JP2012002755A - タイヤの氷上制動性能の評価方法 - Google Patents

タイヤの氷上制動性能の評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012002755A
JP2012002755A JP2010139701A JP2010139701A JP2012002755A JP 2012002755 A JP2012002755 A JP 2012002755A JP 2010139701 A JP2010139701 A JP 2010139701A JP 2010139701 A JP2010139701 A JP 2010139701A JP 2012002755 A JP2012002755 A JP 2012002755A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
speed
friction coefficient
tire
deceleration
braking
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010139701A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5462723B2 (ja
Inventor
Koji Fujita
浩司 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2010139701A priority Critical patent/JP5462723B2/ja
Publication of JP2012002755A publication Critical patent/JP2012002755A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5462723B2 publication Critical patent/JP5462723B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】摩擦係数やスリップ率の計測精度を高めて、氷上制動性能の評価を正確に行う。
【解決手段】制動手順は、前記タイヤを、初期速度vaから中間速度vbまで小な第1の減速巾Δv1にて段階的に減速させる第1のステップ制動と、前記中間速度vbから大な第2の減速巾Δv2にて段階的に減速させる第2のステップ制動とからなる。減速の各段階では、それぞれのステップ速度vにて40秒以上60秒以下の走行時間Δtを走行させる。評価手順では、減速の各段階毎に、前記走行時間Δtのうちで30秒以降に測定された上下荷重Fzと前後力Fx、及びステップ速度vとから得られた摩擦係数μとスリップ率Sとを平均して平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とを減速の各段階毎に求める平均化ステップと、平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とをプロットしてなるμ0−S0曲線から氷上制動性能を評価する評価ステップとを具える。
【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤの氷上制動性能を高精度で評価しうるタイヤの氷上制動性能の評価方法に関する。
例えば下記の特許文献1には、タイヤの氷上性能の評価方法が開示されている。この評価方法では、内周面を氷結路面とした円筒状のドラムを用い、このドラムの回転速度を一定とすると共に、この氷結路面上を走行するタイヤの走行速度を次第に減速して制動し、そのときタイヤと氷結路面との間に発生する摩擦係数μと、タイヤのスリップ率Sとの関係を計測し、これによりタイヤの氷上での制動特性を評価している。
しかし、このようにタイヤの走行速度を連続的に減速させる場合、前後力が大きく変化する状況下で上下荷重が変動するため、摩擦係数μを正確に計測することができず、μ−S特性が、例えば図7(B)の比較例4に示すように、実車のものから大きく外れるなど、氷上制動性能を精度良く評価できないという問題がある。
そこで本発明者は、タイヤの走行速度を連続的に減速させるのではなく、段階的に減速させるステップ制動を行い、減速の各段階において摩擦係数とスリップ率とを計測することを提案した。しかしこの場合、下記に示す如き解決すべき新たな問題が発生する。
即ち、走行速度の減速巾が小さいと、タイヤが停止に至るまでの走行テストの時間が長くなり、氷結路面上の氷が摩擦熱で解け出して路面状態の変化を招く。そのため摩擦係数を正確に計測することが難しくなる。特にスリップ率が50%より高いところでは、融解した水が抵抗となって前後力が増加するため、摩擦係数は実車試験のものよりも高く計測される傾向となる。又減速巾が大きい場合、路面状態の変化は少ないものの、摩擦係数のピーク時或いはその近辺を計測することができなくなり、同様に氷上制動性能の評価を正確に行うことができなくなる。又減速の各段階においては、それぞれの走行時間Δtのうちの最初の20秒間程度は、上下荷重、前後力、走行速度がともに安定せず、摩擦係数やスリップ率に誤差が生じる。
特開2007−078667号公報
そこで本発明は、小な第1の減速巾にて段階的に減速させる第1のステップ制動と、大な第2の減速巾にて段階的に減速させる第2のステップ制動とによってタイヤの制動を行うことを基本として、摩擦係数のピーク時或いはその近辺を確実に計測しながら、走行テスト全体の時間を短縮して路面状態の変化を抑えることができ、摩擦係数やスリップ率の計測精度を高めて、氷上制動性能の評価を正確に行いうるタイヤの氷上制動性能の評価方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、内周面を氷結路面とした円筒状のドラムを一定の速度Voで回転させつつ、前記氷結路面上を走行するタイヤを制動する制動手順、
前記制動中のタイヤの氷結路面に対する摩擦係数μとスリップ率Sとをそれぞれ測定する測定手順、
及び前記測定された摩擦係数μとスリップ率Sとを用いて氷上制動性能を評価する評価手順を具えるとともに、
前記制動手順は、前記氷結路面上を走行するタイヤを、初期速度vaから中間速度vbまでを第1の減速巾Δv1毎のステップ速度vにて段階的に減速させる第1のステップ制動と、前記中間速度vbから停止状態又は略停止状態までを前記第1の減速巾Δv1よりも大きい第2の減速巾Δv2毎のステップ速度vにて段階的に減速させる第2のステップ制動とからなり、かつ減速の各段階では、それぞれのステップ速度vにて40秒以上60秒以下の走行時間Δtを走行させ、
前記測定手順では、減速の各段階毎に、それぞれタイヤに作用する上下荷重Fzと前後力Fx、及びステップ速度vを前記走行時間Δtの時間経過とともに測定し、次式(1)、(2)を用いて摩擦係数μとスリップ率Sとを時間経過に沿って算出し、
μ=Fx/Fz −−−(1)
S=(Vo−v)/Vo −−−(2)
前記評価手順では、減速の各段階毎に、前記走行時間Δtのうちで30秒以降に測定された上下荷重Fzと前後力Fx、及びステップ速度vとから得られた摩擦係数μとスリップ率Sとを平均して平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とを減速の各段階毎に求める平均化ステップと、
前記平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とをプロットしてなるμ0−S0曲線から氷上制動性能を評価する評価ステップとを具えることを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記評価ステップでは、平均スリップ率S0をX軸、平均摩擦係数μ0をY軸にプロットしてμ0−S0曲線を求め、平均スリップ率S0が0〜50%の区間におけるμ0−S0曲線とX軸との間の面積によって氷上制動性能を評価することを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記ドラムの速度Voは、25〜35km/hの範囲から選択され、前記初期速度vaは、前記速度Voの98〜95%の範囲から選択され、前記第1の減速巾Δv1は、1.25〜1.75km/hの範囲から選択され、前記第2の減速巾Δv2は、前記第1の減速巾Δv1の2〜2.5倍の範囲から選択され、前記中間速度vbは、前記第1の減速巾Δv1の整数倍かつ前記速度Voの55〜65%の範囲から選択されることを特徴としている。
本発明は叙上の如く、制動手順として、初期速度vaから中間速度vbまでは、小な第1の減速巾Δv1毎のステップ速度vにて段階的に減速させている。即ち、摩擦係数の変化が大きくかつ摩擦係数のピークが現れる低スリップ率側では、小な減速巾にて密に計測しうるため、摩擦係数のピーク或いはその近辺を捉えることができる。又中間速度vbからは、大な第2の減速巾Δv2毎のステップ速度vにて段階的に減速させている。即ち、摩擦係数の変化が小さい高スリップ率側では、大な減速巾にて粗く計測しうるため、走行テスト全体の時間を短縮することができ、路面状態の変化及びそれに伴う測定誤差の発生を低く抑えることが可能となる。
又評価手順では、減速の各段階における走行時間Δtのうちで、30秒以降に測定された上下荷重と前後力及びステップ速度vとから得られた摩擦係数μとスリップ率Sとを平均して平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とを各段階毎に求める平均化ステップを含む。前述の如く、走行時間Δtのうちの最初の20秒間程度は、上下荷重、前後力、走行速度が安定しない範囲であり、従って、この範囲を避けた30秒以降で測定した上下荷重、前後力、ステップ速度は、誤差の少ない安定したものであり、又これらから得られた摩擦係数μとスリップ率Sとを平均した平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0は、さらに誤差を減じた安定した値となりうる。従ってこの平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とをプロットしてなるμ0−S0曲線は、実車の氷上制動試験によるμ−S曲線に近似したものとなり、タイヤの氷上制動性能をより正確に評価することができる。
本発明のタイヤの氷上制動性能の評価方法を実施するための氷上試験装置を概念的に示す側面図である。 制動手順の一例を示すグラフである。 (A)、(B)は、スリップ率5%の段階において測定した摩擦係数μと走行時間Δtとの関係、及びスリップ率Sと走行時間Δtとの関係を示すグラフである。 (A)、(B)は、スリップ率5%の段階において測定した上下荷重Fzと走行時間Δtとの関係、及び前後力Fxと走行時間Δtとの関係を示すグラフである。 μ0−S0曲線を示すグラフである。 (A)〜(C)は、実施例1及び比較例1〜2におけるμ0−S0曲線を示すグラフである。 (A)は、比較例3におけるμ0−S0曲線を示すグラフ、(B)は比較例4におけるμ−S曲線を示すグラフである。 平均スリップ率0〜50%の区間におけるμ0−S0曲線とX軸との間の面積Gと、実車のABS制動距離との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は、本発明のタイヤの氷上制動性能の評価方法を実施するための氷上試験装置1を概念的に示す側面図であって、前記氷上試験装置1は、内周面を氷結路面2sとした円筒状のドラム2と、前記ドラム2を水平方向の軸心j2周りで回転可能に支持するドラム支持手段3と、前記氷結路面2sに対して、タイヤTの外周面を所定の荷重で接触させながら前記タイヤTを水平方向の軸心jT周りに回転可能に支持するタイヤ支持手段4とを具える。
前記ドラム2は、鋼製の円筒状のドラム本体2Aと、このドラム本体2Aの一側面を閉じる側壁体2Bとを具え、他側面側はタイヤTを出し入れするための開口5とするとともに該開口5の周縁には小高さのフランジ部5fを設けている。
又前記ドラム支持手段3は、ドラム2の前記側壁体2Bに一端部が固定される支持軸3Aと、この支持軸3Aを軸受けを介して回転自在に支持する支持台3Bと、前記支持軸3Aを回転駆動する駆動手段3Cとを具える。前記駆動手段3Cは、モータMを含み、このモータMの回転速度を制御することにより前記ドラム2の回転速度も調節自在としている。
前記ドラム本体2Aの内周面側には、周方向に連続する滑らかな氷結路面2sが形成される。この氷結路面2sは、前記氷上試験装置1を設置する実験室の室温を0℃以下(例えば−5℃)に設定した後、前記ドラム2を回転させながら水を注入することにより形成される。具体的には、ドラム2を、その内周面の速度が50〜100km/hの範囲となる高速回転域にて回転させながら、ドラム2内に水を適宜注入する。そして、この注入した水を遠心力によって前記内周面に均等に貼り付けながら凍結させ、これを繰り返すことで氷厚さが例えば20〜50mmの氷盤を形成する。その後、ドラム回転状態にて切削バイトを用いて氷盤表面を薄く削り取ることにより、ドラム2と同心な滑らかな氷結路面2sを形成する。
又前記タイヤ支持手段4は、本例では、基台10と、この基台10上にドラム軸方向にスライド移動可能に支持される支持台11と、該支持台11にシリンダ12を介して昇降自在に取り付く支持アーム13と、該支持アーム13の下端部に軸受けを介して連結される水平なタイヤ支持軸14とを具える。そして、このタイヤ支持手段4は、前記シリンダ12によって支持アーム13を上下動させることにより、前記タイヤ支持軸14に回転自在に保持するタイヤTを、前記氷結路面2sに対して所定の荷重で押し付けうるとともに、その時の荷重量を調整することができる。
なお前記支持アーム13には、前記タイヤ支持軸14の回転速度、ひいてはタイヤTの外周面の走行速度を自在にコントロールしうるタイヤ速度制御手段15が取り付く。このタイヤ速度制御手段15は、例えば周知のモータ及び制動装置を含んで構成される。又前記タイヤ支持軸14には、タイヤTに作用する上下荷重Fz及び前後力Fxを測定するための荷重センサ、本例では6分力計が取り付けられる。
次に、タイヤの氷上制動性能の評価方法を説明する。この評価方法は、内周面を氷結路面2sとした前記ドラム2を一定の速度Vo(氷結路面2sの周速度Vo)で回転させつつ前記氷結路面2s上を走行するタイヤTを制動する制動手順K1、前記制動中のタイヤTの氷結路面2sに対する摩擦係数μとスリップ率Sとをそれぞれ測定する測定手順K2、及び前記測定された摩擦係数μとスリップ率Sとを用いて氷上制動性能を評価する評価手順K3を具える。
前記制動手順K1では、タイヤTの走行速度を連続的に減速させるのではなく、段階的に減速させるステップ制動を行う。具体的には、図2に示すように、前記氷結路面2s上を走行するタイヤTを、初期速度vaから中間速度vbまでを第1の減速巾Δv1毎のステップ速度vにて段階的に減速させる第1のステップ制動K1Aと、前記中間速度vbから停止状態又は略停止状態までを前記第1の減速巾Δv1よりも大きい第2の減速巾Δv2毎のステップ速度vにて段階的に減速させる第2のステップ制動K1Bとを行う。
一般に、氷結路面におけるタイヤの摩擦係数μは、スリップ率Sが0〜30%の範囲で大きく変化し、又摩擦係数μのピークは、スリップ率Sが5〜10%の範囲において現れる傾向がある。従って、初期速度vaから中間速度vbまでを、小な第1の減速巾Δv1毎のステップ速度vにて段階的に減速させ、摩擦係数μの変化が大きくかつ摩擦係数μのピークが現れる低スリップ率側を密に計測することで、摩擦係数μの変化を精度良く検出することができる。これに対して、中間速度vbから停止状態又は略停止状態までは、大な第2の減速巾Δv2毎のステップ速度vにて段階的に減速させ、摩擦係数の変化が小さい高スリップ率側を粗く計測する。これにより、検出精度を維持しながら走行テスト全体の時間を短縮することができ、摩擦による氷の融解などの路面状況の変化、及びそれに起因する誤差を減じることができる。なお当然ではあるが、前記中間速度vbが前記第2の減速巾Δv2の倍数の場合には、中間速度vbから停止状態まで段階的に減速されるが、中間速度vbが第2の減速巾Δv2の倍数とならない場合、停止状態に最も近づく第2の減速巾Δv2の倍数の段階まで、即ち略停止状態まで段階的に減速される。
そのためには、前記初期速度vaを、前記ドラム2の氷結路面2sの速度Voの98〜95%の範囲から選択し、かつ前記中間速度vbを、前記速度Voの55〜65%の範囲から選択するのが好ましい。前記初期速度vaが前記速度Voの95%より小、及び前記中間速度vbが前記速度Voの65%より大の場合、摩擦係数μの大きな変化、及びそのピークを捉えることが難しくなる。又中間速度vbが前記速度Voの55%より小の場合、走行テスト全体の時間短縮が不充分となり、路面状況の変化を充分に抑えることが難しくなる。なお初期速度vaとして、前記速度Voの98〜95%の範囲とし、かつ該速度Voから第1の減速巾Δv1を減じた値(va=Vo−Δv1)を設定するのが、速度コントロールの観点からより好ましい。
又前記第1の減速巾Δv1は、1.25〜1.75km/hの範囲から選択され、かつ第2の減速巾Δv2は、前記第1の減速巾Δv1の2.0〜2.5倍の範囲から選択されるのが好ましい。前記第1の減速巾Δv1が1.25km/hより小さいと、摩擦係数が高い状態にて路面が長い時間磨かれることとなるため、摩擦係数が低下する側に路面状況が変化してしまい、逆に1.75km/hを越えると、減速巾が粗すぎて摩擦係数μの大きな変化やピークを捉えることが難しくなる。又第2の減速巾Δv2が第1の減速巾Δv1の2倍未満では、走行テスト全体の時間が不必要に増加し、氷を融解させるなどの路面状況の変化を招き、逆に2.5倍を越えると計測間隔が粗すぎて検出精度に悪影響を及ぼす。
又前記ドラム2の前記速度Voとしては、従来と同様25〜35km/hの範囲が好ましく採用しうる。なお前記図2には、速度Vo=30km/h、初期速度va=28.5km/h(即ち、va/Vo=0.95)、中間速度vb=18km/h(即ち、vb/Vo=0.60)、減速巾Δv1=1.5km/h、減速巾Δv2=3.0km/h(即ち、Δv2/Δv1=2.0)とした好ましい場合が示されている。
又前記制動手順K1では、減速の各段階において、それぞれのステップ速度vにて40秒以上60秒以下の走行時間Δtを走行させる。
次に、前記測定手順K2では、減速の各段階毎に、それぞれタイヤTに作用する上下荷重Fzと前後力Fx、及びステップ速度vを前記走行時間Δtの時間経過とともに測定し、図3(A)、(B)に示すように、摩擦係数μとスリップ率Sとを時間経過に沿って算出する。なお摩擦係数μとスリップ率Sとは、次式(1)、(2)を用いて算出しうる。
μ=Fx/Fz −−−(1)
S=(Vo−v)/Vo −−−(2)
ここで、タイヤTの走行速度を段階的に減速させた場合、減速の各段階においては、それぞれの走行時間Δtのうちの最初の20秒間程度は、上下荷重Fz、前後力Fx、走行速度が安定しない傾向にある。図4(A)、(B)は、初期速度vaの段階(即ちスリップ率5%の段階)において測定した上下荷重Fz、及び前後力Fxを示し、0〜約20秒の範囲では、上下荷重Fz、及び前後力Fxが安定しないのが確認できる。そのため、上下荷重Fz、前後力Fx、走行速度から算出される摩擦係数μ及びスリップ率Sも、前記図 3(A)、(B)の如く0〜約20秒の範囲で変動して誤差が発生する傾向にある。
そのため前記制動手順K1では、前記走行時間Δtを40秒以上として摩擦係数μ及びスリップ率Sを安定させることが必要となる。しかし走行時間Δtが長すぎると、走行テスト全体の時間が増加して路面状態の変化を招く。従って、前記走行時間Δtの上限は、60秒以下に規制される。
次に、前記評価手順K3では、減速の各段階毎に、前記走行時間Δtのうちで30秒以降に測定された上下荷重Fzと前後力Fx、及びステップ速度vとから得られた摩擦係数μとスリップ率Sとを平均して平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とを減速の各段階毎に求める平均化ステップK3Aと、前記平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とをプロットしてなるμ0−S0曲線から氷上制動性能を評価する評価ステップK3Bとを具える。
前述した如く、走行時間Δtのうちの最初の20秒間程度は、上下荷重Fz、前後力Fx、走行速度が安定しない範囲である。従って、この範囲を避けた30秒以降で測定した上下荷重Fzと前後力Fx、及びステップ速度vから得られる摩擦係数μ、及びスリップ率Sをそれぞれ平均した平均摩擦係数μ0、及び平均スリップ率S0は、より誤差が少なく安定した値であって、減速の各段階における代表の摩擦係数、及びスリップ率となりうる。なお精度の観点から、前記走行時間Δtは40秒以上、50秒以上が好ましい。
そしてこの代表の摩擦係数、及びスリップ率である平均摩擦係数μ0、及び平均スリップ率S0をプロットしてなるμ0−S0曲線(図5に例示する。)は、実車の氷上制動試験によるμ−S曲線に近似したものとなり、タイヤの氷上制動性能をより正確に評価することができる。
なお前記評価ステップK3Bでは、平均スリップ率S0をX軸、平均摩擦係数μ0をY軸にプロットしてμ0−S0曲線を求め、前記平均スリップ率S0が0〜50%の区間におけるμ0−S0曲線とX軸との間の面積Gの値によって、氷上制動性能を数値化して評価することができる。このように数値化することで、サイズや種類の異なるタイヤ同士の氷上制動性能を比較することが可能となる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す氷上試験装置を用い、市販の乗用車用ラジアルタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)の氷上制動性能を、表1に示す仕様にてテストした。そして、減速の各段階毎に、平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とを求めるとともに、その平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とをプロットしてなるμ0−S0曲線を、それぞれ図6、7に示している。なお実験室の室温及び氷結路面の温度は−5℃、タイヤの内圧は200kPa、タイヤへの負荷荷重は、後述する実車の制動試験において車両の前輪タイヤに負荷される荷重と一致させるために、4.24kNに設定された。
又比較のため、実質的に同じタイヤを内圧200kPaの条件にて、車両(乗用車2000cc、FR車)の全輪に装着し、気温−5℃の環境下で、初速度30km/hにて平滑な氷結路面に進入し、ABSを有効にした状態にて制動試験を実施した。そして非接触速度計を用いて車両速度を計算するとともに、ABS信号の回転パルスから車輪タイヤの速度を計算し、これらの結果から、実車におけるμ−S特性を求め、前記氷上試験装置を用いて求めたμ0−S0曲線と比較した。
次に、トレッドパターンが異なる3種類のタイヤ(サンプルタイヤ1〜3)に対し、前記氷上試験装置を用いて、前記実施例1の仕様にて氷上制動性能テストを行い、μ0−S0曲線を求めた。そして、平均スリップ率S0が0〜50%の区間におけるμ0−S0曲線とX軸との間の面積Gを求め、サンプルタイヤ1を100とする指数によって評価した。又前記サンプルタイヤ1〜3に対して、実車の制動試験を行い、制動距離を求めるとともに、サンプルタイヤ1を100とする指数によって評価した。そして、その結果を、図8に示すように、氷上試験装置を用いた氷上制動性能テストによる評価をY軸、実車の制動試験による評価をX軸とした座標系にプロットし比較した。
Figure 2012002755
図6、7に示すように、実施例1の場合、実車のμ−S特性に近いμ0−S0曲線を得ることができるのが確認できる。又比較例1の場合、ステップ制動が一つかつ減速巾Δvが狭いため、早期に氷が解けて路面状態が変化してしまい、正確な摩擦係数を計測することができなくなるのが確認できる。特にスリップ率20%付近では、摩擦係数が高い状態にて路面が長い時間磨かれた結果、実車のμ−S特性よりも摩擦係数が低下してしまい、逆にスリップ率50%より高い所では、融解した水が抵抗となって前後力Fxを増加させ、摩擦係数が見かけ上大きく現れている。又比較例2の場合、ステップ制動が一つかつ減速巾Δvが広いため、摩擦係数の大きな変化やピークを捉えることができず、正確な摩擦係数を計測することができなくなる。又比較例3の場合、適正な減速巾Δvを有するもののステップ制動が一つであるため、比較例1と同様に、テスト中に氷が解けて路面状態が変化してしまい、正確な摩擦係数を計測することができなくなる。又比較例4の場合、タイヤの走行速度を連続的に減速させているため、前後力が大きく変化する状況下で上下荷重も変動するため、摩擦係数を正確に計測することができない。
又平均スリップ率S0が0〜50%の区間におけるμ0−S0曲線とX軸との間の面積G(便宜上、μ0−S0曲線の面積Gという場合がある。)を指標とする場合、図8に示すように、ABSを用いた実車の制動試験に近い氷上性能を示すことができる。即ち、実車の制動試験を行うことなく、タイヤのABS制動性能を予測することが可能となる。
2 ドラム
2s 氷結路面
K1 制動手順
K1A 第1のステップ制動
K1B 第2のステップ制動
K2 測定手順
K3 評価手順
K3A 平均化ステップ
K3B 評価ステップ
T タイヤ

Claims (3)

  1. 内周面を氷結路面とした円筒状のドラムを一定の速度Voで回転させつつ、前記氷結路面上を走行するタイヤを制動する制動手順、
    前記制動中のタイヤの氷結路面に対する摩擦係数μとスリップ率Sとをそれぞれ測定する測定手順、
    及び前記測定された摩擦係数μとスリップ率Sとを用いて氷上制動性能を評価する評価手順を具えるとともに、
    前記制動手順は、前記氷結路面上を走行するタイヤを、初期速度vaから中間速度vbまでを第1の減速巾Δv1毎のステップ速度vにて段階的に減速させる第1のステップ制動と、前記中間速度vbから停止状態又は略停止状態までを前記第1の減速巾Δv1よりも大きい第2の減速巾Δv2毎のステップ速度vにて段階的に減速させる第2のステップ制動とからなり、かつ減速の各段階では、それぞれのステップ速度vにて40秒以上60秒以下の走行時間Δtを走行させ、
    前記測定手順では、減速の各段階毎に、それぞれタイヤに作用する上下荷重Fzと前後力Fx、及びステップ速度vを前記走行時間Δtの時間経過とともに測定し、次式(1)、(2)を用いて摩擦係数μとスリップ率Sとを時間経過に沿って算出し、
    μ=Fx/Fz −−−(1)
    S=(Vo−v)/Vo −−−(2)
    前記評価手順では、減速の各段階毎に、前記走行時間Δtのうちで30秒以降に測定された上下荷重Fzと前後力Fx、及びステップ速度vとから得られた摩擦係数μとスリップ率Sとを平均して平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とを減速の各段階毎に求める平均化ステップと、
    前記平均摩擦係数μ0と平均スリップ率S0とをプロットしてなるμ0−S0曲線から氷上制動性能を評価する評価ステップとを具えることを特徴とするタイヤの氷上制動性能の評価方法。
  2. 前記評価ステップでは、平均スリップ率S0をX軸、平均摩擦係数μ0をY軸にプロットしてμ0−S0曲線を求め、平均スリップ率S0が0〜50%の区間におけるμ0−S0曲線とX軸との間の面積によって氷上制動性能を評価することを特徴とする請求項1記載のタイヤの氷上制動性能の評価方法。
  3. 前記ドラムの速度Voは、25〜35km/hの範囲から選択され、前記初期速度vaは、前記速度Voの98〜95%の範囲から選択され、前記第1の減速巾Δv1は、1.25〜1.75km/hの範囲から選択され、前記第2の減速巾Δv2は、前記第1の減速巾Δv1の2〜2.5倍の範囲から選択され、前記中間速度vbは、前記第1の減速巾Δv1の整数倍かつ前記速度Voの55〜65%の範囲から選択されることを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤの氷上制動性能の評価方法。
JP2010139701A 2010-06-18 2010-06-18 タイヤの氷上制動性能の評価方法 Expired - Fee Related JP5462723B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010139701A JP5462723B2 (ja) 2010-06-18 2010-06-18 タイヤの氷上制動性能の評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010139701A JP5462723B2 (ja) 2010-06-18 2010-06-18 タイヤの氷上制動性能の評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012002755A true JP2012002755A (ja) 2012-01-05
JP5462723B2 JP5462723B2 (ja) 2014-04-02

Family

ID=45534889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010139701A Expired - Fee Related JP5462723B2 (ja) 2010-06-18 2010-06-18 タイヤの氷上制動性能の評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5462723B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018119814A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 住友ゴム工業株式会社 タイヤの制動性能評価方法
JP2018146508A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 住友ゴム工業株式会社 タイヤの性能評価方法
JP2018179650A (ja) * 2017-04-07 2018-11-15 住友ゴム工業株式会社 タイヤの氷上制動性能の評価方法
KR102179821B1 (ko) * 2019-06-05 2020-11-17 넥센타이어 주식회사 타이어 제동 초속도의 민감도를 반영한 제동 성능 시험방법
WO2023058777A1 (ja) * 2021-10-08 2023-04-13 国際計測器株式会社 タイヤ試験方法、タイヤ試験システムおよびプログラム

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001141609A (ja) * 1999-11-17 2001-05-25 Ship Res Inst Ministry Of Transport 自動車台上試験装置用低摩擦ローラ
JP2006266935A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤ制動性能測定装置およびタイヤ制動性能測定方法
JP2007078667A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤの氷上試験装置および氷上性能評価方法
JP2008082709A (ja) * 2006-09-25 2008-04-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ性能測定装置およびレース用タイヤの性能測定方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001141609A (ja) * 1999-11-17 2001-05-25 Ship Res Inst Ministry Of Transport 自動車台上試験装置用低摩擦ローラ
JP2006266935A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤ制動性能測定装置およびタイヤ制動性能測定方法
JP2007078667A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤの氷上試験装置および氷上性能評価方法
JP2008082709A (ja) * 2006-09-25 2008-04-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ性能測定装置およびレース用タイヤの性能測定方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018119814A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 住友ゴム工業株式会社 タイヤの制動性能評価方法
JP2018146508A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 住友ゴム工業株式会社 タイヤの性能評価方法
JP2018179650A (ja) * 2017-04-07 2018-11-15 住友ゴム工業株式会社 タイヤの氷上制動性能の評価方法
KR102179821B1 (ko) * 2019-06-05 2020-11-17 넥센타이어 주식회사 타이어 제동 초속도의 민감도를 반영한 제동 성능 시험방법
WO2023058777A1 (ja) * 2021-10-08 2023-04-13 国際計測器株式会社 タイヤ試験方法、タイヤ試験システムおよびプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5462723B2 (ja) 2014-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5462723B2 (ja) タイヤの氷上制動性能の評価方法
US7751961B2 (en) Acceleration/deceleration induced real-time identification of maximum tire-road friction coefficient
WO2009157516A1 (ja) タイヤ摩耗推定方法及びタイヤ摩耗推定装置
WO2013011992A1 (ja) 路面状態推定方法、及び路面状態推定装置
EP1767422A1 (en) Method and apparatus for evaluating a cornering stability of a wheel
JP6509595B2 (ja) タイヤ用ゴムの粘着力試験方法
CN106918459B (zh) 货车超载判定方法
JP2001512822A (ja) 自動摩耗試験装置
JP2010274906A (ja) 路面状態推定方法、車両制御方法、及び、路面状態推定装置
JP4030572B2 (ja) 車両制動距離予測装置および車両制動距離予測方法
JP2013095322A (ja) 路面摩擦係数の測定方法
JP2008241598A (ja) タイヤ試験装置およびタイヤ試験方法
JP2017096759A (ja) タイヤの氷上制動性能の評価方法
JP5677111B2 (ja) タイヤの氷上発進・加速性能評価方法
CN108896318B (zh) 一种汽车防滑链性能测试方法
JP6363920B2 (ja) タイヤのハイドロプレーニング性能評価方法
JP6922360B2 (ja) タイヤの氷上制動性能の評価方法
JP3997647B2 (ja) 摩耗試験装置
CN102057267B (zh) 通过比较分析估计一对轮胎的横向抓地力的方法
JP4876759B2 (ja) タイヤの制駆動時動特性評価方法および装置
JP6558857B2 (ja) 転がり抵抗測定方法および装置
JP6288762B2 (ja) タイヤブロックの摩耗の予測方法
JP2018031738A (ja) スパイクタイヤ評価方法
JP6922270B2 (ja) タイヤの性能評価方法
JP5705051B2 (ja) 路面状態推定方法、及び路面状態推定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130418

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5462723

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees