JP2011521664A - カビを使用してウンデシレン酸を生物変換することにより天然の9−デセン−2−オンを製造する方法、並びに香料及び食品のフレーバリングの分野における使用 - Google Patents

カビを使用してウンデシレン酸を生物変換することにより天然の9−デセン−2−オンを製造する方法、並びに香料及び食品のフレーバリングの分野における使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、カビを使用するウンデシレン酸の生物変換を特徴とする9−デセン−2−オンを製造する方法、並びに香料、化粧品及び食品のフレーバリングの分野におけるその使用に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、カビを使用するウンデシレン酸の9−デセン−2−オンへの生物変換であって、この生成物を着香及び食品のフレーバリングの用途に使用することができる、生物変換に関する。
出願人たる企業により、9−デセン−2−オン(又は2−デセノン又はメチルオクテニルケトン、RN CAS 35194−30−0)が芳香産業の全用途(フレーバリング及びフレグランス)に使用することができるような嗅覚特性及び味覚特性を有するメチルケトンであることが実証された。具体的には、該ケトンは、グリーンノート及びファッティノート並びにまたフルーティノート(特に一般的には、セイヨウナシ、リンゴ、パイナップル、パッションフルーツ及びエキゾチックフルーツ)を有する。
他のメチルケトンと同様にこのケトンは、脂肪酸酸化後のβ酸化の第1工程を含む代謝経路を介して形成される。メチルケトンの形成のためのこの代謝経路は、脂肪酸の解毒時に真菌により使用される。
代謝経路図(図1)により見ることができるように、生物変換に使用される基質は、ヒマシ油から得られるリシノール酸のクラッキング(粗生成物をより高純度の(finer)化合物に変換する物理的操作)により得られその後乾留により精製されるウンデシレン酸である。最終的に、脱炭酸工程後、経路の最後で得られるメチルケトンは、含有する炭素数が元の脂肪酸よりも1個少ない。
出願人たる企業の知る限りでは、9−デセン−2−オンの合成を説明する及び/又は可能にする生物工学的なプロセスは現在のところ存在しない。具体的には、この分子は、現在のところ化学合成によってのみ得ることができ、収率もさほど良いものではない。さらに、合成フレーバリングは、天然フレーバリングに比べて消費者にあまり好まれないという欠点を有する。したがって、本発明の目的は、カビ等の微生物を使用する生物学的プロセス、特に生物変換により、天然の芳香分子、特に9−デセン−2−オンを経由して得られる芳香分子を得るための代替的なプロセスを提供することである。
本発明の目的で、「生物変換」という用語は、基質、好ましくは天然の供給源由来の基質の生物学的変換を意味し、これによりフレーバリング又はフレグランス中に配合することができる天然のフレーバリング物質が得られ、このフレーバリング又はフレグランスは天然のものであると称される。
出願人たる企業は、驚くべきことにまた予期せずに、カビを使用するウンデシレン酸の生物変換を特徴とする9−デセン−2−オンを製造する方法であって、以下の工程:
a)上記カビを培養すること、
b)油の存在下で生物変換基質としてのウンデシレン酸を添加すること、
c)基質を9−デセン−2−オンに生物変換すること、
d)9−デセン−2−オンを抽出及び精製すること
を含む、方法によりこの目的を満足させることが可能であることを見出した。
本発明の目的で、「カビ」という用語は、単細胞又は多細胞で線維状の微細な菌類に対応する。カビのうち、藻菌類(Phycomycetes)及びセプトミセテ(Septomycetes)が区別されている。卵菌(Oomycotineae)門及び接合菌(Zygomycotineae)門は、藻菌類に含まれる。子嚢菌(Ascomycotineae)門、担子菌(Basidiomycotineae)門及び不完全菌(Deuteromycotineae)門は、セプトミセテに含まれる。
本発明の一つの実施の形態では、本発明によるカビは、不完全菌門、不完全糸状菌(Hyphomycetes)綱、ツベルクラリア(Tuberculariales)目、コウジカビ(Aspergillaceae)科に属する。より好ましくは、上記カビはアスペルギルス(Aspergillus)属又はペニシリウム(Penicillium)属に属する。第1の好ましい実施の形態では、上記カビは、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)種に、又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)種に属する。第2の好ましい実施の形態では、上記カビはペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roquefortii)種に、又はペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camembertii)種に属する。
アスペルギルス・オリザエカビのうち、以下の収集菌株に言及することができる:アスペルギルス・オリザエDSMZ1861、アスペルギルス・オリザエDSMZ1864、アスペルギルス・オリザエDSMZ1147、アスペルギルス・オリザエDSMZ63303、アスペルギルス・オリザエCBS570.65、アスペルギルス・オリザエCBS819.72、アスペルギルス・オリザエCBS110.27。
アスペルギルス・ニガーカビのうち、以下の収集菌株に言及することができる:アスペルギルス・ニガーDSMZ823、アスペルギルス・ニガーDSMZ2466。
ペニシリウム・ロックフォルティカビのうち、以下の収集菌株に言及することができる:ペニシリウム・ロックフォルティCBS221−30、ペニシリウム・ロックフォルティPRB18、ペニシリウム・ロックフォルティDSMZ1079、ペニシリウム・ロックフォルティDSMZ1080。
ペニシリウム・カマンベルティカビのうち、ペニシリウム・カマンベルティDSMZ1233株に言及することができる。
別の好ましい実施の形態によると、本発明によるカビは、接合菌門、接合菌(Zygomycetes)綱、ケカビ(Mucorales)目、クサレカビ(Mortierellaceae)科又はケカビ(Mucoraceae)科に属する。
より好ましくは上記カビは、モルチエレラ(Mortierella)属に、又はムコール(Mucor)属に、又はリゾプス(Rhizopus)属に属し、さらにより好ましくは上記カビは、モルチエレラ・イサベリナ(Mortierella isabellina)種若しくはモルチエレラ・ラマニアナ(Mortierella ramanniana)種に、又はムコール・ラセモサス(Mucor racemosus)種若しくはムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)種に、又はリゾプス・アリズス(Rhizopus arrhizus)種若しくはリゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)種に属する。
モルチエレラ属に属するカビのうち、以下の収集菌株に言及することができる:モルチエレラ・イサベリナDSMZ1414、モルチエレラ・イサベリナCBS100559、モルチエレラ・イサベリナCBS221.29、モルチエレラ・イサベリナCBS194.28、モルチエレラ・イサベリナCBS208.32、モルチエレラ・イサベリナCBS224.35、モルチエレラ・イサベリナCBS560.63、モルチエレラ・イサベリナCBS167.80、モルチエレラ・イサベリナCBS493.83、モルチエレラ・イサベリナCBS309.93、モルチエレラ・イサベリナCBS250.95、モルチエレラ・イサベリナCBS109075、モルチエレラ・ラマニアナCBS112.08、モルチエレラ・ラマニアナCBS219.47、モルチエレラ・ラマニアナCBS243.58、モルチエレラ・ラマニアナCBS478.63、モルチエレラ・ラマニアナCBS852.72、モルチエレラ・ラマニアナCBS366.95、モルチエレラ・ラマニアナCBS101226。
ムコール属に属するカビのうち、以下の収集菌株に言及することができる:ムコール・ジャバニカス(Mucor javanicus)DSMZ1222、ムコール・ラセモサスDSMZ62760、ムコール・ロイキシ(Mucor rouxii)DSMZ1191。
リゾプス属に属するカビのうち、以下の収集菌株に言及することができる:リゾプス・アリズス・オリザエ(Rhizopus arrhizus oryzae)DSMZ905、リゾプス・オリザエDSMZ2199、リゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)DSMZ853、リゾプス・ニベウス(Rhizopus niveus)DSMZ2194、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)DSMZ1330。
本発明による方法の工程a)で対象となる培養は、好適な培養培地中における、培養物、好ましくは半濃縮された(例えば細胞増殖により)培養物の調製を含む。この培養の前に、第1の増殖工程により適した第1の培養培地中における菌株の前培養が行われる。
本発明の好ましい一つの実施の形態では、上記カビを培養する時間は、20時間〜30時間の範囲であり、実際には菌糸の成長の状態(顕微鏡により観察され得る)に応じて異なる。カビの最小生物量が、本発明による生物変換を行う前に7g/l〜15g/l、より好ましくは9g/l〜12g/lであることが実際には好ましい。
本方法の工程b)は、基質を細胞培養物に添加することにある。本発明によると、9−デセン−2−オンの生物学的合成は、最も好適な基質(ウンデシレン酸又はそのエステル、ウンデシレン酸のメチルエステル若しくはエチルエステルである)を含む。言うまでもなく、基質は、異なる好適な基質の混合物、特にウンデシレン酸及び1つ又は複数のそのエステルの混合物であり得る。
本発明の有利な一つの実施の形態によると、基質を、バッチプロセス又は流加バッチプロセスにおいて菌糸に添加する。
本発明の好ましい一つの実施の形態では、上記ウンデシレン酸を、発酵培地に0.1g/l/h〜0.9g/l/h、好ましくは0.2g/l/h〜0.7g/l/h、最も優先的には0.3g/l/h〜0.55g/l/hの供給速度で添加する。
本方法の工程c)は、ウンデシレン酸の9−デセン−2−オンへの生物変換から成る。
この生物変換段階の期間は、通常36時間〜96時間である。
真菌に対するウンデシレン酸の高毒性を理由として、基質を変換するためのカビを調製するために適応期間が必要であると分かることがある。したがって、好ましい一つの実施の形態によると、本発明による方法の生物変換の工程は、上記ウンデシレン酸を0.1g/l/h〜0.5g/l/hの供給速度で添加するカビの適応の第1の段階、その後にウンデシレン酸を0.25g/l/h〜0.9g/l/hの供給速度で添加する第2の段階を含む。有利には、上記適応段階の期間は20時間未満、好ましくは12時間未満、より優先的には6時間未満である。
好ましい一つの実施の形態によると、ウンデシレン酸を油の存在下で添加する。上記油は、標準的な食品グレードの油、例えば大豆油、トウモロコシ油、ヒマワリ油等、又は短鎖脂肪酸を含有するトリグリセリド、例えばミグリオール、又は代替的にはホワイト油、例えば流動パラフィン若しくは長鎖炭化水素から構成される鉱物油を含む群から選択され得る。好ましくは上記油は、部分的に水素化された又はオレイン酸が豊富なヒマワリ油である。
好ましくは上記油を、基質に対して以下の比率で添加する:ウンデシレン酸/油=ウンデシレン酸1/4対油3/4、又はウンデシレン酸1/3対油2/3、又はウンデシレン酸1/2対油1/2。
有利には、上記油を発酵培地に0.4g/l/h〜4.0g/l/h、好ましくは0.5g/l/h〜3g/l/h、最も優先的には0.75g/l/h〜2.5g/l/hの供給速度で添加する。
強制生物変換の状況におけるあらゆる種類の微生物と同様に、真菌は、そのエネルギー要求を賄うために炭素源、例えば炭水化物源、好ましくはグルコース又はマルトースを必要とする。生物変換中にグルコースを供給することが好ましい。したがって、本発明の別の好ましい実施の形態によると、グルコース又はマルトースをウンデシレン酸及び油と同時に添加する。有利には、上記グルコース又は上記マルトースを発酵培地に1g/l/h未満、好ましくは0.75g/l/h未満、最も優先的には0.5g/l/h未満の供給速度で添加する。
本発明の別の好ましい実施の形態によると、上記ウンデシレン酸、上記油、及び必要に応じて上記グルコース又は上記マルトースの発酵培地への添加を5時間〜96時間、好ましくは24時間〜72時間、より好ましくは24時間〜48時間連続的に行う。
別の好ましい実施の形態によると、本発明による生物変換を25℃〜35℃、好ましくは27℃〜30℃の温度で行う。
別の好ましい実施の形態によると、本発明による発酵培地のpHは5〜8であり、好ましくは5.5〜7.5であり、より優先的には6〜7である。本発明との関連では、水酸化ナトリウム(例えば無菌5N NaOH、又は別の標準的な発酵用塩基(NHOH、KOH等))を使用してpHの調節を行う。
生物変換時には、発酵培地を十分に撹拌し、また十分に通気することが重要である。発酵槽中で、複数の撹拌パドルにより撹拌を行うことができる。有利には、また発酵槽の大きさにより、例えば6リットル容発酵槽に関しては、本発明により必要な十分な撹拌は、200rpm〜1200rpm、好ましくは300rpm〜900rpmである。一方、通気は空気を撹拌パドル中に注入することにより行うことができる。有利には、本発明による発酵培地の十分な通気は、1vvm以下、好ましくは0.2vvm〜0.8vvm、より優先的には0.3vvm〜0.7vvmである。
別の好ましい実施の形態では、酸を培養培地に添加することにより本発明による生物変換を停止する。上記酸は、リン酸、硫酸、塩酸及びクエン酸を含む群から選択することができる。好ましくは上記酸は、リン酸又はクエン酸である。
工程d)では、水蒸気蒸留により、又はシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及び酢酸エチルを含む群から選択される溶媒を使用する抽出により9−デセン−2−オンの抽出を行うことができる。好ましくは、使用する溶媒はシクロヘキサン、又はシクロヘキサン/酢酸エチルの混合物である。
その後、脱樹脂(deresination)を行いその後分別蒸留を行うことにより、9−デセン−2−オンの精製を行うことができる。
したがって、この抽出/精製プロセスにより、約75%〜85%の抽出収率で純度が98%より高い分子を得ることが可能となる。
使用した基質ウンデシレン酸に対する9−デセン−2−オンへの生物変換収率は、約25%〜35%である。
本発明は、上述の方法により得られる9−デセン−2−オンにも関する。
本発明の主題は、香水及び食品のフレーバリングの全用途における、特に香料、匂いの材料、化粧品組成物若しくは食品組成物の製造のための、又は食品添加物としての、9−デセン−2−オン(CAS 35194−30−0)の使用である。
好ましい一つの実施の形態では、本発明の主題は、香水及び食品のフレーバリングの全用途における、特に香料、匂いの材料、化粧品組成物若しくは食品組成物の製造のための、又は食品添加物としての、上述の方法により得られる9−デセン−2−オンの使用である。
本発明の目的で、「香水」という用語は、用語の通常の意味における香水だけでなく、製品の匂いが重要な他の分野も表す。これは、以下に限定されるものではないが、用語の通常の意味における香水組成物、例えば香水用基剤及び濃縮物、オーデコロン、オードトワレ、香料及び類似の製品;局所組成物(特に化粧品組成物)、例えば顔面用及び身体用クリーム、タルカム・パウダー、ヘアオイル、シャンプー、ヘアローション、軟膏、バスソルト及びバスオイル、シャワージェル及びバスジェル、洗面用せっけん、制汗剤及び身体用デオドラント、シェービングローション及びシェービングクリーム、せっけん、クリーム、歯磨剤、洗口液、ポマード、及び類似の製品;並びに家庭用品、例えば柔軟剤、洗剤、洗濯用製品、部屋用脱臭剤、噴霧剤及び類似の製品であり得る。
「匂いの(odorous)」という用語は、匂いを発する化合物を表すのに使用される。
「食品のフレーバリング」という用語は、任意のヒト又は動物、液体食料品又は固体食料品、特に飲料、乳製品、アイスクリーム、菓子、チューインガム等のフレーバリングのための、またタバコのフレーバリングのための本発明の化合物の任意の使用を意味する。
したがって9−デセン−2−オンを、エキゾチックノート、フローラルノート又はフルーティノート(特にパイナップル、セイヨウナシ、パッションフルーツ若しくはエキゾチックフルーツ)の付与に寄与するように、香水用組成物中で又は食品フレーバリング組成物中で使用することができる。用途に応じて、この分子9−デセン−2−オンを、当業者により決定される比率で使用する。
好ましくは、9−デセン−2−オンを、9−デセン−2−オンが存在する組成物の総重量に対して0.00025重量%〜30重量%、好ましくは0.0025重量%〜20重量%、より好ましくは0.025重量%〜10重量%の量で使用する。9−デセン−2−オンは、固体又は液体の組成物中に、特にジェル、クリーム、ポマード及び/又はスプレーの組成物中に含まれ得る。
9−デセン−2−オンは、それ自体が匂いのある組成物中で、又は或る特定の匂いをマスキング若しくは中和するために匂い剤が使用されている組成物中で、使用することもできる。
本発明の他の態様、主題、利点及び特徴が、以下の実施例により与えられる本発明の、好ましい実施の形態を説明する以下の非限定的な説明を読むことで提示される。
ウンデシレン酸の9−デセン−2−オンへの生物変換を説明する図である。
実施例1:
モルチエレラ・イサベリナ株(A)、アスペルギルス・オリザエ株(B)及びペニシリウム・ロックフォルティ株(C)[起源=−80℃で凍結した管]を麦芽寒天上に播種し、27℃(Aに関して)又は30℃(B及びCに関して)で72時間インキュベートする。
前述の前培養物を6 l容発酵槽中の3.5 lの麦芽培地:
麦芽抽出物: 50g/l
酵母抽出物: 7.5g/l
pH: 6.5
中に播種する。
モルチエレラ・イサベリナ(A)
上記菌株を27℃で24時間インキュベートし、撹拌は500rpmであり通気は0.3vvmである。
アスペルギルス・オリザエ(B)
上記菌株を30℃で24時間インキュベートし、撹拌は600rpmであり通気は0.5vvmである。
ペニシリウム・ロックフォルティ(C)
上記菌株を30℃で24時間インキュベートし、撹拌は600rpmであり通気は0.3vvmである。
各菌株に関して培養終了時の菌糸の乾燥重量は、約9g/l〜11g/lである。
その後ウンデシレン酸を0.15g/l/hの供給速度で6時間、その後0.33g/l/hの供給速度で72時間投入する(dispensed):すなわち計25g/l。このウンデシレン酸を水素化ヒマワリ油との混合物(酸1/3対油2/3)として投入する。そうしてこの油を0.6g/l/h及びその後1g/l/hの供給速度で投入する。並行してグルコースを0.36g/l/hの供給速度で72時間連続的に投入する。5N NaOHにより変換の間中pHを6.5に調節する。速度を900rpmまで増大させ、モルチエレラ・イサベリナに関しては1vvmの速度で、アスペルギルス・オリザエ又はペニシリウム・ロックフォルティに関しては0.3vvmで培養物を通気する。変換を72時間継続する。
非最適化条件下で、5g/l〜7g/lの9−デセン−2−オンの産生がもたらされる。
実施例2:アスペルギルス・オリザエ(B)による変換
アスペルギルス・オリザエ[起源=−80℃で凍結した管]を麦芽寒天上に播種し、30℃で72時間インキュベートする。
前述の前培養物を3.5 lの麦芽培地(実施例1におけるものと同じ濃度)中に播種する。
混合物を30℃、600rpm、0.5vvmの空気、pH無調整(free pH)で24時間インキュベートする。11g/lの乾燥重量が得られる。
その後ウンデシレン酸を0.5g/l/hの供給速度で6時間、その後0.9g/l/hの供給速度で48時間投入する:すなわち計46g/l。このウンデシレン酸を水素化ヒマワリ油との混合物(酸1/4対油3/4)として投入する。そうしてこの油を1.5g/l/h及びその後2.7g/l/hの供給速度で投入する。並行してグルコースを0.36g/l/hの供給速度で48時間連続的に投入する。5N NaOHにより変換の間中pHを6に調節する。速度を900rpmまで増大させ、0.3vvmの速度で混合物を通気する。変換を48時間継続する。
16.5g/lの9−デセン−2−オンの産生、すなわち35%の生物変換収率がもたらされる。
実施例3:モルチエレラ・イサベリナ(A)による変換
モルチエレラ・イサベリナ[起源=−80℃で凍結した管]を麦芽寒天上に播種し、27℃で72時間インキュベートする。
前述の前培養物を3.5 lの麦芽培地(実施例1におけるものと同じ濃度)中に播種する。
混合物を27℃で24時間インキュベートし、撹拌は600rpmであり通気は0.5vvmである。11.3g/lの乾燥重量が得られる。
その後ウンデシレン酸を0.27g/l/hの供給速度で6時間、その後0.477g/l/hの供給速度で48時間投入する:すなわち計46g/l。このウンデシレン酸を水素化ヒマワリ油との混合物(酸1/4対油3/4)として投入する。そうしてこの油を0.8g/l/h及びその後1.43g/l/hの供給速度で投入する。並行してグルコースを0.32g/l/hの供給速度で48時間連続的に投入する。5N NaOHにより変換の間中pHを7.5に調節する。速度を900rpmまで増大させ、1vvmの速度で混合物を通気する。変換を48時間継続する。
8g/lの9−デセン−2−オンの産生、すなわち33%の生物変換収率がもたらされる。
実施例4:ペニシリウム・ロックフォルティ(C)による変換
ペニシリウム・ロックフォルティ[起源=−80℃で凍結した管]を麦芽寒天上に播種し、30℃で72時間インキュベートする。
前述の前培養物を3.5lの麦芽培地(実施例1におけるものと同じ濃度)中に播種する。
混合物を30℃で22時間インキュベートし、撹拌は600rpmであり通気は0.3vvmである。10g/lの乾燥重量が得られる。
その後ウンデシレン酸を0.25g/l/hの供給速度で6時間、その後0.45g/l/hの供給速度で48時間、その後0.25g/l/hの供給速度で24時間再投入する:すなわち計約30g/l。このウンデシレン酸を水素化ヒマワリ油との混合物(酸1/3対油2/3)として投入する。そうしてこの油を0.5g/l/h、その後0.9g/l/h、及びその後0.5g/l/hの供給速度で投入する。並行してグルコースを0.36g/l/hの供給速度で72時間連続的に投入する。5N NaOHにより変換の間中pHを6.5に調節する。速度を900rpmまで増大させ、0.6vvmの速度で混合物を通気する。変換を48時間継続する。
10.5g/lの9−デセン−2−オンの産生、すなわち35%の生物変換収率がもたらされる。
実施例5:抽出−精製
85%リン酸によりpH1.5〜2への酸性化を行う。抽出溶媒シクロヘキサンを添加し、室温で1時間撹拌を行う。混合物を遠心分離し、有機相を回収する。メチルケトンをアッセイする。溶媒を濃縮し、そうして油性の「粗生成物」を得る。粗生成物を真空下で蒸留する。「脱樹脂(deresinated)」ラクトン及び劣化油(depleted oil)を得る。その後、真空下で該分子を分別することにより精製を行う。純度が99%を超える生成物を得る。
実施例6:香水における9−デセン−2−オンの評価
におい試験紙(smelling paper)で、及び溶液(エタノール中5%で)において、純度99%の9−デセン−2−オンを試験した。ヘッドノートは、強力、均質、バラ性、アルデヒド性、酢酸シトロネリル及びコリアンダー葉ノート並びにマリンノートである。ベースはセイヨウナシノートを有している。
実施例7:食品のフレーバリングにおける評価
純度99%の9−デセン−2−オンを、ミネラルウォーター中8ppmで試験した。9−デセン−2−オンはフルーティノート(セイヨウナシ、リンゴ及びパイナップル)並びにグリーンノート及びファッティノートを有している。
天然のエキゾチックフルーツ配合物をさらに洗練するために利用可能な天然の分子が多くはないためにますます、9−デセン−2−オンは、この目的を達成するのに有利であると判断された。特に、9−デセン−2−オンの「パイナップル」の香調(tonality)は、パイナップルタイプの香調を得るのに配合物中で現在最も広範に使用されている分子であるカプロン酸アリルの代わりとなる非常に魅力的な代替物を構成する。
実施例8:食品のフレーバリング及び香水における配合物の使用
エキゾチックフルーツフレーバリングでは、9−デセン−2−オンの添加により、典型的に「パイナップル」の香調を得ることが可能となる。
以下の配合表(formula)において、配合物中で通常使用されるカプロン酸アリルを9−デセン−2−オンにより同重量で(weight-for-weight)置換することにより、カプロン酸アリルによりもたらされる「パイナップル」の香調を非常に有利に補うことが可能となる:
天然のカプロン酸エチル 50g
天然のマルトール 20g
天然の酢酸イソアミル 35g
天然のイソ吉草酸エチル 37g
天然のメントール コーデックス(codex) 8g
天然のメチル−2−酪酸エチル 75g
天然の酢酸エチル 50g
天然の酪酸イソアミル 12g
天然の酪酸エチル 35g
精製カンフル 2g
天然の9−デセン−2−オン 200g
天然のエチルアルコール (十分量)1000g
果汁を含む無炭酸飲料におけるこの混合物の50ppmでの使用により、該飲料に非常に特徴的な「パイナップル」ノートがもたらされる。ソルベに「パイナップル」の特徴を与えるためにこの混合物を200ppmで使用した場合にも、同じことが言える。
さらに天然の食品フレーバリング配合物においても、9−デセン−2−オンにより、例えば以下の配合表において有利な「セイヨウナシ」ノートを得ることが可能となる:
天然のカプロン酸 1g〜10g
天然のイソアミルアルコール 20g〜60g
天然のヘキシルアルコール 10g〜50g
天然のカプリン酸エチル 20g〜80g
天然のカプリル酸エチル 50g〜150g
天然の酢酸イソアミル 50g〜150g
天然の酢酸プロピル 50g〜150g
天然の酢酸ヘキシル 50g〜150g
天然の酢酸ブチル 50g〜150g
天然の酢酸エチル 50g〜150g
天然の9−デセン−2−オン 20g〜50g
プロピレングリコール (十分量)1000g
9−デセン−2−オンの用量が非常に低く(2ppm〜5ppm)とも、5%までやや甘味を付しわずかに酸味を付した(0.1%クエン酸)飲料におけるこの混合物の100ppmでの使用により、該飲料に非常に特徴的な「セイヨウナシ」ノートがもたらされる。
香水配合物では、9−デセン−2−オンにより、例えば9−デセン−2−オンを1%で使用する以下の配合表において、シャンプーの「花様、グリーン、バイオレット」の側面、及び「アルデヒド性フルーティ」ノートを強調することが可能となり、これによりシャンプーの香料ノートがより複雑になりより丸みを帯びる:
酢酸ベンジル 70g
フェニルエチルアルコール 100g
γ−ウンデカラクトン 4g
cis−イソアンブレットリド 10g
アニスアルデヒド 25g
バクダノール(bacdanol) 80g
シトロネロール 85g
エチルバニリン 2g
ゲラニオール 40g
ジヒドロジャスモン酸メチル 120g
オキサシクロヘキサデセン−2−オン 100g
ヘリオトロピン 20g
2−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタ−ヒドロ−2,3,8,8−テトラ−メチルナフタレン 110g
イソオイゲノール 2g
4−(1,1−ジメチルエチル)−α−メチルベンゼン−プロパナール
110g
リナロール 60g
メチルイオノン 30g
バニリン 10g
2−オクチン酸、メチルエステル 12g
9−デセン−2−オン 10g
計 1000g。
香水の異なる用途(柔軟剤)の場合には、以下の配合表で示されるように、0.5%で用いられた9−デセン−2−オンの存在により、力強さがもたらされ、柔軟剤フレグランスの「リンゴ」及び「セイヨウナシ」のフルーティな側面が強調される:
酢酸ベンジル 70g
酢酸フェノキシアリル 30g
フェニルエチルアルコール 80g
ヘキシルシンナムアルデヒド 40g
C12アルデヒド 2g
cis−イソアンブレットリド 60g
アニスアルデヒド 30g
2−シクロヘキシリデン−2−フェニルアセトニトリル
20g
バクダノール 50g
シトロネロール 50g
クマリン 80g
ジヒドロミルセノール 100g
酢酸、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデニルエステル 65g
2−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチルナフタレン 106g
メチルイオナンテム(methylionantheme) 40g
パチョリエッセンス 30g
サリチル酸シクロヘキシル 100g
ジメチル3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド
8g
アンブロキサン 5% DPG 6g
ガルバヌムエッセンス 10% DPG 10g
インドール 10% DPG 8g
9−デセン−1−オール 10% DPG 10g
9−デセン−2−オン 5g
計 1000g。
最後にクリームの場合には、例えば以下の適用において、9−デセン−2−オンにより、該クリームに顕著なフローラルノートがもたらされる:
酢酸ベンジル 49g
酢酸cis−3−ヘキセニル 2g
酢酸リナリル 85g
フェニルエチルアルコール 65g
γ−ウンデカラクトン 6g
アリルアミルグリコレート 20g
アントラニル酸メチル 5g
アニスアルデヒド 10g
安息香酸メチル 8g
シトロネロール 45g
エチルバニリン 11g
ゲラニオール 35g
ヒドロジャスモン酸メチル 130g
ヘリオトロピン 5g
cis−3−ヘキセノール 2g
α−イオノン 23g
β−イオノン 4g
2−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチルナフタレン 75g
4−(1,1−ジメチルエチル)−α−メチル−ベンゼンプロパナール
70g
リナロール 100g
パチョリエッセンス 11g
γ−ノナラクトン 27g
サリチル酸cis−3−ヘキセニル 35g
サリチル酸ヘキシル 75g
テルピネオール 48g
ジメチル3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド
4g
バニリン 2g
アセチルセドレン 12g
サンダロール(sandalore) 12g
ジメチルベンジルカルビノールブチレート 1g
2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル−安息香酸メチル
13g
9−デセン−2−オン 10g。
9−デセン−2−オンの存在下で、クリームは、はるかに強力なグリーンノート及びフレッシュノートを有するより強いヘッドノートを有する。
実施例9:毒性試験
この分子を、「2002年4月24日付けのOECDガイドラインNo.404(the OECD guideline No. 404 dated April 24, 2002)」により確立された実験プロトコル、及び「指令No.2004/73/EC)の方法B.4:急性皮膚刺激(method B.4 of the Directive No. 2004/73/EC): Acute dermal irritation)」の試験に従って、3匹のウサギに対して試験した。
これから、9−デセン−2−オンは刺激性を有しないこと、及びその使用に関する危険有害性シンボル又はその表記は必要とされない(「EEC指令67/548/59及び99/45(EEC Directives 67/548/59 and 99/45)」により)ことが分かる。
同様に、この分子を、「2002年4月24日付けのOECDガイドラインNo.405(the OECD guideline No. 405 dated April 24, 2002)」により確立された実験プロトコル、及び「指令No.2004/73/EC)の方法B.5:急性眼部刺激(method B.5 of the Directive No. 2004/73/EC): Acute eye irritation)」の試験に従って、3匹のウサギに対して試験した。
これからも、9−デセン−2−オンは刺激性を有しないこと、及びその使用に関する危険有害性シンボル又はその表記は必要とされない(「EEC指令67/548/59及び99/45」により)ことが分かる。
最後に、LD50試験において得られた値(急性経口毒性(同じ指令を参照)、すなわち2500mg/kg)により、この分子を無害(nonhazardous)に分類することが可能となった。
したがってその無害性によりこの分子を配合物中で使用することができると考えられ、そのマンゴー及びパイナップルにおける存在の裏づけにより、「天然」の表示を訴求することがある食品のフレーバリング及び香水の用途において使用することができる。
その好ましい実施形態の例により上で本発明を説明したが、添付の特許請求の範囲において規定される本発明の精神及び性質から逸脱することなく本発明を修正することができることが理解される。

Claims (18)

  1. カビを使用するウンデシレン酸の生物変換を特徴とする9−デセン−2−オンを製造する方法であって、以下の工程:
    a)前記カビを培養すること、
    b)油の存在下で基質ウンデシレン酸を添加すること、
    c)前記基質を9−デセン−2−オンに生物変換すること、
    d)前記9−デセン−2−オンを抽出及び精製すること
    を含む、方法。
  2. 前記カビがコウジカビ科に属することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記カビがアスペルギルス属、又はペニシリウム属に属することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 前記カビがクサレカビ科、又はケカビ科に属することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記カビがモルチエレラ属、ムコール属、又はリゾプス属に属することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記ウンデシレン酸を発酵培地に0.1g/l/h〜0.9g/l/hの供給速度で添加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記生物変換の工程が、前記ウンデシレン酸を0.1g/l/h〜0.5g/l/hの供給速度で添加する前記カビの適応の第1の段階、及び前記ウンデシレン酸を0.25g/l/h〜0.9g/l/hの供給速度で添加するその後の第2の段階を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記適応段階の期間が20時間未満、好ましくは12時間未満、最も優先的には6時間未満であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記油が、標準的な食品グレードの油、又は短鎖脂肪酸から形成されるトリグリセリド、又は代替的にはホワイト油を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記油を前記発酵培地に0.4g/l/h〜4.0g/l/hの供給速度で添加することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. グルコース又はマルトースを前記ウンデシレン酸及び前記油と同時に添加することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記グルコース又は前記マルトースを前記発酵培地に1g/l/h未満、好ましくは0.75g/l/h未満、最も優先的には0.5g/l/h未満の供給速度で添加することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ウンデシレン酸、前記油、及び必要に応じて前記グルコース又は前記マルトースの前記発酵培地への添加を5時間〜96時間連続的に行うことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記生物変換を25℃〜35℃、好ましくは27℃〜30℃の温度で行うことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記発酵培地のpHが5〜8であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記発酵培地の通気が1vvm以下であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. リン酸、塩酸、硫酸及びクエン酸を含む群から選択される酸を前記培養培地に添加することにより前記生物変換を停止することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法により得られる9−デセン−2−オン。
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