JP2011516364A - エレベータかご割当制御戦略 - Google Patents

エレベータかご割当制御戦略 Download PDF

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Abstract

呼びをエレベータかごに割り当てる一例の方法は、乗客分離要件を充足することを含む。乗客分離要件は、例えば、一つのサービスグループに属する乗客が異なるサービスグループに属する他の乗客と一つのエレベータかごで同時に運ばれることがない、という場合に充足される。エレベータかごが他のサービスグループに属する乗客に割り当てられあるいは既にこの乗客を搬送中である間に、一つのサービスグループに属する乗客を運ぶように、呼びが当該エレベータかごに割り当てられる。

Description

この発明は、エレベータかご割当制御戦略に関する。
エレベータシステムは周知であり、広く用いられている。ビル毎に異なるサービスの要求がある。例えば、一部のビルは全体が住居専用であり、他は全体がオフィスないしビジネス用途専用である。また他のビルは、フロア毎に異なる種類の使用に専用となり、例えば、同じビル内に、ビジネス用と住居用が混在する。
ビルの形式が異なることにより、ビルのオーナおよび使用者に満足を与えるレベルでエレベータサービスを与えることに関して、それぞれ異なる要求が存在する。種々の輸送容量条件に対処するために、種々のエレベータ制御戦略が知られている。これらの種々の公知のアプローチがあっても、エレベータシステム制御をカスタマイズする必要性が存在する。
一つのシチュエーションの例としては、例えば、ビル内の特定の階へのアクセスが特定の個人にのみ許可される場合がある。いくつかのシチュエーションでは、一つのグループないしカテゴリに属する乗客が他のグループないしカテゴリに属する乗客と同じエレベータに乗り合わせることがないように乗客にエレベータかごを割り当てることが望ましく、この場合、ビルのオーナおよび使用者は、特定の乗客達が一緒に一つのエレベータで移動することを確保することを希望する。
米国特許第7,025,180号明細書
一つのアプローチの例は、ゾーン制御に基づくものであり、一つのゾーンのサービスに割り当てられたエレベータを、その一つのゾーンのサービスが完了するまで、他のゾーンのサービスに割り当てないようにする。このアプローチは、米国特許第7,025,180号に示されている。このようなアプローチは、乗客が他の乗客と一緒にエレベータで移動することを制御する能力を提供するが、輸送能力や効率が低減する、という制約がある。輸送能力や効率を犠牲にすることなく、特定の乗客達が特定の他者と同じエレベータかごに乗り合わせることを回避するという要求を満足する改良したシステムを提供することが有用である。
呼びをエレベータかごに割り当てるための例示の方法は、乗客分離要件を充足することを含む。乗客分離要件は、例えば、一つのサービスグループに属する乗客が異なるサービスグループに属する他の乗客と一つのエレベータかごで同時に運ばれることがない、という場合に充足される。エレベータかごが他のサービスグループに属する乗客に割り当てられあるいは既にこの乗客を搬送中である間に、一つのサービスグループに属する乗客を運ぶように、呼びが当該エレベータかごに割り当てられる。
例示のエレベータシステムは、複数のエレベータかごを含む。コントローラは、異なるサービスグループを認識するように構成されている。このコントローラは、乗客分離要件を確保する。一例の乗客分離要件は、一つのサービスグループに属する乗客が異なるサービスグループに属する他の乗客と一つのエレベータかごで同時に運ばれることがない、というものである。コントローラは、複数のエレベータかごの中の一つに、当該エレベータかごが他のサービスグループに属する他の乗客に割り当てられあるいは既にこの乗客を搬送中である間に、一つのサービスグループに属する乗客を運ぶように選択的に呼びを割り当てる、ように構成されている。
開示した実施例の種々の特徴および利点は、当業者には以下の詳細な説明によって明らかになるであろう。
実施例のエレベータシステムの要部を概略的に示す図。 図1の構成の運転状態の一例を示す図。 図1の構成の異なる運転状態を示す図。 図3の運転状態に対応したかご利用可能性の説明図。 図3の運転状態に対し、いくつかの異なる条件での利用可能性を示す説明図。 実施例の構成のさらに異なる運転状態を示す図。
開示した実施例のエレベータシステムおよび制御戦略は、乗客を分離するという要件を確実に満たすことができる。一例の乗客分離要件は、一つのサービスグループに属する乗客が他のサービスグループに属する他の乗客と一つのエレベータかごによって同時に運ばれることがない、というものである。あるエレベータかごが他のサービスグループに属する他の乗客を運ぶために割り当てられあるいは運んでいる間に、一つのサービスグループに属する乗客を運ぶために、呼びがそのエレベータかごに割り当てられることが可能である。開示した実施例が既に提案されてきた構成と異なる一つの点は、同じエレベータかごを他のサービスグループの乗客からの呼びに割り当てることを可能とする前に、一つのサービスグループの乗客へのサービスを提供する同じエレベータかごの走行が完了することを待つ、ということが必要ないことである。従って、開示した実施例では、乗客分離要件を満たしつつ、エレベータシステムの輸送能力や効率が向上する。
開示した実施例は、将来的サービス可能性の要件を確実に満たすような形で、エレベータかごへの呼びの割当を行う。この将来的サービス可能性要件の例としては、複数のエレベータかごの中で、各サービスグループそれぞれの呼びに対し、選択した時間内でサービスすることが可能なユニークな少なくとも一つのエレベータかごを有する、ということである。
図1は、例示的なエレベータシステム20の要部を概略的に示している。この例は、4つの昇降路22,24,26,28を有する。別々のエレベータかごが各昇降路に関連している。これらのエレベータかごは、かごO、かごT、かごI、かごS、として特定される。図1に概略的に示すように、エレベータかごO,Tは、ロビーLと15階との間の階にサービスする。エレベータかごI,Sは、下層階LL2から15階までの階にサービスする。
この例では、3つの異なる乗客サービスグループがあり、各々、対応するビル内の特定の階ないし領域のみにアクセスが制限されている。一例においては、乗客は、エレベータかごに入る前に、所望の目的地を入力する。一例のシステムでは、乗客が属するサービスグループを判別するために、何らかの形態の乗客識別(例えば、アクセスコード、電子キー、あるいはアクセスカード)を利用する。図1の右側の側部に示したように、第1のサービスグループAは、ロビーLと6階〜15階へのアクセスが可能である。サービスグループAに属する個人は、さらに、最下階LL2へのアクセスが可能である。
別のサービスグループBは、下層階LL1から5階までの階へのアクセスが許容される。
第3のサービスグループCは、ロビーLおよび6階へのアクセスのみが可能である。
エレベータコントローラ30は、一つのサービスグループに属する乗客を当該乗客のアクセスが許可されている階へ運ぶように、呼びをエレベータかごO,T,I,Sに割り当てる適宜なプログラムを備えた構成となっている。コントローラの一つの特徴は、その乗客のアクセスが許可されていない階へ乗客を運ぶようにエレベータかごを割り当てることはできない、ということである。これは、この例では、異なるサービスグループの乗客を同じエレベータかごで同時に運ぶようにはスケジューリングすることがない、という乗客分離要件を維持することによって達成される。いくつかの例では、特定の階へのアクセスの許可をそれぞれのサービスグループが有している場合に、複数のサービスグループが同じかごに乗ることが許容される。
例えば、サービスグループA,CはロビーLと6階の双方のアクセスが可能なので、必要に応じて、サービスグループA,Cの乗客達がロビーLと6階との間を移動することを許容しつつ、乗客分離要件を満たすことができる。換言すれば、サービスグループAに属する乗客は、エレベータかごがロビーLと6階との間を中間階に停止することなく移動する場合には、サービスグループCに属する乗客とエレベータかごを共有し得る。これは、例えば、乗客の識別のために目的階情報のみを用いる場合に、可能である。さらに個人認証(例えば、アクセスコードあるいはカード)が得られる場合には、別々のグループのメンバを選択的に同じかごに同時に乗せることが可能となる。
コントローラ30は、確実に乗客分離要件を満たし、かつ、あるエレベータかごが他のサービスグループに属する乗客を運ぶために既に割り当てられあるいは既に運んでいる間に、サービスグループの一つに属する乗客を運ぶためにそのエレベータかごに呼びを割り当てるように構成されている。一例のコントローラ30は、さらに、将来的サービス可能性要件を満たすように構成されており、上記将来的サービス可能性要件としては、エレベータかごO,T,I,Sの中で、各サービスグループA,B,Cそれぞれの呼びに対し、選択した時間内でサービスすることがユニークなものとして可能な少なくとも一つのエレベータかごを有する、ということである。
説明の都合上、かごの割当を行う配車方法は、乗客分離要件を満たし、かつ、どのかごを新たな呼びに割り当てるかを決定するために、公知の最適化、最小化あるいは他の目的関数のような効率基準を用いるものとする。例えば、一つの例の構成では、最小残存応答時間(RRT)配車アルゴリズムが用いられる。周知のように、最小RRTアルゴリズムは、新たな需要が最小量の時間で得られるかごに呼びを割り当てることに寄与する。しかし、このアルゴリズムが、乗客分離要件を維持しながら利用し得る適格性のあるかごにのみ適用される。すなわち、この点において、開示した実施例は、最小RRTのみに依存した配車アルゴリズムとは異なっている。
この例は、また、将来的サービス可能性要件を満たす能力を提供し、この要件によれば、各グループが、当該グループの乗客に対し選択した時間内にサービスすることができる少なくとも一つのユニークなかごを有していなければならない。将来的サービス可能性要件に用いられる時間の大きさは、特定のシチュエーションの要求に適合するように可変設定できるものであってもよく、ある例の構成では、乗客サービスグループに応じて変化し得る。一例では、選択した時間は、ほぼ20秒である。開示した実施例では、ユニークな利用可能なエレベータかごを有する、ということは、同時に複数のグループに対し同じかごをユニークな利用可能であるものとしてカウントすることはできない、ということを意味している。
図2は、運転状態の一例を示す。図2においては、エレベータかごOは、9階のサービスグループAに属する乗客をピックアップして8階へ運ぶために、11階を出発するところである。かごTは、6階でサービスグループCに属する乗客をピックアップしており、この乗客をロビーLへ運ぼうとしている。かごIはサービスグループBに属する乗客を乗せて3階を通過中であり、この乗客は、4階で乗車し、ロビーLへ向かおうとしている。かごIは、さらに、5階へ向かおうとしてロビーLで待っているグループBに属する乗客を運ぶように、既に割り当てられている。かごSは、14階にあり、サービスグループAに属する乗客をロビーLへ運んでいる。
かごOは空である。かごTはグループCの乗客を運んでおり、かごIはグループBの乗客を運んでおり、かごSはグループAの乗客を運んでいる。各々のかごT,I,Sは、現在、異なるサービスグループの乗客を運んでいる。
ここで、サービスグループAに属する他の乗客がロビーLに到着し、12階へ行こうとしている、と仮定する。コントローラ30は、乗客分離要件を維持しつつ、どのエレベータかごにその呼びを割り当てるかを決定する。従前のかご割当アプローチを用いた場合には、新たな呼びがかごIに割り当てられる結果となる。何故なら、現時点の状況によれば、かごIが他のかごよりも先にロビーLに到着するであろうからである。しかしながら、このような割当は、サービスグループBの乗客がサービスグループAの乗客と同じかごに同時に乗ることとなるので、乗客分離要件に反する。かごIは、既に、既存のサービスグループBの乗客をロビーへ運び、かつ該ロビーでサービスグループBの別の乗客をピックアップするように、割り当てられている。もし、サービスグループAに属する乗客による新たな呼びをもかごIに割り当てたとすると、サービスグループA,Bの両者がかごIで一緒になってしまう。これは、乗客分離要件に違反する。従って、かごIは、この例の新たな呼びに対するサービスを検討する際の適格性を欠く。
もし、乗客分離のルールのみを考慮するのであれば、残りの適格性を有するかごO,T,Sの中で、かごTが最小RRTを有するものとなる。従って、かごTが呼びにサービスするために割り当てられることとなる。しかしながら、以下の段落で説明するサービス可能性をさらに考慮するようにコントローラを構成することができる。この場合には、コントローラは、呼びにサービスするためにかごを割り当てる前に、将来的サービス可能性を考慮しなければならない。
図3の例では、かごOはロビーLにあり、7階に行こうとしているサービスグループAに属する乗客が既に乗っている。かごTは5階へ向かって4階を通過中であり、ロビーLで乗車したグループBに属する乗客が5階でかごTから降りる予定である。かごIは13階を通過中であり、12階で停止し、14階で乗車したサービスグループAに属する乗客を降ろすようにスケジューリングされている。かごIは、次に、11階へ行って別の2人の乗客をピックアップし、1人は8階へ、他の1人はロビーLへ向かう、という割当を実行する予定である。これらの乗客は、各々の意図した目的階において降車するはずである。かごSは、現在、5階を通過中であり、4階で停止してグループAに属する乗客をピックアップし、この乗客をロビーLへ運ぶようにスケジューリングされている。かごSは、さらに、2階で停止してグループBに属する別の乗客をロビーLへ運ぶように割り当てられている。これらの乗客の双方とも、ロビーLにおいてかごSから降りるはずである。
このシステムの将来的サービス可能性の現在の状況は、図4を考慮することで理解することができる。3×4の行列が図示されているが、列の各々が乗客のグループを表し、行の各々がかごを表している。現在のシステム条件が与えられたときに、特定のエレベータかごが特定の乗客グループに対し選択した時間(例えば20秒)内にサービスを提供できないであろう場合には、そのエレベータかごとそのサービスグループとの組み合わせに対応したセルに「0」が入れられる。特定のエレベータかごが特定のサービスグループにいかなる階でも選択した時間内に潜在的にサービス可能である場合には、そのかごとグループとの組み合わせに対応したセルに「1」が入れられる。この例では、上記エレベータかごは、特定のサービスグループの潜在的な将来の需要に20秒以内に到達ないしは20秒以内にその潜在的な将来の需要へのサービスを完了しなければならないのではない。この例では、しかしながら、エレベータかごは、特定のサービスグループのいかなる需要にも20秒以内に潜在的に割当が可能であるべきである。利用可能性の時間(すなわち、上記選択した時間と比較すべき時間)とは、あるエレベータかごが乗客分離要件に反することなく特定のサービスグループへのサービスが可能となる時間である。
この例では、上記の利用可能性の行列は、異なる複数の乗客グループに対する将来的サービス可能性を示すものとして同じかごが用いられることがないことを確実にするように設計されている。もし、同じかごが異なるグループに用いられ、両グループで将来的な需要がある場合には、システムは、各グループに対し利用可能なかごを有し得ない。この例では、各グループに対しサービス可能な少なくとも一つのかごが存在する。
図4の例では、各グループが一つのユニークな利用可能なかごを有する。図4の例においては、行列40は、乗客サービスグループBに利用可能なかごSと、サービスグループCに利用可能なかごTと、乗客サービスグループAに利用可能なかごIと、を含んでいる。図4の利用可能性の行列40は、各グループ毎に、利用可能なユニークなエレベータかごを含んでいる。
この例では、3つのサービスグループと、4つの潜在的な候補となるエレベータかごと、がある。もし、図4の利用可能性の行列40が、3つの行の各々に少なくとも一つの「1」を含まない場合には、将来的サービス可能性要件には適合し得ないものとなる。この例の一つの特徴は、エレベータかごの数よりもサービスグループが少なく、将来的サービス可能性要件を満たすことが妥当なことである。エレベータかごの数よりも多いサービスグループの例もあり得るが、上記の例のような将来的サービス可能性要件を満たすことは不可能になり得る。当業者であれば、将来的サービス可能性要件が得策であるか、必要であるか、さらには、将来的サービス可能性要件のパラメータをどのように設定するか、を当業者それぞれの要求に適合するように決定することができるであろう。
図4の将来的利用可能性の行列40は、エレベータかごが各階を通過するのに1秒を要し、各エレベータの停止は10秒を要するものと仮定すれば、図3の運転条件に基づいて、各かごが特定のグループに対しどの程度素早くサービスが可能となるか、を示すこととなる。ここで、この例では、将来的サービス可能性要件の選択した時間は、20秒である。
サービスグループAについて考えると、かごOは、グループAについてユニークな利用可能なかごとは決してなり得ない。何故なら、かごOは下層階LL2に行くことができないからである。同様に、かごTも下層階LL2に到達することができないので、グループAについてユニークな利用可能なものとは決してなり得ない。
かごIは、グループAのメンバのアクセスが許可されている全ての階に到達し得るので、グループAについてユニークな利用可能なものの候補となり得る。図3の例では、かごIは現時点でグループAに属する乗客にサービスしており、そのため、グループAの乗客からの呼びに対するサービスは、0秒で利用可能となる。従って、図4の利用可能性の行列40では、かごIとグループAとに対応するマスの中に「1」が入っている。
かごSは、いくつかの状況の下では、グループAについてユニークな利用可能なものの候補となり得る。図3の例では、かごSは、少なくとも43秒は、グループBの乗客にサービスする予定である。従って、かごSは、20秒以内にグループAの乗客に独占的にサービスする利用可能性がないものとみなされる。これに対応して、利用可能性の行列40には、「0」のエントリが示されている。
サービスグループBについて考えると、かごOおよびかごTは、サービスグループBに属する乗客のアクセスが許可されている下層階LL1に行くことができないので、ユニークな利用可能なものとは決してなり得ない。かごIおよびかごSは、サービスグループBについてユニークな利用可能なものとなる潜在的な候補である。図3の例では、かごIは、少なくとも52秒以上、グループAの乗客にサービスしている予定である。従って、かごIは、20秒以内にグループBの乗客へのサービスが利用可能なユニークなもの、とはみなされない。かごSは、現時点でグループBの乗客にサービス中である。従って、かごSは、0秒内にグループBに対し利用可能となるユニークなものとみなされる。
グループCについて考えると、かごOは、少なくとも24秒(最後の停車の完了のためロビーLでは8秒以上必要である)はグループAの乗客にサービス中である。従って、かごOは、20秒以内にグループCの乗客へのサービスが利用可能なユニークなもの、とはみなされない。かごTは、グループBの乗客へのサービスが12秒以内に終了する予定であり、従って、20秒内(例えば12秒で利用可能となる)にグループCの乗客に対するサービスが利用可能なユニークなものとみなされる。かごIは、グループAの乗客に少なくとも52秒以上はサービスする予定である。従って、かごIは、20秒以内にグループCの乗客へのサービスが利用可能なユニークなもの、とはみなされない。かごSは、グループBの乗客に少なくとも43秒以上はサービスする予定である。従って、かごSは、20秒以内にグループCへのサービスが利用可能なユニークなもの、とはみなすことができない。
異なる現在のかご割当、および、将来的サービス可能性要件の異なる現在のパラメータ、あるいは呼びにサービスするエレベータかごに関する時間(すなわち、階から階への移動時間、ドア開時間)として異なる時間、を与えれば、図1のエレベータシステムがこれらの異なるパラメータでもって利用されるとしても、図4の将来的利用可能性の行列を異なるものとして得ることができる。図4の実施例においては、乗客分離要件と将来的サービス可能性要件とを満足し、コントローラ30にとって図3および図4の態様は許容し得るものとなる。
図5は、将来的利用可能性行列50,60,70,80を示している。この図5における将来的利用可能性行列は、現在のシステムの状態が図3に示す状態にあるものとして、5階から2階へ行こうとするサービスグループBに属する乗客からの新たな呼びに対する割当に各々対応している。将来的利用可能性行列50は、新たな呼びをかごOに割り当てたものに対応する。この例では、将来的サービス可能性要件を満たすとともに、乗客分離要件も充足し、従って、新たな呼び(つまり、サービスグループBに属する乗客を5階と2階との間で移送する)をかごOへ割り当てることは妥当である。
将来的利用可能性行列60は、新たな呼びをかごTへ割り当てた場合の状況を示す。この例では、かごIがサービスグループAについて独占的ないしユニークに利用可能であり、かごSがサービスグループBについてユニークに利用可能である。しかしながら、サービスグループCについては、ユニークな利用可能なかごは存在しない。従って、かごTへの割当は、将来的サービス可能性要件に違反せずには、なし得ない。
将来的利用可能性行列70は、上記の例の新たな呼びをかごIに割り当てた結果を示す。この場合には、サービスグループAについてユニークな利用可能なかごが存在せず、将来的サービス可能性要件を充足しない。従って、コントローラ30は、新たな呼びをかごIに割り当てることはしない。
将来的利用可能性行列80は、新たな呼びをかごSに割り当てた結果を示す。この例では、各サービスグループがユニークな利用可能なかごを有し、将来的サービス可能性要件を充足する。さらに、乗客分離要件を満たし、そのため、新たな呼びをかごSに割り当てることは妥当である。
上記のようなシナリオにおいては、5階で発生して2階へ向かおうとする新たな呼びは、2つの候補のかご、つまりかごOおよびかごS、のいずれかに割り当てられることとなる。これら2つの中で、かごOが最小RRTを有しているので、呼びはかごOに割り当てられることとなる。
一つの例では、コントローラ30は、図5の例の各々のシナリオを考慮して、乗客分離要件、将来的サービス可能性要件、ならびに最小RRTアルゴリズム、を充足するシナリオを選択するように、構成されている。一例において、最小RRTパラメータを考慮するに際しては、関連する時間は、エレベータかごが新たな呼びに到達し得るときの時間ではない。そうではなく、関連する時間とは、乗客分離要件に反することなく呼びに応答するために呼びを処理するのにエレベータかごが利用可能となったとき、のことである。
一つの例においては、コントローラ30は、新たな呼びに応答する目的でバイパス運転ができるように構成されている。この例の呼びに応答する候補となるかごの初期の考察は、新たな呼びへの割当の初期の候補としてのエレベータかごが、その呼びの乗客をピックアップした場合に、異なるサービスグループの乗客がかごに乗り合わせないことを確実とするためにバイパス運転の使用を強いられるかどうかを考慮する。一般に、コントローラ30は、バイパス運転を用いることなく乗客分離要件を満たしうるかごに呼びを割り当てるように構成されている。しかしながら、より良い解が存在しない状況では、バイパス運転が利用可能である。
一つの例では、バイパス運転は、かごが、先に割り当てられた需要にサービスするために停止階をバイパスし、この需要と同じ方向にある需要を通過することである。エレベータかごは、最初に別の呼びに向かってこれを完了し、次いで、バイパスした需要にサービスすべく後の点へ戻る。
例えば、エレベータかごIがグループAの乗客を9階からロビーLへ運んでいるとする。このエレベータかごIに、グループBの乗客をピックアップし5階から2階へ運ぶように割当がなされ得る。このエレベータかごIは、ロビーLへ行く途上ではグループBの割り当てられた呼びをバイパスし、グループAの乗客の呼びに対するサービスをロビーLにおいて完了してから、5階へ戻り、グループBの乗客をピックアップする。この例では、かごIは、乗客を5階でピックアップして下方へ運ぶというグループBからの呼びを、同じ下方へ向かってかごIが5階を通過するにも拘わらず、バイパスする。
一つの例では、エレベータかごがこのようなバイパス運転を行わなければならない場合には、当該かごは、初期の候補とはみなされない。しかしながら、コントローラ30は、バイパス運転を含めない初期の分析では乗客分離要件および将来的サービス可能性要件の双方を充足することができない場合には、特定の呼びをこのようなエレベータかごに割り当てることを考慮する。
図3および図5によれば、かごOがサービスグループAに属する乗客を搬送中であるのに、グループBに属する乗客がなした呼びが、どのようにしてかごOに割り当てし得るのか、が示されている。このような割当を行う前に、かごOがグループAに属する乗客へのサービスの走行を完了することを待つ必要はない。このような制御戦略によれば、現在の需要へのサービスを阻止するやり方で将来的に生じうる使用のためにかごを留保しておくのに代えて、現在の需要にサービスすべく必要に応じて全てのかごを用いることができる。さらに、サービスを現在要求しているグループ以外の他のグループによる将来的に生じうる需要のために常にかごを留保しておくというモデルに沿って新たな需要に到着するまでに長い時間が掛かるかごに代えて、新たな呼びを該呼びに対し最良なサービスが可能なかごに割り当てることができる。これにより、特定のグループの乗客へサービスする呼びを、別のサービスグループの乗客が含まれている呼びに現在割当済みあるいは該呼びに対しサービス中であるかごには割り当てることがない、という構成に比べて、システムの輸送能力および効率が向上する。
図6は、少なくとも一つのかごが、異なる2つの乗客グループについての割当を現在有している、という状況の例を示している。この例では、かごOは4階を通過中であり、グループCの2人の乗客を6階へ運んでいる。かごTは、ロビーLを出発するところであり、2階へ行こうとしているグループBの乗客が乗っている。かごIには、グループAの5人の乗客がおり、全員、13階で降りる予定である。かごIは、次に、12階に停止して、ロビーへ行こうとしているグループAの乗客をピックアップするようにスケジューリングされている。かごSは、まだロビーにあるが、地下1階へ向かうグループBの2人の乗客が乗っている。かごSは、ロビーを出発するまでに9秒の残り時間がある。
グループAの他の乗客が7階に到着し、8階へ行こうとしているものと仮定する。この具体的な例において、乗客分離要件によれば、異なるグループの乗客同士は、仮に彼らが同じ階へ行こうとしている場合であっても、一緒に乗ることが許容されない。換言すれば、サービスグループA以外のサービスグループの乗客が既に乗っているかごがあれば、これらのかごは、これらのかごに既に割り当てられている乗客がグループAの乗客が乗り込む前にかごから降りる予定でない限りは、割当に利用できない。
上記のような状況が与えられたときに、コントローラ30は、8階へ行こうとしているグループAの乗客にどのかごでサービスするかを決定しなければならない。コントローラ30が最初に行うことは、乗客分離および将来的サービス可能性のルールに適合しているかを各かごについて評価し、どのかごが新たな要求に対し適格性があるかを決定することである。新たなサービスの要求を特定のかごに割り当てることが、これらのルールに反することとなるのであれば、このかごは、新たな需要に対し適格なものとはみなされない。
この例では、コントローラ30は、かごOがグループCの乗客を運んでおり、かつ6階で停止してその乗客を降ろす予定であることを知っている。かごOは、空となる予定であり、グループAの乗客をピックアップするために7階へと上昇を続けることができる。このかごは7階に達した時点では空であるので、乗客分離のルールに反することはない。かごTは、グループBの乗客を2階で降ろすためにロビーから移動中である。2階の時点でかごTは空となり、7階へ移動してグループAの乗客をこの空のかごに乗せることが可能となる。このようなシナリオの下では、新たな需要をかごTに割り当てると仮定すれば、乗客分離のルールに反することがない。かごIおよびかごSについても、同様の分析により同じ事実が示される。従って、この例では、7階から8階へ行くグループAの乗客の新たな需要の割当は、乗客分離のルールに反することなく、4つのかごのいずれか一つに割り当てることができる。
この例のコントローラ30は、次に、将来的サービス可能性のルールを検討する。かごO,T,Iのいずれか一つへの割当は、各サービスグループ毎にユニークなかごが将来的サービス可能性を与えるものとなり得る。他方、かごSへの割当は、将来的サービス可能性のルールに反する。その理由は、グループAの乗客の新たな需要をかごSに割り当てた場合、将来的サービス可能性要件によれば、グループBに対し将来的なサービスの利用可能性を有するユニークなかごが存在しなくなるためである。従って、かごSは、この新たな需要の割当について適格性を有していない。
この例のコントローラ30によってなされる次の決定のステップは、適格性を有する各々のかごO,T,IのRRTを計算することである。かごSは、既に新たな需要に対する適格性を欠くと判定されているので、RRTは計算されない。上述したシチュエーションでは、適格性を有する3つのかごの中で、かごOが最小のRRT値を有する。従って、7階におけるグループAの乗客の新たな需要は、かごOに割り当てられることとなる。図6においては、現在、かごOは、グループCの乗客およびグループAの乗客を運ぶように割り当てられている。グループCの乗客は、グループAの乗客がかごに乗る前に、かごを降りる。従って、この例では、異なるサービスグループのメンバが同じかごに同時に乗り合わせないようにするという乗客分離のルールに反することなく、異なるサービスグループに属する乗客からの複数の需要を単一のエレベータかごに割り当てることが許容される。
他の例においては、7階から8階へ行くグループAの乗客の新たな需要を割り当てる前に、かごOに、グループCの他の乗客を6階からロビーへ運ぶように割当がなされる。換言すれば、かごOはグループCの1人の乗客を降ろすために6階へ行く途上にあり、この6階で次にグループCの他の乗客をピックアップしロビーへと運ぶこととなる。他の全ての条件が同じままであれば、かごTが最小RRTを有するものとなり、7階から8階へグループAの乗客を運ぶ割当は、かごTに対しなされることとなる。このようなシナリオの下では、かごTには、現在、グループAに属する乗客とグループBに属する乗客とからのサービス需要が割り当てられたものとなる。しかしながら、かごTが7階へ上がってグループAの乗客を乗せる前に、グループBの乗客が2階でかごTから降りるので、乗客分離要件に反することはない。
以上の説明は例示であり、本発明を制限するためのものではない。当業者であれば、本発明の要旨から逸脱することなく、開示した実施例に対する種々の変更や修正が明らかになるであろう。本発明の法的保護の範囲は、特許請求の範囲によって定まる。

Claims (20)

  1. 一つのサービスグループに属する乗客が異なるサービスグループに属する他の乗客と一つのエレベータかごで同時に運ばれることがない、という乗客分離要件に対応して、異なるサービスグループに属する乗客の搬送に利用される複数のエレベータかごの中の一つに呼びを割り当てる方法であって、
    上記乗客分離要件を充足することを確保するステップと、
    エレベータかごが他のサービスグループに属する乗客に割り当てられあるいはこの乗客を搬送中である間に、一つのサービスグループに属する乗客を運ぶように当該エレベータかごに呼びを割り当てるステップと、
    を備えてなる方法。
  2. 各々のサービスグループ毎に、選択した時間内に呼びにサービスする可能性を有するユニークな少なくとも一つのエレベータかごを有する、という将来的サービス可能性要件を確保するように、呼びをエレベータかごに割り当てることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 上記の選択した時間は、数秒よりは長い時間であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 上記の選択した時間は、ほぼ20秒であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. エレベータかごの中のどれが、上記乗客分離要件および上記将来的サービス可能性要件を充足しつつ呼びに対し適格性を有するかを判定し、
    他の適格性を有するかごに比較して最も良好な効率基準でもって呼びに応答し得る一つの適格性を有するかごに、呼びを割り当てる、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  6. 上記効率基準は、最小の残存応答時間である、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 他のサービスグループに属する乗客を運ぶように候補のエレベータかごに既に割り当てられた少なくとも一つの呼びにこの候補のエレベータかごがサービスするのに要する時間を決定し、
    この決定された時間が上記の選択した時間以下であるかを判定し、
    この決定された時間が上記の選択した時間以下である場合にのみ、当該候補のエレベータかごを、呼びに割り当てるのが可能なものである、と判定する、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  8. エレベータかごが現在一つのグループのみに属する乗客を搬送中であるかあるいは搬送するように割り当てられている場合に、当該エレベータかごを、呼びに割り当てるのが可能なものである、と判定する、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  9. サービスグループの数はエレベータかごの数よりも少ないことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  10. 上記の他のサービスグループに属する乗客からの既に割り当てられた呼びを選択的にバイパスし、
    上記の一つのサービスグループに属する乗客からの呼びを完了し、
    続いて上記の他のサービスグループに属する乗客からの既に割り当てられた呼びを完了する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 複数のエレベータかごと、
    コントローラと、
    を備えたエレベータシステムであって、
    上記コントローラは、
    異なるサービスグループを認識し、
    一つのサービスグループに属する乗客が異なるサービスグループに属する他の乗客と一つのエレベータかごで同時に運ばれることがない、という乗客分離要件を確保し、
    複数のエレベータかごの中の一つに、当該エレベータかごが他のサービスグループに属する乗客に割り当てられあるいはこの乗客を搬送中である間に、一つのサービスグループに属する乗客を運ぶように選択的に呼びを割り当てる、
    ように構成されていることを特徴とするエレベータシステム。
  12. 各々のサービスグループ毎に、選択した時間内に呼びにサービスする可能性を有するユニークな少なくとも一つのエレベータかごを有する、という将来的サービス可能性要件を確保するように、呼びをエレベータかごに割り当てることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
  13. 上記の選択した時間は、数秒よりは長い時間であることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
  14. 上記の選択した時間は、ほぼ20秒であることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
  15. 上記コントローラは、
    エレベータかごの中のどれが、上記乗客分離要件および上記将来的サービス可能性要件を充足しつつ呼びに対し適格性を有するかを判定し、
    他の適格性を有するかごに比較して最も良好な効率基準でもって呼びに応答し得る一つの適格性を有するかごに、呼びを割り当てる、
    ように構成されていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
  16. 上記効率基準は、最小の残存応答時間である、ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
  17. 上記コントローラは、
    他のサービスグループに属する乗客を運ぶように候補のエレベータかごに既に割り当てられた少なくとも一つの呼びにこの候補のエレベータかごがサービスするのに要する時間を決定し、
    この決定された時間が上記の選択した時間以下であるかを判定し、
    この決定された時間が上記の選択した時間以下である場合にのみ、当該候補のエレベータかごを、呼びに割り当てるのが可能なものである、と判定する、
    ように構成されていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
  18. 上記コントローラは、
    エレベータかごが現在一つのグループのみに属する乗客を搬送中であるかあるいは搬送するように割り当てられている場合に、当該エレベータかごを、呼びに割り当てるのが可能なものである、と判定する、
    ように構成されていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
  19. サービスグループの数はエレベータかごの数よりも少ないことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
  20. 上記コントローラは、上記の一つのエレベータかごに、
    上記の他のサービスグループに属する乗客からの既に割り当てられた呼びを選択的にバイパスさせ、
    上記の一つのサービスグループに属する乗客からの呼びを完了させ、
    続いて上記の他のサービスグループに属する乗客からの既に割り当てられた呼びを完了させる、
    ように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
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