JP2011524373A - インフルエンザウイルスに対する新規抗ウイルスペプチド - Google Patents

インフルエンザウイルスに対する新規抗ウイルスペプチド Download PDF

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Abstract

本発明は、一般に、抗ウイルス特性を有するペプチドに関する。より特には、本発明は、インフルエンザウイルスに対する活性を示すペプチド、該ペプチドを含む医薬組成物、およびインフルエンザウイルス感染を予防および/または処置するために該ペプチドを用いる方法に関する。

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本願は、配列表を包含する。配列表の紙コピーおよびコンピューター可読コピーは、本明細書と同時に提出される。配列表に含まれる情報は、その全体を引用により本明細書の一部とする。
発明の背景
本発明は、一般に、抗ウイルス特性を有するペプチドに関する。より特には、本発明は、インフルエンザウイルスに対する活性を示すペプチド、該ペプチドを含む医薬組成物、およびインフルエンザウイルス感染を予防および/または処置するために該ペプチドを用いる方法に関する。
A型インフルエンザウイルスの発生は、世界中で蔓延した罹患率および死亡率を引き起こし続けている。米国単独において、人口の約5%から約20%が毎年A型インフルエンザウイルスに感染し、約200,000人が入院し、36,000人が死亡している。包括的なワクチン接種政策の確立がインフルエンザの罹患率を限定的にする有効な手段であった。しかしながら、ウイルスの頻繁に生じる遺伝的浮動は、毎年のワクチンの再製剤化を必要とし、潜在的にワクチン中に存在するウイルス株と循環しているウイルス株間の不一致を生じる。したがって、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス治療は、疾患重篤度および伝染を限定的にするための重要なツールである。
現在のところ、広範囲にわたる販売のために承認された2つの群のインフルエンザ抗ウイルス剤が存在し、それは、アダマンチン誘導体(例えば、アマンタジンおよびリマンタジン)およびノイラミニダーゼ阻害剤を含む。アダマンチンは、ウイルスM2タンパク質を標的とし、ウイルスが脱殻し、その遺伝学的物質が細胞内に放出されるのを妨害する。対照的に、ノイラミニダーゼ阻害剤(NAI)は、ノイラミニダーゼ(NA)表面タンパク質の酵素学的活性を阻害し、ウイルス放出を停止させる。不運にも、両方の群の抗ウイルス剤に耐性のあるウイルスの出現についての報告が増加している。大規模な耐性のために、連邦防疫センターおよび他の機関は、インフルエンザウイルスの処置または予防のためにアダマンタンを使用しないことを推奨している。したがって、インフルエンザの処置および制御のための新規抗ウイルス剤を同定し、それを特徴付ける緊急の必要性が存在する。
最近になって、ウイルスに対する活性を有するさまざまなペプチドが発見されてきている。例えば、線維芽細胞成長因子4 (FGF-4)シグナル配列に由来する20アミノ酸ペプチド(エントリーブロッカー(EB)と名付けられている)が、インビトロおよびインビボにおいてインフルエンザウイルスに対する顕著な広域スペクトル活性を有することが示されている。EBペプチドは、Jones、et al.による“Inhibition of Influenza Virus Infection by a Novel Antiviral Peptide That Targets Viral Attachment to Cells”、Journal of Virology、(2006) Vol. 80(24)、p. 11960-11967、ならびにBrandt、et al.による米国特許出願公開番号2005/0130884およびまたBrandt、et al.による米国特許出願公開番号2005/0203024に記載されている。特に、EBは、インビトロにおいて10μMまたはそれ以上の濃度でウイルス複製を阻害することが示されている。BALB/cマウスにおいて、EBは、感染前または感染後に投与されたとき、H5N1型インフルエンザウイルス感染の臨床的兆候を妨害し、生存を増加させた。また、EBは、潜在的にウイルスヘマグルチニン(HA)タンパク質との直接的な結合相互作用を介して、細胞へのインフルエンザウイルス接着を阻害することが確立されている。しかしながら、結合の正確なメカニズムは、決定されていない。
本発明において、EBペプチドの特定の誘導体がインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を示すことが見出された。有利には、本発明の抗ウイルスペプチドは、EBに匹敵するか、もしくはそれ以上の抗ウイルス活性を示す。さらに、該ペプチドは、EBおよび他に既知の抗ウイルスペプチドよりも長さが短いので、ペプチドの生産コストがまた減少する。
発明の要約
本発明は、一般に、抗ウイルス特性を有するペプチドに関する。より特には、本発明は、インフルエンザウイルスに対する活性を示すペプチド、該ペプチドを含む医薬組成物、およびインフルエンザウイルス感染を予防および/または処置するために該ペプチドを用いる方法に関する。
1つの局面において、本発明は、配列番号2-3、配列番号5、配列番号18-19、配列番号21-23、配列番号30、配列番号32-34、配列番号36-38、配列番号40-51および配列番号57-59からなる群から選択される、抗ウイルスペプチドを開示する。
他の局面において、本発明は、配列番号2-3、配列番号5、配列番号18-19、配列番号21-23、配列番号30、配列番号32-34、配列番号36-38、配列番号40-51および配列番号57-59からなる群から選択される1個またはそれ以上のペプチドならびに薬学的に許容される担体を含む、組成物を開示する。
また他の局面において、本発明は、配列番号1で示されるペプチドの誘導体を含む組成物であって、該誘導体が12個から19個のアミノ酸を含み、インフルエンザウイルスに対する顕著な抗ウイルス活性を示す、組成物を開示する。
他の局面において、本発明は、哺乳類におけるウイルス呼吸器感染を処置または予防するための方法であって、下記:
a) 配列番号2-3、配列番号5、配列番号18-19、配列番号21-23、配列番号30、配列番号32-34、配列番号36-38、配列番号40-51および配列番号57-59;
b) 12個から19個のアミノ酸を含み、インフルエンザウイルスに対する顕著な抗ウイルス活性を示す、配列番号1で示されるペプチドの誘導体; ならびに
c) その組み合わせ
からなる群から選択される有効量の抗ウイルスペプチドを哺乳類に投与することを含む、方法を開示する。
図1Aは、EB (○)およびペプチド配列番号32 (□)の細胞毒性効果を示す図式であり、実施例2において示されている。データは、3回の測定の平均値 ± 標準偏差として提供される。 図1Bは、0 μMから30 μM 濃度のEB、EBXまたは配列番号32で処理されたPR/8ウイルスを用いたMDCK細胞の処理後、100 μLの接種あたりのプラーク形成単位の数を示す図式であり、実施例2において示されている。EBは○、配列番号32は□、およびEBXはΔである。0 μMの結果は、未処理PR/8で感染させたウェルを示す。結果は、3回の独立した実験を代表したものである。 図2Aは、密度勾配超遠心分離を介して得られた勾配の密度を示す図式であり、実施例3において示されている。 図2Bは、PBS (0 μM ペプチド)で処理されたウイルスのサンプルについての密度勾配超遠心分離の結果を示す図式であり、実施例3において示されている。イムノブロッティングにより決定されたHA抗原の存在を(○)で示し、赤血球凝集活性を(□)で示す。 図2Cは、10 μMのEBペプチドで処理されたウイルスのサンプルについての密度勾配超遠心分離の結果を示す図式であり、実施例3において示されている。イムノブロッティングにより決定されたHA抗原の存在を(○)で示し、赤血球凝集活性を(□)で示す。 図2Dは、30 μMのEBペプチドで処理されたウイルスのサンプルについての密度勾配超遠心分離の結果を示す図式であり、実施例3において示されている。イムノブロッティングにより決定されたHA抗原の存在を(○)で示し、赤血球凝集活性を(□)で示す。 図2Eは、10 μMのEBXで処理されたウイルスのサンプルについての密度勾配超遠心分離の結果を示す図式であり、実施例3において示されている。イムノブロッティングにより決定されたHA抗原の存在を(○)で示し、赤血球凝集活性を(□)で示す。 図2Fは、30 μMのEBXで処理されたウイルスのサンプルについての密度勾配超遠心分離の結果を示す図式であり、実施例3において示されている。イムノブロッティングにより決定されたHA抗原の存在を(○)で示し、赤血球凝集活性を(□)で示す。 図3は、モック(PBS-0μM ペプチド) (図3A) (66,000x倍率)処理されるか、または10 μMのEBペプチド(図3B) (14,000x倍率)、10 μMの配列番号32 (図3C) (66,000x倍率)または10 μMのEBXペプチド(図3D) (14,000x倍率)で処理されたPR/8ビリオンの電子顕微鏡からの像であり、実施例3において示されている。 図4は、0 μM、1 μM、5 μM、10 μMもしくは30 μMのEB、EBX、または配列番号32、または0.1% SDSで処理されたcRBCからのヘモグロビン放出の割合を示す図表であり、実施例4において示されている。 図5は、さまざまな濃度のペプチドでインキュベートされるか、またはクエン酸ナトリウムで酸性化された後に中和されて、TPCK-トリプシンが加えられた精製化HAのSDS-PAGEゲルの像であり、実施例5において示されている。レーン1は、HA単独であり; レーン2は、HA + トリプシンであり(酸性化を有さない); レーン3は、酸性化されたHA + トリプシンであり; レーン4および5は、それぞれ10 μMまたは30 μMのEBで処理されたHA + トリプシンであり; レーン6および7は、それぞれ10 μMまたは30 μMの配列番号32で処理されたHA + トリプシンであり; ならびにレーン8および9は、10 μMまたは30 μMのEBXで処理されたHA + トリプシンである。 図6は、さまざまな濃度の配列番号32についての赤血球凝集割合(%)を示す図表であり、実施例1において示されている。 図7は、さまざまなペプチドを用いた赤血球凝集アッセイからの結果を示す図表であり、実施例6において示されている。 図8は、1 μM、3 μM、7.5 μMまたは15 μMの濃度のさまざまな重複VN/1203 HAペプチドを2.5 μMのEBペプチドと共にインキュベートし、PR/8ウイルスの活性を阻害するEBペプチドの能力を評価することにより行われたEBペプチド阻害アッセイの結果を示す図式であり、実施例7において示されている。すべての測定を2回行った。点線は、2.5 μMのEBペプチドによるPR/8の通常阻害を示す。試験された重複HAペプチドについてのアミノ酸残基をX軸に沿って示す。 図9は、さまざまなさらなるA型インフルエンザウイルスを用いたVN/1203 HAタンパク質のアミノ酸374-453のアミノ酸アライメントを示し、実施例7において示されている。陰影および点は、類似(淡影)および同一(濃影)の残基を示す。試験されたインフルエンザウイルスは、下記のとおりであった: A/Vietnam/1203/04 (VN/1203); A/HongKong/486/97 (HK/486); A/HongKong/483/97 (HK/483); A/Singapore/1/57 (SINGAPORE); A/PuertoRico/8/34 (PR/8); A/NewCaledonia/20/99 (NEWCAL); A/swine/Indiana/1726/88 (SWINE IND/88); A/California/04/09 (SWINE CAL/04); A/California/05/09 (SWINE CAL/05); およびA/NewYork/19/09 (SWINE NY/19)。 図10は、モック(PBS-0μM ペプチド) (図10A)処理されるか、または2 μMのDSS (図10B)、10 μMのEBペプチド(図10C)、10 μMのEBXペプチド(図10D)または28 μMの配列番号45ペプチド(図10E)で処理されたPR/8ビリオンの電子顕微鏡からの像であり、実施例8において示されている。図10Aの像は、66,000x (25,000 xでの挿入画像)の倍率で撮られたものであり; 図10Bの像は、53,000x (7,100 xでの挿入画像)の倍率で撮られたものであり; 図10Cの像は、14,000x (5,000 xでの挿入画像)の倍率で撮られたものであり; 図10Dの像は、14,000x (5,600 xでの挿入画像)の倍率で撮られたものであり; そして図10Eの像は、70,000x (5,000 xでの挿入画像)の倍率で撮られたものである。 図11は、ノイラミニダーゼ活性アッセイを示す図表であり、実施例9において示されている。(*)は、p < 0.05を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、一般に、抗ウイルス特性を有するペプチドに関する。より特には、本発明は、インフルエンザウイルスに対する活性を示すペプチド、該ペプチドを含む医薬組成物、およびインフルエンザウイルス感染を予防および/または処置するために該ペプチドを用いる方法に関する。
定義
薬学的に許容される担体: 抗ウイルスペプチドを哺乳類に投与するために許容可能なビヒクルであって、それに含まれる薬学的に活性な抗ウイルスペプチドと反応しないか、もしくはその有効性を減少させない1個またはそれ以上の非毒性賦形剤を含む、ビヒクル。
可溶性タグ: 荷電アミノ酸を含む短いペプチド配列であって、より長い不可溶性ペプチド配列の末端残基に結合すると、水性培地における可溶性を改善し得る、ペプチド配列。ある態様において、可溶性タグの荷電アミノ酸は、専ら正電荷を有するアミノ酸であり、オルニチン、リシンおよびアルギニンを含むがこれらに限定されない。可溶性タグは、2から24アミノ酸長またはそれ以上であり得て、典型的には、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは16アミノ酸長であり得る。可溶性タグは、より長い不可溶性ペプチドの片方の末端または両方の末端に結合し得る。
アミノ酸についての下記の標準的な一文字略称が以下で使用される: アラニン(A)、リシン(K)、ロイシン(L)、プロリン(P)、アルギニン(R)、バリン(V)、グルタミン酸(E)およびアスパラギン酸(D)。本明細書におけるすべてのアミノ酸配列は、標準的な命名法を用いて示され、各配列における一番左側の末端残基はアミノ末端残基で示され、各配列における一番右側の末端残基はカルボキシル末端残基で示される。本明細書に記載されたペプチドのアミノ酸は、レボ(「l」)アミノ酸またはデキストロ(「d」)アミノ酸であり得る。本明細書に記載されたすべてのペプチドは、dアミノ酸からなるペプチド骨格を有し得る。
本発明は、EBの誘導体である新規抗ウイルスペプチドを開示する。EBは、線維芽細胞成長因子に由来する20アミノ酸の抗ウイルスペプチドであり、それは、16個の疎水性アミノ酸を含み、N末端に付加された高荷電テトラペプチド(RRKK)(配列番号17)が可溶性を高めている。EBは、配列RRKKAAVALLPAVLLALLAP(配列番号1)を有する。EBは、以前に、宿主細胞へのウイルス結合を阻害することにより、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を示すことが示されている。Jones, et al., Journal of Virology, (2006) Vol. 80(24), pp. 11960-11967を参照のこと。
本発明において、EBの特定の誘導体がEBの抗ウイルス活性に匹敵する抗ウイルス活性を示すことが見出された。より特には、4個までのアミノ酸が、抗ウイルス活性の顕著な欠損なしにEBペプチドのC末端から除去され得ることが見出された。さらに、8個までのアミノ酸が、抗ウイルス活性の顕著な欠損なしにEBペプチドのN末端から除去され得る(R-R-K-K(配列番号17)可溶性タグを保持しながら)。また、プロリン残基が、抗ウイルス活性の欠損なしに(皆無かそれに近い)、本発明のさまざまな抗ウイルスペプチドから除去され得ることが見出された。他の修飾はまた、本発明の開示の範囲内である。本発明の抗ウイルスペプチドは、典型的には、約12個から約19個の残基を含み、インフルエンザウイルスに対する広域スペクトルな抗ウイルス活性を示す。
EBに由来する例示的な抗ウイルス特性は、下記の表1で示される。配列番号2-5および18-23は、EBペプチド配列に基づくものであるが、個々のアミノ酸(1個から8個のアミノ酸の範囲で)が、R-R-K-K(配列番号17)可溶性タグを保持しながらEBのN-末端または-C末端から除去されている。配列番号30は、R-R-K-K(配列番号17)可溶性タグを保持しながら、EBペプチドから2個のプロリン残基および1個のロイシン残基を除去し、EB配列からの残りのアミノ酸を無作為に再配置することにより得られた。配列番号43は、EB配列から2個のプロリン残基を除去することにより得られた。配列番号32、44および45は、両プロリン残基が除去されていることを除いては、それぞれ配列番号19、21および22と同一である。配列番号49は、RRKK(配列番号17)可溶性タグを保持しながら、配列番号45における残りのアミノ酸残基をアラニン残基で置換することにより得られた。配列番号50および52は、それぞれRまたはRRKがN末端から除去されていることを除いては、配列番号45と同じである。配列番号51は、配列番号45からR、KおよびLを除去することにより得られた。
表1
Figure 2011524373
表1から明らかなとおり、配列番号49を除いて、そこに示された例示的なすべての抗ウイルスペプチドは、ジロイシンリピート領域を含む。すべての特定の理論に拘束されることなく、いくつかの場合においてペプチド中のジロイシンリピート領域の存在がペプチドの抗ウイルス活性に関与し得ると考えられる。
表1で示された配列番号2-5、18-23、30、32および43-49の抗ウイルスペプチドのすべては、疎水性アミノ酸配列に共有的に結合した可溶性タグ(RRKK)(配列番号17)を含む。表1で示されたペプチドに加えて、本発明の抗ウイルスペプチドはまた、それと共有的に結合する他の可溶性タグを含み得る。さらなる例示的な抗ウイルスペプチドが表2で示される。
表2
Figure 2011524373
これらの配列において、X1およびX2は、1個またはそれ以上の荷電アミノ酸残基(例えば、K、R、E、Dなど)から選択され、ここで、各X1および各X2は、同じであるか、または異なる荷電アミノ酸残基であり得て; nは、0または3-10の値を示し、mは、0または3-10の値を示し、mおよびnの両方が0の場合はない。1つの態様において、m=0またはn=0である。上記したとおり、可溶性タグの1つの例は、R-R-K-K(配列番号17)である。好ましい態様において、可溶性タグの荷電アミノ酸残基のすべては、正電荷を有するアミノ酸残基である。
本発明の抗ウイルスペプチドはまた、それらの末端アミノ酸残基に結合したさまざまな反応性タグを有し得る。そのようなタグは、本発明の合成ペプチドの検出および/または除去において有用であり得る。そのようなタグは、例えば、ビオチン、ならびに当分野において既知のすべての他のタグを含み得る。
本発明の抗ウイルスペプチドの誘導体はまた、抗ウイルスペプチドとして有用であり得る。抗ウイルスペプチドの誘導体は、1個またはそれ以上のアミノ酸残基が除去されて、断片を産生しているか、または他のアミノ酸残基で置換されているペプチドを含む。例えば、1個またはそれ以上のプロリン残基が、抗ウイルス活性の欠損なしに本発明のペプチドから除去され得ることが見出された。例えば、配列RRKKVALLAVLLALLAを有する配列番号32は、配列番号19の誘導体である。特に、配列番号32は、配列番号19のペプチドから2個のプロリン残基が除去されたものである。実施例において示されているとおり、配列番号32は、2個のプロリン残基が存在しない場合においてさえ抗ウイルス活性を保持している。同様に、配列番号44および配列番号45は、それぞれ配列番号21および配列番号22の誘導体であり、配列番号43は、EBペプチドの誘導体である。特に、配列番号43、44および45は、それぞれEBペプチドならびに配列番号21および22から2個のプロリン残基が除去されたものである。実施例において示されているとおり、配列番号43-45は、2個のプロリン残基が存在しない場合においてさえ抗ウイルス活性を保持している。これらの結果は、プロリン残基が本発明の抗ウイルスペプチドにおける抗ウイルス活性のために重要ではないものであり得ることを示す。したがって、1つの局面において、本発明は、1個またはそれ以上のプロリン残基がペプチドから除去された抗ウイルスペプチドを開示する。有利には、抗ウイルスペプチドからのプロリン残基の除去は、抗ウイルス活性のその後の欠損なしに、より短い(したがって、より低コストである)抗ウイルスペプチドを産生する。
抗ウイルスペプチドの誘導体はまた、1個またはそれ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で置換されたペプチドを含む。置換は、保存的であってもよいし、配列再配置であってもよい。保存的置換は、当業者に既知であり、類似のまたは同一の電荷、サイズもしくは疎水性のアミノ酸が互いに置換され得る。例えば、リシンおよびアルギニンは、互いに保存的な置換基であり、アスパラギン酸およびグルタミン酸、フェニルアラニン、チロシン、ならびにトリプトファンなども同様である。再配置された配列は、1個またはそれ以上のアミノ酸が本発明のペプチドの配列内でそれらの元の位置から新たな位置に移動された配列である。
本発明の抗ウイルスペプチド断片は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のアミノ酸の欠失を有し得て、置換誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の置換を有し得る。ある態様において、抗ウイルスペプチドの誘導体は、欠失および置換の両方を有し得る。
置換ペプチドまたはペプチド断片は、本発明の範囲内であるために抗ウイルス活性を保持しなければならない。本発明による抗ウイルスペプチドまたはその誘導体は、下記の実施例に記載された方法により抗ウイルス活性について試験され得る。
本発明のペプチドは、ペプチド合成において通常使用される方法、例えば、アミノ酸残基および/またはペプチド断片の古典的な溶液カップリング、所望により、固相技術を組み込んだ工程により製造され得る。当分野において既知であるペプチド合成についてのすべての方法が使用され得て、例えば、Schroeder and Lubkeによる“The Peptides”, Vol. 1, Academic Press, New York, N.Y., pp. 2-128 (1965); “The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology”, (E. Gross et al., Eds.), Academic Press, New York, N.Y., Vol. 1-8, (1979-1987); Stewart and Youngによる“Solid Phase Peptide Synthesis”, 2nd Ed., Pierce Chem. Co., Rockford, Ill. (1984); Wild et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 10537 (1992); およびRimsky et al.によるJ Virol, 72: 986 (1998); Chan & Whiteによる“Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach”, Oxford University Press, (2000)であり得る。
本発明のペプチドは、A型インフルエンザおよびB型インフルエンザのようなさまざまな型のインフルエンザを含む呼吸器ウイルスに対する抗ウイルス活性を示す。有利には、本発明の抗ウイルスペプチドは、季節性インフルエンザ、鳥インフルエンザ(例えば、H5N1株)および豚インフルエンザを含む多くのインフルエンザ株に対する抗ウイルス活性を示す。これらのウイルスによる感染から生じる疾患はまた、本発明の方法のいくつかにより処置され得る。
ウイルス複製に関する本発明の抗ウイルスペプチドの阻害効果を証明する方法は、下記の実施例において示される。そのような方法はまた、当分野において既知である。抗ウイルス剤としての抗ウイルスペプチドの治療効果は、例えばマウスモデルを用いることにより実験動物において示され得る。例えば、Jones, et al., J. Virol, 2006, Vol. 80, No. 24, pp. 11960-11967を参照のこと。さらに、本発明の薬理学的に活性なペプチドの治療効果は、当分野において既知の技術によりヒトにおいて示され得る。
有利には、本発明の抗ウイルスペプチドは、インフルエンザウイルスに対する顕著な抗ウイルス活性を示し得る。本明細書で使用される「顕著な抗ウイルス活性」なる用語は、抗ウイルスペプチドが、ウイルスのモック処理サンプルと比較して少なくとも約50%までウイルス赤血球凝集を阻害することを意味する。特定の態様において、抗ウイルスペプチドは、ウイルスのモック処理サンプルと比較して、少なくとも約60%まで、より好ましくは少なくとも約70%まで、より好ましくは少なくとも約80%まで、より好ましくは少なくとも約90%まで、およびより好ましくは少なくとも約95%までウイルス赤血球凝集を阻害する。
さらに、EBペプチドおよび本発明の抗ウイルスペプチドの両方がインフルエンザウイルスの宿主細胞への接着を阻害し、その結果、ウイルス感染を阻害することが見出された。驚くべきことに、EBおよび本発明の抗ウイルスペプチドのいくつかが異なるメカニズムを介して抗ウイルス活性を示すことが見出された。任意の特定の理論に拘束されることなく、EBペプチドは、インタクトインフルエンザビリオンの凝集を誘導することによりインフルエンザビリオンの宿主細胞への接着を阻害し、その結果、ウイルスが宿主細胞に感染するのを阻害していることが考えられる。対照的に、本発明の抗ウイルスペプチドのいくつかは、殺ウイルス剤であることが見出された。例えば、下記の実施例3および4で示されるとおり、配列番号32は、脂質膜の破壊を介して殺ウイルス活性を有することが示された。
本発明の抗ウイルスペプチドは、該ペプチドを温血動物に、例えば、ヒト、ウマ、他の哺乳類などに、局所的、鼻腔内、または非経口投与で、例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射もしくは皮内注射を介して投与されることにより抗ウイルス剤として使用され得る。抗ウイルスペプチドは、個々に、または組み合わせて使用され得る。さらに、抗ウイルスペプチドは、単独で、またはさらに1個またはそれ以上の薬学的に許容される担体を含む組成物(抗ウイルスペプチドと担体の割合は、該ペプチドの溶解度および化学的性質、選択される投与経路ならびに標準的な生物学的投与により決定される)の一部として投与され得る。本発明のペプチドは、効果を保証するためにウイルスおよび/または細胞の表面上のタンパク質を標的とし得るので、そのような製剤における担体には、該ペプチドに結合するタンパク質が存在しないか、または実質的に存在しない(例えば、90、95、98または99wt%以上)ことが望まれる。
ペプチドを含む組成物についての適当な薬学的に許容される担体は、標準的な医薬の教科書に記載されている。例えば、“Remington's Pharmaceutical Sciences”, 18th Ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa. (1990)を参照のこと。例えば、適当な薬学的に許容される担体は、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびその組み合わせを含むがこれらに限定されない。さらに所望により、組成物は、該組成物の抗ウイルス効果を促進する少量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤を含み得る。
投与経路に依存して、組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、糖衣錠、カプセル、徐放性製剤、粉末、クリーム、ローション、エマルジョンなどの形態を取り得る。
局所投与について、抗ウイルスペプチドは、有効量の抗ウイルスペプチド、典型的には0.01もしくは0.1%から10%の抗ウイルスペプチドを含む組成物に製剤化され得る。そのような組成物は、典型的には、溶液、クリーム。ローションまたはエマルジョンの形態である。本発明の抗ウイルスペプチドは、呼吸器のウイルス感染を処置するために使用され得る。
非経口投与について、本発明の抗ウイルスペプチドは、単独で、またはさらに薬学的に許容される担体を含む組成物で、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内もしくは皮内注射により投与され得る。注射による投与について、滅菌水性ビヒクル中、溶液での抗ウイルスペプチドを使用することが好ましく、それはまた、他の溶質、例えば、緩衝液もしくは保存剤、ならびに溶液を等張にするために十分な量の薬学的に許容される塩もしくはグルコースを含み得る。本発明の抗ウイルスペプチドは、当分野において既知の薬学的に許容される塩の形態で取得され得る。
本発明の抗ウイルスペプチドは、呼吸器ウイルスに対する活性を示したので、該抗ウイルスペプチドはまた、呼吸器系に局所的に、例えば、鼻、副鼻腔、副鼻腔膜もしくは肺に送達され得る。ペプチドまたは1個またはそれ以上のペプチドを含む医薬組成物は、任意の適当な方法で、例えば、口もしくは鼻腔内への吸入により呼吸器系に送達され得る。本発明の組成物は、粉末もしくは液体の経鼻スプレー、懸濁液、点鼻薬、ゲルもしくは軟膏として調剤され、チューブもしくはカテーテルを介して、シリンジで、パックテール(packtail)で、綿撒糸で、または粘膜下注入によって投与され得る。ペプチドは、便利には、加圧型パック(pressurized pack)またはネブライザーおよび適当なプロペラント(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンもしくは二酸化炭素であるがこれらに限定されない)を用いて、エアロゾルスプレーの形態で送達され得る。加圧型エアロゾルの場合において、用量単位は、バルブを用いてメーター量を送達することにより制御され得る。例えば吸入剤もしくは吸入器における使用のためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、ペプチドおよびラクトースもしくはスターチのような適当な粉末塩基の粉末混合物を含むように製剤化され得る。経鼻製剤および投与方法の例は、PCT国際公開WO 01/41782、WO 00/33813、ならびに米国特許第6,180,603号; 第6,313,093号; および第5,624,898号において見出され得る。後者で引用された米国特許は、あらゆる目的のために引用により本明細書の一部とする。エアロゾル製剤についての推進剤は、圧縮空気、窒素、二酸化炭素または炭化水素に基づく低沸点溶媒を含み得る。本発明の1個のペプチドもしくは複数のペプチドは、便利には、ネブライザーなどからエアロゾル製剤の形態で送達され得る。ある局面において、有効成分(すなわち、ペプチド)は、乾燥粉末製剤の投与時に実質的にすべての有効成分の肺への吸入を可能にするように適当に微粉化され、したがって、有効成分は、100ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、好ましくは1から10ミクロンの間の粒子サイズを有し得る。1つの態様において、1個またはそれ以上の抗ウイルスペプチドがデバイスに封入され、それは、吸入、例えば、経鼻スプレーもしくは吸入器により既定かつ一般的に有効な量のペプチドを送達し得る。
1つのペプチドまたは複数のペプチドの最適濃度は、必然的に、使用される特定のペプチド、患者の特徴、および処置が求められるウイルス感染の性質に依存し得る。これらの要因は、本発明の開示の観点で、医療および医薬の分野における当業者により決定され得る。一般に、抗ウイルスペプチドは、すべての害になるか、もしくは有害な副作用を引き起こすことなく、選択されたウイルスに対して一般に有効な抗ウイルス結果を与える濃度レベルで投与されるのが最も好ましい。一般に、有効量の抗ウイルスペプチドが望ましい。有効量は、処置前の症状の状態と比較して、ある程度の症状の軽減を生じるペプチドの量を意味するか、またはペプチドの投与後の症状の重症化を予防もしくはその重篤度を緩和するのに有効な量を意味する。特定の投与量は、疾患の状態、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、対象の食事、投与間隔、投与経路、排出速度および薬剤の組み合わせに依存して調整され得る。有効量を含む上記投与形態のすべては、通常の実験の範囲内であり、したがって、本発明の開示の範囲内である。治療上有効量は、投与経路および投与形態に依存して変わり得る。
本明細書に記載された処置に対する参照は、予防ならびに確立された感染もしくは症状の処置にまで拡張されることが当業者により容易に理解され得る。
インフルエンザの処置または予防において有用な本発明の抗ウイルスペプチドの量は、選択される特定のペプチド、ならびに投与経路、処置される状態の性質、ならびに患者の年齢および状態に依存して変わり得て、最終的には、指導医または獣医の裁量によるものであることが当業者により容易に理解され得る。しかしながら、一般に、適当な投与量は、1日あたり約0.01から750 mg/kg体重、好ましくは0.1から100 mg/kg/日の範囲で、最も好ましくは0.5から25 mg/kg/日の範囲であり得る。
本発明のペプチドは、治療的にまたは予防的に投与され得る。処置は、好ましくは、感染前もしくは感染時に、または哺乳類がウイルス呼吸器感染を引き起こすことが可能なウイルスに曝露されると同時に開始され、ウイルスがもはや呼吸器に存在しないか、またはその活性がなくなるまで継続される。しかしながら、処置はまた、感染後、哺乳類がウイルス呼吸器感染を引き起こすことが可能なウイルスに曝露された後、または確立された感染の症状の発現後に開始され得る。
適当な処置は、1日に1-4回、3-10日間継続して、典型的には、感染後8日間行われる。
望まれる投与量は、単回投与で、または適当な間隔で投与される分割投与として、例えば、1日あたり2回、3回、4回もしくはそれ以上の分割投与で提供され得る。
ペプチドは、便利には、例えば単位用量形あたり10mgから1500mg、便利には、20mgから1000mg、最も便利には、50mgから700mgの有効成分を含む単位用量形で投与され得る(例えば、1mg/kgは、75mg/75kg体重と同じである)。
本発明のペプチドはまた、薬学的に許容される塩として提供され得る。「薬学的に許容される塩」は、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸、塩基性アミノ酸もしくは酸性アミノ酸を有する塩を含む。無機塩基の塩として、本発明は、例えば、ナトリウムもしくはカリウムのようなアルカリ金属; カルシウムおよびマグネシウムもしくはアルミニウムのようなアルカリ土類金属; ならびにアンモニアを含む。有機塩基の塩として、本発明は、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを含む。無機酸の塩として、本発明は、例えば、塩酸、ヒドロホウ酸(hydroboric acid)、硝酸、硫酸およびリン酸を含む。有機酸の塩として、本発明は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸を含む。塩基性アミノ酸の塩として、本発明は、例えば、アルギニン、リシンおよびオルニチンを含む。酸性アミノ酸は、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。
本発明はさらに、下記の例示的な実施例において記載されている。他に記載がなければ、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明の分野における当業者により通常示されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似のもしくは同一のすべての方法および材料が本発明の実施において使用され得るが、好ましい方法および材料が記載されている。他に記載がなければ、本明細書において使用されるか、もしくは意図される技術は、当業者に既知の標準的な方法である。材料、方法および実施例は、例示目的であり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中に引用されたすべての参照は、引用により本明細書の一部とする。
本明細書において詳細に記載されたとおり、修飾および変形は、添付の特許請求の範囲において定義された本発明の範囲から離れることなく可能であることは明らかである。
下記の非限定的な実施例は、本発明をさらに例示するために提供される。
試験方法
細胞培養およびウイルス: A/PuertoRico/8/34 (PR/8, H1N1)およびA/Turkey/Wisconsin/68 (Tk/Wi H5N1)を、37℃で48時間、10日齢の特定の無病原体孵化鶏卵(Sunnyside Farms, Beaver Dam, WI)において増殖させた。尿膜腔液を回収し、浄化のために遠心分離し、30-60%不連続スクロース勾配にかけることによりウイルスを精製した。SW28ローター遠心機を用いて、26,000 rpmで90分間、ウイルス層を30-60%インターフェースから抽出し、さらに26,000 rpmで60分間の超遠心分離により沈殿させた。また、PR/8をメイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK, ATCC, Manassas, VA)細胞において増殖させ、培養物上清を感染の48から72時間後(hpi)に回収し、浄化のために遠心分離し、-70℃で保存した。ウイルス力価をMDCK細胞における50%組織培養感染量(TCID50)解析により決定し、Reed and Muench, Am. J. Hyg., Vol. 27, pp. 493-497 (1938)に記載されたとおりに評価した。MDCK細胞を、4.5 g/l グルコース、2 mM グルタミンおよび10% ウシ胎児血清(FBS, Gemini Bio-Products, West Sacramento, CA)を補充した変法イーグル培地(MEM, CellGro, Herndon, VA)中、37℃、5.5% CO2下で培養した。A/Vietnam/1203/04 (H5N1)由来の組み換えヘマグルチニン(HA)をProtein Sciences (Meriden, CT)から購入した。
ウイルスヘマグルチニンの精製: ウイルス関連ヘマグルチニン(HA)を、Johansson, et al., Journal of Virology, 1989, Vol. 63(3), p. 1239-1246に記載されたとおり(いくらかの修飾は伴う)、Tk/WiおよびPR/8インフルエンザウイルス粒子から精製した。要約すると、上記したとおり、ウイルスを感染鶏卵の尿膜腔液から回収し、スクロースにより精製した。沈殿物を0.5 mLの酢酸ナトリウム緩衝液(0.05 M 酢酸ナトリウム、2 mM CaCl2、0.2 mM EDTA、pHを7.0に(pH to 7.0))に再懸濁し、18-標準規格注射針を介して均質化し、等量の酢酸ナトリウム緩衝液中、15% オクチルグルコシド(オクチル-β-d-チオグルコシド; Fisher Scientific, Norcross, GA)と混合し、その後、5分間、激しくボルテックスにかけた。この懸濁液を、4℃で60分間、18,400 x gで遠心分離し、上清を注意深く取り除き、HA-リッチ画分として保存した。2% 水性臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB, Bio-World, Dublin, OH)を0.1% CTABの最終濃度までHA画分に加えて、前もって膨張させて0.1% オクチルグルコシドを含む0.05 M Tris-塩酸塩(pH 7.5)で平衡化したDEAE-Sephadex (A-50; GE Healthcare, Uppsala, Sweden)イオン交換カラム(bed, 0.7 cm x 6.0 cm)にサンプルをアプライした。Twenty 0.5 mL画分を、低塩HA溶出緩衝液(0.05 M TrisHCl、0.1 M NaCl、0.1% Triton X-100、pH 7.5まで)および再び高塩HA溶出緩衝液(0.05 M TrisHCl、0.2 M NaCl、0.1% Triton X-100、pH 7.5まで)を用いた重力(gravity)により回収した。個々の画分をHA活性についてアッセイし、非還元条件下でのSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、その後のコロイダルクマシーを用いた染色により純度について解析した。製造者(Pierce, Rockford, IL)の指示にしたがって、BCAアッセイによりタンパク質濃度を決定した。濃縮化HAを必要とする実験のために、真空下、30℃で1.5時間、画分を遠心分離し、プールし、0.01% Tween-20 (PBST)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して、4℃で12時間、透析した。再び、濃縮化HAを活性およびタンパク質濃度について試験した。
ペプチド合成: ペプチドの合成および解析を、固相法を用いてEZBiolab, Inc. (Westfield, IN)により行った。最初に、EBペプチドの非HPLC精製化切断物のライブラリーを、96ウェルプレート様式を用いて合成した。合成したペプチド(EBを含む)を表3に示す。抗ウイルス活性を有するすべてのペプチドおよびいくつかのネガティブコントロールをより大規模に合成し、純度が90%を満たすか、またはそれを超えるようにHPLCにより精製した。さらなる試験のために選択されたペプチドは、EB、配列スクランブル化コントロール(EBX)およびEBの切断型である16アミノ酸ペプチド(両方のプロリン残基が除去されている(配列番号32))を含む。
プラーク減少アッセイ: 6ウェル組織培養皿内のMDCK細胞(5.5 x 105 細胞/ウェル)をPBSで洗浄し、0 μMから30 μMの濃度のペプチドで前処理したPR/8ウイルス(MOI 0.005)と共に、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーションの1時間後、単層を洗浄し、2x L-15 (Lonza, Walkerville, MD)、40 mM Hepes、0.15%重炭酸ナトリウム、2 mM L-グルタミン、1x ペニシリン/ストレプトマイシンを含む培地で1:1に希釈した1.6% SeaKem LE アガロース(Cambrex, Rockland ME)を入れて、37℃で72時間インキュベートした。次いで、培地(Overlays)を注意深く取り除き、10% ホルマリンで固定し、クリスタルバイオレットで染色した。
沈降密度プロファイル: PR/8ウイルス(512 HA単位)を、37℃で1時間、0 μM (モック)、10 μMまたは30 μMの濃度のペプチドで処理し、連続した20-60%スクロース勾配に層状化させた。Beckman SW-41を用いて、サンプルを18,000 rpmで90分間の超遠心分離にかけた。サンプル(500 μL)を試験管の底から回収し、7 μLの各画分をニトロセルロースにスポットし、0.1% Tween-20 (TTBS)を含むTris-緩衝生理食塩水中、3%ミルクでブロックし、ヤギ抗ヘマグルチニン血清(TTBS中、1:1000)を用いて室温で1時間、その後のロバ抗ヤギIgG (1:2000, Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)で探索した。免疫複合体を増強化化学発光(enhanced chemiluminescence) (Pierce, Rockford, IL)により検出した。Bausch and Lomb 334610 Refractometer (Rochester, NY)を用いて屈折率を測定することにより、各スクロース画分の密度を決定した。
電子顕微鏡: 精製化PR/8ウイルス(512 HA単位)を、37℃で1時間、PBS単独(モック)または10 μMの異なるペプチドで処理した。サンプルを、23℃で5分間、ポリ-L-リシン被覆グリッドに吸着させた。該グリッドをPBSで洗浄し、pH 6に調整した水中、2% リンタングステン酸(PTA)で染色し、空気乾燥させた。あるいは、前もってウイルスをグリッドに吸着させ、その後、ペプチドで処理した。5 μlのPBS中、全部で4 × 109 PFUの精製化PR/8/mlを、23℃で5分間、被覆グリッドにアプライし、該グリッドを、25 mM HEPESを含有する無血清DMEM緩衝液(pH 7.4)で1回洗浄し、同じ培地で試験される15 μlの5 mM ペプチドを用いて、37℃で30分間処理した。使用前にNaOHを用いて、ペプチドの高濃縮溶液のpHを7.4まで再調整した。ペプチド含有溶液の蒸発を防ぐために、各グリッドをHiraokaフレキシブル染色プレートで行い、0.5-ml ポリプロピレン微小遠心管から作製された小型ベルジャー(15 μlがグリッドの被覆表面に面するベルジャーの半分を満たす程十分に小さい)で被覆した。次いで、全構築物を、37℃で30分間、湿潤チャンバーでインキュベートした。処理後、グリッドをDMEMで2回、PBSで1回洗浄し、その後、それらをPTAで染色し、乾燥させた。JEOL JEM-1200EX電子顕微鏡を用いて、グリッドを×15,000および×40,000の倍率で調べた。
ヘマグルチニン(HA)アッセイ: Jones, et al., Journal of Virology, 80(24):11960-11967 (2006)に記載されたとおり、ニワトリ赤血球細胞(cRBC, Lampire Biological Laboratories, Pipersville, PA)の赤血球凝集反応を、PBSを用いてウイルスサンプルの2倍希釈物を調製することにより丸底96ウェルマイクロタイタープレートで行った。力価を、50 μL (HAU/50 μL)のサンプルあたりの赤血球凝集単位として示した。
ヘモグロビン放出アッセイ: Cianci, et al., Journal of Virology, 73(3):1785-94 (1999)に記載されたとおり(わずかな修飾は存在する)、赤血球細胞(RBC)脂質膜を破壊するペプチドの能力を、ヘモグロビンの放出を測定することにより評価した。要約すると、0.5% cRBC溶液の100 μLアリコートを、37℃で1時間、0 μMから30 μMの濃度のペプチドで処理した。サンプルを、600 x gで3分間回転させ、上清を透明な平底96ウェルプレートに移した。SpectraMax 250分光光度計(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて、540 nmの波長での吸光度を測定した。
トリプシン保護アッセイ: Cianci, et al., Journal of Virology, 73(3):1785-94 (1999)に記載されたとおり、ペプチドの存在または非存在下における精製化ビリオンHAを立体構造誘導化トリプシン感受性についてアッセイした。要約すると、精製化HA (10 μg)を、37℃で1時間、0 (モック)、10または30 μM ペプチドで処理するか、またはポジティブコントロールとして、37℃で15分間、0.25 M クエン酸ナトリウム(pH 4.2)で酸性化させ、次いで0.25 Tris-HCl (pH 9.0)で中和させた。TPCK-トリプシン(5 μg, Sigma Immunochemicals, St. Louis, MO)をすべてのサンプルに加えて、該サンプルを、37℃で1時間インキュベートし、SDS-PAGEで還元した。ゲルをProteo-Blueコロイダルクマシー(National Diagnostics, Atlanta, GA)で染色し、HAのHA1 (56 kD)サブユニットの消化を立体構造遷移の肯定的証拠として用いた。
EB阻害アッセイ: A/Vietnam/1203/2004 H5N1インフルエンザウイルス(VN/1203) HAペプチドを、NIH Biodefense and Emerging Infections Research Resources Repository (NR-2704, NIAID, NIH)から入手した。要約すると、0、3、7.5または15 μMのHAペプチドを、37℃、2.5 μM EBの存在または非存在下でインキュベートした。1時間後、PR/8ウイルス(64 HAU)またはPBSを各反応物に加えて、該反応物を、37℃で1時間インキュベートした。PR/8ウイルスの赤血球凝集活性を上記したとおりに行った。赤血球凝集活性は、VN/1203ペプチド単独について検出されなかった。
統計学的解析: すべてのデータは、トリプリケートで行われ、少なくとも3回の別々の実験を代表するものである。結果は、トリプリケート実験の平均 ± 標準偏差を示す。分散分析(ANOVA)またはスチューデントt-検定を用いて、データの統計学的な有意性を決定した。
実施例1
本実施例において、EBペプチドの誘導体を抗インフルエンザウイルス活性についてスクリーニングした。
上記したとおり、個々のアミノ酸をコンセンサスEBペプチド(配列番号1)のN-もしくはC-末端から除去し、一連の切断型EBペプチドを作製した。各ペプチドについて、N末端RRKK (配列番号17)テトラペプチドは、可溶性のために維持された。また、プロリン残基を含まないEBペプチドを合成した。生じたペプチドは、下記の配列を有していた: RRKKAAVALLAVLLALLA (配列番号43)。また、EBペプチド配列を構成するアミノ酸にスクランブルをかけた20アミノ酸のコントロールペプチドEBXを合成した。EBXは、下記の配列を有していた: RRKKLAALPLVLAAPLAVLA (配列番号31)。また、2個のプロリン残基および1個のロイシン残基を有さないEBXペプチド(配列番号30)を合成した。また、配列番号19で示されるプロリン残基を有さない切断型ペプチドを合成した。生じたペプチドは、下記の配列を有していた: RRKKVALLAVLLALLA (配列番号32)。また、配列番号21で示されるプロリン残基を有さない切断型ペプチドを合成した。生じたペプチドは、下記の配列を有していた: RRKKLLAVLLALLA (配列番号44)。また、配列番号22で示されるプロリン残基を有さない切断型ペプチドを合成した。生じたペプチドは、下記の配列を有していた: RRKKLAVLLALLA (配列番号45)。評価された各ペプチドの配列を表3に示す。
ウイルス赤血球凝集を阻害するする能力について各ペプチドをスクリーニングした。上記のとおり作製された精製化PR/8ウイルス(64 HAU/50 μL)を、37℃で1時間、PBS単独(モック)または10 μMの表3に示された各ペプチドで処理し、2倍希釈物を、室温で1時間、cRBCでインキュベートした。凝集した最後のウェルの希釈率の逆数(reciprocal dilution)をHA力価であると決定し、この値をモック処理サンプル(100%の赤血球凝集)と比較した。結果を表3に示す。
また、上記の方法を用いて、0.1 μM、0.5 μM、1.0 μM、5.0 μMおよび10 μMのペプチド濃度を用いたHA阻害アッセイにより、活性ペプチドの50%有効濃度(EC50)を決定した。結果を表3に示す。
表3
Figure 2011524373
Figure 2011524373
a精製化A/PR/8/34の64 HA単位の赤血球凝集を阻害する能力について、10 μMの各ペプチドをスクリーニングした。結果は、2-4回の独立したスクリーニングを示す。
bウイルスのモック処理サンプルの赤血球凝集能単位(64 HAU)を100%として示し、すべての値をこれに対して標準化し、%阻害として示した。結果は、2-4回の独立したスクリーニングを示す。
c精製化PR/8の64 HA単位の赤血球凝集を阻害する能力について、0.1-10 μMの各ペプチドをアッセイした。用量応答曲線からEC50値を概算した。結果は、少なくとも4回の独立した試験を示す。
表3から明らかなとおり、C末端からの最大4個のアミノ酸は、抗ウイルス活性の欠損なしにEBペプチドから除去され得る。対照的に、RRKK (配列番号17)可溶性タグを除いて8個までのアミノ酸が、抗ウイルス活性の顕著な欠損なしにEBペプチドのN末端から除去され得る。全部で14個の活性なEB切断ペプチド(すなわち、配列番号2-5、18-23、32および43-45)が同定された。活性なEB切断ペプチドは、12個から19個のアミノ酸を含んでおり、顕著なHAの阻害活性(すなわち、モック処理と比較して89%またはそれ以上)を維持していた。さらに、EBペプチドの11位および20位に位置するプロリン残基は、下記の実施例2-5および配列番号43(95 ± 2%阻害)から明らかなとおり、抗ウイルス活性のために必要ではなかった。同様に、配列番号21および22からの2個のプロリン残基は、抗ウイルス活性のために必要ではなく、これは、配列番号44および45が顕著な阻害(各々、95 ± 2%阻害および94 ± 0%阻害)を示したことにより裏付けられる。RRKK (配列番号17)テトラペプチドは、抗ウイルス活性を示さなかった。
全長EBペプチドは、2.6 μMのEC50値を示した。EBのC末端から3個のアミノ酸が除去された切断型ペプチド配列番号4、EBのC末端から4個のアミノ酸が除去された配列番号5、およびEBのN末端から8個のアミノ酸が除去された配列番号23は、全長EBと比較してわずかに高いEC50値を示した。驚くべきことに、C末端プロリン(配列番号2)またはプロリンとアラニン(配列番号3)またはEBのN末端におけるRRKK可溶性モチーフ後の最初の5個のアミノ酸のいずれか(配列番号18-22)の除去は、極めて低いEC50値(0.5-0.9 μM, p<)を生じた。さらに、配列番号19からの両方のプロリン残基の除去は、表3(配列番号32)および図6から明らかなとおり、抗ウイルス活性の欠損を生じなかった。
実施例2
本実施例において、配列番号32で示される切断型EBペプチドの抗ウイルス活性をさらに特徴づけた。
最初に、配列番号32(RRKKVALLAVLLALLA)で示される切断型ペプチドを、上記したとおりに合成した。毒性および抗ウイルス活性について、全長EBペプチド(配列番号1)、EBX (配列番号31)および配列番号32を試験した。
EBおよび切断型ペプチド配列番号32の毒性効果を図1Aに示す。MDCKをモック(0 μMペプチド)処理するか、または漸増濃度(すなわち、5 μM、10 μM、20 μM、30 μM、50 μMおよび75 μM)のEBまたは配列番号32ペプチドで処理し、感染後24時間での細胞死を細胞毒性アッセイ(Promegaから入手可能なCellTiter 96(登録商標) AQueous One Solution Cell Proliferation Assay、カタログ番号G3580)により決定した。サンプルをモック処理細胞と比較して標準化した。図1Aから明らかなとおり、全長EBペプチド(配列番号1)は、MDCK細胞に対する限定的な毒性を示した。対照的に、配列番号32は、顕著な毒性を示し、75 μMペプチドを用いた場合に細胞生存率を20%まで減少させた。
抗ウイルス活性を測定するために、上記したとおり、PR/8ウイルス(MOI 0.005)を、0 μM、0.5 μM、1.0 μM、5.0 μM、10.0 μMまたは30 μMの濃度のEB、EBX (配列番号31)または配列番号32で処理し、MDCK細胞についてプラークアッセイを行った。また、いずれのウイルスでも処理されていない(モック)MDCK細胞について、コントロールアッセイを行った。感染3日後のクリスタルバイオレット染色単層からプラークを数えた。結果を図1Bに示す。
PR/8ウイルス感染細胞は、約218プラーク形成単位(pfu)/mLを示した。スクランブルコントロールペプチドEBXでの処理は、プラーク形態またはその数に影響を与えなかった。対照的に、全長EBペプチド(配列番号1)は、用量依存的な方法でプラーク形成を阻害し、5 μMまたはそれ以上の濃度で約92%のプラーク減少を示した。配列番号32で示される切断型ペプチドは、全長EBと比較してより明確に活性であり、0.5 μMでウイルス単独の約85%まで、および1 μMで約85%まで、ウイルス産生を減少させた。モック感染細胞は、インタクトであり、プラーク形成を示さなかった。これらのデータは、配列番号32で示される切断型ペプチドが、全長EBペプチドよりも効率的に、細胞におけるインフルエンザウイルス複製を阻害することを示した。
実施例3
本実施例において、インフルエンザビリオンのEB仲介凝集を介してインフルエンザウイルスの宿主細胞への接着を阻害するEBペプチドの能力を評価した。
潜在的なペプチド誘導ウイルス凝集を単離するために、密度勾配超遠心分離を使用した。上記したとおり、PR/8ウイルスを、37℃で1時間、0 μM、10 μMまたは30 μMのEB (配列番号1)、配列番号32で示される切断型ペプチドまたはスクランブルEBXペプチド(配列番号31)で処理し、連続した20-60%スクロース勾配に層状化させた。18,000 rpmで90分間の遠心分離後、0.5 mLの画分を回収し、ニトロセルロースにスポットし、イムノブロットによりHAを探索し、密度測定法によりHAレベルを定量した。さらに、各画分のHA活性を決定した。結果を図2に示す。図2B-2Fについて、イムノブロットにより決定された各画分中のHA抗原の存在を第1Y軸上の(○)で示し、各画分のHA活性を第2Y軸上の(□)で示す。結果は、3回の独立した実験を代表したものである。
図2Aは、各勾配の密度を示す。PR/8ウイルス単独は、1.14 g/cm3の密度を有する約30%スクロースを含む画分に存在した。これらの画分はまた、HA活性を含んでおり、これは、PBS (0 μMペプチド)で処理されたウイルスについての結果を示す図2Bから明らかなとおり、精製化ウイルスが活性であることを示す。同様の結果は、PR/8ウイルスを10 μMまたは30 μMのEBXペプチドで前処理した場合に見出された(10 μM 処理については図2Eを、30 μM EBX処理については図2Fを参照のこと)。対照的に、10 μM EBペプチドでの前処理は、図2Cから明らかなとおり、20%から45%スクロース画分までのHA抗原の位置の遷移を生じた。30 μM EBペプチドでの前処理(図2Dを参照のこと)は、より劇的なHA抗原の遷移を生じ、41-53%スクロースに局在し、ウイルス抗原の多くは1.20 g/cm3の密度で検出された。より重要なことは、HA活性が、ウイルス単独の場合と比較してEBペプチド処理サンプルにおいてかなり低く、これは、凝集体がcRBCに結合するそれらの能力を減少させたことを示す。さらに、配列番号32で示されるペプチドで処理されたウイルスの沈降プロファイルは、ウイルス単独の場合と類似している(データは、示していない)が、HAを含む画分は検出可能なHA活性を示さず、これは、抗ウイルス活性の異なるメカニズムを示す。
ペプチド誘導ウイルス凝集を確認するために、上記したとおり、精製化PR/8ウイルス(512 HA単位)を、37℃で1時間、PBS(モック)または10 μMのEB、EBXまたは配列番号32で処理し、電子顕微鏡により解析した。結果を図3に示す。
モック処理(図3A)およびコントロールEBXペプチド処理サンプル(図3D)において、個々のビリオンは、散発的な凝集体は観察されたが(約2から4ビリオン)、視野にわたって均一に散らばっていた。対照的に、全長EBペプチドで処理されたほぼすべてのビリオンは、25から100個の個々のウイルス粒子の巨大なクラスターで見出され、これは、EBペプチドがインフルエンザウイルスを凝集化していることを確認している(図3B)。驚くべきことに、図3Cから明らかなとおり、配列番号32で処理されたPR/8ウイルスはまた、巨大な凝集体で見出され、いずれの視野においても個々のビリオンはほとんど観察されなかった。しかしながら、EBペプチド処理ウイルスとは対照的に、配列番号32で処理したビリオンは、構造的な統合性における重篤な変化を示し、膜が破壊され、凝集体内でインタクトなウイルス粒子はほとんど存在しなかった。任意の理論に拘束されることなく、配列番号32のペプチドは、脂質膜を破壊することにより殺ウイルス作用を示すものと考えられる。
実施例4
本実施例において、脂質膜の破壊を介した配列番号32ペプチドの殺ウイルス活性を確認した。
上記したとおり、cRBCの0.5%溶液を、0 μM、1 μM、5 μM、10 μMもしくは30 μMのEB、EBXまたは配列番号32のペプチドで処理し、脂質膜を傷つけるペプチドの能力をヘモグロビンの上清への放出により測定した。溶解のためのポジティブコントロールとして、細胞を0.1% SDSで処理した。結果を図4に示す。結果は、3回の独立した実験の平均を示す。
図4から明らかなとおり、PBS単独ならびにEBおよびEBXペプチドは、いずれの濃度においてもcRBC膜統合性に影響を与えなかった。一方で、配列番号32のペプチドでの前処理は、5 μMを超える濃度でヘモグロビン放出を誘導し、SDS処理コントロールサンプルと比較して、10 μMおよび30 μMでそれぞれ71%および100%の溶解を達成した。
これらの結果は、EBがインフルエンザウイルスを凝集するが、これらのクラスター内でビリオン構造はインタクトのままであることを確認している。対照的に、配列番号32のペプチドでの処理は、構造的に破壊されたビリオンの凝集体を誘導する。脂質膜を破壊する配列番号32の能力は、ビリオン破壊の原因であり得て、これは、配列番号32のペプチドが殺ウイルス性、すなわち、全長EBペプチドとは異なるメカニズムであり得ることを示す。
実施例5
本実施例において、EBがインフルエンザウイルス凝集を誘導するメカニズムを評価した。特に、EBとHAの相互作用がHAの立体構造変化を誘導し、隣接するビリオン膜へのHA挿入およびウイルス凝集を生じるか否かを試験するために、上記したとおり、トリプシン保護アッセイを行った。
その天然の立体構造において、HAタンパク質は、タンパク質分解性消化に耐性である。低pH条件下で生じるような立体構造変化を受けるように誘導されると、HAの一方または両方のサブユニットは、トリプシンにより切断され得る。
上記したとおり、精製化ビリオンHA (Tk/Wi H5N1)をPBSでインキュベートし、10 μMもしくは30 μMの濃度のEB、EBXまたは配列番号32で前処理するか、または融合立体構造変化を誘導するようにpH 5.0まで酸性化した(ポジティブコントロール)。次いで、すべてのサンプルを、37℃で1時間、5 μg TPCK-トリプシンで処理し、SDS-PAGEで還元し、クマシー染色によりHA消化を視覚化した。結果を図5に示す。
図5から明らかなとおり、50 kDaのHA1サブユニットは、酸性化されると、トリプシンにより完全に消化された(レーン3)。対照的に、EB (レーン4および5)、EBX (レーン8および9)ならびに配列番号32 (レーン6および7)ペプチド処理HAは、トリプシンの存在下/非存在下でのPBS(各々、レーン1および2)処理HAと同様にトリプシン耐性のままであった。これは、ペプチドが酸性化と同様のHAにおける主要な立体構造変化を誘導しないことを示す。
実施例6
本実施例において、実施例1で示されたとおりインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を保持したEBの最少配列誘導体である配列番号22のペプチドにさまざまな修飾を施し、生じたペプチドを抗インフルエンザウイルス活性についてスクリーニングした。各ペプチドの配列を表4に示す。
HA力価を10 μMのEBペプチドで処理されたウイルス(100%阻害であると考えられる)と比較することを除いては実施例1に記載された技術を用いて、ウイルス赤血球凝集を阻害する能力について各ペプチドをスクリーニングした。また、EB、配列番号22およびEBXペプチドをコントロールとして試験した。結果を表4に示す。また、試験方法に示された手順を用いて、いくつかのペプチドについて赤血球凝集アッセイを行った。結果を図7に示す。
また、上記したいくつかの活性ペプチドについてEC50値を決定した。結果を表4に示す。
表4
Figure 2011524373
aウイルスのEB処理サンプル(10 μM EB)の赤血球凝集能単位(64 HAU)を100%として示し、すべての値をこれに対して標準化し、%阻害として示した。結果は、2-4回の独立したスクリーニングを示す。
表4から明らかなとおり、誘導体配列番号45および49-51は、抗ウイルス活性を示し、配列番号45は、配列番号22およびEBペプチドの阻害に匹敵する阻害(すなわち、EB処理と比較して100%の阻害)を示した。これらの結果は、配列番号22における2個のプロリン残基は、抗ウイルス活性において重要ではないことを示す。さらに、RRKK (配列番号17)可溶性タグを除く配列番号45におけるすべの残基をアラニンに置換すると、活性レベルにおけるわずかな減少(すなわち、EB処理と比較して87.5%の阻害)を生じた。これらの結果は、配列番号45および開示された本発明の他の抗ウイルスペプチドにおけるジロイシンリピートは、抗ウイルス活性を与えることに関与し得ることを示す。
図7から明らかなとおり、配列番号22についてのウイルス赤血球凝集活性は、10 μMの濃度で、EBペプチドについてのそれと同じであった。また、10 μMの濃度で、配列番号49、50および51についてのより低い程度の活性を検出した。
実施例7
本実施例において、EBペプチドおよびその誘導体が細胞へのウイルス接着を阻害するために結合するヘマグルチニン(HA)タンパク質の領域を同定した。
試験方法の項において記載されたとおり、EB阻害アッセイを行った。要約すると、1 μM、3 μM、7.5 μMまたは15 μMの濃度のさまざまな重複VN/1203 HAペプチド(NIH Biodefense and Engineering Infectious Research Resources Repository (NR-2704, NIAID, NIH)から入手可能である)を、37℃で1時間、2.5 μMのEBペプチド(配列番号1)の存在下または非存在下でインキュベートした。次いで、PR/8ウイルス(64 HAU)を各反応物に加えて、37℃でさらに1時間、反応物をインキュベートした。各反応物の2倍希釈物を、室温で45分間、0.5% cRBCと共にインキュベートした。すべての測定を2回行った。
結果を図8に示す。点線は、2.5 μMのEBペプチドによるPR/8の通常阻害を示す。試験された重複HAペプチドについてのアミノ酸残基をX軸に沿って示す。これらの結果から明らかなとおり、アミノ酸374-453にわたるHAペプチドは、EBの抗ウイルス活性を競合的に阻害した。任意の特定の理論に拘束されることなく、これらのHAペプチドは、EBペプチドに直接結合し、その結果、HAに結合するEBペプチドの能力を妨害することが考えられる。
VN/1203 HAタンパク質のアミノ酸374-453にわたるHAペプチドを、さらなるA型インフルエンザウイルスからのさまざまな配列と比較した。結果を図9に示す。陰影および点は、類似(淡影)および同一(濃影)の残基を示す。これらの結果から明らかなとおり、VN/1203 HAタンパク質のアミノ酸374-453にわたるHAペプチドは、季節性インフルエンザ株、鳥インフルエンザ株および豚インフルエンザ(H1N1)ウイルスを含む他のA型インフルエンザウイルス間で高度に保存されている。これらの結果は、本発明の抗ウイルスペプチドが鳥インフルエンザ、季節性インフルエンザおよび豚インフルエンザを含むさまざまなインフルエンザ株に対する抗ウイルス活性を示し得ることを示す。
実施例8
本実施例において、インフルエンザビリオンのペプチド仲介凝集を介してインフルエンザウイルスの宿主細胞への接着を阻害する配列番号45のペプチドの能力を評価した。
最初に、上記したとおり、精製化PR/8ウイルス(512 HA単位)を、37℃で1時間、PBS (モック)または2 mMのスべリン酸ジスクシンイミジル(DSS) (凝集誘導のためのポジティブコントロール)、または10 μMのEBもしくはEBX、または28 μMの配列番号45で処理し、電子顕微鏡により解析した。結果は、2から4回の独立した試験の代表である。結果を表10に示す。
モック処理(図10A)およびコントロールEBXペプチド処理サンプル(図10D)において、個々のビリオンは、散発的な凝集体は観察されたが、視野にわたって均一に散らばっていた。対照的に、全長EBペプチドで処理されたほぼすべてのビリオンは、個々のウイルス粒子の巨大なクラスターで見出され、これは、EBペプチドがインフルエンザウイルスを凝集化していることを確認している(図10C)。それぞれ図10Eおよび10Bから明らかなとおり、配列番号45およびDSSで処理されたPR/8ウイルスはまた、巨大な凝集体で見出され、いずれの視野においても個々のビリオンはほとんど観察されなかった。
実施例9
本実施例において、EBがインフルエンザウイルス凝集を誘導するメカニズムを評価した。
ノイラミニダーゼ(NA)阻害は、細胞表面における出芽ウイルスの凝集を減少させることに加えて、溶液中のビリオンの凝集を減少させることに関与していた。EB誘導ウイルス凝集がNA阻害の結果であるか否かを試験するために、ノイラミニダーゼ活性アッセイを行った。
PR/8ウイルス(64 HAU)を、37℃で1時間、モック(0 μMペプチド)処理するか、または1 μM、5 μM、10 μMまたは30 μMのEBペプチドで処理し、その後、蛍光基質2'-(4-メチルウンベリフェリル)-α-D-N-アセチルノイラミン酸(MUNANA) (Sigma-Aldrich, St. Louis, MOから入手可能である)についてインキュベートした。精製化細菌NAをポジティブコントロールとして使用した(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)。それぞれ365 nmおよび450 nmの励起および放出波長での蛍光光度計を用いて蛍光を測定した。蛍光測定を4-メチルウンベリフェロンの標準曲線と比較した。結果を図11に示し、1時間あたりNAにより切断された基質のpmolとして示す。結果は、3回の測定の平均を示す。図11から明らかなとおり、EBペプチドは、NA活性を阻害しなかった。
本発明の開示またはその好ましい態様の要素を導入するとき、「1つ」、「1個」、「その」および「該」なる用語は、1個またはそれ以上の要素が存在することを意味することが意図される。「含む」、「包含する」および「有する」なる用語は、包括的であることが意図され、記載された要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。
上記より、本発明の開示のいくつかが達成されることが理解され、他の有利な結果がまた達成される。
本発明の開示の範囲から逸脱することなく、上記組成物および産物におけるさまざまな変化が為され得るので、上記に含まれるすべての事項は、何らその意味が限定されるものではなく、例示として解釈されることが意図される。

Claims (16)

  1. 配列番号2-3、配列番号5、配列番号18-19、配列番号21-23、配列番号30、配列番号32-34、配列番号36-38、配列番号40-51および配列番号57-59からなる群から選択される、抗ウイルスペプチド。
  2. 抗ウイルスペプチドが配列番号2-3、配列番号5、配列番号18-19、配列番号21-23、配列番号30、配列番号32および配列番号43-51からなる群から選択される、請求項1に記載の抗ウイルスペプチド。
  3. 抗ウイルスペプチドが配列番号22、配列番号32および配列番号45からなる群から選択される、請求項1に記載の抗ウイルスペプチド。
  4. 配列番号2-3、配列番号5、配列番号18-19、配列番号21-23、配列番号30、配列番号32-34、配列番号36-38、配列番号40-51および配列番号57-59からなる群から選択される1個またはそれ以上のペプチドならびに薬学的に許容される担体を含む、組成物。
  5. ペプチドが配列番号22、配列番号32および配列番号45からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
  6. 配列番号1で示されるペプチドの誘導体を含む組成物であって、該誘導体が12個から19個のアミノ酸を含み、インフルエンザウイルスに対する顕著な抗ウイルス活性を示す、組成物。
  7. さらに薬学的に許容される担体を含む、請求項6に記載の組成物。
  8. 哺乳類におけるウイルス呼吸器感染を処置または予防するための方法であって、下記:
    a) 配列番号2-3、配列番号5、配列番号18-19、配列番号21-23、配列番号30、配列番号32-34、配列番号36-38、配列番号40-51および配列番号57-59;
    b) 12個から19個のアミノ酸を含み、インフルエンザウイルスに対する顕著な抗ウイルス活性を示す、配列番号1で示されるペプチドの誘導体; ならびに
    c) その組み合わせ
    からなる群から選択される有効量の抗ウイルスペプチドを哺乳類に投与することを含む、方法。
  9. 抗ウイルスペプチドが薬学的に許容される担体と共に投与される、請求項8に記載の方法。
  10. 抗ウイルスペプチドが非経口投与を介して投与される、請求項8に記載の方法。
  11. 抗ウイルスペプチドが鼻腔内に投与される、請求項8に記載の方法。
  12. 抗ウイルスペプチドが予防的に投与される、請求項8に記載の方法。
  13. 哺乳類がウイルス呼吸器感染を引き起こすことが可能なウイルスに曝露された後に抗ウイルスペプチドが投与される、請求項8に記載の方法。
  14. 哺乳類がウイルス呼吸器感染を引き起こすことが可能なウイルスに曝露されるのとほぼ同時に抗ウイルスペプチドが投与される、請求項8に記載の方法。
  15. ウイルス呼吸器感染がインフルエンザウイルスにより引き起こされる、請求項8に記載の方法。
  16. インフルエンザウイルスがA型インフルエンザである、請求項15に記載の方法。
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