JP2012001181A - 車両用制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】電子制御装置(ECU)が自身に接続された各車両部品にノードIDを付与可能にする。
【解決手段】制御システム1は、圧力センサ11及び通信ドライバ15を内蔵する気筒毎のインジェクタ(INJ)10と、各INJ10の通信ドライバ15に共通の通信線LCを介してバス接続されたECU20とを備え、圧力センサ11からの信号はINJ10毎のセンサ線LSを介しECU20に入力される。本システム1では、ECU20から全INJ10に対する特定の命令が送信されると、各INJ10は自身のセンサ線LSの電圧を0Vからスイープさせ、ECU20は、各センサ線LSの電圧が、該線LSにつながるINJ10に付与するノードIDに対応した電圧になると、該線LSを0Vに変化させる。そして、各INJ10は、自身のセンサ線LSの電圧が0Vに変えられた直前の該線LSの電圧から、自身に付与されたノードIDを特定し該ノードIDを記憶する。
【選択図】図1

Description

本発明は、センサ及び通信デバイスを内蔵した複数の車両部品と電子制御装置とからなる、車両用制御システムに関する。
車両における制御分野では、例えばインジェクタ(燃料噴射弁)等のアクチュエータとしての部品にセンサとメモリを内蔵して、それらを1つの車両部品とすることが知られており、メモリには、その車両部品の製造工場において、その車両部品の固体の特性値(この場合、初期特性値)が書き込まれる。そして、そのメモリ内の特性値は、車両部品を制御する電子制御装置(ECU)に読み込まれて該車両部品の制御に用いられ、また、センサの出力信号であるセンサ信号も、電子制御装置に入力されて該車両部品の制御に用いられる(例えば、特許文献1,2参照)。
また、上記電子制御装置による制御で得られた学習値を、車両部品側のメモリに書き込むことにより、電子制御装置の交換等を原因として学習値が失われてしまうのを防止する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−057413号公報 特開2009−228681号公報
ところで、上記のような車両部品のセンサからの信号は、車両部品毎の個別の信号線を介して電子制御装置に入力されるようにするのが好ましい。センサ信号を電子制御装置へリアルタイムに入力させることができるからである。
また、上記のような車両部品では、電子制御装置と通信するための通信デバイスも内蔵することとなる。その車両部品のメモリに電子制御装置がアクセス(リードアクセス又はライトアクセス)するためである。
そして、複数の車両部品を電子制御装置に通信可能に接続する手法としては、例えば、各車両部品の通信デバイスを個別の通信線で電子制御装置に接続する手法もあるが、このような手法を採用すると、電子制御装置に車両部品毎の通信デバイスを設ける必要がある。このため、各車両部品のセンサとは異なり、各車両部品の通信デバイスは、共通の通信線を介して電子制御装置とバス接続されるのが好ましい。
しかしながら、バス接続する手法では、通信ノードとなる各車両部品に対してノードIDを割り当てておき、そのノードIDを拠り所に、電子制御装置と各車両部品との間の通信が行われることになるため、車両部品に対してノードIDが正しく割り当てられていないと、不都合が生じる。
例えば、複数の車両部品として、気筒毎のインジェクタを共通の通信線を介して電子制御装置に接続する場合を考える。尚、周知であるが、インジェクタを用いた燃料噴射制御では、電子制御装置から電子駆動装置(EDU)に対して気筒毎の噴射指令信号が出力され、その噴射指令信号に応じて電子駆動装置が各気筒のインジェクタをそれぞれ駆動する。即ち、インジェクタの駆動は、電子制御装置からインジェクタへの通信線を介したメモリアクセスとは別系統で行われる。
ここで、電子制御装置が、第1気筒のインジェクタにノードID「1」、第2気筒のインジェクタにノードID「2」が割り当てられているものとして、各インジェクタから特性値を、通信線を介して取得する構成にされているにも拘らず、誤って、ノードID「2」が割り当てられたインジェクタが第1気筒に取り付けられ、ノードID「1」が割り当てられたインジェクタが第2気筒に取り付けられてしまった場合を考える。
この場合、電子制御装置には、第1気筒のインジェクタとして、ノードID「2」が割り当てられたインジェクタが物理的に接続され、第2気筒のインジェクタとして、ノードID「1」が割り当てられたインジェクタが物理的に接続されることとなる。
このため、電子制御装置は、第1気筒のインジェクタの特性値として、ノードID「1」が割り当てられた第2気筒のインジェクタから、その第2気筒のインジェクタの特性値を読み出し、この特性値に基づいて第1気筒のインジェクタを制御することとなり、また、第2気筒のインジェクタの特性値として、ノードID「2」が割り当てられた第1気筒のインジェクタから、その第1気筒のインジェクタの特性値を読み出し、この特性値に基づいて第2気筒のインジェクタを制御することとなる。よって、制御に支障が生じる。
そして、同様の不都合は、例えば、電子制御装置が車両部品のメモリから読み出した特性値を用いて該車両部品からのセンサ信号を補正(詳しくは、センサ信号の入力値を補正)する場合でも、同様に発生する。即ち、上記インジェクタの例では、電子制御装置は、ノードID「1」が割り当てられた第2気筒のインジェクタから通信線を介して取得した特性値によって、第1気筒のインジェクタからのセンサ信号を補正してしまい、また、ノードID「2」が割り当てられた第1気筒のインジェクタから通信線を介して取得した特性値によって、第2気筒のインジェクタからのセンサ信号を補正してしまうことになり、センサにより計測される物理量を、正確に補正することができなくなる。
つまり、従来では、車両部品の製造時において、その車両部品に対し予め不変のノードIDを設定するようにしており、その手法では、車両部品の電子制御装置への接続間違いによって、前述の不都合(アクチュエータの制御やセンサ信号の補正が正しくできないという不具合)が生じてしまう。
そこで、本発明者は、電子制御装置への車両部品の物理的な接続が完了してから、電子制御装置がその各車両部品にノードIDを付与することができれば、そもそも車両部品の接続間違いが起こらず、前述の不具合を防げるという考えに至った。
このため、本発明は、複数の各車両部品から電子制御装置へのセンサ信号の伝送が車両部品毎の個別の信号線を介して行われる一方、電子制御装置と各車両部品とのデータ通信は共通の通信線を介して行われる車両用制御システムにおいて、車両部品の電子制御装置への物理的な接続が完了してから、電子制御装置がその各車両部品にノードIDを付与することができるようにすることを目的としている。
まず前提として、本発明の車両用制御システムは、センサ及び通信デバイスを内蔵する複数の車両部品と、電子制御装置とを備える。
そして、この車両用制御システムにおいて、電子制御装置は、各車両部品の通信デバイスと共通の通信線を介してバス接続されることで、その通信線を介して各車両部品と通信可能であり、更に、前記センサの出力信号であるセンサ信号を伝送するための信号線であって、車両部品毎に個別に設けられた信号線を介して、各車両部品と接続される。つまり、各車両部品から電子制御装置へのセンサ信号の伝送は、車両部品毎の個別の信号線を介して行われるが、電子制御装置と各車両部品とのデータ通信は、共通の通信線を介して行われる。
また、各車両部品は、電子制御装置が複数の車両部品の何れか1つを宛先として通信線に出力する通信データであって、宛先の車両部品を示すノードIDを含んだ通信データを、前記通信デバイスが受信すると、その受信された通信データに含まれているノードIDが当該車両部品のノードIDと一致するか否かを判定する判定処理を行い、ノードIDが一致する場合には、前記受信された通信データに基づく処理を行い、ノードIDが一致しない場合には、前記受信された通信データを破棄する通信制御手段を備える。
ここで特に、請求項1の車両用制御システムにおいて、電子制御装置はID付与手段を備え、各車両部品はID設定手段を備える。
そして、電子制御装置のID付与手段は、車両部品にノードIDを付与すべき特定タイミングが到来すると作動し、車両部品の全てに対して信号線の電圧を特定の開始電圧からスイープさせることを命令するためのスイープ命令用通信データを、通信線に出力した後、各信号線の電圧を監視して、各信号線の電圧が、その信号線につながる車両部品に付与するノードIDに対応した電圧に到達したなら、その信号線の電圧を特定の終了電圧に強制的に変化させる。
また、各車両部品のID設定手段は、前記スイープ命令用通信データを通信デバイスが受信すると、当該車両部品と電子制御装置とを結ぶ信号線の電圧を前記開始電圧からスイープさせると共に、当該信号線の電圧を監視して、その信号線の電圧がID付与手段によって前記終了電圧に変えられたことを検知すると、その終了電圧に変えられる直前の信号線の電圧(以下、変化直前電圧という)から、ID付与手段が当該車両部品に付与したノードIDを特定し、その特定したノードIDを、前記判定処理で用いる当該車両部品のノードIDとして設定する処理を行う。
尚、車両部品にノードIDを付与すべき特定タイミングとしては、例えば、電子制御装置の起動時が考えられるが、それ以外でも良く、例えば、電子制御装置に外部から初期セットアップの指令が入力された時などでも良い。
また、ID設定手段が行う「ノードIDとして設定する処理」としては、具体的には、ノードIDを、当該車両部品に備えられたノードID記憶部に記憶する処理である。そして、ノードID記憶部とは、当該車両部品のノードIDであって、通信制御手段における判定処理で用いるノードIDを記憶するための記憶手段である。
また、スイープ命令用通信データは、宛先を指定しない通信データであって、全ての車両部品が受信して受け付ける通信データである。
また、ID設定手段は、前記変化直前電圧とノードIDとの対応関係を示す電圧対ID関係情報であって、ID付与手段が有しているものと同じ内容の電圧対ID関係情報を有していれば良い。ID設定手段は、実際に検出した変化直前電圧と、その電圧対ID関係情報とから、電子制御装置(ID付与手段)によって付与されたノードIDを特定できるからである。
そして、このような請求項1の車両用制御システムによれば、車両部品の電子制御装置への物理的な接続が完了してから、電子制御装置がその各車両部品にノードIDを付与することができるようになる。よって、車両部品の製造時に、車両部品に対して不変のノードIDを設定しておく必要がなく、前述した車両部品の接続間違いによる不具合を防止することができる。
更に、電子制御装置から各車両部品へノードIDを通知するために、センサ信号用の信号線を使っており、通信線によるデータ通信を用いないということと、各信号線の電圧スイープが同時に行われて、各車両部品に対するノードIDの通知が並行して実施されることから、各車両部品にノードIDを付与するのに時間がかからないという利点がある。
ところで、開始電圧と終了電圧は、異なる値に限らず、同じ値であっても良い。
また、開始電圧と終了電圧とのうち、少なくとも開始電圧は、請求項2に記載の如く、グランドラインの電圧(グランド電圧=0V)とすることが好ましい。
信号線の電圧をスイープさせる最大幅(ダイナミックレンジ)を大きくすることができるため、各車両部品についての変化直前電圧の差を大きくすることができ、各車両部品についての変化直前電圧の差が大きければ、各車両部品のID設定手段は、その変化直前電圧から、当該車両部品に付与されたノードIDを正確に特定し易くなるからである。
更に、開始電圧だけでなく、終了電圧の方もグランドラインの電圧とすれば、各車両部品のID設定手段は、信号線の電圧がID付与手段によって該終了電圧に変えられたことを検知し易くなり有利である。スイープ中の電圧から終了電圧への変化量が大きくなるからである。
次に、請求項3の車両用制御システムでは、請求項1,2の車両用制御システムにおいて、各車両部品のID設定手段が信号線の電圧をスイープさせる傾きは、全ての車両部品で同じである。そして、この構成によれば、全ての車両部品の構成を全く同じにすることができるため有利である。
参考例及び実施例の燃料噴射制御システムの全体構成を表す構成図である。 参考例のインジェクタとECUとの構成を表す構成図である。 参考例の、ECU側のID付与処理と、インジェクタ側のID設定処理とを表すフローチャートである。 ECU側の照合処理と、インジェクタ側の要求応答処理とを表すフローチャートである。 参考例の作用を説明するためのタイムチャートである。 実施例のインジェクタとECUとの構成を表す構成図である。 実施例の、ECU側のID付与処理と、インジェクタ側のID設定処理とを表すフローチャートである。 実施例の作用を説明するためのタイムチャートである。
以下に、本発明の実施例について、図面と共に説明する。尚、最初に参考例について説明し、その次に、本発明の実施例について説明する。
[参考例]
図1は、参考例の燃料噴射制御システム1(車両用制御システムに相当)の全体構成(尚、後述する実施例でも同じ)を表す構成図である。
この燃料噴射制御システム1は、車両(自動車)に搭載された多気筒(この例では4気筒)エンジンへの燃料噴射を制御するものであり、気筒毎のインジェクタ(INJ)10と、インジェクタ10の制御を行う電子制御装置(以下、ECUという)20と、ECU20からの気筒毎の噴射指令信号に従って各インジェクタ10を駆動する電子駆動装置(以下、EDUという)30と、を備えている。
尚、図中あるいは以下の説明において、#1〜#4は、エンジンの第1〜第4気筒の各々を意味しており、例えば(#1)を付した言葉や符号は、その言葉や符号が指すものが、#1に対応するものであることを意味している。また、#nのnは、1〜4の何れかであり、#nとは、気筒を特に区別していないことを意味している。
そして、各インジェクタ10は、燃料圧力を検出する圧力センサ11と、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリとしてのEEPROM13と、ECU20との間で通信を行うための通信デバイスとしての通信ドライバ15と、を内蔵している。
圧力センサ11は、インジェクタ10において、例えば高圧燃料を内部に取り入れる燃料供給口に設けられており、その燃料供給口での燃料圧力(いわゆるインレット圧)を検出する。このため、圧力センサ11によって検出される燃料圧力は、インジェクタ10の燃料噴射動作によって変化し、ECU20は、その圧力センサ11の出力信号(センサ信号)をモニタすることで、インジェクタ10の実際の燃料噴射状態を把握することができる。
そして、各インジェクタ10の圧力センサ11から出力されるアナログのセンサ信号は、インジェクタ10毎の個別の信号線であるセンサ線(センサ信号用の信号線)LSを介して、ECU20にそれぞれ入力される。
これに対して、各インジェクタ10の通信ドライバ15は、共通の通信線LCを介してECU20と接続(バス接続)されている。
また、各インジェクタ10のEEPROM13には、そのインジェクタ10の噴射特性を表す特性値(インジェクタ特性値)や、そのインジェクタ10に内蔵された圧力センサ11の出力特性を表す特性値(センサ特性値)や、そのインジェクタ10の製造番号が記憶される。
例えば、インジェクタ特性値としては、インジェクタ10の駆動開始時から実際に燃料噴射が開始されるまでの噴射開始遅れ時間や、最大噴射率や、インジェクタ10の駆動終了時から実際に燃料噴射が終了するまでの噴射終了遅れ時間等である。また例えば、センサ特性値は、センサ信号の電圧値と燃料圧力との標準的な関係からのずれを示すものであり、ECU20において、センサ信号の補正情報(詳しくは、センサ信号の電圧値から燃料圧力を求める際の補正情報)として用いられる。
尚、インジェクタ10の製造工場において、各インジェクタ10のEEPROM13には、上記各特性値の初期値である初期特性値と、製造番号とが記憶される。
一方、ECU20は、各気筒のインジェクタ10の通信ドライバ15につながる通信線LCに接続された通信ドライバ21と、通信ドライバ21を通じたインジェクタ10との通信のための処理や、燃料噴射制御のための各種処理を実行するマイコン(マイクロコンピュータ)23と、を備える。
更に、ECU20は、各インジェクタ10のセンサ線LSの各々について、そのセンサ線LSの電圧を、マイコン23からの指令に応じて強制的にグランド電圧(グランドラインの電圧=0V)にするための状態切替回路25を備える。
そして、ECU20において、マイコン23は、各センサ線LSの電圧を、状態切替回路25によって、通常のセンサ信号の電圧(本例では例えば1V〜4V)からグランド電圧にすることにより、その各センサ線LSにつながるインジェクタ10に対して、そのインジェクタ10に付与するノードIDを伝えるようになっている(詳しくは後述する)。
また、マイコン23は、A/D変換器23a(図2も参照)を内蔵しており、各センサ線LSからECU20に入力されるセンサ信号は、このA/D変換器23aにてA/D変換され、マイコン23が実行する燃料噴射制御に用いられる。
尚、マイコン23は、燃料噴射制御の処理として、例えば下記(S1)〜(S6)の処理を、各気筒のインジェクタ10について行う。
(S1)エンジン回転数やアクセル開度などの制御パラメータに基づき算出される目標の噴射状態(例えば、噴射開始タイミング、噴射終了タイミング、及び噴射量)から、その噴射状態を実現するための噴射指令信号の出力タイミング(アクティブレベルにするタイミング)及びパルス幅(アクティブレベル時間)を求めるための制御用マップを、インジェクタ10から通信線LCを介して読み出したインジェクタ特性値を用いて作成し、その制御用マップを、マイコン23内のバックアップRAM(図示省略)又はECU20に設けられたEEPROM等のデータ書き換え可能な不揮発性メモリ(図示省略)に記憶する処理。つまり、インジェクタ10内のインジェクタ特性値に基づいて、噴射状態と噴射指令信号との対応関係を定めた制御用マップを作成する。
(S2)エンジン回転数やアクセル開度などの制御パラメータに基づいて、目標の噴射状態を算出する処理。
(S3)上記(S2)で算出した目標の噴射状態を、上記制御用マップに当てはめることで、その噴射状態を実現するための噴射指令信号の出力タイミング及びパルス幅を算出する処理。
(S4)上記(S3)で算出した噴射指令信号の出力タイミング及びパルス幅を、当該マイコン23内のタイマに設定することにより、その設定したパルス幅だけアクティブレベルになる噴射指令信号を、その設定した出力タイミングで、EDU30へと出力する処理。
(S5)インジェクタ10の駆動期間(噴射指令信号がアクティブレベルになる期間)を含む圧力変動監視期間において、その駆動対象のインジェクタ10につながるセンサ線LSからのセンサ信号を、一定時間毎(例えば数十μs毎)にA/D変換して、その各A/D変換値をマイコン23内のRAMに順次格納し、更に、その格納した時系列のA/D変換値から、各時刻での燃料圧力及び燃料圧力の変動状態を検出して、その検出結果から、実際の噴射開始時期や最大噴射率などの噴射状態を推定し、その推定結果から、上記制御用マップを補正するための学習値を算出する処理。
尚、前述したように、センサ信号のA/D変換値から燃料圧力を求める際には、インジェクタ10から通信線LCを介して読み出したセンサ特性値を用いる。また、各インジェクタ10から読み出した特性値(センサ特性値及びインジェクタ特性値)は、ECU20に設けられたEEPROM等のデータ書き換え可能な不揮発性メモリに格納される。
(S6)上記学習値により、上記(S3)で用いる制御用マップを補正する処理。つまり、インジェクタ10の特性は、時間の経過に伴い変化すると考えられるため、(S5)及び(S6)の処理を行うことで、燃料噴射制御の精度を高めることができる。
そして、マイコン23は、通信線LC及びセンサ線LSとは別の制御線を通じて、EDU30に対し、各インジェクタ10に対応する噴射指令信号(換言すれば、各気筒の噴射指令信号)を出力することにより、燃料噴射制御を実現する。尚、EDU30は、#nの噴射指令信号がアクティブレベルになっている間、その#nのインジェクタ10を開弁駆動する。
次に図2は、インジェクタ10とECU20との構成を表す構成図である。
図2に示すように、インジェクタ10は、圧力センサ11、EEPROM13及び通信ドライバ15に加えて、通信のための処理を行う通信処理部16と、エッジ判別回路17とを備えている。
そして、インジェクタ10において、通信ドライバ15は、通信線LCを介して受信した通信データを、通信処理部16に出力すると共に、通信処理部16から入力された送信対象の通信データを、通信線LCに出力することで、インジェクタ10−ECU20間の通信を実現する。
特に、通信処理部16は、通信ドライバ15が、ECU20からのノードIDを含んだ通信データを受信すると、その受信された通信データに含まれているノードIDが当該インジェクタ10のノードIDと一致するか否かを判定する判定処理を行い、ノードIDが一致する場合には、受信された通信データに基づく処理(つまり、受信された通信データによって指示される処理)を行い、ノードIDが一致しない場合には、受信された通信データを破棄する。
尚、ノードIDを含んだ通信データとは、ECU20が複数のインジェクタ10の何れか1つを宛先として通信線LCに出力する宛先指定通信データである。
例えば、宛先指定通信データとしては、何れか1つのインジェクタ10に対して、EEPROM13内の製造番号を読み出して送信させることを要求するものや、EEPROM13内の特性値を読み出して送信させることを要求するものがある。また、宛先指定通信データとしては、ECU20で計算された学習値を含むと共に、その学習値をEEPROM13に書き込むことを指示するものもある。
このため、インジェクタ10の各々には、各自のノードIDがユニークに設定されている必要があり、本例では、後述するように、ECU20が、各インジェクタ10に対して、一意のノードID(それぞれ異なるノードID)を付与するようになっている。
また、インジェクタ10に設けられたエッジ判別回路17は、ECU20が各インジェクタ10に対してノードIDを付与する際に機能する回路であり、当該インジェクタ10のセンサ線LSの電圧に、グランド電圧よりも高い通常のセンサ信号の電圧からグランド電圧への変化(以下、ローエッジという)が生じたことと、グランド電圧から通常のセンサ信号の電圧への変化(以下、ハイエッジという)が生じたこととを検出する。そして、エッジ判別回路17は、ローエッジとハイエッジとの各々が生じたことを検出すると、そのこと(ローエッジとハイエッジとの各々が生じたこと)を通信処理部16に通知する。
また、図2に示すように、ECU20において、各センサ線LSに対して設けられた状態切替回路25の各々は、コレクタがセンサ線LSに接続され、エミッタがグランドラインに接続されたNPN型のトランジスタ25aからなる。そして、そのトランジスタ25aが、マイコン23からの指令によってオンすることで、センサ線LSの電圧が強制的にグランド電圧になる。よって、センサ線LSの電圧にローエッジが生じる。また、トランジスタ25aがオンからオフに戻れば、センサ線LSの電圧は、グランド電圧から通常のセンサ信号の電圧(>1V)へと変化して、ハイエッジが生じることとなる。
一方、ECU20及びEDU30は、車両がイグニッションオンの状態(即ち、車両におけるイグニッション電源のラインにバッテリ電圧が供給される状態)になると、動作用電源が供給されて起動する。そして、車両がイグニッションオフの状態になり、更に所定の電源遮断条件が成立すると、ECU20及びEDU30への動作用電源の供給が停止するようになっている。また、インジェクタ10の図2に示す各部には、ECU20に動作用電源が供給されている間、そのECU20から一定の電源電圧(例えば5V)が供給される。
次に、ECU20において、各インジェクタ10に対しノードIDを付与するために実施されるID付与処理と、各インジェクタ10において、ECU20から付与されたノードIDを認識して自身のノードIDとして設定するために実施されるID設定処理とについて、図3を用いて説明する。
まず、図3(A)は、ECU20において実施されるID付与処理を表すフローチャートである。尚、このID付与処理は、例えば、車両がイグニッションオンの状態になってECU20が起動したときに、マイコン23が実行するものである。この他、ECU20の起動毎にID付与処理を実行するのではなく、外部から初期セットアップの実行指令が入力されたことを契機にID付与処理を実行する構成にしてもよい。
図3(A)に示すように、ECU20のマイコン23は、ID付与処理の実行を開始すると、まずS110にて、インジェクタ10の全てに対してノードIDを付与することを報知するための通信データであるID付与開始命令(報知用通信データに相当)を、通信ドライバ21から通信線LCに出力させる。尚、このID付与開始命令は、宛先指定通信データではなく、全てのインジェクタ10を宛先としたブロードキャストの通信データである。
そして、次のS120にて、インジェクタ10が上記ID付与開始命令を受信してノードIDの認識開始準備が完了すると考えられる所定時間が経過するまで待ち、その所定時間が経過したら、次のS130にて、全てのセンサ線LSをローに固定する。具体的には、全ての状態切替回路25のトランジスタ25aをオンして、全てのセンサ線LSの電圧を強制的にグランド電圧(=0V)にする。すると、全てのセンサ線LSに一斉にローエッジが生じることとなる。
次にS140にて、上記S130で全てのセンサ線LSをローに固定してから、#1のインジェクタ(#1)10に付与するノードID(本例では「1」)に対応した時間T(#1)が経過したか否かを判定する。
そして、時間T(#1)が経過していないと判定した場合には、そのままS160に進むが、時間T(#1)が経過したと判定したと判定した場合には、S150に移行して、#1のインジェクタ10につながるセンサ線(#1)LSに対応した状態切替回路25のトランジスタ25aをオフすることで、そのセンサ線(#1)LSのロー固定を解除する。すると、そのセンサ線(#1)LSにハイエッジを生じることとなる。そして、その後、S160に進む。
S160では、上記S130で全てのセンサ線LSをローに固定してから、#2のインジェクタ(#2)10に付与するノードID(本例では「2」)に対応した時間T(#2)が経過したか否かを判定する。
そして、時間T(#2)が経過していないと判定した場合には、そのままS180に進むが、時間T(#2)が経過したと判定したと判定した場合には、S170に移行して、#2のインジェクタ10につながるセンサ線(#2)LSに対応した状態切替回路25のトランジスタ25aをオフすることで、そのセンサ線(#2)LSのロー固定を解除する。すると、そのセンサ線(#2)LSにハイエッジを生じることとなる。そして、その後、S180に進む。
S180では、上記S130で全てのセンサ線LSをローに固定してから、#3のインジェクタ(#3)10に付与するノードID(本例では「3」)に対応した時間T(#3)が経過したか否かを判定する。
そして、時間T(#3)が経過していないと判定した場合には、そのままS200に進むが、時間T(#3)が経過したと判定したと判定した場合には、S190に移行して、#3のインジェクタ10につながるセンサ線(#3)LSに対応した状態切替回路25のトランジスタ25aをオフすることで、そのセンサ線(#3)LSのロー固定を解除する。すると、そのセンサ線(#3)LSにハイエッジを生じることとなる。そして、その後、S200に進む。
S200では、上記S130で全てのセンサ線LSをローに固定してから、#4のインジェクタ(#4)10に付与するノードID(本例では「4」)に対応した時間T(#4)が経過したか否かを判定する。
そして、時間T(#4)が経過していないと判定した場合には、そのままS220に進むが、時間T(#4)が経過したと判定したと判定した場合には、S210に移行して、#4のインジェクタ10につながるセンサ線(#4)LSに対応した状態切替回路25のトランジスタ25aをオフすることで、そのセンサ線(#4)LSのロー固定を解除する。すると、そのセンサ線(#4)LSにハイエッジを生じることとなる。そして、その後、S220に進む。
尚、上記時間T(#1)〜T(#4)は、それぞれ異なった時間であり、本例では、一例として「T(#1)=1ms、T(#2)=2ms、T(#3)=3ms、T(#4)=4ms」になっている。
S220では、全てのインジェクタ10へのノードIDの付与が完了したか否かを判定する。具体的には、上記S150、S170、S190、S210の4つの処理が終わって、全てのセンサ線LSのロー固定を解除したか否かを判定する。
そして、全てのインジェクタ10へのノードIDの付与が完了していなければ、S140に戻るが、全てのインジェクタ10へのノードIDの付与が完了したならば、S230に進む。
S230では、インジェクタ10の全てに対してノードID付与の終了を報知するための通信データであるID付与終了命令を、通信ドライバ21から通信線LCに出力させ、その後、当該ID付与処理を終了する。尚、ID付与終了命令も、宛先指定通信データではなく、全てのインジェクタ10を宛先としたブロードキャストの通信データである。
次に、図3(B)は、各インジェクタ10において実施されるID設定処理を表すフローチャートである。尚、このID設定処理は、通信処理部16が実施するものである。
図3(B)に示すように、ID設定処理では、まずS310にて、ECU20からのID付与開始命令が通信ドライバ21によって受信されたか否かを判定する。そして、ID付与開始命令が受信されると、S320に進む。
S320では、当該インジェクタ(#n)10におけるノードIDの書き換えを許可すると共に、ノードIDを初期化する。具体的には、通信処理部16は、ノードIDを記憶するためのメモリであるノードID記憶部(図示省略)を備えており、そのノードID記憶部に対するデータ書き換えを許可すると共に、そのノードID記憶部を初期化する。
尚、ノードID記憶部は、揮発性メモリと不揮発性メモリとの何れでも良い。また、後者の場合には、EEPROM13の所定領域をノードID記憶部として用いても良い。但し、ECU20(詳しくはマイコン23)が起動時毎に図3(A)のID付与処理を行うのであれば、ノードID記憶部は、特に不揮発性メモリである必要はない。
次に、S330にて、当該インジェクタ(#n)10のセンサ線(#n)LSにローエッジが生じたことを、エッジ判別回路17が検出したか否かを判定する。そして、センサ線(#n)LSのローエッジが検出されていなければ、そのままS350に移行するが、センサ線(#n)LSのローエッジが検出されたなら、S340に進んで、センサ線(#n)LSがグランド電圧になっている継続時間であるロー時間の計測を開始し、その後、S350に進む。
尚、S330では、上記ID付与開始命令が受信されてから1回だけ肯定判定する。つまり、S330では、エッジ判別回路17がローエッジを検出していない状態からローエッジを検出した状態に変化したか否かを判定している。このため、センサ線(#n)LSにローエッジが生じて、S340でロー時間の計測が開始されると、その後のS330では否定判定されて、そのままS350に進むこととなる。
S350では、当該インジェクタ(#n)10のセンサ線(#n)LSにハイエッジが生じたことを、エッジ判別回路17が検出したか否かを判定する。そして、センサ線(#n)LSのハイエッジが検出されていなければ、そのままS380に移行するが、センサ線(#n)LSのハイエッジが検出されたなら、S360に進んで、ロー時間の計測を終了する。そして、続くS370にて、ロー時間の計測値から、ECU20が当該インジェクタ(#n)10に付与したノードIDを特定し、その特定したノードIDを、当該インジェクタ(#n)10のノードIDとしてノードID記憶部に書き込んだ後、S380に進む。
尚、S370では、具体的には、ロー時間が「T(#1)=1ms」と考えられる規定範囲内の値(例えば「1±0.4」msの値)ならば、ノードID「1」が付与されたと判断し、ロー時間が「T(#2)=2ms」と考えられる規定範囲内の値(例えば「2±0.4」msの値)ならば、ノードID「2」が付与されたと判断し、ロー時間が「T(#3)=3ms」と考えられる規定範囲内の値(例えば「3±0.4」msの値)ならば、ノードID「3」が付与されたと判断し、ロー時間が「T(#4)=4ms」と考えられる規定範囲内の値(例えば「4±0.4」msの値)ならば、ノードID「4」が付与されたと判断する。つまり、インジェクタ10の通信処理部16には、ロー時間とノードIDとの対応関係を示す時間対ID関係情報として、ECU20側に記憶されているものと同じ内容のものが記憶されており、インジェクタ10側では、その時間対ID関係情報とロー時間の計測値とから、ECU20によって付与されたノードIDを特定する。
また、S350では、S330と同様に、上記ID付与開始命令が受信されてから1回だけ肯定判定する。つまり、S350では、エッジ判別回路17がハイエッジを検出していない状態からハイエッジを検出した状態に変化したか否かを判定している。このため、センサ線(#n)LSにハイエッジが生じて、S360及びS370の処理が行われると、その後のS350では否定判定されて、そのままS380に進むこととなる。
そして、S380では、通信ドライバ21によってECU20からのID付与終了命令が受信されたか否かを判定し、ID付与終了命令が受信されていなければS330に戻るが、ID付与終了命令が受信されたならばS390に進む。そして、S390では、当該インジェクタ(#n)10におけるノードIDの書き換え(即ち、ノードID記憶部に対するデータの書き換え)を禁止し、その後、S310に戻る。
次に、図3の処理による作用を、図5を用いて説明する。
まず、図5における(1)に示すように、ECU20から全てのインジェクタ10に対してID付与開始命令が送信される(S110)。
すると、図5における(2)に示すように、各インジェクタ10にて、自身のノードIDの書き換え許可と初期化とが行われる(S320)。
そして、ECU20は、図5における(3)に示すように、全てのセンサ線LSを一斉にローに固定する(S130)。尚、以下では、この時点を、一斉ロー固定時という。
その後、図5における(4−1)に示すように、ECU20は、一斉ロー固定時から時間T(#1)が経過したときに、センサ線(#1)LSのロー固定を解除して、そのセンサ線(#1)LSにハイエッジを発生させる(S140:YES→S150)。
同様に、ECU20は、図5における(4−2)〜(4−4)の各々に示すように、一斉ロー固定時から時間T(#2)が経過したときに、センサ線(#2)LSのロー固定を解除し(S160:YES→S170)、一斉ロー固定時から時間T(#3)が経過したときに、センサ線(#3)LSのロー固定を解除し(S180:YES→S190)、一斉ロー固定時から時間T(#4)が経過したときに、センサ線(#4)LSのロー固定を解除する(S200:YES→S210)。
一方、各インジェクタ(#n)10では、自身につながるセンサ線(#n)LSのロー時間を計測する(S330〜S360)。そして、そのロー時間の計測値から、ECU20が当該インジェクタ(#n)10に付与したノードIDを特定し、その特定したノードIDを、自身のノードIDとしてノードID記憶部に書き込む(S370)。
即ち、図5における(4−1)の時点において、インジェクタ(#1)10では、ロー時間の計測値がT(#1)となるため、そのT(#1)に対応したノードID「1」を、自身のノードIDとしてノードID記憶部に記憶することとなり、図5における(4−2)の時点において、インジェクタ(#2)10では、ロー時間の計測値がT(#2)となるため、そのT(#2)に対応したノードID「2」を、自身のノードIDとしてノードID記憶部に記憶することとなる。また、図5における(4−3)の時点において、インジェクタ(#3)10では、ロー時間の計測値がT(#3)となるため、そのT(#3)に対応したノードID「3」を、自身のノードIDとしてノードID記憶部に記憶することとなり、図5における(4−4)の時点において、インジェクタ(#4)10では、ロー時間の計測値がT(#4)となるため、そのT(#4)に対応したノードID「4」を、自身のノードIDとしてノードID記憶部に記憶することとなる。
そして、ECU20による全てのインジェクタ10へのノードIDの付与が完了すると、図5における(5)に示すように、ECU20から全てのインジェクタ10に対してID付与終了命令が送信される(S230)。
すると、図5における(6)に示すように、各インジェクタ10にて、自身のノードIDの書き換えが禁止される(S390)。
以上の動作により、ECU20から各インジェクタ10にノードIDが付与されると共に、その付与されたノードIDが各インジェクタ10に記憶される。
次に、ECU20と各インジェクタ10とにおいて、図3の処理に続いて行われる処理について、図4を用い説明する。
まず、図4(A)は、ECU20のマイコン23が、図3(A)のID付与処理を終了した直後に実行する照合処理を表すフローチャートである。
図4(A)に示すように、ECU20のマイコン23は、照合処理の実行を開始すると、まずS410にて、カウンタXの値である「X」を0に初期化し、次のS420にて、「X」をインクリメント(+1)する。
そして、次のS430にて、「X」をノードIDとして含んだ宛先指定通信データである照合要求を、通信ドライバ21から通信線LCに出力させる。
尚、この照合要求は、それに含まれるノードIDが示す宛先のインジェクタ10に対して、EEPROM13に記憶されている製造番号を送信させるための通信データである。そして、その照合要求の宛先(送信先)であるインジェクタ10は、後述する図4(B)の処理により、自身のEEPROM13に記憶されている製造番号を含んだ通信データ(以下、製造番号通信データという)を、通信線LCに出力することとなる。
そこで、ECU20では、次のS440にて、照合要求の宛先であるインジェクタ10から送信された製造番号通信データが、通信ドライバ21によって受信されるまで待ち、製造番号通信データが受信されたなら、S450に進む。尚、製造番号通信データを送信するのは、照合要求の宛先となった1つのインジェクタ10のみであるため、その製造番号通信データには、送信元を示す識別子が含まれていなくても問題はない。
S450では、受信した製造番号(詳しくは、受信した製造番号通信データに含まれていた製造番号)と、ノードID「X」のインジェクタ10(即ち、図3(A)の処理でノードID「X」を付与したインジェクタ10)について記憶している該インジェクタ10の製造番号とが、一致しているか否かを判定し、両製造番号が一致していれば、そのままS480に進む。
一方、S450にて、上記両製造番号が一致していないと判定した場合には、S460に移行して、受信した製造番号を、ノードID「X」のインジェクタ10の製造番号として、更新記憶する。尚、ECU20において、各インジェクタ10の製造番号は、当該ECU20に設けられたEEPROM等のデータ書き換え可能な不揮発性メモリに記憶される。
そして、次のS470にて、ノードID「X」のインジェクタ10から、EEPROM13内の特性値を読み出すと共に、その読み出した特性値を、ノードID「X」のインジェクタ10の特性値として、更新記憶する。
具体的に説明すると、ECU20のマイコン23は、「X」をノードIDとして含んだ宛先指定通信データである特性値要求を、通信ドライバ21から通信線LCに出力させる。すると、ノードID「X」のインジェクタ10では、通信処理部16が、EEPROM13から当該インジェクタ10の特性値を読み出し、その特性値を含む通信データ(以下、特性値通信データという)を、通信ドライバ15から通信線LCへと出力させる。そして、ECU20のマイコン23は、上記特性値通信データが通信ドライバ21によって受信されると、その受信された特性値通信データに含まれている特性値を、ノードID「X」のインジェクタ10に関する特性値として更新記憶する。更に、マイコン23は、ノードID「X」のインジェクタ10について、特性値を更新記憶すると、その新たな特性値を用いて、前述した制御用マップを作成し直す。
つまり、S450にて、上記両製造番号が一致していないと判定した場合は、ノードID「X」のインジェクタ10が交換されたと考えられることから、そのインジェクタ10から特性値を読み込み直して、その特性値をノードID「X」のインジェクタ10の制御に用いるのである。
そして、上記S470の処理が終わると、S480に進む、
S480では、「X」が4であるか否かを判定し、4でなければ、S420へ戻る。
また、S480にて、「X」が4であると判定した場合には、ノードIDが1〜4の全てのインジェクタ10に対して、S430〜S470の処理を行ったということである。そして、その場合には、当該照合処理を終了する。
次に、図4(B)は、各インジェクタ10において、ECU20から上記照合要求に応答するために実施される要求応答処理を表すフローチャートである。尚、この要求応答処理は、通信処理部16が実施するものである。
図4(B)に示すように、要求応答処理では、まずS510にて、ECU20からの照合要求が通信ドライバ21によって受信されたか否かを判定する。そして、照合要求が受信されると、S520に進む。
S520では、受信された照合要求に含まれるノードIDが、当該インジェクタ10のノードIDと一致しているか否かを判定し、両ノードIDが不一致ならば、受信された照合要求を破棄して、S510に戻る。その照合要求は自分宛のものではないからである。
また、S520にて、上記両ノードIDが一致していると判定した場合には、受信した照合要求が当該インジェクタ10を宛先とするものであることから、S530に進んで、EEPROM13から製造番号を読み出すと共に、その製造番号を含んだ通信データである製造番号通信データを作成し、S540にて、その製造番号通信データを通信ドライバ15から通信線LCに出力させる。そして、その後、S510に戻る。
次に、図4の処理による作用を、再び図5を用いて説明する。
まず、図5における(7−1)に示すように、ECU20から、ノードID「1」のインジェクタ(#1)10に対する照合要求が送信される(X=1の時のS430)。
すると、図5における(8−1)に示すように、ノードID「1」のインジェクタ(#1)10だけが、EEPROM13内の製造番号をECU20へと返信する(S530、S540)。
そして、図5における(9−1)に示すように、ECU20では、インジェクタ(#1)10からの製造番号を受信すると共に(S440)、該受信した製造番号と、既に記憶しているインジェクタ(#1)10の製造番号とを比較し、両製造番号が一致していれば(S450:YES)、インジェクタ(#1)に関する製造番号の照合が完了する。
そして、#2〜#4の各インジェクタ10についても、図5における(7−2)〜(9−2)、(7−3)〜(9−3)、(7−4)〜(9−4)の各々に示すように、上記(7−1)〜(9−1)と同様の動作が行われる。
尚、図5における(7−1)〜(9−4)では、ECU20が各インジェクタ10にノードIDを前回付与してから今回付与するまでの間に、インジェクタ10が交換されていない場合を示している。これに対して、例えば、インジェクタ(#1)10が交換されていたとすると、図5における(9−1)では、ECU20からインジェクタ(#1)10に対して前述の特性値要求が送信されて、インジェクタ(#1)がECU20へEEPRROM13内の特性値を返信し、その特性値がECU20において、インジェクタ(#1)に関する特性値として更新記憶されることとなる(S470)。
以上のように、参考例の燃料噴射制御システム1では、ECU20が、各インジェクタ10のセンサ線LSの電圧を、そのインジェクタ10に付与するノードIDに応じた時間だけグランド電圧にする。そして、各インジェクタ10では、自身につながるセンサ線LSの電圧がグランド電圧になっている継続時間(ロー時間)を計測し、その計測値から、ECU20が当該インジェクタ10に付与したノードIDを特定して、その特定したノードIDを自身のノードIDとして記憶する。
このため、インジェクタ10のECU20への物理的な接続が完了してから、ECU20がその各インジェクタ10にノードIDを付与することができる。よって、インジェクタ10の製造時に、インジェクタ10に対して不変のノードIDを設定しておく必要がなく、前述した車両部品(この例ではインジェクタ10)の接続間違いによる不具合を防止することができる。
また、ECU20から各インジェクタ10へノードIDを通知するために、インジェクタ10毎のセンサ線LSを用いるため、各インジェクタ10にノードIDを確実に付与することができると共に、ノードIDを付与するのに時間がかからない。特に、ECU20は、各センサ線LSを一斉にグランド電圧にするため、各インジェクタ10に対し、並行してノードIDを通知することができ、全てのインジェクタ10にノードIDを付与するのに要する時間を、短くすることができる。
尚、上記参考例では、インジェクタ10が、車両部品に相当し、通信処理部16が、通信制御手段に相当している。
一方、図3(A)の処理において、各インジェクタ10へノードIDを付与するためにセンサ線LSの電圧を固定する電圧値は、センサ信号の通常の電圧範囲外であれば、グランド電圧以外の電圧でも良い。
また例えば、図3(A)の処理では、各センサ線LSの電圧を0Vと5Vとに交互に変化させることで、各インジェクタ10へ、ノードIDを示すデジタル信号を送るようにしても良い。この場合、そのデジタル信号がID指示信号に相当することとなり、各インジェクタ10は、センサ線LSの信号から得るデジタル値に基づいて、自身に付与されたノードIDを特定すれば良い。
[実施例]
次に、本発明の実施例について説明するが、上記参考例と同じ事柄については説明を省略する。
実施例の燃料噴射制御システム1は、参考例と比較すると、図6に示すように、インジェクタ10の構成が異なっている。
図6に示すように、インジェクタ10は、図2に示したエッジ判別回路17に代えて、ID判別回路18を備えている。尚、ID判別回路18の役割については後で述べる。
また、インジェクタ10が内蔵する圧力センサ11は、燃料圧力を検出するセンサ本体11aと、センサ制御回路11bとからなる。そして、センサ制御回路11bは、センサ本体11aのゲイン調整と、該センサ本体11bの出力信号のオフセット調整とを行い、そのオフセット調整後の信号を、センサ信号としてセンサ線LSへ出力する。
具体的に説明すると、センサ本体11aは、燃料圧力に応じて抵抗値が変化するセンサであり、供給される電流が増えるほど、ゲインが大きくなって、燃料圧力に対する出力信号の電圧が大きくなるものである。このため、センサ制御回路11bは、センサ本体11aへの供給電流を変えることで、センサ本体11aのゲインを調節する。また、センサ制御回路11bは、センサ本体11aの出力信号を所定倍に増幅すると共に、その増幅した信号にオフセット電圧を加算し、その加算後の信号を、センサ信号として出力する。
そして、センサ制御回路11bは、通信処理部16からの指示によって、ゲインの調整量(即ち、センサ本体11aへの供給電流)と、オフセットの調整量(即ち、上記オフセット電圧)とが変更できるようになっている。
このため、通信処理部16は、センサ制御回路11bによるゲイン調整量とオフセット調整量とを変えることにより、圧力センサ11からのセンサ信号の電圧(換言すれば、センサ線LSの電圧)を、0Vから電源電圧(5V)までの任意の値にすることができる。尚、参考例の圧力センサ11も、本実施例と同様のものであっても良い。
次に、ECU20のマイコン23は、図3(A)のID付与処理に代えて、図7(A)のID付与処理を実行する。また、各インジェクタ10では、図3(B)のID設定処理に代えて、図7(B)のID設定処理が実施される。
まず、図7(A)に示すように、ECU20のマイコン23は、ID付与処理の実行を開始すると、最初のS610にて、インジェクタ10の全てに対するID付与開始命令を、通信ドライバ21から通信線LCに出力させる。
但し、本実施例におけるID付与開始命令は、インジェクタ10の全てに対してセンサ線LSの電圧をスイープさせることを命令するためのブロードキャストの通信データ(スイープ命令用通信データに相当)である。
そして、後述するように、各インジェクタ10は、ECU20からの上記ID付与開始命令が通信ドライバ15によって受信されると、自身とECU20とを結ぶセンサ線LSの電圧を、グランド電圧からスイープさせる(徐々に大きくする)こととなる。
そこで、ECU20のマイコン23は、次のS620にて、各センサ線LSの電圧VS(#1)〜VS(#4)をA/D変換器23aでA/D変換して取得する。
次に、S630にて、センサ線(#1)LSの電圧VS(#1)が、#1のインジェクタ(#1)10に付与するノードID(本実施例では「1」)に対応した電圧Vth(#1)に到達したか否かを判定し、VS(#1)がVth(#1)に達していないと判定した場合には、そのままS650に移行する。
また、S630にて、VS(#1)がVth(#1)に達した(「VS(#1)≧Vth(#1)」になった)と判定した場合には、S640に進み、センサ線(#1)に対応する状態切替回路25のトランジスタ25aをオンすることで、そのセンサ線(#1)をローに固定する(グランド電圧にする)。そして、その後、S650に進む。
S650では、センサ線(#2)LSの電圧VS(#2)が、#2のインジェクタ(#2)10に付与するノードID(本実施例では「2」)に対応した電圧Vth(#2)に到達したか否かを判定し、VS(#2)がVth(#2)に達していないと判定した場合には、そのままS670に移行する。
また、S650にて、VS(#2)がVth(#2)に達した(「VS(#2)≧Vth(#2)」になった)と判定した場合には、S660に進み、センサ線(#2)に対応する状態切替回路25のトランジスタ25aをオンすることで、そのセンサ線(#2)をローに固定する(グランド電圧にする)。そして、その後、S670に進む。
S670では、センサ線(#3)LSの電圧VS(#3)が、#3のインジェクタ(#3)10に付与するノードID(本実施例では「3」)に対応した電圧Vth(#3)に到達したか否かを判定し、VS(#3)がVth(#3)に達していないと判定した場合には、そのままS690に移行する。
また、S670にて、VS(#3)がVth(#3)に達した(「VS(#3)≧Vth(#3)」になった)と判定した場合には、S680に進み、センサ線(#3)に対応する状態切替回路25のトランジスタ25aをオンすることで、そのセンサ線(#3)をローに固定する(グランド電圧にする)。そして、その後、S690に進む。
S690では、センサ線(#4)LSの電圧VS(#4)が、#4のインジェクタ(#4)10に付与するノードID(本実施例では「4」)に対応した電圧Vth(#4)に到達したか否かを判定し、VS(#4)がVth(#4)に達していないと判定した場合には、そのままS710に移行する。
また、S690にて、VS(#4)がVth(#4)に達した(「VS(#4)≧Vth(#4)」になった)と判定した場合には、S700に進み、センサ線(#4)に対応する状態切替回路25のトランジスタ25aをオンすることで、そのセンサ線(#4)をローに固定する(グランド電圧にする)。そして、その後、S710に進む。
尚、上記電圧Vth(#1)〜Vth(#4)の値は、それぞれ異なっており、本実施例では、一例として「Vth(#1)=1V、Vth(#2)=2V、Vth(#3)=3V、Vth(#4)=4V」になっている。
S710では、全てのインジェクタ10へのノードIDの付与が完了したか否かを判定する。具体的には、上記S640、S660、S680、S700の4つの処理が終わって、全てのセンサ線LSをローに固定し、且つ、最後にローに固定したセンサ線LSをローに固定した時から所定の余裕時間が経過したか否かを判定する。尚、その余裕時間は、ECU20側にてセンサ線(#n)LSをローに固定してから、インジェクタ(#n)10側において、センサ線(#n)LSにグランド電圧へのローエッジが生じたことを検知できるまでの遅れ時間よりも、長い時間に設定されている。
そして、全てのインジェクタ10へのノードIDの付与が完了してはいないと判定した場合には(S710:NO)、S620に戻るが、全てのインジェクタ10へのノードIDの付与が完了したと判定した場合には(S710:YES)、S720に進む。
S720では、全てのセンサ線LSに対応した状態切替回路25のトランジスタ25aをオフすることで、全てのセンサ線LSのロー固定を解除する。
そして、S730に進み、インジェクタ10の全てに対してノードID付与の終了を報知するためのブロードキャストの通信データであるID付与終了命令を、通信ドライバ21から通信線LCに出力させ、その後、当該ID付与処理を終了する。
次に、図7(B)は、各インジェクタ10において実施されるID設定処理を表すフローチャートである。尚、このID設定処理は、通信処理部16がID判別回路18と協同して行う。
図7(B)に示すように、ID設定処理として、インジェクタ(#n)10の通信処理部16は、まずS810にて、ECU20からのID付与開始命令が通信ドライバ21によって受信されたか否かを判定する。そして、ID付与開始命令が受信されると、S820に進む。
S820では、図3(B)のS320と同様に、当該インジェクタ(#n)10におけるノードIDの書き換えを許可すると共に、ノードIDを初期化する。
次に、S830にて、当該インジェクタ(#n)10とECU20とを結ぶセンサ線(#n)LSの電圧VS(#n)の、グランド電圧からのスイープを開始すると共に、該センサ線(#n)LSの電圧VS(#n)の測定も開始する。
具体的に説明すると、まず、インジェクタ(#n)10のID判別回路18は、センサ線(#n)LSの電圧VS(#n)を繰り返しA/D変換する(実際には一定時間毎にA/D変換する)電圧測定機能を有している。そして、このS830にて、通信処理部16は、ID判別回路18に、電圧VS(#n)の測定動作(即ち、一定時間毎のA/D変換動作)を開始させる。
また、通信処理部16は、ID判別回路18によるA/D変換結果をモニタしながら前述のセンサ制御回路11bによるゲイン調整量とオフセット調整量とを制御することにより、センサ線(#n)LSの電圧VS(#n)を任意の値にすることができる。そこで、通信処理部16は、このS830にて、上記ゲイン調整量及びオフセット調整量を制御することにより、センサ線(#n)LSの電圧VS(#n)を、まずグランド電圧にし、その時点から、上記ゲイン調整量及びオフセット調整量を制御して電圧VS(#n)を一定の変化速度で大きくしていくスイープ処理を開始する。尚、本実施例において、上記変化速度は、全てのインジェクタ10で同じであるが、インジェクタ10毎に異なっていても良い。
一方、このS830にて電圧VS(#n)のスイープが開始されると、ID判別回路18は、電圧VS(#n)の測定を行うだけでなく、センサ線(#n)LSのローエッジ(グランド電圧への変化)の検出も行い、そのローエッジが生じたことを通信処理部16に通知するようになっている。
そこで、通信処理部16は、次のS840にて、センサ線(#n)LSにローエッジが生じたことを、ID判別回路18が検出したか否かを判定する。尚、ここで検出されるローエッジは、ECU20側で行われる図7(A)のID付与処理におけるS640、S660、S680、S700の何れかによって発生するものである。
そして、センサ線(#n)LSのローエッジが検出されていなければ、そのままS870に移行するが、センサ線(#n)LSのローエッジが検出されたなら、S850に進んで、ID判別回路18に、電圧VS(#n)の測定動作を停止させる。
すると、ID判別回路18は、次のS860にて、ローエッジを検出する直前の電圧VS(#n)の測定値であるローエッジ直前電圧(前述した変化直前電圧に相当)から、ECU20が当該インジェクタ(#n)10に付与したノードIDを特定する。
具体的には、ローエッジ直前電圧が「Vth(#1)=1V」と考えられる規定範囲内の値(例えば「1±0.4」Vの値)ならば、ノードID「1」が付与されたと判断し、ローエッジ直前電圧が「Vth(#2)=2V」と考えられる規定範囲内の値(例えば「2±0.4」Vの値)ならば、ノードID「2」が付与されたと判断し、ローエッジ直前電圧が「Vth(#3)=3V」と考えられる規定範囲内の値(例えば「3±0.4」Vの値)ならば、ノードID「3」が付与されたと判断し、ローエッジ直前電圧が「Vth(#4)=4V」と考えられる規定範囲内の値(例えば「4±0.4」Vの値)ならば、ノードID「4」が付与されたと判断する。つまり、インジェクタ10のID判別回路18には、ローエッジ直前電圧とノードIDとの対応関係を示す電圧対ID関係情報として、ECU20側に記憶されているものと同じ内容のものが記憶されており、インジェクタ10側では、その電圧対ID関係情報と実際のローエッジ直前電圧とから、ECU20によって付与されたノードIDを特定する。
そして、次のS865にて、通信処理部16が、ID判別回路18により特定されたノードIDを、当該インジェクタ(#n)10のノードIDとしてノードID記憶部に書き込み、その後、S870に進む。
S870では、通信ドライバ21によってECU20からのID付与終了命令が受信されたか否かを判定し、ID付与終了命令が受信されていなければS840に戻る。
尚、S840では、上記S830でセンサ線(#n)LSの電圧VS(#n)のスイープを開始してから1回だけ肯定判定する。つまり、S840では、ID判別回路18がローエッジを検出していない状態からローエッジを検出した状態に変化したか否かを判定している。このため、センサ線(#n)LSにローエッジが生じて、S850及びS860の処理が行われると、その後のS840では否定判定されて、そのままS870に進むこととなる。
また、S870にて、ID付与終了命令が受信されたと判定した場合には、S880に進んで、センサ線LS(#n)の電圧スイープを停止する。すると、センサ線LS(#n)には、本来のセンサ信号(即ち、センサ本体11aが検出する燃料圧力を表すアナログ信号)が現れることとなる。そして、続くS890にて、当該インジェクタ(#n)10におけるノードIDの書き換え(即ち、ノードID記憶部に対するデータの書き換え)を禁止し、その後、S810に戻る。
次に、図7の処理による作用を、図8を用いて説明する。
まず、図8における(1)に示すように、ECU20から全てのインジェクタ10に対してID付与開始命令が送信される(S610)。
すると、図8における(2)に示すように、各インジェクタ(#n)10にて、自身のノードIDの書き換え許可と初期化とが行われ(S820)、更に、センサ線(#n)LSの電圧VS(#n)のグランド電圧からのスイープが開始されると共に、電圧VS(#n)の測定も開始される(S830)。
また、ECU20は、各センサ線LSの電圧VSを監視する(S620)。
そして、ECU20は、図8における(3−1)に示すように、センサ線(#1)LSの電圧VS(#1)が、ノードID「1」に対応した電圧Vth(#1)に到達すると、センサ線(#1)LSをローに固定して、該センサ線(#1)LSにローエッジを発生させる(S630:YES→S640)。
同様に、ECU20は、図8における(3−2)〜(3−4)の各々に示すように、センサ線(#2)LSの電圧VS(#2)が、ノードID「2」に対応した電圧Vth(#2)に到達すると、センサ線(#2)LSをローに固定し(S650:YES→S660)、センサ線(#3)LSの電圧VS(#3)が、ノードID「3」に対応した電圧Vth(#3)に到達すると、センサ線(#3)LSをローに固定し(S670:YES→S680)、センサ線(#4)LSの電圧VS(#4)が、ノードID「4」に対応した電圧Vth(#4)に到達すると、センサ線(#4)LSをローに固定する(S690:YES→S700)。
一方、各インジェクタ(#n)10では、自身につながるセンサ線(#n)LSのローエッジを検出すると(S840:YES)、そのローエッジを検出する直前のセンサ線(#n)LSの電圧VS(#n)であるローエッジ直前電圧から、ECU20が当該インジェクタ(#n)10に付与したノードIDを特定し(S860)、その特定したノードIDを、自身のノードIDとしてノードID記憶部に書き込む(S865)。
即ち、図8における(3−1)に示すように、インジェクタ(#1)10では、ローエッジ直前電圧がVth(#1)となるため、そのVth(#1)に対応したノードID「1」を、自身のノードIDとして記憶することとなり、図8における(3−2)に示すように、インジェクタ(#2)10では、ローエッジ直前電圧がVth(#2)となるため、そのVth(#2)に対応したノードID「2」を、自身のノードIDとして記憶することとなる。また、図8における(3−3)に示すように、インジェクタ(#3)10では、ローエッジ直前電圧がVth(#3)となるため、そのVth(#3)に対応したノードID「3」を、自身のノードIDとして記憶することとなり、図8における(3−4)に示すように、インジェクタ(#4)10では、ローエッジ直前電圧がVth(#4)となるため、そのVth(#4)に対応したノードID「4」を、自身のノードIDとして記憶することとなる。
そして、ECU20による全てのインジェクタ10へのノードID付与が完了すると、図8における(4)に示すように、ECU20は、全てのセンサ線LSのロー固定を解除し(S720)、その後、図8における(5)に示すように、ECU20から全てのインジェクタ10に対するID付与終了命令が送信される(S730)。
すると、図8における(6)に示すように、全てのインジェクタ10において、センサ線LSの電圧スイープが停止されて、センサ線LSにセンサ信号が現れると共に(S880)、ノードIDの書き換えが禁止される(S890)。
尚、本実施例においても、ECU20及び各インジェクタ10は、図7の処理に続いて、前述した図4の処理(インジェクタ10の製造番号を照合するための処理)を実施する。
以上のように、実施例の燃料噴射制御システム1では、ECU20から全てのインジェクタ10に対するID付与開始命令が送信されると、各インジェクタ10は、自身のセンサ線LSの電圧VSをグランド電圧からスイープさせる。
そして、ECU20は、各センサ線LSの電圧VSが、そのセンサ線LSにつながるインジェクタ10に付与するノードIDに対応した電圧Vthに到達したなら、そのセンサ線LSの電圧VSをグランド電圧に強制的に変化させ、各インジェクタ10は、自身につながるセンサ線LSの電圧VSがグランド電圧に変えられた直前の該センサ線LSの電圧VSから、ECU20によって付与されたノードIDを特定して、その特定したノードIDを自身のノードIDとして記憶する。
このため、本実施例によっても、インジェクタ10のECU20への物理的な接続が完了してから、ECU20がその各インジェクタ10にノードIDを付与することができる。よって、インジェクタ10の製造時に、インジェクタ10に対して不変のノードIDを設定しておく必要がなく、前述した車両部品(この例でもインジェクタ10)の接続間違いによる不具合を防止することができる。更に、ECU20から各インジェクタ10へノードIDを通知するために、インジェクタ10毎のセンサ線LSを使っていることと、各センサ線LSの電圧スイープが同時に行われて、各インジェクタ10に対するノードIDの通知が並行して実施されることから、全てのインジェクタ10にノードIDを付与するのに要する時間を、短くすることができる。
また、各インジェクタ10がセンサ線LSの電圧VSをスイープさせる傾き(電圧VSの変化速度)は、全てのインジェクタ10で同じであるため、全てのインジェクタ10の構成を全く同じにすることができる。
更に、本実施例によれば、インジェクタ10側に、ロー時間を計測するための機能を設けなくても良いという点で有利である。
尚、上記実施例では、インジェクタ10が、車両部品に相当し、通信処理部16が、通信制御手段に相当している。そして、ECU20において、マイコン23が行う図7(A)のID付与処理が、ID付与手段としての処理に相当し、各インジェクタ10において、通信処理部16及びID判別回路18が行う図7(B)のID設定処理が、ID設定手段としての処理に相当している。また、本実施例では、グランド電圧が、開始電圧と終了電圧との両方に相当している。
一方、センサ線LSの電圧VSをスイープさせる開始電圧は、グランド電圧とは異なる電圧でも良い。
また、ECU20は、図7(A)におけるS640、S660、S680、S700の各処理で、センサ線LSの電圧VSを、グランド電圧とは異なる所定の電圧に変化させても良い。その場合、インジェクタ10は、図7(B)におけるS840の処理にて、センサ線LSの電圧VSが、上記所定の電圧に変化したか否かを判定すれば良い。
また、インジェクタ10において、センサ線LSの電圧VSをスイープさせるための構成としては、例えば、D/A変換器と、そのD/A変換器の信号出力端子と圧力センサ11の信号出力端子とをセンサ線LSに択一的に接続させる切替回路とを設け、センサ線LSの電圧VSをスイープさせる場合には、切替回路によりD/A変換器の信号出力端子がセンサ線LSに接続されるようにして、そのD/A変換器の出力電圧を徐々に大きくしていく構成であっても良い。
また、図7(B)では、ID付与終了命令を受信した後、すなわちS870を肯定判定された場合に、S880のスイープ停止処理を行う例を示した。しかし、ローエッジが検出され(S840でYES)、センサ線電圧の測定が終了した後(S850)であれば、S880のスイープ停止処理を実施することが可能である。
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、電子制御装置に接続される車両部品は、インジェクタ10以外でも良い。同様に、車両部品に内蔵されるセンサは、圧力センサ11以外のセンサでも良い。
1…燃料噴射制御システム、10…インジェクタ(車両部品)、11…圧力センサ、11a…センサ本体、11b…センサ制御回路、13…EEPROM、15…通信ドライバ、16…通信処理部、17…エッジ判別回路、18…ID判別回路、20…ECU(電子制御装置)、21…通信ドライバ、23…マイコン、23a…A/D変換器、25…状態切替回路、25a…トランジスタ、30…EDU(電子駆動装置)、LC…通信線、LS…センサ線(センサ信号用の信号線)

Claims (3)

  1. センサ及び通信デバイスを内蔵する複数の車両部品と、
    前記各車両部品の前記通信デバイスと共通の通信線を介してバス接続され、当該通信線を介して前記各車両部品と通信可能であり、更に、前記センサの出力信号であるセンサ信号を伝送するための信号線であって、前記車両部品毎に個別に設けられた信号線を介して、前記各車両部品と接続される電子制御装置とを備え、
    前記各車両部品は、
    前記電子制御装置が前記複数の車両部品の何れか1つを宛先として前記通信線に出力する通信データであって、宛先の車両部品を示すノードIDを含んだ通信データを、前記通信デバイスが受信すると、その受信された通信データに含まれているノードIDが当該車両部品のノードIDと一致するか否かを判定する判定処理を行い、ノードIDが一致する場合には、前記受信された通信データに基づく処理を行い、ノードIDが一致しない場合には、前記受信された通信データを破棄する通信制御手段を備える、車両用制御システムであって、
    前記電子制御装置は、
    前記車両部品にノードIDを付与すべき特定タイミングが到来すると作動する手段であって、前記車両部品の全てに対して前記信号線の電圧を特定の開始電圧からスイープさせることを命令するためのスイープ命令用通信データを、前記通信線に出力した後、前記各信号線の電圧を監視して、前記各信号線の電圧が、その信号線につながる前記車両部品に付与するノードIDに対応した電圧に到達したなら、その信号線の電圧を特定の終了電圧に強制的に変化させるID付与手段を備え、
    前記各車両部品は、
    前記スイープ命令用通信データを前記通信デバイスが受信すると、当該車両部品と前記電子制御装置とを結ぶ前記信号線の電圧を前記開始電圧からスイープさせると共に、当該信号線の電圧を監視して、その信号線の電圧が前記ID付与手段によって前記終了電圧に変えられたことを検知すると、前記終了電圧に変えられる直前の前記信号線の電圧から、前記ID付与手段が当該車両部品に付与したノードIDを特定し、その特定したノードIDを、前記判定処理で用いる当該車両部品のノードIDとして設定する処理を行うID設定手段を備えること、
    を特徴とする車両用制御システム。
  2. 請求項1に記載の車両用制御システムにおいて、
    前記開始電圧はグランドラインの電圧であること、
    を特徴とする車両用制御システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用制御システムにおいて、
    前記各車両部品の前記ID設定手段が前記信号線の電圧をスイープさせる傾きは、前記全ての車両部品で同じであること、
    を特徴とする車両用制御システム。
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