JP2012025149A - 自動車部材用の繊維強化複合材、及びその製造方法 - Google Patents

自動車部材用の繊維強化複合材、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量化で、表面に高空気抵抗性又は低空気抵抗性を付与できるエンボス模様を容易に賦形することができ、しかも、エンボス模様を低コストで製造でき、さらに、表面の意匠性にも優れる自動車部材用の繊維強化複合材を提供する。
【解決手段】第1離型層17A、第1樹脂層15A、第1目止め層13A、支持体11、第2目止め層13B、及び第2樹脂層15Bが積層され、かつ、第1樹脂層15Aの第1離型層17A面側にエンボス模様が形成されたエンボス付き離型紙10のンボス面へ、プリプレグ20を重ねた状態で、オートクレーブ成形して、表面にエンボスのエンボス模様が転写形成されてなることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車部材用の繊維強化複合材に関し、さらに詳しくは、プリプレグから繊維強化複合材を作製する際に、繊維強化複合材の表面にエンボス模様を賦形するための自動車部材用の繊維強化複合材、及びその製造方法に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「UV」は「紫外線」、「プリプレグ」は「繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグ」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
従来、強化繊維と熱硬化樹脂とからなる繊維強化複合材は、軽量で、機械的強度や弾性率などの機械特性がよく、釣竿やゴルフシャフトなどのスポーツレジャー用、宇宙や航空機用、自動車や船舶などの輸送用、建築用などの一般産業用途などの多くの部材に用いられている。特に、化石燃料自動車の燃費向上や車体の軽量化、電気自動車の車体の軽量化が求められ、内装や外装の各種部材を構成する材料の薄板化や代替材料が進んでいる。しかしながら、部材によっては部材表面に高空気抵抗性が、又は低空気抵抗性が、並びに意匠性も求められている。鋼板の代替材料として、例えば、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させて、未硬化又は半硬化状態のシート状のプリプレグとし、これを1又は複数を積層させ、さらに必要に応じて他の材料と積層して、加熱加圧し硬化させて成型し、所望の自動車部材用の繊維強化複合材とすることがある。なお、本明細書では「繊維強化熱硬化性樹脂プリプレグ」のことを単にプリプレグと呼称する。プリプレグは少なくとも一方の面に離型紙を有し、必要に応じて他方の面へ保護フィルムを重ねる形態で製造され、この形態で、搬送や保管され、繊維強化複合材を製造する直前に、離型紙を剥離して使用されるようになっている。しかしながら、プリプレグから作製された繊維強化複合材の表面は平滑面であり、表面への凹凸模様の付与は考慮されてこなかった。もし、凹凸模様を加工しようとしても、非常に高価な精密加工用の工作機械にて加工する必要があり高コストである。また、梨地やディンプル模様などの細かい凹凸の加工には向かないし、加工には長時間を要するという欠点があった。
従って、自動車部材用の繊維強化複合材には、(1)軽量化でき、(2)表面に高空気抵抗性又は低空気抵抗性を付与できる凹凸模様を容易に賦形することができ、しかも、(3)自動車部材用の繊維強化複合材の成型時にエンボス付き離型紙を貼り付けたまま成型することで、工作機械による凹凸加工プロセスを経ることなく、エンボス付き離型紙の凹凸模様を繊維強化複合材の表面に転写することで、凹凸模様を低コストで賦形することのでき、さらに、表面に意匠性も求められている。
従来、無数の微細連続気孔を有するように電鋳により製造され、且つ背面に多数の微小粒状物相互間を部分的に接合して形成されるバックアップ体を備えた、ポーラスな模様型に、前記合成樹脂シートを前記押圧型により押圧して重合する工程を用いたしぼ付積層体の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、表面のシボ模様は金型による形成であり、離型紙を用いる凹凸模様の転写ではなく、高コストであるという欠点がある。
また、金属部品のFRP部材への取付け面が凹凸の段差構造に形成され、該段差構造の凹部に接着剤が付与されて金属部品がFRP部材に接着されていることを特徴とするFRP製自動車用部材が知られている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、芯材発泡樹脂の両面に、表面に多数の凹凸を有する金属板が各々接合され、芯材発泡樹脂が発泡されるとともに、所定形状に塑性加工されている複合成形体が知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献2〜3では自動車車体や部品などに関するが、凹凸の構造は金属面にあり、強度や剛度を増強するためのもので、表面形状に関するものではなく、ましてや、表面の高空気抵抗性又は低空気抵抗性や意匠性ついての記載はない。
さらにまた、繊維強化複合材を製造する際に用いられるプリプレグは、通常、シリコーンがコートされた離型紙により一方の面が保持され、他方の面にはプリプレグを保持し、異物の付着を防止する、例えばポリエチレン製フィルムなどの保護フィルムで覆われている。
目的とする繊維強化複合材に加工するために、所望のパターンにカットし、離型紙及び/又は保護フィルムを剥がして、プリプレグを重ねる。プリプレグの間に空気が挟まれ、この状態でプリプレグを硬化すると、得られた繊維強化複合材はエアの跡がボイドとなり、強度が低下したり、機能が損なわれる。エアのトラップをなくすために、加圧加熱で空気を抜いたり、プリプレグの表面にタルクを付着させたり、しているが、タルクが残ったり、機械的物性が低下したりする。また、プリプレグの製造方法としては、強化繊維シートに対してマトリックス樹脂を、少なくとも内部に連続する樹脂層を形成するように含浸させること、及び前記マトリックス樹脂が含浸された前記強化繊維シートの少なくとも片側表面に、凹凸面をもつ保護フィルムを貼り付けるが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
さらに、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを担持するためのプリプレグ用担持シートにおいて、少なくともプリプレグを担持する側の表面に多数の微細な凹凸が形成されており、その表面粗さが8μm以上であることが知られている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、特許文献4〜5では、繊維強化複合材を製造する以前まで粗い表面状態を維持しておき、空気を抜けやすくしてエアのトラップをなくすもので、表面に凹凸模様が賦形された繊維強化複合材を得ようとするものではない。
特公平04−68132号公報 特開2009−35045号公報 特開2009−190362号公報 特開2002−327076号公報 特開2003−138043号公報
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、(1)軽量化でき、(2)表面に高空気抵抗性又は低空気抵抗性を付与できるエンボス模様を容易に賦形することができ、しかも、(3)自動車部材用の繊維強化複合材の成型時にエンボス付き離型紙を貼り付けたまま成型することで、工作機械による凹凸加工プロセスを経ることなく、エンボス付き離型紙のエンボス模様を繊維強化複合材の表面に転写することで、エンボス模様を低コストで賦形することのでき、さらに、表面の意匠性にも優れる自動車部材用の繊維強化複合材を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明による自動車部材用の繊維強化複合材は、強化繊維へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグと、該プリプレグの少なくとも一方の面にエンボス付き離型紙のエンボス面とを重ねた状態で、加熱・硬化成形して、表面にエンボス模様が転写形成されてなる自動車部材用の繊維強化複合材であって、
前記エンボス付き離型紙が、少なくとも離型層、樹脂層、及び支持体を備え、前記プリプレグ側から順に、離型層、樹脂層、及び支持体が積層され、かつ、前記樹脂層の前記離型層面側にエンボス加工が施されていることを特徴とするものである。
また、本発明の態様として、自動車部材用の繊維強化複合材は、強化繊維へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグと、該プリプレグの少なくとも一方の面にエンボス付き離型紙のエンボス面を重ねた状態で、オートクレーブ成形して、表面にエンボスのエンボス模様が転写形成されてなる自動車部材用の繊維強化複合材であって、前記エンボス付き離型紙が前記プリプレグ側から順に、第1離型層、第1樹脂層、第1目止め層、支持体、第2目止め層、及び第2樹脂層が積層され、かつ、前記第1樹脂層の前記第1離型層面側にエンボス模様のエンボスが形成されているようにしたものである。
また、本発明の別の態様としての自動車部材用の繊維強化複合材を製造する方法は、
(1)支持体と、前記支持体上に設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた離型層とを少なくとも備え、樹脂層の、離型層が設けられた面の表面がエンボス加工されてなるエンボス付き離型紙を準備する工程と、
(2)強化繊維へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグと、該プリプレグの少なくとも一方の面にエンボス付き離型紙のエンボス面とを重ね合わせて積層体とした状態で、硬化成形する工程と、
(3)前記積層体から前記エンボス付き離型紙を剥離する剥離工程と、を含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明の別の態様としての自動車部材用の繊維強化複合材を製造する方法は、
(1)支持体と、前記支持体上に設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた離型層とを少なくとも備え、樹脂層の、離型層が設けられた面の表面がエンボス加工されてなるエンボス付き離型紙を準備する工程と、
(2)離型紙の前記離型層と繊維強化複合材とが対向するように、コーティング樹脂を介して、前記離型紙と前記繊維強化複合材とを貼り合わせて、加熱・乾燥を行う工程と、
(3)前記繊維強化複合材から前記離型紙を剥離して、前記繊維強化複合材の表面にエンボスを賦型する、ことを含んでなることを特徴とするものである。
本発明によれば、軽量化でき、表面のエンボス模様を工夫することで空気抵抗を減少させたり、空気抵抗を増加させたりできる表面の高空気抵抗性又は低空気抵抗性などが付与され、また、機械的強度を向上させたり、すべりどめの効果もあり、さらに、表面の意匠性にも優れる効果を奏する。
また、本発明によれば、自動車部材用の繊維強化複合材の成型時にエンボス付き離型紙を貼り付けたまま成型することで、工作機械による凹凸加工プロセスを経ることなく、エンボス付き離型紙のエンボス模様を繊維強化複合材の表面に転写することで、エンボス模様を低コストで賦形でき、しかも従来の設備や条件で、表面にエンボス模様が賦形できる効果を奏する。
本願発明に用いるエンボス付き離型紙の1実施例を示す断面図である。 本願発明に用いるエンボス付き離型紙の1実施例を示す断面図である。 本願発明に用いるプリプレグ積層体の1実施例を示す断面図である。 本願発明の繊維強化複合材の製造方法を説明する説明図である。 第一樹脂層上に形成されるリブレット模様の一実施例を示す断面図である。 第一樹脂層上に形成されるリブレット模様の一実施例を示す断面図である。 第一樹脂層上に形成されるリブレット模様の一実施例を示す断面図である。 第一樹脂層上に形成されるリブレット模様の一実施例を示す断面図である。 第一樹脂層上に形成されるリブレット模様の一実施例を示す断面図である。 第一樹脂層上に形成されるディンプル模様の一実施例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(片面離型層)
本願発明の自動車部材用の繊維強化複合材100は、強化繊維へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグ20と、プリプレグ20の少なくとも一方の面にエンボス付き離型紙10のエンボス面を重ねた状態で、オートクレーブ成形して、表面にエンボスのエンボス模様が転写形成されてなる自動車部材用の繊維強化複合材100である。エンボス付き離型紙10Aは、図1に示すように、プリプレグ20側から順に、第1離型層17A、第1樹脂層15A、第1目止め層13A、支持体11、第2目止め層13B、及び第2樹脂層15Bが積層され、かつ、第1樹脂層15Aの第1離型層17A面側にエンボス模様が形成されている。即ち、第1離型層17A/第1樹脂層15A(エンボス模様付き)/第1目止め層13A/支持体11/第2目止め層13B/第2樹脂層15B、の層構成であり、片面離型層型のエンボス付き離型紙10Aである。
(両面離型層)
また、本願発明の自動車部材用の繊維強化複合材100は、強化繊維へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグ20と、プリプレグ20の少なくとも一方の面にエンボス付き離型紙10のエンボス面を重ねた状態で、オートクレーブ成形して、表面にエンボスのエンボス模様が転写形成されてなる自動車部材用の繊維強化複合材100である。エンボス付き離型紙10Bは、図2に示すように、プリプレグ20側から順に、第1離型層17A、第1樹脂層15A、第1目止め層13A、支持体11、第2目止め層13B、第2樹脂層15B、及び第2離型層17B、が積層され、かつ、前記第1樹脂層15Aの前記第1離型層17A面側にエンボス模様が形成され、かつまた、前記第2離型層17Bの剥離力が前記第1離型層17Aの剥離力より小さく、第1離型層の剥離力>第2離型層の剥離力とする。即ち、第1離型層17A/第1樹脂層15A(エンボス模様付き)/第1目止め層13A/支持体11/第2目止め層13B/第2樹脂層15B/第2離型層17Bの層構成であり、両面離型層型のエンボス付き離型紙10Bである。
なお、片面離型層型のエンボス付き離型紙10A、及び両面離型層型のエンボス付き離型紙10Bをあわせて、エンボス付き離型紙10と呼称する。また、第1離型層17Aと第2離型層17Bとをまとめて、離型層17と呼称し、第1樹脂層15Aと第2樹脂層15Bとをまとめて、樹脂層15と呼称し、第1目止め層13Aと第2目止め層13Bとをまとめて、目止め層13と呼称する。さらに、本願発明に用いるエンボス付き離型紙の主旨は、第1離型層17A/第1樹脂層15A(エンボス模様付き)/第1目止め層13A/支持体11の層構成であり、かつ第1樹脂層15Aにエンボスを有するエンボス付き離型紙10であり、層間又は層表裏面に他の層が形成されていてもよい。
(プリプレグ積層体)
図3に示すように、片面離型層型のエンボス付き離型紙10A、又は両面離型層型のエンボス付き離型紙10Bを、プリプレグ20の一方の面へ積層すればプリプレグ積層体30となり、他方の面へ必要に応じて保護フィルム31などを積層してもよい。本願発明の自動車部材用の繊維強化複合材を成型時には、エンボス付き離型紙を貼り付けたまま成型することで、工作機械による凹凸加工プロセスを経ることなく、エンボス付き離型紙のエンボス模様を繊維強化複合材の表面に転写することで、エンボス模様を賦形することができる。
また、従来の凹凸が形成されていない離型紙がくっついているプリプレグ積層体の場合にも、離型紙をはがして露出したプリプレグ面へ、本願発明に用いるエンボス付き離型紙10の凹凸免を重ねて成型しても、表面にエンボス模様を賦形することができる。こように、エンボス付き離型紙10は、プリプレグ積層体30を構成するだけでなく、繊維強化複合材の表面にエンボス模様を賦形する成型工程にも使用するので、当業者は工程離型紙とも呼ぶ。
また、プリプレグ20の一方の面へエンボス付き離型紙10を設け、他方の面へ保護フィルムを設ける場合には、エンボス付き離型紙10の第2目止め層13B及び/又は第2樹脂層15Bを設けない第1離型層17A/第1樹脂層15A(エンボス模様付き)/第1目止め層13A/支持体11、又は第1離型層17A/第1樹脂層15A(エンボス模様付き)/第1目止め層13A/支持体11/第2目止め層13Bの層構成でもよい。
(プリプレグ積層体)
両面離型層型のエンボス付き離型紙10Bをプリプレグ20の一方の面へ積層すればプリプレグ積層体30となる。該両面離型層型のエンボス付き離型紙10Bの第1離型層17A面へ、プリプレグ20を積層し、他方の面へは保護フィルム31なしでも巻き取って長尺ロール状として、輸送保管したりもできる。つまりプリプレグ20表面と、剥離が軽い第2離型層17Bが接触しますので、その後、使用にあたって巻き解しても、第2離型層17Bから剥離し、第1離型層17Aへはプリプレグ20が積層しており、その後の作業性の効率がよい。離型紙の裏表に剥離差がないと、きれいに巻きだせず、裏側にエポキシ樹脂がとられてしまいます。そのため、剥離強度の差が必要になります。また、保護フィルム31がないので、低コストでもある。
(支持体)
支持体11としては、製造工程に耐える強度を有し、樹脂層15の離型紙10としての耐熱性、耐薬品性などの性質を有し、かつ表面にエンボス模様を賦型するエンボス工程に耐え、エンボス加工も容易であることが必要である。クラフト紙、上質紙、片艶クラフト紙、純白ロール紙、グラシン紙、カップ原紙などの非塗工紙の他、天然パルプを用いない合成紙なども用いることができる。加工適性のためには、耐久性、耐熱性に優れる点で天然パルプからなる紙を使用することが好ましい。また、一般的な、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、樹脂コート紙、加工原紙、剥離原紙、両面コート剥離原紙などの予め後記する目止め層や樹脂層が形成された市販品を使用することもできる。また、繊維強化複合材の用途である自動車部材の形状にもよるが、自動車部材が複雑な形状である場合には、上記した非塗工紙や合成紙よりも樹脂フィルム等を支持体として使用した方が好ましい場合がある。自動車材の形状が複雑であると紙系の支持体では、その形状に追随しない場合がある。樹脂フィルムであれば、後記するようにエンボス賦型する際の熱によって、樹脂フィルムが軟化するため、自動車部材の形状に追随できる。このような樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂フィルム等の比較的耐熱性の高い樹脂フィルムを好適に使用することができる。また、支持体である樹脂フィルムと後記する樹脂層との接着性を向上させるため、樹脂フィルム表面にはコロナ処理が施されていてもよい。
支持体として使用する紙11は、秤量15〜300g/m程度、好ましくは100〜180g/mである。この範囲であれば、エンボス加工が容易である。また、紙は、中性紙であることが好ましい。硫酸バンドなどを含む酸性紙は、製造工程で繰り返し使用されると熱劣化が発生し、このため早期に再使用が困難となる場合がある。中性紙であれば、このような熱劣化を防止することができる。
また、サイズ剤として、中性ロジンやアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸を使用してもよく、定着剤としてカチオン性のポリアクリルアミドやカチオン性デンプン等を使用してもよい。また、上記理由により硫酸バンドを使用しないことが最も好ましいが、硫酸バンドを使用してpH6〜9の中性領域で抄紙することも可能である。その他、必要に応じて上記のサイズ剤のほか、定着剤の他、製紙用各種填料、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、結合剤、分散剤、凝集剤、可塑剤、接着剤を適宜含有していてもよい。
更に、例えば一般的な、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、樹脂コート紙、加工原紙、剥離原紙、両面コート剥離原紙などの予め後記する目止め層や樹脂層が形成された市販品を使用することもできる。目止め層が形成された市販品を使用する場合には、目止め層13を省いてもよい。
(目止め層)
目止め層13を形成すると、樹脂層15に使用されるコーティング材料の浸透防止、及び該コーティング材料との密着性を向上させ平滑性を付与しうるので、表面にエンボス模様を形成する際の賦型シートとして好適に使用できる。なお、第1目止め層13Aと第2目止め層13Bとは同じものでも、異なったものでもよい。まとめて、目止め層13として説明する。
目止め層13としては、造膜性を有する樹脂に対して無機顔料を0.5〜50質量%含有したものからなる。造膜性を有する樹脂としては、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、合成ラテックス、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン系重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン系重合体、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリレート系重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、酢ビ−エチレン系共重合体、アクリレート−スチレン系重合体、ポリエチレン、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体、エポキシ含有樹脂などを好適に使用することができる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。
無機顔料としては、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などがあり、前記造膜性を有する樹脂に対して、0.5〜70質量%を配合する。0.5質量%を下回ると目止め効果が低減する場合があり、一方、70質量%を超えるとエンボス賦型性を阻害する場合がある。この目止め層は、好ましくは0.5〜20g/mで十分である。目止め材料の塗工は、コンマコーターなどの公知のコート法で行うことができる。目止め材料のコーティングは、固形分100質量部に対して通常10〜1000質量部の溶剤で希釈して塗工される。溶剤の希釈により塗工に適正な粘度、例えば25℃において10〜3000mPa・秒の粘度を付与することができる。
(樹脂層)
第1樹脂層15Aと第2樹脂層15Bとは同じものでも、異なるものでもよく、まとめて、樹脂層15として説明する。
プリプレグ20から繊維強化複合材を成型時にエンボス付き離型紙10を貼り付けたまま成型することで、表面にエンボス模様を賦形するので、樹脂層15としては、エンボス加工時に、樹脂層がエンボス構造を維持する必要がある。一般にエンボス加工は温度40〜150℃で実施されるので、紫外線硬化性樹脂としては、耐溶媒性に優れ、エンボス加工時に過度に軟化せず賦型性に優れ、原反の巻き取りが容易で、極めて操作性に優れ、しかも樹脂層形成時にタックフリー(指乾状態ともいう)のものが好ましい。
樹脂層としては、単層であっても多層状であってもよく、無色又は着色された透明又は半透明な樹脂からなり、樹脂層を形成時にタックフリーで、エンボス模様を型押しで再現できる樹脂であればよい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等の熱可塑性樹脂やアクリレート系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂を使用できる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化方法としては、前記電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法は通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。これら紫外線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等が適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂である。
好ましい樹脂組成物としては、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(1)からなる樹脂組成物、又は(メタ)アクリル酸エステル35〜80質量部、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル20〜60質量部、他の(メタ)アクリル酸エステル0〜30質量部からなる共重合体に、(メタ)アクリル酸を10〜30質量部反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(2)からなる樹脂組成物を紫外線により硬化させたものであり、当該(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(1)は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜200,000、より好ましくは15,000〜100,000、特に好ましくは15,000〜70,000である。また、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(1)の分散比(Mw/Mn)は1.0〜5.0、より好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.9〜3.5であり、ガラス転移点温度(Tg)は40〜150℃、より好ましくは65〜120℃、特に好ましくは65〜90℃である。なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレン換算で求めた値である。
このような(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(1)としては、例えば(メタ)アクリレート系単量体単位(A)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)とを含むエポキシ基含有共重合体(C)に、(メタ)アクリル酸を反応させて得ることができる。(メタ)アクリレート系単量体単位(A)としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどがあるが、好ましくは、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレートなどである。エポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレートなどがある。
(メタ)アクリレート系単量体単位(A)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)との配合比は、単量体単位の合計質量中に上記エポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)を5〜95質量%となるように配合することである。5質量%を下回ると、十分な二重結合当量を確保することができず、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(1)の硬化後の耐溶剤性、耐擦過性が損なわれる場合がある。一方、95質量%を超えるとTgが低くなりすぎることによる未硬化膜のタック感が生じ、賦型性が損なわれる場合がある。反応は、上記単量体単位をラジカル開始剤の存在下で共重合して得られる。
樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル35〜80質量部、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル20〜60質量部、他の(メタ)アクリル酸エステル0〜30質量部からなる共重合体に、(メタ)アクリル酸を10〜30質量部反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(2)であってもよい。(メタ)アクリル酸エステル及び他の(メタ)アクリル酸エステルは、上記(メタ)アクリレート系単量体単位(A)に該当し、グリシジル(メタ)アクリル酸エステルはエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)に該当する。したがって、他の(メタ)アクリル酸エステルは、上記(メタ)アクリレート系単量体単位(A)の中から適宜選択することができる。
樹脂組成物は、上記(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(1)、(2)のみからなるものであってもよい。組成物とは2種以上の物質が配合されたものであるが、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(1)の分散比から明らかなように、異なる分子量の(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体が含まれているため、本願では(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体のみからなる場合も樹脂組成物と称する。一方、本発明で使用する樹脂組成物には、更に無機顔料、光重合開始剤、その他を配合してもよい。無機顔料の配合により、エンボス付き離型紙にマット感を付与することができる。このような無機顔料として、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などが例示できる。無機顔料は、紫外線硬化膜に0.5〜50質量%、より好ましくは1〜10質量%となるように配合することが好ましい。樹脂層が2層以上の多層で構成される場合には、各層における無機顔料の配合量が上記範囲となる。
塗工方式としては、ダイレクトグラビアコート、リバースグラビアコート、グラビアオフセットコート、マイクログラビアコート、ダイレクトロールコート、リバースロールコート、カーテンコート、ナイフコート、エアナイフコート、バーコート、ダイコート、スプレーコートなどの公知の方法が用いられる。塗工後、温度90〜130℃で乾燥及び加熱して、乾燥炉で溶剤を蒸発させて樹脂組成物を乾燥させる。この温度は、樹脂組成物の軟化点より高く、かつ樹脂組成物が溶融する温度より低い範囲である。
樹脂層の膜の厚さは、1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは3〜20μmである。1μmより薄いと微細な賦型性の転写が悪くなり、一方、50μmを超えると樹脂の硬化性が悪くなる場合がある。前記したように、樹脂層が2層以上の多層で構成される場合には、全層の厚さを上記範囲とする。
具体的には、LP−07K(東亜合成社製、樹脂商品名)、MHX405ニス(DICグラフィックス(株)製、樹脂商品名)、ユピマーLZ650(三菱化学(株)製、樹脂商品名)、ユピマーUV・V3031(三菱化学(株)製、樹脂商品名)などが例示できる。
(その他の中間層)
本発明においては、樹脂層と支持体との間に中間層が形成されていてもよい。中間層は、耐熱性、賦型性、剥離性、耐溶剤性、目止め効果を確保するために配設されるものであり、熱可塑性樹脂層又は目止め層である。
(賦形)
第1樹脂層15Aの第1離型層17A面側にエンボス加工を施すには、公知のエンボス機で、エンボス模様を形成したエンボスロールを用いて加熱加圧しエンボスして、エンボスロールから剥離後、直ちに、又は後に、紫外線を照射して硬化させることで、エンボス加工が施された樹脂層を形成できる。エンボスは、離型紙を用いて得られる。エンボスは、離型紙を用いて得られる繊維強化複合材の用途によって種々の表面形態とすることができる。例えば、凹凸模様、ディンプル模様、プリズム模様、繊維柄模様としたり、また、表面に微細な凹凸を設けてマット調としたり、あるいは光沢調の表面とすることもできる。
以下、より具体的に、第1樹脂層15Aの表面にエンボス模様を賦形する場合を一例に説明する。エンボス模様の賦形は、第1樹脂層15Aの形成工程において、上記した樹脂組成物を支持体11(又は目止め層13)上に塗布した後、公知のエンボス機で、エンボス模様を形成したエンボスロールを用いて加熱加圧しエンボスして、エンボスロールから剥離後、直ちに、又は後に、紫外線を照射して硬化させることで、エンボス模様の賦形された第1樹脂層15Aとなる。紫外線の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどが用いられる。なお、エンボス模様の賦形は、第1離型層17Aを設けた後に、エンボス加工し紫外線硬化させてもよい。エンボス模様としては、特に限定されるものではない。上記した凹凸模様の他にも、例えば、シボ、梨地、鮫肌、網目、蛇皮、牛や鹿などの皮革模様、ヘアーライン、万線、繊維組織模様、大小の突起状のディンプル、プリズム(リブレット構造)、オパールなどの模様が適用でき、用途によって適宜選択すればよい。また、凹凸模様は、凸状でも、凹状でも、それらの混合型でもよい。凸状の高さ及び/又は凹状の深さも特に限定されるものではなく、例えば0.001〜5mm程度、賦形のし易さから0.1〜1.0mmが好ましい。
第1樹脂層15Aの表面に形成されるリブレット構造としては、図5に示すように、シート長手方向に筋状の凹凸形状を有し、シート幅方向に複数の凸部18を有する断面形状が例示できる。この凸部の形状としては、図5に示すように略矩形断面であってもよく、図6に示すように、略三角形断面であってもよく、また、図7に示すように略台形断面であってもよい。さらに、凸部の形状は、図6及び7に示す断面形状の他、凹部に平坦な部分が存在する、図8及び図9に示すような断面形状であってもよい。
第1樹脂層15A表面の筋状の凹凸形状は、図5に示す略矩形断面を有する場合、一つの矩形断面の幅Wが、0.1μm〜200mmであることが好ましく、20μm〜5mmであることがより好ましい。また、凸部の高さHは、0.1μm〜100mmであることが好ましく、より好ましくは3μm〜500μmである。また、凹部の底の幅Wは、0.1μm〜500mmであることが好ましく、20μm〜5mmであることがより好ましい。
第1樹脂層15A表面の筋状の凹凸形状は、図6に示す略三角形断面を有する場合、三角形の底辺Tの長さは、0.1μm〜500mmであることが好ましく、20μm〜5mmであることがより好ましい。また、三角形の高さHは、0.1μm〜100mmであることが好ましく、より好ましくは3μm〜500μmである。
第1樹脂層15A表面の筋状の凹凸形状は、図7に示す略台形断面を有する場合、台形の上辺の長さTは、0.01μm〜100mmであることが好ましく、1μm〜5mmであることがより好ましい。また、台形の下辺の長さTは、0.1μm〜200mmであることが好ましく、20μm〜5mmであることがより好ましい。また、略台形の高さHは、0.1μm〜100mmであることが好ましく、より好ましくは3μm〜500μmである。
第1樹脂層15A表面の筋状の凹凸形状は、図8に示す略三角形断面を有する場合、三角形の底辺Tの長さは、0.01μm〜100mmであることが好ましく、1μm〜5mmであることがより好ましい。また、三角形の高さHは、0.1μm〜100mmであることが好ましく、より好ましくは3μm〜500μmである。また、凹部の底の幅Wは、0.1μm〜200mmであることが好ましく、20μm〜5mmであることがより好ましい。
第1樹脂層15A表面の筋状の凹凸形状は、図9に示す略台形断面を有する場合、台形の上辺の長さTは、0.01μm〜100mmであることが好ましく、1μm〜5mmであることがより好ましい。また、台形の下辺の長さTLは、0.1μm〜200mmであることが好ましく、20μm〜5mmであることがより好ましい。また、略台形の高さHは、0.1μm〜100mmであることが好ましく、より好ましくは3μm〜500mmである。また、凹部の底の幅Wは、0.01μm〜100mmであることが好ましく、1μm〜5mmであることがより好ましい。
さらに、本発明においては、第1樹脂層15A表面の筋状の凹凸形状18は、図5〜9に示した凸部と凹部とが反転した形状であってもよい。また、図5〜9において、平坦な部分(例えば、凸部の上辺部分や凹部の下辺部分等)は、実質的に平坦である必要はなく、曲面になっていてもよく、また、図5〜9に示すような略矩形、略三角形、略台形断面において、その頂点(角の部分)はアール形状となっていてもよい。
また、樹脂層15の表面は、上記した筋状の凹凸形状18の他にも、ディンプル形状19が賦型されていてもよい。ディンプル形状としては、図10に示すように半球凸形状とすることができる。半球凸形状のディンプルは、1×10−4〜1×10個/mmであることが好ましく、より好ましくは1×10−2〜1×10個/mmである。また、全表面に占めるディンプルの面積の割合は1〜100%の範囲である。半球凸形状のディンプルの高さ(樹脂層15の表面と半球凸形状のディンプルの頂部との距離)は、50nm〜10mm程度であり、好ましくは50nm〜300μmである。
半球凸形状のディンプルは、その大きさが全て同じでなくてもよく、大きさの異なる2種以上の半球凸形状のディンプルを組み合わせたものであってもよい。例えば、大小異なる大きさの2つの半球状ディンプルを交互に配列したような凹凸形状であってもよい。この場合、燐擦するディンプルの中心を結ぶ線と、他の隣接するディンプルの中心を結ぶ線との角度が、全て60°であるように、大きさの異なる2つの半球状ディンプルを交互に配列することが好ましい。
また、本発明においては、凹凸形状は、上記した半球凸形状ディンプルの他にも半球凹形状ディンプルからなる凹凸形状としてもよく、この場合、ディンプル数やディンプルの大きさは半球凸形状ディンプルの場合と同様である。半球凹形状ディンプルの場合、ディンプルの深さ(樹脂層15表面と半球凹形状のディンプルの底部との距離)は、50nm〜10mm程度であり、好ましくは50nm〜300μmである。
ディンプルは、半球凸形状(又は半球凹形状)の他にも、円錐(逆円錐)、多角錘(逆多角錘)、円錐台(逆円錐台)、多角錘台(逆多角錘台)の形状であってもよい。ディンプルがこれらの形状である場合、ディンプル数やディンプルの大きさは半球凸形状ディンプルの場合と同様であってよい。円錐(逆円錐)、多角錘(逆多角錘)、円錐台(逆円錐台)、多角錘台(逆多角錘台)の形状である場合、その高さ(深さ)は、100nm〜100mm程度であり、好ましくは3μm〜500μmである。
(離型層)
第1離型層17Aと第2離型層17Bとは同じものでも、異なるものでもよく、まとめて、離型層17として説明する。離型層17は硬化性シリコーン組成物を硬化したものを用いる。硬化性には付加重合型と縮合反応型があるが、好ましくは付加重合型シリコーン組成物を熱などで硬化したものである。縮合型シリコーン樹脂は硬化阻害を受けにくいが、副生成物ができたり、触媒にスズを使用したりするので好ましくなく、付加重合型シリコーン樹脂はアミンやスズによって硬化阻害を受けやすいが、副生成物がなくポットライフも長く好ましい。
好ましい硬化性シリコーン樹脂としては、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金系硬化触媒からなる硬化性シリコーン組成物を硬化して形成したものである。硬化性シリコーン組成物としては、市販品を使用してもよく、例えば、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合物からなる付加重合型シリコーン材料の主剤(信越化学工業株式会社製、KS−3603)に白金系硬化触媒からなる硬化剤(信越化学工業株式会社製、CAT−PL−50T)を混合して調製することができる。
離型層17の形成法は、硬化性シリコーン組成物を必要なら溶媒で希釈したり、加熱して液体状態にしたりして、グラビアコート、ロールコート、リバースロールコート、スプレーコートなどの公知のコート方法で塗布し乾燥し、さらに加熱熟成して硬化させればよい。離型層17の厚みは0.01〜10μmの範囲が好ましい。エンボス加工により形成したエンボス模様を固定すると共に、表面強度等の充分な皮膜物性を得るために硬化性を必要とする。
(剥離力の表裏差)
図3に示す両面離型層を持つエンボス付き離型紙10Bでは、第2離型層17Bの剥離力を第1離型層17Aの剥離力より小さくする。剥離力の差は、剥離力の異なるシリコーン樹脂を用いたり、同じシリコーン樹脂を使用する場合には、剥離力を重くしたり、軽くしたりする剥離コントロール剤を適宜添加すればよい。
(プリプレグ、強化繊維)
プリプレグ20は、強化繊維21へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂22が含浸させてなるものである。強化繊維21としては特に限定されるものではないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、スチール繊維などを使用することができる。なかでも炭素繊維は、成型後の機械的特性がよく広く用いられる。炭素繊維としてはポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維及びピッチ系の炭素繊維などがある。また、強化繊維の形態や配列なども特に限定されず、長繊維を一方向に引き揃えたシートや、クロス(織物)、トウ、マット、ニット、スリーブの形態がある。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂も特に限定されるものではなく、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジンなどがあるが、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、例えば2官能樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂や、或いはこれらを組み合わせた樹脂などが好適に用いられる。さらに、3官能以上の多官能性エポキシ樹脂でもよく、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)のようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、或いはこれらの組み合わせが好適に用いられる。
硬化剤としては、ジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタン、三フッ化硼素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などの硬化剤を添加することが好ましい。
(プリプレグ積層体の製造)
エンボス付き離型紙10を、強化繊維21へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂22が含浸されたプリプレグ20の一方の面へ積層し、他方の面へ必要に応じて保護フィルム31などを積層することで、プリプレグ積層体30となる。プリプレグ積層体30の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、エンボス付き離型紙10の第1離型層17A面に、マトリックス樹脂となる熱硬化性樹脂22を均一に塗布し、その樹脂表面に強化繊維シートを貼り付けて樹脂を含浸させ、他方の面には保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
プリプレグ積層体30の他の製造方法としては、エンボス付き離型紙10の第1離型層17A面に、強化繊維シートを重ねて走行させながら、マトリックス樹脂となる熱硬化性樹脂22を均一に塗布し樹脂を含浸させて、他方の面には離型紙又は保護フィルムを貼り付けたり、また、1組のエンボス付き離型紙10の第1離型層17A面にマトリックス樹脂を均一に塗布し、さらにもう1組の従来の離型紙の離型層面にマトリックス樹脂を均一に塗布して、この2組で強化繊維シートの両側から挟み、強化繊維シートに樹脂を含浸させてもよい。この方法で得られたプリプレグ積層体30は樹脂がプリプレグ全体に均一に含浸されていて好ましい。また、2組の従来の離型紙の離型層面にマトリックス樹脂を均一に塗布して、この2組で強化繊維シートの両側から挟み、強化繊維シートに樹脂を含浸させた後に、一方の離型紙を剥離し、代わりにエンボス付き離型紙10Aを積層してもよい。さらに、他方の離型紙を剥離し、代わりに保護フィルムを貼り付けてもよい。
保護フィルムについては特に限定されるものではないが、マトリックス樹脂との密着性や、マトリックス樹脂の種類に応じて適宜、選択すればよく、例えば、従来から使用されているポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルムが例示できる。
(繊維強化複合材の製造方法)
本発明による自動車部材用の繊維強化複合材を製造する方法は、(1)支持体と、前記支持体上に設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた離型層とを少なくとも備え、樹脂層の、離型層が設けられた面の表面がエンボス加工されてなるエンボス付き離型紙を準備する工程と、(2)強化繊維へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグと、該プリプレグの少なくとも一方の面にエンボス付き離型紙のエンボス面とを重ね合わせて積層体とした状態で、硬化成形する工程と、(3)前記積層体から前記エンボス付き離型紙を剥離する剥離工程とを含む。
本発明の好ましい実施形態としては、上記したような、第1離型層、第1樹脂層、第1目止め層、支持体、第2目止め層、及び第2樹脂層の順に積層されたものであり、前記第2離型層の剥離力が前記第1離型層の剥離力より小さいエンボス付き離型紙を使用する。
第1工程は、前述したようにしてエンボス付き離型紙10(A、B)を製造する。第2工程は、まず、エンボス付き離型紙10(A、B)を用いて、図3に示すようなプリプレグ積層体30とする。プリプレグ積層体30には、(1)図1に示す片面離型層型のエンボス付き離型紙10Aをプリプレグ20の一方の面へ積層し、他方の面へ必要に応じて保護フィルム31を積層したもの、(2)図2に示す両面離型層型のエンボス付き離型紙10Bをプリプレグ20の一方の面へ積層したもの、の2種タイプがある。次に、いずれのタイプでも、エンボス付き離型紙10A、10Bのエンボス面をプリプレグ20面へ重ねた状態とし、図4(A)に示すような層構成となる。必要に応じて、1又は複数の他の材料101を積層してもよい。この状態でオートクレーブ成形する成形工程で、繊維強化複合材を成型することができ、工作機械による凹凸加工プロセスを経ることなく、エンボス付き離型紙10A、10Bのエンボス模様を繊維強化複合材の表面に転写することで、エンボス模様が賦形される。
具体的には、エンボス付き離型紙10を積層したまま、オートクレーブバッグで包装し、該オートバック包装内を真空に保ち、オートクレーブ装置により熱硬化させる。エンボス付き離型紙10はプリプレグ用の離型紙を兼ねて、かつ、繊維強化複合材を成型時にエンボス付き離型紙を貼り付けたまま成型することができるので、従来の離型紙が不要で低コストでもある。また、オートクレーブバッグやオートクレーブ装置も従来の既存のものが使用できる点でも低コストである。
また、従来の凹凸が形成されていない離型紙がくっついているプリプレグ積層体の場合にも、前記離型紙をはがして露出したプリプレグ面へ、本願発明の片面離型層型のエンボス付き離型紙10Aを貼り付けて成型しても、表面にエンボス模様を賦形することができる。
第3工程(剥離工程)は、オートクレーブ成形し、必要に応じて冷却して、エンボス付き離型紙10A、10Bを剥離し除去すれば、図4(B)に示すような自動車部材用の繊維強化複合材100となる。エンボス付き離型紙10A、10Bのエンボス模様の逆像が繊維強化複合材100の表面に転写されて賦形されている。
本発明においては、上記のように、プリプレグと離型紙とを積層したプレプリグ積層体を加熱硬化させて離型紙を剥離することにより、繊維強化複合材の表面にエンボス賦型をしてもよいが、プリプレグを加熱硬化させて繊維強化複合材とした後に、その表面にエンボス賦型をすることもできる。すなわち、別の実施形態である自動車部材用の繊維強化複合材を製造方法は、(1)支持体と、前記支持体上に設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた離型層とを少なくとも備え、樹脂層の、離型層が設けられた面の表面がエンボス加工されてなるエンボス付き離型紙を準備する工程と、(2)離型紙の前記離型層と繊維強化複合材とが対向するように、コーティング樹脂を介して、前記離型紙と前記繊維強化複合材とを貼り合わせて、加熱・乾燥を行う工程と、(3)前記繊維強化複合材から前記離型紙を剥離して、前記繊維強化複合材の表面にエンボスを賦型することを含む。
(繊維強化複合体)
エンボス付き離型紙10A、10Bで担持したプリプレグ積層体30を用いて、繊維強化複合材の製造方法で製造されてなる、表面にエンボス模様が賦形されてなる繊維強化複合材は、次のような効果を奏することができる。(1)金属に対して、軽量化できる。(2)表面にエンボス模様を形成できるので、機械的強度が向上する。(3)エンボス模様によっては、繊維強化複合材(部品)の滑り止めの効果がある。(4)表面に高空気抵抗性又は低空気抵抗性を付与できる。表面のエンボス模様を鱗や鮫肌状に賦形してなる繊維強化複合材を、自動車や船舶などの移動体の表面部材へ用いることで、空気抵抗が減少し燃費を向上でき、また逆に、エンボス模様を空気抵抗が増す形状にすれば、路面への抵抗が増加しタイヤの接地性が増して、走行性が向上する。(5)自動車部材用の繊維強化複合材の成型時にエンボス付き離型紙を貼り付けたまま成型することで、工作機械による凹凸加工プロセスを経ることなく、エンボス付き離型紙のエンボス模様を繊維強化複合材の表面に転写することで、エンボス模様を低コストで賦形することができる。(6)表面の意匠性にも優れている。
(繊維強化複合体)
本願発明の自動車部材用の繊維強化複合材は、繊維強化複合材単体でも、ハニカム構造部材、金属板やプラスチック板などその他の各種ボードと、ボルト留め、カシメ及び/又は接着剤などで一体化したり、超音波などで物理的に接合されていてもよい。自動車用部材としては、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、ガソリンタンク、ワイパー関係部品、ワイヤーハーネス関係部品、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、ハンドル、プロテクター、アームレスト、ホーンターミナル、ランプソケット、ランプハウジング、スペアタイヤカバー、シートシェル、アンダーカバー、スカッフプレート、フェンダー、バンパー、ボンネット、エアロパーツ、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スポイラー及び各種モジュールなどを例示できる。また、外壁材、内壁材、瓦材、間仕切り材、天井材、ドア材、仮設足場用板などの土木建築用部材のも適用できる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
<エンボス付き離型紙の作製>
支持体11として上質紙(坪量104.5g/m)を用い、この両面に目止めコート材料(カオリンクレイ60部、酸化チタン10部、炭酸カルシウム30部、SBRラテックス17部、その他分散剤0.5部、滑剤1部の混合物のスラリー)をブレードコーターにて乾燥後の各層が16g/m)になるようにコーティングし乾燥して、第1目止め層13A及び第2目止め層13Bを形成した。
この第1目止め層13A/支持体11/第2目止め層13Bからなる両面コート紙を、スーパーカレンダー機でカレンダー加工をして平坦化した。
この第1目止め層13A及び第2目止め層13Bのそれぞれ面へ、LP−07K(東亜合成社製、樹脂商品名)を適宜溶媒で希釈して、グラビアコーターで乾燥後の各層が4g/mになるようにコーティングし乾燥して、未硬化状態の第1樹脂層15A及び第2樹脂層15Bを形成した。
この第1樹脂層15A面へ、シリコーン樹脂(信越化学工業社製x−62−3603)を100部、剥離コントロール剤(信越化学工業社製KS−3800)を適宜溶媒で希釈して、グラビアコーターで乾燥後の各層が0.3g/m)になるようにコーティングし乾燥して、第1離型層17Aを形成した。
第2樹脂層15B面へ、シリコーン樹脂(信越化学工業社製x−62−3603を100部)を適宜溶媒で希釈して、グラビアコーターで乾燥後の各層が0.3g/m)になるようにコーティングし乾燥して、第2離型層17Bを形成し、離型紙を得た。
<エンボス模様の賦形>
上記で作製した離型紙の第1離型層17A面へ、エンボス模様としてディンプル柄(底面直径1mmで高さ0.1mmの円錐形が、縦横ピッチ2.0mmで一面に並んだもの)を形成したエンボスロールを有するエンボス機で、120℃に加熱された熱エンボスロールを通した後に、高圧水銀灯で700mJの積算光量のUVを両面に照射して、ディンプル模様が凹状になったエンボス付き離型紙10を得た。
<繊維強化複合材(部品)への加工>
上記で作製したディンプル加工つきエンボス付き離型紙10を、プリプレグ(東レ(株)製、P2302(炭素繊維目付190g/m、樹脂目付35g/m)の表面に、ディンプルが接触するように重ね、オートクレーブバッグ(エアーテック社製ライトキャスト7500R、ナイロン製、厚み80μm))で包装した。
その後、バック内を真空に保ち、オートクレーブ装置により、120℃4時間加熱し硬化させて、繊維強化複合材(部品)を得た。その後、エンボス付き離型紙10を剥離することで、CFRP(繊維強化複合材100)表面に凸状のディンプルが賦形されていた。
(実施例2)
エンボス模様として深さが0.1mm程度の1K平織りの織物柄とする以外は実施例1と同様にして、実施例2のエンボス付き離型紙10を得た。
(実施例3)
第2目止め層13B、第2樹脂層15B及び第2離型層17Bを形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、ディンプル模様が凹状になった実施例3のエンボス付き離型紙10を得た。
実施例3のエンボス付き離型紙10のディンプル面へ、プリプレグ(東レ(株)製、P2302(炭素繊維目付190g/m、樹脂目付35g/m)を重ね合わせ、オートクレーブバッグ(エアーテック社製ライトキャスト7500R、ナイロン製、厚み80μm))で包装した。その後、バック内を真空に保ち、オートクレーブ装置により、120℃4時間加熱し硬化させて、繊維強化複合材(部品)を得た。その後、エンボス付き離型紙10を剥離することで、CFRP(繊維強化複合材)表面に凸状のディンプルが賦形されていた。
(実施例4)
実施例1のエンボス付き離型紙10のディンプル面へ、250°F硬化型エポキシ樹脂を塗布し、別途、従来の離型紙の離型層面へ250°F硬化型エポキシ樹脂を塗布して、2枚の離型紙を作製した。
この2枚の離型紙で、引張強度が4410MPa、弾性率が235GPa、12000フィラメントの炭素繊維とを用い、繊維目付150g/m、樹脂含有率35質量%のプリプレグになるように製造条件を設定し、プリプレグ積層体30を製造した。
このプリプレグ積層体30を実施例1と同様のオートクレーブ法で硬化させた後に、実施例1のエンボス付き離型紙10を剥離することで、CFRP(繊維強化複合材100)表面にディンプルが賦形されている繊維強化複合材(部品)を得た。
(実施例5)
実施例2のエンボス付き離型紙10を用いる以外は実施例4と同様にして、実施例5の表面に平織り模様が賦形されている繊維強化複合材100(部品)を得た。
(実施例6)
ディンプル柄を直径2mmで、深さ0.12mmの円錐形が、縦横ピッチ2.5mmで一面に並んだものとする以外は実施例1と同様にして、繊維強化複合材100(部品)を得て、該繊維強化複合材100(部品)をセダン型普通自動車のボディーに加工したところ、燃費が12.3km/Lと、ディンプルなしの燃費11.0km/Lより向上していた。
(比較例1)
公知の方法でCFRP成型後、その表面に精密加工成型機により、実施例1と同様のディンプル模様を加工したところ、24時間もかかり、さらに洗浄作業も必要で実用性はなかった。
なお、実施例1では繊維強化複合材(部品)への加工と同時にディンプル模様が賦形されるので、時間もかからず、また洗浄作業も不要であった。
エンボス付き離型紙10を用いて製造された強化繊維と熱硬化樹脂とからなる自動車部材用の繊維強化複合材100は、宇宙や航空機用、自動車や船舶などの輸送用、建築用などの一般産業用途などに利用することができる。しかしながら、釣竿やゴルフシャフトなどのスポーツレジャー用などの、軽量で、機械的強度や弾性率などの機械特性がよさを必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
10:エンボス付き離型紙
10A:エンボス付き離型紙(片面離型)
10B:エンボス付き離型紙(両面離型)
11:支持体
13:目止め層
13A:第1目止め層
13B:第2目止め層
15:樹脂層
15A:第1樹脂層
15B:第2樹脂層
17:離型層
17A:第1離型層
17B:第2離型層
18:リブレット模様(賦型模様)
19:ディンプル模様(賦型模様)
20:プリプレグ
30:プリプレグ積層体
100:繊維強化複合材
101:他の材料

Claims (9)

  1. 強化繊維へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグと、該プリプレグの少なくとも一方の面にエンボス付き離型紙のエンボス面とを重ねた状態で、加熱・硬化成形して、表面にエンボス模様が転写形成されてなる自動車部材用の繊維強化複合材であって、
    前記エンボス付き離型紙が、少なくとも離型層、樹脂層、及び支持体を備え、前記プリプレグ側から順に、離型層、樹脂層、及び支持体が積層され、かつ、前記樹脂層の前記離型層面側にエンボス加工が施されていることを特徴とする、自動車部材用の繊維強化複合材。
  2. 前記樹脂層と前記支持体との間に、目止め層が設けられている、請求項1に記載の自動車部材用の繊維強化複合材。
  3. 前記前記プリプレグ側から順に、第1離型層、第1樹脂層、第1目止め層、支持体、第2目止め層、及び第2樹脂層が積層されている、請求項2に記載の自動車部材用の繊維強化複合材。
  4. 前記第2離型層の剥離力が前記第1離型層の剥離力より小さい、請求項3に記載の自動車部材用の繊維強化複合材。
  5. 前記エンボスが、凹凸模様、ディンプル模様、プリズム模様、又は繊維柄模様である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動車部材用の繊維強化複合材。
  6. 自動車部材用の繊維強化複合材を製造する方法であって、
    (1)支持体と、前記支持体上に設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた離型層とを少なくとも備え、樹脂層の、離型層が設けられた面の表面がエンボス加工されてなるエンボス付き離型紙を準備する工程と、
    (2)強化繊維へ未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグと、該プリプレグの少なくとも一方の面にエンボス付き離型紙のエンボス面とを重ね合わせて積層体とした状態で、硬化成形する工程と、
    (3)前記積層体から前記エンボス付き離型紙を剥離する剥離工程と、
    を含んでなることを特徴とする、自動車部材用の繊維強化複合材の製造方法。
  7. 前記硬化成形工程が、オートクレーブ又はオーブン中で行われる、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記エンボス付き離型紙が、第1離型層、第1樹脂層、第1目止め層、支持体、第2目止め層、及び第2樹脂層の順に積層されたものであり、前記第2離型層の剥離力が前記第1離型層の剥離力より小さい、請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 自動車部材用の繊維強化複合材を製造する方法であって、
    (1)支持体と、前記支持体上に設けられた樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた離型層とを少なくとも備え、樹脂層の、離型層が設けられた面の表面がエンボス加工されてなるエンボス付き離型紙を準備する工程と、
    (2)離型紙の前記離型層と繊維強化複合材とが対向するように、コーティング樹脂を介して、前記離型紙と前記繊維強化複合材とを貼り合わせて、加熱・乾燥を行う工程と、
    (3)前記繊維強化複合材から前記離型紙を剥離して、前記繊維強化複合材の表面にエンボスを賦型する、
    ことを含んでなることを特徴とする、自動車部材用の繊維強化複合材の製造方法。
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