JP2012007024A - レーザー溶着用光吸収樹脂組成物及び光吸収樹脂成形体、並びに光吸収樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

レーザー溶着用光吸収樹脂組成物及び光吸収樹脂成形体、並びに光吸収樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】照射されたレーザー光を吸収し、均一な発熱を生じて安定したレーザー溶着をおこない、接合溶着部分が透明性を保持できるレーザー溶着用光吸収樹脂組成物、および、光吸収樹脂成形体を提供する。
【解決手段】30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤と、レーザー光吸収微粒子とを含有するレーザー溶着用光吸収樹脂組成物であって、当該レーザー光吸収微粒子が、一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子であることを特徴とするレーザー溶着用光吸収樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック部材をレーザー溶着法で接合させる際に用いるレーザー溶着用光吸収樹脂組成物及び光吸収樹脂成形体、並びに光吸収樹脂成形体の製造方法に関する。より詳しくは、高い熱安定性と、レーザー溶着後の透明性と、透光性とを、プラスチック部材に与えることの出来るレーザー溶着用光吸収樹脂組成物及び光吸収樹脂成形体、並びに、当該光吸収樹脂成形体の製造法に関する。
近年、熱可塑性樹脂の接合方法としてレーザー溶着法が適用される機会が増えている。これは、当該レーザー溶着法を用いることで、細かく複雑な接合界面を持つ部材でも、無振動で容易に安定した接合ができること、バリや煙の発生がないこと、接合品の外観が向上すると共に接合部の設計自由度が広がること、等の利点を有することによるものと考えられる。
通常、レーザー溶着法では接合したいプラスチック部材において、一方が光透過性樹脂成形体、他方がレーザー光を吸収して熱を発生する光吸収樹脂成形体で構成されている。
当該接合したいプラスチック部材へ、光透過性樹脂成形体の側からレーザー照射をおこなうと、まず光吸収樹脂成形体が溶解し、次に、当該溶解した光吸収樹脂成形体周辺から光透過性樹脂成形体の側へ熱が伝達され、今度は光透過性樹脂成形体側の溶解が起こって両成形体の接合がなされる。
溶着法用のレーザー光の光源としては、波長1064nmのNd:YAGレーザーや、波長が800〜1000nmである半導体レーザーが主として使用される。このため、レーザー溶着用光吸収樹脂組成物としては、波長800〜1200nmの近赤外線の波長を効率よく吸収する材料が用いられる。
ここで、上記レーザー溶着用光吸収樹脂組成物には、有機系のフタロシアニン系化合物、シアニン系化合物、アミニウム系化合物、イモニウム系化合物、スクオリウム系化合物、ポリメチン系化合物、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物、さらに、無機系ではカーボンブラックを含有する樹脂組成物が知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献2では、レーザー光に対する感度を向上させるため、芳香環を有するホスホン酸銅とともに、金属の単体、塩、酸化物、水酸化物等を添加した、レーザー溶着用光吸収樹脂組成物が提案されている。そして、当該金属の酸化物として具体的には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化マンガン、酸化モリブテン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化パラジウム、酸化ランタン、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)等を含有させた樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献3では、レーザー波長域の光吸収能を有する無機系材料として、錫添加酸化インジウム(ITO)、アンチモン添加錫酸化物(ATO)を添加したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物が提案されている。
また、本発明者は、樹脂とレーザー光吸収微粒子とを含有するレーザー溶着用光吸収樹脂組成物におけるレーザー光吸収微粒子として、一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物の微粒子、および/または、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子(特許文献4参照)、一般式XB(但し、Xは、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caのうちから選択される1種以上の元素である。)で表記される6ホウ化物の微粒子(特許文献5参照)、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化バナジウム、窒化ニオブ、窒化タンタルから選択される窒化物微粒子(特許文献6参照)、を開示している。
特開2004−148800号公報 特開2005−290087号公報 国際公開2005/084955 A1号パンフレット 特開2008−127511号公報 特開2008-169294号公報 特開2008−222903号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の有機系レーザー光吸収材料は、一般に吸収する光の波長幅が狭い。このため、十分な発熱を得るためには、当該レーザー光吸収材料を比較的多量に添加する必要がある。さらに当該レーザー光吸収材料は熱安定性に劣るため、発熱と並行して分解が起こり、レーザー照射条件によっては、必ずしも均一安定な接合体を得られない場合がある。
一方、特許文献1に記載の無機系レーザー光吸収材料であるカーボン材料は、熱安定性が高い。しかしカーボン材料は、それ自身が可視光波長領域に吸収を持つため、プラスチック部材が黒く着色してしまう。このため、透明なプラスチック接合部材を得たい場合や接合部の黒化を嫌う部材には不都合である。ところが、医療分野を始めとして、透明無着色となる接合への要求は益々強まっている。また、カーボン材料は凝集し易い。このため、光吸収樹脂成形体であるホスト樹脂中で、カーボン材料の分散状態にムラや凝集が生じ、レーザー光吸収による発熱が不均一になって溶着に部分的なムラを生じたり、部分的な発泡を生じたり、また溶着時間が長くなるなどの課題がある。
特許文献2に記載の、芳香環を有するホスホン酸銅とともに、金属の単体、塩、酸化物、水酸化物等とを添加したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は、レーザー光に対する感度が不十分である。このため、レーザー光吸収材料として当該材料を用い、問題ない接合を行うには、当該材料を大量に添加する必要がある。しかし、当該材料の大量添加は、光吸収樹脂成形体自体の基本物性を変えてしまう可能性がある。具体的には、機械的強度の低下を招くなどの問題も有している。また当該材料の大部分は、可視光波長領域に吸収を持っており、樹脂部材を強く着色させてしまうことも課題として挙げられる。
特許文献3に記載の錫添加酸化インジウム(ITO)、アンチモン添加錫酸化物(ATO)を添加したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は、透明性・無着色性に優れる。しかし、当該材料の単位重量当りの赤外線吸収率は、カーボンなどよりもはるかに低い。また当該材料の場合、波長1000nm以上という比較的長い波長の近赤外線から吸収が始まるため、波長1064nmのNd:YAGレーザー光や、波長800〜1000nmの半導体レーザー光に対する吸収が、実質的に低いという問題がある。この為、適切なレーザー溶着を行うには、プラスチック部材へ当該材料を大量に添加する必要がある。しかし、当該組成物の大量添加は、プラスチック部材自体の基本物性を変えてしまうことに加えて、コスト的な制約も大きくなる。特に、錫添加酸化インジウムでは、資源的・価格的な問題が大きい。
特許文献4に記載の一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子を添加したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物、および、特許文献6に記載の窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化バナジウム、窒化ニオブ、窒化タンタルから選択される窒化物微粒子を添加したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は、フィラーの添加量によっては濃青色の強い着色が生ずることがあり、無色の透過性が望まれる場合には対応が困難である。
特許文献5に記載のLaBなどの6ホウ化物の微粒子を添加したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は、フィラーの添加量によっては緑色の強い着色があり、無色の透過性が望まれる場合には対応が困難であることに加えて、ナノ粒子を得るための分散破砕にコストがかかることが課題となっている。
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、その解決しようとする課題は、照射されたレーザー光を吸収し、均一な発熱を生じて安定したレーザー溶着をおこない、接合溶着部分が透明性を保持できる優れたレーザー溶着用光吸収樹脂組成物、および、光吸収樹脂成形体、並びに、光吸収樹脂成形体の製造方法を提供することにある。
上述の課題を解決すべく本発明者らが研究を重ねた結果、レーザー溶着のためのレーザー溶着用光吸収樹脂組成物として求められる特性とは、
1)Nd:YAGレーザーや半導体レーザーの波長域付近である近赤外線の波長800〜1200nmに亘って強い吸収を持ち、高い吸収係数を有すること、
2)可視光である波長380〜780nmにおける吸収が少ないこと、
3)ホストとなる樹脂に対し、当該レーザー溶着用光吸収樹脂組成物の溶解性または分散性が高いこと、
であることに想到した。
そこで、本発明者らは、レーザー溶着用に用いるレーザー光の波長域である近赤外線の波長800〜1200nmに亘って強い吸収を持ち、他方、可視光においては吸収が十分に少なくて透明性を保持出来、接合溶着部分が透明な概観を損なうことなく、レーザー光により均一な発熱を生じて安定したレーザー溶着が可能で、ホストとなる樹脂に対する溶解性または分散性が高いレーザー溶着用光吸収樹脂組成物、および光吸収樹脂成形体、並びに光吸収樹脂成形体の製造方法の研究を行った。
当該研究の結果、本発明者等は、30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤と、レーザー光吸収微粒子とを含有するレーザー溶着用光吸収樹脂組成物において、当該レーザー光吸収微粒子として、一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選ばれる1種以上の微粒子を用いることによって、Nd:YAGレーザーや半導体レーザーの波長範囲の光を強く吸収してレーザー溶着を容易にする一方、可視光域の波長の光はほぼ透過して成形体の透明性を保持できるレーザー溶着用光吸収樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
当該メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選ばれる1種以上の微粒子は、レーザー光波長域の光を吸収する機能を有する無機微粒子であり、自由電子を大量に保有してプラズマ共鳴振動を生ずる微粒子である。レーザー光が上記微粒子に入射するとその光の振動数に応じて自由電子が励起されて電子の集合的振動が生じ、エネルギーが吸収・輻射される。この時の吸収波長は自由電子密度や微粒子のエネルギー構造に依存しており、サイズが光の振動数に比べて十分に小さい微粒子においては、バルクのプラズマ波長の√3倍の波長が吸収波長となる。メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、およびメタバナジン酸カルシウムにおいてはこの吸収ピークの波長が1000〜2100nmとなる。つまり、Nd:YAGレーザー光や半導体レーザー光の波長範囲800〜1200nmは、当該吸収ピークの裾野に位置する波長であり、メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選ばれる1種以上の微粒子は十分に大きい吸収力を発揮する。
すなわち、上述の課題を解決する第1の構成は、
30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤と、レーザー光吸収微粒子とを含有するレーザー溶着用光吸収樹脂組成物であって、
当該レーザー光吸収微粒子が、一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子であることを特徴とするレーザー溶着用光吸収樹脂組成物である。
第2の構成は、
上記レーザー光吸収微粒子の平均粒径が1000nm以下であることを特徴とする第1の構成に記載のレーザー溶着用光吸収樹脂組成物である。
第3の構成は、
第1または第2の構成のいずれかに記載のレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を含有することを特徴とする光吸収樹脂成形体である。
第4の構成は、
上記光吸収樹脂成形体の表面から3mm以下の領域におけるメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量が0.03g/m以上、12.0g/m以下であることを特徴とする第3の構成に記載の光吸収樹脂成形体である。
第5の構成は、
第1または第2の構成のいずれかに記載のレーザー溶着用光吸収樹脂組成物が表面にコーティングされていることを特徴とする光吸収樹脂成形体である。
第6の構成は、
上記光吸収樹脂成形体の表面のコーティング中における、メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量が0.03g/m以上、12.0g/m以下であることを特徴とする第5の構成に記載の光吸収樹脂成形体である。
第7の構成は、
上記光吸収樹脂成形体の形状が板状またはフィルム状であることを特徴とする第3から第6の構成のいずれかに記載の光吸収樹脂成形体である。
第8の構成は、
上記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂の群から選択される1種以上の樹脂であることを特徴とする第3から第7の構成のいずれかに記載の光吸収樹脂成形体である。
第9の構成は、
第3から第8の構成のいずれかに記載の光吸収樹脂成形体であって、
可視光透過率が30%以上であり、波長1000〜2100nmに吸収の極大値を有し、ヘイズ値が30%以下であることを特徴とする光吸収樹脂成形体である。
第10の構成は、
一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子と、30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤とを、混合してレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を製造する工程と、
当該レーザー溶着用光吸収樹脂組成物を、熱可塑性樹脂に添加して混練し、成形して光吸収樹脂成形体を製造する工程とを、有することを特徴とする光吸収樹脂成形体の製造方法である。
第11の構成は、
上記レーザー溶着用光吸収樹脂組成物の熱可塑性樹脂への添加量を調整することで、上記光吸収樹脂成形体の表面から3mm以下の領域におけるメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量を0.03g/m以上、12.0g/m以下とすることを特徴とする第10の構成に記載の光吸収樹脂成形体の製造方法である。
第12の構成は、
一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子と、30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤と、バインダーとを、混合してレーザー溶着用光吸収樹脂組成物のコーティング液を製造する工程と、
当該レーザー溶着用光吸収樹脂組成物のコーティング液を、熱可塑性樹脂の表面にコーティングする工程とを、有することを特徴とする光吸収樹脂成形体の製造方法である。
第13の構成は、
上記レーザー溶着用光吸収樹脂組成物のコーティング液中のメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量を調整すること、および/または、コーティングの膜厚を調整することで、
当該コーティング中のメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量を0.03g/m以上、12.0g/m以下とすることを特徴とする第12の構成に記載の光吸収樹脂成形体の製造方法である。
本発明に係るレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は容易に樹脂へ添加でき、Nd:YAGレーザーや半導体レーザーの波長範囲の光を強く吸収してレーザー溶着を容易に実施でき、接合溶着部分が透明性を保持できるレーザー光吸収樹脂成形体を得ることができる。
メタバナジン酸ストロンチウム微粒子の光の吸収プロファイルを示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本実施形態の、30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤とレーザー光吸収微粒子とを含有するレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は、レーザー光吸収微粒子が、一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子であることを特徴としている。
(レーザー光吸収微粒子およびその製造方法)
本発明に係る、一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上のレーザー光吸収微粒子は、レーザー光波長域の光を吸収する機能を有する無機微粒子であり、自由電子を大量に保有してプラズマ共鳴振動を生ずる微粒子である。
レーザー光が当該微粒子に入射するとその光の振動数に応じて自由電子が励起されて集合的振動が生じ、エネルギーが吸収・輻射される。この時の吸収波長は自由電子密度や微粒子のエネルギー構造に依存している。本発明に係るレーザー光吸収微粒子は、半導体レーザーやNd:YAGレーザーの光の波長範囲800〜1200nmの近傍にプラズマ吸収波長を持つものである。
エネルギー分解能の高い電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いるとプラズモン励起によるエネルギー損失ピークを直接観測することが出来る。
上述した一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウムは、例えば、以下の方法で得ることができる。
まず、三酸化二バナジウム(V)と五酸化二バナジウム(V)を分子比でV:V=1:1になるように混合し、Nガスフロー中で800〜1000℃で、10〜24時間焼成し、二酸化バナジウム(VO)を作製する。次に、炭酸ストロンチウム(SrCO)を真空中で加熱し酸化ストロンチウム(SrO)を得る。VOとSrOは吸湿しないように注意し、原子比でSr:V=1.2:1〜1:1.2となるように混合して十分攪拌する。当該混合物を、Nガスをキャリアとした5%Hガスを供給しながら1400〜1600℃程度で5〜20時間加熱焼成し、さらにNキャリアガス雰囲気下で1〜5時間焼成することで、黒青色の粉末である立方晶ペロブスカイト構造のメタバナジン酸ストロンチウムが得られる。
次に、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムは、例えば、以下の方法で得ることができる。
まず、炭酸カルシウム(CaCO)を真空中で加熱して酸化カルシウム(CaO)を得る。これに上記メタバナジン酸ストロンチウム作製で説明した二酸化バナジウム(VO)の粉末を、原子比でCa:V=1.1:1〜1:1.1となるように混合して十分攪拌した後、Nガスをキャリアとして1%Hガスを供給しながら1200〜1500℃程度で5〜20時間加熱焼成し、さらにNキャリアのみで1〜5時間焼成することで、黒青色の粉末であるペロブスカイト構造を有するメタバナジン酸カルシウムが得られる。
次に、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウムは、例えば、以下の方法で得ることができる。
二酸化チタンTiOと三酸化二ニオブNbと上述した酸化ストロンチウムSrOとを原子比でSr:Ti:Nb=3:(1.5〜2.85):(1.5〜0.15)になるように混合し、ブレンダーで十分攪拌した後、Nガスをキャリア−としたHガスを流しながら加熱し、1400〜2000℃で5〜10時間保持焼成後、Nガスでさらに1〜5時間焼成することでニオブチタン酸ストロンチウムが得られる。
上述の方法で得られる、一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子は、所望のレーザー光吸収特性を有している。
具体的には、上記SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子は、分散粒子径1000nm以下の大きさで分散された時には、波長1000〜2100nmに極大値を有し、波長800〜2500nmのブロードな範囲に広がりを持つ大きな近赤外線吸収を有している。当該吸収波長では、上記メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウム、の微粒子が十分に大きい吸収係数を有するため、波長範囲800〜1200nmのレーザー光を極めて効率よく吸収して発熱する。
本発明に係るレーザー光吸収微粒子の粒子径は、レーザー光吸収成分として機能するかぎり任意である。尤も、レーザー光吸収微粒子の粒子径、または、レーザー光吸収微粒子が凝集した粗大凝集粒子の粒子径が、1000nm以下、より好ましくは200nm以下であれば、これらレーザー光吸収微粒子や粗大凝集粒子が、後述する光吸収樹脂成形体の光散乱源となって、レーザー溶着後の透明光吸収樹脂成形体が曇って見えるようになる現象を回避することが出来る。さらに、これらレーザー光吸収微粒子や粗大凝集粒子の粒子径が1000nm以下であると、レーザー光吸収能そのものが減衰することも回避出来好ましい。
本発明に係るレーザー光吸収微粒子は、可視光領域において完全に透明ではなく、レーザー光吸収微粒子の種類や粒子径、分散凝集の状態などに応じて幾分かの着色を有している。ところが、レーザー光吸収微粒子径をより小さく、また、より均一に分散することにより、当該レーザー光吸収微粒子による散乱光は軽減される。例えば、レーザー光吸収微粒子の平均粒子径が20nm以下で、均一分散する場合には、Rayleigh散乱のモードになってヘイズはほとんど0となり、さらに多くの場合、バルク状態では可視光で光を通さない黒色材料であっても、そのレーザー光吸収微粒子の集合体は可視光での透明性が生まれる。
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物)
本発明者らの検討によれば、メタバナジン酸ストロンチウムの微粒子、ニオブチタン酸ストロンチウムの微粒子、メタバナジン酸カルシウムの微粒子の群から選択される1種以上の微粒子を十分細かく、かつ均一に分散した膜・成形体では、透過率が波長450〜600nmの間に極大値を持ち、かつ波長1000〜2100nmの間に透過率の極小値を持つことが観察された。ここで、可視光が波長380〜780nmであり、視感度が波長550nm付近をピークとする釣鐘型であることを考慮すると、本発明に係る膜・成形体は、可視光を有効に透過し、それ以外の波長の光を有効に吸収することが理解できる。
本発明に係るレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を用いて製造した光吸収樹脂成形体では、可視光透過率が30%以上、90%以下であり、ヘイズ値がおおよそ30%以下のものを得ることが出来る。本発明に係る光吸収樹脂成形体を工業的に応用する場合、当該光吸収樹脂成形体の色調は着色剤によって様々に調整することが可能なものとする観点から、可視光透過率は出来るだけ高いものが好ましい。
ここで、後述する光吸収樹脂成形体において可視光透過率を90%以下とすることで、レーザー光吸収微粒子そのものの添加量を確保することが出来る。レーザー光吸収微粒子の添加量を確保することで、レーザー光波長800〜1200nmにおける吸収能率が確保出来、十分な溶融を得ることが出来る。他方、可視光透過率を30%以上とすることで、メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウム、の微粒子による波長1000〜2100nmにおける透過率がほぼゼロとなる。つまり、可視光透過率を30%より低下させても、レーザー光の吸収量は増加しない。従って、光吸収樹脂成形体を、出来るだけ明るくし、着色の影響を排除したい場合、可視光透過率を30%以上とすれば良い。もちろん、所望により可視光透過率を30%以下としても何ら問題は無い。
本発明に係るレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を用いた光吸収樹脂成形体において、ムラの無い均一な溶着を得るためには、上記レーザー光吸収微粒子が均一にムラ無く存在する必要がある。上記レーザー光吸収微粒子が凝集したり偏析したりすると、レーザー光の散乱が大きくなるためにヘイズ値が増加する。ヘイズ値が30%を超えるものでは、光吸収樹脂成形体自体が視覚的に曇って透明性を失うと同時に色ムラや斑点が目立つようになる。また、ヘイズ値が30%を超える場合は、レーザー溶着においても局所的に不均一な発熱により発泡したり、色ムラが生じたりして好ましくない。
従って、ヘイズ値は30%以下で低いほど好ましく、さらに好ましくは5%以下である。ヘイズ値が5%以下であれば、視覚的な透明性も非常に高く透き通った印象を与える部材となり、工業的価値が高くなる。
光吸収樹脂成形体中におけるレーザー光吸収微粒子の分散状態は、特に重要である。レーザー光吸収微粒子が十分に分散せず凝集している場合は、光吸収樹脂成形体の最終的な着色状態が不均一になったり、レーザー光による発熱部位が不均一になって、局所部位が発泡したり、溶着後の外観に不良を生じたりする。これを避けるために、本発明ではレーザー光吸収微粒子が均一に分散した光吸収樹脂成形体を作製することが肝要である。
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物に用いる分散剤)
光吸収樹脂成形体中におけるレーザー光吸収微粒子の分散性を上げるために、本発明ではまずレーザー光吸収微粒子と分散剤とが共に溶媒中に均一高度に分散した分散液を製造する。次に、この分散液から溶媒を加熱等によって除去して、高分子分散剤中にレーザー光吸収微粒子が均一に分散したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を製造する。さらに該レーザー溶着用光吸収樹脂組成物を、高分子分散剤と同種の熱可塑性樹脂成形材料、または、高分子分散剤と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂成形材料により希釈、混練、成形して、目的とする光吸収樹脂成形体を製造する。
最終的に得られる光吸収樹脂成形体におけるレーザー光吸収微粒子の分散性を高めるために、初期のレーザー光吸収微粒子分散液の調製において、レーザー光吸収微粒子に適合した分散剤を添加することが求められる。レーザー光吸収微粒子を分散剤および溶媒と共に、光吸収樹脂成形体へ均一に分散させる方法としては、具体的には、レーザー光吸収微粒子が均一に樹脂に分散する方法であれば任意に選択できる。具体例としては、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用いることができる。
レーザー光吸収微粒子に適合した分散剤としては、当該レーザー光吸収微粒子表面に付着してその立体的障害作用により粒子同士の凝集を防ぐ高分子系の分散剤が好ましい。高分子分散剤とは、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系その他の高分子主骨格の末端に、種々の親油性官能基、親水性官能基が付属する高分子の分散剤である。高分子分散剤の種類や添加量は、レーザー光吸収微粒子の種類とその表面特性、および後工程で添加される熱可塑性樹脂との親和性、相溶性に応じて適宜決められるものである。
レーザー光吸収微粒子分散液から、真空乾燥機、熱風乾燥機、ヘンシェルミキサーなどの加熱混合機を用いて溶媒を除去し、メタバナジン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムから選ばれる1種以上の微粒子がレーザー光吸収微粒子として均一に高分子分散剤中に分散したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を形成する。このレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は通常さらさらした固体粉末状になる。しかし、用いる高分子分散剤のガラス転移温度が室温(25℃)より低いものであると、溶媒除去後は該レーザー溶着用光吸収樹脂組成物がゼリー状に固まったり、べたつく等、ハンドリングに不便なものとなるため、用いる高分子分散剤のガラス転移点温度は30℃以上にあるものが好ましい。
高分子分散剤の配合量は、分散剤の種類に応じて最適量が決定されるものであり、任意であるが、一般的には、高分子分散剤の配合量は、レーザー光吸収微粒子に対する重量比で2〜10倍程度が好ましい。配合量が、レーザー光吸収微粒子に対する重量の2倍以上あれば最終的に得られる光吸収樹脂成形体におけるレーザー光吸収微粒子の分散均一性に、十分な量であり、10倍以下であれば最終的に得られる光吸収樹脂成形体の主成分をなす樹脂との親和性の度合いに応じて、光吸収樹脂成形体の透過性に曇りが混合するなどの不都合を回避できる。
以上より、30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤と、レーザー光吸収微粒子とを含有する本発明に係るレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は、レーザー光吸収微粒子として、メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子を含み、且つ、これらの微粒子が高分子分散剤中に分散した固形粉末状の形状を有する。
(熱可塑性樹脂)
本発明に係る、熱可塑性樹脂とレーザー光吸収微粒子とを含有するレーザー溶着用光吸収樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
アクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートを主原料とし、必要に応じて炭素数炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を共重合成分として用いた重合体または共重合体が挙げられる。例えば、メタクリル酸メチルを50〜99.95モル%、およびアクリル酸アルキルエステルなどの共重合可能な他の単量体を0.05〜50モル%の割合で用いて得られる共重合体が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリルースチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、アクリロニトリルーメタクリル酸メチル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂、アクリロニトリル−EPDM−スチレン樹脂など、スチレン30〜100モル%と共重合可能な単量体0〜70モル%とを用いて得られる共重合体が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリフッ化エチレン、ポリ2フッ化エチレン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−2フッ化エチレン共重合体、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などが挙げられる。
(光吸収樹脂成形体)
光吸収樹脂成形体は、必要に応じて、安定剤、滑剤、充填剤、ガラス繊維やカーボン繊維などの補強材、染料、顔料の1種または2種以上を含有していてもよい。
レーザー光吸収微粒子であるメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子は、媒体中に均一に分散していることが必要である。レーザー光吸収微粒子をレーザー溶着用光吸収樹脂組成物化したことで、通常の安定剤・滑材等と全く同様の扱いで、レーザー光吸収微粒子を媒体中に均一に分散できる。
尤も当該レーザー光吸収微粒子は、光吸収樹脂成形体全体にわたって均一に分散して含有されていても良いし、光吸収樹脂成形体表面のコーティング膜中に均一分散して含有されていても良い。そして、いずれの場合であっても、当該光吸収樹脂成形体の表面層であって、表面から3mm以下の領域におけるメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量は、0.03g/m〜12.0g/mであることが望ましい。ここで、レーザー光吸収微粒子の含有量の評価にあたり、表面層の厚み3mm以下の領域の濃度で規定する理由は、当該光吸収樹脂成形体へレーザー光を照射したときに溶融して接合に寄与する部分が、実質的に、光吸収樹脂成形体の表面から3mm以下の領域の部分だからである。
そして、この表面から3mm以下の領域において、メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の含有量が、上記12.0g/mの範囲よりも少なければ、光吸収樹脂成形体の厚みに応じて、濃い青緑色の着色が行き過ぎた部材となってしまうことを回避できる。さらに、局所的に発熱する熱量が多すぎて、樹脂や分散剤が蒸発し、溶着部の周りに気泡の発生を伴うなどの弊害も回避できるからである。
一方、メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量が0.03g/mより多ければ、レーザー光を照射した際、これを吸収するエネルギーが大きくなりレーザーパワーを上げれば、光透過樹脂と光吸収樹脂成形体のレーザー発熱量に十分な差が出来るので溶着が良好に進み好ましい。
当該光吸収樹脂成形体の光学特性は、可視光透過率が30%以上、90%以下であり、波長1000〜2100nmに吸収の極大値を有し、ヘイズ値が30%以下である。
また、当該光吸収樹脂成形体の形状は、必要に応じて任意の形状に成形可能であり、平面状および曲面状、その他複雑形状に成形することが可能である。また、平面状光吸収樹脂成形体の厚さは、板状からフィルム状まで必要に応じて任意の厚さに調整することが可能である。さらに平面状に形成した樹脂シートを、後加工によって球面状等任意の形状に成形することができる。
(光吸収樹脂成形体の成形方法)
上記光吸収樹脂成形体の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形または回転成形等の任意の方法を挙げることができる。特に、射出成形により成形品を得る方法と、押出成形により成形品を得る方法が好適に採用される。押出成形により板状、フィルム状の成形品を得る方法として、Tダイなどの押出機を用いて押出した溶融熱可塑性樹脂を冷却ロールで冷却しながら引き取る方法により製造される。
尚、アクリル樹脂などのようにモノマー液のキャスティングにより樹脂成形体を製造できる場合は、アクリルシラップ原液中に上記レーザー溶着用光吸収樹脂組成物を混合、溶解する。尤も、直接タングステン酸化物または複合タングステン酸化物の微粒子分散液を、アクリルシラップ原液中に混合、溶解し、成形用鋳型にキャストし、その後、高分子化工程を経て成形体としても良い。この場合、微粒子分散液に含まれる溶剤、分散剤は、アクリルシラップ原液中に通常含有されるモノマー液、開始剤、架橋剤、その他添加剤と相溶性のものを選択する。これらの溶剤、分散剤が、アクリルポリマーの重合過程を阻害し、その結果、樹脂成形体中に空隙が生じることを回避する為である。
次に、成形体の基材表面に設けられるコーティング膜中にレーザー光吸収微粒子を均一に分散させる方法について説明する。
まず、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用いて上記レーザー光吸収微粒子を任意の溶剤及び分散剤に分散したレーザー光吸収微粒子分散液を調製し、これにバインダー樹脂を添加してコーティング液を製造する。
当該コーティング液を成形体の基材表面にコーティングし、溶媒を蒸発させ所定の方法で樹脂を硬化させれば、当該レーザー光吸収微粒子が媒体中に分散したコーティング薄膜の形成が可能となる。コーティング膜の厚さは、特に限定は無いが1μm〜100μmの範囲が好ましい。コーティングの方法は、基材表面にレーザー光吸収微粒子含有樹脂が均一にコートできればよく、特に限定されないが、例えば、バーコート法、グラビヤコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷、はけ塗り等が挙げられる。また、レーザー光吸収微粒子を直接バインダー樹脂中に分散したものは、基材表面に塗布後、溶媒を蒸発させる必要が無く、環境的、工業的に好ましい。
この場合、上記レーザー溶着用光吸収樹脂組成物のコーティング液中のメタバナジン酸ストロンチウムの微粒子、ニオブチタン酸ストロンチウムの微粒子、メタバナジン酸カルシウムの微粒子の群から選択される1種以上の微粒子の含有量を調整すること、および/または、コーティングの膜厚を調整することで、当該コーティング中のレーザー光吸収微粒子の含有量を0.03g/m以上、12.0g/m以下とすれば良い。
上記バインダー樹脂としては、例えば、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑樹脂等が目的に応じて選定可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられる。また、金属アルコキシドを用いたバインダーの利用も可能である。上記金属アルコキシドとしては、Si、Ti、Al、Zr等のアルコキシドが代表的である。これら金属アルコキシドを用いたバインダーは加水分解して、加熱することで酸化物膜を形成することが可能である。
(レーザー溶着)
レーザー溶着する光透過樹脂と光吸収樹脂成形体との接合面は、平面であっても凹形と凸形のはめ合わせでも良い。接合面の片面、または両面に当該光吸収樹脂成形体がコーティングされていても良い。
照射するレーザー光の照射条件は適宜、制御可能であるが、通常レーザー出力は5〜500W、走査速度は2mm/s〜500mm/sの範囲で行われ、レーザー光照射角度は接合面に垂直に照射することが好ましい。
以上、詳細に説明したように、本発明に係るレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は、容易にレーザー光吸収樹脂成形体として、成形またはコーティングできる。そして、当該レーザー光吸収樹脂成形体は、Nd:YAGレーザーや半導体レーザーの波長範囲の光を強く吸収してレーザー溶着を容易に実施できる一方、可視光域の波長の光をほぼ透過して物体の透明性を保持でき、着色が少なく透明な溶着界面を得ることができる。この結果、レーザー溶着の適用範囲が増え、且つ、本発明に係るレーザー溶着用光吸収樹脂組成物は熱安定性に優れるため、プラスチック間どうしの安定した接合を提供でき、工業的に極めて有益である。
以下に、本発明に係る実施例を、比較例とともに具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(レーザー光吸収微粒子とその分散液の製造)
三酸化二バナジウム(V)と五酸化二バナジウム(V)とをNガスフロー中で1000℃24時間焼成し、二酸化バナジウム(VO)を作製した。また、炭酸ストロンチウムSrCOを1000℃の真空焼成炉で5時間加熱して、酸化ストロンチウムSrOを得た。
これらの炭酸ストロンチウム(SrCO)および二酸化バナジウム(VO)の粉末を、原子比でSr:V=1:1となるように混合し、十分攪拌した後、当該乾燥物を、Nガスをキャリアとして5%Hガスを供給しながら1450℃で10時間加熱焼成し、さらにNキャリアガスのみで2時間焼成し黒青色の粉末を得た。得られた黒青色の粉末をX線回折法で解析すると、立方晶ペロブスカイト構造のメタバナジン酸ストロンチウムと同定された。化学分析ではやや酸素が還元されたSrVO2.9と解析された。
得られたメタバナジン酸ストロンチウム粉末5重量%、高分子系分散剤として東亞合成(株)製スチレン・アクリル系高分子分散剤UG−4030(室温で固形状であり、ガラス転移温度52℃)のトルエン溶液(有効成分40%)50重量%、トルエン45重量%を秤量し、ジルコニアビーズを入れたペイントシェーカーに充填し、6時間粉砕・分散処理することによってメタバナジン酸ストロンチウム微粒子分散液(A液)を製造した。
ここで、A液内におけるメタバナジン酸ストロンチウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱法を原理とする大塚電子(株)社製ELS−8000によって測定したところ96nmであった。
次に、A液を、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子濃度が0.05重量%となるようにトルエンで希釈した。そして、当該希釈液をバーコート法により50μm厚みのPETフィルムにコートし、日立製作所製分光光度計U−4000で紫外から近赤外に亘って透過率を測定した。その結果、この膜には、波長1410nm付近を谷とする大きい吸収が見られた。可視光部分にあたる波長380〜780nmでは、波長525nm付近に透過の極大値があり、可視光透過性がもたらされる。尤も、当該極大値を与える波長の周辺では、若干の吸収があるため、膜は薄い青緑色を呈した。
図1の透過プロファイルより、当該メタバナジン酸ストロンチウム微粒子は、波長が1064nmであるNd:YAGレーザーや、波長が800〜1000nmである半導体レーザーといったレーザー光を吸収するのに極めて好都合であることが確認された。
尚、図1は縦軸に光の透過率を採り、横軸に光の波長を採り、当該メタバナジン酸ストロンチウム微粒子の波長毎における透過率をプロットしたグラフである。
[実施例2]
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物および光吸収樹脂成形体の製造)
実施例1に係るA液を加熱してトルエン溶媒成分を蒸発させると、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子20重量%が高分子分散剤の中に均一分散した固形状の粉末であるレーザー溶着用光吸収樹脂組成物(B粉)が得られた。
この(B粉)1重量部と無着色で透明なアクリル樹脂ペレット7重量部とを混合し、二軸押出機を用いて280℃で熔融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子濃度2.5重量%の光吸収成分含有マスターバッチを得た。
この光吸収成分含有マスターバッチをアクリル樹脂ペレットでさらに希釈し、ブレンダーで均一に混合した後、Tダイを用いて厚さ1.0mmに押出成形し、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子が濃度0.075重量%で樹脂全体に均一に分散したレーザー光吸収樹脂成形体であるアクリル樹脂試験プレートを作製した(以下、レーザー光吸収微粒子が分散したアクリル樹脂試験プレートを「プレート1」と記載する。)。
プレート1は、5cm×9cmのサイズの板状試料であり、透明な青緑色を呈した。
尚、比較のため、当該プレート1と同サイズだが、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子を含有しない無色透明なプレートも作製した(以下、レーザー光吸収微粒子含有しないアクリル樹脂試験プレートを「プレート2」と記載する。)。
光吸収樹脂成形体であるプレート1の厚み1mmにわたって存在するメタバナジン酸ストロンチウム微粒子の含有量は、(アクリル樹脂プレート1mの体積)×(アクリル樹脂の密度g/cm)×(微粒子重量濃度%)で求められ、100cm×100cm×0.1cm×1.2g/cm×0.00075=0.90g/mである。
ここで、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子を含有するプレート1の光学特性を、日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を用いて測定した。その結果、可視光透過率は76%、940nmにおける透過率は26%であり、十分な視覚的な明るさと曇りの無い透明さを持つと同時に、半導体レーザーの波長940nmの光は十分に吸収されることが分かった。またプレート1は、視覚的にムラの無い均一な青緑色を呈し、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子が均一に分散されていることが伺えた。さらに、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子の凝集の度合いを見るための一指標として村上色材研究所(株)製ヘイズメータを用いて、プレート1のヘイズ値を測定したところ、1.6%と十分に低い値が得られた。
[比較例1]
(高分子分散剤の代替)
高分子分散剤として、室温で液体状の高分子分散剤である東亞合成(株)製XG−4000(ガラス転移温度−61℃)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、分散粒径124nmの比較例1に係るメタバナジン酸ストロンチウム微粒子分散液を製造した。
次に、比較例1に係るメタバナジン酸ストロンチウム微粒子分散液を加熱してトルエンを蒸発させ、メタバナジン酸ストロンチウム微粒子20重量%が高分子分散剤の中に均一分散したレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を得た。しかし、このレーザー溶着用光吸収樹脂組成物はゼリー状でべたつき、その後の工程で正確な秤量やクリアペレットとの混合が困難であった。そこで、当該レーザー溶着用光吸収樹脂組成物の検討を終了した。
[実施例3]
(レーザー溶着とその評価)
実施例2で作製したメタバナジン酸ストロンチウム微粒子を含有するプレート1と、含有しないプレート2との2枚を、表裏にして重ね合わせ、圧着治具で密着させた。当該密着物へプレート2の方向から、5cmの幅方向に中央部3cmに亘ってレーザー光を照射した。当該レーザー光照射は、出力30Wのファインデバイス社製半導体レーザー(波長940nm)を用いて焦点径0.8mm、走査速度16mm/sで行った。当該レーザー光照射に伴って、レーザー光吸収微粒子を含有するプレート1が発熱して溶融し、更に熱の伝播に伴い、プレート2も溶融して両者が融着し、冷却により固化して接合が完了し、接合された2枚のプレートとなった。圧着治具を開放しても接合はそのまま維持された。
接合された2枚のプレートの外観を目視で観察したところ、色むらがなく表面光沢も問題ないと評価された。次に、当該接合された2枚のプレートの隙間から楔を入れて剥がすように力を入れ、接合部の強さを推定した。すると、強い力をかけても接合部がしっかりと維持されることが分かった。
[実施例4]
(レーザー光吸収微粒子とその分散液の製造)
実施例1で作製した酸化ストロンチウム(SrO)および二酸化バナジウム(VO)の粉末を、原子比でSr:V=1:1となるように混合して十分攪拌した後、Nガスをキャリアとして5%Hガスを供給しながら1600℃で10時間加熱し、さらにNキャリアのみで3時間焼成した。得られた黒青色の粉末をX線回折法と化学分析で解析すると、立方晶ペロブスカイト構造のメタバナジン酸ストロンチウム(SrVO2.85)と同定された。
メタバナジン酸ストロンチウム(SrVO2.85)粉末5重量%、高分子系分散剤として東亞合成(株)製スチレン・アクリル系高分子分散剤UG−4030(室温で固形状であり、ガラス転移温度52℃)のトルエン溶液(有効成分40%)50重量%、トルエン45重量%を秤量し、ジルコニアビーズを入れたペイントシェーカーに充填し、6時間粉砕・分散処理することによってメタバナジン酸ストロンチウム微粒子分散液(B液)を製造した。B液内におけるメタバナジン酸ストロンチウム(SrVO2.85)微粒子の分散粒子径を測定したところ97nmであった。
次に、B液を、メタバナジン酸ストロンチウム(SrVO2.85)微粒子濃度が0.05重量%となるようにトルエンで希釈し、実施例1と同様の方法でPETフィルム上に成膜してこの膜の透過率を測定したところ、波長1570nm付近にピークを持つ大きい吸収が見られた。可視光部分の波長380〜780nmでは透過率が高く、波長630nm付近にブロードな透過の極大値があった。
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物および光吸収樹脂成形体の製造)
実施例2と同様にして、B液を加熱しトルエン溶媒成分を蒸発させて、メタバナジン酸ストロンチウム(SrVO2.85)微粒子成分を20重量%含有する光吸収樹脂組成物とした。この光吸収樹脂組成物にポリカーボネート樹脂の透明なペレットを混合して、二軸押出機で溶融混練し、押出して光吸収微粒子(メタバナジン酸ストロンチウム微粒子(SrVO2.85))成分を2.5重量%含有するマスターバッチを得た。溶融混練温度は、各樹脂に応じて160〜300℃の範囲で適宜調節した。このマスターバッチを更に同一のクリア樹脂ペレットで希釈して、メタバナジン酸ストロンチウム(SrVO2.85)微粒子が濃度0.075重量%で樹脂全体に均一に分散したポリカーボネート樹脂試験プレートである実施例4に係るプレート1を作製した。
当該実施例4に係るプレート1を、分光光度計にセットして透過率を測定すると、波長1570nm付近をピークとする大きい吸収が見られた。また可視光部分の波長380〜780nmでは透過率が高く、波長630nm付近にブロードな透過の極大値があった。
(レーザー溶着とその評価)
当該実施例4に係るプレート1と、光吸収微粒子を含有しない樹脂試験プレートであるプレート2とを、共に1mm厚の部分で密着させて半導体レーザー光を照射した。なおこの場合のプレート1=光吸収樹脂成形物の厚み1mm部分のメタバナジン酸ストロンチウム(SrVO2.85)微粒子の含有量は、0.90g/mである。分光透過率を測定した結果、可視光透過率は81%、940nmにおける透過率は28%であり、可視光が十分に通されて明るい透明性を維持しつつも、表面光沢を維持した美しい溶着がなされ、接合部の概観や強度にも問題の無いレーザー溶着を行うことができた。
[実施例5]
(レーザー光吸収微粒子とその分散液の製造)
炭酸カルシウム(CaCO)を水に溶解し、これに二酸化バナジウム(VO)の粉末を原子比でSr:V=1:1となるように混合して十分攪拌した後、乾燥した。該乾燥物を、Nガスをキャリアとして5%Hガスを供給しながら1250℃で10時間加熱焼成し、さらにNキャリアのみで2時間焼成した。得られた黒青色の粉末をX線回折法で解析すると、ペロブスカイト構造のメタバナジン酸カルシウムCaVOと同定された。
得られたメタバナジン酸カルシウム粉末5重量%、高分子系分散剤として東亞合成(株)製スチレン・アクリル系高分子分散剤UG−4030(室温で固形状であり、ガラス転移温度52℃)のトルエン溶液(有効成分40%)50重量%、トルエン45重量%を秤量し、ジルコニアビーズを入れたペイントシェーカーに充填し、6時間粉砕・分散処理することによってメタバナジン酸カルシウム微粒子分散液(C液)を製造した。
ここで、C液内におけるメタバナジン酸カルシウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱法を原理とする大塚電子(株)社製ELS−8000によって測定したところ98nmであった。
次に、C液を、メタバナジン酸カルシウム微粒子濃度が0.05重量%となるようにトルエンで希釈し、実施例1と同様の方法でPETフィルム上に成膜して透過率を測定したところ、波長1560nm付近にピークを持つ大きい吸収が見られた。可視光部分の波長380〜780nmでは透過率が高く、波長630nm付近にブロードな透過の極大値があった。
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物および光吸収樹脂成形体の製造)
実施例2と同様にして、C液を加熱しトルエン溶媒成分を蒸発させて、メタバナジン酸カルシウム微粒子成分を20重量%含有する光吸収樹脂組成物とした。この光吸収樹脂組成物にポリカーボネート樹脂の透明なペレットを混合して、二軸押出機で溶融混練し、押出して光吸収微粒子(メタバナジン酸カルシウム微粒子)成分を2.5重量%含有するマスターバッチを得た。溶融混練温度は、各樹脂に応じて160〜300℃の範囲で適宜調節した。このマスターバッチを更に同一のクリア樹脂ペレットで希釈して、メタバナジン酸カルシウム微粒子が濃度0.075重量%で樹脂全体に均一に分散したポリカーボネート樹脂試験プレートである実施例4に係るプレート1を作製した。
(レーザー溶着とその評価)
当該実施例4に係るプレート1を、分光光度計にセットして透過率を測定すると、波長1560nm付近をピークとする大きい吸収が見られた。また可視光部分の波長380〜780nmでは透過率が高く、波長630nm付近にブロードな透過の極大値があった。さらに、プレート1と光吸収微粒子を含有しない樹脂試験プレートであるプレート2とを、共に1mm厚の部分で密着させて半導体レーザー光を照射した。なおこの場合のプレート1=光吸収樹脂成形物の厚み1mm部分のメタバナジン酸カルシウム微粒子の含有量は、0.90g/mである。分光透過率を測定した結果、可視光透過率は79%、940nmにおける透過率は19%であり、可視光が十分に通されて明るい透明性を維持しつつも、表面光沢を維持した美しい溶着がなされ、接合部の概観や強度にも問題の無いレーザー溶着を行うことができた。
[実施例6]
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物および光吸収樹脂成形体の製造)
実施例1で作製したメタバナジン酸ストロンチウム微粒子分散液(A液)をメタバナジン酸ストロンチウム換算で20重量%、高分子分散剤としてアビシア(株)製S−24000(ガラス転移温度62℃)が3重量%となるように、イソプロピルアルコール(IPA)中にそれぞれ投入した。そして、ジルコニアビーズを用いたペイントシェーカーミルにより、当該IPA分散液の分散処理を行って、平均分散粒子径約131nmの分散液を製造した。この分散液2gに、紫外線硬化樹脂UV3701(東亞合成(株)製)5gとイソプロピルアルコール(IPA)7gとを混合して塗布液とした。この塗布液を厚み2mmの透明アクリルプレート上にバーコーターを用いて塗布し、70℃で1分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプから紫外線を照射して膜を硬化させた。得られた膜の可視光透過率は59%であり、ヘイズ値は5.2%であった。このコーティング膜つきアクリル基板のコーティング膜厚は、触針式膜厚計で5μmと測定された。固形分比率からこの膜中のメタバナジン酸ストロンチウム微粒子濃度は7.4重量%であり、当該コーティング膜の厚さ5μmにわたるメタバナジン酸ストロンチウム微粒子の含有量は0.44g/mである。
(レーザー溶着とその評価)
メタバナジン酸ストロンチウム微粒子を分散剤とともにUV硬化樹脂中に均一分散したコーティング膜を施したアクリル樹脂プレートと、透明なアクリル樹脂プレート(プレート2)とを、前者のコーティング面を介して重ね合わせ、圧着治具で密着させておいて、中央部3cmに亘ってレーザー光を照射した。結果は、評価項目すべてにわたって、プレート試験片全体にわたってメタバナジン酸ストロンチウム微粒子が練り込まれているプレート1を用いた場合とほぼ同等の結果が得られた。
従って、これらメタバナジン酸ストロンチウム微粒子を添加した分散液でコーティングされた光吸収樹脂を用いると、可視光が十分に通されて明るい透明性を維持しつつも、表面光沢を維持した美しい溶着がなされ、接合部の外観や強度にも問題の無いレーザー溶着を行うことが可能となる。
[実施例7]
(レーザー光吸収微粒子の代替とその分散液の製造)
レーザー光吸収微粒子を、実施例1で説明したメタバナジン酸ストロンチウム微粒子からニオブチタン酸ストロンチウムSr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)の微粒子へ代替した。
まず、ニオブチタン酸ストロンチウムの製造について説明する。
二酸化チタンTiOと三酸化二ニオブNbおよび上述した酸化ストロンチウムSrOとを原子比でSr:Ti:Nb=3:2:1になるように混合し、ブレンダーで十分攪拌し混合物とした。当該混合物を、Nガスをキャリア−とした1%Hガスを流しながら加熱し、1800℃で8時間保持焼成した後、Nガスのみの雰囲気下で、さらに、1600℃で24時間焼成した。得られた黒青色の粉末をX線回折法で解析するとペロブスカイト構造のニオブチタン酸ストロンチウムSr(Ti,Nb)Oと同定された。
得られたニオブチタン酸ストロンチウム粉末5重量%、高分子系分散剤として東亞合成(株)製スチレン・アクリル系高分子分散剤UG−4030(室温で固形状であり、ガラス転移温度52℃)のトルエン溶液(有効成分40%)50重量%、トルエン45重量%を秤量し、ジルコニアビーズを入れたペイントシェーカーに充填し、6時間粉砕・分散処理することによってニオブチタン酸ストロンチウム微粒子分散液(D液)を製造した。
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物および光吸収樹脂成形体の製造)
実施例2と同様にして、D液を加熱しトルエン溶媒成分を蒸発させて、ニオブチタン酸ストロンチウム微粒子成分を20重量%含有する光吸収樹脂組成物とした。この光吸収樹脂組成物にポリカーボネート樹脂の透明なペレットを混合して、二軸押出機で溶融混練し、押出して光吸収微粒子(ニオブチタン酸ストロンチウム微粒子)成分を2.5重量%含有するマスターバッチを得た。溶融混練温度は、各樹脂に応じて160〜300℃の範囲で適宜調節した。このマスターバッチを更に同一のクリア樹脂ペレットで希釈して、ニオブチタン酸ストロンチウム微粒子が濃度0.075重量%で樹脂全体に均一に分散したポリカーボネート樹脂試験プレートである実施例7に係るプレート1を作製した。
実施例7に係るプレート1の光学特性は、実施例2で説明したメタバナジン酸ストロンチウム微粒子が用いられたプレート1と同様の結果を示した。
(レーザー溶着とその評価)
さらに、実施例7に係るプレート1と光吸収微粒子を含有しない樹脂試験プレートであるプレート2とを、共に1mm厚の部分で密着させて半導体レーザー光を照射した。すると、可視光が十分に通されて明るい透明性を維持しつつも、表面光沢を維持した美しい溶着がなされ、接合部の概観や強度にも問題の無いレーザー溶着を行うことができた。
[比較例2]
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物および光吸収樹脂成形体の製造)
実施例2において、Tダイによる押出し成形の厚みを5.0mmとし、プレート1のメタバナジン酸ストロンチウム濃度が0.0002%(この場合の厚み1mmにわたるメタバナジン酸ストロンチウム微粒子の含有量は0.0024g/m)となるようにマスターバッチからプレート1片への樹脂希釈率を変えた以外は、実施例1〜3と同様にして、メタバナジン酸ストロンチウムが均一に分散したトルエン分散液、レーザー溶着用光吸収樹脂組成物、マスターバッチ、およびプレート1(光吸収樹脂成型体)を順次作製した。
(レーザー溶着とその評価)
そして、プレート1の光学特性評価、およびレーザー溶着試験評価を行った。その結果、2枚のプレートは接合したものの接合強度は非常に弱く、手で簡単に2枚のプレートを分離することが出来た。
[比較例3]
(レーザー溶着用光吸収樹脂組成物および光吸収樹脂成形体の製造)
実施例1と同様だが、分散液製造工程において高分子分散剤を用いず、さらに、ペイントシェーカーミルの分散時間を10分間として比較例3に係る分散液を製造した。得られた比較例3に係る分散液中のメタバナジン酸ストロンチウム微粒子の分散粒径は1470nmと測定された。その後、実施例2および3と同様だが、プレート1のメタバナジン酸ストロンチウム濃度を0.075%(この場合の厚み1mmにわたるメタバナジン酸ストロンチウム微粒子の含有量は0.90g/m)となるようにマスターバッチからプレート試験片への樹脂希釈率を変えて、プレート1を製造した。
(レーザー溶着とその評価)
そして、プレート1の光学特性評価、およびレーザー溶着試験評価を行った。このプレート1は、色味が黄色味を帯びた薄緑色となり、ヘイズ値は27%であった。またレーザー溶着試験の結果、接合強度は十分であったが、顕著な色ムラが観察された。

Claims (13)

  1. 30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤と、レーザー光吸収微粒子とを含有するレーザー溶着用光吸収樹脂組成物であって、
    当該レーザー光吸収微粒子が、一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子であることを特徴とするレーザー溶着用光吸収樹脂組成物。
  2. 上記レーザー光吸収微粒子の平均粒径が1000nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー溶着用光吸収樹脂組成物。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載のレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を含有することを特徴とする光吸収樹脂成形体。
  4. 上記光吸収樹脂成形体の表面から3mm以下の領域におけるメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量が0.03g/m以上、12.0g/m以下であることを特徴とする請求項3に記載の光吸収樹脂成形体。
  5. 請求項1または2のいずれかに記載のレーザー溶着用光吸収樹脂組成物が表面にコーティングされていることを特徴とする光吸収樹脂成形体。
  6. 上記光吸収樹脂成形体の表面のコーティング中における、メタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量が0.03g/m以上、12.0g/m以下であることを特徴とする請求項5に記載の光吸収樹脂成形体。
  7. 上記光吸収樹脂成形体の形状が板状またはフィルム状であることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の光吸収樹脂成形体。
  8. 上記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂の群から選択される1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の光吸収樹脂成形体。
  9. 請求項3から8のいずれかに記載の光吸収樹脂成形体であって、
    可視光透過率が30%以上であり、波長1000〜2100nmに吸収の極大値を有し、ヘイズ値が30%以下であることを特徴とする光吸収樹脂成形体。
  10. 一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子と、30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤とを、混合してレーザー溶着用光吸収樹脂組成物を製造する工程と、
    当該レーザー溶着用光吸収樹脂組成物を、熱可塑性樹脂に添加して混練し、成形して光吸収樹脂成形体を製造する工程とを、有することを特徴とする光吸収樹脂成形体の製造方法。
  11. 上記レーザー溶着用光吸収樹脂組成物の熱可塑性樹脂への添加量を調整することで、上記光吸収樹脂成形体の表面から3mm以下の領域におけるメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量を0.03g/m以上、12.0g/m以下とすることを特徴とする請求項10に記載の光吸収樹脂成形体の製造方法。
  12. 一般式SrVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸ストロンチウム、一般式Sr(Ti,Nb)O3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるニオブチタン酸ストロンチウム、一般式CaVO3−X(但し、0≦X≦1)で表記されるメタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子と、30℃以上のガラス転移温度を持つ高分子分散剤と、バインダーとを、混合してレーザー溶着用光吸収樹脂組成物のコーティング液を製造する工程と、
    当該レーザー溶着用光吸収樹脂組成物のコーティング液を、熱可塑性樹脂の表面にコーティングする工程とを、有することを特徴とする光吸収樹脂成形体の製造方法。
  13. 上記レーザー溶着用光吸収樹脂組成物のコーティング液中のメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量を調整すること、および/または、コーティングの膜厚を調整することで、
    当該コーティング中のメタバナジン酸ストロンチウム、ニオブチタン酸ストロンチウム、メタバナジン酸カルシウムの群から選択される1種以上の微粒子の含有量を0.03g/m以上、12.0g/m以下とすることを特徴とする請求項12に記載の光吸収樹脂成形体の製造方法。
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