましくは0.2〜25mg/mL、より好ましくは0.5〜15mg/mL、特に好ましくは2〜12mg/mL、
甘味剤:1〜320mg/mL、好ましくは10〜320mg/mL、より好ましくは160〜250mg/mL、
水及びその他の薬理学上許容しうる添加剤(防腐剤、香料など):残部。
さらに、上記甘味剤が、キシリトール、アセスルファムカリウム及びスクラロースである場合の含有量を例示すれば、下記の通りである。
キシリトール:1〜300mg/mL、好ましくは10〜300mg/mL、より好ましくは150〜250mg/mL、
アセスルファムカリウム:0.1〜8mg/mL、好ましくは0.5〜5mg/mL、より好ましくは1〜3mg/mL、
スクラロース:0.05〜20mg/mL、好ましくは0.5〜15mg/mL、より好ましくは2〜8mg/mL。
本発明の内用液剤の各成分を上記の通り含有することにより、長期保存中のスマトリプタン分解物の生成を抑え、かつ、スマトリプタンの苦味が十分に抑制されたスマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤を得るという本発明の目的が最適化される。
本発明のスマトリプタン内用液剤の製造方法を示す。
本発明の内用液剤は、精製水に、スマトリプタンコハク酸塩、上記有機酸、好ましくは、更に、上記有機酸塩、上記甘味剤及び、必要に応じて、その他添加剤を添加し、溶解した後、通常の方法に従い、例えばメンブランフィルター濾過を行い、得られた濾液を容器に充填することによって、製造することができる。各成分を精製水に添加する際の順序は特に限定されない。次いで、必要に応じて窒素等の不活性ガスによる十分な置換を施した後、容器を密閉することによって、長期保存安定性のよい最終製品を得ることができる。
本発明の内用液剤の製造においては、容器空隙中の空気を不活性ガスで置換する工程を含むのが好ましい。不活性ガス置換を施された後の容器内は、酸素を実質的に含まないガス雰囲気下であることが望ましいが、容器中のヘッドスペース(容器上部の空隙を言う)の酸素濃度が10.0容量%以下が好ましく、より好ましくは6容量%以下である。不活性ガスによる置換は、容器内のヘッドスペースのみを置換するだけでも良いが、不活性ガスを、本発明の内用液剤中でバブリングさせることにより、本発明の内用液剤中の溶存酸素を除去又は減少させることもできる。
上記工程に用いられる不活性ガスは、本発明の内用液剤に含有される成分に影響を与えなければ特に制限はないが、窒素ガス、ヘリウム及びアルゴン等が好ましく、窒素ガスがより好ましい。
また、本発明のスマトリプタン内用液剤は、上記の不活性ガス置換の後、容器を密封するのが好ましい。上述のとおり、内用液剤中のスマトリプタンは、pH又は酸素により分解される可能性があることから、これらの影響をできるだけ受けないようにするためである。
本発明の内用液剤は経口剤として用いることができ、本発明の内用液剤を用時希釈などせずにそのまま投与することが可能である。本発明の内用液剤の1容器あたりの製剤全量(容量または質量)は、医薬品として使用されるにあたっての貯蔵、流通及びそれに続く使用を考慮して適宜選択しうる。医療施設における保管のスペース、使用時の簡便性及び投与時の無菌性の維持などを考慮し、1容器あたり1回使用量の製剤を充填することが好ましい。1回使用量として好適な製剤全量(容量)は0.1mL〜20mL/1容器であり、特に好ましくは0.5mL〜10mL/1容器である。
本発明の内用液剤を充填する容器としては、薬理学的に許容できる容器であって、上記範囲の容量の製剤を充填でき、かつ、密封可能な容器であれば、いずれも好適に使用できる。また、容器の素材は薬理学的に許容できる任意のものを使用できる。かかる素材としては、ガラス、プラスチック及びアルミラミネートフィルム等が挙げられる。かかる素材は、酸素透過性の低い素材を用いることが望ましい。
実施例1
表1及び表2の処方並びに下記製法にて、本発明の実施例1−1、実施例1−2及び比較例1のスマトリプタン内用液剤を製造した。
下記表1の処方に従い、スマトリプタンコハク酸塩、キシリトール、スクラロース及びアセスルファムカリウムを精製水に溶解した。実施例1−1及び1−2の溶液についてはさらに、L−アスコルビン酸又はクエン酸を下記表2の濃度になる様に添加し、精製水で補正した。こうして実施例1−1、実施例1−2及び比較例1のスマトリプタン内用液剤を得た。得られたそれぞれの内用液剤16.75mLを容器(25mLガラスバイアル)に充填し、次いで容器内のヘッドスペースを窒素ガス置換することにより、ヘッドスペース内の酸素濃度を5容量%とした後、密閉した。
Figure 2012025676
[表2]
添加する酸 濃度
実施例1−1 L−アスコルビン酸 0.02mol/L
実施例1−2 クエン酸 0.02mol/L
比較例1 添加せず
試験例1(純度試験)
実施例1−1、実施例1−2及び比較例1の各検体を恒温槽に入れ、60℃の環境下に1週間及び2週間保存した。各製剤について、下記の方法で純度試験を実施した。結果を表3に示す。
各製剤につき、上記表1の処方をもとにスマトリプタンコハク酸塩30mgに対応する量をとり、これを下記の移動相に溶かして10mLとし、試料溶液とした。該試料溶液1mLを正確に量り、下記の移動相を加えて正確に100mLとした。さらにこの液1mLを正確に量り、下記の移動相を加えて正確に10mLとし、標準溶液とした。各試料溶液につき、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行った。それぞれの試料溶液及び標準溶液につき、スマトリプタンコハク酸塩由来のピーク面積、及び、各類縁物質由来のピーク面積を、自動積分法により測定した。
高速液体クロマトグラフィーの測定条件;
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:282nm)。
カラム:内径4.0mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんしたカラム。
カラム温度:25℃付近の一定温度。
移動相:ジブチルアミン0.970g、リン酸0.735g及びリン酸二水素ナトリウム2.93gを水750mLに溶かし、水酸化ナトリウム試液でpHを6.5とし、水を加えて1000mLとして得られた水溶液75容量%と、アセトニトリル25容量%とからなる溶液。
流量:スマトリプタンコハク酸塩の保持時間が約7分になるように調整した。
純度試験の結果を下記表3に示した。下記表3の値は、各保存条件における、類縁物質由来の各ピーク面積の総和/スマトリプタンコハク酸塩由来のピーク面積×100(%)を表す。
Figure 2012025676
実施例1−1及び1−2の製剤は、比較例1の製剤よりも類縁物質の増加が抑制された。60℃で2週間経過後の類縁物質の生成量は、比較例1に比べて、実施例1−1が約12%少なく、実施例1−2が約49%少なかった。
実施例2
実施例1と同様に、上記表1及び下記表4の処方、並びに、実施例1に記載の製法にて、本発明の実施例2−1〜2−3及び比較例2−1及び2−2のスマトリプタン内用液剤を得た。なお、比較例2−2では、有機酸に代えて塩酸を使用した。得られたそれぞれの内用液剤(液量16.5〜16.6mL)を容器(25mLガラスバイアル)に充填し、次いで容器内のヘッドスペースを窒素ガス置換することにより、ヘッドスペース内の酸素濃度を5容量%とした後、密閉した。
[表4]
添加する酸 濃度
実施例2−1 クエン酸 0.02mol/L
実施例2−2 酒石酸 0.02mol/L
実施例2−3 リンゴ酸 0.02mol/L
比較例2−1 添加せず
比較例2−2 塩酸 0.02mol/L
試験例2(純度試験)
上記試験例1と同様の方法で、実施例2−1〜2−3、比較例2−1及び比較例2−2の各検体について、純度試験を行った。純度試験の結果(スマトリプタンに対する類縁物質のピーク面積比)を表5に示す。
Figure 2012025676
実施例2−1〜2−3の製剤は、比較例2−1及び比較例2−2の製剤よりも類縁物質の増加が抑制された。
実施例3
上記表1のスマトリプタン内用液剤の処方に従い、スマトリプタンコハク酸塩、キシリトール、スクラロース及びアセスルファムカリウムを精製水に溶解し、さらにクエン酸及びクエン酸ナトリウムを、得られる製剤のクエン酸濃度がそれぞれ0.02、0.04及び0.08mol/Lとなるように添加した。このとき、得られる内用液剤のpHが4.7付近となるように、実施例3−1〜3−3において、クエン酸及びクエン酸ナトリウムの比率を調整した。上記以外は実施例1と同様にして、実施例3−1〜3−3のスマトリプタン内用液剤を得た。
得られたそれぞれの内用液剤(液量16.5〜16.6mL)を容器(25mLガラスバイアル)に充填し、次いで容器内のヘッドスペースを窒素ガス置換することにより、ヘッドスペース内の酸素濃度を5容量%とした後、密閉した。
試験例3(純度試験(Impurity A))
上記で得られた実施例3−1〜3−3の各検体を恒温槽に入れ、60℃環境下で2週間保存した後、下記の方法でImpurity Aの測定を行った。「Impurity A」とは、スマトリプタンの類縁物質のうちスマトリプタンよりも分子量の大きなものを言い、スマトリプタンの2量体であると考えられる。
結果を表6に示す。
各製剤につき、上記表1の処方をもとに、スマトリプタンコハク酸塩30mgに対応する量をとり、これを下記の移動相に溶かして10mLとし、試料溶液とした。該試料溶液1mLを正確に量り、下記の移動相を加えて正確に100mLとした。さらにこの液1mLを正確に量り、下記の移動相を加えて正確に10mLとしたものを、標準溶液とした。各試料溶液につき、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーによる定量分析を行った。それぞれの試料溶液及び標準溶液につき、スマトリプタンコハク酸塩由来のピーク面積、及び、Impurity A由来のピーク面積を、自動積分法により測定した。
高速液体クロマトグラフィーの測定条件;
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:282nm)。
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用シリカゲルを充てんしたカラム。
カラム温度:25℃付近の一定温度。
移動相:メタノール/酢酸アンモニウム溶液(771→1000)の質量比9:1の混液。
流量:2mL/min。
純度試験の結果を下記表6に示した。下記表6のImpurityAの値は、各保存条件における、Imuprity A由来のピーク面積/スマトリプタンコハク酸塩由来のピーク面積×100(%)を表す。
Figure 2012025676
クエン酸ナトリウムにより緩衝化された実施例3−1〜3−3の各製剤においては、60℃環境下で2週間保存した後であっても、Impurity Aの増加を抑制することができた。
実施例4
下記表7に記載の処方により、原薬及び添加剤を精製水に溶解し、本発明の実施例4のスマトリプタン内用液剤及び比較例4の製剤を得た。それぞれの検体22mLを容器(25mLガラスバイアル)に充填し、容器内のヘッドスペースを窒素ガス置換することにより、ヘッドスペース内の酸素濃度を5容量%とした後、密閉した。
Figure 2012025676
試験例4(純度試験)
実施例4及び比較例4の各製剤を恒温槽に入れ、60℃の環境下で2週間保存した。その後、各製剤について試験例1と同様の方法で純度試験を行った。純度試験の結果(スマトリプタンに対する類縁物質のピーク面積比)を表8に示す。
Figure 2012025676
本発明の実施例4の製剤は、比較例4の製剤に比べて、スマトリプタンの分解によるものと考えられる類縁物質の生成を、およそ3分の1に抑制することができた。
実施例5
下記表9に記載の処方により、原薬及び添加剤を精製水に溶解し、本発明の実施例5のスマトリプタン内用液剤及び比較例5の製剤を得た。それぞれの検体22mLを容器(25mLガラスバイアル)に充填し、容器内のヘッドスペースを窒素ガス置換することにより、ヘッドスペース内の酸素濃度を5容量%とした後、密閉した。
Figure 2012025676
試験例5(官能試験)
健康成人6人(パネル:A〜F)により、実施例5並びに比較例5の各液剤2mLを口に含み、その味(苦味、甘味、清涼感)を総合的に判断し、飲みやすさの評価を実施した。評価は3;苦味、後味の悪さを感じ、飲みにくい、2;苦味はないが、後味の悪さを感じる、1;苦味もなく後味も良好で、飲みやすい、のスコアで行った。結果を表10に示す。
Figure 2012025676
官能試験の結果、比較例の製剤については6人中5人が飲みにくいと評価したのに対し、本発明の内用液剤については6人中5人が飲みやすいと評価し、飲みにくいと評価したパネルはいなかった。本発明により、スマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤の服用性が十分に改善された。
本発明によって、用時に即服用可能なスマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤であって、長期保存安定性に優れ、かつ、苦味がマスキングされて服用しやすいスマトリプタンコハク酸塩含有内用液剤の提供が可能となる。

Claims (13)

  1. スマトリプタンコハク酸塩、薬理学上許容しうる有機酸及び水を含有する内用液剤。
  2. 該薬理学上許容しうる有機酸がヒドロキシ置換を有してもよいC4〜C6脂肪族ジ又はトリカルボン酸、又はアスコルビン酸である請求項1に記載の内用液剤。
  3. 該薬理学上許容しうる有機酸がクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の内用液剤。
  4. さらに有機酸塩を含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の内用液剤。
  5. 該有機酸塩が、該薬理学上許容しうるヒドロキシ置換を有してもよいC4〜C6脂肪族ジ又はトリカルボン酸のアルカリ金属塩、又はアスコルビン酸のアルカリ金属塩である、請求項4に記載の内用液剤。
  6. 該有機酸がクエン酸であり、該有機酸塩がクエン酸ナトリウムである、請求項5に記載の内用液剤。
  7. さらに甘味剤を含有する、請求項1〜6の何れか一項に記載の内用液剤。
  8. 甘味剤が、甘味がショ糖の0.5〜5倍である弱甘味剤と甘味がショ糖の100倍以上の強甘味剤の併用である請求項7に記載の内用液剤。
  9. 甘味がショ糖の100倍以上の強甘味剤が、甘味がショ糖の100倍〜400倍の中強甘味剤と甘味がショ糖の400倍以上の超強甘味剤の併用である請求項8に記載の内用液剤。
  10. 弱甘味剤としてキシリトール、中強甘味剤としてアセスルファムカリウム及び超強甘味剤としてスクラロースの3者を含有する、請求項9に記載の内用液剤。
  11. スマトリプタンコハク酸塩1質量部に対して、それぞれ、弱甘味剤を2〜10質量部、中強甘味剤を0.02〜0.12質量部、超強甘味剤を0.05〜0.3質量部を含有する、請求項9又は10に記載の内用液剤。
  12. 0.1〜70mg/mLのスマトリプタンコハク酸塩を含み、該液剤のpHが4.4〜5.0である、請求項1〜11の何れか一項に記載の内用液剤。
  13. 内用液剤の総量に対して、スマトリプタンコハク酸塩を0.1〜70mg/mL、該薬理学上許容しうる有機酸を0.02〜30mg/mL、該有機酸塩を0.02〜40mg/mL、及び、該甘味剤を1〜320mg/mL含有し、残部が水及び薬学上許容しうる添加剤である、請求項7〜12の何れか一項に記載の内用液剤。
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