JP2012020503A - 水硬性材料の乾燥方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大規模な設備を用いることなく簡便に含水材料の乾燥を行うことを目的とすると共に、密閉空間の湿度が急激に上昇するのを抑制することで、所望の湿度からのズレを抑制し、安定した湿度条件で含水材料を乾燥させることを目的とする。
【解決手段】 含水状態の水硬性材料と所定の平衡湿度を有する第1調湿液とを密閉空間に配置し、該密閉空間の湿度を調湿して水硬性材料を乾燥させる水硬性材料の乾燥方法であって、第1調湿液よりも平衡湿度の低い第2調湿液又は平衡湿度を有さない吸湿剤の少なくとも一方を前記密閉空間に更に配置することを特徴とする水硬性材料の乾燥方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、含水状態の水硬性材料の乾燥方法に関し、特に、密閉空間内の湿度を所望の湿度に調湿して乾燥させる水硬性材料の乾燥方法に関する。
従来から、含水状態の水硬性材料(コンクリート等)を乾燥させて得られる水硬性硬化体の品質評価として、含水状態にある水硬性材料を乾燥させた際の乾燥収縮試験、例えば、乾燥収縮ひずみや乾燥収縮応力などの試験が行われている。該乾燥収縮試験を行う際には、含水状態の水硬性材料(以下、含水材料と記す)を所定の温度及び湿度の下で乾燥させる必要がある。特に、含水材料を乾燥させる際の湿度は、含水材料から蒸発する水分量に影響を与えるものであり、所望する湿度からのズレや変動が試験結果に大きな影響を及ぼす原因となる。このため、含水材料を乾燥させる際には、所望する湿度からのズレや変動が抑制された環境の下で乾燥させる必要がある。
含水材料を所望する湿度のもとで乾燥する方法の一つとして、恒温恒湿実験室内で乾燥する方法が採用されている。該恒温恒湿実験室には、冷凍機、ヒーター及び加湿器等の湿度制御器等が備えられ、実験室内を所望の湿度に調湿可能に構成されている。
また、別な方法としては、小規模な密閉空間に含水材料と所定の平衡湿度を有する一の調湿液とを配置し、調湿液の作用によって密閉空間の湿度を調湿して乾燥する方法が採用されている。該調湿液は、密閉空間内の湿度が平衡湿度よりも高い場合には、密閉空間の湿気を吸湿し、平衡湿度よりも低い場合には、水分を蒸発することで、密閉空間の湿度を平衡湿度に調湿する性質を有するものである。このため、所望する密閉空間の湿度に略等しい平衡湿度を有する調湿液を選択することで、密閉空間の湿度を所望する湿度に調湿することが可能となる。
しかしながら、前記恒温恒湿実験室は、設置するために大きなスペースが必要であるため、実験室全体が大規模となってしまうのに加え、湿度制御器等の設備に多大な費用が必要となってしまう。このため、限られた場所にしか恒温恒湿実験室を設置することができず、含水材料の乾燥を簡易的に行う必要がある場合には適した方法でない場合がある。
一方、調湿液を用いる場合には、小規模な密閉空間で乾燥を行うことができるため、湿度制御器等を必要とせず、簡便に乾燥を行なうことが可能であるが、含水材料を密閉空間に配置した直後から、含水材料から蒸発する水分の影響で密閉空間の湿度が急激に高くなることがある。このため、調湿液の吸湿作用が間に合わず、所望する湿度(調湿液の平衡湿度)に達するまでに長時間を有してしまうことがある。このため、所望する湿度からズレた条件の下での含水材料の乾燥が長時間続くこととなり、試験結果にズレが生じてしまう可能性がある。
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、大規模な設備を用いることなく簡便に含水材料の乾燥を行うことを目的とすると共に、密閉空間の湿度が急激に上昇するのを抑制することで、所望の湿度からのズレを抑制し、安定した湿度条件で含水材料を乾燥させることを目的とする。
本発明にかかる水硬性材料の乾燥方法は、上記課題を解決すべく構成されたもので、含水状態の水硬性材料と所定の平衡湿度を有する第1調湿液とを密閉空間に配置し、該密閉空間の湿度を調湿して水硬性材料を乾燥させる水硬性材料の乾燥方法であって、前記第1調湿液よりも平衡湿度の低い第2調湿液又は平衡湿度を有さない吸湿剤の少なくとも一方を前記密閉空間に更に配置することを特徴とする。
かかる構成の水硬性材料の乾燥方法によれば、含水状態の水硬性材料と所定の平衡湿度を有する第1調湿液とを密閉空間に配置し、第1調湿液よりも平衡湿度の低い第2調湿液又は平衡湿度を有さない吸湿剤の少なくとも一方を前記密閉空間に更に配置することで、密閉空間の湿度が急激に上昇するのを抑制することができる。
具体的には、密閉空間に含水状態の水硬性材料を配置すると、水硬性材料から蒸発する水分によって、密閉空間の湿度が急激に高くなる。このため、第1調湿液の調湿作用のみでは所望する湿度(第1調湿液の平衡湿度)となるまでに長時間かかってしまう。しかしながら、前記第2調湿液又は吸湿剤の少なくとも一方を第1調湿液と密閉空間で併存させることで、密閉空間の湿気が迅速に吸湿され、密閉空間の湿度が急激に高くなってしまうのを抑制することができる。このため、密閉空間の湿度を迅速に所望する湿度へ調湿することが可能となる。
なお、調湿液とは、密閉空間に配置された状態において、周囲の湿度が平衡湿度よりも高い場合には密閉空間の湿気を吸湿し、周囲の湿度が低い場合には水分を密閉空間に蒸発することで密閉空間の湿度を平衡湿度に維持する性質を有するものである。ここで、湿度とは、空気中の水蒸気量をその空気の飽和水蒸気量で除した相対湿度で表されるものである。
また、本発明にかかる水硬性材料の乾燥方法は、前記水硬性材料がセメント系材料であることが好ましい。
また、本発明にかかる水硬性材料の乾燥方法は、前記第1調湿液が、平衡湿度が60±5%の塩飽和水溶液であることが好ましい。
また、本発明にかかる水硬性材料の乾燥方法は、前記第1調湿液と共に、第1調湿液よりも平衡湿度の低い前記第2調湿液を更に配置し、該第2調湿液として、平衡湿度が50%以下の塩飽和水溶液を用いることが好ましい。
かかる構成の水硬性材料の乾燥方法によれば、前記第1調湿液よりも平衡湿度の低い第2調湿液を密閉空間内に併存させることで、密閉空間の湿度を迅速に低下させることができる。具体的には、密閉空間の湿度が第1調湿液の平衡湿度よりも高い状態において、第2調湿液の吸湿速度は第1調湿液の吸湿速度よりも早くなるため、第1調湿液のみが密閉空間内に配置された場合よりも密閉空間内の湿度を迅速に低下させることができる。
また、本発明にかかる水硬性材料の乾燥方法は、前記第1調湿液と共に、平衡湿度を有さない前記吸湿剤を更に配置し、該吸湿剤として、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、吸水性ポリマーのうち少なくとも一つを用いることが好ましい。
以上のように、本発明にかかる水硬性材料の乾燥方法によれば、大規模な設備を用いることなく簡便に含水材料の乾燥を行うことができると共に、密閉空間の湿度が急激に上昇するのを抑制することで、所望の湿度からのズレを抑制し、安定した湿度条件で含水材料を乾燥させることができる。
以下、本発明にかかる実施形態について説明する。
本実施形態にかかる水硬性材料の乾燥方法は、含水状態の水硬性材料(以下、含水材料と記す)を乾燥させて得られる水硬性硬化体の品質評価、特に、含水材料を乾燥させた際の乾燥収縮試験を行うに際し、所望する湿度の下で含水材料を乾燥させる方法である。具体的には、前記含水材料と所定の平衡湿度を有する第1調湿液とを密閉空間に配置し、更に第1調湿液よりも平衡湿度の低い第2調湿液又は平衡湿度を有さない吸湿剤の少なくとも一方を前記密閉空間に配置して乾燥を行なう方法である。
本発明に係る乾燥方法は、含水材料を乾燥させる際に好適に利用でき、特に、セメント系含水材料や、石膏系含水材料等に対して好適に利用することができる。更に、これらの中でも、セメントペースト、セメントモルタル及びコンクリート等からなるセメント系含水材料を乾燥させる際に最適に利用することができる。
また、含水材料は、密閉空間に配置される際には、所定の形状に成型されて配置されることが好ましい。具体的には、円柱状や角柱状等に成型されて配置されることが好ましく、その体積としては、密閉空間の体積に応じて適宜選択可能であるが、例えば、1.57L(φ10cm×20cm)程度の体積の含水材料(試験体)を3〜6本程度配置することが好ましい。
また、前記含水材料は、前記密閉空間の体積に対して所定の体積を占めるように成型されることが好ましい。具体的には、円柱状や角柱状等に成型された含水材料を密閉空間に配置するに際し、その本数を調節することで密閉空間の体積に対して含水材料が所定の体積を占めるようにすることが好ましい。
前記密閉空間としては、外部との空気の出入りが防止できるように構成された密閉容器を用いて形成することが好ましい。該密閉容器は、前記含水材料、第1調湿液、第2調湿液又は吸湿剤の少なくとも一方を内部に配置した状態で閉蓋して密閉可能に構成されている。また、密閉容器は、熱伝導性の高い素材を用いて形成され、温度制御可能な恒温室内に配置された際に、迅速に内部の温度が恒温室内の温度と略等しくなるように構成されることが好ましい。
前記密閉空間の体積としては、特に限定されるものではないが、配置される含水材料の体積(円柱状や角柱状等に成型されている場合には、その本数)等に応じて適宜選択可能であるが、60〜200L程度にすることが好ましい。例えば、前記含水材料(試験体)を3本(4.7L)収納する場合、密閉空間の体積が60Lより小さくなると、試験体及び第1調湿液、第2調湿液又は吸湿剤の少なくとも一方を所定の間隔を明けて密閉空間に設置するのが困難になるので好ましくない。また、密閉空間の体積を200Lより大きくすると、試験体を6本程度設置することが可能であるが、密閉空間の体積が大きすぎると大掛かりな装置となってしまうため好ましくない。また、密閉空間(密閉容器内)には、容器内の温度及び湿度を検知するセンサを設置してもよい。
前記第1調湿液は、水に飽和量よりも過剰の塩を添加することにより、水に塩が溶解して飽和状態となった塩飽和水溶液であり、固有の平衡湿度を有するものである。具体的には、第1調湿液は、密閉空間に配置された状態において、密閉空間の湿度が平衡湿度より高い場合には湿気を吸湿し、平衡湿度よりも低い場合には水分を蒸発させ、密閉空間の湿度を平衡湿度に維持(調湿)する性質を有するものである。第1調湿液の平衡湿度としては、所望する密閉空間の湿度に応じて適宜選択可能であるが、含水材料としてセメント系含水材料を用い、JIS A 6204に準拠した条件で乾燥を行う場合には、60±5%であることが好ましい。また、第1調湿液を構成する塩としては、臭化ナトリウムを用いることが好ましい。また、第1調湿液の液量及び表面積は、特に限定されるものではないが、密閉空間の体積や含水材料から蒸発する水分量等の条件に応じて適宜選択可能である。
本発明に於いては、前記第1調湿液と共に、前記第1調湿液よりも平衡湿度の低い第2調湿液を更に配置することが好ましい。該第2調湿液は、第1調湿液と同様に水に塩が溶解して飽和状態となった塩飽和水溶液である。第2調湿液の平衡湿度としては、密閉空間の湿度変化に応じて、即ち、含水材料から蒸発する水分量や蒸発速度等に応じて適宜選択可能であるが、例えば、第1調湿液の平衡湿度が60±5%である場合には、50%以下であることが好ましい。また、第2調湿液を構成する塩として塩化カルシウムを用いることが好ましい。
また、本発明に於いては、前記第1調湿液と共に、特有の平衡湿度を有さないシリカゲル、ゼオライト、活性炭、吸水性ポリマー等の吸湿作用を有する固体物(以下、吸湿固体と記す)を更に配置することも可能である。このような吸湿固体を用いる場合には、表面積を大きくするために粒状に形成されたものを用いることが好ましい。
次に、含水材料を乾燥する手順について説明する。まず初めに、温度調節可能な恒温室内に密閉容器を設置し、密閉容器内に第1調湿液を配置して密閉する。そして、密閉容器内が所望する温度及び湿度(第1調湿液の平衡湿度)となったことを前記センサで確認し、含水材料を一本又は複数本、密閉容器内に配置すると共に、前記第2調湿液と吸湿剤の少なくとも何れか一方を密閉容器内に配置して密閉する。この際、密閉容器内の湿度は所望する湿度よりも僅かに高くなるが、その後、再度所望する湿度に調湿されたことを前記センサで確認し、密閉容器内から第1調湿液以外の第2調湿液及び吸湿剤を取り出し、密閉状態に維持する。この状態において、密閉容器内の湿度は、第1調湿液の平衡湿度に維持され、含水材料を所望する湿度で乾燥することができる。なお、含水材料としてセメント系含水材料を用い、JIS A 6204に準拠した条件で乾燥を行う場合には、温度調節可能な恒温室を用い、乾燥中の密閉容器内の温度が20±3℃となるように調節することが好ましい。このように、密閉容器内の温度が一定に制御されることで、密閉容器内の湿度を一定に保つことが容易になり、安定した条件で乾燥を行うことができる。また、密閉容器内の湿度としては、60±5%となるように調湿することが好ましい。
以上のように、本発明にかかる含水材料の乾燥方法によれば、大規模な設備を用いることなく簡便に含水材料の乾燥を行うことができると共に、密閉空間の湿度を所望する湿度に迅速に調湿することで、所望の湿度からのズレを抑制し、安定した湿度条件で含水材料を乾燥させることができる。
即ち、前記水硬性材料の乾燥方法によれば、含水材料と所定の平衡湿度を有する第1調湿液とを密閉空間に配置し、第1調湿液よりも平衡湿度の低い第2調湿液又は平衡湿度を有さない吸湿剤の少なくとも何れか一方を前記密閉空間に更に配置することで、第2調湿液又は吸湿剤の少なくとも何れか一方が密閉空間の水分を迅速に吸湿し、密閉空間の湿度が急激に高くなってしまうのを抑制することができる。このため、密閉空間の湿度を迅速に所望する湿度へ調湿することが可能となる。
なお、本発明に係る含水材料の乾燥方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、密閉容器内に第1調湿液を配置して調湿した後、含水材料と共に第2調湿液又は吸湿剤の少なくとも一方を密閉容器内に配置しているが、これに限定されるものではなく、第1調湿液と略同時に第2調湿液又は吸湿剤の少なくとも一方を密閉容器内に配置してもよい。
また、上記実施形態では、含水材料を密閉容器内に配置した後、湿度が60±5%となったことを確認して第2調湿液及び吸湿剤を密閉容器内から取り出したが、これに限定されるものではなく、第2調湿液及び吸湿剤の吸湿作用が湿度60±5%で平衡となるように構成されていれば、第2調湿液及び吸湿剤を密閉容器内から取り出さないようにしてもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
●使用材料
(1)第1調湿液:臭化ナトリウム(NaBr)飽和水溶液
(2)第2調湿液:塩化カルシウム(CaCl2)飽和水溶液
(3)調湿剤A:シリカゲル(松野製薬株式会社製、6UP(粒径4〜8mm))
(4)調湿剤B:吸水性ポリマー(ポリアクリル酸塩吸水性樹脂 三洋化成工業株式会社製、ST−100MPS)
(5)調湿剤C:シリカゲル(松野製薬株式会社製、6UP(粒径4〜8mm))
(6)調湿剤D:鉱物系調湿剤(住友大阪セメント株式会社製、マジカルファイン)
(7)調湿剤E:天然ゼオライト(日東粉化工業株式会社製、SP#600)
(8)調湿剤F:人工ゼオライト(中部電力株式会社製、シーキュラスFe型)
(9)含水材料:コンクリート試験体
●使用設備
(1)密閉容器(調湿槽):20L、60L及び200L
(2)恒温室:室温20±2℃
(3)恒温恒湿実験室:室温20±2℃、湿度60±5%
(4)湿度計:(株)ティアンドデイ製 温湿度データロガー TR−72U
(5)埋め込みゲージ:(株)共和技研製 埋め込み型箔ひずみゲージ KM−120−120
1.湿度試験
実施例及び比較例
(1)実施例1
●使用材料
第1調湿液:水3LにNaBr6kgを溶解し、飽和水溶液(平衡湿度58%)を作製し、SUS304製の容器(内寸法:480×288×126mm)に入れた状態で用いた。
第2調湿液:水0.5LにCaCl21kgを溶解し、飽和水溶液(平衡湿度33%)を作製し、SUS304製の容器(内寸法:280×168×84mm)に入れた状態で用いた。
コンクリート試験体:水セメント比(W/C)を55%、単位水量を173kg/m3として練り混ぜたコンクリートを型枠に充填し、形状がφ10cm×20cmとなるように成型して試験体を作製し、該試験体を標準養生(20℃の水中で7日間養生)した後に引き上げ、表乾状態としたものを用いた。
●試験方法
下記表1に示す条件で、コンクリート試験体と共に第1調湿液および第2調湿液又は調湿剤を密閉容器内に配置し、24時間放置した後の密閉容器内の湿度を測定した。なお、密閉容器には、容器内の空気を循環させる循環ファンが備えられている。また、後述する乾燥収縮ひずみ試験では、試験開始後9日目に第2調湿液を密閉容器から取り出した。
(2)実施例2〜6
第2調湿液に代えて、下記表1に示す調湿剤を用いたことを除き、他は実施例1と同様にして湿度試験を実施した。
(3)比較例1
調湿液として、水1L当たりNaBr1.2〜1.3kgを溶解したNaBr飽和水溶液(平衡湿度58%)を作製し、この調湿液をSUS304製の容器(内寸法:280×168×84mm)に入れた状態で用いたことを除き、他は実施例1と同様にして24時間経過後の密閉容器内の湿度を測定した。
(4)比較例2〜7
表1に示すように、調湿液又は調湿剤を1種類のみ使用し、比較例1と同様にして試験を行った。
Figure 2012020503
2.乾燥収縮ひずみ試験
(1)実施例1
実施例1の試験において、コンクリート試験体の軸方向の長さ変化を埋め込みゲージにより測定した。
(2)比較例8
実施例1で用いたコンクリート試験体を上記恒温恒湿実験室内に配置し、コンクリート試験体の軸方向の長さ変化(乾燥収縮ひずみ)を埋め込みゲージにより測定した。
(3)試験結果

Figure 2012020503
3.まとめ
上記湿度試験の試験結果によると、第1調湿液と、第2調湿液又は調湿剤とを併用した実施例1〜6は、試験開始後1日で密閉容器内の湿度が60±5%となるのに対し、調湿液のみ又は調湿剤のみを用いて調湿した比較例1〜7は、試験開始後1日目の湿度が60±5%よりも高い値又は低い値となっていることが判る。
これは、調湿液のみ又は調湿剤のみを用いて調湿した場合には、試験体から発生する水分によって密閉容器内の湿度低下が遅くなるために試験開始後1日目の湿度が60+5%よりも高い値となるか、又は、試験体から発生する水分よりも吸湿液又は吸湿剤による吸湿速度が速すぎるために試験開始後1日目の湿度が60−5%よりも低い値となることが原因であると考えられる。なお、比較例7-3では、試験開始後1日目の湿度が60±5%の範囲内となっているが、試験体の数や吸湿剤の吸湿性能などの諸条件が偶然合致し、好ましい結果が得られたに過ぎないものと考えられる。
これに対し、実施例において、試験体の数量や調湿液又は調湿剤の量が多少変動した場合であっても試験開始後1日で密閉容器内の湿度が60±5%の範囲内となっているのは、試験体から発生する水分の量が多い場合には、第1調湿液と、第2調湿液又は調湿剤との組み合わせによる速やかな湿度低下作用が発揮され、逆に、試験体から発生する水分の量が少なく該第1調湿液の平衡湿度を下回る場合には第1調湿液からも加湿する作用が発揮されたことによるものと考えられる。
また、乾燥収縮ひずみ試験の試験結果によると、本発明にかかる乾燥方法(実施例1)と恒温恒湿実験室内での乾燥方法(比較例8)とでは略同等の乾燥収縮ひずみとなっており、第1調湿液と第2調湿液とを併用することで恒温恒湿実験室と同等の条件で含水材料の乾燥が可能であることが認められる。

Claims (5)

  1. 含水状態の水硬性材料と所定の平衡湿度を有する第1調湿液とを密閉空間に配置し、該密閉空間の湿度を調湿して水硬性材料を乾燥させる水硬性材料の乾燥方法であって、前記第1調湿液よりも平衡湿度の低い第2調湿液又は平衡湿度を有さない吸湿剤の少なくとも一方を前記密閉空間に更に配置することを特徴とする水硬性材料の乾燥方法。
  2. 前記水硬性材料は、セメント系材料であることを特徴とする請求項1に記載の水硬性材料の乾燥方法。
  3. 前記第1調湿液は、平衡湿度が60±5%の塩飽和水溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水硬性材料の乾燥方法。
  4. 前記第1調湿液と共に、第1調湿液よりも平衡湿度の低い前記第2調湿液を更に配置し、該第2調湿液として、平衡湿度が50%以下の塩飽和水溶液を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の水硬性材料の乾燥方法。
  5. 前記第1調湿液と共に、平衡湿度を有さない前記吸湿剤を更に配置し、該吸湿剤として、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、吸水性ポリマーのうち少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の水硬性材料の乾燥方法。
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