JP2012025200A - ラック軸支持装置および車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラック支持部材18の後面18bの凹部24に、環状の吸水性樹脂部材21を嵌合した。吸水性樹脂部材21の後端21bと封止ねじ19の前面19aとの間の隙間量S1によって、ラック軸支持部材18の移動量を規制する。ラック軸8およびラック軸支持部材18の摺動部分の摩耗の経時的な増大が、隙間量S1を増大させるように働く。これに対して、吸水性樹脂部材21の吸水による経時的な膨張が、隙間量S1を経時的に減少させるように機能する。これにより、隙間量S1の経時的な増大を抑制する。
【選択図】図3
Description
そのラック軸支持装置では、ハウジングに設けられた保持孔に、前後に摺動可能なラック軸支持部材(サポートヨーク)と、保持孔の入口を塞ぐ封止部材と、ラック軸支持部材および封止部材の間に介在した圧縮コイルばねとを収容している。圧縮コイルばねにより付勢されたラック軸支持部材によって、ラック軸を軸方向に摺動可能に支持するとともにラック軸をピニオン軸側へ押圧している。
そこで、ラック軸支持部材と封止部材との打音を抑制するために、ラック軸支持部材に樹脂を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1,2を参照)。特許文献1,2では、ラック軸支持部材に、ポリアミド樹脂を用いる一方、そのポリアミド樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の補強繊維を添加し、温度膨張によるラック軸支持部材の寸法変化を極力抑制している。
また、上記吸水性樹脂部材および上記封止部材(319)は、単一の材料で一体に形成されている場合がある(請求項4)。この場合、部品点数の削減と組立工数の削減を通じて、製造コストを安くすることができる。また、封止部材を兼用する吸水性樹脂部材の吸水による膨張に伴って、封止部材の緩み止めを確実なものとすることができる。
また、上記ラック軸支持装置を用いて上記ラック軸を軸方向(Z1)に摺動可能に支持する車両用操舵装置(1)であれば、好ましい(請求項6)。
図1〜図3は本発明の第1の実施の形態を示している。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有して自動車の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸8とを有している。ピニオン軸7およびラック軸8により舵取り機構としてのラックアンドピニオン機構Aが構成されている。
図2を参照して、ピニオン軸7は、ピニオン7aを挟んだ上部7bと下部7cを有している。ピニオン軸7は、例えば玉軸受からなりピニオン軸7の上部7bを支持する第1の軸受12と、例えば針状ころ軸受からなりピニオン軸7の下部7cを支持する第2の軸受13とによって、ピニオンハウジング14内に回転可能に支持されている。ピニオン軸7のピニオン7aとラック軸8のラック8aとは、ピニオンハウジング14内で相互に噛み合わされている。
ラック軸支持装置15は、ラック軸支持部材18と封止ねじ19との間に介在する付勢部材20および吸水性樹脂部材21を備えている。付勢部材20は、ラック軸支持部材18をラック軸8側へ弾性的に付勢する例えば圧縮コイルばねからなる。
ラック軸支持部材18の後面18bには、付勢部材20および吸水性樹脂部材21を収容する凹部24が設けられている。付勢部材20は、凹部24の底24aと封止ねじ19の前面19aとの間に、弾性的に圧縮された状態で介在している。
吸水性樹脂部材21は、凹部24の底24aによって受けられた前端21aと、ラック軸支持部材18の後面18bから所定量突出した後端21bとを有している。
ラック軸支持部材18の外周面18cには、周方向に延びて環状をなす一対の収容溝25が形成され、各収容溝25には例えばOリングからなる環状の弾性部材26がそれぞれ収容され、保持孔16の内周面16aに弾性的に接触している。一対の弾性部材26はラック軸支持部材18を径方向に弾性支持し、ラック軸支持部材18のがたつきを防止する。
本実施の形態によれば、ラック軸8およびラック軸支持部材18の摺動部分の摩耗の経時的な増大が、隙間量S1を増大させるように働くのに対して、吸水性樹脂部材21の吸水による経時的な膨張が、隙間量S1を経時的に減少させるように機能する。したがって、隙間量S1の経時的な増大を抑制することができる。その結果、長期にわたって低騒音と良好な操舵フィーリングを維持することができる。
また、吸水性樹脂部材21は、MCナイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂を含んでいる。ポリアミド樹脂は、強度に優れ、また、所要の吸水性を有しているので、好適に用いることができる。
具体的には、ラック軸支持部材18の後面18bに設けられた、付勢部材収容用の凹部24の底24aから、環状のボス28を突出形成している。そのボス28の内周面28aに、吸水性樹脂部材121を嵌合することにより、吸水性樹脂部材121をラック軸支持部材18に保持している。吸水性樹脂部部材121は、凹部24の底24a(ボス28の内側の底)によって受けられた前端121aと、封止ねじ19の前面19aに対向する後端121bを有している。
吸水性樹脂部材121は、吸水性に優れた樹脂、例えばMCナイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂を含んでいる。吸水性樹脂部材121の吸水による膨張量を所要に設定するために、ポリアミド樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維等の補強繊維を少量(例えば5〜10%)添加するようにしてもよい。
本実施の形態においても、図3の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。すなわち、隙間量S1の経時的な増大を抑制することができ、長期にわたって低騒音と良好な操舵フィーリングを維持することができる。
具体的には、吸水性樹脂部材221は環状をなしている。一方、封止ねじ19にの前面19aに、環状の凹部29が形成されており、その環状の凹部29に、吸水性樹脂部材221が、嵌合され保持されている。吸水性樹脂部材221は、ラック軸支持部材18の後面18bに対向する前端221aと、凹部29の底29aによって受けられる後端221bとを有している。
吸水性樹脂部材221は、吸水性に優れた樹脂、例えばMCロイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂を含んでいる。吸水性樹脂部材221の吸水による膨張量を所要に設定するために、ポリアミド樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維等の補強繊維を少量(例えば5〜10%)添加するようにしてもよい。
また、環状の吸水性樹脂部材221が、封止ねじ19の前面19aに設けられた環状の凹部29に嵌合されている。これにより、吸水性樹脂部材221の外径および内径の変位を拘束することができるので、隙間量S1に関連する吸水性樹脂部材221の膨張量を精度良く設定することができる。その結果、ラック軸支持部材18、封止ねじ19および吸水性樹脂部材221の寸法設計が容易になる。
封止ねじ319の後面319bには、封止ねじ319を回動操作する工具に係合するための工具係合孔327が形成されている。工具係合孔327は例えば断面多角形形状に形成されている。
また、吸水性樹脂部材を兼用する封止ねじ319の円筒面30の外径の変位(膨張)を拘束することができるので、隙間量S1に関連する封止ねじ319(吸水性樹脂部材)の膨張量を精度良く設定することができる。その結果、ラック軸支持部材18、封止ねじ319の寸法設計が容易になる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば、本発明を電動パワーステアリング装置に適用すること等、本発明の請求項記載の範囲で種々の変更を施すことができる。
Claims (6)
- ハウジングに形成された保持孔内に上記保持孔の深さ方向に摺動可能に収容され且つラック軸を摺動可能に支持するラック軸支持部材と、
上記保持孔の入口に固定された封止部材と、
上記封止部材によって受けられ上記ラック軸支持部材を上記ラック軸側に付勢する付勢部材と、
上記ラック軸支持部材および上記封止部材の何れか一方に設けられた吸水性樹脂部材と、を備え、
上記ラック軸支持部材および上記封止部材の他方と上記吸水性樹脂部材との間の隙間の量によって、上記ラック軸支持部材の移動量が規制されているラック軸支持装置。 - 請求項1において、上記吸水性樹脂部材は、上記ラック軸支持部材の後面および上記封止部材の前面の何れか一方に設けられた凹部に嵌合されているラック軸支持装置。
- 請求項2において、上記吸水性樹脂部材は、上記ラック軸支持部材の後面および上記封止部材の前面の上記何れか一方から突出しているラック軸支持装置。
- 請求項1において、上記吸水性樹脂部材および上記封止部材は、単一の材料で一体に形成されているラック軸支持装置。
- 請求項1から4の何れか1項において、上記吸水性樹脂部材はポリアミド樹脂を含むラック軸支持装置。
- 請求項1から5の何れか1項に記載のラック軸支持装置を用いて上記ラック軸を軸方向に摺動可能に支持する車両用操舵装置。
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