(一実施形態)
以下、本発明をETC車載器に適用した場合について図面を参照して説明する。
図1は、車両用通信装置としてのETC車載器1(以下、車載器と省略して記す)のブロック構成を示す。車載器1は、料金所に設けられる路側器20のアンテナ20aとの間で無線通信を行う装置である。車載器1は、例えば車両のダッシュボードや運転席の近傍に設けられており、ICカード11が装着可能に構成されている。
車載器1において、制御部2には、無線通信部3が接続されている。無線通信部3は、アンテナ3aを通じて路側器20と通信を行うためのものであり、例えばDSRC(Dedicated Short Range Communication;狭域通信)方式を採用した通信処理を行う。アンテナ3aは、車載器1の本体に一体的に設けられるものや本体からワイヤを通じて独立した構成として設けられフロントウインドシールドなどに装着されるものなどがある。
制御部2には、無線通信部3の他に入出力部4、記憶部5、ICカード通信部6などが電気的に接続されている。
入出力部4は、さらに外部装置としてのカーナビゲーション装置8、音声発生装置9、および操作スイッチ10と電気的に接続されており、制御部2によって制御されることにより、これら各装置8、9、10と各種情報や要求の授受を行う。
カーナビゲーション装置8は、自車の位置を画面に表示された地図上に示し、自車を設定された目的地まで案内するものであり、車載器1から入力される情報を画像表示または音声によって報知する。音声発生装置9は、ETCシステムにおいて使用者にとって有益な情報を音声にて報知するものである。操作スイッチ10は、使用者によって操作されるスイッチであり、使用者からの、ICカード11の記憶部14に記憶されている情報や、記憶部5に記憶されている情報などをカーナビゲーション装置8や音声発生装置9に報知させる要求を受け付けるスイッチである。
記憶部5は、フラッシュメモリに代表される不揮発性の記憶装置であり、車両に搭載する際に車両情報などの情報が記憶されるとともに、ICカード11内に記憶されている利用履歴情報、ICカード11内に記憶されている契約情報、路側器20と無線通信した際に発生した路側器20から送信される新たな利用履歴情報、およびICカード11との相互認証を行う上で必要な認証情報などが記憶されている。
ここで、車両情報は、車載器1が搭載される車両についての番号、車種などである。この車両情報については、車載器1を車両に搭載する際に作業者が記憶部5に記憶させることで入手できる。また、利用履歴情報は、路側器20と無線通信した履歴情報であり、具体的には、料金所の場所や料金所名などの料金所情報、路側器20と無線通信した利用年月日情報、利用した有料道路の利用料金を示す利用料金情報などがある。契約情報は、情報であり、具体的には、ICカード11の有効期限情報や決済に関する情報などがある。
ICカード11内に記憶されている利用履歴情報および契約情報については、ICカード11を車載器1に装着し、相互認証させ、ICカード11より当該各情報を読み出すことにより入手できる。
ICカード通信部6は、制御部2によって制御されることより、ICカードコネクタ7に装着されるICカード11を認識してICカード11と各種情報の授受を行う。ICカードコネクタ7は、ICカード11に設けられている電極部12と電気的に接触する電極部を備えたコネクタである。
制御部2は、マイクロコンピュータを主体として構成されるもので、後述するICカード挿入処理、履歴報知処理、課金処理、および書き込み処理に対応した動作を行う各種プログラムが予め組み込まれている。
ICカード11は、電極部12、制御部13および記憶部14を備えている。制御部13は、電極部12および記憶部14に接続されている。制御部13は、車載器1より電極部12を通じて、書き込み要求や読み出し要求を受け取るように構成されている。書き込み要求を受け取ると、制御部13は、記憶部14を制御して、車載器1から送られる書き込み要求とともに送られる情報を記憶部14に書き込む。そして、読み出し要求を受け取ると、制御部13は、記憶部14を制御して、記憶部14に記憶されている情報を読み出し、電極部12を通じて車載器1に送る。なお、記憶部14は、フラッシュメモリに代表される不揮発性の記憶装置であり、路側器20との無線通信の履歴情報としての利用履歴情報などが記憶されている。利用履歴情報については、路側器20との無線通信が終了したときに、車載器1より入手することがきる。
車載器1の各部は内蔵されている電源部(図示せず)から給電されるようになっている。電源部は車載バッテリからキースイッチのアクセサリスイッチ(ACCスイッチ)を介して接続されており、アクセサリスイッチがオンされると所定の直流電圧を生成して給電するように構成されている。
次に、上記構成を利用して行う課金処理の一連の流れと、本実施形態の特徴的な動作について図2から図5を参照して説明する。
図2は、全体の制御フローを示している。この図2では、特に本実施形態の特徴的な動作に関係するものを中心に図示する。この制御フローは、使用者が車両に乗り込みアクセサリスイッチをオンすると始まる。
図2に示すように、ステップS10では、制御部2は、車載器1にICカード11が挿入されたか否かを判定する。ICカード11が挿入されていると判定されれば、制御部2は、ステップS20のICカード挿入処理を実行し、ICカード11が挿入されていないと判定されれば、ICカード11が挿入されたと判定するまでステップS10の処理を繰り返し実行する。ICカード11の挿入、非挿入の判定は、例えば、車載器1のICカード挿入孔内に設けられているスイッチ(図示せず)からの信号の有無により行うことが可能である。上記スイッチは、ICカード11が上記挿入孔に挿入されたことを示す信号を制御部2に送るように構成されており、制御部2は、このスイッチからの信号の有無によりICカード11の挿入、非挿入を判定する。
ステップS20では、制御部2は、ICカード挿入処理を実行する。その処理の詳細を図3に示す。ステップS110では、制御部2は、相互認証を実行する。相互認証では、ICカード11と車載器1とのお互いの正当性を確認する。このステップS110での相互認証は、例えば以下のようにして行われる。制御部2は、記憶部5に記憶されている認証情報を暗号化し、ICカード通信部6を通じてICカード11に送る。ICカード11では、暗号化された認証情報を復号化し、復号化されたものを電極部12を通じて車載器1に送る。制御部2では、送られた認証情報と記憶部5に記憶されている認証情報とを照合する。照合の結果、両認証情報が一致していれば相互認証は完了する。
ステップS120では、制御部2は、ステップS110での相互認証が正常に行われたか異常であったのかを判定する。本実施形態では、ICカード11から送られる複合化された認証情報と記憶部5に記憶されている認証情報とを照合した結果、両認証情報が一致していれば相互認証が正常に行われたと判定し、両認証情報が一致していなければ相互認証が異常であったと判定する。
また、ステップS120で、制御部2が、相互認証が異常であると判定すると、処理をステップS130に進め、相互認証が異常であったことをカーナビゲーション装置8または音声発生装置9に報知させる指令を、入出力部4を通じて、カーナビゲーション装置8または音声発生装置9に送る。カーナビゲーション装置8は、この指令を受け取ることにより、相互認証が異常であったこと(カードエラー)を画像表示や音声により報知する。また、音声発生装置9は、この指令を受け取ることにより、相互認証が異常であったこと(カードエラー)を音声により報知する。その後、処理は図2に示す制御フローのスタートに戻る。図2に示すステップS10は、カードエラーの報知後、使用者がICカード11を再挿入するまで繰り返し実行される。
一方、ステップS120で、制御部2が、相互認証が正常に行われたと判定すると、処理をステップS140に進め、相互認証が正常に行われたこと(認証成功)をカーナビゲーション装置8または音声発生装置9に報知させる指令を、入出力部4を通じて、カーナビゲーション装置8または音声発生装置9に送る。カーナビゲーション装置8は、この指令を受け取ることにより、相互認証が正常に行われたこと(認証成功)を画像表示や音声により報知する。また、音声発生装置9は、この指令を受け取ることにより、相互認証が正常に行われたこと(認証成功)を音声により報知する。
そして、ステップS140に続くステップS150において、制御部2は、ICカード11内の課金処理に必要な契約情報を読み出し、記憶部5に記憶させる。
ステップS150までの処理が終了すると、制御部2は、ICカード11の記憶部14に記憶されている利用履歴情報を車載器1の記憶部5に記憶させるステップS160〜ステップS200による処理を実行する。この処理では、ICカード11の記憶部14に記憶されている最新の利用履歴情報から過去に遡って100件の利用履歴情報を記憶部5に記憶させるようにしている。
ここで、ICカード11の記憶部14に記憶されている利用履歴情報の記憶形態の一例を図6に示す。記憶部14には、利用履歴情報が利用年月日が最新のものから順に並んで記憶されている。利用履歴情報には、先に説明したように利用年月日情報、通過した料金所情報、利用した有料道路の利用料金情報などがある。この記憶部14は、常に最新の利用履歴情報から過去に遡って所定の件数のものだけが記憶されるようになっており、最新の利用履歴情報が追加される場合は、最も古い利用履歴情報が消去されるようになっている。
ステップS160では、一旦、制御部2は、ICカード11の記憶部14に記憶されている利用履歴情報を車載器1の記憶部5に記憶させるのに使用するカウンターnをn=0に設定する。なお、このカウンターnの数値は、利用履歴情報の順番を表しており、数値が小さいほど最近の利用履歴情報を表している。
ステップS170では、制御部2は、カウンターnが100以上であるか否かを判定する。カウンターnが100以上であれば、この繰り返し実行される処理を終了するとともに、制御フローを終了する。カウンターnが100未満であれば、制御部2は、処理をステップS180に進め、カウンターnを1だけインクリメントするとともに、インクリメント後のnを記憶する。
そして、ステップS180に続くステップS190では、制御部2は、ICカード11にアクセスして、記憶部14からn件目の利用履歴情報を読み出す。この利用履歴情報の出しは、以下のようにして進められる。制御部2は、ICカード11の制御部13に対して、記憶部14に記憶されているn件目の利用履歴情報を読み出すための読み出し要求をICカード通信部6およびICカードコネクタ7を通じて送る。ICカード11では、制御部13が、制御部2からの読み出し要求に応じて、記憶部14内のn件目の利用履歴情報を電極部12を通じて車載器1に送る。このようにして、記憶部14内のn件目の利用履歴情報が読み出されるのである。
そして、ステップS200において、制御部2は、ステップS190にて読み出したn件目の利用履歴情報を記憶部5に記憶させる。その後、再び処理をステップS170に戻す。
ステップS170〜S200の処理は、カウンターnが100以上となるまで繰り返し実行される。ステップS170〜S200の処理が完了すると、記憶部5には、100件の履歴が記憶されることとなる。本実施形態では、100件の履歴が記憶部5に記憶されると、ICカード挿入処理のサブルーチンが終了する。なお、ステップS170〜S200での処理は、記憶部14に100件以上の利用履歴情報が記憶されている場合を示している。利用履歴情報が100件未満の場合は、制御部2は記憶部14内の利用履歴情報がなくなった時点でステップS170〜S200の処理を終了する。ステップS170〜S200での処理が終了すると、このICカード挿入処理は終了する。その後、処理は、図2に示すステップS30に戻る。
ステップS30ではステップS20のICカード挿入処理が終了したら実行される。ステップS30では、制御部2は、使用者からの履歴報知要求があったか否かを判定する。履歴報知要求の有無は、使用者によって操作スイッチ10が操作されたことにより出力される信号を制御部2が受けたか否かで判定する。ステップS30において、制御部2は、履歴報知要求があったと判定すれば、ステップS40の履歴報知処理を実行し、履歴報知要求があったと判定されなければ、ステップS50の判定処理を実行する。
次に、ステップS40にて処理される履歴報知処理の詳細について図4を参照して説明する。
ステップS310では、制御部2は、ICカード11にアクセスして、ICカード11の記憶部14より利用履歴情報を読み出す。この利用履歴情報の読み出しは以下のようにして進められる。制御部2は、ICカード11の制御部13に対して、記憶部14に記憶されている利用履歴情報を読み出すための読み出し要求をICカード通信部6およびICカードコネクタ7を通じて送る。ICカード11では、制御部13が、制御部2からの読み出し要求に応じて、記憶部14内の利用履歴情報を電極部12を通じて車載器1に送る。このようにして記憶部14内の利用履歴情報が読み出されるのである。このステップS310で読み出される利用履歴情報の件数は、最新のもの1件だけであってもよいし、所定件数分をまとめて読み出してもよい。読み出された利用履歴情報は、一旦、記憶部5に記憶される。
続く、ステップS320では、制御部2は、ICカード11から利用履歴情報を受け取ったか否かに基づいて、車載器1がICカード11に対してアクセスが可能であるのか否かを判定する。制御部2がICカード11から利用履歴情報を受け取ったと判定すれば、制御部2は、車載器1がICカード11に対してアクセスが可能であるとみなし、処理をステップS330に進める。そして、ステップS330では、制御部2は、受け取った利用履歴情報が正常なものであるのか否かを判定する。受け取った利用履歴情報が正常のものか否かの判定は、受け取った利用履歴情報が、例えば利用年月日が通常では存在しない年月日となっていたり、利用料金が有料道路の料金体系と合致しない金額となっていることを、車載器1の記憶部5に予め記憶されている情報と照合することにより行われる。このように、受け取った利用履歴情報が正常であるのか否かを判定する処理を設けることによれば、読み出した利用履歴情報の信頼性を確保することができる。
このステップS330にて、制御部2が受け取った利用履歴情報が正常のものと判定すると、制御部2は、処理をステップS340に進め、ICカード11より受け取った利用履歴情報を入出力部4を通じてカーナビゲーション装置8または音声発生装置9に送る。カーナビゲーション装置8は、この利用履歴情報を受け取ることにより、受け取った利用履歴情報を画像表示や音声により報知する。また、音声発生装置9は、この利用履歴情報を受け取ることにより、受け取った利用履歴情報を音声により報知する。
一方、ステップS320の処理にて、制御部2がICカード11から何も応答がなかったと判定するか、またはステップS330の処理にて、制御部2がICカード11から受け取った利用履歴情報が正常なものではないと判定すると、制御部2は、ICカード11からの利用履歴情報の読み出しに異常が発生したとみなして、処理をステップS350に進める。
ステップS350において、制御部2は、図3に示すステップS170〜S200での処理において、記憶部5に既に記憶されている利用履歴情報を読み出す。そして、ステップS360において、制御部2は、読み出した利用履歴情報を入出力部4を通じてカーナビゲーション装置8または音声発生装置9に送る。カーナビゲーション装置8は、この利用履歴情報を受け取ることにより、受け取った利用履歴情報を画像表示や音声により報知する。また、音声発生装置9は、この利用履歴情報を受け取ることにより、受け取った利用履歴情報を音声により報知する。なお、ステップS360の処理では、ステップS320およびS330にてICカード11内の利用履歴情報の読み出しに異常が発生していることとなっている。本来ならば、制御部2は、読み出し異常が発生したことをカーナビゲーション装置8または音声発生装置9に報知させているように構成されている。しかしながら、本実施形態での制御部2は、このステップS360において、読み出し異常に関する報知は禁止している。したがって、本実施形態では、ステップS360の処理が行われることにより、カーナビゲーション装置8または音声発生装置9からは、利用履歴情報の読み出し異常が発生したことは報知されずに、記憶部5から読み出した利用履歴情報のみが報知されることとなる。
その後、ステップS370において、制御部2は、ステップS320またはステップS330での処理でICカード11から利用履歴情報の読み出し異常が発生しているとみなされているので、ICカード11の再相互認証を実行する。ここでの再相互認証は、図3のステップS110での処理と同じである。
ステップS380において、制御部2は、ステップS370での再相互認証が正常に行われたか異常であったかを判定する。ここでの処理は、図3のステップS120での処理と同じである。ステップS380において、制御部2が、再相互認証が異常であったと判定すると、処理をステップS390に進め、再相互認証が異常であったこと(カードエラー)をカーナビゲーション装置8または音声発生装置9に報知させる指令を、入出力部4を通じて、カーナビゲーション装置8または音声発生装置9に送る。カーナビゲーション装置8は、この指令を受け取ることにより、再相互認証が異常であったこと(カードエラー)を画像表示や音声により報知する。また、音声発生装置9は、この指令を受け取ることにより、再相互認証が異常であったこと(カードエラー)を音声により報知する。その後、処理は図2に示す制御フローのスタートに戻る。図2に示すステップS10は、カードエラーの報知後、使用者がICカード11を再挿入するまで繰り返し実行される。
一方、このステップS380において、制御部2が、再相互認証が正常に行われたと判定すると、ステップS310〜S390の履歴報知処理を終了する。その後、処理は、図2に示すステップS30に戻る。
以上、ステップS30において、制御部2が履歴報知要求があったと判定し、その後行われるステップS40での履歴報知処理を詳細に説明した。
次に、ステップS30において、制御部2が履歴報知要求があったと判定しない場合に続く処理について説明する。ステップS30において、制御部2が履歴報知処理があったと判定しなかった場合は、処理がステップS50に進む。ステップS50では、制御部2は、車載器1が路側器20と無線通信の状態にあるか否かを判定する。制御部2は、路側器20が車載器1の記憶部5に記憶されている契約情報および車両情報の取得を要求していることを無線通信部3を通じて受け取ることにより、無線通信状態にあると判定する。制御部2は、契約情報および車両情報の取得の要求を受け取っていると、処理をステップS60に進め、課金処理を実行する。契約情報および車両情報の取得の要求を受け取っていない場合は、制御部2は、処理をステップS30に戻す。ステップS30とステップS50の処理は、操作スイッチ10からの履歴報知要求を制御部2が受け取るか、契約情報および車両情報の取得の要求を受け取るまで繰り返し実行される。
次に、図2に示すステップS60での課金処理について説明する。既に説明したように、制御部2が、ステップS30において操作スイッチ10から履歴報知要求がないと判定し、さらにステップS50において路側器20と無線通信する状態にあると判定すると、制御部2は、ステップS60の課金処理を実行する。
ステップS60では、制御部2は、路側器20からの契約情報および車両情報の取得の要求を受け、記憶部5に記憶されている契約情報および車両情報を読み出し、これらの情報を無線通信部3およびアンテナ3aを通じて路側器20に送る。
続いて、路側器20から、例えばこの課金処理が行われる前に通過した料金所情報の取得の要求を制御部2が受ける。その要求を受けた制御部2は、利用履歴情報のうち、課金処理が行われる前に通過した料金所情報として入口料金所の情報などの課金処理に必要な情報を路側器20に送る。路側器20に送られる料金所情報は、記憶部5に記憶されているものであってもよいし、その都度ICカード11の記憶部14から読み出したものであってもよい。
上記契約情報、車両情報、および料金所情報を受け取った路側器20は、受け取った情報をもとにして通行料金の課金計算を実行するとともに使用者に対する支払いの処理を実行する。そして、使用者に対する支払いの処理が終了すると、路側器20は、車載器1に対してこの課金処理で得られた最新の料金所情報、利用年月日情報、利用料金情報などをICカード11の記憶部14に記憶させる追加情報として車載器1に送る。また、路側器20は、この追加情報とともに、この追加情報を記憶部14に書き込ませるための書き込み要求も併せて送る。
ステップS70では、制御部2は、無線通信部3を通じて路側器20からの記憶要求を受けると、追加情報を記憶部5とICカード11内の記憶部14にそれぞれ書き込む書き込み処理を実行する。
次に、ステップS70にて処理される書き込み処理の詳細について図5を参照して説明する。
ステップS510では、制御部2は、ICカード11にアクセスして、無線通信後に得られた追加情報をICカード11の記憶部14に書き込む処理を実行する。具体的には、制御部2は、路側器20からの記憶要求に応じて、記憶部14に書き込む追加情報とともに、この追加情報を記憶部14に書き込ませるための書き込み要求をICカード通信部6およびICカードコネクタ7を通じてICカード11に送る。ICカード11では、制御部13は、制御部2からの書き込み要求に応じて、送られた追加情報を記憶部14に書き込ませるとともに、記憶部14に書き込まれた追加情報を車載器1に送る。
続く、ステップS520では、制御部2は、記憶部14に書き込まれた追加情報をICカード11から受け取ったか否か、つまりICカード11から応答があったか否かを判定する。この判定によれば、車載器1とICカード11に対してアクセスが可能であるのか否かが判定できる。制御部2がICカード11から追加情報を受け取ったと判定すれば、制御部2は、車載器1がICカード11に対してアクセスが可能であるとみなし、処理をステップS530に進める。そして、ステップS530では、制御部2は、ICカード11から受け取った追加情報が正常なものであるのか否かを判定する。その受け取った追加情報が正常なものであるのか否かを判定は、ICカード11に送った追加情報と照合することによって行われる。このように、ICカード11から受け取った追加情報が正常であるのか否かを判定する処理を設けることによれば、記憶部14に書き込まれた追加情報の信頼性を確保することができる。
ステップS530での処理で、制御部2がICカード11から受け取った追加情報が正常であると判定すると、制御部2は、処理をステップS540に進め、ICカード11に送った追加情報と同じ内容の追加情報を車載器1の記憶部5に書き込ませる。これにより、書き込み処理を終了する。その後、処理は、図2に示すようにステップS30に戻る。
ステップS510〜S540の処理が実行されることにより、最新の料金所情報、利用年月日情報、利用料金情報などが両記憶部5、14に書き込まれる。このように、両記憶部5、14に同じ内容の追加情報が書き込まれることとなるため、記憶部14に書き込まれることが可能な利用履歴情報の件数の範囲内では、両記憶部5に書き込まれている内容と同じとなる。
一方、ステップS520の処理にて、制御部2がICカード11から何も応答がなかったと判定するか、またはステップS530の処理にて、制御部2がICカード11から受け取った追加情報が正常なものではないと判定すると、制御部2は、記憶部14への追加情報の書き込み異常が発生し、車載器1とICカード11との相互認証が異常であるみなして、処理をステップS550に進める。
ステップS550では、制御部2は、ステップS510でのICカード11への追加情報の書き込み異常が2回目であるか否かを判定する。
ステップS510での書き込み異常が1回目であれば、制御部2は、処理をステップS560に進め、再度、ICカード11の相互認証を実行する。ここでの相互認証は、図3のステップS110での処理と同じである。
ステップS570において、制御部2は、ステップS560での相互認証が正常に行われたか異常であったかを判定する。ここでの処理は、図3のステップS120での処理と同じである。ステップS570において、制御部2が、相互認証が正常に行われたと判定すると、処理を再びステップS510に戻し、無線通信により得られた追加情報をICカード11の記憶部14に書き込ませる処理を再度実行する。
ステップS570において、制御部2が、相互認証が異常であったと判定すると、処理をステップS580に進め、相互認証が異常であったこと(カードエラー)をカーナビゲーション装置8または音声発生装置9に報知させる指令を、入出力部4を通じて、カーナビゲーション装置8または音声発生装置9に送る。カーナビゲーション装置8は、この指令を受け取ることにより、相互認証が異常であったこと(カードエラー)を画像表示や音声により報知する。また、音声発生装置9は、この指令を受け取ることにより、相互認証が異常であったこと(カードエラー)を音声により報知する。これにより、書き込み処理が終了する。その後、処理は図2に示す制御フローのスタートに戻る。図2に示すステップS10は、カードエラーの報知後、使用者がICカード11を再挿入するまで繰り返し実行される。
一方、ステップS550での処理で、制御部2がステップS510での書き込み異常が2回目であると判定すると、制御部2は、処理をステップS580に進め、書き込み異常が発生したこと(カードエラー)をカーナビゲーション装置8または音声発生装置9に報知させる指令を、入出力部4を通じて、カーナビゲーション装置8または音声発生装置9に送る。カーナビゲーション装置8は、この指令を受け取ることにより、書き込み異常が発生したこと(カードエラー)を画像表示や音声により報知する。また、音声発生装置9は、この指令を受け取ることにより、書き込み異常が発生したこと(カードエラー)を音声により報知する。その後、処理は図2に示す制御フローのスタートに戻る。図2に示すステップS10は、カードエラーの報知後、使用者がICカード11を再挿入するまで繰り返し実行される。
以上、説明したように本実施形態では、まず、図3に示すように、ICカード11が車載器1に装着されると、ICカード11の記憶部14に記憶されている利用履歴情報を車載器1の記憶部5に記憶させるようにしている。特に、本実施形態では、使用者からの利用履歴情報の報知要求が行われる前に事前に記憶部5に記憶部14の利用履歴情報を記憶させるようにしている。そして、本実施形態では、使用者からの操作スイッチ10による履歴報知要求に対して実行されたときに、ICカード11の記憶部14から利用履歴情報を読み出して、その情報を報知するのではなく、事前に記憶部5に記憶しておいた利用履歴情報を報知するようにしている。
このことによれば、例えば、車両の振動などによりICカードコネクタ7とICカード11の電極部12との接点が外れ、制御部2からICカード11へのアクセスに異常が発生したり、ICカード11へのアクセスが可能であっても読み出した利用履歴情報に誤りがあるような読み出し異常が発生するような場合、再度、ICカード11との相互認証を行ってから再度、読み出し、報知するという時間を要する処理を行わずに、利用履歴情報を使用者に報知することができる。このことによれば、使用者からの利用履歴情報の履歴報知要求に対する報知応答性を確保することができる。
車載器によっては、ICカード内の情報を読み出す際に異常が発生すると、その旨を報知する機能を有するものがある。このような読み出し異常を報知する機能を有する車載器に、本実施形態で示したようなICカード11内の利用履歴情報の読み出し異常が発生した場合に、車載器1に記憶部5に記憶されている利用履歴情報を報知するという構成を単に採用すると、利用履歴情報とともに、読み出し異常に関する情報が報知されることとなり、報知された利用履歴情報の信憑性が低下するおそれがある。
これに対し、本実施形態では、図4に示すステップS360に示すように、制御部2は、記憶部5内の利用履歴情報だけを各装置8、9に報知させる際、ICカード11からの読み出し異常が発生したことを各装置8、9が報知するのを禁止している。このことによれば、ICカード11からの利用履歴情報の読み出し異常が発生した場合であっても、その旨の報知がされずに、利用履歴情報が各装置8、9から報知されることとなる。このことによれば、報知される利用履歴情報の信憑性の低下を抑制することができる。
上で述べたように、ICカード11内の利用履歴情報の読み出しに異常が発生するという状態下では、車載器1とICカード11との相互認証が不成立となっている可能性がある。この不成立となった相互認証を回復させるには、使用者によってICカード11を再装着するのが一般的である。これによれば、車載器1は、再び装着されたICカード11との正当性を確認する相互認証を行うので、不成立となった相互認証を回復させることができる。しかしながら、使用者から利用履歴情報の履歴報知要求がなされ、車載器1の制御部2がICカード11内の利用履歴情報の読み出し異常を検出するたびに、使用者にICカード11の再装着を強いることとなる。
これに対し、本実施形態では、ICカード11からの利用履歴情報の読み出し異常が発生した場合、制御部2は、記憶部5内の利用履歴情報を各装置8、9に報知させる処理を実行するとともに、ICカード11の再相互認証(図4中のステップS370、およびS380)も併せて実行している。このように、制御部2にて再相互認証を実行することによれば、例えば使用者によるICカード11の車載器1への再装着など、使用者の手を煩わせることなく、再相互認証を行うことができる。
特に、本実施形態では、図4のステップS360に示すように、ICカード11からの利用履歴情報の読み出し異常を報知することを禁止しているので、使用者はICカード11と車載器1との相互認証が不成立となっていることを認識できない。したがって、両者の相互認証が不成立のまま放置されることとなる。これでは、路側器20との無線通信が行えないので、料金所を通過する際の課金処理が行えないという問題が発生する。
本実施形態では、制御部2は、ICカード11の再相互認証(図4中のステップS370、およびS380)を自動的に実行しているので、両者の相互認証が不成立のまま放置されることを抑制することができる。
自動的に再相互認証を実行するように構成したとしても、確実に相互認証が正常に行われるわけではない。そこで、本実施形態では、再相互認証に異常が発生した場合、制御部2は、その旨を報知するようにしている。これによれば、使用者にICカード11の再装着を促し、確実に車載器1とICカード11との相互認証を回復させることができる(図4のステップS390を参照)。
本実施形態では、上述したようにICカード11が装着され、相互認証が正常な状態にあるときに、ICカード11内の利用履歴情報を車載器1の記憶部5に記憶させるようにしているため、両記憶部5、14の内容は、所定の件数(100件)の範囲で同じとなっている。
そうした状態で、路側器20と無線通信を行うことで、路側器20から最新の料金情報、利用年月日情報、利用料金情報などの利用履歴情報の追加情報を得るとともに、路側器20からの当該追加情報の記憶要求を受け取ると、車載器1は、その追加情報をICカード11の記憶部14だけでなく、記憶部5にも記憶している。このことによれば、同じ情報が両記憶部5、14に記憶されることとなるので、両記憶部5、14内の利用履歴情報を実質的に同じ状態とすることができる。したがって、履歴報知要求が再度なされ、ICカード11内の利用履歴情報の読み出し異常が再度発生し、記憶部5内の利用履歴情報を報知することとなる場合であっても、最新の利用履歴情報を使用者に提供することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明した。本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
例えば、図4におけるステップS370の相互認証は、上記実施形態では記憶部5内の利用履歴情報を各装置8、9に報知させた後に行われているが、履歴報知処理と並行して行うようにしてもよい。