JP2012005627A - 調理用鍋 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミックコーティングを施した調理用鍋において、当該鍋に処理された水位線部分も非粘着性を有する調理用鍋を提供すること。
【解決手段】金属あるいは陶器を基材2とし、基材2の少なくとも内表面に非粘着性のセラミックコーティング4を施した調理用鍋であって、セラミックコーティング4は部分的に表面改質処理した溝部4aを構成し、溝部4aに塗料あるいはインク8を注入して水位線3などの表示部を設けたことにより、明確に視認できる水位線を付与でき、かつ調理物がこびりつかない使い勝手の良い調理用鍋を提供できる。
【選択図】図2
【解決手段】金属あるいは陶器を基材2とし、基材2の少なくとも内表面に非粘着性のセラミックコーティング4を施した調理用鍋であって、セラミックコーティング4は部分的に表面改質処理した溝部4aを構成し、溝部4aに塗料あるいはインク8を注入して水位線3などの表示部を設けたことにより、明確に視認できる水位線を付与でき、かつ調理物がこびりつかない使い勝手の良い調理用鍋を提供できる。
【選択図】図2
Description
本発明は内表面に水位線が付与された調理用鍋に関するものである。
従来、この種の調理用鍋は例えば、炊飯器用鍋が知られている。炊飯器用鍋は、調理物であるご飯が強く付着することを防ぐために、非粘着性を有することが求められる。このため、炊飯器用鍋は、非粘着性のコーティング剤でコーティングされることが一般的であり、コーティング剤としては、フッ素樹脂由来のものがよく用いられている。
しかしながら、近年、フッ素樹脂コーティングの原料となるパーフロロオクタン酸(PFOA)が発ガン性を有している可能性があることが、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)により指摘されている。このため、PFOAを含まないコーティング剤として、セラミックスを原料としたコーティング剤が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
図7は、特許文献1に記載された従来のコーティング剤中の非粘着成分の時間経過に伴う模式図を示すものである。図7に示すように、コーティング剤101と、基材102と、コーティング剤101中の非粘着性成分103とから構成されている。
コーティング剤101は、基材102に塗布した後、乾燥すると、非粘着性成分103のほぼ全てが表層部分101aに集まる(析出する)という性質がある。このため、コーティング剤を用いたセラミックコーティングは、表面の非粘着性が非常に強く、フッ素樹脂コーティングに比べて、高硬度で熱伝導率が高いという特徴がある。これらの特徴は、調理用鍋、特に炊飯用鍋にとっては、大きなメリットとなる。
しかしながら、前記従来の構成では、パッド印刷若しくは刻印方式などの従来の調理用鍋で使用されてきた方法では、調理用鍋に必要な水位線を付与することができないという課題を有していた。
すなわち、パッド印刷にて調理用鍋に水位線を付与しようとすると、セラミックコーティングの非粘着性(疎水性)が強すぎるために、タンポ印刷に用いるインクが弾かれてしまう。
また、刻印方式にて炊飯器用鍋に水位線を付与しようとすると、刻印時の衝撃により、セラミックコーティングが割れてしまうおそれがある。
また、セラミックコーティングは、製造上、厚さを厚くすることができない(約50μm程度が限界)という特徴があり、従来の刻印方式で形成した深さ1mm程度の凹部に着色用インクを流し込んで定着させる方法は困難である。なお、調理用鍋、特に炊飯器用鍋は、曲面が多いために、スクリーン印刷などの印刷法を利用して水位線などの表示部を設けることはできない。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、セラミックコーティングを施した調理用鍋において、明確に視認できる水位線を有し、なお且つ、水位線部位にも非粘着性を付与し、使い勝手の良い調理用鍋を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の調理用鍋は、金属あるいは陶器を基材とし、前記基材の少なくとも内表面に非粘着性のセラミックコーティングを施した調理用鍋であって、前記セラミックコーティングは部分的に表面改質処理した溝部を構成し、前記溝部に塗料またはインクを注入して水位線などの表示部を設けたものである。
これによって、非粘着性の強いセラミックコーティングを施した炊飯器用鍋においても、水位線などの表示部を設けることができ、調理用鍋に入れる水の量をより正確に量ることができる。
本発明の調理用鍋は、非粘着性の強いセラミックコーティングを施した炊飯器用鍋において、明確に視認できる水位線を付与でき、かつ水位線部分もまた非粘着性を保持できるので、調理用鍋に入れる水の量をより正確に量ることができ、かつご飯などの調理物がこびりつかない使い勝手の良い調理用鍋を提供することができる。
第1の発明は、金属あるいは陶器を基材とし、前記基材の少なくとも内表面に非粘着性のセラミックコーティングを施した調理用鍋であって、前記セラミックコーティングは部分的に表面改質処理した溝部を構成し、前記溝部に塗料またはインクを注入して水位線などの表示部を設けたことにより、非粘着性の強いセラミックコーティングを施した炊飯器用鍋においても、水位線などの表示部を設けることができ、調理用鍋に入れる水の量をより正確に量ることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の前記セラミックコーティングの常温での水の接触角は90度以上である構成とすることにより、水の量をより正確に量ることができ、ご飯などの調理物がこびりつかない。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の前記表面改質処理はレーザー処理、ブラスト処理、薬品処理によって実施され、親水性に改質されたことにより、塗料あるいはインクと馴染みがよくなり、容易に水位線などの表示部を設けることができる。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の前記水位線などの表示部の表面もまた非粘着性であることにより、ご飯などの調理物がこびりつかない。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1及び図2を用いて、本発明の実施形態にかかる炊飯器用鍋の構造について説明する。
図1及び図2を用いて、本発明の実施形態にかかる炊飯器用鍋の構造について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器用鍋の断面図、図2は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器用鍋の水位線近傍の拡大断面図を示すものである。
炊飯器用鍋1は、基材2の内表面にセラミックコーティング4を施したものである。炊飯器用鍋1の内表面(内周面)には、後述するように、水位線3が付与されている。
基材2の材質としては、例えば、ステンレス若しくはアルミニウムなどを用いることができる。基材2の構造は、単層構造であっても、複層構造であってもよい。例えば、基材2は、ステンレスとアルミニウムとを積層した2層構造とすることができる。また、基材2は陶器であっても問題はない。
セラミックコーティング4は、セラミック層の一例である黒色セラミック1層構造で構成されている。
炊飯器用鍋1には、調理物として、米10を投入し、米10の量に応じた水9を水位線3を参照して投入し、加熱して炊飯を行う。
図3は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器用鍋の溝部近傍の拡大断面図である。
図3に示すように、セラミックコーティング4を基材2表面に処理した後、セラミックコーティング(黒色セラミック層)4には、水位線3に対応する位置に溝部4aが設けられる。この溝部4aを通じて、黒色セラミック層4の内部が露出し、この露出部にインクなどの着色剤を別途塗布して水位線を形成している。なお、ここでは、セラミック層の色を、黒色としたが、その他の色のであってもよいし、セラミック層は多層であっても問題はない。
溝部4aは、基材2上に黒色セラミック層4を形成した後、黒色セラミック層4に向けてレーザー7を照射(レーザー加工)することにより表面改質され形成されている。レーザー7は、衝撃波と熱でセラミック層を除去するものである。
図4は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器用鍋の溝部の拡大断面図である。
黒色セラミック層4のようなセラミック層にレーザー7を照射したときに形成される溝部(レーザー照射痕)は、図4に示すような底面に適度な凹凸を帯びた形状になる。レーザー7としては、例えば、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、グリーンレーザーを用いることができる。
なお、黒色セラミック層4の一部を除去するのにレーザー7を用いた場合、レーザー7の衝撃波により黒色セラミック層4が劣化して剥離し、基材2が露出してしまうことがあり得る。
このため、黒色セラミック層4に与えるダメージが少なくなるように、レーザー7の出力若しくは加工スピードなどを調整することが好ましい。また、黒色セラミック層4の厚さは30〜50μmとし、レーザー7による加工の深さは10μm〜30μm程度に設定
することが好ましい。
することが好ましい。
なお、セラミック層4を多層する場合にもセラミック層の合計厚さは、約50μm程度が製造上の限界である。
黒色セラミック層4は、例えば、サーモロン・リミテッド社のTHERMOLON(登録商標)などのコーティング剤を用いて形成されている。このため、黒色セラミック層4は、通常のフッ素樹脂コーティングに比べて、硬度が高く、熱伝導率が高い特徴を有している。また、黒色セラミック層4の表層部分は非粘着性及び疎水性を有し、その内部は親水性を有している。従って、黒色セラミック層4が外部に露出している部分である溝部4aの部分は、親水性を有している。
表層部分の非粘着性及び疎水性を発現する材料はメチル基などのアルキル基やフッソ原子を有するパーフロロアルキル基などがある。
また、非粘着性及び疎水性をさらに強化するために、シリコーンオイル、フッソ系オイル、シリコーン樹脂、フッソ樹脂、非粘着性官能基を有するシラン化合物などを塗膜に添加することも可能である。
ここで、黒色セラミック層4が外部に露出している部分である溝部4aの部分はこのままでは非粘着性が低く、ご飯等の調理物がこの部位にこびりつく可能性が高い。
このため、非粘着性及び疎水性を発現する材料を添加した白色の親水性塗料あるいはインク8を溝部4a部分に処理している。
処理の方法としては、図5に示すように、白色の親水性塗料あるいはインク8を溝部4a(水位線)周囲にスプレー、あるいは、塗布した後に適温で乾燥をかけ、乾燥後に拭き取る方法がある。
溝部4aは親水性のために白色の親水性塗料あるいはインク8と馴染みがよく、拭き取られずに残り、一方、溝部4a(水位線)周囲は非粘着性を有しているために塗料あるいはインク8が拭き取られ、結果として、溝部4aのみに白色の塗料あるいはインク8が処理されることになり、水位線3となる。
また、白色の塗料あるいはインク8は黒色セラミック層4の塗料同様に非粘着性及び疎水性を発現する材料が添加されており、適温での焼成処理後に非粘着性を有する塗膜となり、水位線部位にもご飯等の調理物がこびりつくことがない。
水位線表装部分の非粘着性及び疎水性を発現する材料は、メチル基などのアルキル基やフッソ原子を有するパーフロロアルキル基などがある。
また、非粘着性及び疎水性をさらに強化するために、シリコーンオイル、フッソ系オイル、シリコーン樹脂、フッソ樹脂、非粘着性官能基を有するシラン化合物などを塗膜に添加することも可能である。
他の加工方法としては、親水性の転写パッドに白色の親水性塗料あるいはインク8を付け、これを水位線3付近に適度な圧力で押し当てることにより、白色が溝部4a部のみに転写することも可能である。
図6は、本発明の第1の実施の形態の炊飯器用鍋の溝部の拡大図で、(a)は正面図、
(b)は断面図である。
(b)は断面図である。
溝部4aは、図6に示すように、レーザー7のスポット径Dを水位線3の幅Wよりも小さく(例えば、100μm)して、複数回のレーザー7の照射により形成することが好ましい。すなわち、溝部4aの長さ方向のみならず、溝部4aの幅方向にも複数のレーザー照射痕7Bを形成して、溝部4aの表面に大きな凹凸を形成することが好ましい。
溝部4aの表面を粗面とすることにより、溝部4aの総表面積を大きくして、溝部4a部位の親水性を向上させることができる。これにより、溝部4a部位に処理する塗料あるいはインク8の密着性を向上することができる。
以上のように作製した炊飯器用鍋1は、内表面が水位線3も含め水の接触角が90度以上であり、全面に渡り非粘着性を有しており、ご飯などの調理物がこびりつくことを防止できるものである。
また、溝部4aを形成するときにレーザー加工条件によっては黒色セラミック層4に貫通溝が開き、基材2が露出することもあり得るが、溝部4aに処理する塗料あるいはインク8が基材2と十分に密着し、十分な厚さを確保できるのであれば問題はない。
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、基材2上に直接、黒色セラミック層4を形成するのではなく、基材2に用いるアルミニウムの表面をアルマイト処理して硬質アルマイト層を形成し、当該アルマイト層の上に黒色セラミック層4を形成するようにしてもよい。これにより、黒色セラミック層4の耐衝撃性や耐食性を向上させることができる。
また、基材2をステンレスにしても同様に耐衝撃性を向上させることができる他、アルミナやクロミナ等のセラミック溶射やステンレスなどの金属溶射を基材上に処理して耐衝撃性を向上してもよい。
さらに、本実施形態ではセラミックコートを1層としたが、2層以上であっても問題はない。
また、調理用鍋の一例として炊飯器用鍋について説明したが、これに限定されるものではなく、内表面に水位線が付与された調理用鍋であればよい。
以上のように、本発明にかかる調理用鍋は、明確に視認できる水位線を付与でき、かつ調理物がこびりつかない使い勝手の良い調理用鍋を提供することが可能となるので、他の調理用機器等の用途にも適用できる。
1 炊飯器用鍋
2 基材
3 水位線
4 セラミックコーティング(セラミック層)
4a 溝部
7 レーザー
7B レーザー照射痕
8 塗料あるいはインク
9 水
10 米
2 基材
3 水位線
4 セラミックコーティング(セラミック層)
4a 溝部
7 レーザー
7B レーザー照射痕
8 塗料あるいはインク
9 水
10 米
Claims (4)
- 金属あるいは陶器を基材とし、前記基材の少なくとも内表面に非粘着性のセラミックコーティングを施した調理用鍋であって、前記セラミックコーティングは部分的に表面改質処理した溝部を構成し、前記溝部に塗料またはインクを注入して水位線などの表示部を設けたことを特徴とする調理用鍋。
- 前記セラミックコーティングの常温での水の接触角は90度以上であることを特徴とする請求項1に記載の調理用鍋。
- 前記表面改質処理はレーザー処理、ブラスト処理、薬品処理によって実施され、親水性に改質されたことを特徴とする請求項1または2に記載の調理用鍋。
- 前記水位線などの表示部の表面もまた非粘着性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の調理用鍋。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010143472A JP2012005627A (ja) | 2010-06-24 | 2010-06-24 | 調理用鍋 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010143472A JP2012005627A (ja) | 2010-06-24 | 2010-06-24 | 調理用鍋 |
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JP2012005627A true JP2012005627A (ja) | 2012-01-12 |
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JP (1) | JP2012005627A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101293429B1 (ko) * | 2013-02-21 | 2013-08-05 | 문윤덕 | 조리용기의 색채 가공방법 |
JP7323145B1 (ja) | 2022-12-23 | 2023-08-08 | 有限会社ティエスエンジニアリング | 過熱蒸気を用いた温水ボイラ装置 |
-
2010
- 2010-06-24 JP JP2010143472A patent/JP2012005627A/ja active Pending
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