JP2011522015A - グリセロールを脱水してアクロレインを製造する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハメット酸度が+2以下である酸性固体触媒の存在下でグリセロールを脱水してアクロレインを合成する方法。
【解決手段】反応は、硫酸ジルコニア、燐酸ジルコニア、タングステンジルコニア、珪酸ジルコニア、酸化チタンまたは硫酸錫、燐酸アルミナまたはシリカ、鉄ドープ燐酸またはタングスト燐酸またはタングスト珪酸塩等の触媒で、パールソン(Pearson)分類での酸性化合物、例えばSO3、SO2またはNO2の中から選択される少なくとも一種の酸性化合物をマイナー量の1〜3000ppm含む気相を含む反応媒体中で行う。脱水反応は気相または液相で行う。

Description

本発明は、酸性気体添加剤の存在下でグリセロールを脱水してアクロレインを製造する方法に関するものである。
アクロレインは最も単純な不飽和アルデヒドであり、2−プロペナール、アクリルアルデヒドまたはアルデヒドアクリルともよばれる。アクロレインはその構造から強い反応性を有し、その2つの反応性官能基は別々または一緒に反応して高い反応力を示す。そのためアクロレインは多くの用途、特に合成中間体として使用されている。特に、アクロレインはフィッシュミールの代用品としての地位を確立している動物飼料補給剤として用いられる合成アミノ酸であるメチオニン合成の重要な中間体である。アクロレインはプロピレンを気相触媒酸化してアクリル酸を工業的に生産する際にアクリル酸から単離しない合成中間体である。アクリル酸およびその誘導体の重要性はよく知られている。また、アクロレインをメチルビニルエーテルと反応させ、加水分解するとグルタルアルデヒドになる。このグルタルアルデヒドにも多くの用途、例えば革なめし剤、石油採掘や切削油を用いた切削加工時の殺生剤、診療器具の化学的消毒剤、滅菌剤としての用途がある。
最も一般的に用いられているアクロレイン製造法は大気酸素を用いてプロピレンを気相触媒酸化する反応をベースにしたものである。
得られたアクロレインはアクリル酸製造プロセスに直接加えることができる。アクロレインをメチオニンおよび/またはアクリル酸および/またはアクリロニトリル合成やファインケミストリー反応の出発材料として用いる場合には反応副成物(主として酸化炭素、アクリル酸、酢酸およびアセトアルデヒド)を精製部で除去する。
従って、アクロレイン製造は出発材料のプロピレンに大きく依存し、このプロピレンは石油留分のスチーム分解または接触分解で得られる。しかし、化石由来のこの出発材料は温室効果を増大させる。従って、資源としてプロピレンに依存せずに、好ましくは再生可能な別の出発材料を用いてアクロレインを合成する方法が必要と思われる。そうした方法はメチオニン合成に特に有利であり、「バイオマスから得られた」といえる。特に、動物飼料中に用いたメチオニンは急速に代謝され、二酸化炭素として大気中に放出され、温室効果を増大させる。アクロレインを再生可能な出発材料、例えば植物油から得た場合には、バイオマスの成長で使用する二酸化炭素で上記CO2排出が補償されるので、上記CO2排出はプロセス収支に入らなくなり、温室効果の増大はない。この方法は持続可能な開発というグローバルな時代の新しい概念である「環境に優しい化学」の基準を満たしている。
多価アルコール、例えばグリセロールを脱水してアルデヒド、例えばアクロレインを合成することも知られている。グリセロール(水溶液の形のときはグリセリンともよばれる)は動植物油のメタノリシス(methanolysis)でメチルエステルと同時に得られる。メチルエステル自体は特にディーゼルオイルまたは家庭用燃料油で燃料として用いられている。天然物は「環境に優しい」イメージを有し、多量に入手可能で、しかも、容易に貯蔵、輸送できる。グリセロールは新しい概念である「環境に優しい化学」の基準を満たした再生可能な出発材料であるという利点を有する。
グリセロールの価値の回復、特にアクロレインの製造は近年多くの研究が行われており、下記の逐次反応に従ったグリセロールの脱水反応を用いる方法もその一つである:
CH2OH−CHOH−CH2OH −> CH2OH−CH2−CHO+H2O<−>CH2=CH−CHO+2H2
この反応によってアクロレインが得られる。
この反応は平衡反応である。一般に、水和反応は低温が良く、脱水反応は高温が良い。従って、アクロレインを得るためには、反応をシフトするのに十分な温度および/または分圧を用いる必要がある。反応は液相または気相で行うことができる。この種の反応が酸で触媒されることは公知である。
特許文献1(フランス国特許第69.5931号公報)ではグリセリン蒸気を十分に高い温度で少なくとも3種の酸官能基を有する酸の塩、例えばフォスフェート中を通してアクロレインを得ている。分別蒸留後の収率は75%以上である。
特許文献2(米国特許第2,558,520号明細書)では脱水反応を芳香族溶剤中に懸濁したフォスフェートで含浸した珪藻土の存在下で気/液相で行う。この条件下で得られるグリセロールのアクロレインへの変換率は72.3%である。
特許文献3(国際特許出願第99/05085号公報)に記載の方法はCO/H2雰囲気下、20/40バールの圧力でスルホラン水溶液のような溶剤の存在下での複雑な均一系触媒作用を用いている。
特許文献4(中国特許出願第1,394,839号公報)の対象はグリセロールから3−ヒドロキシプロパンアルデヒドを製造する方法である。反応中間体として製造されるアクロレインは硫酸カリウムまたは硫酸マグネシウム型の触媒に、気化された純粋なグリセロールを通して得られ、次いで、得られたアクロレインは再水和され、ヒドロキシプロパンアルデヒドが生成する。反応収率は記載がない。
特許文献5(米国特許第5,387,720号明細書)には、ハメットの酸度によって定義された酸性固体触媒上で、液相または気相で、グリセロールを脱水してアクロレインを製造する方法が記載されている。この触媒のハメット酸度(Hammett acidity)は+2以下でなければならず、好ましくは−3以下である。この触媒は例えば天然または合成のシリカ質材料、例えばモルデン沸石、モンモリロナイト、酸性ゼオライト;モノ、ジ、トリ酸性無機酸で被覆された担体、例えば酸化物またはシリカ質材料、例えばアルミナ(Al23)、酸化チタン(TiO2);酸化物または混合酸化物、例えばγ−アルミナ、混合酸化物ZnO−Al23、またはヘテロポリ酸に対応する。この特許では10〜40%のグリセロールを含む水溶液を用い、上記方法は液相では180〜340℃、気相では250〜340℃の温度で行う。上記特許の著者によれば気相反応が好ましく、グリセロールの変換率は100%に近く、副生成物を含むアクロレイン水溶液が作られる。約10%のグリセロールはヒドロキシプロパノンに変換され、このヒドロキシプロパノンはアクロレイン溶液中に主たる副生成物として存在する。このアクロレインは分別凝縮または蒸留で回収、精製される。液相反応では選択率が過度に低下しないようにするために変換率を15〜25%に制限するのが望ましい。
特許文献6(米国特許第5,426,249号明細書)に記載の方法でも上記と同じ気相方法でグリセロールを脱水してアクロレインを得るが、得られたアクロレインを水和および水素添加して1,2−および1,3−プロパンジオールを作る。
従って、グリセロールのアクロレインへの脱水反応では一般に副反応が伴い、ヒドロキシプロパノン、プロパナール、アセトアルデヒド、アセトン、アクロレインとグリセロールとの付加物(アセタールとして知られる)、グリセロール重縮合生成物、環状グリセロールエーテルなどの副生成物、さらには、触媒上のコークス生成の原因であるフェノールおよび芳香族ポリ化合物のような副生成物も生成する。その結果、アクロレインの収率およびアクロレインの選択率が低下し、触媒が非活性化する。アクロレイン中の副生成物、例えばヒドロキシプロパノンまたはプロパナール(これらのうちのいくつかはまた単離が困難である)の存在によって、分離および精製段階が必要となり、精製アクロレインを得るために高い回収コストがかかる。さらに、十分な触媒活性を回復するためには頻繁に触媒を再生する必要がある。
本発明者は、特許文献7(フランス国特許第2,882,052号公報)の中で、分子酸素の存在下でグリセロールを脱水反応させて上記の問題を解決しようとした。このとき、驚くべきことに、酸素を供給することでフェノールのような芳香族化合物の生成が防止され、脱水生成物の水素添加で生じる副生成物、例えばプロパナールおよびアセトンや、ヒドロキシプロパノンからの副生成物の生成が減少するということを見出した。さらに、触媒上へのコークスの生成が減少する結果、触媒の非活性化が抑制され、触媒が連続再生される。ある種の副生成物の量は著しく少なくなり、従って、次の精製段階が容易になる。
これは有利なことであるが、この結果は工業規模に移行するには経済的に不十分である。しかも、酸素の存在下でのプロセスの実施には、爆発の危険がある燃焼にまで進行して、制御できなくならないように、操作上の防止策を講じる必要がある。従って、例えば、燃焼範囲外に維持されるように不活性気体を用いる。空気中の窒素はこの不活性気体の一部を構成できるが、不十分な量になることが多く、その結果、追加の不活性気体、例えば再循環ガス(未反応の水素の他に、燃焼ガス、希ガス、例えばアルゴンを含む)および徐々に添加するガス、例えば上記ガスおよびメタンおよび低級アルカンを用いる。反応に関与しないという定義から、不活性気体を使用すると反応物のみに必要な反応器に比べてより大きな反応器を用いる必要がある。これによって、追加のコストが生じる。
そのため、本出願人は、グリセロールからのアクロレインの合成に用いられる既知の触媒の効果および/または選択率の条件に焦点を合わせて反応のアクロレイン選択率を向上させるための研究を続けてきた。
フランス国特許第69.5931号公報 米国特許第2,558,520号明細書 国際特許出願第99/05085号公報 中国特許出願第1,394,839号 米国特許第5,387,720号明細書 米国特許第5,426,249号明細書 フランス国特許第2,882,052号公報
本発明者は、全く偶然に、反応媒体に不溶な固体の均一材料または多相材料である、脱水反応の触媒として知られた酸型触媒は、酸であるにもかかわらず、時として予測不可能な反応機構によって副生成物が形成される原因となる望ましくないサイトも有している、ということを見出した。
本発明の目的は、上記サイトに少なくとも一時的に結合可能な化合物を気体反応媒体中に添加する方法を用い、且つ、副生成物の形成を阻止するためにプロセス中に上記サイトを抑制することによって上記の問題点を克服することにある。
本発明の対象は、酸性固体触媒の存在下でグリセロールを脱水してアクロレインを合成する方法において、酸性化合物を含む気相を含む反応媒体中で実施する方法にある。
本発明の「酸性化合物」とは以下で説明するとおり、水溶液の形でのpKaが6.3以下である化合物を意味する。特に、CO2は本発明では酸ではない。
脱水反応は酸性固体触媒、例えば特許文献7(フランス国特許第2,882,052号公報)に記載の触媒上で行われる。
適切な触媒は均一系または多相系材料で、これらの均一系または多相系材料は反応媒体に不溶で、ハメット酸度(H0)が+2以下である。ハメットの酸度は指示薬を用いるアミン滴定によってまたは気相中の塩基の吸着で測定される。これは下記文献で言及している特許文献5(米国特許第5,387,720号明細書)に記載されている。
K.Tanabe達、「表面科学研究と触媒」、第51巻、1989年、第1章、2章
この触媒は+2以下の酸度基準H0を満足する天然または合成のシリカ質材料または酸性ゼオライト;モノ、ジ、トリまたはポリ酸性無機酸で被覆された無機物担体、例えば、酸化物;酸化物または混合酸化物、燐酸鉄またはヘテロポリ酸の中から選択できる。
触媒はゼオライト、ナフィオン(Nafion、登録商標)複合材料(フッ素化ポリマースルホン酸ベース)、塩素化アルミナ、燐タングステンおよび/またはシリカタングステン酸および酸の塩並びにボレートBO3、スルフェートSO4、タングステートWO3、フォスフェートPO4、シリケートSiO2またはモリブデートMoO3のような酸官能基を含浸した酸化タンタルTa25、酸化ニオブNb25、アルミナAl23、酸化チタンTiO2、ジルコニアZrO2、酸化スズSnO2、シリカSiO2またはアルミノ珪酸SiO2−Al23のような金属酸化物型の各種固体の中から選択するのが有利である。文献データによればこれらの触媒は全てハメットの酸度H0が+2以下である。
触媒は硫酸ジルコニア、燐酸ジルコニア、タングステンジルコニア、シリカ質ジルコニア、酸化チタンまたは硫酸錫、燐酸アルミナまたはシリカ、鉄ドープ燐酸またはタングスト燐酸またはタンスグト珪酸塩であるのが好ましい。
これらの触媒は全てハメット酸度H0が+2以下である。この酸度H0はハメットインジケータを用いた参照スケールでの値−20まで広範囲で変えることができる。酸/塩基の触媒に関する下記文献の第71頁の表には上記酸度範囲の固体触媒の例が示されている。
ISBN番号2-7108-0841-2(C.Marcilly、第1巻、Technip発行)
この反応には酸性固体触媒が選択される。この固体触媒の酸度は多くの方法で測定でき、ハメット法もその一つである。
C.Marcillyによる上記文献には、固体触媒の酸度および塩基度を測定する種々の方法が挙げられている。
Aline Aurouxによる刊行物を参照されたい。この文献には固体の酸度スケールを測定する種々の方法、例えば下記の文献が記載されている。
A.Auroux and A.Garvasini 「金属酸化物表面の酸度および塩基度のJ.微小熱量研究」Phys.Chem.,(1990)94,6371-79 L.Damjanovic and A.Auroux 「熱分析および熱量測定のハンドブック」第5巻、第11章、387〜485頁の中の近年の進歩、技術および応用、M.E.Brown and P.K.Gallager,editors(2008 Elsevier B.V.)
この酸度の測定に用いる方法は下記文献に記載されている。ここでは、固体の色が白の場合または白でない場合が区別されている。
欧州特許第1,714,696号([0038]および[0039]) 欧州特許第1,714,955号([0045]および[0046])
これらの研究は、特に固体が酸性サイトのみまたは塩基性サイトのみから成ることはほとんどないことを示している。酸性固体は大抵の場合、主成分である酸性サイトと、いくつかの塩基性サイトとの両方を有する。この二色性は上記非特許文献3(A.Auroux and A.Garvasini)の6377ページに説明されている。ここで、図13から、同一の酸化物が、酸化合物、例えばCO2および塩基化合物、例えばNH3を同時に吸収できることがわかる。理論に縛られるものではないが、後者の化合物はプロセス中の副生成物の形成に関与すると考えられる。
このプロセスは、触媒を構成する望ましくない塩基性サイトとの親和性を示す反応媒体の気相中に存在する酸化合物の存在下で実施される。この化合物は下記文献に記載の「パールソン(Pearson)」分類での硬い酸および軟らかい酸の中から選択される:
R.G.Pearson,J.Am.Chem.Soc.,85,3533(1963) R.G.Pearson,Science,151 (1966)172 R.G.Pearson,Chemistry in Britain,March1967,103 R.G.Pearson,J.Chemical Education Vol.45,No.9(1968),581 and Vol.45 No.10(1968),643 R.G.Parr and R.G.Pearson, J.Am.Chem.Soc., (1983),105,7512
上記のC.Marcillyによる文献において、Pearson理論に基づくスケールが34頁以下に用いられていることは重視すべきである。
これらの化合物は標準状態で気体にすることができるが、プロセスの操作条件下で反応媒体の気相へ移行できる場合は、液体さらには固体にすることもできる。
脱水はPearson分類で少なくとも一種の酸性化合物をマイナー量で含む気相の存在下で行うのが好ましい。
この酸性化合物は特にSO3、SO2またはNO2等の中から選択される。これらの化合物の混合物を用いても本発明の範囲から逸脱するものではない。Pearson理論では、硬い酸は硬い塩基と組み合わせるのが好ましく、軟らかい酸は軟らかい塩基と組み合わせるのが好ましい。触媒上に存在する種々の塩基性サイトを抑制するために、異なる酸度を組み合わせた化合物の混合物を用いることもできる。
酸性化合物の含有量は脱水反応のために選択される触媒の種類に依存し、一般に気相の1〜3000ppm(体積%表記)すなわち0.0001〜0.3%である。
反応を液相で行う場合は、酸化合物は液状、さらには固体状にすることができる。但し、反応条件下で液相へ移行して上記含有量を達成できなければならず、固体化合物の場合は、上述のように、溶解して液相へ移行できなければならない。
下記特許文献10に、有機酸(蟻酸または蓚酸)または硫黄含有化合物、例えばSO2またはH2S(SO2が好ましい)から成る還元剤の存在下でアルカンまたはアクロレインの酸化によってアクリル酸を合成する方法が記載されていることは注目すべきである。しかし、これは別の触媒との同じ反応ではないこと、および、この化合物の活性は触媒を安定させるためのものでその選択率を高めるものではないことは強調できる。本発明の反応は気相または液相、好ましくは気相で行うことができる。
欧州特許第1,253,132号公報
反応を気相で行うときには種々の製造技術すなわち固定床プロセス、流動床プロセスまたは循環流動床プロセスを用いることができる。前者の2つのプロセスでは触媒の再生を固定床または流動床で反応と分けて行うことができる。
触媒の再生は例えばエックスシチュー(ex situ)で触媒を取り出し、空気中または分子酸素を含む気体混合物中で燃焼して行うことができる。この場合は、再生温度および圧力を反応温度および圧力と同じにする必要はない。Pearsonの趣旨の範囲内の酸化合物の添加は反応器内で行い、再生中に行わないのが好ましい。
本発明方法では反応器内に少量の分子酸素または分子酸素を含む気体が存在するため、触媒の再生は反応と同時に製造現場インシチュー(in situ)で連続して行なわれる。この場合、再生は非活性化の抑制とも言え、反応温度および圧力で行われる。再生を連続して行うこれらの特定の条件によって、気体酸化合物の導入は同時に、好ましくは触媒床の上流で行われ、酸化合物は反応混合物中で完全に混合される。
循環流動床プロセスでは触媒を2つの容器すなわち反応器と再生器とを循環させる。脱水反応は吸熱反応であるため第1容器にはエネルギーを供給する必要がある。一方、コークスの燃焼から成る再生は発熱反応であるため熱を第2容器からは熱を除去しなければならない。循環流動床プロセスではこれら2つの系は互いに補償し合う。すなわち、本発明方法では酸素流下での燃焼による触媒再生で触媒は加熱され、この加熱された触媒を反応器に戻し、脱水反応に必要なエネルギーを供給する。各容器内の滞留時間は触媒の非活性化速度と、触媒上に生成するコークスの量に依存する。特に、固体を好適温度に戻すためには最小限の量のコークスが存在するのが望ましく、また、燃焼中の焼結による固体の分解を避けるには最大限の量のコークスが必要である。気体酸化合物の注入は反応器内で行うのが好ましい。
気相での脱水反応は触媒の存在下で150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、1〜5バールの圧力下で行う。
液相での脱水反応は触媒の存在下で150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、5バール以上、好ましくは20〜80バールの圧力下で行う。
以下、本発明方法の実施例を説明する。
通常の酸触媒の存在下でグリセロールを脱水するときには、アクロレインだけでなく副生成物、例えばヒドロキシプロパノン、プロパナール、アセトアルデヒド、アセトン、フェノール、アクロレインとグリセロールとの付加物、グリセロール重縮合生成物、環状または非環状グリセロールエーテルが得られる。
以下の実施例では、種々の周知な副生成物、特にヒドロキシプロパノンに対する反応の選択率に与える酸化合物の存在の影響が示される。ヒドロキシプロパノンは最も顕著な化合物であり、本発明方法の効果を示すものである。実施例ではさらに、触媒の非活性化に与える酸化合物の存在の影響を示す。
実施例1
下記条件下で反応を行う。焼結ガラスで保持された触媒床を入れたパイレックス(登録商標)反応器を用いる。触媒、例えば、粒径が0.1〜0.15mmの重量が約6.6gのタングステンジルコニア脱水触媒(Daiichi Kigenso KK、参照番号Z1044)を、7mlの微粒子径(0.125mm)の炭化珪素に希釈したものを最初に導入する。次いで、粒径の異なる一連の炭化珪素の床を充填する。すなわち、反応器に2mlの0.125mm炭化珪素、7mlの0.5mm炭化珪素を、最後に、反応器の頂部に1.19mm炭化珪素を補充する。
次いで、反応器を試験プラントに連結したオーブンに入れる。「脱水層」で測定される触媒の温度は305℃に調節する。
ヘリウム−クリプトン/SO2/水−グリセロール気体混合物を1.3バールの絶対圧で反応器の頂部から送る。ヘリウム−クリプトン気体混合物は内部標準の役目をする4.92%のクリプトンを含む。水−グリセロール混合物は30重量%のグリセロールを含む。
注入混合物の組成は以下の通り(モル%表記):
ヘリウム/クリプトン/O2/SO2/水/グリセロール:50/2.6/3.4/0.02/40.6/3・4。
充填混合物の導入流量は毎時空間速度(HSV)が2000h-1になるようにする。
毎時空間速度は触媒かさ容積(リットル表記)に対する気体混合物の総気体流量(毎時標準リットルで表記)の比に等しい。
反応器出口で0℃に冷却したトラップを用いて流出液を水中に回収し、非凝縮性流出液から液体流出液を分離できる。アクリル酸以外の副生成物のモデル化合物として、アクロレインおよびヒドロキシプロパノンを、クロマトグラフィー分析で定量的に測定する。
流出液をトラップ内で60分間堆積させる。非凝縮性気体をバランス時間中に分析する。生成したアクロレインの収率は70モル%で、アクリル酸の収率は2モル%で、ヒドロキシアセトンの収率は0.5モル%である。
実施例2(比較例)
SO2の非存在下で実施例1を繰り返す。
流出液をトラップ内で60分間堆積させる。非凝縮性気体をバランス時間中に分析する。生成したアクロレインの収率は68モル%で、アクリル酸の収率は2モル%で、ヒドロキシアセトンの収率は2モル%である。
実施例3
実施例1と同じパイレックス(登録商標)反応器を用いる。この反応器に粒径を0.32〜0.50mmに減らした体積が7mlで重量が9.18gのタングステンジルコニア脱水触媒(Daiichi Kigenso Kagaku Kogyo、参照番号Z1044環)を充填する。炭化珪素の2つの層の間に不希釈触媒を入れる。
反応器を275℃の温度に調節したオーブンに入れる。275℃のN2/O2/SO2/水/グリセロール気体混合物を1.3バールの絶対圧で反応器へ送る。この気体混合物は、一方で、質量流量調整弁によって流量が制御された窒素流および酸素流を、他方で、グリセロール(Prolabo)と脱イオン水と7.4%のSO2を含む亜硫酸(Sigma-Aldrich)との混合物の液体流を、流量がバランス制御されるHPLC型の定量ポンプを介して電気蒸発器に注入することによって得られる。
注入混合物の組成は以下の通り(モル%表記):
2/O2/SO2/水/グリセロール:15.4/3.9/0.005/74.5/6.2。
充填混合物の導入流量は毎時空間速度(HSV)が4200h-1になるようにする。
気体混合物を触媒上に3時間注入した後、実施例1と同じ方法で90分間、材料をバランスさせる。結果は[表1]に示してある。
実施例4
実施例3の条件を下記のモル組成を有する気体混合物を用いて繰り返す:
2/O2/SO2/水/グリセロール:15.4/3.9/0.025/74.5/6.2。
混合物を3時間および24時間注入した後にバランスさせる。
結果は[表1]に示してある。
実施例5(比較例)
実施例3の条件を下記のモル組成を有する気体混合物を用いて繰り返す:
2/O2/SO2/水/グリセロール:15.4/3.9/0/74.5/6.2。
3時間および24時間後にバランスさせる。
結果は[表1]に示してある。
Figure 2011522015
SO2の添加によって、収率が向上するだけでなく、触媒の非活性化が制限されることがわかる。

Claims (9)

  1. 酸性固体触媒の存在下でグリセロールを脱水してアクロレインを合成する方法において、酸性化合物を含む気相を含む反応媒体中で上記方法を実施することを特徴とする方法。
  2. 触媒のハメット酸度が+2以下である請求項1に記載の方法。
  3. 触媒がゼオライト、ナフィオン(Nafion、登録商標)複合材料、塩素化アルミナ、ホスホタングステン酸および/またはシリコタングステン酸およびその塩、酸官能基、例えばボレートBO3、スルフェートSO4、タングステートWO3、フォスフェートPO4、シリケートSiO2またはモリブデートMoO3を含浸した金属酸化物、例えば酸化タンタルTa25、酸化ニオブNb25、アルミナAl23、酸化チタンTiO2、ジルコニアZrO2、酸化スズSnO2、シリカSiO2またはシリコアルミネートSiO2/Al23型の金属酸化物の各種固体の中から選択される請求項2に記載の方法。
  4. 触媒が硫酸ジルコニア、燐酸ジルコニア、タングステンジルコニア、珪酸ジルコニア、酸化チタンまたは硫酸錫、燐酸アルミナまたはシリカ、鉄ドープ燐酸またはタングスト燐酸またはタングスト珪酸塩の中から選択される請求項3に記載の方法。
  5. 脱水をパールソン(Pearson)分類で少なくとも一種の酸化合物をマイナー量で含む気相の存在下で行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 酸化合物がSO3、SO2またはNO2の中から選択される請求項5に記載の方法。
  7. 気相中の酸化合物の含有量が1〜3000ppmである請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 脱水反応を150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、1〜5バールの圧力下で気相で行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 脱水反応を150〜500℃、好ましくは250〜350℃の温度、5バール以上、好ましくは20〜80バールの圧力下で液相で行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
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