JP2012001805A - 表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Crを用いず、耐食性に優れるとともに、樹脂フィルムのBO値を高くする条件でラミネートしても優れた湿潤樹脂密着性が得られる表面処理鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層、Fe-Ni-Sn合金層から選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを0.008〜0.07モル/l含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、Mn、Znから選ばれた少なくとも1種を合計でTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中で、電流密度が、Tiが析出する電流密度(電密度1)とTiが析出しない電流密度(電密度2)との間を周期0.01〜0.4秒で変化し、1周期当りの電密度2にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上、電密度1における全電気量密度が4C/dm2以上となる条件で陰極電解して密着性皮膜を形成する表面処理鋼板の製法;電密度2の上限は、陰極電解に用いる水溶液の組成とpHに依存する。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面にプラスチックフィルムなどの樹脂フィルムが被覆(ラミネート)された後、主に缶などの容器に用いられる表面処理鋼板、特に、高温湿潤環境下において被覆された樹脂との密着性(以後、湿潤樹脂密着性と呼ぶ)に優れ、かつ被覆された樹脂が欠落しても優れた耐食性を示す表面処理鋼板の製造方法に関する。
飲料缶、食品缶、ペール缶や18リットル缶などの各種金属缶には、錫めっき鋼板やティンフリー鋼板と呼ばれる電解クロム酸処理鋼板などが用いられている。なかでも、ティンフリー鋼板は、6価Crを含むめっき浴中で鋼板を電解処理することにより製造され、塗料など樹脂に対して優れた湿潤樹脂密着性を有していることに特長がある。
近年、環境に対する意識の高まりから、世界的に6価Crの使用が規制される方向に向かっており、6価Crのめっき浴を用いて製造されるティンフリー鋼板に対してもその代替材が求められている。
一方、各種金属缶は、従来より、ティンフリー鋼板などに塗装を施した後に、缶体に加工して製造されていたが、近年、製造に伴う廃棄物の減量のために、塗装に代わってプラスチックフィルムなどの樹脂フィルムをラミネートしたラミネート鋼板を缶体に加工する方法が多用されるようになっている。このラミネート鋼板には、樹脂が鋼板に強く密着していることが必要であり、特に飲料缶や食品缶として用いられるラミネート鋼板には、内容物の充填後にレトルト殺菌工程を経る場合があるため、高温の湿潤環境下でも樹脂が剥離することのない優れた湿潤樹脂密着性と、引っ掻きなどで部分的に樹脂が欠落した場合でも、缶の内容物などに侵されて穴開きが生ずることのない優れた耐食性とが要求されている。
こうした要請に応じて、本発明者等は、特許文献1において、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを含むイオンを含有し、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属を含むイオンを含有する水溶液中で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することにより、Crを用いず、極めて優れた湿潤樹脂密着性と優れた耐食性を有する表面処理鋼板を製造できることを提示した。
特開2009-155665号公報
しかしながら、特許文献1に記載された表面処理鋼板の製造方法では、ラミネート後により高い樹脂フィルムの耐衝撃性が必要な用途に対応できるように、樹脂フィルムの二軸配向度(BO値:Degree of Biaxial Orientation)を高くする条件(例えば、より低温の条件)でラミネートすると、必ずしも優れた湿潤樹脂密着性が得られないという問題がある。
本発明は、Crを用いず、耐食性に優れるとともに、樹脂フィルムのBO値を高くする条件でラミネートしても優れた湿潤樹脂密着性が得られる表面処理鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、特許文献1に開示した表面処理鋼板の製造方法において、電流密度が、Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との間を周期0.01〜0.4秒で変化し、1周期当りのTiが析出しない電流密度にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上で、Tiが析出する電流密度における電気量密度が4C/dm2以上となる電解条件で陰極電解処理することが効果的であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属をその合計でTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中において、電流密度が、Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との間を周期0.01〜0.4秒で変化し、1周期当りのTiが析出しない電流密度にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上で、Tiが析出する電流密度における全電気量密度が4C/dm2以上となる電解条件で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法を提供する。ここで、Tiが析出しない電流密度の上限は、陰極電解処理に用いる水溶液の組成およびpHに依存する値である。
本発明の表面処理鋼板の製造方法では、電流密度が、Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との2値に変化する電流を用いることができる。このとき、Tiが析出しない電流密度を0A/dm2にすることが好ましい。
本発明により、Crを用いず、耐食性に優れるとともに、樹脂フィルムのBO値を高くする条件でラミネートしても優れた湿潤樹脂密着性が得られる表面処理鋼板を製造できるようになった。本発明の製造方法で製造された表面処理鋼板は、これまでのティンフリー鋼板の代替材として問題なく、油、有機溶剤、塗料などを内容物とする容器に樹脂被覆することなく使用できる。また、樹脂を被覆して樹脂被覆鋼板とし、缶や缶蓋に加工してレトルト雰囲気に暴露しても、樹脂の剥離が生ぜず、引っかき傷などの樹脂の欠落部においても、素地であるFeの溶出が著しく少なく、耐食性にも極めて優れている。
フッ化チタン酸カリウム10.6g/lおよび硫酸コバルト7水和物5g/lを含むpH3.5の水溶液中における電流密度とTi付着量との関係を示す図である。 フッ化チタン酸カリウム10.6g/lおよび硫酸コバルト7水和物4g/lを含むpH4.5の水溶液中における電流密度とTi付着量との関係を示す図である。 180°ピール試験を説明する図である。
1)耐食性皮膜の形成
素材として一般的な缶用の低炭素冷延鋼板を用い、鋼板表面に、まず、下地鋼板と強固に結合し、樹脂被覆鋼板とされた後に引っ掻きなどで部分的に樹脂が欠落した場合でも、鋼板に優れた耐食性を付与するために、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層の単層あるいはそれらの多層からなる耐食性皮膜を形成する。この耐食性皮膜の形成は、含有される金属元素に応じた公知の方法で行える。
なお、Ni層の場合は、鋼板の片面あたりのNi付着量は100mg/m2程度でも十分だが、200mg/m2以上とすることが好ましい。Fe-Ni合金層の場合は、鋼板の片面あたりのNi付着量を60mg/m2以上とすることが好ましい。Sn層またはFe-Sn合金層の場合は、鋼板の片面あたりのSn付着量を100mg/m2以上とすることが好ましい。Fe-Ni-Sn合金層の場合は、鋼板の片面あたりのNi付着量を50mg/m2以上、Sn付着量を100mg/m2以上とすることが好ましい。ここで、NiやSn付着量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。
2)密着性皮膜の形成
次に、優れた湿潤樹脂密着性を付与するために、上記の耐食性皮膜上に、Tiを0.008〜0.07モル/l含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属をその合計でTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中において陰極電解処理して密着性皮膜を形成する。このとき、陰極電解処理を、電流密度が、Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との間を周期的に変化する電流を用いて皮膜の成長を断続的に行うと、樹脂フィルムのBO値を高くする条件でラミネートしても優れた湿潤樹脂密着性が得られる。
そのためにはある程度のTi付着量を確保する必要があるが、商業ベースに乗る生産性(ラインスピード)で必要なTi付着量を確保するには、周期が0.01〜0.4秒で、1周期当りのTiが析出しない電流密度にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上で、Tiが析出する電流密度における全電気量密度が4C/dm2以上となる電解条件で陰極電解処理を行う必要がある。また、こうした条件で電解処理を行うことにより、Tiが析出しない電流密度では、Tiの析出が起こらないというよりむしろ析出したTiの再溶解が促進されるため、表面の凹凸が均一に分布した皮膜が形成され、優れた湿潤樹脂密着性が得られると考えられる。
Tiが析出しない電流密度の上限、すなわちTiが析出しない場合とTiが析出する場合の境界の電流密度は、Tiや、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属を含む水溶液の組成およびpHに依存する。例えば、図1には、フッ化チタン酸カリウム10.6g/lおよび硫酸コバルト7水和物5g/lを含むpH3.5の水溶液中における電流密度とTi付着量との関係を示したが、この場合は4A/dm2以下ではTiの析出が起こらないことがわかる。また、図2には、フッ化チタン酸カリウム10.6g/lおよび硫酸コバルト7水和物4g/lを含みpH4.5とした水溶液中における電流密度とTi付着量との関係を示したが、この場合は1A/dm2以下ではTiの析出が起こらないことがわかる。このように、Tiが析出しない電流密度の上限は、陰極電解処理に用いる水溶液の組成やpHに依存するので、用いる水溶液に応じて予め求めておく必要がある。
Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との間を周期的に変化する電流としては、サイン曲線のように周期的に変化する交流電流や、Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との2値に変化するパルス電流を用いることができる。その他、直流電流に交流電流やパルス電流を重畳した電流を用いることもできる。なお、Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との2値に変化するパルス電流を用いる場合は、Tiが析出しない電流密度を0A/dm2にすることが、用いる水溶液に応じてTiが析出しない電流密度の上限を予め求める必要がなくなるので、より好ましい。
Tiを含む水溶液としては、フルオロチタン酸イオンを含む水溶液、またはフルオロチタン酸イオンおよびフッ素塩を含む水溶液が好適である。フルオロチタン酸イオンを与える化合物としては、フッ化チタン酸、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウムなどを用いることができる。フッ素塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化銀、フッ化錫などを用いることができる。特に、フッ化チタン酸カリウムを含む水溶液中で、あるいはフッ化チタン酸カリウムおよびフッ化ナトリウムを含む水溶液中で、耐食性皮膜形成後の鋼板を陰極電解処理する方法は、効率良く均質な皮膜を形成することが可能であり好適である。Tiの濃度は0.008〜0.07モル/lとする必要があるが、0.02〜0.05モル/lとすることがより好ましい。これは、Tiの濃度が0.008モル/l未満では得られるTi皮膜のTi付着量が不十分であり、湿潤樹脂密着性が得られず、0.07モル/l を超えるとコスト高となるためである。
また、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnイオンを与える化合物としては、硫酸コバルト、塩化コバルト、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸ニッケル、硫酸銅、酸化硫酸バナジウム、硫酸亜鉛、硫酸マンガンなどを用いることができる。こうした金属の濃度はその合計でTiに対するモル比で0.01〜10とする必要があるが、0.1〜2.5とすることがより好ましい。こうした金属の濃度がその合計でTiに対するモル比で0.01未満、または2.5を超えると優れた湿潤樹脂密着性が得られない。
密着性皮膜のTi付着量は、鋼板の片面あたり3〜200mg/m2とすることが好ましい。これは、Ti付着量が3mg/m2以上で優れた湿潤樹脂密着性が十分に得られ、200mg/m2を超えるとその効果は飽和し、コスト高となるためである。
密着性皮膜に含有されるCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属の量は、その合計でTiに対する質量比(M/Ti)で0.01〜10とすることが好ましい。0.1〜2.5にするとさらに好ましい。この範囲とすると、より緻密で、表面の凹凸がより均一に分布した密着性皮膜が形成され、優れた湿潤樹脂密着性が得られるためである。なお、この金属の合計の量のTiに対する質量比0.01〜10は、金属の合計の鋼板の片面あたりの付着量10〜200mg/m2に相当する。
密着性皮膜には、さらにO(酸素)を含有させることが好ましい。Oを含有することによりTiの酸化物を主体とする皮膜となり、湿潤樹脂密着性の向上により効果的なためである。
なお、密着性皮膜のTiやCo、Fe、Ni、V、Cu、Mn、Znの付着量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。また、O量については、特に規定しないが、XPS(X線光電子分光分析装置)による表面分析でその存在を確認することができる。
このような本発明の方法により耐食性皮膜と密着性皮膜の形成した表面処理鋼板上には、樹脂フィルムをラミネートとしてラミネート鋼板とすることができる。上述したように、本発明の方法で製造された表面処理鋼板は湿潤樹脂密着性に優れているため、このラミネート鋼板は優れた耐食性と加工性を有する。
本発明の表面処理鋼板にラミネートする樹脂フィルムとしては、特に限定することはなく、各種熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなるフィルムを挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム、またはポリブチレンテレフタラート等のポリエステルフィルム、もしくはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムの未延伸または二軸延伸したものを用いることができる。積層の際に接着剤を用いる場合は、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤等が好ましい。
さらに、フェノールエポキシ、アミノ-エポキシ等の変性エポキシ塗料、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性-、エポキシアミノ変性-、エポキシフェノール変性-ビニル塗料または変性ビニル塗料、アクリル塗料、スチレン-ブタジェン系共重合体等の合成ゴム系塗料等の熱可塑性または熱硬化性塗料を単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
樹脂ラミネート層の厚みは3〜50μmとすることが好ましい。これは、厚みが上記範囲を下回ると耐食性が不十分となり、厚みが上記範囲を上回ると加工性の点で問題を生じやすいためである。
表面処理鋼板への樹脂ラミネート層の形成は任意の手段で行うことができる。例えば、押出コート法、キャストフィルム熱接着法、二軸延伸フィルム熱接着法等により行うことができる。
ティンフリー鋼板(TFS)の製造のために使用される冷間圧延ままの低炭素鋼の冷延鋼板(板厚0.2mm)の両面に、表1に示すめっき浴a、bを用いて、次のA〜Dの方法により耐食性皮膜を形成する。
A:冷延鋼板を、10 vol%H2+90 vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、伸び率1.5%の調質圧延を行った後、アルカリ電解脱脂し、硫酸酸洗を施した後、めっき浴aを用いてNiめっき処理を施しNi層からなる耐食性皮膜を形成する。
B:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、めっき浴aを用いてNiめっき処理を施した後、10 vol%H2+90 vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、Niめっきを拡散浸透させた後、伸び率1.5%の調質圧延を行い、Fe-Ni合金層からなる耐食性皮膜を形成する。
C:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、めっき浴aを用いてNiめっきを施した後、10 vol%H2+90 vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、Niめっきを拡散浸透させ、伸び率1.5%の調質圧延を行った後、脱脂、酸洗し、めっき浴bを用いてSnめっき処理を施し、Snの融点以上に加熱保持する加熱溶融処理を施す。この処理により、Fe-Ni-Sn合金層とこの上層のSn層からなる耐食性皮膜を形成する。
D:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、条件Aと同様に焼鈍、調質圧延した後、めっき浴bを用いてSnめっきを施した後、Snの融点以上に加熱保持する加熱溶融処理を施す。この処理により、Fe-Sn合金層とこの上層のSn層からなる耐食性皮膜を形成する。
C、Dの処理において、加熱溶融処理によりSnめっきの一部は合金化する。合金化せず残存した純Sn量については、表2〜5に示す。
次いで、鋼板両面に形成された耐食性皮膜上に、表2〜6に示す陰極電解処理の条件で陰極電解処理を行い、乾燥して密着性皮膜を形成して表面処理鋼板No.1〜40を作製する。このとき、処理浴のpHは、水酸化カリウムなどのアルカリ溶液、硫酸などの酸性溶液により調整する。表面処理鋼板No.31〜40の処理浴のpHは3〜5の範囲とする。また、表面処理鋼板No.1〜25および31〜40では、パルス電流を用い、Tiが析出しない電流密度は0A/dm2としている。一方、表面処理鋼板No.26〜30では、パルス電流を用い、図1および2の結果に基づいて、Tiが析出しない電流密度が0A/dm2でない例(No.26、28、29)とその上限を超えた例(No.27、30)を挙げている。これらの表面処理鋼板のうち、No.5、6、13〜15、20、25、27、28、30は、陰極電解処理の電解条件が本発明範囲外にある比較例である。特に、No.6および15は、複数の電極を用いて陰極電解処理を行っている特許文献1の発明例に相当する。すなわち、電極間では、Tiが析出しない電流密度が0A/dm2であるが、その電流密度の維持される時間、サイクル数が本発明範囲外となる例である。
そして、耐食性皮膜のNiやSn付着量や、密着性皮膜のTi付着量は、蛍光X線分析法により、それぞれ予め付着量を化学分析して求めた検量板と比較して求める。また、Co、Feの付着量についてはTiと同様の蛍光X線分析法、ならびに化学分析、オージェ電子分光分析および二次イオン質量分析から適宜測定方法を選択して求める。また、Oは、No.1〜40のすべてについてXPSによる表面分析でその存在を確認することができる。
これらの表面処理鋼板No.1〜40の両面に、延伸倍率3.1×3.1、厚さ25μm、共重合比12mol%、融点224℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタラートフィルムを用い、樹脂フィルムのBO値が150、250になるようなラミネート条件、すなわち鋼板の送り速度:40m/min、ゴムロールのニップ長:17mm、圧着後水冷までの時間:1秒とし、ラミネート温度を変えてラミネートして、ラミネート鋼板No.1〜40を作製する。ここで、ニップ長とは、ゴムロールと鋼板が接する部分の搬送方向の長さのことである。また、樹脂フィルムのBO値とは、X線源としてCu管球を用いて測定した2θ=26°近傍に観察されるPET(100)面のX線回折強度のことである。そして、作製したラミネート鋼板No.1〜40について、下記の方法により、湿潤樹脂密着性および耐食性の評価を行う。
湿潤樹脂密着性:温度130℃、相対湿度100%のレトルト雰囲気における180°ピール試験により湿潤樹脂密着性の評価を行う。180°ピール試験とは、図3の(a)に示すようなフィルム2を残して鋼板1の一部3を切り取った試験片(サイズ:30mm×100mm、表裏の二面をそれぞれn=1とし、各ラミネート鋼板についてn=2となる)を用い、図3の(b)に示すように、試験片の一端に重り4(100g)を付けてフィルム2側に180°折り返して30min間放置して行うフィルム剥離試験のことである。そして、図3の(c)に示す剥離長5を測定して評価し、各ラミネート鋼板について表裏二面の剥離長(n=2)の平均を求める。剥離長5は小さいほど、湿潤樹脂密着性が良好であるといえるが、BO値が150のとき剥離長5が10mm未満で、かつBO値が250のとき剥離長5が20mm未満であれば、本発明の目的とする優れた湿潤樹脂密着性が得られていると評価する。
耐食性:ラミネート鋼板のラミネート面にカッターナイフを用い鋼板素地に達するカットを交差して施し、1.5質量%NaCl水溶液と1.5質量%クエン酸水溶液を同量ずつ混合した試験液80mlに浸漬し、55℃で9日間放置して、カット部の耐食性(表裏の二面をそれぞれn=1とし、各ラミネート鋼板についてn=2となる)を次のように評価し、○であれば耐食性が良好であるとする。
○:n=2とも腐食なし
×:n=2の1以上において腐食あり
結果を表7に示す。本発明例である製造方法で作製した表面処理鋼板を用いたラミネート鋼板No.1〜4、7〜12、16〜19、21〜24、26、29、31〜40では、いずれも優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を示している。これに対し、比較例であるラミネート鋼板No.5、6、13〜15、20、25、27、28、30は、BO値が150のときの湿潤樹脂密着性や耐食性には優れているが、BO値が250のときの湿潤樹脂密着性に劣っている。
Figure 2012001805
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1 鋼板
2 フィルム
3 鋼板の切り取った部位
4 重り
5 剥離長

Claims (3)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを0.008〜0.07モル/l(l:リットル)含み、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属をその合計でTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液中において、電流密度が、Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との間を周期0.01〜0.4秒で変化し、1周期当りのTiが析出しない電流密度にある時間が0.005〜0.2秒である電流を用い、サイクル数が10以上で、Tiが析出する電流密度における全電気量密度が4C/dm2以上となる電解条件で陰極電解処理して密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法;ここで、Tiが析出しない電流密度の上限は、陰極電解処理に用いる水溶液の組成およびpHに依存する値である。
  2. 電流密度が、Tiが析出する電流密度とTiが析出しない電流密度との2値に変化する電流を用いることを特徴とする請求項1に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  3. Tiが析出しない電流密度を0A/dm2にすることを特徴とする請求項2に記載の表面処理鋼板の製造方法。
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