JP2011521960A - サーチュイン調節薬としてのイミダゾピリジンおよび関連する類似体 - Google Patents

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Abstract

本発明では、新規なサーチュイン調節化合物およびそれを用いる方法を提供する。サーチュイン調節化合物は、細胞の寿命の増加、ならびに、例えば、加齢もしくはストレスに関連する疾患または障害、糖尿病、肥満症、神経変性疾患、心血管疾患、血液凝固障害、炎症、癌、および/または潮紅、ならびにミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう疾患もしくは障害を含む広範囲にわたる種々の疾患および障害の治療、および/または予防に用いることができる。さらに、サーチュイン調節化合物を別の治療薬と組み合わせて含んでなる組成物も提供する。

Description

遺伝子のサイレント情報制御因子(Silent Information Regulator)(SIR)ファミリーは、古細菌から真核生物に及ぶ生物のゲノムに存在する遺伝子の高度に保存されたグループである。コードされたSIRタンパク質は、遺伝子サイレンシングの制御からDNA修復まで多岐にわたるプロセスに関与する。SIR遺伝子ファミリーのメンバーによってコードされたタンパク質は、250アミノ酸コアドメインにおいて高い配列保存を示す。このファミリーの中で特徴が詳細に明らかになっている遺伝子はS.セレビシエ(S. cerevisiae)SIR2であり、これは、酵母接合型、テロメア位置効果(telomere position effects)、および細胞老化を特定する情報を含有するHM遺伝子座位のサイレンシングに関与している。酵母Sir2タンパク質は、ヒストンデアセチラーゼのファミリーに属する。サルモネラチフィリウム(Salmonella typhimurium)のSir2相同体、CobBは、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)依存性ADPリボシルトランスフェラーゼとして機能する。
Sir2タンパク質は、NADを補助基質として用いるクラスIIIデアセチラーゼである。その多くが遺伝子サイレンシングに関与する他のデアセチラーゼとは異なり、Sir2は、トリコスタチンA(TSA)のようなクラスIおよびIIヒストンデアセチラーゼ阻害薬に対して非感受性である。
Sir2によるアセチルリジンの脱アセチル化は、NAD加水分解と密接に連結しており、ニコチンアミドおよび新規なアセチル‐ADPリボース化合物を産生する。Sir2のNAD依存性デアセチラーゼ活性は、その生物学的役割を酵母における細胞代謝と結びつけることができるその機能にとって不可欠である。哺乳類のSir2相同体は、NAD依存性ヒストンデアセチラーゼ活性を有する。
生化学的研究により、Sir2は、ヒストンH3およびH4のアミノ末端テールを容易に脱アセチル化することができ、これによって1‐O‐アセチル‐ADPリボースおよびニコチンアミドが形成されることが示された。SIR2のさらなるコピーを持つ系統は、rDNAサイレンシングの増加および30%の寿命の延長を示す。C.エレガンス(C. elegans)のSIR2相同体、sir‐2.1、およびD.メラノガステル(D. melanogaster)のdSir2遺伝子のさらなるコピーが、これらの生物での寿命を大きく延長することが最近になって示された。このことは、老化に対するSIR2依存性制御経路が進化の早い段階で発生し、よく保存されてきたことを示唆している。現在、Sir2遺伝子が発達したのは、生物の健康状態およびストレス耐性を向上させ、困難な環境を生き残る確率を高めるためであると考えられている。
ヒトの場合、Sir2の保存触媒ドメインを共有する7つのSir2様遺伝子(SIRT1〜SIRT7)が存在する。SIRT1は、Sir2に対する配列の類似性が最も高い核タンパク質である。SIRT1は、脱アセチル化により、腫瘍抑制因子p53、細胞シグナル伝達因子NF‐κB、およびFOXO転写因子を含む複数の細胞標的を制御する。
SIRT3は、原核生物および真核生物内で保存されるSIRT1の相同体である。SIRT3タンパク質は、N末端に位置する特有のドメインによってミトコンドリアのクリステに対して標的化される。SIRT3は、NAD+依存性タンパク質デアセチラーゼ活性を有し、広範に、特に代謝活性組織中にて発現される。ミトコンドリアへ輸送されると、SIRT3は、ミトコンドリアマトリックスプロセッシングペプチダーゼ(mitochondrial matrix processing peptidase)(MPP)によって小さく活性な形態へと開裂されると考えられる。
カロリーの制限が哺乳類の健康の増進および寿命の延長をもたらすことは、70年以上にわたって知られている。後生動物と同様に、酵母の寿命も、低グルコースなどのカロリー制限に類似の介入によって延長される。カロリー制限をした場合に、SIR2遺伝子を持たない酵母およびハエの寿命が共に延長されないという発見は、SIR2遺伝子が、カロリーを制限した食事による健康への有益な効果を媒介することの証拠を示すものである。さらに、酵母のグルコース反応性cAMP(アデノシン3’5’‐一リン酸)依存性(PKA)経路の活性を低下させる変異は、野生型細胞では寿命を延長するが変異体sir2株では延長せず、このことは、SIR2が、恐らくはカロリー制限経路の重要な下流成分であることを示している。
本明細書では、新規なサーチュイン調節化合物およびそれを用いる方法を提供する。
一つの態様では、本発明は、以下で詳細に述べる構造式(I)、(II)、および(III)のサーチュイン調節化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、サーチュイン調節化合物、またはサーチュイン調節化合物を含んでなる組成物を用いるための方法を提供する。特定の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、例えば、細胞の寿命の延長、ならびに、加齢もしくはストレスに関連する疾患または障害、糖尿病、肥満症、神経変性疾患、化学療法誘発神経障害、虚血性イベントに付随する神経障害、眼の疾患および/もしくは障害、心血管疾患、血液凝固障害、炎症、および/または潮紅などが例として挙げられる広範囲にわたる種々の疾患および障害の治療ならびに/または予防、を含む種々の治療用途に用いることができる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、ミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう被験体の疾患もしくは障害の治療、筋肉の性能の向上、筋肉のATPレベルの上昇、または低酸素もしくは虚血に付随する筋肉組織の損傷の治療もしくは予防に対しても用いることができる。他の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を減少させるサーチュイン調節化合物は、例えば、ストレスに対する細胞感受性の上昇、アポトーシスの増加、癌の治療、食欲刺激、および/または体重増加の刺激などを含む種々の治療用途に用いることができる。以下でさらに述べるように、この方法は、薬理学的に許容される効果量のサーチュイン調節化合物を、それを必要とする被験体に投与することを含んでなる。
特定の態様では、サーチュイン調節化合物は、単独で投与してよく、または、その他のサーチュイン調節化合物もしくはその他の治療薬を含むその他の化合物と組み合わせて投与してもよい。
発明の具体的説明
1.定義
本明細書で用いる以下の用語および表現は、以下に示す意味を有するものとする。特にそれ以外の定義がなされていない限りにおいて、本明細書で用いるすべての技術および科学用語は、当業者が通常理解するものと同一の意味を有する。
「剤(agent)」という用語は、化学化合物、化学化合物の混合物、生物学的高分子(核酸、抗体、タンパク質もしくはその一部分、例えばペプチド、など)、または細菌、植物、真菌、もしくは動物(特に哺乳類)の細胞もしくは組織などの生物学的物質から作製された抽出物を意味するために本明細書で用いられる。そのような剤は、その活性のために、被験体において局部的にもしくは全身的に作用する生物学的、生理学的、または薬理学的に活性である1つの(もしくは複数の)物質である「治療薬」として適切であり得る。
化合物に言及する場合の「生物利用可能」という用語は、本技術分野で認識されており、それが投与された被験体もしくは患者によって吸収されるか、それらに組み込まれるか、またはそれらに対してそれ以外の生理学的な形で利用可能である、化合物に許容される形態、または投与された化合物の量の一部分を意味する。
「サーチュインの生物学的活性部分」とは、脱アセチル化する能力などの生物学的活性を有するサーチュインタンパク質の一部分を意味する。サーチュインの生物学的活性部分は、サーチュインのコアドメインを含んでなっていてよい。NAD+結合ドメインおよび基質結合ドメインを包含するGenBank受託番号NP_036370を持つSIRT1の生物学的活性部分としては、例えば、これらに限定されないが、GenBank受託番号NP_036370のアミノ酸62〜293を挙げることができ、これは、GenBank受託番号NM_012238のヌクレオチド237から932によってコードされる。従って、この領域は、コアドメインと称される場合がある。やはりコアドメインと称される場合があるSIRT1のその他の生物学的活性部分としては、GenBank受託番号NM_012238のヌクレオチド834から1394によってコードされるGenBank受託番号NP_036370のおよそアミノ酸261から447まで;GenBank受託番号NM_012238のヌクレオチド777から1532によってコードされるGenBank受託番号NP_036370のおよそアミノ酸242から493まで;または、GenBank受託番号NM_012238のヌクレオチド813から1538によってコードされるGenBank受託番号NP_036370のおよそアミノ酸254から495まで、が挙げられる。
「伴侶動物(companion animals)」という用語は、ネコおよびイヌを意味する。本明細書で用いる「(複数の)イヌ」という用語は、カニスファミリアリス(Canis familiaris)の種のいずれのメンバーをも意味し、それには非常に多くの異なる品種が存在する。「(複数の)ネコ」という用語は、イエネコおよびネコ族ネコ科のその他のメンバーを含むネコ科の動物を意味する。
「糖尿病」とは、高血糖またはケトアシドーシス、ならびに長期間にわたる高血糖状態もしくは耐糖性の低下に起因する慢性の全身的な代謝異常を意味する。「糖尿病」は、I型およびII型(インスリン非依存性糖尿病もしくはNIDDM)の両方の疾患形態を包含する。糖尿病のリスク因子としては、以下の因子:男性で40インチ超、もしくは女性で35インチ超のウエストライン、130/85mmHgもしくはそれより高い血圧、150mg/dlより高いトリグリセリド、100mg/dlを超える空腹時血中グルコース、または男性で40mg/dl未満、もしくは女性で50mg/dl未満の高密度リポタンパク質、が挙げられる。
「ED50」という用語は、本技術分野で認識されている、効果用量の基準である。特定の実施態様では、ED50は、その最大の反応もしくは効果の50%を発生させる薬物の用量を意味するか、または別の選択肢として、試験被験体もしくは製剤の50%において所定の反応を発生させる用量を意味する。「LD50」という用語は、本技術分野で認識されている。特定の実施態様では、LD50は、試験被験体の50%に対して致死的である薬物の用量を意味する。「治療指数」という用語は、LD50/ED50として定義される薬物の治療指数を意味する本技術分野で認識されている用語である。
「高インスリン血症」という用語は、血中のインスリンレベルが正常よりも高い個人の状態を意味する。
「インスリン抵抗性」という用語は、正常な量のインスリンが発生させる生物学的反応が、インスリン抵抗性を持たない被験体における生物学的反応と比較して標準以下である状態を意味する。
本明細書で考察する「インスリン抵抗性障害」とは、インスリン抵抗性によって引き起こされるかまたはこれが寄与するいずれの疾患または状態をも意味する。例としては:糖尿病、肥満症、代謝症候群、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、インスリン抵抗性、高血圧、高血圧症、高血中コレステロール、脂質代謝異常、高脂血症、脂質代謝異常、脳卒中、冠動脈疾患、もしくは心筋梗塞を含む動脈硬化性疾患、高血糖症、高インスリン血症および/もしくは高プロインスリン血症、耐糖性障害、インスリン放出遅延(delayed insulin release)、冠動脈心疾患を含む糖尿病合併症、狭心症、うっ血性心不全、脳卒中、認知症における認知機能、網膜症、末梢神経障害、腎症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、いくつかの種類の癌(子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、および結腸癌など)、妊娠合併症、女性の生殖的健康状態の不良(poor female reproductive health)(月経不順、不妊症、不規則排卵、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など)、リポジストロフィー、胆石、胆嚢炎(cholescystitis)、および胆石症などのコレステロール関連障害、痛風、閉塞型睡眠時無呼吸および呼吸器の障害、骨関節炎、ならびに特に骨粗鬆症を例とする骨量減少、が挙げられる。
「家畜動物」という用語は、飼育された四足類を意味し、それらには、畜牛およびウシ属のその他のメンバーを含むウシ類動物、家畜ブタおよびイノシシ属のその他のメンバーを含むブタ類動物、ヒツジおよびヒツジ属のその他のメンバーを含むヒツジ類動物、家畜ヤギおよびヤギ属のその他のメンバー、を例とする食肉および種々の副産物のために飼育されたもの;家畜ウマおよびウマ属ウマ科のその他のメンバーを含むウマ類動物を例とする、労役用の動物として用いられるものなどの特別の作業用に飼育された四足類、が含まれる。
「哺乳類」という用語は、本技術分野で公知であり、代表的な哺乳類としては、ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ類、ブタ類、などを含む)、伴侶動物(例:イヌ科動物、ネコ科動物など)、およびげっ歯類(例:マウスおよびラット)が挙げられる。
「肥満の」個人、または肥満症に罹患している個人は、一般的に、体重指数(BMI)が少なくとも25もしくはそれより大きい個人のことである。肥満症は、インスリン抵抗性と関連する場合もしない場合もある。
「非経口投与」および「非経口投与される」という用語は、本技術分野で認識されており、腸内および局所投与以外の、通常は注射による投与モードを意味し、これらに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内(intra-articulare)、嚢下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内注射および注入が挙げられる。
「患者」、「被験体」、「個人」、または「ホスト」は、ヒトまたは非ヒト動物を意味する。
「薬理学的に許容される担体」という用語は、本技術分野で認識されており、いずれかの対象組成物もしくはその成分の運搬または輸送に関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化剤など、薬理学的に許容される物質、組成物、または媒体を意味する。各担体は、対象組成物もしくはその成分との適合性を有し、患者にとって有害ではないという意味において「許容される」ものでなければならない。薬理学的に許容される担体として用いることができる物質のいくつかの例としては:(1)ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースならびにその誘導体;(4)粉末トラガント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油などの油類:(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)カンテン;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)医薬製剤に使用されるその他の無毒性適合性物質、が挙げられる。
「予防的」または「治療的」処置という用語は、本技術分野で認識されており、ホストへ薬物を投与することを意味する。望ましくない状態(例:疾患もしくはホスト動物のその他の望ましくない状態)の臨床的発症の前に投与される場合、その処置は予防的、すなわち、ホストが望ましくない状態を発症することを防ぐものであり、一方、望ましくない状態の発症の後に投与される場合、その処置は治療的である(すなわち、存在する望ましくない状態もしくはその副作用の軽減、寛解、または維持を意図する)。
「パイロジェンフリー」という用語は、組成物に言及する場合、その組成物が投与された被験体において有害な影響(例:刺激、発熱、炎症、下痢、呼吸困難、エンドトキシンショックなど)を引き起こす量のパイロジェンを含有しない組成物を意味する。例えば、この用語は、リポポリサッカリド(LPS)などを例とするエンドトキシンを含有しないか、または実質的に含有しない組成物を包含することを意図している。
細胞の「複製的寿命」とは、個々の「母細胞」によって産生された娘細胞の数を意味する。一方「経時的老化」または「経時寿命」とは、非分裂細胞の集団が栄養欠乏状態で生存し続ける時間の長さを意味する。細胞もしくは生物に適用される「細胞の寿命を増加する」または「細胞の寿命を延長する」とは、1つの細胞から産生される娘細胞の数を増加させること:ストレスに対抗し、例えばDNAやタンパク質に対する損傷と闘う細胞もしくは生物の能力を高めること:および/またはストレス(例えば、ヒートショック、浸透圧ストレス、高エネルギー放射線、化学誘発ストレス、DNA損傷、不適切な塩レベル、不適切な窒素レベル、もしくは不適切な栄養レベル)を例とする特定の条件下にてより長く生存し、生存状態で存在する細胞もしくは生物の能力を高めること、を意味する。寿命は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、または20%から70%、30%から60%、40%から60%、またはそれを超える割合で、本明細書に記載の方法を用いて増加させることができる。
「サーチュイン活性化化合物」とは、サーチュインタンパク質のレベルの増加および/またはサーチュインタンパク質の少なくとも1つの活性の増加を行う化合物を意味する。代表的な実施態様では、サーチュイン活性化化合物は、サーチュインタンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を、少なくとも約10%、25%、50%、75%、100%、またはそれを超える割合で増加させることができる。サーチュインタンパク質の代表的な生物学的活性としては、例えばヒストンおよびp53の脱アセチル化;寿命の延長;ゲノム安定性の向上;転写のサイレンシング;ならびに母細胞と娘細胞との間での酸化タンパク質の分離の制御、が挙げられる。
「サーチュインタンパク質」とは、サーチュインデアセチラーゼタンパク質ファミリーのメンバー、もしくは好ましくは、sir2ファミリーを意味し、これには、酵母Sir2(GenBank受託番号P53685)、C.エレガンスSir‐2.1(GenBank受託番号NP_501912)、ならびにヒトSIRT1(GenBank受託番号NM_012238およびNP_036370(もしくはAF083106))およびSIRT2(GenBank受託番号NM_012237、NM_030593、NP_036369、NP_085096、およびAF083107)タンパク質が含まれる。その他のファミリーメンバーとしては、「HST遺伝子」(Sir2の相同体)と称されるさらに4つの酵母Sir2‐様遺伝子、HST1、HST2、HST3、およびHST4、ならびに他の5つのヒト相同体hSIRT3、hSIRT4、hSIRT5、hSIRT6、およびhSIRT7(Brachmann et al. (1995) Genes Dev. 9:2888およびFrye et al. (1999) BBRC 260:273)が挙げられる。好ましいサーチュインは、SIRT2よりも、SIRT1、すなわちhSIRT1、および/またはSir2とより多くの類似性を共有するものであり、SIRT3が有するものなど、SIRT1には存在するがSIRT2には存在しないN末端配列の少なくとも一部を有するメンバーなどである。
「SIRT1タンパク質」とは、サーチュインデアセチラーゼのsir2ファミリーのメンバーを意味する。一つの実施態様では、SIRT1タンパク質には、酵母Sir2(GenBank受託番号P53685)、C.エレガンスSir‐2.1(GenBank受託番号NP_501912)、ヒトSIRT1(GenBank受託番号NM_012238またはNP_036370(またはAF083106))、ならびにその均等物および断片が含まれる。別の実施態様では、SIRT1タンパク質には、GenBank受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、もしくはP53685に示されるアミノ酸配列からなる、またはこれらから本質的になる配列を含んでなるポリペプチドが含まれる。SIRT1タンパク質には、GenBank受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、またはP53685に示されるアミノ酸配列;1から約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75、またはそれを超える数の保存的アミノ酸置換を有するGenBank受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、またはP53685に示されるアミノ酸配列;GenBank受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、またはP53685と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列、およびこれらの機能断片の、すべて、またはその一部分を含んでなるポリペプチドが含まれる。本発明のポリペプチドにはまた、GenBank受託番号NP_036370、NP_501912、NP_085096、NP_036369、もしくはP53685の相同体(例:オルソログおよびパラログ)、変異体、または断片も含まれる。
本明細書で用いる「SIRT2タンパク質」、「SIRT3タンパク質」、「SIRT4タンパク質」、「SIRT5タンパク質」、「SIRT6タンパク質」、および「SIRT7タンパク質」とは、特に約275アミノ酸の保存触媒コアドメインにおいてSIRT1タンパク質と相同的であるヒトを例とする他の哺乳類のサーチュインデアセチラーゼタンパク質を意味する。例えば、「SIRT3タンパク質」とは、SIRT1タンパク質と相同的であるサーチュインデアセチラーゼタンパク質ファミリーのメンバーを意味する。一つの実施態様では、SIRT3タンパク質には、ヒトSIRT3(GenBank受託番号AAH01042、NP_036371、またはNP_001017524)、およびマウスSIRT3(GenBank受託番号NP_071878)タンパク質、ならびにその均等物および断片が含まれる。別の実施態様では、SIRT3タンパク質には、GenBank受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、もしくはNP_071878に示されるアミノ酸配列からなる、またはこれらから本質的になる配列を含んでなるポリペプチドが含まれる。SIRT3タンパク質には、GenBank受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、またはNP_071878に示されるアミノ酸配列;1から約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75、またはそれを超える数の保存的アミノ酸置換を有するGenBank受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、またはNP_071878に示されるアミノ酸配列;GenBank受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、またはNP_071878と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列、およびこれらの機能断片の、すべて、またはその一部分を含んでなるポリペプチドが含まれる。本発明のポリペプチドにはまた、GenBank受託番号AAH01042、NP_036371、NP_001017524、もしくはNP_071878の相同体(例:オルソログおよびパラログ)、変異体、または断片も含まれる。一つの実施態様では、SIRT3タンパク質には、ミトコンドリアマトリックスプロセッシングペプチダーゼ(MPP)および/またはミトコンドリア中間ペプチダーゼ(mitochondrial intermediate peptidase)(MIP)による開裂によって産生されるSIRT3タンパク質の断片が含まれる。
「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」、および「末梢投与される」という用語は、本技術分野で認識されており、対象組成物、治療薬、またはその他の物質を、中枢神経系への直接の投与以外で投与し、それによって、それが患者の系内に進入して、代謝およびその他の同様のプロセスを受けることを意味する。
「治療薬」という用語は、本技術分野で認識されており、被験体内にて局所的または全身的に作用する、生物学的、生理学的、または薬理学的に活性な物質のいずれかの化学的部分を意味する。この用語はまた、疾患の診断、治癒、軽減、治療、もしくは予防に、または、動物もしくはヒトにおける、所望の身体的もしくは精神的発達および/または状態の促進に用いることが意図されるいずれの物質をも意味する。
「治療効果」という用語は、本技術分野で認識されており、薬理学的に活性である物質によって引き起こされる、動物、特には哺乳類、より特にはヒトにおける局所的もしくは全身的効果を意味する。「治療効果量」という表現は、いずれの治療にも適用される適正なベネフィット/リスク比にて、ある種の所望される局所的または全身的効果をもたらすような物質の量を意味する。そのような物質の治療効果量は、治療される被験体および疾患状態、被験体の体重および年齢、疾患状態の重症度、ならびに投与方法などに応じて異なり、それは当業者であれば容易に決定することができる。例えば、本明細書で述べる特定の組成物は、そのような治療に適用される適正なベネフィット/リスク比にて、所望される効果をもたらすのに十分な量で投与することができる。
状態または疾患を「治療する」とは、その状態または疾患の少なくとも1つの症状を治癒、ならびに寛解させることを意味する。
「視力障害」という用語は、低下した視力を意味し、多くの場合、治療(例:外科手術)によって部分的にしか回復可能でないか、または回復不能である。特に重度の視力障害は「失明」または「視力喪失」と称され、これは、完全な視力の喪失、矯正レンズでは改善することができない20/200よりも悪い視力、または直径20度(半径10度)未満の視野を意味する。
2.サーチュイン調節因子
一つの態様では、本発明は、加齢もしくはストレスに関連する疾患または障害、糖尿病、肥満症、神経変性疾患、眼の疾患および障害、心血管疾患、血液凝固障害、炎症、癌、ならびに/または潮紅などが例として挙げられる広範囲にわたる種々の疾患および障害を治療ならびに/または予防するための新規なサーチュイン調節化合物を提供する。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、ミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう被験体の疾患もしくは障害の治療、筋肉の性能の向上、筋肉のATPレベルの上昇、または低酸素もしくは虚血に付随する筋肉組織の損傷の治療もしくは予防に対しても用いることができる。本明細書で開示されるその他の化合物は、医薬組成物における使用、および/または本明細書で開示される1もしくは2つ以上の方法における使用に対して適切であり得る。
一つの実施態様では、本発明のサーチュイン調節化合物は、構造式(I):
Figure 2011521960
〔ここで:
、Z、およびZは、各々独立して、NおよびCRから選択され、ここで、Rは、水素、ハロ、−OH、−C≡N、フルオロ置換C‐Cアルキル、−O−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−S−(C‐C)フルオロ置換アルキル、C‐Cアルキル、−O−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)アルキル、およびC‐Cシクロアルキルから選択され;
Yは、NおよびCRから選択され、ここで、Rは、水素、ハロ、−(C‐C)アルキル、−O−(C‐C)アルキル、および−O−(C‐C)フルオロ置換アルキルから選択され;
、Z、Z、およびYのうちの2つ以下はNであり;
Xは、−NH−C(=O)−†、−C(=O)−NH−†、−NH−C(=S)−†、−C(=S)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−S(=O)−NH−†、−S(=O)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−NH−C(=O)O−†、−OC(=O)NH−†、−NH−C(=O)NR−†、−NR−C(=O)NH−†、−NH−NR−†、−NR−NH−†、−O−NH−†、−NH−O−†、−NH−CR−†、−CR−NH−†、−NH−C(=NR)−†、−C(=NR)−NH−†から選択され、ここで、
†は、XがRと結合している部位を表し、ならびに、
およびRは、水素、C‐Cアルキル、CF、および(C‐Cアルキル)−CFから選択され;
は、炭素環およびヘテロ環から選択され、ここで、Rは、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、フルオロ置換C‐Cアルキル、−O−R、−S−R、−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−N(R)(R)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−(C‐Cアルキル)−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)(R)、および−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R)(R)から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、Rがフェニルの場合は、Rはまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、またはフルオロ置換3,4‐エチレンジオキシで置換されていてもよく、ここで、
は、各々独立して、水素および−C‐Cアルキルから選択されるか:または、2つのRが、それらが結合している窒素原子と共に一緒になって、N、S、S(=O)、S(=O)、およびOから選択される追加の1つのヘテロ原子を含んでなっていてもよい、4から8員環飽和へテロ環を形成し、ここで、アルキルは、1もしくは2つ以上の−OH、フルオロ、−NH、−NH(C‐Cアルキル)、−N(C‐Cアルキル)、−NH(CHCHOCH)、または−N(CHCHOCHで置換されていてもよく、および飽和へテロ環は、炭素原子上にて、−OH、−C‐Cアルキル、フルオロ、−NH、−NH(C‐Cアルキル)、−N(C‐Cアルキル)、−NH(CHCHOCH)、または−N(CHCHOCHで置換されていてもよく;または、
XおよびRが一緒になって、環A:
Figure 2011521960
または、環B:
Figure 2011521960
を形成し;
ここで、Z、Z、Z、Z、およびZは、各々独立して、CRおよびNから選択され、ここで、環BのZ、Z、Z、Z、およびZの1つ以下がNであり;
は、各々独立して、水素、C‐Cアルキル、−O−(C‐C)アルキル、−O−CF、C‐Cシクロアルキル、フェニル、およびヘテロシクリルから選択され、ここで、フェニルまたはヘテロシクリルは、ハロ、C‐Cアルキル、−O−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)アルキル、フルオロ置換C‐Cアルキル、−O−(C‐C)フルオロ置換アルキル、および−S−(C‐C)フルオロ置換アルキルから選択される1つの置換基で置換されていてもよく、ならびに、
は、炭素環原子を介して化合物の残りの部分と結合する炭素環およびヘテロ環から選択され、ここで、Rは、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−R、−S−R、−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−N(R)(R)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−(C‐Cアルキル)−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)(R)、−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R)(R)、−O−フェニル、フェニル、および第二のヘテロ環から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、Rがフェニルの場合は、Rはまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、またはフルオロ置換3,4‐エチレンジオキシで置換されていてもよく、ここで、Rのいずれかのフェニルもしくは第二のへテロ環置換基は、ハロ;−C≡N;C‐Cアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−NH−(C‐C)アルキル、および−N−(C‐Cアルキルで置換されていてもよい〕
で表される化合物またはその塩であり、
ここで、該化合物は:
Figure 2011521960
ではない。
特定の実施態様では、Xは、−NH−C(=O)−†、−C(=O)−NH−†、−NH−C(=S)−†、−C(=S)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−S(=O)−NH−†、−S(=O)−NH−†、−NH−C(=O)O−†、−OC(=O)NH−†、−NH−C(=O)NR−†、−NR−C(=O)NH−†、−NH−NR−†、−NR−NH−†、−O−NH−†、−NHO−†、−NH−CR−†、−CR−NH−†、−NH−C(=NR)−†、−C(=NR)−NH−†から選択され、ここで、†は、XがRと結合している部位を表し、ならびに、RおよびRは、独立して、水素、C‐Cアルキル、CF、および(C‐Cアルキル)−CFから選択される。
特定の実施態様では、Rは、炭素環原子を介して化合物の残りの部分と結合する炭素環およびへテロ環から選択され、ここで、Rは、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−R、−S−R、−NH−CH−CH(OH)−CHOH、−O−CH−CH(OH)−CHOH、−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−N(R)(R)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−(C‐Cアルキル)−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)(R)、−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R)(R)、−O−フェニル、フェニル、および第二のヘテロ環から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、Rがフェニルの場合は、Rはまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、またはフルオロ置換3,4‐エチレンジオキシで置換されていてもよく、ここで、Rのいずれかのフェニルもしくは第二のへテロ環置換基は、ハロ;−C≡N;C‐Cアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−NH−(C‐C)アルキル、および−N−(C‐Cアルキルで置換されていてもよい。特定の実施態様では、Rは、これらの値の1つを有し、Xは、前段落で述べた値の1つを有する。
特定の実施態様では、式(I)の化合物は、以下のいずれか1つ:
Figure 2011521960
によって表され、
ここで、各Xおよび各Rは、上記で定める通りである。
特定の実施態様では、式(I)の化合物は、以下によって表される:
Figure 2011521960
特定の実施態様では、式(I)の化合物は、以下によって表される:
Figure 2011521960
特定の実施態様では、Xは、−NH−C(=O)−†、−C(=O)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−S(=O)−NH−†、−S(=O)−NH−†、および−NH−S(=O)−†から選択される。特定の実施態様では、Xは、−NH−C(=O)−†、−C(=O)−NH−†から選択される。特定の実施態様では、Xは、−C(=O)−NH−†である。
特定の実施態様では、XおよびRは、一緒になって環Aを形成する。代表的な実施態様では、環Aは、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、およびテトラゾールなどの置換もしくは無置換の環から選択される。特定の実施態様では、XおよびRは、一緒になって環Bを形成する。代表的な実施態様では、環Bは、インドール、インダゾール、およびアザインドールなどの置換もしくは無置換の環から選択される。
特定の実施態様では、Rは、N、O、およびSから選択される1もしくは2つ以上のへテロ原子を含んでなるヘテロ環から選択される。特別の実施態様では、Rは、1もしくは2つの窒素を含んでなるヘテロ環から選択される。特別の実施態様では、Rは、SおよびNから選択される最大3つまでのヘテロ原子を含んでなるヘテロ環から選択される。他の実施態様では、Rは、OおよびNから選択される最大3つまでのヘテロ原子を含んでなるヘテロ環から選択される。特定の実施態様では、Rは:
Figure 2011521960
から選択される。
特定の実施態様では、Rは:
Figure 2011521960
から選択される。
特定の実施態様では、Rは、アリールおよびヘテロアリールから選択される。特定のそのような実施態様では、Rは:
Figure 2011521960
Figure 2011521960
から選択される。特別の実施態様では、Rは、化合物の残りの部分へのRの結合に対してメタ置換されており、ここで、Rは、上述のようにさらに置換されていてもよい。特定の実施態様では、Rは:
Figure 2011521960
から選択される。
特定の実施態様では、本発明の化合物は構造式(II):
Figure 2011521960
〔ここで、
Xは、−NH−C(=O)−†および−C(=O)−NH−†から選択され;
は、炭素環およびヘテロ環から選択され、ここで、Rは、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、フルオロ置換C‐Cアルキル、−O−R、−S−R、−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−N(R)(R)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−(C‐Cアルキル)−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)(R)、および−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R)(R)から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、Rがフェニルの場合は、Rはまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、またはフルオロ置換3,4‐エチレンジオキシで置換されていてもよく、ここで、
は、各々独立して、水素および−C‐Cアルキルから選択されるか:または、2つのRが、それらが結合している窒素原子と共に一緒になって、N、S、S(=O)、S(=O)、およびOから選択される追加の1つのヘテロ原子を含んでなっていてもよい、4から8員環飽和へテロ環を形成し、ここで、アルキルは、1もしくは2つ以上の−OH、フルオロ、−NH、−NH(C‐Cアルキル)、−N(C‐Cアルキル)、−NH(CHCHOCH)、または−N(CHCHOCHで置換されていてもよく、および飽和へテロ環は、炭素原子上にて、−OH、−C‐Cアルキル、フルオロ、−NH、−NH(C‐Cアルキル)、−N(C‐Cアルキル)、−NH(CHCHOCH)、または−N(CHCHOCHで置換されていてもよく;ならびに、
は、炭素環原子を介して化合物の残りの部分と結合する炭素環およびヘテロ環から選択され、ここで、Rは、ハロ、−C≡N、C‐C3アルキル、C3‐Cシクロアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−R、−S−R、−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−N(R)(R)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−(C‐Cアルキル)−O−(C‐Cアルキル)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)(R)、−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R)(R)、−O−フェニル、フェニル、および第二のヘテロ環から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、Rがフェニルの場合は、Rはまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、またはフルオロ置換3,4‐エチレンジオキシで置換されていてもよく、ここで、Rのいずれかのフェニルもしくは第二のへテロ環置換基は、ハロ;−C≡N;C‐Cアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−NH−(C‐C)アルキル、および−N−(C‐Cアルキルで置換されていてもよい〕
で表される。
特定の実施態様では、本発明の化合物は、構造式(III):
Figure 2011521960
〔ここで:
11、Z12、およびZ13は、各々独立して、NおよびCRから選択され、ここで、Rは、水素、ハロ、−OH、−C≡N、フルオロ置換C‐Cアルキル、−O−(C‐Cフルオロ置換アルキル)、−S−(C‐Cフルオロ置換アルキル)、C‐Cアルキル、−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−O−CHCH(OH)CHOH、−O−(C‐C)アルキル、−O−(C‐C)アルキル−N(R14)(R14)、−N(R14)(R14)、−S−(C‐C)アルキル、およびC‐Cシクロアルキルから選択され;
Yは、NおよびCR13から選択され、ここで、R13は、水素、ハロ、−C‐Cアルキル、−O−(C‐Cアルキル)、および−O−(C‐Cフルオロ置換アルキル)から選択され;
11、Z12、およびZ13、ならびにYのうちの2つ以下はNであり;
Xは、−NH−C(=O)−†、−C(=O)−NH−†、−NH−C(=S)−†、−C(=S)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−S(=O)−NH−†、−S(=O)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−NH−S(O)−NR15−†、−NR15−S(O)−NH−†、−NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、−NH−C(=O)NH−†、−NH−C(=O)NR15−†、−NR15−C(=O)NH−†、−NH−NR15−†、−NR15−NH−†、−O−NH−†、−NH−O−†、−NH−CR1516−†、−CR1516−NH−†、−NH−C(=NR15)−†、−C(=NR15)−NH−†、−C(=O)−NH−CR1516−†、−CR1516−NH−C(O)−†、−NH−C(=S)−CR1516−†、−CR1516−C(=S)−NH−†、−NH−S(O)−CR1516−†、−CR1516−S(O)−NH−†、−NH−S(O)−CR1516−†、−CR1516−S(O)−NH−†、−NH−C(=O)−O−CR1516−†、−CR1516−O−C(=O)−NH−†、−NH−C(=O)−NR14−CR1516−†、−NH−C(=O)−CR1516−†、および−CR1516−NH−C(=O)−O−†から選択され、ここで、
†は、XがR11と結合している部位を表し、ならびに:
15およびR16は、独立して、水素、C‐Cアルキル、CF、および−(C‐Cアルキル)−CFから選択され;
11は、炭素環およびヘテロ環から選択され、ここで、R11は、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、=O、−O−R14、−S−R14、−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−N(R14)(R14)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−C(O)−N(R14)(R14)、−C(O)−O−R14、および−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R14)(R14)から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、R11がフェニルの場合、R11はまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐エチレンジオキシ、O−(飽和へテロ環)、フルオロ置換−O−(飽和へテロ環)、およびC‐Cアルキル置換O−(飽和へテロ環)で置換されていてもよく、ここで、
14は、各々独立して、水素および−C‐Cアルキルから選択されるか;または、
2つのR14が、それらが結合している窒素原子と共に一緒になって、N、S、S(=O)、S(=O)、およびOから選択される追加の1つのヘテロ原子を含んでなっていてもよい、4から8員環飽和へテロ環を形成し、ここで:
14がアルキルの場合、このアルキルは、1もしくは2つ以上の−OH、−O−(C‐Cアルキル)、フルオロ、−NH、−NH(C‐Cアルキル)、−N(C‐Cアルキル)、−NH(CHCHOCH)、または−N(CHCHOCHで置換されていてもよく、および、
2つのR14が、それらが結合している窒素原子と共に一緒になって4から8員環飽和へテロ環を形成する場合、この飽和へテロ環は、炭素原子上にて、−OH、−C‐Cアルキル、フルオロ、−NH、−NH(C‐Cアルキル)、−N(C‐Cアルキル)、−NH(CHCHOCH)、または−N(CHCHOCHで置換されていてもよく;および、置換可能であるいずれかの窒素原子上にて、−C‐Cアルキル、フルオロ置換C‐Cアルキル、または−(CH−O−CHで置換されていてもよく;ならびに、
12は、炭素環原子を介して化合物の残りの部分と結合する炭素環およびヘテロ環から選択され、ここで、R12は、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−R14、−S−R14、−S(O)−R14、−S(O)−R14、−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−N(R14)(R14)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−C(O)−N(R14)(R14)、−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R14)(R14)、−O−フェニル、フェニル、および第二のヘテロ環から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、R12がフェニルの場合は、R12はまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐エチレンジオキシ、または−O−(飽和へテロ環)で置換されていてもよく、ここで、R12のいずれかのフェニル、飽和へテロ環、もしくは第二のへテロ環置換基は、ハロ;−C≡N;C‐Cアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−(C‐Cフルオロ置換アルキル)、−O−(C‐Cアルキル)、−S−(C‐Cアルキル)、−S−(C‐Cフルオロ置換アルキル)、−NH−(C‐Cアルキル)、および−N−(C‐Cアルキル)で置換されていてもよい〕
で表される化合物またはその塩であり、
ここで、化合物は:
Figure 2011521960
ではない。
構造式IIIの化合物の一つの態様では:
Xは、−NH−C(=O)−†、−C(=O)−NH−†、−NH−C(=S)−†、−C(=S)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−S(=O)−NH−†、−S(=O)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−NH−S(O)−NR15−†、−NR15−S(O)−NH−†、−NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、−NH−C(=O)NH−†、−NH−C(=O)NR15−†、−NR15−C(=O)NH−†、−NH−NR15−†、−NR15−NH−†、−O−NH−†、−NH−O−†、−NH−CR1516−†、−CR1516−NH−†、−NH−C(=NR15)−†、−C(=NR15)−NH−†、−CR1516−NH−C(O)−†、−NH−C(=S)−CR1516−†、−CR1516−C(=S)−NH−†、−NH−S(O)−CR1516−†、−CR1516−S(O)−NH−†、−NH−S(O)−CR1516−†、−CR1516−S(O)−NH−†、−NH−C(=O)−O−CR1516−†、−CR1516−O−C(=O)−NH−†、−NH−C(=O)−NR14−CR1516−†、−NH−C(=O)−CR1516−†、および−CR1516−NH−C(=O)−O−†から選択され、ここで、Xが−NH−C(=O)−†である場合、R11およびR12は、同時に、置換されていてもよいフェニルではない。
別の実施態様では、化合物は、以下の構造式を有する化合物のいずれか1つ:
Figure 2011521960
またはその塩から選択され、ここで、各Xおよび各Rは、構造式IIIに対して定められるものと同様である。本実施態様の一つの態様では、化合物は、以下の構造式を有する化合物のいずれか1つ:
Figure 2011521960
から選択される。
構造式IIIの別の実施態様では、Xは、−C(=O)−NH−†である。
構造式IIIのさらに別の実施態様では、R12は、アリールおよびヘテロアリールから選択される。本実施態様の一つの具体的な態様では、R12は:
Figure 2011521960
Figure 2011521960
から選択され;ここで、R12はさらに置換されていてもよい。本実施態様のさらなる態様では、R12は、
Figure 2011521960
から選択される。
構造式IIIのさらに別の実施態様では、R11は:
Figure 2011521960
から選択され;ここで、R11はさらに置換されていてもよい。本実施態様の一つの態様では、R11は、
Figure 2011521960
から選択される。
本発明の新規化合物を含む本発明の化合物は、本明細書で述べる方法で用いることもできる。
本明細書で述べる化合物およびその塩は、それらの対応する水和物(例:半水和物、一水和物、ニ水和物、三水和物、四水和物)、および溶媒和物も含む。溶媒和物および水和物の調製に適する溶媒は、一般的に当業者が選択することができる。
化合物およびその塩は、アモルファスまたは結晶(共結晶および多形を含む)の形態で存在していてよい。
本発明のサーチュイン調節化合物は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性、特にサーチュインタンパク質のデアセチラーゼ活性を調節することが有利である。
上記の性質とは別に、またはこれに追加して、本発明の特定のサーチュイン調節化合物は、サーチュインタンパク質(例:SIRT1および/またはSIRT3タンパク質など)の脱アセチル化活性の調節に効果的である化合物濃度において、以下に示す活性の1もしくは2つ以上を実質的に持たない:PI3キナーゼの阻害、アルドレダクターゼ(aldoreductase)の阻害、チロシンキナーゼの阻害、EGFRチロシンキナーゼのトランス活性化、冠動脈拡張(coronary dilation)、または鎮痙活性。
炭素環式には、5〜7員環の単環式、および8〜12員環の二環式環が含まれ、ここで、単環式または二環式環は、飽和、不飽和、および芳香族から選択される。炭素環は、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)フルオロ置換アルキル、ヒドロキシル、アミノ、−NH−(C‐C)アルキル、および−NH−(C‐Cアルキルから選択される1もしくは2つ以上の置換基で置換されていてもよい。代表的な炭素環としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、アダマンチル、フェニル、およびナフチルが挙げられる。
ヘテロ環式には、例えばN、O、およびS原子から選択される1もしくは2つ以上のへテロ原子を含んでなる4〜7員環の単環式、および8〜12員環の二環式環が含まれる。特定の実施態様では、ヘテロ環基は、飽和、不飽和、または芳香族から選択される。ヘテロ環は、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)フルオロ置換アルキル、−O−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)アルキル、−S−(C‐C)フルオロ置換アルキル、ヒドロキシル、アミノ、−NH−(C‐C)アルキル、および−NH−(C‐Cアルキルから選択される1もしくは2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
単環式環には、5〜7員環アリールもしくはヘテロアリール、3〜7員環シクロアルキル、および5〜7員環非芳香族へテロシクリルが含まれる。単環式環は、ハロ、シアノ、低級アルコキシ、低級アルキル、ヒドロキシル、アミノ、低級アルキルアミノ、および低級ジアルキルアミノから選択される1もしくは2つ以上の置換基で置換されていてもよい。代表的な単環式基としては、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジニル、チアジニル、ジチアニル、ジオキサニル、イソオキサゾリル、イソチオゾリル、トリアゾリル、フラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ピラニル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、ピロリジニル、チアジニル、オキサジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、モルホリニル、テトラヒドロチオフェニル、チオフェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘプタニル、アゼチジニル、オキセタニル、チイラニル、オキシラニル、アジリジニル、およびチオモルホリニルなどの置換もしくは無置換のへテロ環が挙げられる。
芳香族(アリール)基としては、フェニル、ナフチル、およびアントラシルなどの炭素環式芳香族基、ならびにイミダゾリル、チエニル、フリル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロイル(pyrroyl)、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、およびテトラゾリルなどのヘテロアリール基が挙げられる。芳香族基にはまた、炭素環式芳香族環またはヘテロアリール環が1もしくは2つ以上の他のヘテロアリール環と縮合している、縮合多環式芳香族環系も含まれる。例としては、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、キノリニル、イソキノリニル、およびイソインドリルが挙げられる。
フルオロ置換には、一フルオロ置換からパーフルオロ置換までが含まれる。代表的なフルオロ置換C‐Cアルキルとしては、−CFH、CFH、−CF、−CHCHF、−CHCHF、−CHFCH、−CFCHFが挙げられる。パーフルオロ置換C‐Cアルキルとしては、例えば、−CFおよび−CFCFが挙げられる。
置換もしくは無置換として示される部分での適切な置換基は、開示された化合物が本明細書で開示される性質の1もしくは2つ以上を有する能力に実質的に干渉しないものである。置換基が化合物の性質に実質的に干渉するとは、置換基を持つ化合物におけるその性質の大きさが、置換基を持たない化合物と比較して約50%超減少する場合のことである。
本発明によって想定される置換基および変数の組み合わせは、安定な化合物を形成するものに限られる。本明細書で用いる「安定な」という用語は、製造を可能とするのに十分な安定性を持ち、本明細書で詳述する目的のために有用となるのに十分な期間にわたって化合物の一体性を維持する化合物を意味する。
本明細書で開示される化合物はまた、部分的および完全に重水素化された変異体も含む。特定の実施態様では、1もしくは2つ以上の重水素原子が、動態研究のために存在する。当業者であれば、そのような重水素原子が存在する部位を選択することができる。
本発明にはまた、本明細書で開示されるサーチュイン調節化合物の塩、特に薬理学的に許容される塩も含まれる。十分に酸性である基、十分に塩基性である基、または両方の官能基を持つ本発明の化合物は、数多くの無機塩基、ならびに無機および有機酸のいずれかと反応して、塩を形成することができる。別の選択肢として、四級窒素を持つものなど、元々帯電している化合物は、適切な対イオン(例:ブロミド、クロリド、もしくはフルオリドなどのハライド、特にブロミド)と共に塩を形成することができる。
酸付加塩の形成に通常用いられる酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにp‐トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p‐ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、および酢酸などの有機酸である。そのような塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、ニ水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン‐1,4‐二酸塩、ヘキシン‐1,6‐二酸塩、安息香酸塩、塩化安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ‐ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン‐1‐スルホン酸塩、ナフタレン‐2‐スルホン酸塩、およびマンデル酸塩などが挙げられる。
塩基付加塩には、アンモニウムまたはアルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、および炭酸水素塩などの無機塩基から誘導されるものが含まれる。本発明の塩の調製に有用であるそのような塩基としては、従って、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、および炭酸カリウムなどが挙げられる。
別の実施態様によると、本発明は、上記で定めるサーチュイン調節化合物を作製する方法を提供する。この化合物は、従来の技術を用いて合成することができる。容易に入手可能である出発物質から都合よくこれらの化合物が合成されることが有利である。
本明細書で述べるサーチュイン調節化合物の合成に有用である合成化学的変換および方法は、本技術分野で公知であり、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations (1989);T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2d. Ed. (1991);L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis (1994);およびL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (1995)、に記載のものが挙げられる。
代表的な実施態様では、サーチュイン調節化合物は、細胞の細胞膜を通過することができる。例えば、化合物は、少なくとも約20%、50%、75%、80%、90%、または95%の細胞透過性を有していてよい。
本明細書で述べるサーチュイン調節化合物はまた、以下の特性の1もしくは2つ以上も有していてよい:化合物は、細胞または被験体に対して本質的に無毒性であってよい;サーチュイン調節化合物は、有機分子、または2000amuもしくはそれ未満、1000amuもしくはそれ未満の低分子であってよい;化合物は、標準大気圧下での半減期が少なくとも約30日間、60日間、120日間、6ヶ月間、または1年間であってよい;化合物は、溶解状態での半減期が少なくとも約30日間、60日間、120日間、6ヶ月間、または1年間であってよい;サーチュイン調節化合物は、溶解状態において、リスベラトロールよりも少なくとも約50%、2倍、5倍、10倍、30倍、50倍、または100倍の率で安定であってよい;サーチュイン調節化合物は、DNA修復因子Ku70の脱アセチル化を促進するものであってよい;サーチュイン調節化合物は、RelA/p65の脱アセチル化を促進するものであってよい;化合物は、全般的な代謝回転率を増加させ、細胞のTNF誘発アポトーシスに対する感受性を高めるものであってよい。
特定の実施態様では、サーチュイン調節化合物は、(例えばインビボにて)サーチュインのデアセチラーゼ活性の調節に効果的である濃度にて、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)クラスI、HDACクラスII、またはHDAC IおよびIIを阻害する実質的な能力をまったく持たない。例えば、好ましい実施態様では、サーチュイン調節化合物は、サーチュイン活性化化合物であり、サーチュインデアセチラーゼ活性の活性化に対するEC50が、HDAC Iおよび/またはHDAC IIの阻害に対するEC50よりも少なくとも5倍低いように、さらにより好ましくは、少なくとも10倍、100倍、またはさらには1000倍低いように選択されるものである。HDAC Iおよび/またはHDAC IIの活性を分析するための方法は本技術分野で公知であり、そのような分析を実施するためのキットは市販のものを購入することができる。例えば、バイオビジョン(BioVision, Inc.)(マウンテンビュー,カリフォルニア州;ワールドワイドウェブ:biovision.com)およびトーマスサイエンティフィック(Thomas Scientific)(スエデスボロ(Swedesboro),ニュージャージー州;ワールドワイドウェブ:tomassci.com)を参照されたい。
特定の実施態様では、サーチュイン調節化合物は、サーチュイン相同体を調節する実質的な能力をまったく持たない。一つの実施態様では、ヒトサーチュインタンパク質の活性化薬は、(例えばインビボにて)ヒトサーチュインのデアセチラーゼ活性の活性化に効果的である濃度にて、低級真核生物、特に酵母またはヒト病原体からのサーチュインタンパク質を活性化する実質的な能力をまったく持ってはならない。例えば、サーチュイン活性化化合物は、SIRT1および/またはSIRT3などのヒトサーチュインのデアセチラーゼ活性の活性化に対するEC50が、Sir2などの酵母サーチュイン(カンジダ、S.セレビシエなど)の活性化に対するEC50よりも少なくとも5倍低いように選択することができ、さらにより好ましくは、少なくとも10倍、100倍、またはさらには1000倍低いものを選択することができる。別の実施態様では、低級真核生物、特に酵母またはヒト病原体からのサーチュインタンパク質の阻害薬は、(例えばインビボにて)低級真核生物からのサーチュインタンパク質のデアセチラーゼ活性の阻害に効果的である濃度にて、ヒトからのサーチュインタンパク質を阻害する実質的な能力をまったく持たない。例えば、サーチュイン阻害化合物は、SIRT1および/またはSIRT3などのヒトサーチュインのデアセチラーゼ活性の阻害に対するIC50が、Sir2などの酵母サーチュイン(カンジダ、S.セレビシエなど)の阻害に対するIC50よりも少なくとも5倍低いように選択することができ、さらにより好ましくは、少なくとも10倍、100倍、またはさらには1000倍低いものを選択することができる。
特定の実施態様では、サーチュイン調節化合物は、例えば、ヒトSIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の1もしくは2つ以上など、1もしくは2つ以上のサーチュインタンパク質相同体を調節する能力を有することができる。一つの実施態様では、サーチュイン調節化合物は、SIRT1およびSIRT3タンパク質の両方を調節する能力を有する。
他の実施態様では、SIRT1調節薬は、(例えばインビボにて)ヒトSIRT1のデアセチラーゼ活性の調節に効果的である濃度にて、例えばヒトSIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の1もしくは2つ以上などの他のサーチュインタンパク質相同体を調節する実質的な能力をまったく持たない。例えば、サーチュイン調節化合物は、ヒトSIRT1デアセチラーゼ活性の調節に対するED50が、ヒトSIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の1もしくは2つ以上の調節に対するED50よりも少なくとも5倍低いように選択することができ、さらにより好ましくは、少なくとも10倍、100倍、またはさらには1000倍低いものを選択することができる。一つの実施態様では、SIRT1調節薬は、SIRT3タンパク質を調節する実質的な能力をまったく持たない。
他の実施態様では、SIRT3調節薬は、(例えばインビボにて)ヒトSIRT3のデアセチラーゼ活性の調節に効果的である濃度にて、例えばヒトSIRT1、SIRT2、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の1もしくは2つ以上などの他のサーチュインタンパク質相同体を調節する実質的な能力をまったく持たない。例えば、サーチュイン調節化合物は、ヒトSIRT3デアセチラーゼ活性の調節に対するED50が、ヒトSIRT1、SIRT2、SIRT4、SIRT5、SIRT6、またはSIRT7の1もしくは2つ以上の調節に対するED50よりも少なくとも5倍低いように選択することができ、さらにより好ましくは、少なくとも10倍、100倍、またはさらには1000倍低いものを選択することができる。一つの実施態様では、SIRT3調節薬は、SIRT1タンパク質を調節する実質的な能力をまったく持たない。
特定の実施態様では、サーチュイン調節化合物は、約10−9M、10−10M、10−11M、10−12M、もしくはそれ未満のサーチュインタンパク質に対する結合親和性を有することができる。サーチュイン調節化合物は、その基質もしくはNAD+(もしくはその他の補助因子)に対するサーチュインタンパク質の見かけのKmを、少なくとも約2、3、4、5、10、20、30、50、もしくは100の倍率で低下(活性化薬)または上昇(阻害薬)させることができる。特定の実施態様では、Km値は、本明細書で述べる質量分析アッセイを用いて測定される。好ましい活性化化合物は、サーチュインのその基質もしくは補助因子に対するKmを、類似の濃度におけるリスベラトロールによって引き起こされるものよりも大きい程度で低下させるか、または、サーチュインのその基質もしくは補助因子に対するKmを、より低い濃度におけるリスベラトロールによって引き起こされるものと同程度に低下させる。サーチュイン調節化合物は、サーチュインタンパク質のVmaxを、少なくとも約2、3、4、5、10、20、30、50、もしくは100の倍率で上昇させることができる。サーチュイン調節化合物は、SIRT1および/またはSIRT3タンパク質のデアセチラーゼ活性の調節に対するED50として、約1nM未満、約10nM未満、約100nM未満、約1μM未満、約10μM未満、約100μM未満、または約1〜10nM、約10〜100nM、約0.1〜1μM、約1〜10μM、もしくは約10〜100μMの値を有することができる。サーチュイン調節化合物は、細胞アッセイまたは細胞に基づくアッセイで測定したSIRT1および/またはSIRT3タンパク質のデアセチラーゼ活性を、少なくとも約5、10、20、30、50、もしくは100の倍率で調節することができる。サーチュイン活性化化合物は、同一の濃度のリスベラトロールと比較して、少なくとも約10%、30%、50%、80%、2倍、5倍、10倍、50倍、または100倍高いサーチュインタンパク質のデアセチラーゼ活性の誘発を引き起こすことができる。サーチュイン調節化合物は、SIRT1および/またはSIRT3の調節に対するED50よりも、少なくとも約10倍、20倍、30倍、50倍大きいSIRT5の調節に対するED50を有することができる。
3.代表的な使用
特定の態様では、本発明は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を調節するための方法、ならびにそれを用いる方法を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、サーチュイン調節化合物を用いるための方法を提供し、ここで、サーチュイン調節化合物は、サーチュインタンパク質を活性化し、例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、細胞の寿命の増加、ならびに、例えば、加齢もしくはストレスに関連する疾患または障害、糖尿病、肥満症、神経変性疾患、心血管疾患、血液凝固障害、炎症、癌、および/または潮紅などを含む広範囲にわたる種々の疾患および障害の治療、および/または予防、を例とする種々の治療用途に対して有用で有り得る。この方法は、それを必要とする被験体に、サーチュイン活性化化合物を例とするサーチュイン調節化合物の薬理学的効果量を投与することを含んでなる。
出願者は理論に束縛されることを望むものではないが、本発明の活性化薬は、サーチュインタンパク質内の同一の場所(例:活性部位、または活性部位のKmもしくはVmaxに影響を与える部位)でサーチュインと相互作用することができると考えられる。これが、特定のクラスのサーチュイン活性化薬および阻害薬が高い構造的類似性を有し得ることの理由であると考えられる。
特定の実施態様では、本明細書で述べるサーチュイン調節化合物は、単独で用いても、または他の化合物と組み合わせて用いてもよい。一つの実施態様では、2もしくは3つ以上のサーチュイン調節化合物の混合物を、それを必要とする被験体に投与してよい。別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、以下の化合物:リスベラトロール、ブテイン、フィセチン、ピセタノール、またはケルセチン、のうちの1もしくは2つ以上と共に投与してよい。代表的な実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、ニコチン酸と組み合わせて投与してよい。別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を減少させるサーチュイン調節化合物を、以下の化合物:ニコチンアミド(NAM)、スラニム(suranim);NF023(G‐タンパク質アンタゴニスト);NF279(プリン受容体アンタゴニスト);トロロクス(6‐ヒドロキシ‐2,5,7,8,テトラメチルクロマン‐2‐カルボン酸);(−)‐エピガロカテキン(3、5、7、3’、4’、5’位にヒドロキシ);(−)‐エピガロカテキンガレート(5、7、3’、4’、5’位にヒドロキシ、および3位にガレートエステル);シアニジンクロリド(3,5,7,3’,4’‐ペンタヒドロキシフラビリウムクロリド);デルフィニジンクロリド(3,5,7,3’,4’,5’‐ヘキサヒドロキシフラビリウムクロリド);ミリセチン(カンナビスセチン;3,5,7,3’,4’,5’‐ヘキサヒドロキシフラボン);3,7,3’,4’,5’‐ペンタヒドロキシフラボン;ゴシペチン(3,5,7,8,3’,4’‐ヘキサヒドロキシフラボン)、サーチノール(sirtinol);およびスプリトマイシン、のうちの1もしくは2つ以上と共に投与してよい。さらに別の実施態様では、1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物を、例えば、癌、糖尿病、神経変性疾患、心血管疾患、血液凝固障害、炎症、潮紅、肥満症、老化、ストレスなどを含む、種々の疾患の治療または予防のための1もしくは2つ以上の治療薬と共に投与してよい。種々の実施態様では、サーチュイン調節化合物を含んでなる併用療法とは、(1)1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物を1もしくは2つ以上の治療薬(例:本明細書で述べる1もしくは2つ以上の治療薬)と組み合わせて含んでなる医薬組成物;および(2)1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物と1もしくは2つ以上の治療薬との共投与であって、ここで、サーチュイン調節化合物および治療薬が同一の組成物として製剤されていない(しかし、ブリスターパックもしくはその他のマルチチェンバーパッケージ(multi-chamber package);連結されていて使用者が分離することができる別々にシールされた容器(例:ホイルパウチ(foil pouches));または、1もしくは複数のサーチュイン調節化合物および1もしくは複数のその他の治療薬が別々の容器に収容されているキットなど、同一のキットもしくはパッケージ内に存在していてもよい)共投与、を意味し得る。別々の製剤を用いる場合、サーチュイン調節化合物は、別の治療薬の投与と同時に、断続的に、時間をずらして、その前に、それに続いて、またはこれらの組み合わせによって投与してよい。
特定の実施態様では、サーチュイン調節化合物を用いる疾患もしくは障害の軽減、予防、または治療のための方法はまた、ヒトSIRT1、SIRT2、および/もしくはSIRT3、またはこれらの相同体などのサーチュインのタンパク質レベルを増加させることも含んでなっていてよい。タンパク質レベルの増加は、サーチュインをコードする核酸の1もしくは2つ以上のコピーを細胞へ導入することによって達成することができる。例えば、哺乳類細胞中のサーチュインのレベルは、サーチュインをコードする核酸を哺乳類細胞へ導入することによって増加させることができ、例えば、GenBank受託番号NP_036370に示されるアミノ酸配列をコードする核酸を導入することによって、SIRT1のレベルが増加し、および/またはGenBank受託番号AAH01042に示されるアミノ酸配列をコードする核酸を導入することによって、SIRT3のレベルが増加する。
サーチュインのタンパク質レベルを増加させるために細胞へ導入される核酸は、SIRT1および/またはSIRT3タンパク質を例とするサーチュインの配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性を有するタンパク質をコードするものであってよい。例えば、このタンパク質をコードする核酸は、SIRT1(例:GenBank受託番号NM_012238)および/またはSIRT3(例:GenBank受託番号BC001042)タンパク質をコードする核酸と少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性を有していてよい。この核酸はまた、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下にて、SIRT1および/またはSIRT3タンパク質を例とする野生型サーチュインをコードする核酸とハイブリダイズする核酸であってもよい。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、0.2×SSC中、65℃でのハイブリダイゼーションおよび洗浄が含まれていてよい。野生型サーチュインの断片であるタンパク質など、野生型サーチュインタンパク質とは異なるタンパク質をコードする核酸を用いる場合、このタンパク質は生物学的に活性であることが好ましく、例えば、脱アセチル化能を有する。サーチュインの生物学的に活性である部分が細胞内で発現されることのみが必要である。例えば、GenBank受託番号NP_036370を持つ野生型SIRT1と異なるタンパク質は、好ましくは、そのコア構造を有する。コア構造は、GenBank受託番号NP_036370のアミノ酸62〜293を意味する場合があり、これは、GenBank受託番号NM_012238のヌクレオチド237から932によってコードされ、NAD結合ならびに基質結合ドメインを包含する。SIRT1のコアドメインはまた、GenBank受託番号NM_012238のヌクレオチド834から1394によってコードされるGenBank受託番号NP_036370のおよそアミノ酸261から447まで;GenBank受託番号NM_012238のヌクレオチド777から1532によってコードされるGenBank受託番号NP_036370のおよそアミノ酸242から493まで;または、GenBank受託番号NM_012238のヌクレオチド813から1538によってコードされるGenBank受託番号NP_036370のおよそアミノ酸254から495まで、を意味する場合もある。脱アセチル化能を例とする生物学的機能をタンパク質が維持しているかどうかの判定は、本技術分野で公知の方法によって行うことができる。
特定の実施態様では、サーチュイン調節化合物を用いる疾患もしくは障害の軽減、予防、または治療のための方法はまた、ヒトSIRT1、SIRT2、および/もしくはSIRT3、またはこれらの相同体などのサーチュインのタンパク質レベルを減少させることも含んでなる。サーチュインタンパク質レベルの減少は、本技術分野で公知の方法に従って達成することができる。例えば、siRNA、アンチセンス核酸、またはサーチュインへ標的化されたリボザイムを、細胞内で発現させることができる。脱アセチル化能を持たない変異体を例とするドミナントネガティブであるサーチュイン変異体もまた、用いることができる。例えば、SIRT1の変異体H363Yを用いることができ、これは、例えば、Luo et al. (2001) Cell 107:137、に記載されている。別の選択肢として、転写を阻害する剤を用いることができる。
サーチュインタンパク質のレベルを調節するための方法はまた、サーチュインをコードする遺伝子の転写を調節するための方法、対応するmRNAを安定化/不安定化させるための方法、および本技術分野で公知のその他の方法も含む。
老化/ストレス
一つの実施態様では、本発明は、細胞の寿命の延長、細胞の増殖能の拡大、細胞の老化の鈍化(slowing aging of a cell)、細胞の生存の促進、細胞における細胞老化の遅延(delaying cellular senescence in a cell)、カロリー制限効果の模倣、細胞のストレスへの耐性の増加、または細胞のアポトーシスの阻止を、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる本発明のサーチュイン調節化合物を細胞と接触させることによって行う方法を提供する。代表的な実施態様では、この方法は、サーチュイン活性化化合物を細胞と接触させることを含んでなる。
本明細書で述べる方法を用いて、細胞、特に一次細胞(すなわち、ヒトを例とする生物から得られた細胞)を、細胞培養物中で生存させることができる時間を延長することができる。胚性幹(ES)細胞および多能性細胞、ならびにこれらから分化した細胞もまた、これらをサーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物で処理することにより、この細胞またはその後代細胞を培養物中で維持する期間をより長くすることができる。このような細胞はまた、例えばエクスビボでの修飾の後の、被験体への移植に用いることもできる。
一つの実施態様では、長期間保存することを意図する細胞を、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物で処理することができる。細胞は懸濁状態であっても(例:血液細胞、血清、生物学的成長培地など)、または組織もしくは臓器中のものであってもよい。例えば、輸血の目的で個人から採取した血液を、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物で処理して、血液細胞をより長期間保存することができる。さらに、法医学的目的に用いられる予定である血液もまた、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて保存することができる。処理によってその寿命の延長またはアポトーシスからの保護を行うことができるその他の細胞としては、非ヒト哺乳類からの細胞(食用肉など)または植物細胞(野菜など)を例とする消費用の細胞が挙げられる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、哺乳類、植物、昆虫、または微生物の発生および成長フェーズの過程で、例えば、発生および/または成長プロセスを変化、遅延、または促進させることを目的に、適用することもできる。
別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、移植または細胞療法に有用である細胞を処理することができ、例えば、固形組織移植片(solid tissue grafts)、臓器移植片(organ transplants)、細胞懸濁物、幹細胞、骨髄細胞などが挙げられる。細胞または組織は、自家移植片、同種移植片、同系移植片、または異種移植片であってよい。細胞または組織のサーチュイン調節化合物による処理は、被験体への投与/移植の前、投与/移植と同時に、および/または投与/移植の後に行ってよい。細胞または組織の処理は、ドナー個人からの細胞の除去の前に、ドナー個人からの細胞もしくは組織の除去後にエクスビボで、またはレシピエントへの移植後に行ってよい。例えば、ドナーもしくはレシピエント個人は、サーチュイン調節化合物によって全身的に処理してよく、または、サーチュインタンパク質のレベルおよび/もしくは活性を増加させるサーチュイン調節化合物によって局部的に処理された細胞/組織のサブセットを有していてもよい。特定の実施態様では、細胞または組織(またはドナー/レシピエント個人)は、例えば免疫抑制薬、サイトカイン、血管新生因子など、移植片の生存期間を長くするために有用である別の治療薬によってさらに処理されてもよい。
さらに他の実施態様では、細胞は、例えばその寿命の増加もしくはアポトーシスの阻止のために、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物によりインビボで処理されてよい。例えば、皮膚または上皮細胞をサーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物で処理することにより、皮膚を老化(例:シワの発生、弾力性の喪失など)から保護することができる。代表的な実施態様では、皮膚は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を含んでなる医薬組成物または美容組成物と接触される。本明細書で述べる方法に従って処理することができる代表的な皮膚の病気(afflictions)または皮膚の状態としては、炎症、太陽光線による損傷、もしくは自然の老化に付随または起因する、障害または疾患が挙げられる。例えば、これらの組成物は、接触皮膚炎(刺激性接触皮膚炎およびアレルギー性接触皮膚炎を含む)、アトピー性皮膚炎(アレルギー性湿疹としても知られる)、日光角化症、角質化障害(湿疹を含む)、表皮水疱症(天疱瘡(penfigus)を含む)、剥脱性皮膚炎、脂漏性湿疹、紅斑(多形性紅斑および結節性紅斑を含む)、太陽もしくはその他の光線源に起因する損傷、円板状エリテマトーデス、皮膚筋炎、乾癬、皮膚癌、ならびに自然の老化による影響を防止または治療するのに有用である。別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、創傷および/または熱傷の治療に用いて治癒を促進することができ、例えば、第1度、第2度、もしくは第3度熱傷、および/または温熱熱傷、化学熱傷、もしくは電気熱傷が挙げられる。製剤は、皮膚または粘膜組織へ局所的に投与することができる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の1もしくは2つ以上を含んでなる局所製剤はまた、例えば化学予防的である予防組成物として用いることもできる。化学予防的方法に用いられる場合は、特定の個人においていかなる視認可能な状態も発生する前に、感受性皮膚が処理される。
サーチュイン調節化合物は、被験体へ局所的に送達されても、または全身的に送達されてもよい。一つの実施態様では、サーチュイン調節化合物は、注射、局所製剤などにより、被験体の組織または臓器へ局所的に送達される。
別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、被験体内の細胞老化によって誘発もしくは悪化される疾患、もしくは状態の治療または予防;例えば老化の開始後に、被験体の老化速度を低下させるための方法;被験体の寿命を延長するための方法;寿命に関連する疾患もしくは状態を治療または予防するための方法;細胞の増殖能に関連する疾患もしくは状態を治療または予防するための方法;ならびに、細胞損傷または細胞死に起因する疾患もしくは状態を治療または予防するための方法、に用いることができる。特定の実施態様では、この方法は、被験体の寿命を短縮する疾患の発生率を低下するようには作用しない。特定の実施態様では、方法は、癌などの疾患によって引き起こされる死亡率を低下するようには作用しない。
さらに別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、細胞の寿命を全般的に増加させること、および細胞をストレスおよび/またはアポトーシスから保護することを目的として、被験体へ投与することができる。被験体を本明細書で述べる化合物で治療することは、被験体にホルミシス、すなわち、生物に有益であり、その寿命を延長し得る緩やかなストレスを施すことと類似であると考えられる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、被験体へ投与して、脳卒中、心疾患、心不全、関節炎、高血圧、およびアルツハイマー病などの老化および老化に関連する結果または疾患を予防することができる。治療することができるその他の状態としては、白内障、緑内障、および黄斑変性症など、眼の老化に関連するものを例とする眼障害が挙げられる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、細胞を細胞死から保護することを目的として被験体へ投与し、慢性疾患を例とする細胞死に関連する疾患を治療することもできる。代表的な疾患としては、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、側索硬化症、および筋ジストロフィーなど、神経細胞死、神経細胞機能障害、または筋肉細胞死もしくは機能障害と関連する疾患;AIDS;劇症肝炎;クロイツフェルト‐ヤコブ病、網膜色素変性症、および小脳変性症など、脳の変性と関連する疾患;再生不良性貧血などの脊髄形成異常症(myelodysplasis);心筋梗塞および脳卒中などの虚血性疾患;アルコール性肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎などの肝疾患;骨関節炎などの関節疾患;粥状動脈硬化;脱毛症;紫外線による皮膚への損傷;扁平苔癬;皮膚萎縮症;白内障;ならびに移植片拒絶、が挙げられる。細胞死はまた、外科手術、薬物治療、化学物質への曝露、または放射線への曝露によっても引き起こされ得る。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、臓器もしくは組織への損傷を例とする急性疾患に罹患する被験体、例えば、脳卒中もしくは心筋梗塞に罹患する被験体、または脊髄損傷に罹患する被験体へ投与することもできる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、これを用いてアルコール依存症の肝臓を修復することもできる。
心血管疾患
別の実施態様では、本発明は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、それを必要とする被験体へ投与することによって心血管疾患を治療および/または予防するための方法を提供する。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて治療または予防することができる心血管疾患としては、特発性心筋症、代謝性心筋症、アルコール性心筋症、薬物誘発性心筋症(drug-induced cardiomyopathy)、虚血性心筋症、および高血圧性心筋症などの心筋症または心筋炎が挙げられる。本明細書に記載の化合物および方法を用いて治療可能または予防可能であるものとしては、さらに、大動脈、冠動脈、頚動脈、脳血管動脈、腎動脈、腸骨動脈、大腿動脈、および膝窩動脈などの主要な血管におけるアテローム性障害(大血管性疾患)である。治療または予防が可能であるその他の血管疾患としては、血小板凝集、網膜細動脈、糸球体細動脈、神経栄養血管、心臓細動脈、ならびに、関連する眼、腎臓、心臓、ならびに中枢および末梢神経系の毛細管床、に関連する疾患が挙げられる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、個人の血漿中HDLレベルを増加させるためにも用いることができる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物によって治療することができるさらにその他の障害としては、冠動脈インターベンションの後を例とする再狭窄、ならびに高密度および低密度コレステロールの異常レベルと関連する障害が挙げられる。
一つの実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、別の心血管薬との併用療法の一部として投与することができる。一つの実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、抗不整脈薬との併用療法の一部として投与することができる。別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、別の心血管薬との併用療法の一部として投与することができる。
細胞死/癌
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、ある量の放射線もしくはトキシンを最近受けたかまたは受ける可能性が高い被験体へ投与することができる。一つの実施態様では、放射線もしくはトキシンの量は、職業に関連する曝露の一部であるか、または予防的処置として投与されることを例とする医療的曝露の一部として受けるものである。別の実施態様では、放射線またはトキシンへの曝露は、意図せずに受けるものである。そのような場合は、曝露後できるだけ早く化合物を投与して、アポトーシスおよびそれに続く急性放射線症候群の発症を阻止することが好ましい。
サーチュイン調節化合物はまた、癌の治療および/または予防のために用いることもできる。特定の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、癌の治療および/または予防のために用いることができる。カロリー制限が、癌を含む老化に関連する障害の発症の低減と関連付けられている。従って、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性の増加は、例えば癌などの老化に関連する障害の発症の治療および/または予防に有用であり得る。サーチュイン調節化合物を用いて治療することができる代表的な癌は、脳および腎臓の癌;乳癌、前立腺癌、精巣癌、および卵巣癌を含むホルモン依存性癌;リンパ腫、ならびに白血病である。固形腫瘍と関連する癌の場合、調節化合物を、腫瘍へ直接投与することができる。白血病を例とする血液細胞の癌は、血液流または骨髄へ調節化合物を投与することによって治療することができる。疣贅を例とする良性の細胞増殖も治療することができる。治療することができるその他の疾患としては、全身性エリテマトーデス、強皮症、および関節炎を例とする自己免疫疾患が挙げられ、この場合は、自己免疫細胞を除去する必要がある。ヘルペス、HIV、アデノウイルス、およびHTLV‐1などのウイルス感染症と関連する悪性ならびに良性の障害もまた、サーチュイン調節化合物の投与によって治療することができる。別の選択肢として、細胞を被験体から採取し、エクスビボで処理して癌細胞を例とする特定の望ましくない細胞を除去し、同一のまたは異なる被験体へ投与して戻すこともできる。
化学療法薬を、アポトーシスを誘発する化合物、寿命を減少させる化合物、または細胞をストレス感受性とする化合物を例とする、本明細書にて抗癌活性を有すると記載の調節化合物と共に共投与することができる。化学療法薬は、細胞死を誘発するか、もしくは寿命を減少させるか、もしくはストレス感受性を高めると本明細書に記載のサーチュイン調節化合物と共に、それ単独で投与してよく、および/またはその他の化学療法薬と組み合わせてもよい。従来の化学療法薬に加えて、本明細書で述べるサーチュイン調節化合物はまた、アンチセンスRNA、RNAi、またはその他のポリヌクレオチドと共に用いて、望ましくない細胞増殖に寄与する細胞成分の発現を阻害することもできる。
サーチュイン調節化合物および従来の化学療法薬を含んでなる併用療法は、この組み合わせによって、従来の化学療法薬がより低い用量でより大きな効果を引き起こすことが可能となることから、本技術分野で公知の併用療法よりも有利であり得る。好ましい実施態様では、化学療法薬または従来の化学療法薬の組み合わせに対する効果用量(ED50)は、サーチュイン調節化合物と共に組み合わせて用いられる場合、その化学療法薬単独に対するED50よりも少なくとも2倍少なく、さらにより好ましくは、5倍、10倍、またはさらには25倍少ない。逆に、本明細書で述べるサーチュイン調節化合物と組み合わせて用いた場合のそのような化学療法薬またはそのような化学療法薬の組み合わせに対する治療指数(TI)は、従来の化学療法レジメン単独に対するTIよりも少なくとも2倍大きい場合があり、さらにより好ましくは、5倍、10倍、またはさらには25倍大きい。
神経細胞疾患/障害
特定の態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、神経変性疾患、および中枢神経系(CNS)、脊髄、もしくは末梢神経系(PNS)への心的外傷(traumatic injury)または機械的外傷に罹患する患者を治療することができる。神経変性疾患は、通常、ヒト脳の質量および体積の減少を伴い、この原因は、脳細胞の萎縮および/または死滅であり得、それは、老化に帰することができる健康なヒトのものより遥かに重大である。神経変性疾患は、特定の脳領域の進行性の変性(例:神経細胞の機能障害および死滅)により、長期間にわたる正常な脳の機能の後、次第に進展し得る。別の選択肢として、神経変性疾患は、心的外傷またはトキシンと関連するものなど、早期にも発症し得る。実際の脳変性の発症は、臨床的な発症の何年も前であり得る。神経変性疾患の例としては、これらに限定されないが、アルツハイマー病 (AD)、パーキンソン病 (PD)、ハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルーゲーリック病)、びまん性レビー小体病、有棘赤血球舞踏病、原発性側索硬化症、眼疾患(眼神経炎)、化学療法誘発性神経障害(例:ビンクリスチン、パクリタキセル、ボルテゾミブから)、糖尿病誘発性神経障害、およびフリードライヒ運動失調症が挙げられる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、これらの障害および以下で述べるその他の障害を治療することができる。
ADは、記憶喪失、異常行動、性格変化、および思考能力の減退をもたらすCNS障害である。これらの喪失は、脳細胞の特定の型の死滅、ならびにそれらの間の連結および支持ネットワーク(例:グリア細胞)の分解が関連している。最も初期の症状としては、近似記憶(recent memory)の喪失、不完全な判断(faulty judgment)、および性格の変化が挙げられる。PDは、制御されない身体の動き、硬直、振戦、およびジスキネジアをもたらすCNS障害であり、ドーパミンを産生する脳領域内の脳細胞の死滅が関連している。ALS(運動神経細胞疾患)は、運動神経細胞、脳を骨格筋と連結しているCNSの成分を攻撃するCNS障害である。
HDは、制御されない動き、知的能力の喪失、および情緒障害を引き起こす別の神経変性疾患である。テイ‐サックス病およびサンドホフ病は、糖脂質蓄積症(glycolipid storage diseases)であり、これは、GM2ガングリオシドおよびβ‐ヘキソサミニダーゼに対する関連する糖脂質基質が神経系に蓄積され、急性の神経変性を引き起こすものである。
アポトーシスが、免疫系におけるAIDSの病因において役割を担っていることは公知である。しかし、HIV‐1は、神経疾患も誘発し、これは、本発明のサーチュイン調節化合物で治療することができる。
神経細胞の喪失は、ヒトにおけるクロイツフェルト‐ヤコブ病、畜牛におけるBSE(狂牛病)、ヒツジおよびヤギにおけるスクレイピー病、ならびにネコにおけるネコ海綿状脳症(FSE)などのプリオン疾患の顕著な特徴でもある。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、このようなプリオン疾患に起因する神経細胞の喪失の治療または予防に有用であり得る。
別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、軸索障害が関与するいかなる疾患もしくは障害をも治療または予防することができる。遠位軸索障害(distal axonopathy)は、末梢神経系(PNS)神経細胞のある種の代謝性もしくは中毒性の錯乱(derangement)に起因する末梢神経障害の一種である。これは、代謝性または中毒性の障害に対する神経の最も一般的な反応であり、従って、糖尿病、腎不全、栄養障害およびアルコール依存症などの不全症候群(deficiency syndrome)などの代謝性疾患、またはトキシンもしくは薬物の影響によって引き起こされ得る。遠位軸索障害に罹患している場合、通常、左右対称の手袋靴下型感覚運動障害(glove-stocking sensori-motor disturbances)が見られる。影響を受けている領域では、深部腱反射および自律神経系(ANS)機能も喪失または減退する。
糖尿病性神経障害は、真性糖尿病に付随する神経障害である。糖尿病性神経障害に付随し得る比較的一般的な状態としては、第三脳神経麻痺;単神経障害;多発性単神経炎;糖尿病性筋萎縮症;有痛性多発神経障害(painful polyneuropathy);自律神経障害;および胸腹部神経障害(thoracoabdominal neuropathy)が挙げられる。
末梢神経障害は、末梢神経系の神経の損傷に対する医学用語であり、神経の疾患、または全身病の副作用に起因し得る。末梢神経障害の主たる病因としては、癲癇、栄養障害、およびHIVが挙げられるが、最も考えられる病因は糖尿病である。
代表的な実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、多発性硬化症 (MS)、再発性MSおよび単一症状性MSを含む、ならびに、例えば、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)またはそれに付随する症状などのその他の脱髄状態を治療、または予防することができる。
さらに別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、疾患、傷害(外科的インターベンションを含む)、または環境的外傷(例:神経毒、アルコール依存症など)に起因する外傷を含む神経への外傷を治療することができる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、種々のPNS障害の症状を予防、治療、および軽減するのにも有用であり得る。「末梢神経障害」という用語は、脳外の神経および脊髄、すなわち末梢神経、が損傷を受けた広範囲にわたる障害を包含する。末梢神経障害は、末梢神経炎と称される場合もあり、または、多くの神経が関与している場合は、多発神経障害または多発神経炎という用語が用いられる場合もある。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物で治療可能であるPNS疾患としては:糖尿病、ハンセン病、シャルコー‐マリー‐トゥース病、ギラン‐バレー症候群、および腕神経叢障害(頚神経根および第1胸神経根、神経幹、脊髄(cord)、および腕神経叢の末梢神経成分の疾患)が挙げられる。
別の実施態様では、サーチュイン活性化化合物を用いて、ポリグルタミン病を治療または予防することができる。代表的なポリグルタミン病としては、球脊髄性筋萎縮症 (ケネディ病)、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(ハウリバー症候群(Haw River syndrome))、脊髄小脳失調症1型、脊髄小脳失調症2型、脊髄小脳失調症3型(マシャド‐ジョセフ病)、脊髄小脳失調症6型、脊髄小脳失調症7型、および脊髄小脳失調症17型が挙げられる。
特定の実施態様では、本発明は、中枢神経系細胞を処理して、細胞への血流の低下に反応した損傷を予防する方法を提供する。通常、予防することができる損傷の重症度は、主として、細胞への血流の低下の度合いおよび低下の継続期間に依存する。一つの実施態様では、アポトーシスもしくはネクローシス細胞死を予防することができる。なおさらなる実施態様では、細胞毒性浮腫(cytoxic edema)または中枢神経系組織無酸素血症などの虚血性の損傷(ischemic-mediated damage)を予防することができる。各実施態様では、中枢神経系細胞は、脊髄細胞または脳細胞であってよい。
別の態様は、サーチュイン活性化化合物を被験体へ投与して、中枢神経系の虚血状態を治療することを包含する。本明細書で述べるサーチュイン活性化化合物によって、数多くの中枢神経系の虚血状態を治療することができる。一つの実施態様では、虚血状態は、アポトーシスもしくはネクローシス細胞死、細胞毒性浮腫、または中枢神経系組織無酸素症など、いずれの種類の虚血性の中枢神経損傷をももたらす脳卒中である。脳卒中は、脳のいかなる領域にも影響を与え得るか、または、脳卒中の発症をもたらすことが一般的に公知である病因のいずれによっても引き起こされ得る。本実施態様の一つの別の選択肢では、脳卒中は脳幹卒中である。本実施態様のもう一つの別の選択肢では、脳卒中は小脳卒中である。さらに別の実施態様では、脳卒中は塞栓性脳卒中である。さらにもう一つの別の選択肢では、脳卒中は出血性卒中であってよい。さらなる実施態様では、脳卒中は血栓性脳卒中である。
さらに別の態様では、サーチュイン活性化化合物を投与して、中枢神経系の虚血状態後の虚血コア(ischemic core)の梗塞サイズを低下させることができる。さらに、サーチュイン活性化化合物はまた、これを投与して、中枢神経系の虚血状態後の虚血周辺部(ischemic penumbra)または移行領域(transitional zone)のサイズを低下させることができることも有益である。
一つの実施態様では、併用薬物レジメンは、神経変性障害もしくはこれらの状態に付随する二次的状態の治療または予防のための薬物、または化合物を含んでよい。従って、併用薬物レジメンは、1もしくは2つ以上のサーチュイン活性化薬および1もしくは2つ以上の抗神経変性薬を含んでよい。
血液凝固障害
他の態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、血液凝固障害(または止血障害)を治療または予防することができる。本明細書で交換可能に用いることができる「止血」、「血液凝固」、および「凝血」という用語は、出血の制御を意味し、血管収縮および凝固の生理学的性質を含む。血液凝固は、傷害、炎症、疾患、先天性欠損、機能障害、またはその他の破損の後、哺乳類の循環の完全性を維持する補助を行う。さらに、血栓の形成は、傷害の場合に出血を制限するだけでなく(止血)、重要な動脈または静脈の閉鎖によるアテローム硬化性疾患という点で重大な臓器の損傷および死をもたらし得る。従って、血栓症とは、不適切な時間および場所における血栓の形成である。
従って、本発明は、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患による四肢欠損(loss of a limb)、もしくは肺塞栓症などの血液凝固障害を予防または治療するために血栓の形成を阻止することを目的として、抗凝固および抗血栓治療を提供する。
本明細書で交換可能に用いられる「止血を調節するもしくは止血の調節」および「止血を制御するもしくは止血の制御」は、止血の誘発(例:刺激または増加)、ならびに止血の阻止(例:低下または減少)を含む。
一つの態様では、本発明は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を投与することによって、被験体における止血を低下または阻止するための方法を提供する。本明細書で開示する組成物および方法は、血栓性障害の治療または予防に有用である。本明細書で用いる「血栓性障害」という用語には、過剰のもしくは望ましくない凝固または止血作用、または過凝固状態を特徴とする、いかなる障害または状態をも含まれる。血栓性障害には、血小板粘着および血栓形成が関与する疾患または障害が含まれ、血栓数の増加を例とする血栓を形成する傾向の上昇、若年齢での血栓症、血栓症に対する家族性の傾向、および異常な部位における血栓症として発症し得る。
別の実施態様では、併用薬物レジメンは、血液凝固障害もしくはこれらの状態に付随する二次的状態の治療または予防のための薬物、または化合物を含んでよい。従って、併用薬物レジメンは、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物、ならびに1もしくは2つ以上の抗凝固薬または抗血栓薬を含んでよい。
体重制御
別の態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、被験体の体重増加もしくは肥満症を治療または予防することができる。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、例えば、遺伝性の肥満症、食事由来の肥満症、ホルモンに関連する肥満症、医薬の投与に関連する肥満症の治療もしくは予防、被験体の体重の減少、または被験体の体重増加の低減もしくは予防を行うことができる。そのような治療を必要とする被験体は、肥満である被験体、肥満となる可能性の高い被験体、過体重である被験体、または過体重となる可能性の高い被験体であってよい。肥満または過体重となる可能性の高い被験体は、例えば、家族歴、遺伝学、食事、活動レベル、医薬の摂取、またはこれらの種々の組み合わせに基づいて識別することができる。
さらに他の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、被験体の体重減少を促進することによって治療または予防することができるその他の種々の疾患および状態に罹患する被験体へ投与することができる。そのような疾患としては、例えば、高血圧、高血圧症、高血中コレステロール、脂質代謝異常、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能障害、高インスリン血症、冠動脈心疾患、狭心症、うっ血性心不全、脳卒中、胆石、胆嚢炎および胆石症、痛風、骨関節炎、閉塞型睡眠時無呼吸および呼吸器の障害、ある種の癌(子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、および結腸癌)、妊娠合併症、女性の生殖的健康状態の不良(月経不順、不妊症、不規則排卵など)、膀胱制御の障害(腹圧性尿失禁など);尿酸腎結石症;心理的障害(抑うつ、摂食障害、歪んだ身体像(distorted body image)、および希薄な自尊心(low self esteem)など)が挙げられる。最後に、AIDS患者は、AIDSの併用療法に対する反応として、リポジストロフィーまたはインスリン抵抗性を発症する場合がある。
別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、インビトロであれインビボであれ、脂肪生成または脂肪細胞分化の阻害に用いることができる。そのような方法は、肥満の治療または予防に用いることができる。
他の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、食欲の減退および/または満腹感の増大のために用いることができ、それによって体重減少または体重増加の回避がもたらされる。そのような治療を必要とする被験体は、過体重、肥満、または過体重もしくは肥満になる可能性の高い被験体であってよい。この方法は、毎日、または1日おき、または週1回、丸剤の形態を例とする用量を被験体に投与することを含んでなっていてよい。用量は、「食欲を減退させる用量」であってよい。
代表的な実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、体重増加もしくは肥満症を治療または予防するための併用療法として投与することができる。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物は、1もしくは2つ以上の抗肥満薬と組み合わせて投与することができる。
別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を投与して、薬物誘発性の体重増加を低減することができる。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、食欲を刺激し得るかまたは体重増加、特に水分貯留以外の要因による体重増加を引き起こし得る医薬との併用療法として投与することができる。
代謝障害/糖尿病
別の態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、インスリン抵抗性、前糖尿病状態、2型糖尿病、および/もしくはこれらの合併症などの代謝障害の治療または予防のために用いることができる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の投与により、インスリン感受性の増加および/または被験体におけるインスリンレベルの低下を起こすことができる。そのような治療を必要とする被験体は、インスリン抵抗性もしくはその他の2型糖尿病の前駆症状を有する被験体、2型糖尿病である被験体、またはこれらの状態のいずれかを発症する可能性の高い被験体であってよい。例えば、被験体は、インスリンの高循環レベルを例とするインスリン抵抗性、ならびに/または高脂血症、脂肪生成不全(dyslipogenesis)、高コレステロール血症、耐糖能障害、高血中グルコース糖レベル(high blood glucose sugar level)、シンドロームXのその他の症状、高血圧症、粥状動脈硬化、およびリポジストロフィーなどの関連する状態を有する被験体であってよい。
代表的な実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、代謝障害を治療または予防するための併用療法として投与することができる。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物は、1もしくは2つ以上の抗糖尿病薬と組み合わせて投与することができる。
炎症性疾患
その他の態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、炎症に関連する疾患もしくは障害を治療または予防することができる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、炎症の開始前に、炎症の開始時に、または炎症の開始後に投与してよい。予防的に用いる場合、この化合物は、何らかの炎症反応または症状が出る前に提供されることが好ましい。この化合物の投与により、炎症反応または症状を予防または軽減することができる。
別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、喘息、気管支炎、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素中毒、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸促迫症候群、およびいずれかの慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む、アレルギーならびに呼吸器状態を治療、または予防することができる。この化合物を用いて、B型肝炎およびC型肝炎を含む慢性肝炎感染症を治療することができる。
さらに、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、関節リウマチ、乾癬性関節炎、および強直性脊椎炎を含む関節炎、ならびに臓器‐組織自己免疫疾患(例:レイノー症候群)、潰瘍性大腸炎、クローン病、口腔粘膜炎、強皮症、重症筋無力症、移植片拒絶、内毒素ショック、敗血症、乾癬、湿疹、皮膚炎、多発性硬化症、自己免疫性甲状腺炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患(多腺性自己免疫症候群としても知られる)、およびグレーブス病などの、自己免疫疾患ならびに/または自己免疫疾患に付随する炎症を治療することができる。
特定の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物は、単独で摂取しても、または炎症の治療もしくは予防に有用であるその他の化合物と組み合わせて摂取してもよい。
潮紅
別の態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、障害の症状である潮紅および/もしくは顔面紅潮の発生または重症度を低減するために用いることができる。例えば、本方法には、癌患者における潮紅および/もしくは顔面紅潮の発生または重症度を低減するための、単独または他の薬剤と組み合わせての、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の使用が含まれる。他の実施態様では、この方法は、閉経期および閉経後の女性における潮紅、および/もしくは顔面紅潮の発生、または重症度を低減するための、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物の使用を提供する。
別の態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、薬物誘発性の潮紅を例とする別の薬物療法の副作用である潮紅および/もしくは顔面紅潮の発生または重症度を低減するための治療として用いることができる。特定の実施態様では、薬物誘発性の潮紅を治療および/または予防するための方法は、それを必要とする患者に、少なくとも1つの潮紅誘発化合物およびサーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させる少なくとも1つのサーチュイン調節化合物を含んでなる製剤を投与することを含んでなる。他の実施態様では、薬物誘発性の潮紅を治療するための方法は、潮紅を誘発する1もしくは2つ以上の化合物および1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物を別々に投与することを含んでなり、例えば、ここで、サーチュイン調節化合物と潮紅誘発剤とが同一の組成物に製剤されていない。別々の製剤を用いる場合、サーチュイン調節化合物の投与は、(1)潮紅誘発剤の投与と同時に、(2)潮紅誘発剤と断続的に、(3)潮紅誘発剤の投与に対して時間をずらして、(4)潮紅誘発剤の投与の前に、(5)潮紅誘発剤の投与に続いて、および(6)これらの種々の組み合わせによって行ってよい。代表的な潮紅誘発剤としては、例えば、ナイアシン、ファロキシフェン(faloxifene)、抗うつ薬、抗精神病薬、化学療法薬、カルシウムチャネル遮断薬、および抗生物質が挙げられる。
一つの実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、血管拡張薬または抗高脂血症薬(コレステロール低下薬および脂肪作用薬を含む)の潮紅副作用を低減することができる。代表的な実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、ナイアシンの投与に付随する潮紅を低減することができる。
別の実施態様では、本発明は、潮紅副作用を低減して高脂血症を治療および/または予防するための方法を提供する。別の代表的な実施態様では、この方法は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、ラロキシフェンの潮紅副作用を低減することを含む。別の代表的な実施態様では、この方法は、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、抗うつ薬または抗精神病薬の潮紅副作用を低減することを含む。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、セロトニン再取り込み阻害薬または5HT2受容体アンタゴニストと組み合わせて(別々または一緒に投与)用いることができる。
特定の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物をセロトニン再取り込み阻害薬(SRI)による治療の一部として用いて、潮紅を低減することができる。さらに別の代表的な実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、シクロホスファミドおよびタモキシフェンなどの化学療法薬の潮紅副作用を低減することができる。
別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、アムロジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬の潮紅副作用を低減することができる。
別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を用いて、抗生物質の潮紅副作用を低減することができる。例えば、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を、レボフロキサシンと組み合わせて用いることができる。
眼障害
本発明の一つの態様は、本明細書で開示される化合物、またはその薬理学的に許容される塩、プロドラッグ、もしくは代謝誘導体から選択されるサーチュイン調節薬の治療用量を患者へ投与することにより、視力障害を阻止、低減、またはそうでなければ治療するための方法である。
本発明の特定の態様では、視力障害は、視神経または中枢神経系への損傷によって引き起こされる。特別の実施態様では、視神経の損傷は、緑内障によって発生するものなどの高い眼圧によって引き起こされる。他の特別の実施態様では、視神経の損傷は、神経の膨張によって引き起こされ、これは、視神経炎の場合などの感染症または免疫(例:自己免疫)反応に付随する場合が多い。
本発明の特定の実施態様では、視力障害は、網膜の損傷によって引き起こされる。特別の実施態様では、網膜の損傷は、眼への血流の妨害によって引き起こされる(例:動脈硬化症、血管炎)。特別の実施態様では、網膜の損傷は、斑の障害によって引き起こされる(例:滲出性または非滲出性黄斑変性症)。
代表的な網膜疾患としては、滲出性加齢性黄斑変性症、非滲出性加齢性黄斑変性症、電子人工網膜およびRPE移植による加齢性黄斑変性症(Retinal Electronic Prosthesis and RPE Transplantation Age Related Macular Degeneration)、急性多源性板状色素上皮症(Acute Multifocal Placoid Pigment Epitheliopathy)、急性網膜壊死、ベスト病、網膜動脈分枝閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、癌に付随するおよび関連する自己免疫網膜症、網膜中心動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、中心性漿液性網脈絡膜症、イールズ病、黄斑上膜、網膜格子状変性、細動脈瘤(Macroaneurysm)、糖尿病性黄斑浮腫、アーヴァイン‐ガス黄斑浮腫、黄斑円孔、網膜下新生血管膜(Subretinal Neovascular Membranes)、びまん性片側性亜急性視神経網膜炎(Diffuse Unilateral Subacute Neuroretinitis)、非偽水晶体嚢胞状黄斑浮腫(Nonpseudophakic Cystoid Macular Edema)、推定眼ヒストプラスマ症候群、滲出性網膜剥離、術後網膜剥離、増殖性網膜剥離、裂孔原性網膜剥離、牽引性網膜剥離、網膜色素変性症、サイトメガロウイルス性網膜炎、網膜芽細胞腫、未熟児網膜症、散弾状網膜症、背景糖尿病性網膜症(Background Diabetic Retinopathy)、増殖性糖尿病性網膜症、異常ヘモグロビン症性網膜症(Hemoglobinopathies Retinopathy)、プルチェル網膜症、バルサルバ網膜症、若年性網膜分離症、老年性網膜分離症、テルソン症候群、および白点症候群が挙げられる。
その他の代表的な疾患としては、眼の細菌感染症(例:結膜炎、角膜炎、結核、梅毒、淋病)、ウイルス感染症(例:眼の単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス網膜炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))、ならびにHIVまたはその他のHIV関連およびその他の免疫不全関連眼疾患に続く進行性外側網膜壊死(progressive outer retinal necrosis)が挙げられる。さらに、眼疾患としては、真菌感染症(例:カンジダ脈絡膜炎、ヒストプラスマ症)、原虫感染症(例:トキソプラズマ症)、ならびに眼のトキソカラ症およびサルコイドーシスなどのその他の疾患が挙げられる。
本発明の一つの態様は、化学療法薬(例:神経毒性薬、ステロイドなどの眼圧を上昇させる薬物)による治療中の被験体における視力障害の阻止、低減、または治療を、そのような治療を必要とする被験体へ本明細書で開示するサーチュイン調節薬の治療用量を投与することによって行うための方法である。
本発明の別の態様は、眼の手術、または脊髄手術などの腹臥位で実施されるその他の手術を含む手術を受けている被験体における視力障害の阻止、低減、または治療を、そのような治療を必要とする被験体へ本明細書で開示するサーチュイン調節薬の治療用量を投与することによって行うための方法である。眼の手術としては、白内障、虹彩切開術、および水晶体交換が挙げられる。
本発明の別の態様は、白内障、ドライアイ、加齢性黄斑変性症(AMD)、および網膜損傷などを含む加齢性眼疾患の阻止および予防的治療を含む治療であって、そのような治療を必要とする被験体へ本明細書で開示するサーチュイン調節薬の治療用量を投与することによる治療である。
本発明の別の態様は、ストレス、化学的侵襲(chemical insult)、または放射線によって引き起こされる眼への損傷の予防または治療であって、そのような治療を必要とする被験体へ本明細書で開示するサーチュイン調節薬の治療用量を投与することによる予防または治療である。放射線または電磁気による眼への損傷としては、CRT、または太陽光線もしくは紫外線への曝露によって引き起こされるものを挙げることができる。
一つの実施態様では、併用薬物レジメンは、眼障害もしくはこれらの状態に付随する二次的状態の治療または予防のための薬物、または化合物を含んでよい。従って、併用薬物レジメンは、1もしくは2つ以上のサーチュイン活性化薬および眼障害の治療のための1もしくは2つ以上の治療薬を含んでよい。
一つの実施態様では、サーチュイン調節薬は、眼圧を低下させるための治療薬と組み合わせて投与することができる。別の実施態様では、サーチュイン調節薬は、緑内障を治療および/または予防するための治療薬と組み合わせて投与することができる。さらに別の実施態様では、サーチュイン調節薬は、視神経炎を治療および/または予防するための治療薬と組み合わせて投与することができる。一つの実施態様では、サーチュイン調節薬は、サイトメガロウイルス性網膜炎を治療および/または予防するための治療薬と組み合わせて投与することができる。別の実施態様では、サーチュイン調節薬は、多発性硬化症を治療および/または予防するための治療薬と組み合わせて投与することができる。
ミトコンドリア関連疾患および障害
特定の実施態様では、本発明は、ミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう疾患または障害を治療するための方法を提供する。この方法は、それを必要とする被験体に、サーチュイン活性化化合物の治療効果量を投与することを含む。ミトコンドリア活性の上昇とは、ミトコンドリアの全体数(例:ミトコンドリア質量)は維持した状態でミトコンドリアの活性を上昇させること、ミトコンドリアの数を増加させることによってミトコンドリア活性を上昇させること(例:ミトコンドリア生合成を刺激することによって)、またはこれらの組み合わせを意味する。特定の実施態様では、ミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう疾患または障害としては、ミトコンドリア機能障害と関連する疾患または障害が挙げられる。
特定の実施態様では、ミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう疾患または障害を治療するための方法は、ミトコンドリア機能障害に罹患する被験体を識別することを含んでなっていてよい。ミトコンドリア機能障害を診断するための方法には、分子遺伝学的、病理的、および/または生化学的分析が関与していてよい。ミトコンドリア機能障害と関連する疾患および障害としては、ミトコンドリア呼吸鎖活性(mitochondrial respiratory chain activity)の欠損が哺乳類におけるそのような疾患または障害の病態生理の発生に寄与している疾患および障害が挙げられる。ミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう疾患または障害としては、一般的に、例えば、遊離ラジカルが媒介する酸化的損傷が組織の変性を引き起こす疾患、細胞が不適切なアポトーシスを起こす疾患、および細胞がアポトーシスを起こさない疾患が挙げられる。
特定の実施態様では、本発明は、ミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう疾患または障害を治療するための方法であって、それを必要とする被験体に1もしくは2つ以上のサーチュイン活性化化合物を、例えば、ミトコンドリア機能障害の治療に有用である薬剤、またはミトコンドリア機能障害が関与する疾患もしくは障害に付随する症状の低減に有用である薬剤など、別の治療薬と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
代表的な実施態様では、本発明は、治療効果量のサーチュイン活性化化合物を被験体へ投与することによる、ミトコンドリア活性の上昇の恩恵を受けるであろう疾患または障害を治療するための方法を提供する。代表的な疾患または障害としては、例えば、神経筋障害(例:フリードライヒ失調症、筋ジストロフィー、多発性硬化症など)、神経細胞の不安定性の障害(例:発作性障害、片頭痛など)、発育遅延、神経変性障害(例:アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)、虚血、腎尿細管性アシドーシス、加齢性神経変性および認知機能低下、化学療法疲労(chemotherapy fatigue)、加齢性もしくは化学療法誘発性の閉経または不規則な月経周期もしくは排卵、ミトコンドリア筋症、ミトコンドリアの損傷(例:カルシウム蓄積、興奮毒性、一酸化窒素曝露、低酸素など)、およびミトコンドリアの調節解除が挙げられる。
筋ジストロフィーとは、神経筋構造および機能の劣化が関与する疾患のファミリーを意味し、多くの場合、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの骨格筋萎縮症および心筋機能障害をもたらす。特定の実施態様では、サーチュイン活性化化合物は、筋ジストロフィーを有する患者における筋肉機能の能力低下速度の低減、および筋肉機能の状態の向上に用いることができる。
特定の実施態様では、サーチュイン調節化合物は、ミトコンドリア筋症の治療に有用であり得る。ミトコンドリア筋症には、軽度の緩やかに進行する外眼筋の弱体化から重度の致死性である小児筋症(infantile myopathies)および多系統脳筋症(multisystem encephalomyopathies)までが含まれる。これらの間である程度の重なりを有するいくつかの症候群が明らかにされている。筋肉に影響する確立された症候群としては、進行性外眼筋麻痺症候群、カーンズ‐セイヤー症候群(眼筋麻痺、色素性網膜症、心臓伝導障害、小脳失調、および感音難聴を含む)、MELAS症候群(ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、および脳卒中様症候群)、MERFF症候群(ミオクローヌス癲癇および赤色ぼろ線維)、肢帯筋分布弱体化(limb-girdle distribution weakness)、ならびに小児筋症(良性、または重度および致死性)が挙げられる。
特定の実施態様では、サーチュイン活性化化合物は、カルシウム蓄積、興奮毒性、一酸化窒素曝露、薬物誘発性毒性損傷、または低酸素に起因する毒性損傷など、ミトコンドリアへの毒性損傷に罹患する患者を治療するために有用であり得る。
特定の実施態様では、サーチュイン活性化化合物は、ミトコンドリアの調節解除に関連する疾患または障害を治療するために有用であり得る。
筋肉性能
他の実施態様では、本発明は、治療効果量のサーチュイン活性化化合物を投与することによって筋肉の性能を向上させるための方法を提供する。例えば、サーチュイン活性化化合物は、身体的耐久力(例:運動、肉体労働、スポーツ活動などの身体作業を行う能力)の改善、身体疲労の阻止もしくは遅延、血中酸素レベルの増加、健康な個人のエネルギーの増加、作業を行う能力および耐久力の向上、筋肉疲労の低減、ストレスの低減、心機能および心血管機能の向上、性的能力の改善、筋肉ATPレベルの増加、および/または血中乳酸の減少、のために有用であり得る。特定の実施態様では、この方法は、ミトコンドリア活性を増加させる、ミトコンドリア生合成を増加させる、および/またはミトコンドリア質量を増加させる量のサーチュイン活性化化合物を投与することを含む。
スポーツ実行能力(Sports performance)とは、スポーツ活動に参加した場合に、運動選手の筋肉が機能する能力を意味する。スポーツ実行能力、力、スピード、および耐久力の向上は、筋肉収縮力の増加、筋肉収縮の大きさの増加、刺激と収縮との間の筋肉反応時間の短縮によって測定される。運動選手とは、いかなるレベルでもスポーツに参加し、その実行能力における力、スピード、および耐久力の向上を達成することを求める個人を意味し、例えば、ボディビルダー、自転車選手、長距離ランナー、短距離ランナーなどである。スポーツ実行能力の向上は、筋肉疲労を克服する能力、より長時間活動を続ける能力、およびより効果的なトレーニングを行う能力によって表される。
運動選手の筋肉性能に関しては、長時間にわたってより高いレベルの負荷での競技またはトレーニングを可能とする条件を作り出すことが望ましい。
本発明の方法はまた、急性筋肉減少症、例えば筋萎縮症および/もしくは熱傷に付随する悪液質、床上安静(bed rest)、四肢不動化(limb immobilization)、または胸部、腹腔、および/もしくは整形の主要な外科手術、を含む病態に関連する筋肉の治療にも効果的であることが意図される。
特定の実施態様では、本発明は、サーチュイン調節薬を含んでなる新規な食事組成物、その作製のための方法、およびスポーツ実行能力の改善のためにその組成物を使用する方法を提供する。従って、耐久力を必要とするスポーツおよび激しい筋肉活動を繰り返し必要とする労働を含む広義の運動に関与する人に対して、身体的耐久力を改善する、および/または身体疲労を阻止する作用を有する治療組成物、食品、および飲料を提供する。そのような食事組成物は、電解質、カフェイン、ビタミン、炭水化物などをさらに含んでなっていてよい。
その他の使用
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、ウイルス感染症(インフルエンザ、ヘルペス、もしくはパピローマウイルスによる感染症など)を治療もしくは予防するために、または抗真菌薬として用いることができる。特定の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、ウイルス性疾患の治療のための別の治療薬と共に、併用薬物療法の一部として投与することができる。別の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、別の抗真菌薬と共に、併用薬物療法の一部として投与することができる。
本明細書で述べるように治療することができる被験体としては、ヒト、ヒツジ類、ウシ類、ウマ類、ブタ類、イヌ類、ネコ類、非ヒト霊長類、マウス、およびラットを例とする哺乳類などの真核生物が挙げられる。処理することができる細胞としては、上述の被験体からの細胞、または植物細胞、酵母細胞を例とする真核細胞、および細菌細胞を例とする原核細胞が挙げられる。例えば、調節化合物を家畜動物へ投与して、飼育条件により長く耐える能力を改善することができる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、これを用いて、植物の寿命、ストレス耐性、およびアポトーシスに対する耐性を増加させることができる。一つの実施態様では、化合物は、例えば定期的に、植物へ、または真菌へ適用される。別の実施態様では、植物に遺伝子組換えを行って化合物を産生させる。別の実施態様では、植物および果実が、摘果および出荷の前に化合物で処理され、出荷の過程での損傷への耐性が強化される。植物種子もまた、本明細書で述べる化合物と接触させることにより、例えばそれを保存することができる。
他の実施態様では、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、酵母細胞の寿命を調節するために用いることができる。酵母細胞の寿命を延長することが望ましい可能性のある状況としては、酵母が用いられるいずれのプロセスをも含まれ、例えば、ビール、ヨーグルト、および食パンを例とするパン製品の製造である。寿命が延長された酵母を使用することにより、使用する酵母量の削減、またはより長期間にわたる酵母の活性化を得ることができる。遺伝子組換えによるタンパク質産生のために用いられる酵母またはその他の哺乳類細胞もまた、本明細書で述べるように処理することができる。
サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、これを用いて、昆虫の寿命、ストレス耐性、およびアポトーシスに対する耐性を増加させることもできる。本実施態様では、化合物は、ハチ、および植物の受粉に関与するその他の昆虫を例とする益虫に適用される。具体的な実施態様では、化合物は、ハチミツの製造に関与するハチに適用される。一般的に、本明細書で述べる方法は、真核生物を例とする、商業的に重要であり得るいかなる生物へも適用することができる。例えば、魚類(水産養殖)および鳥類(例:ニワトリおよび家禽)に適用することができる。
より高い用量のサーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物はまた、サイレンシングを受けた遺伝子の制御および発達の過程でのアポトーシスの制御に干渉することによる殺虫剤として用いることもできる。本実施態様では、化合物は、この化合物が植物ではなく昆虫の幼生に対して確実に生物学的利用可能となるような本技術分野で公知の方法を用いて、植物に適用することができる。
少なくとも繁殖と長寿命との間のリンクを考慮すると、サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物を適用して、昆虫、動物、および微生物などの生物の繁殖に影響を与えることができる。
4.アッセイ
本明細書で意図されるさらに他の方法には、サーチュインを調節する化合物または剤を識別するためのスクリーニング方法が含まれる。剤は、アプタマーなどの核酸であってよい。アッセイは、細胞に基づく、または細胞を用いないフォーマットで実施してよい。例えば、アッセイは、サーチュインを調節することが公知である剤によってサーチュインを調節することができる条件下にて、サーチュインを試験剤とインキュベートすること(または接触させること)、および試験剤の非存在下に対しての試験剤の存在下におけるサーチュインの調節のレベルをモニタリングするかまたは測定することを含んでなっていてよい。サーチュインの調節のレベルは、基質を脱アセチル化するその能力を測定することによって決定することができる。代表的な基質は、バイオモル(BIOMOL)(プリマスミーティング,ペンシルベニア州)から入手可能であるアセチル化ペプチドである。好ましい基質としては、アセチル化K382を含んでなるものなどのp53のペプチドが挙げられる。特に好ましい基質は、Fluor de Lys‐SIRT1(バイオモル)、すなわち、アセチル化ペプチドArg‐His‐Lys‐Lysである。その他の基質は、ヒトヒストンH3およびH4からのペプチド、またはアセチル化アミノ酸である。基質は、蛍光発生基質であってよい。サーチュインは、SIRT1、Sir2、SIRT3、またはこれらの一部分であってよい。例えば、遺伝子組換えSIRT1は、バイオモルから入手可能である。反応は、約30分間実施し、例えばニコチンアミドで停止してよい。HDAC蛍光活性アッセイ/創薬キット(AK‐500、バイオモルリサーチラボラトリーズ(BIOMOL Research Laboratories))を用いてアセチル化のレベルを測定してよい。同様のアッセイが、Bitterman et al. (2002) J. Biol. Chem. 277:45099、に記載されている。アッセイにおけるサーチュインの調節のレベルは、本明細書で述べる1もしくは2つ以上の化合物の存在下(別々にまたは同時に)におけるサーチュインの調節のレベルと比較してよく、これを、ポジティブまたはネガティブコントロールとして用いてよい。アッセイに用いられるサーチュインは、完全長サーチュインタンパク質であっても、その一部分であってもよい。活性化化合物がSIRT1のN末端と相互作用を起こすと思われることが本明細書で示されたことから、アッセイに用いられるタンパク質としては、サーチュインのN末端部分、例えば、SIRT1のおよそアミノ酸1〜176、または1〜255;Sir2のおよそアミノ酸1〜174、または1〜252、が挙げられる。
一つの実施態様では、スクリーニングアッセイは、(i)サーチュインと試験剤およびアセチル化基質とを、サーチュインが試験剤の非存在下にて基質を脱アセチル化するのに適切である条件下にて接触させること;ならびに(ii)基質のアセチル化のレベルを測定すること、を含んでなり、ここで、試験剤の非存在下に対しての試験剤の存在下における基質のアセチル化のレベルが低い場合、試験剤がサーチュインによる脱アセチル化を刺激することを示しており、一方、試験剤の非存在下に対しての試験剤の存在下における基質のアセチル化のレベルが高い場合、試験剤がサーチュインによる脱アセチル化を阻害することを示している。
サーチュインを調節する、例えば刺激する剤をインビボにて識別するための方法は、(i)細胞と、試験剤、および細胞に進入する能力を有する基質とを、サーチュインが試験剤の非存在下にて基質を脱アセチル化するのに適切である条件下にて、クラスIおよびクラスII HDACの阻害薬の存在下にて接触させること;ならびに(ii)基質のアセチル化のレベルを測定すること、を含んでなり、ここで、試験剤の非存在下に対しての試験剤の存在下における基質のアセチル化のレベルが低い場合、試験剤がサーチュインによる脱アセチル化を刺激することを示しており、一方、試験剤の非存在下に対しての試験剤の存在下における基質のアセチル化のレベルが高い場合、試験剤がサーチュインによる脱アセチル化を阻害することを示している。好ましい基質はアセチル化ペプチドであり、これは、さらに本明細書で述べるように、蛍光発生基質でもあることが好ましい。この方法は、細胞を溶解して基質のアセチル化のレベルを測定することをさらに含んでなっていてよい。細胞に添加される基質の濃度は、約1μMから約10mM、好ましくは約10μMから1mM、さらにより好ましくは、約200μMなど約100μMから1mMの範囲であってよい。好ましい基質は、ε‐アセチルリジン(Fluor de Lys、FdL)またはFluor de Lys‐SIRT1、を例とするアセチル化リジンである。クラスIおよびクラスII HDACの好ましい阻害薬は、トリコスタチンA(TSA)であり、これは、約0.01から100μM、好ましくは1μMなどの約0.1から10μMの範囲の濃度で用いてよい。試験化合物および基質と細胞とのインキュベーションは、約10分間から5時間、好ましくは約1〜3時間行ってよい。TSAはすべてのクラスIおよびクラスII HDACを阻害すること、ならびにFluor de Lysを例とする特定の基質がSIRT2に対する基質としては弱く、SIRT3〜7に対してはさらに弱い基質であることから、このようなアッセイを用いて、インビボにてSIRT1の調節薬を識別することができる。
5.医薬組成物
本明細書で述べるサーチュイン調節化合物は、1つ以上の生理学的にもしくは薬理学的に許容される担体または賦形剤を用いて、従来の方法で製剤することができる。例えば、サーチュイン調節化合物ならびにその薬理学的に許容される塩および溶媒和物は、例えば注射(例:SubQ、IM、IP)、吸入もしくは吹送(insufflation)(口もしくは鼻を通して)、または経口、頬側、舌下、経皮、経鼻、非経口、もしくは直腸内投与による投与用として製剤することができる。一つの実施態様では、サーチュイン調節化合物は、標的細胞の存在する部位、すなわち特定の組織、臓器、または体液(例:血液、脳脊髄液など)にて、局所的に投与することができる。
サーチュイン調節化合物は、全身、および局所または局在投与を含む種々の投与方法のために製剤することができる。技術および製剤に関する全般は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Meade Publishing Co., Easton, PA、に見ることができる。非経口投与に関しては、筋肉内、静脈内、腹腔内、および皮下を含む注射が好ましい。注射の場合、この化合物は、溶液中、好ましくはハンクス液またはリンゲル液などの生理学的適合性のあるバッファー中に製剤することができる。さらに、この化合物は、固体剤形に製剤し、使用の直前に再溶解または懸濁させることもできる。凍結乾燥された剤形も含まれる。
経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ、またはカプセルの形態を取ってよく、これらは、結合剤(例:アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例:ラクトース、微結晶セルロース、またはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例:ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);崩壊剤(disintegrants)(例:ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または、湿潤剤(例:ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬理学的に許容される賦形剤を用いた従来の手段よって作製される。錠剤は、本技術分野で公知の方法によってコーティングしてよい。経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液、シロップ、もしくは懸濁液の形態を取ってよく、または使用前に水もしくはその他の適切な媒体で構成させる乾燥品として提供してもよい。そのような液体製剤は、懸濁剤(例:ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または硬化食用油脂);乳化剤(例:レシチンまたはアラビアガム);非水性媒体(例:アチオンドオイル(ationd oil)、油性エステル、エチルアルコール、または分留植物油)、および保存剤(例:p‐安息香酸メチルもしくはプロピル、またはソルビン酸)などの薬理学的に許容される添加剤を用いる従来の手段によって作製してよい。この製剤はまた、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤、および甘味剤も含んでよい。経口投与用の製剤は、活性化合物を放出制御するように適切に製剤してよい。
吸入による投与の場合(例:経肺送達)、サーチュイン調節化合物は、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切なガスを例とする適切な噴霧剤を使用して、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレーを提供する形態で都合よく送達してよい。加圧エアゾルの場合、単位用量は、計量された量を供給するバルブを備え付けることによって確定してよい。吸入器または注入器に使用するためのゼラチンを例とするカプセルおよびカートリッジは、化合物とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含むように製剤化してよい。
サーチュイン調節化合物は、ボーラス注射または連続注入を例とする注射による非経口投与のために製剤することができる。注射用製剤は、例えばアンプルまたはマルチドーズ容器(multi-dose containers)内に収容された、保存剤を添加した単位剤形として提供してよい。この組成物は、油性もしくは水性媒体中にて懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態を取ってよく、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤などの製剤化剤(formulatory agents)を含有してよい。別の選択肢として、活性成分は、滅菌パイロジェンフリー水を例とする適切な媒体で使用前に構成される粉末の形態であってもよい。
サーチュイン調節化合物はまた、例えばカカオバターまたはその他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含有する坐薬または保留浣腸薬(retention enemas)などの直腸用組成物として製剤することもできる。
既述の製剤に加えて、サーチュイン調節化合物はまた、デポー製剤として製剤することもできる。そのような長期間作用する製剤は、移植(例えば、皮下もしくは筋肉内)、または筋肉内注射によって投与してよい。従って、例えば、サーチュイン調節化合物は、適切なポリマー性もしくは疎水性物質と共に(例えば、許容されるオイル中のエマルジョンとして)、もしくはイオン交換樹脂と共に、または、例えば、少しの溶解性である塩などの少しの溶解性である誘導体として製剤してよい。放出制御組成には、パッチも含まれる。
特定の実施態様では、本明細書で述べる化合物は、中枢神経系(CNS)へ送達するために製剤することができる(Begley, Pharmacology & Therapeutics 104: 29-45 (2004)にレビューされている)。CNSへの薬物送達の従来の手法としては:神経外科的方法(例:脳内注射または脳室内注入);BBBの内在性輸送経路の1つを利用する試みとしての薬剤の分子操作(例:それ自体はBBBを通過する能力を持たない薬剤と組み合わせて、内皮細胞表面分子への親和性を有する輸送ペプチドを含んでなるキメラ融合タンパク質の作製);薬剤の脂質溶解性を高めるために設計された薬理学的方法(例:水溶性薬剤の脂質またはコレステロールキャリアとの結合):ならびに、高浸透圧分断(hyperosmotic disruption)によるBBBの完全性の一時的な分断(頚動脈へのマンニトール溶液の注入、またはアンジオテンシンペプチドなどの生物活性剤の使用によって得られる)、が挙げられる。
リポソームは、容易に注射可能であるさらなる薬物送達系である。従って、本発明の方法では、活性化合物はまた、リポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは当業者に公知である。リポソームは、コレステロール、ホスファチジルコリンのステアリルアミンなどの種々のリン脂質から形成することができる。本発明の方法に用いることができるリポソームは、これらに限定されないが、小単層小胞、大単層小胞、および多層小胞を含むすべての種類のリポソームを包含する。
リスベラトロールまたはその誘導体などのサーチュイン調節薬の製剤、特に溶液を作製する別の方法は、シクロデキストリンを用いることによるものである。シクロデキストリンとは、α‐、β‐、またはγ‐シクロデキストリンを意味する。シクロデキストリンは、Pitha et al.の米国特許第4,727,064号にその詳細が記載されており、これは、参照することで本明細書に組み入れられる。シクロデキストリンは、グルコースの環状オリゴマーであり;これらの化合物は、その分子がシクロデキストリン分子の脂溶性物質を求めるキャビティ(lipophile-seeking cavities)に嵌まり込むことができるいずれの薬物とも包接複合体形成する。
素早く崩壊または溶解する剤形は、薬理活性剤の迅速な吸収、特に頬側および舌下吸収に有用である。素早く溶融する剤形は、高齢患者および小児患者など、カプレットおよび錠剤などの通常の固体剤形の嚥下が困難である患者にとって有益である。さらに、素早く溶融する剤形により、矯味剤の量および患者が活性剤の喉のザラザラ感(throat grittiness)を嫌がり得る程度の決定に活性剤が患者の口内に残留する時間の長さが重要な役割を担う、例えば咀嚼剤形に付随する欠点が回避される。
医薬組成物(美容製剤を含む)は、本明細書で述べる1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物を0.001から10重量%または0.1重量%から5重量%などの約0.00001から100重量%の量で含んでなっていてよい。別の実施態様では、医薬組成物は:(i)0.05から1000mgの本発明の化合物またはその薬理学的に許容される塩、および(ii)0.1から2グラムの1もしくは2つ以上の薬理学的に許容される賦形剤を含んでなる。
一つの実施態様では、本明細書で述べるサーチュイン調節化合物は、局所薬物投与全般に適する局所担体を含有し、本技術分野で公知のそのようないずれかの物質を含んでなる局所製剤へ組み込まれる。局所担体は、軟膏、ローション、クリーム、マイクロエマルジョン、ジェル、オイル、または溶液などを例とする所望の形態を組成物に与えるように選択してよく、天然または合成由来の物質から成っていてよい。選択された担体が、活性剤または局所製剤のその他の成分に悪影響を及ぼさないことが好ましい。本発明に用いられる適切な局所担体の例としては、水、アルコールおよびその他の無毒性有機溶媒、グリセリン、鉱油、シリコーン、石油ゼリー、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベン、ならびにワックスなどが挙げられる。
製剤は、無色、無臭の軟膏、ローション、クリーム、マイクロエマルジョン、およびジェルであってよい。
サーチュイン調節化合物は、軟膏に組み込んでよく、これは一般的に、ワセリンまたはその他の石油誘導体を通常は主体とする半固体製剤である。用いられる具体的な軟膏基剤は、当業者であれば理解されるように、最適な薬物送達をもたらし、および、好ましくは、軟化などを例とするその他の所望される特徴も付与するものである。その他の担体または媒体と同様に、軟膏基剤も不活性、安定、無刺激性、および無感作性であるべきである。
サーチュイン調節化合物は、ローションに組み込んでよく、これは、一般的に、摩擦なしに皮膚表面へ適用される製剤であり、通常は、活性剤を含む固体粒子が水もしくはアルコール基剤中に存在する液体または半液体製剤である。ローションは、通常、固体の懸濁液であり、水中油型の液体油状エマルジョンを含んでなっていてよい。
サーチュイン調節化合物は、クリームに組み込んでよく、これは、一般的に、水中油型または油中水型の、粘性液体または半固体エマルジョンである。クリーム基剤は、水洗可能なものであり、油相、乳化剤、および水相を含有する。油相は、一般的に、ワセリンおよびセチルもしくはステアリルアルコールなどの脂肪アルコールから成り;水相は、必ずしもそうである必要はないが、通常は油相よりも体積が大きく、一般的には湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、上記のRemington'sに説明されるように、一般的に、非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性界面活性剤である。
サーチュイン調節化合物は、マイクロエマルジョンに組み込んでよく、これは、一般的に、界面活性剤分子の界面層によって安定化された、熱力学的に安定である、オイルと水などの2つの不混和性液体の透明な等方性分散液である(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology (New York: Marcel Dekker, 1992), volume 9)。
サーチュイン調節化合物は、ジェル製剤に組み込んでよく、これは、一般的に、無機小粒子から形成される懸濁液(2相系)、または担体液体全体に実質的に均一に分配された大有機分子(単相ジェル)から成る半固体系である。ジェルは水性の担体液体を用いることが一般的であるが、アルコールおよびオイルも担体液体として用いてよい。
その他の活性剤も製剤中に含有させてよく、例えば、その他の抗炎症薬、鎮痛薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗生物質、ビタミン、抗酸化薬、および日焼け止め製剤でよく見られるサンブロック剤であり、これらに限定されないが、アントラニレート、ベンゾフェノン(特にベンゾフェノン‐3)、カンファー誘導体、シンナメート(例:オクチルメトキシシンナメート)、ジベンゾイルメタン(例:ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、p‐アミノ安息香酸(PABA)およびその誘導体、ならびにサリチレート(例:オクチルサリチレート)が挙げられる。
特定の局所製剤では、活性剤は、製剤のおよそ0.25重量%から75重量%の範囲の量で存在し、好ましくは、製剤のおよそ0.25重量%から30重量%の範囲、より好ましくは、製剤のおよそ0.5重量%から15重量%の範囲、最も好ましくは、製剤のおよそ1.0重量%から10重量%の範囲である。
眼の状態の治療または予防は、サーチュイン調節化合物の例えば全身、局所、眼内注射により、またはサーチュイン調節化合物を放出する徐放性デバイスを挿入することにより行うことができる。サーチュインタンパク質のレベルおよび/または活性を増加させるサーチュイン調節化合物は、薬理学的に許容される眼用媒体で送達してよく、それによって、この化合物と眼の表面との接触が、化合物を角膜、および例えば前房、後房、硝子体、眼房水、ガラス体液(vitreous humor)、角膜、虹彩/毛様体、水晶体、脈絡膜/網膜、および強膜などの眼の内部領域へ浸透させるのに十分な時間にわたって維持される。薬理学的に許容される眼用媒体は、例えば、軟膏、植物油、またはカプセル化剤であってよい。別の選択肢として、本発明の化合物は、ガラス体液および眼房水へ直接注射してもよい。さらなる別の選択肢では、この化合物は、眼の治療のために、静脈内注入または注射によるなどの全身投与を行ってもよい。
本明細書で述べるサーチュイン調節化合物は、無酸素環境下にて保存してよい。例えば、リスベラトロールまたはその類似体は、ファイザー(Pfizer, Inc.)のCapsugelなどの経口投与用の気密カプセル内に製剤してよい。
例えばエクスビボにてサーチュイン調節化合物で処理された細胞は、被験体へ移植片を投与する方法に従って投与することができ、これは、例えば、シクロスポリンAを例とする免疫抑制薬の投与と合わせて行ってよい。医薬製剤の一般的な原理に関しては、読者には、Cell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy, by G. Morstyn & W. Sheridan eds, Cambridge University Press, 1996;およびHematopoietic Stem Cell Therapy, E. D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000、を参照されたい。
サーチュイン調節化合物の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物における標準的な医薬的手順によって測定することができる。LD50は、集団の50%に対して致死的である用量のことである。ED50は、集団の50%に対して治療効果を有する用量のことである。毒性および治療効果の間の用量比(LD50/ED50)は、治療指数である。治療指数の大きいサーチュイン調節化合物が好ましい。毒性の副作用を示すサーチュイン調節化合物を用いてもよいが、非感染細胞への損傷の可能性を最小限に抑え、それによって副作用を低減するために、影響を受けた組織の部位へそのような化合物を標的化する送達系の設計には注意が必要である。
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータを、ヒトに用いるための用量範囲の策定に用いることができる。そのような化合物の用量は、ほとんどまたはまったく毒性のないED50を含む循環濃度の範囲内に入っていてよい。用量は、採用される剤形および用いられる投与経路に応じて、この範囲内で様々であってよい。いずれの化合物に対しても、治療効果用量は、最初は細胞培養アッセイから算出することができる。細胞培養で決定されたIC50(すなわち、症状の最大半減阻止を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を達成する用量を、動物モデルで策定してよい。そのような情報を用いて、ヒトに有用である用量をより正確に決定することができる。血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィによって測定してよい。
6.キット
本明細書ではキットも提供し、例えば、治療目的のキット、または細胞の寿命の調節もしくはアポトーシスの調節のためのキットである。キットは、1もしくは2つ以上のサーチュイン調節化合物を、例えば、予め計量された用量で含んでなっていてよい。キットは、細胞を化合物と接触させるためのデバイス、および使用説明書を含んでなっていてもよい。デバイスとしては、シリンジ、ステント、およびサーチュイン調節化合物を被験体(例:被験体の血管)へ導入するための、またはそれを被験体の皮膚へ適用するためのその他のデバイスが挙げられる。
さらに別の実施態様では、本発明は、本発明のサーチュイン調節薬、および別の治療薬(併用療法および併用組成物で用いたものと同一)を、別々の剤形だが互いに連結した形で含んでなる物質の組成物を提供する。本明細書で用いる「互いに連結した形で」という用語は、別々の剤形が一緒に包装されているか、またはそうでなければ、別々の剤形が、同一のレジメンの一部として販売され投与されることが意図されていることが容易に明らかであるように互いに接続されていることを意味する。この薬剤およびサーチュイン調節薬は、ブリスターパックもしくはその他のマルチチェンバーパッケージ内にて一緒に包装されているか、または使用者が分離することができる(例:2つの容器間の切り取り線で切り離すことにより)連結されていて別々にシールされた容器(ホイルパウチなど)として包装されていることが好ましい。
さらに別の実施態様では、本発明は、a)本発明のサーチュイン調節薬;およびb)本明細書の他所で述べたものなどの別の治療薬を、別々の容器に含んでなるキットを提供する。
本発明の方法の実施に際しては、特に断りのない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技術が用いられ、これらは、本技術分野の範囲内である。そのような技術は、文献にて詳細に説明がなされている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989);DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985);Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed., 1984); Mullis et al. 米国特許第4,683,195号;Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984);Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984);Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987);Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984);the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory);Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155 (Wu et al. eds.), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology
(Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987);Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986);Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)、を参照されたい。
ここで本発明を全般的に説明したが、本発明の特定の態様および実施態様を単に説明することのみを目的として含めるものであり、いかなる点においても本発明を限定することを意図するものではない以下の実施例を参照することで、本発明がより容易に理解されるであろう。
イミダゾ[1,2‐a]ピリジン誘導体(3)の形成のための一般スキーム
Figure 2011521960
ここで、Wは官能基であり;および、ZはNまたはCRである。
イミダゾ[1,2‐a]ピリジンおよびイミダゾ[1,2‐a]ピラジン誘導体 3の合成は、2‐ブタノンなどの溶媒の存在下にて、置換されたアミノピリジンまたはアミノピラジン1を、R‐またはR12‐置換α‐ブロモメチルケトン 2と反応させることにより、上記で示す一般スキームを用いて行った。置換α‐ブロモメチルケトン誘導体 2は、市販のものか、または以下の実施例にて詳述する手順に従って合成したものである。官能基Wを操作することにより、適切な−X−R/R11部分が得られる。種々のW基を適切な−X−R/R11部分へと変換するための詳細な方法を、以下の手順に示す。
トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン誘導体の形成のための一般スキーム
Figure 2011521960
トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン誘導体 7の合成は、1,2‐ジアミノピリジニウム塩 5を置換アルデヒド 6と反応させることにより、上記の一般スキームを用いて行った。1,2‐ジアミノピリジニウム塩 5は、置換アミノピリジン誘導体 1をO‐(2,4‐ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン 4と反応させることによって合成することができる。市販の、または以下に詳述する手順に従って合成した種々のR‐またはR12‐置換アルデヒド 6を用いることができる。官能基Wを操作することにより、適切な−X−R/R11部分が得られる。種々のW基を適切な−X−R/R11部分へと変換するための詳細な方法を、以下の手順に示す。
実施例1. 2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐アミン(14)の合成:
工程1)2‐ブロモ‐1‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(11)の合成:
Figure 2011521960
1:1 EtOAc/CHCl(150mL)中に1‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(10;3.0g、15.94mmol)およびCuBr(5.34g、23.94mmol)を含む混合物を還流下にて16時間攪拌した。ろ過の後、濃縮することにより、粗生成物である2‐ブロモ‐1‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン 11を黄褐色シロップとして得た(4.37g、収率:72%)。この物質をさらなる精製を行うことなく用いた。
工程2)8‐ニトロ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン(13)の合成:
Figure 2011521960
2‐ブタノン(20ml)中に粗2‐ブロモ‐1‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(11;1.53g、5.73mmol)および3‐ニトロピリジン‐2‐アミン(12;664mg、4.77mmol)を含む混合物を、還流下にて18時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィ(4:1 石油エーテル/EtOAで溶離)で精製することで、褐色オイルとして8‐ニトロ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン 13を得た(480mg、収率:14%)。C14に対するMS(ESI)計算値:307.06;測定値:308[M+H]。
工程3)2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐アミンの合成:
Figure 2011521960
MeOH(60ml)およびEtOAc(10mL)中の8‐ニトロ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン(14;730mg、2.37mmol)の溶液へ、10%湿Pd/C(80mg)を添加した。この反応混合物を窒素で十分にパージし、1気圧のH下、室温にて18時間攪拌した。この反応混合物をセライト(Celite)のパッドでろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィで精製することで、淡色固体として2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐アミン 14を得た(431mg、収率:65%)。C1410に対するMS(ESI)計算値:277.06;測定値:278[M+H]。
上記で示した一般手順を用い、工程2の適切なブロモケトン中間体を置き換えることにより、種々の2‐アリール置換イミダゾ[1,2‐a]ピリジン誘導体を合成した。
実施例2. N‐(2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐イル)ピリミジン‐2‐カルボキシアミド(化合物122)および関連する類似体の合成のためのアミドカップリング一般手順:
Figure 2011521960
2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐アミン(14;50mg、0.15mmol)およびピリミジン‐2‐カルボン酸(15;18mg、0.18mmol)をジメチルホルムアミド(DMF;2ml)中へ投入した。この混合物へ、2‐(7‐アザ‐1H‐ベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐1,1,3,3‐テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU;118mg、0.31mmol)およびN,N‐ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;80mg、0.62mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温にて18時間攪拌した。次に水およびNaHCO水溶液を添加した。得られた沈澱をろ取し、MeOHで洗浄し、乾燥して、所望の生成物、すなわちN‐(2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐イル)ピリミジン‐2‐カルボキシアミド(化合物122)(35mg、収率:64%)を得た。分析的に純粋なサンプルは、シリカゲルクロマトグラフィを用いたさらなる精製によって得ることができた。C1912Oに対するMS(ESI)計算値:383.10;測定値:384[M+H]。
このアミドカップリング一般手順を用い、カルボン酸成分を適切に置き換えることによって、種々のイミダゾ[1,2‐a]ピリジン誘導体が合成される。
実施例3. 2‐(ビフェニル‐3‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐アミン(22)の合成.
工程1)1‐(ビフェニル‐3‐イル)エタノン(18)の合成:
Figure 2011521960
DMF(60ml)中の1‐(3‐ブロモフェニル)エタノン(17;5.0g、25.12mmol)およびフェニルボロン酸(3.68g、30.14mmol)の懸濁液に、Pd(PPh(290mg、0.25mmol)およびKPO.3HO(10.03g、37.68mmol)をN下にて添加した。この混合物を100℃にて15時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、沈澱をろ過した。ろ液を水で希釈し、EtOAcで抽出した(3×100mL)。1つにまとめた有機層を鹹水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧乾燥して、淡黄色オイルとして1‐(ビフェニル‐3‐イル)エタノン 18を得た(4.90g、収率:99%)。
工程2)1‐(ビフェニル‐3‐イル)‐2‐ブロモエタノン(19)の合成:
Figure 2011521960
1:1 EtOAc/CHCl(150mL)中の1‐(ビフェニル‐3‐イル)エタノン(18;3.0g、15.3mmol)およびCuBr(5.8g、26.0mmol)の混合物を還流下にて18時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮することにより、黄褐色シロップとして1‐(ビフェニル‐3‐イル)‐2‐ブロモエタノン 19を得た(3.97g、収率:76%)。
工程3)2‐(ビフェニル‐3‐イル)‐8‐ニトロイミダゾ[1,2‐a]ピリジン(21)の合成:
Figure 2011521960
2‐ブタノン(20mL)中の3‐ニトロピリジン‐2‐アミン(20;1.25g、9.0mmol)および1‐(ビフェニル‐3‐イル)‐2‐ブロモエタノン(19;2.98g、10.8mmol)を含有する混合物を、還流下にて18時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、次に減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィで精製し、黄褐色固体として2‐(ビフェニル‐3‐イル)‐8‐ニトロイミダゾ[1,2‐a]ピリジン 21を得た(634mg、収率:22%)。C1913に対するMS(ESI)計算値:315.10;測定値:316[M+H]。
工程4)2‐(ビフェニル‐3‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐アミン(22)の合成:
Figure 2011521960
DCM(20mL)およびMeOH(30mL)中の2‐(ビフェニル‐3‐イル)‐8‐ニトロイミダゾ[1,2‐a]ピリジン(21;634mg、2.0mmol)およびPd/C(20mg)の混合物を、1気圧の水素下、室温にて18時間攪拌した。この反応混合物をセライトのパッドでろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をクロマトグラフィ(1%EtNを含む6:1 石油エーテル/EtOAcで溶離)で精製することで、黄色シロップとして2‐(ビフェニル‐3‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐アミン 22を得た(310mg、収率:41%)。C1915に対するMS(ESI)計算値:285.13;測定値:286[M+H]。
実施例4. N‐(2‐(ビフェニル‐3‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐イル)ピラジン‐2‐カルボキシアミド(化合物123)および関連する類似体の合成のためのアミドカップリング一般手順:
Figure 2011521960
DMF(2mL)中に2‐(ビフェニル‐3‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐アミン(22;50mg、0.18mmol)、ピラジン‐2‐カルボン酸(26mg、0.21mmol)、HATU(137mg、0.36mmol)、およびDIPEA(0.06mL)を含む混合物を、室温にて18時間攪拌した。水およびNaHCO水溶液を添加した。得られた沈澱をろ取し、MeOHで洗浄し、乾燥して、黄褐色固体としてN‐(2‐(ビフェニル‐3‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐イル)ピラジン‐2‐カルボキシアミド(化合物123)を得た(58mg、83%)。分析的に純粋なサンプルは、シリカゲルクロマトグラフィを用いたさらなる精製によって得ることができた。C2417Oに対するMS(ESI)計算値:391.14;測定値:392[M+H]。
このアミドカップリング一般手順を用い、カルボン酸成分を適切に置き換えることによって、種々のイミダゾ[1,2‐a]ピリジン誘導体が合成される。
実施例5. 2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(26)の合成:
工程1)エチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(25)の合成:
Figure 2011521960
2‐ブタノン(20mL)中のエチル2‐アミノニコチネート(24;778mg、4.7mmol)および2‐ブロモ‐1‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(11;1.5g、5.6mmol)の混合物を、還流下にて18時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却した。得られた沈澱をろ取し、冷アセトンで洗浄し、乾燥して、淡色固体としてエチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート 25を得た(2.01g、収率:68%)。C1713に対するMS(ESI)計算値:334.09;測定値:335[M+H]。
工程2)2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(26)の合成:
Figure 2011521960
6N HCl水溶液(10mL)中にエチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(25;2.01g、6.04mmol)を含む混合物を、還流下にて18時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、減圧濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して、黄褐色固体として2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 26を得た(1.48g、80)。C15に対するMS(ESI)計算値:306.06;測定値:307[M+H]。
この一般手順を用い、工程1に示すブロモケトン中間体を適切に置き換えることによって、種々のイミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸が合成される。
実施例6. N‐フェニル‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物113)および関連する類似体の合成のためのアミドカップリング一般手順
Figure 2011521960
DMF(2mL)中に2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(26;56mg、0.18mmol)、アニリン(21mg、0.22mmol)、HATU(137mg、0.36mmol)、DIPEA(0.06mL)を含む混合物を、室温にて18時間攪拌した。水およびNaHCO水溶液を添加した。得られた沈澱をろ取し、冷MeOHで洗浄し、乾燥して、淡黄色固体としてN‐フェニル‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物113)を得た(35mg、51%)。分析的に純粋なサンプルは、シリカゲルクロマトグラフィを用いたさらなる精製によって得ることができた。C2114Oに対するMS(ESI)計算値:381.11;測定値:382[M+H]。
このアミドカップリング一般手順を用い、適切にアミン成分を置き換えることによって、種々のイミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド誘導体を合成することができた。
実施例7. N‐(チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物115)の合成:
工程1)エチル2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(29)の合成:
Figure 2011521960
2‐ブロモ‐1‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)エタノン 28の合成を、1‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)エタノンを適切な出発物質として用い、2‐ブロモ‐1‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン 11に対して上記で概説した手順に従って行った。メチルエチルケトン(20mL)中にエチル2‐アミノニコチネート(24;1.78g、10.69mmol)および2‐ブロモ‐1‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)エタノン(28;3.33g、11.76mmol)を含む混合物を、還流下にて18時間攪拌した。室温まで冷却後、この反応混合物をEtOAcで希釈し、1N HCl、鹹水、および水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製し、白色固体としてエチル2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート 29を得た(2.32g、56%)。C1713に対するMS(ESI)計算値:350.09;測定値:351[M+H]。
工程2)2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(30)の合成:
Figure 2011521960
6N HCl水溶液(20mL)中にエチル2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(29;2.32g、6.62mmol)を含む混合物を、還流下にて18時間攪拌した。この反応混合物をエタノールで希釈し、減圧濃縮した。残渣をエタノールに溶解し、再度濃縮した。残渣をEtOAcへ投入した。得られた固体をろ取し、EtOAcで洗浄し、乾燥して、白色固体として2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 30を得た(2.1g、98%)。C15に対するMS(ESI)計算値:322.06;測定値:323[M+H]。
工程3)N‐(チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物115)の合成:
Figure 2011521960
2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 30および2‐アミノチアゾールを用い、上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を用いた。得られた生成物、すなわちN‐(チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニル)H‐イミダゾ(1,2‐a)ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物115)は、シリカゲルクロマトグラフィによる精製後、白色固体として得た(40mg、収率:46%)。C1811Sに対するMS(ESI)計算値:404.37;測定値:405[M+H]。
実施例8. 2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(32)の合成:
Figure 2011521960
DCM(20mL)中に2‐フェニルイミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(26;500mg、1.63mmol)およびEtN(0.23mL、1.63mmol)を含む混合物を氷浴中で冷却した。メチルクロロカーボネート(0.13mL、1.63mmol)を迅速に添加した。15分後、無水アンモニアを1時間通した。この混合物を冷却浴から取り出し、室温にて18時間攪拌した。この懸濁液をろ過し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロマトグラフィで精製して、所望の生成物、すなわち2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド 32を黄色固体として得た(288mg、収率:60%)。C1510Oに対するMS(ESI)計算値:305.08;測定値:306[M+H]。
実施例9. N‐(4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物132)の合成:
工程1)tert‐ブチル4‐(ヒドロキシメチル)チアゾール‐2‐イルカルバメート(35)の合成:
Figure 2011521960
エチル2‐アミノチアゾール‐4‐カルボキシレート(33;10.0g、58.1mmol)を、ジ‐tert‐ブチルカーボネート(BOCO、12.67g、58.1mmol)、10mgの4‐(ジメチル)アミノピリジン(DMAP)と共に、150mLの無水THFへ投入した。この反応混合物を50℃にて4時間、次に室温にて18時間攪拌した。次に、これを減圧濃縮して粘稠オイルを得た。ペンタンを添加し、得られた結晶物質をろ取し、乾燥して、10.5gのエチル2‐(tert‐ブトキシカルボニルアミノ)チアゾール‐4‐カルボキシレート 34を得た。この物質(10.5g、38.5mmol)を300mLの無水THFに溶解し、ドライアイス‐アセトニトリル浴中で冷却した。次に、THF(85mL)中の1M Super Hydride(商標)溶液を10分間かけて添加した。得られた反応混合物を−45℃にて2時間攪拌した。次に、THF(35mL)中の別の1M Super Hydride(商標)を添加し、この反応混合物を−45℃でさらに2時間攪拌した。反応を50mLの鹹水を添加することにより−45℃で停止した。室温まで加温後、この反応混合物を減圧濃縮した。得られた混合物をEtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を鹹水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィで精製し、6.39gのtert‐ブチル4‐(ヒドロキシメチル)チアゾール‐2‐イルカルバメート 35を得た(72%)。
工程2)4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐アミン(37)の合成:
Figure 2011521960
tert‐ブチル4‐(ヒドロキシメチル)チアゾール‐2‐イルカルバメート(35;2.0g、8.7mmol)を、EtN(1.82mL、13.05mmol)と共に、25mLのCHCl中へ投入し、0℃まで冷却した。メタンスルホニルクロリド(0.85mL、10.88mmol)を添加し、得られた反応混合物を0℃にて60分間攪拌した。次に、モルホリン(3.0mL、35mmol)を添加し、この反応混合物を室温で18時間攪拌した。この反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をEtOAc中に取り、希NaHCO水溶液、鹹水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。この物質をシリカゲルの短カラムでろ過することで精製した。ろ液を濃縮して1.88gのtert‐ブチル4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イルカルバメート 36を得た。tert‐ブチル4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イルカルバメートをCHCl中の25%TFAの20mLにより室温にて18時間処理することでBoc基を除去した。濃縮および高真空乾燥によって溶媒をすべて除去した後、得られた残渣をペンタン/EtOAcの混合物で処理して、白色固体として2.17gの4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐アミン 37を得た。
工程3)N‐(4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物132)の合成:
Figure 2011521960
2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 26および4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐アミン 37を用い、上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を用いた。得られた生成物、N‐(4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物132)は、シリカゲルクロマトグラフィによる精製後、オフホワイト色固体として得た。C2320Sに対するMS(ESI)計算値:487.13;測定値:488[M+H]。
実施例10. N‐(5‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物134)の合成:
工程1)5‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐アミン(40)の合成:
Figure 2011521960
5‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐アミン 40の合成は、出発物質としてエチル2‐アミノチアゾール‐5‐カルボキシレート 39を用い、4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐アミン 37に対して上記で概説したものと同じ合成手順を用いて行った。
工程2)N‐(5‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物134)の合成:
Figure 2011521960
上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を用いて、N‐(5‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物134)を合成した。C2320Sに対するMS(ESI)計算値:487.13;測定値:488[M+H]。
実施例11. N‐(6‐(モルホリノメチル)ピリジン‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物159)の合成:
工程1)エチル6‐アミノピコリネート(43)の合成:
Figure 2011521960
エタノール中(150mL)の2‐アミノ‐6‐ピリジンカルボン酸(42;6.0g、43.5mmol)の溶液へ、SOCl(12.0g、101mmol)を0℃で添加した。得られた反応混合物を還流下にて12時間攪拌した。室温へ冷却後、この反応混合物を減圧濃縮した。十分な量の飽和NaCO水溶液を添加してpH=9に調節した。この混合物を減圧濃縮し、得られた残渣にジクロロメタン(150mL)を添加した。この混合物を室温にて30分間激しく攪拌し、続いてろ過した。ろ液を減圧濃縮して、エチル6‐アミノピコリネート 43を得た(5.5g、76%)。
工程2)エチル6‐(tert‐ブトキシカルボニルアミノ)ピコリネート(44)の合成:
Figure 2011521960
t‐BuOH(120mL)およびアセトン(40mL)中のエチル6‐アミノピコリネート(43;5.5g、33mmol)の溶液へ、DMAP(0.08g、0.66mmol)およびジ‐t‐ブチルジカーボネート(10.8g、49.5mmol)を添加した。この反応混合物を室温にて18時間攪拌した。溶媒を減圧濃縮によって除去し、ヘキサン/ジクロロメタンの混合物(180mL、3:1)を添加した。得られた混合物を−20℃へ2時間冷却した。得られた固体をろ取して乾燥し、エチル6‐(tert‐ブトキシカルボニルアミノ)ピコリネート 44を得た(11.0g、91%)。
工程3)tert‐ブチル6‐(ヒドロキシメチル)ピリジン‐2‐イルカルバメート(45)の合成:
Figure 2011521960
THF中(120mL)のエチル6‐(tert‐ブトキシカルボニルアミノ)ピコリネート(44;11.0g、33mmol)の攪拌溶液へ、THF中(60mL)のLiAlH(3.80g、100mmol)を、窒素下、0℃にて30分間かけて添加した。この反応混合物を0℃にて6時間攪拌し、水(2.0mL)および10%NaOH溶液(4.0mL)を0℃で添加することにより、注意深く反応停止させた。この反応混合物をろ過し、ろ液を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィ(1:1 石油エーテル:酢酸エチル)で精製して、tert‐ブチル6‐(ヒドロキシメチル)ピリジン‐2‐イルカルバメート 45を得た(3.0g、41%)。
工程4)(6‐(tert‐ブトキシカルボニルアミノ)ピリジン‐2‐イル)メチルメタンスルホネート(46)の合成:
Figure 2011521960
アセトニトリル中(30mL)のtert‐ブチル6‐(ヒドロキシメチル)ピリジン‐2‐イルカルバメート(45;3.0g、13.4mmol)およびDIPEA(5.0g、40mmol)の溶液へ、MsCl(2.0g、17.4mmol)を0℃にて30分間かけて添加し、この混合物を室温にて2時間攪拌した。この反応物を、飽和NaHCO水溶液を添加することによって反応停止させ、酢酸エチルで抽出した(3×60mL)。1つにまとめた有機層を鹹水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して、本質的に定量的収率の粗(6‐(tert‐ブトキシカルボニルアミノ)ピリジン‐2‐イル)メチルメタンスルホネート 46を得た。
工程5)tert‐ブチル6‐(モルホリノメチル)ピリジン‐2‐イルカルバメート(47)の合成:
Figure 2011521960
アセトニトリル中(15mL)に(6‐(tert‐ブトキシカルボニルアミノ)ピリジン‐2‐イル)メチルメタンスルホネート(46;1.30g、3.2mmol)、モルホリン(0.56g、6.4mmol)、およびKCO(1.30g、9.6mmol)を含有する混合物を、室温にて12時間攪拌した。飽和NaHCO水溶液を添加し、この混合物を減圧濃縮した。得られた水層をEtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して、tert‐ブチル6‐(モルホリノメチル)ピリジン‐2‐イルカルバメート 47を得た(0.50g)。
工程6)6‐(モルホリノメチル)ピリジン‐2‐アミン(48)の合成:
Figure 2011521960
ジクロロメタン中(10mL)のtert‐ブチル6‐(モルホリノメチル)ピリジン‐2‐イルカルバメート(47;500mg、1.7mmol)の溶液へ、室温にてTFA(4.0mL)を添加した。得られた反応混合物を室温にて6時間攪拌し、次に減圧濃縮した。十分な量の飽和NaCO水溶液を得られた残渣に添加してpH=9に調節した。次にこの混合物を酢酸エチルで抽出した(3×25mL)。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して、6‐(モルホリノメチル)ピリジン‐2‐アミン 48を得た(320mg)。
工程7)N‐(6‐(モルホリノメチル)ピリジン‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物159)の合成:
Figure 2011521960
上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を用いて、N‐(6‐(モルホリノメチル)ピリジン‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物159)の合成を行った。C2522に対するMS(ESI)計算値:481.17;測定値:482[M+H]。
実施例12. N‐(3‐(2,3‐ジヒドロキシプロポキシ)フェニル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物137)の合成:
工程1)2,2‐ジメチル‐4‐((3‐ニトロフェノキシ)メチル)‐1,3‐ジオキソラン(52)の合成:
Figure 2011521960
3‐ニトロフェノール(50;2.0g、14.37mmol)を、無水炭酸カリウム(4.96g、35.93mmol)および4‐(クロロメチル)‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソランのラセミ体(51;2.55mL、18.68mmol)と共に、20mLの無水DMF中へ投入した。得られた反応混合物をマイクロ波反応器中にて、攪拌しながら160℃で4時間加熱した。粗反応混合物を水で洗浄し、ろ過し、ジクロロメタンで抽出した(3×15mL)。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル:ペンタンを用いたクロマトグラフィで精製し、琥珀色オイルとして所望の生成物、2,2‐ジメチル‐4‐((3‐ニトロフェノキシ)メチル)‐1,3‐ジオキソラン 52を得た(52%)。
工程2)3‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)アニリン(53)の合成:
Figure 2011521960
窒素下にて、鉄粉(2.38g、42.54mmol)およびNHCl(2.38g、42.54mmol)を混合し、続いて2,2‐ジメチル‐4‐((3‐ニトロフェノキシ)メチル)‐1,3‐ジオキソラン(52;1.8g、7.09mmol)および4:1のイソプロパノール:水の混合物(30mL:10mL)を添加した。この反応混合物を還流下にて18時間攪拌した。この粗物質をセライトのパッドでろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた水層をジクロロメタンで抽出した(3×15mL)。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して3‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)アニリン 53を得た(1.2g、収率79%)。この物質をさらなる精製を行わずに次の工程で用いた。
工程3)N‐(3‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)フェニル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(54)の合成:
Figure 2011521960
上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を用いて、N‐(3‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)フェニル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド 54の合成を行った。C2724に対するMS(ESI)計算値:511.17;測定値:512[M+H]。
工程4)N‐(3‐(2,3‐ジヒドロキシプロポキシ)フェニル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物137)の合成:
Figure 2011521960
N‐(3‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)フェニル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(54;125mg、0.24mmol)を、10滴の濃HClと共に15mLのMeOHへ投入した。この反応混合物を室温にて1時間攪拌し、次に減圧濃縮した。クロマトグラフィによる精製を行い、N‐(3‐(2,3‐ジヒドロキシプロポキシ)フェニル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物137)(85mg、75%)を得た。C2420に対するMS(ESI)計算値:471.14;測定値:472[M+H]。
実施例13. 2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物202)の合成:
工程1)4‐(2‐ブロモアセチル)ベンズアルデヒド(57)の合成:
Figure 2011521960
典型的な工程では、50mLのCHCl中に4‐アセチルベンズアルデヒド(56;3.5g、24mmol)を含有する溶液へ、臭素(3.84g、24mmol)を30分間かけて滴下した。得られた反応混合物を室温にて15分間攪拌し、次に減圧乾燥した。クロマトグラフィで精製することにより、4‐(2‐ブロモアセチル)ベンズアルデヒド 57(1g、19%)を得た。
工程2)エチル2‐(4‐ホルミルフェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(58)の合成:
Figure 2011521960
CHCN(30ml)中に4‐(2‐ブロモアセチル)ベンズアルデヒド(57;2.5g、13mmol)、エチル2‐アミノニコチネート(24;1.66g、10mmol)を含有する混合物を90℃にて12時間攪拌した。この混合物を室温まで冷却し、得られた沈澱をろ取し、酢酸エチル/アセトンの混合物で洗浄し、減圧乾燥して、エチル2‐(4‐ホルミルフェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート 58を白色固体として得た(1g、34%)。C1714に対するMS(ESI)計算値:294.10;測定値:295[M+H]。
工程3)エチル2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(59)の合成:
Figure 2011521960
20mlのCHCl中にエチル2‐(4‐ホルミルフェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(58;1g、3.4mmol)および三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST;1.1g、6.8mmol)を含有する混合物を、還流下にて18時間攪拌した。希NaCO水溶液を添加し、2つの層を分離した。さらに有機層を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。クロマトグラフィで精製することで、エチル2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート 59を得た(350mg、33%)。C1714に対するMS(ESI)計算値:316.10;測定値:317[M+H]。
工程4)2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(60)の合成:
Figure 2011521960
エチル2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(59;350mg)を、10mlの10%NaOH水溶液へ投入し、80℃にて30分間攪拌した。室温へ冷却後、十分な量の1N HClを添加してpH=7に調節した。得られた沈澱をろ取し、水で洗浄し、減圧乾燥して、2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 60を得た(250mg、78%)。
工程5)2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物202)の合成:
Figure 2011521960
2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(60;50mg、0.17mmol)に、上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を施した。得られた粗生成物をクロマトグラフィで精製し、黄色固体として2‐(4‐(ジフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物202)を得た(28mg、38%)。C1812OSに対するMS(ESI)計算値:370.07;測定値:371[M+H]。
実施例14. 2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物262)の合成:
工程1)エチル2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(62)の合成:
Figure 2011521960
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.42g、4mmol)を、20mlのCHCl中のエチル2‐(4‐ホルミルフェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(58;0.6g、2mmol)(実施例13で合成)の溶液へ添加した。得られた反応混合物を室温にて18時間攪拌し、次に、希NaCO水溶液で反応停止した。2つの層を分離した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィで精製することにより、エチル2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート 62を得た(350mg、47%)。C2123に対するMS(ESI)計算値:365.17;測定値:366[M+H]。
工程4)2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(63)の合成:
Figure 2011521960
10mlの10%NaOH水溶液中にエチル2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(62;350mg)を含有する混合物を、80℃にて30分間攪拌した。十分な量の1N HClを添加してpH=7に調節した。得られた反応混合物をEtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して、2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 63(120mg、57%)を得た。C1919に対するMS(ESI)計算値:337.14;測定値:338[M+H]。
工程5)2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物262)の合成:
Figure 2011521960
2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 63に、上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を施して、2‐(4‐(モルホリノメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)イミダゾ[1,2‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物262)を得た。C2121Sに対するMS(ESI)計算値:419.14;測定値:420[M+H]。
実施例15. N‐(チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボキシアミド(化合物138)の合成:
工程1)メチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボキシレート(66)の合成:
Figure 2011521960
CHCN(30mL)中に2‐ブロモ‐1‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(11;5.04g、14mmol)、メチル3‐アミノピラジン‐2‐カルボキシレート(65;1.53g、10mmol)を含有する混合物を90℃にて12時間攪拌した。室温まで冷却後、この反応混合物を水中へ注ぎ入れ、得られた沈澱をろ取し、水で洗浄し、乾燥して、メチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボキシレート 66を得た(2.05g、34%)。C1510に対するMS(ESI)計算値:321.07;測定値:322[M+H]。
工程2)2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボン酸(67)の合成:
Figure 2011521960
20mlの10%NaOH水溶液中にメチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボキシレート(66;1.9g、6.2mmol)を含有する混合物を80℃にて30分間攪拌した。室温へ冷却後、6NのHClでpHを7に調節した。得られた沈澱をろ取し、水で洗浄し、乾燥して、2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボン酸 67を得た(1.6g、88%)。C14に対するMS(ESI)計算値:307.06;測定値:308[M+H]。
工程3)N‐(チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボキシアミド(化合物138)の合成:
Figure 2011521960
上記で詳述した標準的なアミドカップリング手順を用いて、N‐(チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボキシアミド(化合物138)の合成を行った(100mgの2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[1,2‐a]ピラジン‐8‐カルボン酸 67から60mg、48%)。C1710OSに対するMS(ESI)計算値:389.06;測定値:390[M+H]。
実施例16. 2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(74)の合成:
工程1)2‐(2,4‐ジニトロフェノキシ)イソインドリン‐1,3‐ジオン(70)の合成:
Figure 2011521960
100mLのセトン中の2‐ヒドロキシイソインドリン‐1,3‐ジオン(2g、12.36mol)の懸濁液へ、トリエチルアミン(1.25g、12.36mmol)を一度に添加し、この混合物を室温で攪拌した。反応混合物は暗赤色に変化し、2‐ヒドロキシイソインドリン‐1,3‐ジオンがゆっくり溶解した。この反応物を、均一な溶液となるまで攪拌した(約10分間)。次に2,4‐ジニトロクロロベンゼン(69;2.5g、12.36mmol)を一度に添加し、この反応物を室温にて2時間攪拌した。この後、明黄色の懸濁液が形成され、この反応混合物を500mLの氷水へ注ぎ入れた。沈澱をろ過し、100mLの冷MeOHで3回洗浄した。この固体を圧縮し、100mLずつのヘキサンで3回洗浄し、減圧乾燥して、オフホワイト色の固体として2‐(2,4‐ジニトロフェノキシ)イソインドリン‐1,3‐ジオン 70を得た(4.0g、99%)。
工程2)O‐(2,4‐ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン(71)の合成:
Figure 2011521960
15mLのMeOH中のヒドラジン水和物(1.85g、36.4mmol)の溶液を、100mLのCHClの2‐(2,4‐ジニトロフェノキシ)イソインドリン‐1,3‐ジオン(70;4g、12.1mmol)の溶液へ0℃にて一度に添加した。反応混合物は急速に明黄色となり、沈澱が形成した。この懸濁液を0℃にて8時間静置した。次に冷HCl水溶液(1N、400mL)を添加し、この反応物を素早く0℃にて振とうした。この混合物をブフナー漏斗上のルースコットンプラグ(loose cotton plug)を通して素早くろ過し、沈澱を50mLのMeCNで3回洗浄した。ろ液を分液漏斗に注ぎ入れ、有機相を分離した。水相を100mLのCHClで2回抽出した。1つにまとめた有機層を1つにまとめ、乾燥し(NaSO4)、減圧濃縮して、O‐(2,4‐ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン 71を得た(2.1g、90%)。
工程3)1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド(72)の合成:
Figure 2011521960
O‐(2,4‐ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン(71;1.78g、8.94mmol)およびエチル2‐アミノニコチネート(24;1.48g、8.94mmol)をMeCN(20mL)中で混合した。反応容器を密封し、40℃にて24時間攪拌した。この反応物を濃縮し、得られた残渣をEtOで3回研和した。得られた固体をろ過し、減圧乾燥して、1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド 72を得た(2.0g、60%)。
工程4)エチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(73)の合成:
Figure 2011521960
典型的な工程では、1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン‐7(DBU;500mg、3.28mmol)を、EtOH(30mL)中に1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド(300mg、0.821mmol)および3‐(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(286mg、1.64mmol)を含有する混合物へ室温にて添加した。得られた反応混合物を室温で攪拌し、出発物質の完全な消滅をモニタリングした。この時点で、反応混合物を減圧濃縮し、水(50mL)で希釈した。得られた混合物をクロロホルムで抽出した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。クロマトグラフィ(ヘキサン:EtOAc=3:1)で精製することにより、エチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート 73を得た(140mg、50%)。C1612に対するMS(ESI)計算値:335.09;測定値:336[M+H]。
工程5)2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(74)の合成:
Figure 2011521960
水/EtOH(30mL/60mL)中のNaOH(167mg、4.18mmol)の溶液へ、エチル2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシレート(73;140mg、0.418mmol)を添加した。この混合物を室温にて5時間攪拌し、次に減圧濃縮した。得られた残渣を水(50mL)で希釈し、十分な量の1N HClを添加してpH=5に調節した。得られた固体をろ取し、減圧乾燥して、2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 74を得た(120mg、94%)。C14に対するMS(ESI)計算値:307.06;測定値:308[M+H]。
この一般的な方法を用い、工程4でのアルデヒドを適切に置き換えることにより、種々の2‐アリール置換[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸が合成される。
実施例17. N‐(4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物177)の合成:
Figure 2011521960
4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐アミン(37;93mg、0.469mmol)を、2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 74;(120mg、0.391mmol)、HATU(223mg、0.586mmol)、およびDIEA(126mg、0.976mmol)と共に、10mLのDMF中へ投入した。得られた反応混合物を60℃にて5時間攪拌した。室温まで冷却後、反応混合物を水で希釈した。得られた沈澱をろ取し、乾燥し、クロマトグラフィで精製して、N‐(4‐(モルホリノメチル)チアゾール‐2‐イル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物177)を得た(110mg、58%)。C2219Sに対するMS(ESI)計算値:488.12;測定値:489[M+H]。
このアミドカップリング一般手順を用い、アミン成分を適切に置き換えることにより、種々の[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン誘導体が合成される。
実施例18. 2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロフェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物264)の合成:
工程1)1‐ブロモ‐2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロベンゼン(77)の合成:
Figure 2011521960
CHCl(100mL)中の2‐ブロモ‐5‐フルオロベンズアルデヒド(76;10g、43.5mmol)の溶液へ、CHCl(50mL)中のDAST(10.5g、65.2mmol)の溶液を0℃にて添加した。この反応混合物を次に室温まで加温し、18時間攪拌した。この混合物をNaHCO水溶液中へゆっくり注ぎ入れ、層を分離した。水層をCHClで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。粗物質を減圧蒸留で精製して、1‐ブロモ‐2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロベンゼン 77を得た(7.9g、71.3%)。
工程2)2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロベンズアルデヒド(78)の合成:
Figure 2011521960
臭化イソプロピルマグネシウム(30mL、THF中1M、30mmol)を、THF(100mL)中の1‐ブロモ‐2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロベンゼン(77;6g、26.7mmol)の氷冷溶液へ滴下した。次に、この反応混合物を室温まで加温し、3時間攪拌した。ジメチルホルムアミド(3.5mL、45.2mmol)を添加し、この反応物を3時間攪拌した。水を添加し、この混合物を酢酸エチルで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィで精製し、2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロベンズアルデヒド 78を得た(3.2g、68%)。
工程3)2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロフェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(79)の合成:
Figure 2011521960
2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロベンズアルデヒド 78および1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド 72に上記で概説したものと同じ一般的な方法を施し、2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロフェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 79を合成した。C14Sに対するMS(ESI)計算値:307.06;測定値:308[M+H]。
工程4)2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロフェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物264)の合成:
Figure 2011521960
2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロフェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 79に、上述したものと同じアミドカップリング一般手順を施して、2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐フルオロフェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド 化合物264を得た。C1710OSに対するMS(ESI)計算値:389.06;測定値:390[M+H]。
実施例19. (R)‐2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2,3‐ジヒドロキシプロポキシ)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物249)の合成:
工程1)(S)‐2‐ブロモ‐5‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)ベンズアルデヒド(82)の合成:
Figure 2011521960
DMF(100ml)中の2‐ブロモ‐5‐ヒドロキシベンズアルデヒド(81;5g、0.025mol)の溶液へ、(R)‐4‐(クロロメチル)‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン(4.87g、0.032mol)およびKCO(7.0g、0.05mol)を添加した。得られた反応混合物を150℃にて10時間攪拌し、室温まで冷却し、水で希釈し、次にEtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc=10:1)で精製し、所望の生成物、すなわち(S)‐2‐ブロモ‐5‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)ベンズアルデヒド 82を得た(4.1g、56%)。
工程2)(S)‐4‐((4‐ブロモ‐3‐(ジフルオロメチル)フェノキシ)メチル)‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン(83)の合成:
Figure 2011521960
20mlのCHCl中のDAST(3.04g、0.019mol)の溶液へ、8mlのCHCl中の(S)‐2‐ブロモ‐5‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)ベンズアルデヒド(82;4.0g、0.013mol)の溶液を室温にて滴下した。得られた反応混合物を室温にて10時間攪拌した。次に、これをCHCl(50mL)で希釈し、水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。クロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc=5:1)で精製して、(S)‐4‐((4‐ブロモ‐3‐(ジフルオロメチル)フェノキシ)メチル)‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン 83を得た(3.3g、75%)。
工程3)(S)‐2‐(ジフルオロメチル)‐4‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)ベンズアルデヒド(84)の合成:
Figure 2011521960
THF(30ml)中の(S)‐4‐((4‐ブロモ‐3‐(ジフルオロメチル)フェノキシ)メチル)‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン(83;3g、0.089mol)の溶液へ、−78℃にてn‐BuLi(ヘキサン中2.5M溶液、3.9ml、0.097mol)を添加した。この混合物を同じ温度にて1時間攪拌し、DMF(0.929g、0.103mol)を滴下した。−78℃にてさらに20分間攪拌後、飽和NHCl水溶液(30ml)を添加した。得られた反応混合物を室温まで加温し、EtOで抽出した(3×15mL)。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc=5:1)で精製して、表題の化合物、すなわち(S)‐2‐(ジフルオロメチル)‐4‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)ベンズアルデヒド 84を得た(1.83g、72%)。
工程4)(S)‐2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(85)の合成:
Figure 2011521960
(S)‐2‐(ジフルオロメチル)‐4‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)ベンズアルデヒド 84および1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド 72に、上記で概説したものと同じ一般的な方法を施し、(S)‐2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 85を合成した。C2019に対するMS(ESI)計算値:419.13;測定値:420[M+H]。
工程5)(R)‐2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2,3‐ジヒドロキシプロポキシ)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物249)の合成:
Figure 2011521960
(S)‐2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐((2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐4‐イル)メトキシ)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(85;0.3mmol)および2‐アミノチアゾール(0.31mmol)を用いて上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を用い、(R)‐2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2,3‐ジヒドロキシプロポキシ)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物249)を得た。C2017Sに対するMS(ESI)計算値:461.10;測定値:462[M+H]。
実施例20. 2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物265)の合成:
工程1)2‐ブロモ‐5‐(2‐モルホリノエトキシ)ベンズアルデヒド(86)の合成:
Figure 2011521960
DMF(75ml)中の2‐ブロモ‐5‐ヒドロキシベンズアルデヒド(81;3g、15mmol)および4‐(2‐クロロエチル)モルホリン塩酸塩(80;5.6g、30mmol)の溶液へ、KCO(10.3g、74.6mmol)を添加した。2時間、120℃で3時間の反応の後、この反応混合物に水を添加して反応停止し、EtOAcで抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィにより、褐色固体として2‐ブロモ‐5‐(2‐モルホリノエトキシ)ベンズアルデヒド 86を得た(3.3g、72%)。
工程2)4‐(2‐(4‐ブロモ‐3‐(ジフルオロメチル)フェノキシ)エチル)‐モルホリン(87)の合成:
Figure 2011521960
CHCl(30mL)中の2‐ブロモ‐5‐(2‐モルホリノエトキシ)ベンズアルデヒド(86;4.7g、15mmol)の溶液へ、CHCl(15mL)中のDAST(3.63g、22.5mmol)の溶液を0℃にて添加した。得られた反応混合物を還流下にて3日間攪拌した。この反応混合物を飽和NaHCO水溶液中へ注ぎ入れ、CHClで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィにより、淡黄色オイルとして4‐(2‐(4‐ブロモ‐3‐(ジフルオロメチル)フェノキシ)エチル)‐モルホリン 87を得た(3.13g、63%)。
工程3)2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)ベンズアルデヒド(75)の合成:
Figure 2011521960
THF(90mL)中の4‐(2‐(4‐ブロモ‐3‐(ジフルオロメチル)フェノキシ)エチル)‐モルホリン(87;2.8g、8.38mmol)の溶液へ、n‐BuLi(ヘキサン中1.6M溶液、7mL、11.2mmol)を−78℃にて添加した。得られた反応混合物を同じ温度にて1時間攪拌し、DMF(1.24g、17mmol)を滴下した。この混合物を−78℃にてさらに30分間攪拌後、飽和NHCl水溶液を添加し、この混合物をEtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。クロマトグラフィで精製することにより、黄褐色オイルとして2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)ベンズアルデヒド 75を得た(1.6g、67%)。
工程4)2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(68)の合成:
Figure 2011521960
2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)ベンズアルデヒド 75および1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド 72に、上記で概説したものと同じ一般的な方法を施し、2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 68を合成した。C2020に対するMS(ESI)計算値:418.15;測定値:419[M+H]。
工程5)2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物265)の合成:
Figure 2011521960
2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 68に上記で概説したものと同じアミドカップリング一般手順を施し、2‐(2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(2‐モルホリノエトキシ)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド 化合物265を得た。C2322Sに対するMS(ESI)計算値:500.14;測定値:501[M+H]。
実施例21. 2‐(2‐メチルピリジン‐3‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物239)の合成:
工程1)2‐メチルニコチンアルデヒド(89)の合成:
Figure 2011521960
THF(150mL)中の3‐ブロモ‐2‐メチルピリジン(88;10g、58.1mmol)の溶液へ、n‐BuLi(2.5M、25.6mL)を−78℃にて添加した。この反応混合物をこの温度にて1時間攪拌した。次にDMF(1.30mL)を添加し、得られた反応混合物を−78℃にて1時間攪拌した。NHCl水溶液を添加することで反応停止した。室温まで加温後、この混合物をEtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィで精製することにより、2‐メチルニコチンアルデヒド 89を得た(2.18g、31%)。
工程2)2‐(2‐メチルピリジン‐3‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(90)の合成:
Figure 2011521960
2‐メチルニコチンアルデヒド 89および1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド 72に、上記で概説したものと同じ一般的な方法を施し、2‐(2‐メチルピリジン‐3‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 90を合成した。C1310に対するMS(ESI)計算値:254.08;測定値:255[M+H]。
工程3)2‐(2‐メチルピリジン‐3‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物239)の合成:
Figure 2011521960
2‐(2‐メチルピリジン‐3‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 90に上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を施し、2‐(2‐メチルピリジン‐3‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物239)を得た。C1612OSに対するMS(ESI)計算値:336.08;測定値:337[M+H]。
実施例22. 2‐(6‐メチルピリジン‐3‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物210)の合成:
工程1)6‐メチルニコチンアルデヒド(93)の合成:
Figure 2011521960
THF(150mL)中の5‐ブロモ‐2‐メチルピリジン(91;10g、58.1mmol)の溶液へ、n‐BuLi(2.5M、25.6mL)を−78℃にて添加した。この反応混合物をこの温度にて1時間攪拌した。次にDMF(1.30mL)を添加し、得られた反応混合物を−78℃にて1時間攪拌した。NHCl水溶液を添加することで反応停止した。室温まで加温後、この混合物をEtOAcで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。得られた残渣をクロマトグラフィで精製することにより、6‐メチルニコチンアルデヒド 92を得た(5.0g、72%)。
工程2)2‐(6‐メチルピリジン‐3‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(93)の合成:
Figure 2011521960
6‐メチルニコチンアルデヒド 92および1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド 72に、上記で概説したものと同じ一般的な方法を施し、2‐(6‐メチルピリジン‐3‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 93を合成した。C1310に対するMS(ESI)計算値:254.08;測定値:255[M+H]。
工程3)2‐(6‐メチルピリジン‐3‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物210)の合成:
Figure 2011521960
2‐(6‐メチルピリジン‐3‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 93に上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を施し、2‐(6‐メチルピリジン‐3‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物210)を得た。C1612OSに対するMS(ESI)計算値:336.08;測定値:337[M+H]。
実施例23. 2‐(2‐メチルピリジン‐4‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物214)の合成:
工程1)2‐メチルイソニコチンアルデヒド(96)の合成:
Figure 2011521960
THF(150mL)中の2,4‐ルチジン(94;10g、93.3mmol)の溶液へ、n‐BuLi(2.5M、41.1mL)を−78℃にて添加した。次に、ジエチルアミン(8.19g、112mmol)をこの温度で添加し、続いてDMF(10mL)を添加した。得られた反応混合物を−78℃にて1時間攪拌した。NHCl水溶液を添加することで反応停止した。室温まで加温後、この混合物をCHClで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して、中間体エナミン 95を得た。
水(200mL)によるNaIO(40g)の溶液へ、CHCl(200mL)中の上記エナミン中間体 95を添加した。この反応混合物を室温にて18時間攪拌した。次に、十分な量の2N NaOHを添加して、混合物のpHを8に調節した。続いて、この混合物をろ過し、分離し、CHClで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。クロマトグラフィで精製することにより、2‐メチルイソニコチンアルデヒド 96を得た(4g、35%)。
工程2)2‐(2‐メチルピリジン‐4‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(97)の合成:
Figure 2011521960
2‐メチルイソニコチンアルデヒド 96および1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド 72に、上記で概説したものと同じ一般的な方法を施し、2‐(2‐メチルピリジン‐4‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 97を合成した。C1310に対するMS(ESI)計算値:254.08;測定値:255[M+H]。
工程3)2‐(2‐メチルピリジン‐4‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物214)の合成:
Figure 2011521960
2‐(2‐メチルピリジン‐4‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 97に上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を施し、2‐(2‐メチルピリジン‐4‐イル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物214)を得た。C1612OSに対するMS(ESI)計算値:336.08;測定値:337[M+H]。
実施例24. 2‐(4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物219)の合成:
工程1)4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(99)の合成:
Figure 2011521960
4‐フルオロ‐2‐(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(98;3.85g、20.1mmol)、モルホリン(1.9g、22.1mmol)、およびKCO(5.5g、40.2mmol)を、50mLのDMSO中へ投入した。この反応混合物を100℃にて4時間攪拌した。室温へ冷却後、反応混合物を水(200mL)で希釈した。得られた固体をろ取し、減圧乾燥して、4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド 99を得た(1.2g、50%)。
工程2)2‐(4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸(64)の合成:
Figure 2011521960
4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド 99および1,2‐ジアミノ‐3‐(エトキシカルボニル)ピリジニウム2,4‐ジニトロフェノキシド 72に、上記で概説したものと同じ一般的な方法を施し、2‐(4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 64を合成した。C1815に対するMS(ESI)計算値:392.11;測定値:393[M+H]。
工程3)2‐(4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物219)の合成:
Figure 2011521960
2‐(4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボン酸 99に上記で詳述したものと同じアミドカップリング一般手順を施し、2‐(4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物219)を得た。C2117Sに対するMS(ESI)計算値:474.11;測定値:475[M+H]。
実施例25. 2‐(5‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物221)の合成:
Figure 2011521960
2‐(5‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミド(化合物221)の合成を、出発物質として5‐フルオロ‐2‐(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(55)を用いた以外は2‐(4‐モルホリノ‐2‐(トリフルオロメチル)フェニル)‐N‐(チアゾール‐2‐イル)‐[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジン‐8‐カルボキシアミドの合成で詳述したものと同じ手順に従って行った。C2117Sに対するMS(ESI)計算値:474.11;測定値:475[M+H]。
実施例26. 生物学的活性に対するアッセイ
質量分析に基づくアッセイを用いて、SIRT1活性の調節薬を識別した。この質量分析に基づくアッセイは、以下の20アミノ酸残基を有するペプチドを用い:Ac‐EE‐K(ビオチン)‐GQSTSSHSK(Ac)NleSTEG‐K(5TMR)‐EE‐NH2(配列番号1)、ここで、K(Ac)はアセチル化リジン残基であり、Nleはノルロイシンである。このペプチドは、C末端にてフルオロフォア5TMR(励起540nm/発光580nm)で標識されている。このペプチド基質の配列は、いくつかの修飾を有するp53に基づいている。さらに、この配列に天然に存在するメチオニン残基は、メチオニンが合成および精製の過程での酸化に感受性を有する場合があることから、ノルロイシンと置換した。
質量分析アッセイは、以下のようにして行う:0.5μMのペプチド基質および120μMのβNADを、10nMのSIRT1と共に、反応バッファー中(50mM トリス‐酢酸 pH 8、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl、5mM DTT、0.05% BSA)にて25℃で25分間インキュベートする。試験化合物を上述の反応物へ添加してよい。SirT1遺伝子を、ベクターを有するT7‐プロモーターへクローン化し、BL21(DE3)へ形質転換する。SIRT1との25分間のインキュベーションの後、10μLの10%ギ酸を添加して反応を停止する。後で質量分析を行うために、反応物を密封し、凍結する。基質ペプチドの質量を測定することにより、脱アセチル化ペプチド(生成物)と比較したアセチル化の度合い(すなわち、出発物質)を正確に測定することができる。
サーチュイン活性の阻害に対するコントロールは、反応の開始時にネガティブコントロールとして500mMのニコチンアミドを1μL添加することで行う(例:最大のサーチュイン阻害の測定が可能)。サーチュイン活性の活性化に対するコントロールは、化合物の代わりのDMSOの1μLと共に10nMのサーチュインタンパク質を用いて行い、アッセイの直線範囲内の任意の時間点での基質の脱アセチル化の量を測定する。この時間点は、試験化合物に用いるものと同じであり、直線範囲内における終点は速度の変化を表す。
上記のアッセイでは、SIRT1タンパク質の発現および精製を以下のようにして行った。SirT1遺伝子を、ベクターを有するT7‐プロモーターへクローン化し、BL21(DE3)へ形質転換した。タンパク質の発現は、N末端His‐タグ融合タンパク質としての1mMのIPTGにより18℃で一晩誘発することで行い、30,000×gで回収した。細胞を溶解バッファー中(50mM トリス‐HCl、2mM トリス[2‐カルボキシエチル]ホスフィン(TCEP)、10μM ZnCl、200mM NaCl)にてリゾチームで溶解し、さらに10分間の超音波処理を行って完全に溶解した。タンパク質をNi‐NTAカラム上(アマシャム(Amersham))で精製し、純粋タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮し、サイジングカラム(Sephadex S200 26/60 global)で処理した。可溶性タンパク質を含有するピークを回収し、イオン交換カラム(MonoQ)で処理した。勾配溶離(200mM〜500mM NaCl)により、純粋タンパク質を得た。このタンパク質を濃縮し、透析バッファー(20mM トリス‐HCl、2mM TCEP)に対して一晩透析した。このタンパク質を等分し、使用するまで−80℃で凍結した。
SIRT1を活性化させたサーチュイン調節化合物を、上述のアッセイを用いて識別し、以下の表1に示す。EC1.5の値は、SIRT1の150%の活性化をもたらした試験化合物の濃度を表す。活性化化合物のEC1.5の値は、A(EC1.5<1.0uM)、B(EC1.5 1〜25uM)、C(EC1.5 >25uM)で表す。活性化の最大倍数パーセントは、A(活性化倍数>200%)またはB(活性化倍数<200%)で表す。「NT」は、その化合物がこのアッセイでは試験されなかったことを示す。
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本発明の別の実施態様では、この化合物は、上記の表1に示す化合物番号107、122、132、133、134、135、136、137、139、140、141、144、145、146、147、149、158、159、160、161、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、197、198、200、201、204、205、207、208、209、213、214、215、216、217、219、220、221、222、225、226、227、228、233、234、235、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、および264のいずれか1つから選択される。
均等物
本発明は、中でも、サーチュイン活性化化合物およびそれを用いる方法を提供する。本発明の具体的な実施態様について考察してきたが、上記の記述事項は説明のためのものであって、限定するものではない。本明細書のレビューにより、本発明の多くの変形が当業者に明らかとなるであろう。本発明の全範囲は、請求項を参照して、その均等物の全範囲と共に、ならびに明細書を参照して、このような変形と共に、決定されるべきである。
参照による組み入れ
本明細書で言及するすべての刊行物および特許は、以下に列挙するものを含めて、個々の刊行物または特許の各々が具体的に、および個別に参照することで組み入れられると示されているかのごとく、その全体が参照することで本明細書に組み入れられる。内容が相違する場合、本明細書におけるいずれの定義も含めて本出願が優先する。
さらに、ゲノム研究所(The Institute for Genomic Research)(TIGR)(www.tigr.org)、および/または米国バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)(www.ncbi.nlm.nih.gov)によって管理されるものなどの公共のデータベースへの登録に対応する受託番号が付与されるいずれのポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列も、そのすべてが参照することで本明細書に組み入れられる。

Claims (15)

  1. 式(III):
    Figure 2011521960
    〔ここで:
    11、Z12、およびZ13は、各々独立して、NおよびCRから選択され、ここで、Rは、水素、ハロ、−OH、−C≡N、フルオロ置換C‐Cアルキル、−O−(C‐Cフルオロ置換アルキル)、−S−(C‐Cフルオロ置換アルキル)、C‐Cアルキル、−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−O−CHCH(OH)CHOH、−O−(C‐C)アルキル、−O−(C‐C)アルキル−N(R14)(R14)、−N(R14)(R14)、−S−(C‐C)アルキル、およびC‐Cシクロアルキルから選択され;
    Yは、NおよびCR13から選択され、ここで、R13は、水素、ハロ、−C‐Cアルキル、−O−(C‐Cアルキル)、および−O−(C‐Cフルオロ置換アルキル)から選択され;
    11、Z12、およびZ13、ならびにYのうちの2つ以下はNであり;
    Xは、−NH−C(=O)−†、−C(=O)−NH−†、−NH−C(=S)−†、−C(=S)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−S(=O)−NH−†、−S(=O)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−NH−S(O)−NR15−†、−NR15−S(O)−NH−†、−NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、−NH−C(=O)NH−†、−NH−C(=O)NR15−†、−NR15−C(=O)NH−†、−NH−NR15−†、−NR15−NH−†、−O−NH−†、−NH−O−†、−NH−CR1516−†、−CR1516−NH−†、−NH−C(=NR15)−†、−C(=NR15)−NH−†、−C(=O)−NH−CR1516−†、−CR1516−NH−C(O)−†、−NH−C(=S)−CR1516−†、−CR1516−C(=S)−NH−†、−NH−S(O)−CR1516−†、−CR1516−S(O)−NH−†、−NH−S(O)−CR1516−†、−CR1516−S(O)−NH−†、−NH−C(=O)−O−CR1516−†、−CR1516−O−C(=O)−NH−†、−NH−C(=O)−NR14−CR1516−†、−NH−C(=O)−CR1516−†、および−CR1516−NH−C(=O)−O−†から選択され、ここで、
    †は、XがR11と結合している部位を表し、ならびに:
    15およびR16は、独立して、水素、C‐Cアルキル、CF、および−(C‐Cアルキル)−CFから選択され;
    11は、炭素環およびヘテロ環から選択され、ここで、R11は、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、=O、−O−R14、−S−R14、−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−N(R14)(R14)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−C(O)−N(R14)(R14)、−C(O)−O−R14、および−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R14)(R14)から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、R11がフェニルの場合、R11はまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐エチレンジオキシ、O−(飽和へテロ環)、フルオロ置換−O−(飽和へテロ環)、およびC‐Cアルキル置換O−(飽和へテロ環)で置換されていてもよく、ここで、
    14は、各々独立して、水素および−C‐Cアルキルから選択されるか;または、
    2つのR14が、それらが結合している窒素原子と共に一緒になって、N、S、S(=O)、S(=O)、およびOから選択される追加の1つのヘテロ原子を含んでなっていてもよい、4から8員環飽和へテロ環を形成し、ここで:
    14がアルキルの場合、このアルキルは、1もしくは2つ以上の−OH、−O−(C‐Cアルキル)、フルオロ、−NH、−NH(C‐Cアルキル)、−N(C‐Cアルキル)、−NH(CHCHOCH)、または−N(CHCHOCHで置換されていてもよく、および、
    2つのR14が、それらが結合している窒素原子と共に一緒になって4から8員環飽和へテロ環を形成する場合、この飽和へテロ環は、炭素原子上にて、−OH、−C‐Cアルキル、フルオロ、−NH、−NH(C‐Cアルキル)、−N(C‐Cアルキル)、−NH(CHCHOCH)、または−N(CHCHOCHで置換されていてもよく;および、置換可能であるいずれかの窒素原子上にて、−C‐Cアルキル、フルオロ置換C‐Cアルキル、または−(CH−O−CHで置換されていてもよく;ならびに、
    12は、炭素環原子を介して化合物の残りの部分と結合する炭素環およびヘテロ環から選択され、ここで、R12は、ハロ、−C≡N、C‐Cアルキル、C‐Cシクロアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−R14、−S−R14、−S(O)−R14、−S(O)−R14、−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−N(R14)(R14)、−O−(C‐Cアルキル)−N(R14)(R14)、−C(O)−N(R14)(R14)、−(C‐Cアルキル)−C(O)−N(R14)(R14)、−O−フェニル、フェニル、および第二のヘテロ環から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ならびに、R12がフェニルの場合は、R12はまた、3,4‐メチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐メチレンジオキシ、3,4‐エチレンジオキシ、フルオロ置換3,4‐エチレンジオキシ、または−O−(飽和へテロ環)で置換されていてもよく、ここで、R12のいずれかのフェニル、飽和へテロ環、もしくは第二のへテロ環置換基は、ハロ;−C≡N;C‐Cアルキル、C‐Cフルオロ置換アルキル、−O−(C‐Cフルオロ置換アルキル)、−O−(C‐Cアルキル)、−S−(C‐Cアルキル)、−S−(C‐Cフルオロ置換アルキル)、−NH−(C‐Cアルキル)、および−N−(C‐Cアルキル)で置換されていてもよい〕
    で表される化合物またはその塩(但し、前記化合物は:
    Figure 2011521960
    ではない)。
  2. Xが、−NH−C(=O)−†、−C(=O)−NH−†、−NH−C(=S)−†、−C(=S)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−S(=O)−NH−†、−S(=O)−NH−†、−NH−S(=O)−†、−NH−S(O)−NR15−†、−NR15−S(O)−NH−†、−NH−C(=O)O−†、O−C(=O)−NH−†、−NH−C(=O)NH−†、−NH−C(=O)NR15−†、−NR15−C(=O)NH−†、−NH−NR15−†、−NR15−NH−†、−O−NH−†、−NH−O−†、−NH−CR1516−†、−CR1516−NH−†、−NH−C(=NR15)−†、−C(=NR15)−NH−†、−CR1516−NH−C(O)−†、−NH−C(=S)−CR1516−†、−CR1516−C(=S)−NH−†、−NH−S(O)−CR1516−†、−CR1516−S(O)−NH−†、−NH−S(O)−CR1516−†、−CR1516−S(O)−NH−†、−NH−C(=O)−O−CR1516−†、−CR1516−O−C(=O)−NH−†、−NH−C(=O)−NR14−CR1516−†、−NH−C(=O)−CR1516−†、および−CR1516−NH−C(=O)−O−†から選択され、ここで、Xが−NH−C(=O)−†である場合、RおよびRは、同時に、置換されていてもよいフェニルではない、請求項1に記載の化合物。
  3. 以下の構造:
    Figure 2011521960
    を有する化合物から選択され、ここで、各Xおよび各Rは請求項1に定める通りである、請求項1または2に記載の化合物。
  4. 以下の構造:
    Figure 2011521960
    を有する化合物から選択される、請求項3に記載の化合物。
  5. Xが、−C(=O)−NH−†である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 12が、アリールおよびヘテロアリールから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. 12が:
    Figure 2011521960
    Figure 2011521960
    から選択され;ここで、R12はさらに置換されていてもよい、請求項6に記載の化合物。
  8. 12が:
    Figure 2011521960
    から選択される、請求項6に記載の化合物。
  9. 11が:
    Figure 2011521960
    から選択され;ここで、R11はさらに置換されていてもよい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. 11が:
    Figure 2011521960
    から選択される、請求項9に記載の化合物。
  11. 化合物番号107、122、132、133、134、135、136、137、139、140、141、144、145、146、147、149、158、159、160、161、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、197、198、200、201、204、205、207、208、209、213、214、215、216、217、219、220、221、222、225、226、227、228、233、234、235、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、および264のいずれか1つから選択される化合物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容される担体を含んでなる、医薬組成物。
  13. 追加の活性剤をさらに含んでなる、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. インスリン抵抗性、代謝症候群、糖尿病、もしくはこれらの合併症に罹患しているか、または罹患しやすい被験体を治療するための、または、被験体におけるインスリン感受性を高めるための方法であって、それを必要とする前記被験体に請求項12に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  15. 被験体の体重を減少させるための、または被験体の体重が増加することを阻止するための方法であって、それを必要とする前記被験体に請求項12に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
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