JP2012010609A - 農業用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】早朝や夕方などの太陽高度が低く農作物の生育に適さない日光の照射角度を農作物の生育に適した角度に変更したり、太陽高度が高く強い日光を分散又は散乱させ、これにより有効日照時間を調節して農作物の育成に適した日照環境とすることの可能な農業用シートを提供する。
【解決手段】透明な樹脂フィルムの一面に光線を屈折及び/又は反射可能な光学エレメントが実質的に隣接して配列された光学シートからなり、前記光学エレメントは光学シートと垂直な軸に対して回転対称性を持つ形状であることを特徴とする農業用シートである。
【選択図】なし
【解決手段】透明な樹脂フィルムの一面に光線を屈折及び/又は反射可能な光学エレメントが実質的に隣接して配列された光学シートからなり、前記光学エレメントは光学シートと垂直な軸に対して回転対称性を持つ形状であることを特徴とする農業用シートである。
【選択図】なし
Description
本発明は、農業用ハウスの被覆材料として用いられるシートに関し、さらに詳しくは、早朝や夕方などの太陽高度が低く農作物の生育に適さない日光の照射角度を農作物に適した角度に変更したり、又は高い直射高度を緩和して、これにより農作物の生育に適した照射角度の日光が照射される時間を調節することにより、農作物の生育に適した日照環境を作ることが可能な農業用シートに関する。
従来より、野菜、花卉、果樹等の農作物生育に必要な、保温、害虫防御、防霜等のために、各種のフィルムや平板等の被覆材が広く用いられている。フィルムにあっては、その表面に凹凸構造を設けたものが広く知られている(特許文献1、2)。
その第1の目的は、フィルムの取扱いを容易にするためであり、具体的には、フィルムを巻き上げたり、重ねた場合に、フィルム同士が密着し作業性を低下させるのを防止することにある。
第2の目的は、直射日光の散乱による植物に対する効果を利用することにある。即ち、直射光の場合は、光が直接当たる葉の部分は必要以上の光量が到達する反面、光が直接当たらない陰の葉の部分は光量が不足することになる。そこで、散乱光を用いると、陰になりやすい葉の部分まで光が到達し、植物全体として光合成の効率が向上するのである。
その第1の目的は、フィルムの取扱いを容易にするためであり、具体的には、フィルムを巻き上げたり、重ねた場合に、フィルム同士が密着し作業性を低下させるのを防止することにある。
第2の目的は、直射日光の散乱による植物に対する効果を利用することにある。即ち、直射光の場合は、光が直接当たる葉の部分は必要以上の光量が到達する反面、光が直接当たらない陰の葉の部分は光量が不足することになる。そこで、散乱光を用いると、陰になりやすい葉の部分まで光が到達し、植物全体として光合成の効率が向上するのである。
散乱光を起こさせる方法としては、被覆材の表面を梨地加工する、被覆材中に光拡散材を含有させる方法、等がある。しかし、梨地加工したものや、光拡散材を含有させたものは、ランダムな凹凸形状であり、入射光が散乱するなどの理由から、表面での乱反射が多く透過率が減少しやすい。更に、被覆材を通して被覆の植物の生育状態が見えないという問題もある。
一方、凹凸構造をエンボス加工によって被覆材表面に付与する方法により光線透過率の改善を試みようとして、凹凸条列を40度以下の傾斜面とし、白色光の分光を促進し、且つ、条列と条列の間に水平面を設けて透視性の改善も試みられた提案がなされ(特許文献3)、また、凹凸条列をサインカーブにしたり、ヘーズ値を50%以下とする提案がなされている(特許文献4)。
しかしながら、拡散シートは、一般的に、光拡散の性能(ヘイズ)が高いと全光線透過率が低く、逆に全光線透過率を高くすれば光拡散の性能(ヘイズ)が低くなる傾向が大きい。従って、昼の時間帯に十分な光合成ができるほど全光線透過率を高くすれば光拡散の性能(ヘイズ)が低くなり、この結果、朝夕の時間帯に農作物に照射される散乱光が少なくなるので、結局有効日照時間は余り長くすることにはならない。
しかしながら、拡散シートは、一般的に、光拡散の性能(ヘイズ)が高いと全光線透過率が低く、逆に全光線透過率を高くすれば光拡散の性能(ヘイズ)が低くなる傾向が大きい。従って、昼の時間帯に十分な光合成ができるほど全光線透過率を高くすれば光拡散の性能(ヘイズ)が低くなり、この結果、朝夕の時間帯に農作物に照射される散乱光が少なくなるので、結局有効日照時間は余り長くすることにはならない。
近年、気候の温暖化に伴い、植物の生育環境が変化して、従来栽培の適地であった地域が適地でなくなったり、ハウス栽培が普及して、季節外植物の生育が求められたりして、農作物用被覆材の特性の要求も変化している。
その一つが日照条件の変化を促す被覆材で、日照方向の変向を試みたものとしてシートの両側の凹凸形状を外側に傾斜させる方法が提案されている(特許文献5)が、南中時の日照条件を考慮したに過ぎず、朝夕の農作物の照射には殆ど利用されていない時間帯の日照条件を考慮し、この時間帯の日照方向を変向させ農作物の生育に有効な日照時間の調節を図るものではない。
その一つが日照条件の変化を促す被覆材で、日照方向の変向を試みたものとしてシートの両側の凹凸形状を外側に傾斜させる方法が提案されている(特許文献5)が、南中時の日照条件を考慮したに過ぎず、朝夕の農作物の照射には殆ど利用されていない時間帯の日照条件を考慮し、この時間帯の日照方向を変向させ農作物の生育に有効な日照時間の調節を図るものではない。
本発明はかかる実情に鑑み、上記の従来技術の問題点を解消し、早朝や夕方などの太陽高度が低く農作物の生育に適さない日光の照射角度を農作物の生育に適した角度に変更し、また、高い直射高度を緩和して、これにより各種の植物に有効な日照時間を調節して農作物の生育に適した日照環境を作ることの可能な農業用シートを提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、本発明の請求項1は、透明な樹脂フィルムの一面に光線を屈折及び/又は反射可能な光学エレメントが実質的に隣接して配列された光学シートであって、前記光学エレメントは光学シートと垂直な軸に対して対称性を有する形状からなることを特徴とする農業用シートを内容とする。
本発明の請求項2は、光学エレメントは、光学シートに設けられた凸状の光学単位であることを特徴とする請求項1に記載の農業用シートを内容とする。
本発明の請求項3は、光学エレメントは、断面が三角形、半円形、半楕円形の平行条列型、半球状型、半楕円球状型、三角錐型、四角錘型、円錐型のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の農業用シートを内容とする。
本発明の請求項4は、光学シートにおける光学エレメントの底面積が占める割合が63%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の農業用シートを内容とする。
本発明の請求項5は、光学エレメントの繰返し周期が30〜300μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の農業用シートを内容とする。
本発明の請求項6は、厚みが50〜500μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の農業用シートを内容とする。
本発明の請求項7は、請求項1乃至6のいずれかに記載の農業用シートを骨組み上に被覆した農業用ハウスであって、前記農業用シートは光学エレメントが内側になるように配置されていることを特徴とする農業用ハウスを内容とする。
本発明の請求項8は、請求項1乃至6のいずれかに記載の農業用シートを骨組み上に被覆した農業用ハウスであって、前記農業用シートは光学エレメントが外側になるように配置されていることを特徴とする農業用ハウスを内容とする。
本発明の農業用シートは、透明な樹脂フィルムの一面に光線を屈折及び/又は反射し該フィルムを通して光線方向を変化させることの可能な光学エレメントが配列された光学シートであって、前記光学エレメントは光学シートと垂直な軸に対して対称性を有する形状からなる。本発明の農業用シートによれば、早朝や夕方などの太陽高度が低く農作物の生育に適さない日光の照射角度を農作物の生育に適した角度に変更し、または、高い直射高度を緩和して、これにより各種の植物に有効な日照時間を調節して農作物の生育に適した日照環境を作り出すことができる。また、シートからの出射光が1方向に偏らず、農業用シート内を出射光で満遍なく照射することができるため、影ができにくくなり、このため光合成の効率が向上する。
光学エレメントは、光学シートに設けられた凸状の光学単位からなるので、この農業用シートの凸状部から出射又は入射された日光が深い角度で出射され、これにより太陽高度が低い時間帯の日光を農作物に照射したり、又は高い高度の直射光を分散、散乱することができ、実質的に有効日照時間を増減することができる。
また、光学シートの基準面に対して凸状の光学単位からなるとともに、光学シートと垂直な軸に対して対称性を持つ形状としては、断面が三角形、半円形、半楕円形の平行条列型(所謂レンチキュラー型)、半球状型、半楕円球状型、三角錐型、四角錘型、円錐型が好適である。
また、光学シートにおける光学エレメントの底面積が占める割合が63%以上であり、光学エレメントの繰返し周期が30〜300μmであり、光学シートの厚みが50〜500μmであることが好ましい。
更に、農業用シートを骨組み上に被覆した農業用ハウスであって、前記農業用シートは光学エレメントが内側又は外側のどちらかになるように配置されている農業用ハウスが好ましい。
本発明における農業用シートは、透明なフィルムの一面に光線を屈折及び/又は反射可能な光学エレメントが実質的に隣接して配列された光学シートであって、前記光学エレメントは光学シートと垂直な軸に対して対称性を有する形状からなることを特徴とする。
なお、本発明において光学シートとは、透明樹脂からなり、入射された光を屈折及び/又は反射させて光の出射方向や分散などを変化させるシートをいい、光学エレメントとは光学シートにおいて光を屈折及び/又は反射させるための微細な立体構造をいう。
なお、本発明において光学シートとは、透明樹脂からなり、入射された光を屈折及び/又は反射させて光の出射方向や分散などを変化させるシートをいい、光学エレメントとは光学シートにおいて光を屈折及び/又は反射させるための微細な立体構造をいう。
本発明において光学エレメントは、光学シートに設けられた凸状の光学単位であるので、日照時間中、屈折、反射して光を変向し易くするために対称性を有する形状とされる。このような形状としては、断面が三角形、半円形、半楕円形である平行条列型や平行溝列型、半球状型、半楕円球状型、三角錐型、四角錘型、円錐型等が例示できる。
凸状の光学単位はフィルム基準面を底辺とした時にその高さが0.4以上の凸状が好ましい。直角二等辺三角形、半円形ではその高さは0.5であり、楕円形や鋭角三角形ではその比は大きくなる。この高さは高い程光学効果は大きくなるが、製造上の困難が伴うので1.0までが実用的な効果を示す。
光学エレメントは光学シートに隙間なく敷きつめるように設けた方が好ましいが、少々隙間が開いていても本発明の効果を得ることができる。光学シートにおける光学エレメントの底面積が占める割合の下限は63%程度であり、これ以上であれば有効日照時間を調節することが可能である。
光学エレメントは光学シートに隙間なく敷きつめるように設けた方が好ましいが、少々隙間が開いていても本発明の効果を得ることができる。光学シートにおける光学エレメントの底面積が占める割合の下限は63%程度であり、これ以上であれば有効日照時間を調節することが可能である。
光学エレメントの繰返し周期は30〜300μm程度が好ましい。繰り返し周期が30μmよりも小さければ光学エレメントが小さすぎて設計どおりに成形することができず、所望の光学性能がでない場合がある。300μmより大きいと、その分光学シート全体を分厚くする必要が生じ、硬くて扱いにくくなるので、この光学シートを農業用シートとして使用しにくくなる。
また、拡散シートの厚さは、通常50μm〜500μm程度が好ましい。50μmよりも薄いと破れやすく、500μmよりも分厚いと硬くて扱いにくくなる。
また、拡散シートの厚さは、通常50μm〜500μm程度が好ましい。50μmよりも薄いと破れやすく、500μmよりも分厚いと硬くて扱いにくくなる。
本発明において農業用シートの素材として用いる樹脂は、透明な樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンで代表されるポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体で代表される酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、メチルメタアクリレート系樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
本発明の農業用シートの光学エレメントに日光が入射された場合について、光学エレメントが凸状の光学単位の典型例である直角二等辺三角形のプリズム条列からなり、屈折率を通常のプラスチックスの1.5を想定し、また、該農業用シートを水平に設置した場合について考えてみる。
プリズムによる屈折、反射を生ずる主なる光路について、図1は、プリズム裏面に入射しプリズム面から出射する場合の光路を示すが、入射高度が一定の場合でも、出射光はa、bの2種の光路に分かれる。即ち、プリズムからの入射角は変わらないが、出射方向が異なる。そして、光路a(プリズム内全反射を生ずる)を通る割合は、入射面の屈折角をθとすると、(0.707)2 (1−tanθ)となり、残りが光路bを通る。
図2は、プリズム面に入射した場合の光路を示すが、この場合の光路はc1 、c2 、d1 、d2 の4種に主として分かれる。この場合の光路は、入射高度またはプリズムの底辺に対して45度よりも低いと光路cとなり、50度以上では光路dとなる。光路cとdが同時に起こるケースは、屈折率1.5では高度45度以上50度の狭い範囲で起こる。c1 はプリズム底辺で全反射する場合であり、c2 はプリズム面で全反射する場合である。c1 とc2 に分かれる割合は、前述の屈折角θで表わすとc1 は(1−tanθ)となりc2 はtanθである。光路c1 の出射角は入射角と同一であり、光路dは同一高度であっても入射角が異なり、光路d2 の入射角は(90°−d1 )の入射角の値となる。これを高度で表わすと光路d1 は(高度−45°)であり、光路d2 は(135°−高度)となる。この出射角は(高度−45°)を単位とすると光路d1 はsinより、また、光路d2 はcosより屈折角が算出される。光路d1 と光路d2 に分かれる割合は入射高度によって決まり、cos(高度−45°)対sin(高度−45°)の比率となる。
プリズムによる屈折、反射を生ずる主なる光路について、図1は、プリズム裏面に入射しプリズム面から出射する場合の光路を示すが、入射高度が一定の場合でも、出射光はa、bの2種の光路に分かれる。即ち、プリズムからの入射角は変わらないが、出射方向が異なる。そして、光路a(プリズム内全反射を生ずる)を通る割合は、入射面の屈折角をθとすると、(0.707)2 (1−tanθ)となり、残りが光路bを通る。
図2は、プリズム面に入射した場合の光路を示すが、この場合の光路はc1 、c2 、d1 、d2 の4種に主として分かれる。この場合の光路は、入射高度またはプリズムの底辺に対して45度よりも低いと光路cとなり、50度以上では光路dとなる。光路cとdが同時に起こるケースは、屈折率1.5では高度45度以上50度の狭い範囲で起こる。c1 はプリズム底辺で全反射する場合であり、c2 はプリズム面で全反射する場合である。c1 とc2 に分かれる割合は、前述の屈折角θで表わすとc1 は(1−tanθ)となりc2 はtanθである。光路c1 の出射角は入射角と同一であり、光路dは同一高度であっても入射角が異なり、光路d2 の入射角は(90°−d1 )の入射角の値となる。これを高度で表わすと光路d1 は(高度−45°)であり、光路d2 は(135°−高度)となる。この出射角は(高度−45°)を単位とすると光路d1 はsinより、また、光路d2 はcosより屈折角が算出される。光路d1 と光路d2 に分かれる割合は入射高度によって決まり、cos(高度−45°)対sin(高度−45°)の比率となる。
図3は農業用ハウスの水平な屋根にプリズム構造を内側に向けて用い、プリズム構造の裏面を太陽光線の入射面とした場合を示す。表1はプリズム条列を南北に向けて設置し、太陽は真東より出て真上を南中して通過し真西に沈む場合において、日照高度が日の出の0度より正午の90度までの出射高度の増減を高度別に算出したものである。出射高度は東よりにか西よりにかを区別して高度表示し、照射高度を差し引きして増減を求めた。更に、a/b光路比を掛け合わせてその高度時点の増減合計を求めた。
表1から、日照高度45度までは高度の上昇が見られ、60度でほぼ均衡した後、南中前後には減退に転ずる。午後はこれと対称的に高度の増減が生ずるので、日の出直前に高い高度の日照に変換し、南中時には日照が一部上向きに転ずるが、この前後まで高度の増加が続き、午後も日没直前まで高度の増加が実現するので、実質的に日照時間が延長されたような日照環境を作り出すことができる。
図4はプリズム構造を外側に向けて用い、プリズム構造面を太陽光線の入射面とした場合である。表2は表1と同様に日照高度を東側0度から90度まで照射した場合の増減である。表1と同様に、高度の増減をその光路の比率と掛け合わせ合計して、各高度の照射の高度の増減を表示した。
表2によると、日照高度45度までは上向きの光が増加して陰る効果となり、一部は高度の増加も起こるが、これ以上の高度ではすべて高度の低下を起こし、分割散乱される。表1のプリズム構造を内側に向けたハウスと比べると、遅れた日の出と早い日の入りと直射日光の緩和の環境となり、日照時間の短縮環境となる。
図5は7個のプリズムをプリズム面を内側に向けて半円状に配置した農業用ハウスの模型図である。中心から水平面を基準に0度、30度、60度、90度及びこれと対称的に設置し、図1、図2と同様にプリズム条列を南北に、太陽を真東から真上を通って真西に沈むものとして各プリズムにNo.を付した。
表3は日照高度0度で照射した場合の各プリズムからの出射高度の様子を示し、その方向について、表1、2と同様に、東側水平線を基準とした場合の高度、及び西側を基準とした場合の高度の表示を行った。更に、どの光路による増減かを光路の比率を掛け合わせて合計し、その上それぞれのプリズムが照射方向に対しての傾きを垂直成分に換算し、修正係数を掛け合わせて受光プリズムの総和を求めた。午前6時の高度0度では7個のプリズムの高度増加の合計は79.3度となる。また、受光プリズムの修正係数の総和は全受光面に相当し、外方へ向かう。No.1プリズムの面をこの値で割ると42.2%となり外向き反射の割合である。
表4は高度45度、時刻9時相当の日照状況を示す。全プリズムの高度の増加度は36.0となり、上向きになると考えられる。No.3プリズムのa光路の比率0.41と垂直面換算係数0.97の積0.4が全受光面相当の修正係数の総和の3.52の内の1.3%に当たり、全受光量の11.3%がハウス外に反射される。
表5は正午の高度90度の場合の日照状況である。高度は減小に転じ、上向きの光となってハウス外に反射される光の面積は1.0であり、プリズムの全受光面積は3.74であるから26.7%となるが、直射光は分割・散乱する日射が増加することになる。
表3は日照高度0度で照射した場合の各プリズムからの出射高度の様子を示し、その方向について、表1、2と同様に、東側水平線を基準とした場合の高度、及び西側を基準とした場合の高度の表示を行った。更に、どの光路による増減かを光路の比率を掛け合わせて合計し、その上それぞれのプリズムが照射方向に対しての傾きを垂直成分に換算し、修正係数を掛け合わせて受光プリズムの総和を求めた。午前6時の高度0度では7個のプリズムの高度増加の合計は79.3度となる。また、受光プリズムの修正係数の総和は全受光面に相当し、外方へ向かう。No.1プリズムの面をこの値で割ると42.2%となり外向き反射の割合である。
表4は高度45度、時刻9時相当の日照状況を示す。全プリズムの高度の増加度は36.0となり、上向きになると考えられる。No.3プリズムのa光路の比率0.41と垂直面換算係数0.97の積0.4が全受光面相当の修正係数の総和の3.52の内の1.3%に当たり、全受光量の11.3%がハウス外に反射される。
表5は正午の高度90度の場合の日照状況である。高度は減小に転じ、上向きの光となってハウス外に反射される光の面積は1.0であり、プリズムの全受光面積は3.74であるから26.7%となるが、直射光は分割・散乱する日射が増加することになる。
図6はプリズム面を外側に向けて、図5と同様に、半円状に配置した農業用ハウスの模型図で、表6、表7、表8は、それぞれ日照高度が0度、45度、90度で照射した時のハウス内の高度変化及びハウス外への反射の状況を示している。
日照高度が0度では、表6に示すように、20.2度の高度増加があるが、全面積2.37の内ハウス外方へ向かう出射面は1.68あるので70.9%が外方に向かうことになる。日照高度が45度では、表7に示すように、高度の低下は少ないが、ハウス外への反射面積1.42に達し全照射面積3.71内の38.2%になる。日照高度が90度では、表8に示すように、高度の低下が123.3あり、ハウス外方へ反射されるプリズム面積はNo.2とNo.6より0.83、全面積が3.74であるから22.1%に達する。
表9はプリズム面をハウスの内側に向けて設置した場合と外側に向けて設置した場合の日照高度別(0度、45度、90度)の増減とハウス外方へ反射するプリズム面の全入射プリズム面に対する比率を示している。
表9によれば、プリズム構造を設けたフィルムを農業用ハウスに設置するのにプリズム面を内側に向けてプリズム面を出射面とするか、逆にプリズム面を外側に向けてプリズム面を入射面とするかにより大きく異なり、ほぼ逆の効果を示すことがわかる。即ち、プリズム面を内側に向けて設置する場合、日照高度が低い時間帯では低い日照高度を大きく高め、日照高度が高い時間帯では一部日照を外方へ向かわせる部分があるが、高度の増減は少ない。
一方、プリズム面を外側に向けて設置する場合には、実質的に日射強度の強い高度の高い時間帯は高度を低下せしめる効果が大きく、全時間帯を通じてハウス外方へ反射させる率が大きい。
言い換えると、プリズム構造を内側に向けて設置すると日照時間を延長したのと類似の効果が得られ、逆に外側に向けて設置すると日照時間を短縮したのと類似の効果が得られる。
一方、プリズム面を外側に向けて設置する場合には、実質的に日射強度の強い高度の高い時間帯は高度を低下せしめる効果が大きく、全時間帯を通じてハウス外方へ反射させる率が大きい。
言い換えると、プリズム構造を内側に向けて設置すると日照時間を延長したのと類似の効果が得られ、逆に外側に向けて設置すると日照時間を短縮したのと類似の効果が得られる。
本発明の効果を確認するために、照明設計解析ソフトウェア「LightTools」(サイバネットシステム株式会社製)を用いた模擬実験(シミュレーション)を行った。
模擬実施例1
図7、図8に示すように、農業用シート1については、断面形状が二等辺直角三角形で周期が150μmのプリズム型の光学エレメントが隣接して配列された、厚さ300μm(プリズムを含む)の光学シートであって、屈折率が1.51(ポリエチレンの屈折率に相当)であると設定した。
農業用ハウスHについては、上記の農業用シート1を半円筒状に光学エレメントが内側になり、プリズム条列が地平面に対して平行で且つ南北方向になるように半円状に設置したもので、大きさを5mm四方と設定した。
光源としては、10mm四方の板状部材から10,000本の光線を発するように設定した。
光線の向きとしては、大阪駅(北緯34.72、東経135.47)における7月1日の6時、9時、12時、15時、18時の直射日光に相当する方向とした。図中、2は農作物、SLは太陽光線である。
上記の条件で模擬実験を行い、農業用ハウス内の農地に相当する5mm四方の地面(以下、単に農地と称する)に到達した光線の本数をカウントした。結果を表10に示す。
図7、図8に示すように、農業用シート1については、断面形状が二等辺直角三角形で周期が150μmのプリズム型の光学エレメントが隣接して配列された、厚さ300μm(プリズムを含む)の光学シートであって、屈折率が1.51(ポリエチレンの屈折率に相当)であると設定した。
農業用ハウスHについては、上記の農業用シート1を半円筒状に光学エレメントが内側になり、プリズム条列が地平面に対して平行で且つ南北方向になるように半円状に設置したもので、大きさを5mm四方と設定した。
光源としては、10mm四方の板状部材から10,000本の光線を発するように設定した。
光線の向きとしては、大阪駅(北緯34.72、東経135.47)における7月1日の6時、9時、12時、15時、18時の直射日光に相当する方向とした。図中、2は農作物、SLは太陽光線である。
上記の条件で模擬実験を行い、農業用ハウス内の農地に相当する5mm四方の地面(以下、単に農地と称する)に到達した光線の本数をカウントした。結果を表10に示す。
模擬実施例2
模擬実施例1で用いた農業用シート1を光学エレメントが外側になるように設置した他は模擬実施例1と同様に行った。結果を表10に示す。
模擬実施例1で用いた農業用シート1を光学エレメントが外側になるように設置した他は模擬実施例1と同様に行った。結果を表10に示す。
模擬比較例1
農業用シート1の形状を厚さ300μmの平坦なシート状とした他は模擬実施例1と同じ条件で農業用ハウス内の農地に到達した光線の本数をカウントした。結果を表10に示す。
農業用シート1の形状を厚さ300μmの平坦なシート状とした他は模擬実施例1と同じ条件で農業用ハウス内の農地に到達した光線の本数をカウントした。結果を表10に示す。
模擬比較例2
農業用シート1を用いなかった他は模擬実施例1と同じ条件で農業用ハウス内の農地に到達した光線の本数をカウントした。結果を表10に示す。
農業用シート1を用いなかった他は模擬実施例1と同じ条件で農業用ハウス内の農地に到達した光線の本数をカウントした。結果を表10に示す。
表10によれば、光学エレメントを内側とした場合(模擬実施例1)、表9に示した計算結果とほぼ同様の結果が得られている。即ち、6:00及び18:00のように太陽高度が低い時間帯では農地に照射される光線の本数が大巾に増加しており、実質的に有効日照時間が延長されたのと類似の効果が得られていることがわかる。
また、9:00〜15:00のような太陽高度が高い時間帯では逆に農地に照射される光線の本数が減っているが、これも表9の計算結果と一致している。これは農業用シートの正面から照射される日光が再帰性反射されて、農地には照射されないからであると考えられる。
同様にプリズム構造を外側とした場合(模擬実施例2)、表9の計算結果と同様に、日照高度を調節する効果が得られることがわかる。
また、9:00〜15:00のような太陽高度が高い時間帯では逆に農地に照射される光線の本数が減っているが、これも表9の計算結果と一致している。これは農業用シートの正面から照射される日光が再帰性反射されて、農地には照射されないからであると考えられる。
同様にプリズム構造を外側とした場合(模擬実施例2)、表9の計算結果と同様に、日照高度を調節する効果が得られることがわかる。
叙上のとおり、本発明に係る農業用シートは、早朝や夕方などの太陽高度が低く農作物の生育に適さない日光の照射角度を農作物に適した角度に変更したり、太陽高度が高く強い日光を分散又は散乱させ、これにより有効日照時間を調節して農作物の生育に適した日照環境とすることができる。
1 農業用シート
2 農作物
H 農業用ハウス
SL (太陽)光線
2 農作物
H 農業用ハウス
SL (太陽)光線
Claims (8)
- 透明な樹脂フィルムの一面に光線を屈折及び/又は反射可能な光学エレメントが実質的に隣接して配列された光学シートであって、前記光学エレメントは光学シートと垂直な軸に対して対称性を有する形状からなることを特徴とする農業用シート。
- 光学エレメントは、光学シートに設けられた凸状の光学単位であることを特徴とする請求項1に記載の農業用シート。
- 光学エレメントは、断面が三角形、半円形、半楕円形の平行条列型、半球状型、半楕円球状型、三角錐型、四角錘型、円錐型のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の農業用シート。
- 光学シートにおける光学エレメントの底面積が占める割合が63%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の農業用シート。
- 光学エレメントの繰返し周期が30〜300μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の農業用シート。
- 厚みが50〜500μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の農業用シート。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の農業用シートを骨組み上に被覆した農業用ハウスであって、
前記農業用シートは光学エレメントが内側になるように配置されていることを特徴とする農業用ハウス。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の農業用シートを骨組み上に被覆した農業用ハウスであって、
前記農業用シートは光学エレメントが外側になるように配置されていることを特徴とする農業用ハウス。
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- 2010-06-29 JP JP2010147732A patent/JP2012010609A/ja active Pending
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