JP2012011221A - 血液浄化用中空糸膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】血液や血漿を処理してもタンパク質吸着による孔の閉塞が無く、長時間使用しても高い物質除去性能を維持することができ、タンパク質を含む分子量領域の物質を除去することができる孔サイズを持つ血液浄化用中空糸膜、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】疎水性高分子を含有してなる中空糸膜の内壁に親水性高分子を有してなり、アルブミン阻止率が5〜95%である血液浄化用中空糸膜、並びに疎水性高分子及び溶媒を含有してなる製膜原液を内部凝固液とともに二重環状ノズルから外部凝固液中に吐出し、中空糸状に製膜する工程を含み、内部凝固液が親水性高分子を含有してなる液である、前記血液浄化用中空糸膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、血液浄化用中空糸膜及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、血液透析療法、血漿交換療法、持続緩徐式血液濾過透析等の血液浄化療法に好適に用いられ得る血液浄化用中空糸膜及びその製造方法に関する。
血液透析療法を始めとする、多孔質膜を用いて病因物質を除去する血液浄化療法の分野では、ポリスルホンに代表される合成高分子からなる多孔質膜が、物質除去性能や機械的強度に優れることから好適に用いられている。血液浄化療法を適用する疾患は、慢性腎不全、劇症肝炎、ギラン・バレー症候群、全身性エリテマトーデス、閉塞性動脈硬化症等非常に多岐に渡る。各疾患により除去すべき物質が異なるため、疾患ごとに除去すべき物質の分子量に応じた除去性能を示す膜を選択し、使用する必要がある。例えば、慢性腎不全患者に行われる血液透析療法では、尿素等の低分子量物質を除去し、大分子量物質である有用タンパク質を患者に戻す必要があるため、主に分子量69000であるアルブミンの阻止率が99%以上であり、これ以上の分子量を持つ物質はほとんど透過しない孔サイズの膜が選択される。
また、肝疾患、免疫疾患、神経疾患等の疾患では、血液透析膜では除去しきれない、大きな分子量領域に除去すべき物質があるため、血液中の血球成分(固形成分)と血漿(液体成分、タンパク質等溶存物質等も含む)を、血漿分離膜を用いて濾過分離し、分離された血球成分と健常人から採取した血漿やアルブミン製剤などの補液と混合し、患者に戻す血漿交換療法が行われる。
しかしながら、この方法では、患者の血漿より除去すべき物質以外の有用成分も除去してしまうこと、献血によって得られる貴重な資源である健常人血漿を多量に使用しなければならないこと、及びエイズ、肝炎等の感染症の合併症を引き起こす可能性が高いという欠点を有する。
このため、患者血漿中に含まれる有用物質をできる限り除去しないようにすることで、補液をできるだけ使用しないようにする方法が考案されている。例えば、肝不全では分子量が500〜5万程度の物質が除去すべき物質であるとされているのに対し、アルブミンの阻止率で70%程度の、通常の血漿分離膜よりも小さい孔サイズを持つ膜を用いて血漿交換を行うことによって、高分子量領域の有用物質をできるだけ患者に戻す方法が考案されている。この方法によって、従来は、健常人血漿を補液しなければならなかったが、アルブミン製剤で済むようになり、有限かつ貴重な資源である健常人血漿を必ずしも使用する必要がなくなった。
また、アルブミンよりも大きな分子量を持つ免疫グロブリンを除去すべき物質の一つとされている免疫疾患では、血球成分や免疫グロブリンより大きな分子量である物質と免疫グロブリン以下の分子量領域の物質を分離できる孔サイズをもつ膜と、免疫グロブリンを含む分子量領域の物質と、これよりも小さな分子量領域の物質を分離できる孔サイズを持つ膜の2種類を用い、連続的に血液を濾過処理することによって免疫グロブリンを含む分子量領域のみを除去して有用物質を患者に戻す二重膜濾過法が考案され、補液としての健常人血漿や製剤を節約できるようになった。
以上のように、原理的には血液中より除去することで、病態のこれ以上の悪化防止、又は改善ができる物質が同定されている疾患に対しては、最大2種の孔サイズをもつ分離膜を使用して血液を浄化することにより、除去すべき物質を含む分子量領域のみ除去することが可能である。
このような治療では、処理する液体が膜に吸着しやすいタンパク質を多量に含む血液や血漿であり、かつ除去する分子量領域はタンパク質を含む領域であることが多いことから、孔サイズとしては通常完全に血球成分と血漿成分を分離する血漿分離膜よりも小さく、またアルブミン以上の分子量の物質をほぼ完全に透過しない、小分子量領域の物質を除去する血液透析用膜よりも大きな孔をもつ膜が求められる。このため、孔にタンパク質が吸着し、閉塞しやすく、これを防ぐために、少なくとも処理する液体と接する表面は親水性とし、タンパク質の吸着を抑制する必要がある。
このようなタンパク質の吸着を抑制した通常の血球と血漿を完全に分離する血漿分離膜と血液透析の中間的な孔サイズを持つ血液浄化用膜についてはこれまでにも多くの検討がなされている。
例えば、疎水性高分子と親水性高分子をブレンドした紡糸原液を用いて製膜することで膜の親水性を高める方法(特許文献1等参照)や、さらに、乾湿式製膜の際に親水性高分子を含む凝固液を用いて製膜し、乾燥させることで親水性高分子を被覆し、親水化する方法が検討されている(特許文献2等参照)。
特許第3551971号公報 特開2002−212333号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているような疎水性高分子と親水性高分子をブレンドする方法では、血液と接触する表面の大部分が疎水性高分子からなり、タンパク質吸着による孔閉塞防止効果が不十分である。
また、特許文献2に開示されている方法では、親水性高分子が基材膜の選択分離層に覆い被さるように被覆されるため、特に選択分離層の孔径が小さい血液浄化用膜においては孔が閉塞され、物質除去性能が低下する原因となる。
本発明の課題は、血液や血漿を処理してもタンパク質吸着による孔の閉塞が無く、長時間使用しても高い物質除去性能を維持することができ、タンパク質を含む分子量領域の物質を除去することができる孔サイズを持つ血液浄化用中空糸膜、及び得られる膜の孔サイズを容易に制御することができ、様々な孔サイズを持つ血液浄化用中空糸膜を製造し得る方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 疎水性高分子を含有してなる中空糸膜の内壁に親水性高分子を有してなり、アルブミン阻止率が5〜95%である血液浄化用中空糸膜、並びに
〔2〕 疎水性高分子及び溶媒を含有してなる製膜原液を内部凝固液とともに二重環状ノズルから外部凝固液中に吐出し、中空糸状に製膜する工程を含み、前記内部凝固液が親水性高分子を含有してなる液であることを特徴とする、前記〔1〕に記載の血液浄化用中空糸膜の製造方法
に関する。
本発明の血液浄化用中空糸膜は、血液や血漿を処理してもタンパク質吸着による孔の閉塞がほとんど無く、長時間使用しても高い物質除去性能を維持することができ、タンパク質を含む分子量領域の物質を除去することができる孔サイズを持つ中空糸膜である。また、本発明の方法により、得られる膜の孔サイズを容易に制御することができ、様々な孔サイズを持つ血液浄化用中空糸膜を製造することができる。
本発明の血液浄化用中空糸膜は、アルブミン阻止率が5〜95%の範囲にある中空糸膜である。アルブミン阻止率は、その膜を用いて処理する液体に含まれるアルブミンをどれほど保持できるかという指標である。すなわち、血液浄化の場合、中空糸膜の内側より圧力をかけて血液や血漿をろ過したときに、濾液に濾しだされなかったアルブミンの、処理前のアルブミンに対する割合を示す。
さらに、本発明では、アルブミン阻止率は、膜の孔サイズの指標、即ち膜の物質除去性能を示す指標としても有用である。上記アルブミン阻止率を有する中空糸膜は、孔サイズが血漿分離膜と透析膜の中間的なものであり、各種疾患の病因物質を除去する血液浄化療法に用いることができる。従って、好適なアルブミン阻止率は、除去しようとする物質等により異なるため、一概には決定できないが、例えば、肝不全患者に対する血漿交換に用いられる場合は、65〜85%を行うことが好ましく、家族性高コレステロール血症のような分離された血漿から低密度リポタンパク質コレステロールを除去するために用いられる場合は、5〜10%が好ましい。
さらに、本発明の中空糸膜は、疎水性高分子を含有した中空糸膜の内壁に親水性高分子を有するものであり、内壁が親水性高分子によって親水化されているため、除去すべき病因物質の分子量と近接する分子量領域にあるタンパク質が孔に吸着することによって孔が閉塞されることが無く、長時間治療を行うことができる。
本発明において、膜の内壁とは、少なくとも膜の内表面を含む領域であり、処理する血漿、血液と接する部分を示す。血液浄化用膜の多くは、処理する血漿や血液と接する内表面が最も小さな孔サイズを持つ緻密層であり、外表面側に向かうにつれ徐々に孔サイズが大きくなる、非対称構造を有している。このような膜では、物質の除去性能は、最も孔の小さい内表面の緻密層の孔サイズによって決定される。従って、タンパク質の吸着を防ぐためには、この緻密層が親水化されていることが重要である。
中空糸膜に含有される疎水性高分子とは、適当な溶媒に溶解するものであり、疎水性高分子を溶解しない非溶媒との接触によって製膜できるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリスルホン系高分子、ポリエステル系高分子、ポリアクリロニトリル系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子等が挙げられる。これらの中では、製膜性及び物質除去性能等の観点から、ポリスルホン系高分子が好ましい。また、これらの疎水性高分子は、それぞれ単独で用いられていてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
本明細書における「ポリスルホン系高分子」とは、スルホン結合を有する高分子化合物の総称であり、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(I)で示されるユニットの繰り返し構造を有するものが挙げられ、ソルベイアドバンスドポリマーズ社より「ユーデル(UDEL)」の商標名で市販されている市販品を使用することもできる。ユーデルのなかでも汎用性、製膜性の観点から、P−1700及びP−3500の銘柄が好ましい。
Figure 2012011221
一方、中空糸膜が内壁に有する親水性高分子は、特に限定されないが、
要件(i)及び(ii):
(i) 親水性高分子4gを20℃の水100gと混合したとき、溶解する親水性高分子が0.8g以下、好ましくは0.5g以下である
(ii) 親水性高分子4gを95℃の水100gに溶解させ、この状態から20℃に冷却したときの親水性高分子の析出量が0.1g以下、好ましくは0.01g以下である
このような溶解特性を持つ親水性高分子は、20℃から40℃程度の温度では容易に水に溶けないので、治療中に血液に溶け出し、患者体内に取り込まれる恐れがないという利点を有しており、さらに、後述する製造面での利点もある。
上記要件(i)及び(ii)を満足する親水性高分子としては、血液浄化用膜としての実績もあることから、ポリビニルアルコール系高分子が好ましく、なかでも、ケン化度が94モル%以上のポリビニルアルコール(以下、PVAということがある)や、ケン化度が99%以上であり、エチレン含量が5〜15%程度のエチレン変性PVAが好ましい。なお、ポリビニルアルコール系高分子を含め、樹脂のケン化度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
ポリビニルアルコール系高分子の重合度は、100〜3000が好ましく、300〜1000がより好ましい。なお、ポリビニルアルコール系高分子の重合度は、JIS K6726−1994記載のような相対粘度より算出する方法により求められる。
本発明の中空糸膜における親水性高分子の含有量は、疎水性高分子からなる膜にタンパク質が吸着するのを防ぐ観点から、0.5重量%以上が好ましく、親水性高分子の剥離を防止する観点から、10重量%以下が好ましい。親水性高分子の含有量は、疎水性高分子のみを溶解し、親水性高分子を溶解することが出来ない溶媒を用い、疎水性高分子のみを溶解洗浄し、残渣である親水性高分子の重量を測定し、元の重量と比較すれば求められる。例えば、疎水性高分子がポリスルホン系高分子、親水性高分子がポリビニルアルコール系高分子である場合はクロロホルム、塩化メチレン等の溶媒を用いることによりこのような測定が可能である。
本発明の中空糸膜の製造方法は、特に限定されないが、例えば、疎水性高分子及び溶媒を含有した製膜原液を、親水性高分子を含有した内部凝固液とともに二重環状ノズルから外部凝固液中に吐出し、中空糸状に製膜する工程を含む方法により、得られる中空糸膜のアルブミン阻止率、即ち孔サイズを容易に調整することができる。この方法では、製膜原液と内部凝固液の間で起こる溶媒置換と同時に、凝固し、膜を形成しつつある疎水性高分子の内部に親水性高分子が取り込まれ、特に内壁側に親水性高分子を含む膜が製造される。
上記方法により製造された中空糸膜は、通常の乾湿式、または湿式紡糸で製造された膜と同様に、内表面側が最も小さな孔サイズを持ち、外表面側に向かうにつれ徐々に孔サイズが大きくなる、非対称構造となる。このような膜では、物質の除去性能は、最も孔の小さい内表面付近の孔サイズによって決定される。内表面側の孔サイズは、主にノズルから押し出された直後に製膜原液と、その内側から接する内部凝固液の組成で決定されるが、本発明では、内部凝固液に含有させる親水性高分子の量を変更することによって、得られる中空糸膜の孔サイズ、即ちアルブミン阻止率を容易に調整することができる。膜の孔サイズを小さくするためには、内部凝固液に含有させる親水性高分子の量を少なくすればよく、また、膜の孔サイズを大きくするためには、内部凝固液に含有させる親水性高分子の量を多くすればよい。内部凝固液に含有させる親水性高分子の量と、製造される膜の孔サイズの関係は、用いる親水性高分子によって異なる。
内部凝固液中の親水性樹脂の量を調整することで、膜の孔サイズが変化する原理については不明であるが、例えば、親水性樹脂が、前記要件(i)及び(ii)を満足する親水性高分子、具体的にはケン化度の高いポリビニルアルコール(PVA)系高分子である場合、以下のように推定される。高ケン化度のPVA系高分子では、分子内に水酸基を多量に含むため、水と混合する前の乾燥状態ではPVA系高分子同士での水素結合が強く、容易には水に溶けないが、一旦高温条件等でPVA系高分子同士の水素結合を切り離すと、水に容易に溶解し、水と非常に強い水素結合を形成するため、低温にしても溶解状態を維持する。このような溶液を内部凝固液に用いると、水がPVA系高分子と非常に強い水素結合を形成しているため、製膜原液の溶媒と内部凝固液の水の溶媒交換が阻害され、疎水性高分子の凝固が遅延する。その間に相分離が進行し、孔が大きく成長するため、内部凝固液中のPVA系高分子の含有量を調整することにより、孔の成長を制御することができると推定される。
疎水性高分子を溶解させるために製膜原液に用いられる溶媒としては、用いる疎水性高分子を容易に溶解することができ、かつ内部凝固液及び外部凝固液に用いる水と容易に混ざり合うことができれば特に限定されるものではないが、例えば、疎水性高分子がポリスルホン系高分子の場合、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。溶媒は単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
製膜原液中の疎水性高分子の含有量は、10〜30重量%が好ましく、15〜25重量%がより好ましい。製膜原液には、疎水性高分子及び溶媒以外に、水等の疎水性高分子を溶解しない非溶媒、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水化剤、ナトリウムイオンやリチウムイオンなどの塩類等の添加剤が適宜含まれていてもよい。
内管と内管を囲む外管から構成される二重環状ノズルの外管と内管の間から製膜原液を、内管から内部凝固液を吐出することにより、製膜原液を中空糸状に吐出することができ、内部凝固液との接触により、前記のように、中空糸膜の内壁が凝固するとともに、孔が形成される。
内部凝固液としては、親水性高分子の他に、疎水性高分子には不溶であるが、親水性高分子には可溶であり、かつ疎水性高分子に可溶な極性溶媒と相溶する溶媒を含む溶液が好ましい。かかる溶媒としては水及び極性溶媒からなる混合溶液が好ましい。極性溶媒の種類や使用量は、製膜原液を調製した際に用いた溶媒との親和性や、親水性高分子の溶解性を考慮して適宜選択される。例えば、親水性高分子がポリビニルアルコール系高分子の場合、極性溶媒にはエタノール、2−プロパノール等のアルコール類や、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が好適に用いられる。極性溶媒の濃度は、製造する多孔質膜の孔サイズによって適宜調整される。
内部凝固液中の親水性高分子の含有量は、前記の如く、得られる中空糸膜に求める孔サイズにより適宜設定されるため、特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましい。
製膜原液を内部凝固液とともに二重環状ノズルから外部凝固液中に吐出する間には、得られる中空糸膜を非対称構造とするために、製膜原液を空気と接触させるための空送部を設けることが好ましい。
外部凝固液には、疎水性高分子を凝固させるために、水を用いることが好ましい。また、連続的な製造時において水の濃度を一定に保ちやすくする目的から、製膜原液に用いる溶媒を少量含有させてもよい。水の含有量は、外部凝固液中、70重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましい。
外部凝固液及び内部凝固液の温度は、使用する高分子の種類等によっても異なるが、例えば、疎水性高分子がポリスルホンの場合、20〜80℃程度が好ましい。
外部凝固液に導いて得られた中空糸膜は、水等を用いた洗浄により、残存する溶媒を適宜除去した後、乾燥させることにより、血液浄化用膜として用いることができる。このようにして得られた血液浄化用中空糸膜は、一般的には円筒状のケース内にて両端をウレタンなどの樹脂で収束固定された血液浄化器の状態で血液や血漿の処理に用いられる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
〔ポリビニルアルコール系高分子の重合度〕
ポリビニルアルコール系高分子の重合度は、JIS K6726−1994に記載の方法に従って測定した。
〔樹脂のケン化度〕
樹脂のケン化度は、JIS K6726−1994に記載の方法に従って測定した。
実施例1〜7
ポリスルホン(ソルベイアドバンスドポリマーズ社製、UDEL P-1700)21重量%、ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略すことがある)45重量%及びポリエチレングリコール(分子量600)34重量%からなる製膜原液を調製した。得られた製膜原液を60℃に保ち、表2に示す組成からなる内部凝固液を二重環状ノズルの内部に注入しながら空気中に押し出し、50℃の水からなる外部凝固液に導き凝固させた後、50℃の水からなる水洗浴で洗浄し、中空糸膜を得た。なお、内部凝固液は、予め溶媒のみを計量し、セパラブルフラスコ内で80℃まで昇温した後、80℃のまま撹拌棒を回転数300r/minで撹拌しながら計量した樹脂を投入し、溶解が完了したものを60℃にして内部凝固液として用いた。また、二重環状ノズルの吐出口から外部凝固液に接触するまでの距離は10cmに調整した。
比較例1〜7
内部凝固液として、表3に示す組成からなるものを使用した以外は、実施例1と同様にして、中空糸膜を得た。
なお、比較例2では、内部凝固液の溶媒濃度が高いためノズルから吐出された製膜原液が連続した中空糸として凝固せず、途中で自重により切れてしまうことが多発し、中空糸膜を得ることができなかった。
以下の方法により測定した、実施例及び比較例で使用した親水性樹脂の溶解特性を表1に示す。
〔親水性樹脂の溶解特性の測定方法〕
水100gを冷却器及び撹拌棒を装備した2口フラスコに入れ、恒温槽で15℃にする。撹拌棒の回転数を300r/minとし、測定する親水性高分子4gを投入し、恒温槽の温度を調整しながら1℃/minで水温を昇温させる。水温が20℃、95℃となったところでホールピペットでフラスコ内より10ml採取し、No.5Aのろ紙を用いて濾過、ろ液を秤量管にとり重量(Ag)を測定する。秤量管を恒量となるまで60℃で乾燥、常温まで冷却後溶解高分子量を秤量(Bg)し、以下の式にて各温度での高分子の溶解度を算出する。
溶解度(g)=100×B/(A−B)
さらに、95℃での溶解度を測定した後の残りの液を、撹拌棒の回転数を50r/minにして撹拌を弱め、恒温槽の温度を20℃に設定し、徐々に冷却する。水温を20℃まで自然冷却したところで、溶解度測定と同様にして溶解度を求め、95℃での溶解度より差し引き、析出量を求める。
Figure 2012011221
実施例1〜7、比較例1、3〜7で得られた中空糸膜のアルブミン阻止率、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂の含有量と牛血漿タンパク質の吸着量を以下の方法により測定した。結果を表2、3に示す。
〔アルブミン阻止率〕
膜面積が2.0m2となるよう組み立てられた血液浄化器内に、血液浄化器にかかる圧力を計測しながら、牛血漿(総タンパク質濃度6.5g/dl)を流速30ml/分で全ろ過し、30分後に血液浄化器の入口側、ろ液より血漿を採取、それぞれのアルブミン濃度を測定し、式(II):
アルブミン阻止率=(1−Cf/Cbi)×100 (II)
(ただし、Cf、Cbiはそれぞれ、ろ液側、血液浄化器入口側より採取したサンプルのアルブミン濃度を示す)
からアルブミン阻止率を算出した。なお、アルブミン濃度は液体クロマトグラフィーを用い(カラム:TSKgelG3000SW(東ソー社製)、溶離液:0.22mol/lクエン酸緩衝液pH6.0と0.3mol/l塩化ナトリウム水溶液、溶離液流速:1.0ml/min、検出器:UV計(波長:280nm))、アルブミンのピーク面積を濃度として扱った。
また、その後も循環を続け、血液浄化器にかかる圧力が500mmHgに達したときを、タンパク質による目詰まりが著しいと判断し、血漿の処理を止めることとした。
〔親水性高分子の含有量〕
乾燥重量5gの乾燥中空糸膜を、クロロホルムによって洗浄することで疎水性高分子のみを溶解させた後に、残存した未溶解物を40℃にした熱風乾燥機内で一晩乾燥し、その重量を測定して、膜中の親水性高分子の含有量を算出した。
〔牛血漿タンパク質の吸着量〕
有効膜面積が150cm2である小型血液浄化器を作製し、予め生理食塩水を満たした後、総タンパク質濃度を6.5g/dlに調整した牛血漿を、2ml/minの流速で、15分間血液浄化器に通液し、その後生理食塩水を2ml/minの流速で15分間通液することで血液浄化器に残存する牛血漿を洗浄した。血液浄化器より中空糸膜を取り出し、1%ドデシル硫酸ナトリウム(以下SDS)水溶液75mlに浸し、SDS水溶液中に遊離したタンパク質(膜に吸着したタンパク質)の濃度を測定し、式(III):
膜面積当たりのタンパク質吸着量(μg/cm2)
=(SDS水溶液中に遊離したタンパク質の濃度)×75/150 (III)
によって膜面積当たりのタンパク質の吸着量を算出した。測定にはMicroBCATMProtein Assay(Pierce社)キットを使用し、蛍光強度は蛍光光度計F-2000(日立製)で測定した。
Figure 2012011221
Figure 2012011221
実施例1〜7の中空糸膜は、表2に示すように、幅広いアルブミン阻止率を有し、かつタンパク質の吸着も少量であり、アルブミン阻止率の測定後も、1時間以上圧力の急激な上昇無く血漿処理を行うことができた。
これに対し、比較例1、3〜7の中空糸膜は、表3に示すように、アルブミン阻止率が99%以上と高く、アルブミンと同等以上の高分子量物質を除去する治療には適していないことが分かる。なかでも、比較例1、3の中空糸膜は、親水性高分子を含有していないため、タンパク質の吸着が著しく、アルブミン阻止率の測定後、およそ15分で圧力が500mmHgに達し、それ以上血漿の処理を行うことができなかった。
本発明の血液浄化用中空糸膜は、血液透析療法、血漿交換療法、持続緩徐式血液濾過透析等の血液浄化療法に好適に用いられ得る。

Claims (4)

  1. 疎水性高分子及び溶媒を含有してなる製膜原液を内部凝固液とともに二重環状ノズルから外部凝固液中に吐出し、中空糸状に製膜する工程において、前記内部凝固液として親水性高分子を含有してなる液を用いて製膜した中空糸膜であって、
    前記親水性高分子として、4gを20℃の水100gと混合したときの溶解量が0.8g以下である親水性高分子を用い、
    疎水性高分子を含有してなる中空糸膜の内壁に前記親水性高分子を有してなり、アルブミン阻止率が5〜95%である血液浄化用中空糸膜。
  2. 内部凝固液中の親水性高分子の含有量を0.5重量%以下とし、中空糸膜のアルブミン阻止率が62.8%以上になることを特徴とする請求項1の血液浄化用中空糸膜。
  3. 親水性高分子の含有量が0.5〜10重量%である、請求項1又は2に記載の血液浄化用中空糸膜。
  4. 疎水性高分子がポリスルホン系高分子である、請求項1〜3いずれかに記載の血液浄化
    用中空糸膜。
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