以下、添付図面に従って本発明に係るレンズシステムの好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明に係るレンズシステムを利用したカメラシステムの全体構成を示した外観図である。同図に示すカメラシステムは、放送用又は業務用に用いられるテレビカメラ10を三脚12に設置して使用している状態を示している。
三脚12はテレビカメラ10を支持する架台であり、地面に立てられる3本の脚を備えた脚部20の上端部に、雲台22が固定され、その雲台22の上面にカメラプレート24が装着されている。そして、カメラプレート24の上面にテレビカメラ10が着脱可能に載置されるようになっている。雲台22は、パン/チルト機構を備えており、その雲台22から左右斜め方向に延設されている2本のパン/チルト棒26、26(一方のみ図示)を水平方向及び鉛直方向に旋回操作することによって、カメラプレート24及びカメラプレート24に載置されたテレビカメラ10がパン/チルト動作するようになっている。
カメラプレート24には、テレビカメラ10のカメラ装置14を容易に着脱するための固定手段(図示せず)が設けられている。固定手段は、例えば、カメラプレート24に載置されたカメラ装置14の底面に係合爪(図示せず)を係合させるようにしたもので、図1に示すスライドスイッチ24Aをスライドさせると、係合爪による係合が解除され、テレビカメラ10をカメラプレート24から取り外すことができるようになっている。これによれば、テレビカメラ10をカメラプレート24に瞬時に着脱することができ、必要なときにテレビカメラ10をカメラプレート24から取り外してカメラマンがテレビカメラ10を直接支持した状態(手で持った状態や肩担ぎの状態)で撮影することができる。尚、テレビカメラ10を支持する架台は同図のような三脚に限らず、どのようなものであってもよい。
テレビカメラ10は、レンズ交換式のカメラ装置(カメラ本体)14とレンズ装置16とから構成されている。同図のカメラ装置14は、取材等において携帯可能なENG(Electric News Gathering)カメラと呼ばれるカメラ装置を示しており、被写体像を電気信号に変換する撮像素子(CCD等)、撮像素子から得られた信号に所要の信号処理を施してNTSC等の所定方式の映像信号を生成するための信号処理回路、映像信号を外部機器に出力し又は記録メディア(ビデオテープ)に記録する等の処理を行う処理回路が搭載されている。
同図に示すレンズ装置16は、主にカメラ装置14のようなENGカメラにおいて使用されるもので、被写体像を結像するための光学系とその光学系を制御するための制御系とから構成されている。光学系はレンズ鏡胴30内に配置された各種光学部材によって構成されており、そのレンズ鏡胴30の後端部が、カメラ装置14の前面側のマウントに着脱可能に装着されるようになっている。これによって、レンズ鏡胴30内の光学系によって結像された被写体像が、カメラ装置14における撮像素子の撮像面に結像されるようになっている。
レンズ鏡胴30内には、例えば、光軸方向に移動可能に支持されたフォーカスレンズ(群)やズームレンズ(群)が配置されると共に、開閉動作可能に支持された絞りが配置されている。レンズ鏡胴30の外周部には、フォーカスレンズ、ズームレンズ、絞りの各々に連結された操作リング(フォーカスリング、ズームリング、アイリスリング)が回動可能に設けられており、各々の操作リングの回動に対応してフォーカスレンズ、ズームレンズが光軸方向に移動し、絞りが開閉動作するようになっている。フォーカスレンズが移動すると、光学系の焦点(ピント位置)が変化し、ズームレンズが移動すると光学系の焦点距離が変化し、絞りが開閉動作すると、光学系(像)の明るさが変化する。
レンズ装置16の制御系は主としてレンズ鏡胴30の側部に設置されたドライブユニット32において構成されている。ドライブユニット32には、上記操作リングの各々に連結されたモータや各モータを制御する制御回路等が搭載されている。そして、それらのモータを駆動することによって各モータで各操作リングを回動させ、レンズ鏡胴30内のフォーカスレンズ、ズームレンズ、絞りを電動で駆動するようになっている。
また、ドライブユニット32には、カメラ装置14が信号伝送可能に接続されると共に、雲台22の各パン/チルト棒26、26に設置されたレンズコントローラ(ズーム操作用のズームデマンド42のみを図示し、後述のフォーカス操作用のフォーカスデマンド40は不図示)が信号伝送可能に接続されるようになっている。
ドライブユニット32の制御回路は、例えば、後述のフォーカスデマンド40から与えられるフォーカス制御信号に基づいてフォーカスリングに連結されたモータを制御することによって、フォーカス制御信号によって指令された位置に(又は動作速度で)フォーカスレンズを移動させ、ズームデマンド42から与えられるズーム制御信号に基づいてズームリングに連結されたモータを制御することによって、ズーム制御信号によって指令された動作速度で(又は位置に)ズームレンズを移動させる。また、カメラ装置14から与えられるアイリス制御信号に基づいてアイリスリングに連結されたモータを制御することによって、アイリス制御信号によって指令された位置(開口度)に絞りを設定する。
尚、各操作リング(フォーカスリング、ズームリング、アイリスリング)は、カメラマンが直接把持した手動力で回動操作することも可能であり、また、通常、ズームレンズ(ズームリング)の動作速度を指示操作するための操作部材がドライブユニット32に設けられている。従って、テレビカメラ10を三脚12から取り外して撮影を行う場合に、フォーカスデマンド40やズームデマンド42のようなレンズコントローラを使用しなくても所要のレンズ操作を行うことができる。
ところで、フォーカスデマンド40やズームデマンド42のようにレンズ装置16(ドライブユニット32)に接続されるレンズコントローラは、ケーブルでレンズ装置16に接続していると、テレビカメラ10を三脚12から取り外して撮影を行う必要が生じた際に、ケーブルをレンズ装置16から取り外す作業が必要となり、手間と時間を要し好ましくない。そこで、本実施の形態では、レンズ装置16とレンズコントローラとの間が無線で接続されるようになっている。但し、レンズ装置16とレンズコントローラは従来からケーブルで接続される態様のものであって無線で接続するための特別な変更は施されていない。
例えば、同図に示すようにズームデマンド42において本来レンズ装置16のドライブユニット32にケーブルで接続されるコネクタには、ケーブルを介してワイヤレスアダプタ52が接続され、そのワイヤレスアダプタ52が、カメラプレート24に設置されている。
一方、レンズ装置16のドライブユニット32において本来ズームデマンド42がケーブルで接続されるコネクタには、ケーブルを介してワイヤレスアダプタ50が接続され、そのワイヤレスアダプタ50は、レンズ鏡胴30に設置されている。
これらのワイヤレスアダプタ50、52の間では双方向の無線通信が行われるようになっており、例えばズームデマンド42から送出されたズーム制御信号は、一旦、ワイヤレスアダプタ52に受入され、ワイヤレスアダプタ52により無線信号に変換されてワイヤレスアダプタ50に送信される。そして、ワイヤレスアダプタ50においてその無線信号が受信され、無線信号に変換される前の元のズーム制御信号に復元される。復元されたズーム制御信号は、ズームデマンド42をドライブユニット32に直接ケーブルで接続した場合と同様にワイヤレスアダプタ50からドライブユニット32に伝送され、ドライブユニット32に受入される。ズーム制御信号以外の信号を伝送する場合や、ドライブユニット32からズームデマンド42に信号を伝送する場合も同様にワイヤレスアダプタ50、52間での無線通信を介して信号伝送が行われる。
また、図示しないフォーカスデマンド40の本来ドライブユニット32にケーブルで接続されるコネクタもワイヤレスアダプタ52に接続されると共に、ドライブユニット32の本来フォーカスデマンド40がケーブルで接続されるコネクタもワイヤレスアダプタ50に接続されるようになっており、ドライブユニット32とフォーカスデマンド40との間の信号伝送もワイヤレスアダプタ50、52の間の双方向の無線通信を介して行われるようになっている。
これによれば、テレビカメラ10とレンズコントローラとの間が物理的に切断されている状態にあるため、テレビカメラ10を三脚から取り外す必要が生じた場合にレンズ装置16とレンズコントローラ間のケーブルを取り外す作業が不要となり、手間なく且つ迅速にテレビカメラ10を三脚12から取り外すことができる。また、このようなカメラシステムを構築する場合に、ワイヤレスアダプタ50、52を用いることによって、有線で互いに接続される従来のレンズ装置及びレンズコントローラを使用することができ、また、状況に応じてワイヤレスアダプタ50、52を使用することなく、従来通り、レンズ装置とレンズコントローラとをケーブルで直接接続したシステムを構築することもできる。
尚、レンズコントローラ側にケーブルで接続されるワイヤレスアダプタ52は、カメラプレート24に限らず、パン/チルト棒26等のテレビカメラ10以外の所望部分に設置しておくことができ、レンズ装置16(ドライブユニット32)側にケーブルで接続されるワイヤレスアダプタ50は、レンズ装置16に限らず、カメラ装置14等のテレビカメラ10の所望の部分に設置しておくことができる。
図2は、上記のカメラシステムのように、レンズコントローラとしてフォーカスデマンド40とズームデマンド42をレンズ装置16のドライブユニット32に接続する場合のレンズシステムの構成を示したブロック図である。
同図に示すようにフォーカスデマンド40及びズームデマンド42と、レンズ装置16のドライブユニット32は、ワイヤレスアダプタ50、52を介して相互に信号伝達可能に接続されるようになっている。
ここで、従来から市販されているレンズコントローラ(フォーカスデマンド40及びズームデマンド42等)には、レンズ装置16のドライブユニット32とアナログ信号で信号伝送を行うアナログ方式のものと、デジタル信号(シリアル通信)で信号伝送を行うデジタル方式のものとがある。
一方、レンズ装置16のドライブユニット32には、レンズコントローラとアナログ信号のみで信号伝送を行うアナログ方式対応のものと、アナログ信号とデジタル信号のいずれでも信号伝送を行うことができるアナログ/デジタル両方式対応のものとがある。
アナログ方式とデジタル方式のいずれのレンズコントローラにおいても、また、アナログ方式対応とアナログ/デジタル両方式対応のいずれのドライブユニット32においても、それらを信号伝送可能に接続するインターフェースのコネクタは同じ機械的仕様(例えばRS485規格のコネクタ)のものが使用されている。また、アナログ/デジタル両方式対応のドライブユニット32では、同じ操作対象のレンズコントローラ、即ち、フォーカス操作用のフォーカスデマンド40又はズーム操作用のズームデマンド42は、アナログ方式であってもデジタル方式であっても同一のコネクタに接続されるようになっており、接続されたレンズコントローラの方式に従って内部的にアナログ方式とデジタル方式の各々に対応する処理に切り替えるようにしている。
同図に示すようにフォーカスデマンド40及びズームデマンド42の各々は、アナログ方式とデジタル方式のいずれであっても、ワイヤレスアダプタ52のコネクタ112B、114Bにケーブルを介して接続される。
一方、レンズ装置16のドライブユニット32のコネクタ32Aは、ドライブユニット32がアナログ方式対応とアナログ/デジタル両方式対応のいずれの場合であるとしても、本来、フォーカスデマンド40が直接ケーブルを介して接続されるコネクタを示し、そのコネクタ32Aには、ワイヤレスアダプタ50のコネクタ116Aがケーブルを介して接続される。ドライブユニット32のコネクタ32Bは、ドライブユニット32がアナログ方式対応とアナログ/デジタル両方式対応のいずれの場合であるとしても、本来、ズームデマンド42が直接ケーブルを介して接続されるコネクタを示し、そのコネクタ32Bには、ワイヤレスアダプタ50のコネクタ118Aがケーブルを介して接続される。
また、アナログ/デジタル両方式対応のドライブユニット32において、パソコン等の任意の外部装置とシリアル通信を行うためのインターフェース(例えばRS232C)を備え、そのコネクタ32Cが同図の点線で示すようにドライブユニット32に設けられているものが知られている。このコネクタ32Cが設けられているドライブユニット32に対しては、フォーカスデマンド40とズームデマンド42との間の信号伝送をコネクタ32Cを介したシリアル通信のみで行えるようにすることができ、例えば、ドライブユニット32のコネクタ32Cとワイヤレスアダプタ50のコネクタ120Aとをケーブルで接続することによって、ドライブユニット32のコネクタ32A及び32Bとワイヤレスアダプタ50のコネクタ116A及び118Aとの間をケーブルで接続することが不要となる。
ワイヤレスアダプタ50、52について説明すると、同一構成要素で構成される各ワイヤレスアダプタ50、52には、CPU100A、100B、A/D変換器102A、102B、シリアルコミュニケーションインターフェース(SCI)104A、104B、108A、108B、D/A変換器106A、106B、RFモジュール110A、110B、チャネル指定部124A、124B、表示部128A、128B等から構成されている。各構成部の処理をフォーカスデマンド40及びズームデマンド42から出力された信号をレンズ装置16のドライブユニット32に伝送する場合を例に説明する。
まず、ワイヤレスアダプタ52において、フォーカスデマンド40及びズームデマンド42が接続された各コネクタ112B、114Bから入力された信号(例えば、フォーカス制御信号やズーム制御信号)は、A/D変換器102B又はSCI104Bを介してCPU100Bに読み取られる。CPU100Bは、例えば動作開始時において、フォーカスデマンド40及びズームデマンド42の各々に対してシリアル通信を行うためのSCI104Bを介して所定の通信コマンドを送信し、それに対する応答信号があるか否かを検出する。そして、応答があったものをデジタル方式のレンズコントローラと判断し、以後、そのレンズコントローラが接続されたコネクタから入力される信号をSCI104Bを介して読み取る。一方、応答がないものはアナログ式のレンズコントローラと判断し、以後、そのレンズコントローラが接続されたコネクタから入力される信号をアナログ信号をデジタル値に変換するA/D変換器102Bを介して読み取る。
そして、CPU100Bは、フォーカスデマンド40及びズームデマンド42から読み取った信号を無線通信用の通信データに変換し、その変換された通信データをRFモジュール110Bに出力する。RFモジュール110Bは、CPU100Bから与えられた通信データを変調回路(不図示)にてRF信号に変調し、RFモジュール110Bに接続されるアンテナ部122BからRF信号を電波として出力(放出)する。
一方、ワイヤレスアダプタ50において、ワイヤレスアダプタ52から電波として出力されたRF信号がアンテナ部122Aにより受信される。アンテナ部122Aで受信されたRF信号はRFモジュール110Aの復調回路(不図示)において元の通信データに復調され、復調後の通信データがCPU100Aに読み込まれる。そして、CPU100Aは、RFモジュール110Aから読み込んだ通信データを、ワイヤレスアダプタ52のCPU100Bにおいて無線通信用の通信データに変換される前のフォーカスデマンド40及びズームデマンド42から得られた形態の信号に復元する。
CPU100Aは、その復元した信号をフォーカスデマンド40からのものについてはコネクタ116Aからドライブユニット32に出力し、ズームデマンド42からのものについてはコネクタ118Aからドライブユニット32に出力する。また、復元した信号がアナログ方式のレンズコントローラからのものかデジタル方式のレンズコントローラからのものであるかを判断し、アナログ方式のレンズコントローラからのものである場合にはD/A変換器106Aを介してコネクタ116A又はコネクタ118Aから出力し、デジタル方式のレンズコントローラからのものである場合にはSCI108Aを介してコネクタ116A又はコネクタ118Aから出力する。
ここで、レンズコントローラがデジタル方式で、レンズ装置16のドライブユニット32がアナログ方式対応である場合のように、本来、接続不能な装置間での信号伝送を可能にするために、レンズコントローラがアナログ方式かデジタル方式かにかかわらず、ドライブユニット32がアナログ方式対応のものかアナログ/デジタル両方式対応のものかによって、各コネクタ116A、118Aから出力する信号の形態を決めるようにすることもできる。例えば、CPU100Aは、動作開始時において、コネクタ116A及びコネクタ118Aに接続されたドライブユニット32のいずれか一方のコネクタ(例えばコネクタ32A)に対して、SCI108Aを介して所定の通信コマンドを送信し、それに対する応答信号があるか否かを検出する。そして、応答があった場合にはアナログ/デジタル方式対応のドライブユニット32が接続されていると判断し、以後、ドライブユニット32に与える信号をSCI108Aを介して出力する。このとき、レンズコントローラがアナログ方式の場合には、CPU100Aにおいて、そのレンズコントローラからの信号が示す情報内容を読み取り、デジタル方式の信号伝送に対応した信号(通信データ)に変換する。
一方、CPU100Aから送信した通信コマンドに対してドライブユニット32から応答がない場合には、アナログ方式対応のドライブユニットと判断し、以後、ドライブユニット32に与える信号をD/A変換器106Aを介して出力する。このとき、レンズコントローラがデジタル方式の場合には、CPU100Aにおいて、そのレンズコントローラからの信号が示す情報内容を読み取り、アナログ方式の信号伝送に対応した信号(アナログ信号)に変換する。
これによって、レンズコントローラとレンズ装置16の各々において可能な信号伝送の方式に関係なく、それらの間で信号伝送を行うことができるようになる。
また、上記のようにドライブユニット32がシリアル通信用のコネクタ32Cを備えている場合において、そのコネクタ32Cとワイヤレスアダプタ50のコネクタ120Aが接続されている場合には、フォーカスデマンド40及びズームデマンド42から出力された信号を、そのSCI108Aを介してコネクタ120Aからドライブユニット32に出力させるようにすることもできる。例えば、CPU100Aは、動作開始時において、SCI108Aを介してコネクタ120Aから所定の通信コマンドを出力する。これに対して応答があれば、ドライブユニット32がコネクタ120Aに接続されていると判断し、以後、フォーカスデマンド40及びズームデマンド42からの信号をSCI108Aを介してコネクタ120Aから出力する。また、このときCPU100Aは、フォーカスデマンド40及びズームデマンド42からの両方の信号を、デジタル方式による1回線での信号伝送に対応した信号(通信データ)に変換する処理を行う。
以上の説明では、レンズコントローラからドライブユニット32に信号が伝送される場合を例にしたが、ドライブユニット32からレンズコントローラに信号が伝送される場合においてもワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52の作用が上記の説明と入れ代わる程度の差異によって同様に行われる。但し、レンズコントローラがアナログ方式の場合、通常では、ドライブユニット32からレンズコントローラに信号が伝送されることがないため、上記実施の形態ではそれに対応した構成とはなっていない。しかしながら、アナログ式のレンズコントローラに対してアナログ信号(又はデジタル信号)をドライブユニット32から伝送できるようにすることは、CPU100Bからレンズコントローラへの信号伝送ラインにD/A変換器を配置すること等によって実現できる。
次に、ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間で行われる無線通信について詳しく説明する。
本実施の形態で用いられる各ワイヤレスアダプタ50、52は、上述した構成に加え、チャネル指定部124A、124Bと、チャネル監視部126A、126Bと、表示部128A、128Bと、をさらに備えている。
各チャネル指定部124A、124Bは、無線通信で使用される通信チャネル(使用周波数)を指定するための手段であり、例えば、複数の通信チャネルの中から任意の通信チャネルが手動で選択可能に構成されていてもよいし、各CPU100A、100の制御に従って無線通信に最適な通信チャネル(すなわち、空いている通信チャネル)が自動的に選択されるように構成されていてもよい。本例では、複数の通信チャネルの中から任意の通信チャネルを選択可能な選択スイッチ(又は選択ボタン)で構成され、カメラマンなどが選択スイッチを手動で操作することにより所望の通信チャネルを選択できるようになっている。
ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間の無線通信では、各チャネル指定部124A、124Bで指定された通信チャネルが互いに一致する場合、その通信チャネルが割り当てられて無線通信が行われる。一方、各チャネル指定部124A、124Bで指定された通信チャネルが不一致の場合には、ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間における無線通信は実施不可となる。
各チャネル監視部126A、126Bは、各通信チャネルの空き状況を監視する手段であり、それぞれ対応するRFモジュール110A、110Bに設けられている。各チャネル監視部126A、126Bでは、アンテナ部122A、122Bを介して相互に所定の監視信号を送受信することによって各通信チャネルの空き状況の監視が行われる。
また、各チャネル監視部126A、126Bは、それぞれ対応するCPU100A、100Bから要求コマンドを受信すると、各通信チャネルの空き状況を示すチャネル情報を生成し、そのチャネル情報を各CPU100A、100Bに出力する。
各表示部128A、128Bは、各通信チャネルの空き状況をインジケータで表示する手段である。各CPU100A、100Bは、それぞれ対応するチャネル監視部126A、126Bから各通信チャネルの空き状況を示すチャネル情報を取得すると、取得したチャネル情報に基づき、各表示部128A、128Bに各通信チャネルの空き状況を表示する。各表示部128A、128Bの構成は特に限定されるものではないが、例えば緑・黄・赤の各色のLEDからなり、各通信チャネルの空き状況に応じて各色のLEDが発光するように構成される。また、LED数字表示器などで空き通信チャネル数(空き状態にある通信チャネルの数)を具体的に表示するように構成されていてもよい。
図3は、ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間で無線通信が行われるときの処理の流れを示したフローチャート図である。
図3に示すように、まず、各CPU100A、100Bは、それぞれ動作開始時において所定の初期設定を行う(ステップS10)。
次に、ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間の接続処理を行う(ステップS12)。このとき、各チャネル指定部124A、124Bで指定された通信チャネルが割り当てられ、その通信チャネルを使用してワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間で無線通信による接続が確立される。
尚、各チャネル指定部124A、124Bで指定される通信チャネルが不一致の場合には無線通信による接続は確立されず、各ワイヤレスアダプタ50、52の表示部128A、128Bに通信チャネルの確立できない旨を示すエラー表示が行われる。その後、カメラマンなどにより各チャネル指定部124A、124Bで指定される通信チャネルが一致するように操作が行われると、ワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52の接続処理が再び実施される。
このようにしてワイヤレスアダプタ50とワイヤレスアダプタ52との間で無線通信による接続が確立されると、各CPU100A、100Bで生成された各種信号(制御データ)が無線通信により双方向に信号伝送される(ステップS14)。
次に、通信チャネル状況確認・表示処理が行われる(ステップS16)。ここで、通信チャネル状況確認・表示処理の流れを示したフローチャート図を図4に示す。同図に示すように、通信チャネル状況確認・表示処理では、まず、各CPU100A、100Bは、それぞれ対応するRFモジュール110A、110Bのチャネル監視部126A、126Bに対してチャネル情報を要求する要求コマンドを送信する(ステップS20)。各RFモジュール110A、110Bのチャネル監視部126A、126Bは、各CPU100A、100Bから要求コマンドを受信すると、各通信チャネルの空き状況を示すチャネル情報を生成し、そのチャネル情報をCPU100A、100Bに対して出力する。
そして、各CPU100A、100Bは、それぞれ対応するRFモジュール110A、110Bのチャネル監視部126A、126Bからチャネル情報の受信が完了したか否かを判断する(ステップS22)。チャネル情報の受信が完了していない場合にはステップS20に戻ってチャネル情報の受信を継続して行い、受信が完了した場合には次のステップS24に進む。
次に、各CPU100A、100Bは、それぞれ対応するRFモジュール110A、110Bのチャネル監視部126A、126Bからチャネル情報を取得すると、取得したチャネル情報に基づき、各通信チャネルの空き状況を各表示部128A、128Bに表示する(ステップS24)。各表示部128A、128Bにおける表示態様については特に限定されるものではないが、上述したように、例えば緑・黄・赤の各色のLEDを用いて各通信チャネルの空き状況に応じて各色のLEDを発光させる態様や、LED数字表示器などを用いて空き通信チャネル数を表示する態様などがある。
このようにして各ワイヤレスアダプタ50、52の表示部128A、128Bに各通信チャネルの空き状況が表示されると、通信チャネル状況確認・表示処理は終了となり、図3のステップS18に進む。
図3のステップS18では、各CPU100A、100Bは、各チャネル指定部124A、124Bで指定される通信チャネルが変更されたか否かを判断する。通信チャネルが変更された場合には、ステップS12の接続処理から同様の処理が繰り返される。一方、通信チャネルが変更されていない場合には、ステップS14の制御データの送受信処理から同様の処理が繰り返される。
このような構成によれば、各ワイヤレスアダプタ50、52の表示部128A、128Bには、各通信チャネルの空き状況が表示されるため、カメラマンは各通信チャネルの空き状況を常に把握することが可能となる。これにより、使用されている通信チャネルが混雑している場合には、他の通信チャネルに切り替えることが可能となる。また、空いている通信チャネル数が少なく、あらかじめ無線通信による接続が困難となることが予測される場合には、レンズ装置16(ドライブユニット32)とレンズコントローラとの間を有線接続に切り替えて、接続の信頼性を確保することも可能となる。
尚、上記の実施形態では、各ワイヤレスアダプタ50、52に設けられたチャネル指定部124A、124Bの選択スイッチ(又は選択ボタン)を手動で操作することにより、無線通信で使用される通信チャネルの切り替えを行えるようにしているが、これに限らず、例えば、各CPU100A、100Bが、それぞれ対応するRFモジュール110A、110Bのチャネル監視部126A、126Bから取得したチャネル情報に基づき、各チャネル指定部124A、124Bを制御して、複数の通信チャネルの中から最適な通信チャネル(すなわち、空いている通信チャネル)を自動的に選択するように構成されていてもよい。
また、上記の実施の形態では、各ワイヤレスアダプタ50、52の表示部128A、128Bに各通信チャネルの空き状況が表示されるようになっているが、これに限定されず、例えば、ワイヤレスアダプタ50、52のいずれか一方のワイヤレスアダプタの表示部のみに各通信チャネルの空き状況が表示されるようになっていてもよい。この場合、他方のワイヤレスアダプタを簡易な構成とすることができ、コストダウンを図ることが可能となる。
また、上記実施の形態では、フォーカスデマンド40とズームデマンド42をレンズ装置16に対して信号伝送を行う外部装置として接続する態様を示したが、例えば、パソコンのようにシリアル通信機能を有する任意の外部装置をレンズ装置に信号伝送可能に接続する場合もワイヤレスアダプタ50、52を用いて無線で接続することが可能である。例えば、パソコンをRS232C規格のインターフェースを用いてレンズ装置16のドライブユニット32に接続する場合、図2においてワイヤレスアダプタ52のコネクタ120Bに接続する。一方、ドライブユニット32は、RS232C規格のコネクタ32Cを備えているものであれば、そのコネクタ32Cをワイヤレスアダプタ50のコネクタ120Aに接続する。これによって、ワイヤレスアダプタ50、52との間での無線通信を介してパソコンとドライブユニット32間での通信が可能となる。また、ドライブユニット32が、RS232C規格のコネクタ32Cを備えているか否かにかかわらず、図2のようにドライブユニット32のコネクタ32A、32Bをワイヤレスアダプタ50のコネクタ116A、118Aに接続し、本来、フォーカスデマンドやズームデマンドと、ドライブユニット32との間で行われる通信をパソコンとドライブユニット32との間で行えるようにすることも可能である。
また、上記実施の形態では、レンズ装置16とレンズコントローラ等の外部装置との両方において、無線通信機能を備えていない場合について説明したが、例えば、いずれか一方に無線通信機能が内蔵されている場合には、無線通信機能が搭載されていない装置に上記実施の形態のワイヤレスアダプタ50又は52を装着すれば、レンズ装置と外部装置との間を無線化することができる。また、上記実施の形態では、複数のレンズコントローラ(フォーカスデマンド40とズームデマンド42)に対して1台のワイヤレスアダプタ52を接続すると共に、ドライブユニット32の複数のコネクタ(32A、32B、32C)に対して1台のワイヤレスアダプタ50を接続するようにしたが、レンズコントローラ毎、又は、コネクタ毎に1台のワイヤレスアダプタを接続するようにしてもよい。
以上、本発明のレンズシステムについて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。