JP2012019232A - プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃液処理が容易であり、かつスミアの除去効果が充分に得られるプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂層(1a,2)と銅層(1b,3)とが積層された多層積層板にレーザー光を照射してビア(BV)を形成するプリント配線板の製造方法において、レーザー光を照射した後の前記多層積層板を非酸化性膨潤剤に浸漬する膨潤処理工程と、前記膨潤処理工程後の前記多層積層板にマイクロエッチング剤を接触させるマイクロエッチング処理工程と、前記マイクロエッチング処理工程後の前記多層積層板を液中に浸漬した状態で超音波を印加する超音波処理工程とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法とする。
【選択図】図2
【解決手段】樹脂層(1a,2)と銅層(1b,3)とが積層された多層積層板にレーザー光を照射してビア(BV)を形成するプリント配線板の製造方法において、レーザー光を照射した後の前記多層積層板を非酸化性膨潤剤に浸漬する膨潤処理工程と、前記膨潤処理工程後の前記多層積層板にマイクロエッチング剤を接触させるマイクロエッチング処理工程と、前記マイクロエッチング処理工程後の前記多層積層板を液中に浸漬した状態で超音波を印加する超音波処理工程とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、樹脂層と銅層とが積層された多層積層板にレーザー光を照射してビアを形成するプリント配線板の製造方法に関する。
近年の電子機器の小型化、高密度化、高機能化により、プリント配線板においても高密度回路形成が要求されている。この要求を満たすべく、多層プリント配線板においては層間接続のために、有底孔であるブラインドビア(blind via)や、貫通孔であるスルーホールビア(through-hole via)などのビアが形成される。その際の孔あけの手段として、加工効率やコスト面から炭酸ガスレーザーなどのレーザー加工が多く取り入れられている。
従来のレーザー加工によるビア形成方法について、コンフォーマル・マスク法を例に図面を参照しながら説明する。参照する図3A〜Cは、コンフォーマル・マスク法を説明するための工程別断面図である。
まず、図3Aに示すような多層積層板を準備する。図3Aでは、ガラス繊維強化エポキシ樹脂含浸基板(ガラスエポキシ基板)や、アラミド繊維強化エポキシ樹脂含浸基板(アラミドエポキシ基板)などの樹脂を含む絶縁基材1aの両面に銅層1bが形成されたコア材1と、このコア材1の両面に積層された、ガラス強化繊維を含むプリプレグやその他の樹脂などからなる樹脂層2と、それぞれの樹脂層2におけるコア材1とは反対側の面に積層された銅箔3とを含む多層積層板を用いている。通常、コア材1の銅層1bは、パターニングされて銅配線が形成されている。
そして、表層側の銅箔3におけるビアを形成する部分3aをエッチングによって除去する(図3B)。次いで、ビアを形成する部分3aの直下に位置する樹脂層2をレーザーで孔あけして(図3C)、ブラインドビアBVが形成される。
他方、近年では、表層側の銅箔上へレーザーを照射して、銅箔と樹脂層とを同時に孔あけしてビアを形成するダイレクトレーザー法が考えられている。このダイレクトレーザー法は、銅箔のエッチング工程が不要となるため、エッチング不良による銅残りの問題がない上、銅層間の回路の位置合わせ精度などが上記のコンフォーマル・マスク法より優れている。
しかし、コンフォーマル・マスク法及びダイレクトレーザー法のいずれの場合にも、レーザー加工時にビアの内部に樹脂層2の残渣であるスミアS(図3C)が発生する。このスミアSが残ったままビア内にめっき処理を施すと、層間の導通がとれなくなる可能性がある。
そのため、従来のビア形成工程において、レーザー加工後には、スミアを除去するデスミア工程が必須となっていた。例えば、従来のデスミア工程では、レーザー加工後の多層積層板を膨潤処理した後、過マンガン酸カリウム溶液で処理し、更に過マンガン酸カリウムを還元して除去する中和処理を行って、スミアを除去していた(例えば、下記特許文献1〜3参照)。また、下記特許文献4では、スミアの除去性を高めるため、過マンガン酸カリウム溶液での処理と、超音波洗浄とを組み合わせたデスミア工程が提案されている。
しかし、上記デスミア工程で使用される過マンガン酸カリウムは、環境汚染の可能性が高い上、強力な酸化剤であるため、廃液処理が困難であった。
このため、過マンガン酸カリウム溶液などの酸化性樹脂溶解剤を使用しない方法として、有機系膨潤剤を使用し、更に超音波洗浄を組み合わせてスミアを除去するデスミア工程が、下記特許文献5に提案されている。
特許文献5に記載のデスミア工程は、特許文献1〜4に記載のデスミア工程に比べて廃液処理は容易であるが、スミアの除去効果に関しては不充分であった。そのため、廃液処理が容易であり、かつスミアの除去効果が充分に得られる方法が要望されていた。
本発明は、上記課題を解決するため、廃液処理が容易であり、かつスミアの除去効果が充分に得られるプリント配線板の製造方法を提供する。
本発明のプリント配線板の製造方法は、樹脂層と銅層とが積層された多層積層板にレーザー光を照射してビアを形成するプリント配線板の製造方法において、
レーザー光を照射した後の前記多層積層板を非酸化性膨潤剤に浸漬する膨潤処理工程と、
前記膨潤処理工程後の前記多層積層板にマイクロエッチング剤を接触させるマイクロエッチング処理工程と、
前記マイクロエッチング処理工程後の前記多層積層板を液中に浸漬した状態で超音波を印加する超音波処理工程とを含むことを特徴とする。
レーザー光を照射した後の前記多層積層板を非酸化性膨潤剤に浸漬する膨潤処理工程と、
前記膨潤処理工程後の前記多層積層板にマイクロエッチング剤を接触させるマイクロエッチング処理工程と、
前記マイクロエッチング処理工程後の前記多層積層板を液中に浸漬した状態で超音波を印加する超音波処理工程とを含むことを特徴とする。
なお、上記本発明における「銅」は、純銅からなるものであってもよく、銅合金からなるものであってもよい。また、本明細書において「銅」は、純銅又は銅合金をさす。
本発明のプリント配線板の製造方法では、過マンガン酸カリウム溶液などの酸化性樹脂溶解剤を使用せずに、非酸化性膨潤剤を使用するため、廃液処理が容易となる。また、膨潤処理工程、マイクロエッチング処理工程及び超音波処理工程をこの順に行うことで、ビア内部に残存するスミアを確実に除去することができる。
本発明は、樹脂層と銅層とが積層された多層積層板にレーザー光を照射してビアを形成するプリント配線板の製造方法に適用される。レーザー加工法については、特に限定されず、例えばコンフォーマル・マスク法や、ダイレクトレーザー法などの公知の加工法が使用できる。また、形成されるビアについても特に限定されず、例えばブラインドビアやスルーホールビアなどの公知のビアを形成する場合に適用できるが、なかでもブラインドビアは、ビア底にスミアが残存し易いので、本発明の効果がより有効に発揮される。
以下、本発明の一例として、ダイレクトレーザー法によりブラインドビアを形成する場合に本発明を適用した例について図面を参照しながら説明する。参照する図1A,B及び図2A〜Cは、本発明の一例であるプリント配線板の製造方法を説明するための工程別断面図である。なお、上述した図3A〜Cと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
まず、上述した図3Aと同様の多層積層板を準備する(図1A)。そして、表層側の銅箔3におけるビアを形成する部分3a上へレーザーを照射して、ブラインドビアBVを形成する(図1B)。この際、ブラインドビアBVの底部(ビア底)に樹脂層2の残渣であるスミアSが発生する。なお、レーザーを照射する前に、レーザー光の反射を少なくするために、黒化処理や特開2007-129193号公報に記載の銅表面処理を施してもよい。
図1Bの工程で使用されるレーザーは、特に限定されないが、加工効率やコスト面から炭酸ガスレーザーが適している。炭酸ガスレーザーは、赤外線波長領域である9.3μm〜10.6μmの波長を使用する。加工エネルギーは、表層側の銅箔3の厚みなどによって適宜選択できるが、例えば8〜27mJで1ショット照射して穿孔することができる。更に好ましくは、低い加工エネルギーである2〜5mJにて2ショット目を照射することで、ビア底の銅表面のクリーニングができる。ここで、炭酸ガスレーザーの加工エネルギー(J)は、加工に必要な出力(W)を周波数(Hz)で除して算出される。なお、必ずしも2ショット照射する必要はない。また、必要であれば、3ショット以上照射しても良い。
図1Bの工程後、スミアSの除去性を高めるために、多層積層板を非酸化性膨潤剤(図示せず)に浸漬する膨潤処理工程を行い、図2Aに示すように、スミアSを膨潤させる。非酸化性膨潤剤としては、非酸化性であり、かつ樹脂に対して浸透して、樹脂を膨潤させる溶液であれば特に限定されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ブチルセロソルブ、N,N-ジメチルホルムアミド、グリコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の単独又は複数組み合わせた有機溶剤をアルカリ性溶液に溶解させたものが使用できる。前記アルカリ性溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが使用できる。また、水酸化ナトリウム水溶液を単独で非酸化性膨潤剤として使用することもできる。膨潤効果の観点からは、上記列挙した有機溶剤を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させたものが好ましい。なお、非酸化性膨潤剤のpHは、例えば8〜14程度である。
前記膨潤処理工程における処理温度は、35℃〜70℃が好ましく、40℃〜50℃がより好ましい。処理温度が35℃以上であれば、膨潤効果が高くなる。一方、処理温度が70℃以下であれば、コスト面で有利である。前記膨潤処理工程における処理時間は、膨潤効果の観点から、10秒〜300秒が好ましく、15秒〜60秒がより好ましい。なお、膨潤処理工程後、次に説明するマイクロエッチング処理工程の前に、水洗工程を設けることが好ましい。
膨潤処理工程後、多層積層板にマイクロエッチング剤(図示せず)を接触させるマイクロエッチング処理工程を行う。これにより、図2Bに示すように、ビア底の銅表面をわずかにエッチング(マイクロエッチング)して、ビア底に残ったスミアSを浮き上がらせた状態にする。マイクロエッチング剤としては、銅表面をマイクロエッチングできる限り特に限定されないが、過酸化水素及び硫酸を水等の溶媒に溶解させたマイクロエッチング剤を使用すると、ビア底を均一にマイクロエッチングできるため好ましい。多層積層板にマイクロエッチング剤を接触させる方法としては、浸漬やスプレーによる方法が採用できるが、マイクロエッチング剤を多層積層板のビアが形成された面(図2Bの場合は表層側の銅箔3)にスプレーする方法によれば、ビア底を過剰にエッチングすることなく、スミアSを充分に浮き上がらせることができるため好ましい。
マイクロエッチング処理工程におけるビア底のエッチング量としては、ビア底の過剰なエッチングを抑制した上でスミアSを浮き上がらせた状態にするには、1〜7μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。ビア底のエッチング量を上記好適な範囲に制御するには、例えばスプレー処理を採用する場合、マイクロエッチング剤の温度を20℃〜35℃とし、スプレー圧を0.05MPa〜0.3MPaとし、処理時間を10秒〜120秒に設定してスプレー処理すればよい。なお、上記エッチング量は、処理前後のビアを断面観察して求めることができる。
ダイレクトレーザー法の場合、レーザー加工時に、ビア開ロ部周辺の銅箔3の表面に銅が飛び散って形成された突起物や、ビア開口部周縁に形成された銅のバリが残存する場合がある。この銅の飛散り物やバリを除去せずに次工程で銅めっき処理を施すと、めっき金属の異常析出などの不良が生じる可能性がある。この場合、マイクロエッチング剤として、過酸化水素及び硫酸を含むマイクロエッチング剤(以下、単に「マイクロエッチング剤」という)を使用すると、ビア底のマイクロエッチング処理と、銅の飛散り物やバリの除去を同時に行うことができる。以下、銅の飛散り物やバリの除去に適したマイクロエッチング剤について説明する。
スプレーによりマイクロエッチング処理工程を行う場合、銅の飛散り物やバリが存在する銅箔3の表面においては、スプレーから直接マイクロエッチング剤が当たるため、常にマイクロエッチング剤が入れ替わっている状態、すなわち新鮮なマイクロエッチング剤が常に供給されている状態にある。
一方、ビア内部においては、非常に狭小な部分であるためマイクロエッチング剤の入れ替わりが少なく、マイクロエッチング剤による浸漬処理に近い状態になっていると考えられる。
よって、ビア底に位置する内層の銅層1bの過剰なエッチングを防止するためには、浸漬によるエッチング速度が遅いマイクロエッチング剤を使用すればよい。
上記の要件を満たすマイクロエッチング剤としては、スプレー処理におけるエッチング速度が浸漬処理におけるエッチング速度の3〜5倍であるマイクロエッチング剤が好ましく、3.5〜4倍であるマイクロエッチング剤がより好ましい。このようなマイクロエッチング剤によれば、ビア底の過剰なエッチングを抑制した上でスミアSを浮き上がらせた状態とすることができ、かつ銅の飛散り物やバリの除去性が高くなる。
スプレー処理におけるエッチング速度は、スプレー処理で通常設定されるスプレー圧(0.05〜0.3MPa)の範囲から適切な圧力を設定し、マイクロエッチング剤を20〜35℃の範囲の中で適切な温度に維持した状態で、所定時間(例えば1分)エッチングしたときの速度を測定する。一方、浸漬処理におけるエッチング速度は、比較するスプレー処理と同じ温度のマイクロエッチング剤に浸潰して、比較するスプレー処理と同じ時間エッチングしたときの速度を測定する。そして、スプレー処理におけるエッチング速度と浸漬処理におけるエッチング速度を比較する。尚、エッチング速度は、一般的な電解銅箔をマイクロエッチングした際の、エッチング前後の銅の重量減少量をエッチング時間で除して求めることができる。
スプレー処理におけるエッチング速度を浸漬処理におけるエッチング速度の3〜5倍にするためには、例えば、マイクロエッチング剤に界面活性剤などの種々の添加剤を配合すればよい。具体的には、脂肪族又は脂環式アミン、アルコール、テトラゾール化合物、メチルエステル化合物、非イオン性界面活性剤などを配合すればよい。
上記脂肪族アミンとしては、炭素数が1〜12の脂肪族アミンが好ましく、具体例としては、トリ‐n‐ブチルアミン、エチレンジアミン、2‐エチルヘキシルアミンなどが挙げられる。
上記脂環式アミンの具体例としては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
上記アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジブロピレングリコール、トリブロピレングリコールなどのグリコール類が挙げられる。
上記テトラゾール化合物の具体例としては、1H‐テトラゾール、5‐メチル‐1H‐テトラゾール、5‐フェニル‐1H‐テトラゾール、5‐メルカプト‐1H‐テトラゾール、1‐メチル‐5‐エチル‐1H‐テトラゾ−ルなどが挙げられる。
上記メチルエステル化合物の具体例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤の具体例としては、プロピレンジグリセリルエーテル、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ一ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
上記列挙した添加剤は、1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。例えば、スプレー処理におけるエッチング速度を速くするには、脂肪族アミン、脂環式アミン、アルコール、メチルエステル化合物、及び非イオン性界面活性剤から選択される1種類又は2種類以上を配合すればよい。一方、浸漬処理におけるエッチング速度を遅くするには、テトラゾール化合物を配合すればよい。特に、テトラゾール化合物と脂環式アミンを併用すると、ビア底の過剰なエッチングを効果的に抑制し、かつ銅の飛散り物やバリの除去性がより高くなる上、ビア底をより均一にマイクロエッチングできるため好ましい。これらの添加剤の使用量は、特に限定するものではないがマイクロエッチング剤全量に対して0.001〜2重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%の範囲がより好ましい。
銅の飛散り物やバリの除去性がより高いマイクロエッチング剤とするには、マイクロエッチング剤中の過酸化水素の濃度を1〜15重量%にするのが好ましく、2〜10重量%にするのがより好ましく、2〜5重量%にするのが更に好ましい。
また、銅の飛散り物やバリの除去性がより高いマイクロエッチング剤とするには、マイクロエッチング剤中の硫酸の濃度を3〜25重量%にするのが好ましく、5〜20重量%にするのがより好ましく、6〜10重量%にするのが更に好ましい。
マイクロエッチング処理工程後、多層積層板を液(図示せず)中に浸漬した状態で超音波を印加する超音波処理工程を行うことによって、ビア底から浮き上がった状態になっているスミアSを除去する(図2C)。この超音波処理工程で使用する液体としては、例えば、酸溶性液、アルカリ性溶液、水などの液体であれば適宜使用できるが、水を使用する場合には、安全性が高い上、管理が容易であるため特に好ましい。
超音波の印加条件は、例えば水(温度10〜70℃)を使用する場合には、28kHz〜45kHzで、10秒〜300秒間印加することが好ましく、28kHz〜45kHzで、20秒〜300秒間印加することがより好ましい。周波数が上記範囲内であれば、基板にダメージを与えずにスミアSの除去性を向上させることができる。また、印加時間が上記範囲内であれば、スミアSを確実に除去できる上、生産効率を向上させることができる。
上記超音波処理後の多層積層板は、工程の図示は省略するが、例えば、ビア内壁を銅めっきし、更に上下の銅箔3をパターニングして銅配線を形成することにより、多層プリント配線板とすることができる。
以下、本発明の理解を容易にするため、実施例や比較例を挙げて、更に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
絶縁基材の両面に銅層が形成されたコア材として松下電工製 R−1766を用い、このコア材の両面に厚み60μmのプリプレグ(松下電工製 R1661ED)を積層し、更にそれぞれのプリプレグにおけるコア材とは反対側に厚み12μmの銅箔(三井金属鉱業製 3EC−III)を積層して、図1Aに示す多層積層板を作製した。但し、試験基板であるため、外層及び内層のいずれの銅層についても、パターン化しないで(配線を形成しないで)、以下に示す処理を行った。
まず、上記試験基板の表層側の銅箔を、硫酸/過酸化水素系のレーザー加工前処理剤(メック株式会社製 メックVボンド)でエッチング処理をして、表層側の銅箔の厚みを9.6μmにした。このレーザー加工前処理をすることで、レーザー加工を低エネルギーで行うことができる。
次いで、炭酸ガスレーザー機(日立ビアメカニクス製 LC−2G212/2C)を使用して、レーザー照射側(表面側)の径が100μm、底面側の径が80μm〜100μmとなるように、下記の加工条件でビアを形成した。尚、下記の条件の記載で『/』の前後はレーザー照射を2ショット照射で行った場合の1回目と2回目の条件をそれぞれ示している。
(レーザー加工条件)
ショット数:2ショット
周波数:1000Hz
加工エネルギー:17.75mJ/3.60mJ
パルス幅:36μs/10μs
ショット数:2ショット
周波数:1000Hz
加工エネルギー:17.75mJ/3.60mJ
パルス幅:36μs/10μs
次いで、表1及び表2に示す条件により、レーザー加工後の試験基板を膨潤処理工程、マイクロエッチング処理工程及び超音波処理工程の順で処理した。膨潤処理工程は、いずれも浸漬により処理し、マイクロエッチング処理工程は、いずれもスプレーにより処理した。ただし、比較例4のマイクロエッチング処理工程では、マイクロエッチング剤の代わりに、回路形成用のエッチング剤を用いてスプレーにより処理した。また、膨潤処理工程とマイクロエッチング処理工程の間には水洗工程を設けた。なお、超音波処理工程では、超音波洗浄器として、井内盛栄堂製のULTRASONIC CLEANER VS-100IIIを使用し、試験基板を温度25℃のイオン交換水中に浸漬した状態で、表1及び表2に示す条件により超音波を印加した。
次いで、スミアの確認を容易にするために、処理後の試験基板のビア底に対して白金蒸着を行った。そして、ビア底の切断面をFE−SEM(日本電子株式会社製JSM−7000F)により3500倍の倍率で観察し、ビア底に残ったスミアの長さL(図3C参照)の最大値を測定した。この際、各実施例及び各比較例において、いずれも5個のビアについて上記最大値を測定し、これら最大値の平均値を算出した。得られた前記平均値について、スミア除去性を下記基準により評価した。
(スミア除去性の評価基準)
前記平均値が2μm未満:◎
前記平均値が2μm以上15μm未満:○
前記平均値が15μm以上30μm未満:△
前記平均値が30μm以上:×
前記平均値が2μm未満:◎
前記平均値が2μm以上15μm未満:○
前記平均値が15μm以上30μm未満:△
前記平均値が30μm以上:×
表1及び表2に示すように、実施例1〜15は、いずれも比較例1〜4に比べスミア除去性が向上した。
1 コア材
1a 絶縁基材
1b 銅層
2 樹脂層
3 銅箔
BV ブラインドビア
1a 絶縁基材
1b 銅層
2 樹脂層
3 銅箔
BV ブラインドビア
Claims (4)
- 樹脂層と銅層とが積層された多層積層板にレーザー光を照射してビアを形成するプリント配線板の製造方法において、
レーザー光を照射した後の前記多層積層板を非酸化性膨潤剤に浸漬する膨潤処理工程と、
前記膨潤処理工程後の前記多層積層板にマイクロエッチング剤を接触させるマイクロエッチング処理工程と、
前記マイクロエッチング処理工程後の前記多層積層板を液中に浸漬した状態で超音波を印加する超音波処理工程とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 前記マイクロエッチング剤は、スプレー処理におけるエッチング速度が浸漬処理におけるエッチング速度の3〜5倍である請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記マイクロエッチング剤は、過酸化水素、硫酸及び脂環式アミンを含むマイクロエッチング剤である請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記マイクロエッチング剤は、テトラゾール化合物を更に含む請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
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