実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体基板の作製方法について図1、及び図2を用いて説明する。
まず、単結晶半導体基板100(単に、基板100とも記す)を準備する(図1(A))。
単結晶半導体基板100としては、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板等の第14族元素でなる単結晶半導体基板、またはガリウム・ヒ素、インジウム・リン等からなる化合物半導体基板を用いることができる。市販の単結晶シリコン基板としては、直径5インチ(約125mm)、直径6インチ(約150mm)、直径8インチ(約200mm)、直径12インチ(約300mm)、直径16インチ(約400mm)サイズの円形のものが代表的であり、いずれのサイズの単結晶シリコン基板も用いることができる。なお、単結晶半導体基板100の形状は円形に限られず、矩形状等に加工して用いることも可能である。本実施の形態では、単結晶半導体基板100として、単結晶シリコン基板を用いた場合について説明する。
次に、単結晶半導体基板100の表面に絶縁層101aを形成する(図1(B))。
絶縁層101aを形成する前に、希フッ酸を用いて単結晶半導体基板100を洗浄するとよい。このとき、希フッ酸とオゾン水を交互に吐出して洗浄してもよい。必要に応じて、超音波洗浄や2流体ジェット洗浄を組み合わせることが好ましい。超音波洗浄は、メガヘルツ超音波洗浄(メガソニック洗浄)が好ましい。洗浄により、単結晶半導体基板表面の異物、有機汚染を低減し、絶縁層101aを均一に形成することが可能となる。
絶縁層101aを形成する材料の具体例としては、酸化シリコンが挙げられる。絶縁層101aに用いることのできる別の材料としては、例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウムなどが挙げられる。
絶縁層101aの形成方法の具体例としては、熱酸化法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。
例えば、熱酸化法を用いて酸化シリコン層を絶縁層101aとして形成する場合には、主成分のガスを酸素として、ハロゲンを含む酸化性雰囲気中で熱酸化することが好ましい。例えば、塩素を含む酸化性雰囲気中で単結晶半導体基板100に熱酸化処理を行うことにより、塩素酸化された絶縁層101aを形成する。この場合、絶縁層101aは、塩素原子を含有する絶縁層となる。絶縁層101a中に含有された塩素原子は、歪みを形成する。その結果、絶縁層101aの水分に対する吸収割合が向上し、拡散速度が増大する。つまり、絶縁層101a表面に水分が存在する場合に、当該表面に存在する水分を絶縁層101a中に素早く吸収し、拡散させることができる。
熱酸化処理の条件の一例としては、酸素に対し塩化水素を0.5〜10体積%(代表的には3体積%)の割合で含む酸化性雰囲気中で、900℃〜1150℃の温度(代表的には1000℃)で行うことができる。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜1時間とすればよい。
絶縁層101aの膜厚は、イオン照射時の加速電圧や、所望のイオンの浸入深さ等を考慮し、適宜定めれば良い。例えば、熱酸化処理により形成される酸化膜の膜厚は、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜200nm)、例えば100nmとすれば良い。
イオン照射前に、純水を用いて絶縁層101aの表面を洗浄してもよい。このとき、純水の代わりにオゾン水を用いてもよい。あるいは超音波洗浄、2流体ジェット洗浄を組み合わせてもよい。超音波洗浄は、メガヘルツ超音波洗浄(メガソニック洗浄)が好ましい。ただし、希フッ酸洗浄を行うと、絶縁層101a表面が疎水性となり、支持基板との貼り合わせに不良が生じることがある。そのため、希フッ酸洗浄を用いない方が好ましい。洗浄により、絶縁層101a表面の異物、有機汚染を低減できる。
次に、基板100の表面にエッチング用ガス103を流しながら、絶縁層101aを介して運動エネルギーを有する水素イオン102を単結晶半導体基板100全面に照射する。このとき、イオン照射と同時に、絶縁層101aに対してエッチングを行う。
本実施の形態では、照射するイオンに水素イオンを用いたが、照射するイオンは水素イオンに限らず、ヘリウムイオン等を用いても良い。
絶縁層101aのエッチングは、イオン照射によりプラズマ化されたエッチング用ガス103を用いて行うことができる。基板100を覆う絶縁層101aの表面付近のエッチング用ガス103は、イオン照射によりラジカル化され、基板100上の絶縁層101aをエッチングできる。
本明細書において、単結晶半導体基板の表面からイオンが最も高い頻度で注入される位置までの深さを、ピークの深さと呼ぶ。イオン照射開始直後のピークの深さを、図1(C)の第1の深さ104aに図示する。その後、エッチングによって絶縁層101aが薄くなるにつれ、水素イオン102の浸入深さは深くなり、絶縁層101aの厚みが絶縁層101bの厚みまで減少することにより、第1の深さ104aよりも深い第2の深さ104bにピークの深さが到達する(図1(D))。このように絶縁層101aをエッチングしながらイオンを照射することで、ピークの深さを変化することができる。
なお、本実施の形態において、水素原子濃度が1×1018atoms/cm3以上の領域を損傷領域という。さらに、損傷領域中、水素原子濃度が1×1021atoms/cm3以上1×1022atoms/cm3以下の領域を脆化領域105という。
損傷領域における、脆化領域の割合を高めることで、脆化領域中のある箇所で、単結晶半導体基板と支持基板が完全に分離できなかった際に、脆化領域中の他の箇所で分離を行うことができる。そのため、支持基板上の単結晶半導体膜の孔欠陥や転写ムラを防ぐことができる。したがって、絶縁表面に欠陥の少ない単結晶半導体膜を有する半導体基板を得ることができる。
後に、単結晶半導体基板100から分離して形成する単結晶半導体層131の厚さは、脆化領域の深さ、及び深さ方向の厚さで調節できる。例えば、単結晶半導体層131の厚さとしては、10nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上200nm以下となるように、脆化領域の深さ、及び深さ方向の厚さを調節すればよい。
絶縁層101aのエッチングに用いることができるエッチング用ガスとしては、絶縁層101aに用いる材料に合わせて適宜選択して用いることができる。例えば、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス、酸素等を適宜用いることができる。
また、図1(D)では、エッチングを用いて絶縁層101aを薄くする場合を示したが、エッチングされる面の絶縁層101aを完全に除去しても良い。
次に、単結晶半導体基板100における、後に支持基板と貼り合わせる面上に接合層106aを形成する(図1(E))。
接合層106aを形成する材料の具体例としては、酸化シリコンが挙げられる。接合層106aに用いることのできる別の材料としては、例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウムなどが挙げられる。
接合層106aの形成方法の具体例としては、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。
単結晶半導体基板において、支持基板と貼り合わせる面に、絶縁層が残っており、絶縁層が接合層106aを兼ねることができる場合は、接合層106aは形成しなくても良い。単結晶半導体基板において、支持基板と貼り合わせる面は、平坦かつ、親水性であることが望ましい。よって、接合層106aを形成することで、該支持基板と貼り合わせる面の平坦性や親水性を向上させても良い。
単結晶半導体基板において、支持基板と貼り合わせる面に、絶縁層が残っている場合、接合層106aは、絶縁層上に形成しても良い。または、エッチングにより絶縁層を完全に除去してから、接合層106aを形成しても良い。
水素イオン照射は、イオンドーピング装置によるイオンドーピング法でも、イオン注入装置によるイオン注入法でも行うことができる。図3(A)にイオン注入装置の一例、図3(B)にイオンドーピング装置の一例を示す。
イオン注入装置は、プラズマ中のイオン種を質量分離し、ある特定の質量のイオン種を被処理体に照射する装置(質量分離型の装置)である。図3(A)に示すイオン注入装置は、チャンバー壁200、ステージ201、ステージ軸202、イオン206を照射するイオン源203、基板搬送室に至るバルブ204、真空ポンプに至るバルブ205、エッチング用ガス供給部207、加速電極208、質量分析部209、走査部210を有する。
ステージ201は、左右にスライドさせることができ、ステージ201上の単結晶半導体基板100の面内に均一にイオン206が照射されるよう、スキャンさせることができる。
イオン源203で、イオン化された元素は、引き出し電極(図示しない)により引き出され、質量分析部209に入る。質量分析部209は、イオン源203で生成されたイオンのうち、所定の質量のイオンを質量分析によって選別する。該選別されたイオンは、加速電極208によって所定の注入エネルギーに加速する。加速されたイオン206は、走査部210を通って基板100に注入される。
基板はイオンを照射されることによって、正の電荷を与えられ電気的に帯電する(チャージアップ)。チャージアップを防ぐため、エレクトロフラッドガンやプラズマフラッドガンを用いて、エネルギーの低い電子を基板に供給し、基板の帯電を中和させることが好ましい。
絶縁層のエッチングは、イオン照射によりプラズマ化されたエッチング用ガスを用いて行うことができる。基板100を覆う絶縁層の表面付近のエッチング用ガスは、イオン照射によりラジカル化され、基板100上の絶縁層をエッチングできる。また、絶縁層のエッチングは、エレクトロフラッドガンやプラズマフラッドガンによりプラズマ化されたエッチング用ガスを用いて行うことができる。基板100を覆う絶縁層の表面付近のエッチング用ガスは、エレクトロフラッドガン(又はプラズマフラッドガン)によりラジカル化され、基板100上の絶縁層をエッチングできる。
イオンドーピング装置は、プロセスガスをプラズマ励起して生成された全てのイオン種をチャンバー内に配置された被処理体に照射する非質量分離型の装置である。図3(B)に示すイオンドーピング装置は、チャンバー壁300、ステージ301、ステージ軸302、イオン306を照射するイオン源303、基板搬送室に至るバルブ304、真空ポンプに至るバルブ305、エッチング用ガス供給部307を有する。
イオン源303から照射されるイオン306は、直進成分のみ抽出し、線状に成形されて基板100に入射する。ステージ301は、左右にスライドさせることができ、ステージ301上の単結晶半導体基板100の面内に均一にイオン306が照射されるよう、スキャンさせることができる。このような方法を採ることで、大面積の基板にも、均一性よく水素イオンを照射することができる。
イオンドーピング装置においても、前述のイオン注入装置と同様の方法で、エッチングを行うことができる。したがって、イオン照射によりプラズマ化されたエッチング用ガスを用いることで、イオン照射と同時に絶縁層のエッチングを行うことができる。さらに、エレクトロフラッドガン(又はプラズマフラッドガン)によりプラズマ化されたエッチング用ガスを用いることで、イオン照射とは別のタイミングで絶縁層のエッチングを行うことができる。
次に、図2を用いて単結晶半導体基板の単結晶半導体層を、支持基板に転載する方法を説明する。
まずは、支持基板130を準備する(図2(A))。支持基板130を用いるに際し、支持基板130の表面を予め洗浄しておくことが好ましい。具体的には、支持基板130の表面を、塩酸過水(HPM)、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、希フッ酸(DHF)等を用いて超音波洗浄を行う。このような洗浄処理を行うことによって、支持基板130表面の平坦化の実現や残存する研磨粒子の除去ができる。
支持基板130としては、絶縁基板を用いることが好ましい。絶縁基板の具体例としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種のガラス基板や、石英基板、セラミック基板、サファイア基板、プラスチック基板が挙げられる。また、支持基板130として単結晶半導体基板(例えば、単結晶シリコン基板)や多結晶半導体基板(例えば、多結晶シリコン基板)を用いることも可能であるが、量産性やコストの面を考慮すると、大面積化が可能で安価な絶縁基板を用いることが好ましい。本実施の形態では、支持基板130として絶縁基板の一つであるガラス基板を用いる場合について説明する。
次に、絶縁層101b、及び接合層106aを介して単結晶半導体基板100と支持基板130とを貼り合わせる(図2(B))。
次に、熱処理を行い、脆化領域105において単結晶半導体基板100を分離することにより、支持基板130上に単結晶半導体層131を設ける(図2(C))。熱処理を行うことにより、脆化領域105に微小な孔が形成され、この微小な孔の中にイオンの照射により添加された元素が析出し、内部の圧力が上昇する。圧力の上昇によって脆化領域105の微小な孔に体積変化が起こり、脆化領域105に亀裂が生じるため、脆化領域105に沿って単結晶半導体基板100が分離する。この結果、単結晶半導体基板100から分離された単結晶半導体層131が、絶縁層101、及び接合層106を介して支持基板130上に形成される。分離後に形成される単結晶半導体層131の膜厚は、例えば10nm以上500nm以下とすればよく、好ましくは50nm以上200nm以下とする。なお、熱処理を行うための加熱手段としては、抵抗加熱炉等の加熱炉、RTA(瞬間熱アニール、Rapid Thermal Anneal)装置、マイクロ波加熱装置等を用いることができる。例えば、RTA装置を用いる場合、加熱温度550℃以上730℃以下、処理時間0.5分以上60分以内で加熱すればよい。
以上のように、本実施の形態で示した本発明の一態様の半導体基板の作製方法は、イオン照射と同時に絶縁層のエッチングを行うことで、イオンの浸入深さを変えることができる。特に、イオンの照射条件を変化させる必要が無いため、イオンの浸入深さを変えることが容易である。さらに、加速電圧の変化と絶縁層のエッチングを併用することで、イオンの注入量や浸入深さを簡便に調整することができる。よって、所望の原子のプロファイルを容易に得ることができる。
本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、損傷領域を狭く、かつ、損傷領域のうち脆化領域は広く形成することができる。さらに、脆化領域よりも高い原子濃度(1×1022atoms/cm3より高い原子濃度)を有する領域が形成されることを抑制できるため、支持基板と貼り合わせる前の段階で、単結晶半導体基板に亀裂が入り、単結晶半導体膜が剥離することを防ぐことができる。
本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、損傷領域中の、脆化領域の割合を高くすることができる。損傷領域における、脆化領域の割合を高めることで、脆化領域中のある箇所で、単結晶半導体基板と支持基板が完全に分離できなかった際に、脆化領域中の他の箇所で分離を行うことができる。そのため、支持基板上の単結晶半導体膜の孔欠陥や転写ムラを防ぐことができる。したがって、本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、絶縁表面に欠陥の少ない単結晶半導体膜を有する半導体基板を得ることができる。
本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、脆化領域以外に注入されるイオンを低減できるため、損傷領域を狭く形成することができる。脆化領域以外に注入されるイオンを低減することで、支持基板上の単結晶半導体膜の損傷を軽減できる。さらに、単結晶半導体基板側に残る損傷領域が狭くなり、単結晶半導体基板の再生が容易になる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる、本発明の一態様の半導体基板の作製方法について図2、及び図7を用いて説明する。なお、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
まず、単結晶半導体基板100を準備し、単結晶半導体基板100の表面に絶縁層101aを形成する(図7(A))。絶縁層101aは、実施の形態1と同様の方法・材料で、形成することができる。
次に、絶縁層101aを介して運動エネルギーを有する水素イオン102を単結晶半導体基板100全面に照射する(第1のイオン照射)。本実施の形態では、第1のイオン照射において、水素イオン102は、第1の深さ104aにピークの深さが到達する(図7(B))。第1のイオン照射は、実施の形態1のイオン照射と同様の方法で行うことができる。
次に、エッチング用ガス103を用いて、絶縁層101aに対してエッチングを行う(図7(C))。エッチングによって、絶縁層101aの厚みは、絶縁層101bの厚みまで減少する。
絶縁層101aのエッチングは、エレクトロフラッドガンやプラズマフラッドガンにより、プラズマ化されたエッチング用ガス103を用いて行うことができる。基板100を覆う絶縁層101aの表面付近のエッチング用ガス103は、プラズマフラッドガンによりラジカル化され、基板100上の絶縁層101aをエッチングできる。エッチング用ガス103としては、実施の形態1と同様のガスを用いることができる。
そして、絶縁層101bを介して運動エネルギーを有する水素イオン102を単結晶半導体基板100全面に照射する(第2のイオン照射)。第2のイオン照射は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
本実施の形態において、第2のイオン照射は、第1のイオン照射と全て同じ条件(加速電圧等)で行う。第2のイオン照射において、第1の深さ104aよりも深い第2の深さ104bに水素イオン102のピークの深さが到達する。これは、先のエッチングにより、絶縁層が薄くなり、水素イオン102が単結晶半導体基板100の深くまで浸入することができるようになったからである。このように、エッチングのステップ及びイオン照射のステップを交互に1回以上行うことで、脆化領域105を形成する(図7(D))。
なお、本実施の形態では、2回の水素イオン照射の間に、エッチングを行う例を示したが、イオン照射、及びエッチングの回数は、これに限られない。例えば、3回の水素イオン照射の間にそれぞれエッチングを行っても良い。
次に、単結晶半導体基板100における、後に支持基板と貼り合わせる面上に接合層106aを形成する(図7(E))。接合層106aは、実施の形態1と同様の方法・材料を用いて形成することができる。
本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いて形成することができる、好ましい水素原子のプロファイルの模式図について、図8(A)〜(C)を用いて説明する。
図8(A)〜(C)において、Y軸は水素原子濃度、X軸は深さを示す。
破線503は、水素原子濃度が1×1018atoms/cm3の位置を示す。破線502は、水素原子濃度が1×1021atoms/cm3の位置を示す。破線504は、水素原子濃度が1×1022atoms/cm3の位置を示す。
図8(A)において、損傷領域500aは、脆化領域501aを有する。脆化領域501aは、損傷領域500a中で、深さ方向に広く形成されている。
図8(A)に示す水素原子のプロファイルは、本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、得ることができる。例えば、実施の形態1に示したように、加速電圧一定で、絶縁層のエッチングと、水素イオン照射とを同時に行う。この方法を用いると、水素イオンの照射条件を変化させることなく、容易に水素イオンの浸入深さを変えることができるため、図8(A)に示したプロファイルを得ることができる。
図8(B)において、損傷領域500bは、脆化領域501bを2つ有する。このように、損傷領域は、脆化領域を複数有していても良い。なお、脆化領域を複数有する場合、それぞれの領域間の距離は、狭い方が好ましい。
損傷領域中に脆化領域を複数有することで、1つの脆化領域において単結晶半導体基板と支持基板が完全に分離できなかった際に、他の脆化領域で分離を行うことができる。そのため、支持基板上の単結晶半導体膜の孔欠陥や転写ムラを防ぐことができる。したがって、絶縁表面に欠陥の少ない単結晶半導体膜を有する半導体基板を得ることができる。
図8(B)に示す水素原子のプロファイルは、本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで得ることができる。例えば、本実施の形態に示したように、第1の水素イオン照射を行った後、絶縁層をエッチングし、第1の水素イオン照射と同じ加速電圧で、第2の水素イオン照射を行う。この方法を用いると、水素イオンの注入量を変化させることなく、容易に水素イオンの浸入深さを変えることができるため、図8(B)に示したプロファイルを得ることができる。
図8(C)において、損傷領域500cは、脆化領域501cを有する。脆化領域501cは、損傷領域500c中で、深さ方向に広く形成されている。
図8(C)に示す水素原子のプロファイルは、本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、得ることができる。例えば、実施の形態1に示したように、絶縁層のエッチングと水素イオン照射とを同時に行うステップで、水素イオン照射の加速電圧、又はエッチングガスの流量を変化させる。または、本実施の形態で示したように、第1の水素イオン照射を行った後、絶縁層をエッチングし、第1の水素イオン照射とは異なる加速電圧で第2の水素イオン照射を行う。これらの方法を用いることで、水素イオンの注入量と浸入深さを調整し、所望のプロファイルを容易に得ることができる。
図8(A)〜(C)に示した水素原子のプロファイルは、本発明の一態様で得ることができるプロファイルの一例にすぎない。本発明の一態様を用いることで、水素原子のプロファイルを多様に得ることができる。
以上のように、本実施の形態で示した本発明の一態様の半導体基板の作製方法は、イオン照射と同時に絶縁層のエッチングを行うことで、イオンの浸入深さを変えることができる。特に、イオンの照射条件を変化させる必要が無いため、イオンの浸入深さを変えることが容易である。さらに、水素イオン照射の加速電圧、又はエッチングガスの流量の変化と絶縁層のエッチングを併用することで、イオンの注入量や浸入深さを簡便に調整することができる。よって、所望の原子のプロファイルを容易に得ることができる。
本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、損傷領域を狭く、かつ、損傷領域のうち脆化領域は広く形成することができる。さらに、脆化領域よりも高い原子濃度(1×1022atoms/cm3より高い原子濃度)を有する領域が形成されることを抑制できるため、支持基板と貼り合わせる前の段階で、単結晶半導体基板に亀裂が入り、単結晶半導体膜が剥離することを防ぐことができる。
本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、損傷領域中の、脆化領域の割合を高くすることができる。損傷領域における、脆化領域の割合を高めることで、脆化領域中のある箇所で、単結晶半導体基板と支持基板が完全に分離できなかった際に、脆化領域の他の箇所で分離を行うことができる。そのため、支持基板上の単結晶半導体膜の孔欠陥や転写ムラを防ぐことができる。したがって、本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、絶縁表面に欠陥の少ない単結晶半導体膜を有する半導体基板を得ることができる。
本発明の一態様の半導体基板の作製方法を用いることで、脆化領域以外に注入されるイオンを低減できるため、損傷領域を狭く形成することができる。脆化領域以外に注入されるイオンを低減することで、支持基板上の単結晶半導体膜の損傷を軽減できる。さらに、単結晶半導体基板側に残る損傷領域が狭くなり、単結晶半導体基板の再生が容易になる。
本実施の形態は、本明細書の他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、薄型で高性能な半導体素子を有する半導体集積回路を実装し、歩留まりよく作製することを目的とした半導体装置の作製方法の一例としてCMOS(相補型金属酸化物半導体:Complementary Metal Oxide Semiconductor)構造の作製方法に関して図4及び図5を用いて説明する。なお、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
図4(A)は、支持基板130上に接合層106、絶縁層101、単結晶半導体層131が形成されている。図4(A)は、図2(C)と対応している。なお、ここでは実施の形態1で図2(C)に示す構成の半導体基板を適用する例を示すが、本明細書で示すその他の構成の半導体基板も適用できる。
単結晶半導体層131には、分離した単結晶半導体基板の導電型(含まれる一導電型を付与する不純物元素)によって、しきい値電圧を制御するためにnチャネル型電界効果トランジスタ及びpチャネル型電界効果トランジスタの形成領域に合わせて、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型を付与する不純物元素、若しくはリン、砒素などのn型を付与する不純物元素を添加してもよい。不純物元素のドーズ量は1×1012ions/cm2から1×1014ions/cm2程度で行えば良い。
単結晶半導体層131をエッチングして、半導体素子の配置に合わせて島状に分離した単結晶半導体層1205、1206を形成する(図4(B))。
単結晶半導体層上の酸化膜を除去し、単結晶半導体層1205、1206を覆うゲート絶縁層1207を形成する。
ゲート絶縁層1207は酸化シリコン、若しくは酸化シリコンと窒化シリコンの積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層1207は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。単結晶半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。例えば、亜酸化窒素をアルゴンで1〜3倍(流量比)に希釈して、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して単結晶半導体層1205、1206の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。さらに亜酸化窒素とシランを導入し、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成してゲート絶縁層を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁層を形成することができる。
また、ゲート絶縁層1207として、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどの高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層1207に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。
ゲート絶縁層1207上にゲート電極層1208及びゲート電極層1209を形成する(図4(C))。ゲート電極層1208、1209は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層1208、1209はタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジムから選ばれた元素、又は元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層1208、1209としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、Ag−Pd−Cu合金を用いてもよい。
単結晶半導体層1206を覆うマスク1211を形成する。マスク1211及びゲート電極層1208をマスクとして、n型を付与する不純物元素1210を添加し、第1のn型不純物領域1212a、1212bを形成する(図4(D))。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を用いる。ここでは、第1のn型不純物領域1212a、1212bに、n型を付与する不純物元素が1×1017〜5×1018atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。本実施の形態では、n型を付与する不純物元素としてリンを用いる。
次に、単結晶半導体層1205を覆うマスク1214を形成する。マスク1214、ゲート電極層1209をマスクとしてp型を付与する不純物元素1213を添加し、第1のp型不純物領域1215a、第1のp型不純物領域1215bを形成する(図4(E))。本実施の形態では、不純物元素としてボロンを用いるため、不純物元素を含むドーピングガスとしてはジボラン(B2H6)などを用いる。
マスク1214を除去し、ゲート電極層1208、1209の側面にサイドウォール構造の側壁絶縁層1216a乃至1216d、ゲート絶縁層1233a、1233bを形成する(図5(A))。側壁絶縁層1216a乃至1216dは、ゲート電極層1208、1209を覆う絶縁層を形成した後、これをRIE(Reactive ion etching:反応性イオンエッチング)法による異方性のエッチングによって加工し、ゲート電極層1208、1209の側壁に自己整合的にサイドウォール構造の側壁絶縁層1216a乃至1216dを形成すればよい。ここで、絶縁層について特に限定はなく、TEOS(Tetraethyl−Ortho−Silicate)若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性のよい酸化珪素であることが好ましい。絶縁層は熱CVD法、プラズマCVD法、常圧CVD法、バイアスECRCVD法、スパッタリング法等を用いることによって形成することができる。ゲート絶縁層1233a、1233bはゲート電極層1208、1209、及び側壁絶縁層1216a乃至1216dをマスクとしてゲート絶縁層1207をエッチングして形成することができる。
また、本実施の形態では、絶縁層をエッチングする際、ゲート電極層上の絶縁層を除去し、ゲート電極層を露出させるが、絶縁層をゲート電極層上に残すような形状に側壁絶縁層1216a乃至1216dを形成してもよい。また、後工程でゲート電極層上に保護膜を形成してもよい。このようにゲート電極層を保護することによって、エッチング加工する際、ゲート電極層の膜減りを防ぐことができる。また、ソース領域及びドレイン領域にシリサイドを形成する場合、シリサイド形成時に成膜する金属膜とゲート電極層とが接しないので、金属膜の材料とゲート電極層の材料とが反応しやすい材料であっても、化学反応や拡散などの不良を防止することができる。エッチング方法は、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でもよく、種々のエッチング方法を用いることができる。本実施の形態では、ドライエッチング法を用いる。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又は酸素を適宜用いることができる。
次に単結晶半導体層1206を覆うマスク1218を形成する。マスク1218、ゲート電極層1208、側壁絶縁層1216a、1216bをマスクとしてn型を付与する不純物元素1217を添加し、第2のn型不純物領域1219a、1219b、第3のn型不純物領域1220a、1220bが形成される。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてホスフィンを用いる。ここでは、第2のn型不純物領域1219a、1219bにn型を付与する不純物元素が5×1019〜5×1020atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。また、単結晶半導体層1205にチャネル形成領域1221が形成される(図5(B))。
第2のn型不純物領域1219a、第2のn型不純物領域1219bは高濃度n型不純物領域であり、ソース、ドレインとして機能する。一方、第3のn型不純物領域1220a、1220bは低濃度不純物領域であり、LDD(Lightly Doped Drain)領域となる。第3のn型不純物領域1220a、1220bはゲート電極層1208に覆われていないLoff領域に形成されるため、オフ電流を低減する効果がある。この結果、さらに信頼性の高く、低消費電力の半導体装置を作製することが可能である。
マスク1218を除去し、単結晶半導体層1205を覆うマスク1223を形成する。マスク1223、ゲート電極層1209、側壁絶縁層1216c、1216dをマスクとして、p型を付与する不純物元素1222を添加し、第2のp型不純物領域1224a、1224b、第3のp型不純物領域1225a、1225bを形成する。
第2のp型不純物領域1224a、1224bにp型を付与する不純物元素が1×1020〜5×1021atoms/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。本実施の形態では、第3のp型不純物領域1225a、1225bは、側壁絶縁層1216c、1216dにより、自己整合的に第2のp型不純物領域1224a、1224bより低濃度となるように形成する。また、単結晶半導体層1206にチャネル形成領域1226が形成される(図5(C))。
第2のp型不純物領域1224a、1224bは高濃度p型不純物領域であり、ソース、ドレインとして機能する。一方、第3のp型不純物領域1225a、1225bは低濃度不純物領域であり、LDD(LightlyDoped Drain)領域となる。第3のp型不純物領域1225a、1225bはゲート電極層1209に覆われていないLoff領域に形成されるため、オフ電流を低減する効果がある。この結果、さらに信頼性の高く、低消費電力の半導体装置を作製することが可能である。
マスク1223を除去し、不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と単結晶半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、保護膜となる水素を含む絶縁膜1227と、絶縁層1228との2層構造とするが、層間絶縁層は、単層または3層以上の積層構造としても良い。
絶縁膜1227と絶縁層1228は、スパッタ法、もしくはプラズマCVD法を用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜、他の珪素を含む絶縁膜を用いることができる。
絶縁膜1227、絶縁層1228としては他に窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成される。置換基として、有機基(例えばアルキル基、アリール基)やフルオロ基を用いてもよい。有機基は、フルオロ基を有していてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテンを用いることができる。平坦性のよい塗布法によって形成される塗布膜を用いてもよい。
絶縁膜1227、絶縁層1228は、ディップ、スプレー塗布、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、CVD法、蒸着法等を採用することができる。液滴吐出法により絶縁膜1227、絶縁層1228を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また、液滴吐出法のようにパターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用いることができる。
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、単結晶半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜1227に含まれる水素により単結晶半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410℃で1時間加熱処理を行う。
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜1227、絶縁層1228に単結晶半導体層に達するコンタクトホール(開口)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。エッチングによって、絶縁膜1227、絶縁層1228を除去し、ソース領域又はドレイン領域である第2のn型不純物領域1219a、1219b、第2のp型不純物領域1224a、1224bに達する開口を形成する。エッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよく、両方用いてもよい。ウェットエッチングのエッチャントは、フッ素水素アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む混合溶液のようなフッ酸系の溶液を用いるとよい。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又は酸素を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。
開口を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層1229a、1229b、1230a、1230bを形成する。配線層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、及びSi、Ge、又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
以上の工程でCMOS構造のnチャネル型薄膜トランジスタであるトランジスタ1231及びpチャネル型薄膜トランジスタであるトランジスタ1232を含む半導体装置を作製することができる(図5(D))。図示しないが、本実施の形態はCMOS構造であるため、トランジスタ1231とトランジスタ1232とは電気的に接続している。
本実施の形態に限定されず、トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
以上のように、単結晶半導体基板より支持基板に転載された単結晶半導体層を有する半導体基板を用いるため、単結晶半導体層は結晶性が高い。
従って、薄型の高性能な半導体装置を歩留まり良く作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と、適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本発明の一態様の半導体基板の作製方法で作製した半導体基板を含む半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図6に示す。
また、マイクロプロセッサ、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップとも呼ばれる非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置などにも本発明を適用することができる。
図6(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。本発明の一態様を適用することによって、歩留まり良く携帯情報端末機器を提供することができる。
図6(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。本発明の一態様を適用することによって、歩留まり良くデジタルビデオカメラを得ることができる。
図6(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。本発明の一態様を適用することによって、歩留まり良く携帯電話機を提供することができる。
図6(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。本発明の一態様を適用することによって、歩留まり良く携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の一態様を適用することができる。
図6(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。本発明の一態様を適用することによって、歩留まり良く携帯型のコンピュータを提供することができる。