JP2011515654A - 油を含有する電気的装置における過熱点の温度を測定するための方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
本発明は、予め決められかつ変更可能な運転条件下で運転される電気的装置における過熱点の温度を測定するための方法及び装置に関する。また、この方法は、市販されている特定の装置の品質を確認すること、またその寿命を見積もることを可能とする。
1)ガルバニ関連問題につながる熱電対の使用;
2)過熱点の局在化と絶縁対力に関する問題につながる光ファイバーの使用;及び
3)油中に分散された、所与の温度より高い温度で気泡を形成する化学的トレーサーの使用。
変圧器をその限界の近辺で安全を保ったまま運転するためには、過熱点の真の温度を知ることが必要である。そのうえ、この知見により、不適合な変圧器を識別することが可能となり、また、それらのおよその寿命を見積もることが可能となる。
a)該油の温度THを上昇させるために、少なくともひとつの予め決められた運転条件にしたがって電気的装置を運転する工程、該油は、該油中に溶解性の少なくともひとつの化合物を含み、各化合物は、残留物遷移温度TRにて該油中に溶解性の残留物を形成する;
b)工程a)の間又は工程a)の後に、油温度THを測定しながら少なくともひとつの油のサンプルを採取する工程;
c)残留物が存在するか否かを測定するために、工程b)において採取した該少なくともひとつのサンプルの分析を行う工程;
d)工程c)の分析から、該サンプル中に前記少なくともひとつの残留物の存在を可能とする少なくともひとつの予め決められた運転条件下で過熱点温度TPSを前記少なくともひとつの残留物の残留物遷移温度TRに等しいものとして評価する工程;
e)少なくともひとつの予め決められた運転条件での過熱点温度TPCと油温度THとの差ΔTを計算する工程;及び
f)該装置の任意の他の運転条件にしたがった過熱点温度TPC *を、以下の式:
TPC *=TH *+ΔT
(TH *は、前記他の運転条件下での油の温度である)
にしたがって得る工程、を含む。
工程a)は、油中に溶解するひとつのみの化合物を用いることにより実施し;
工程b)は、工程a)の後に実施し;
更に工程c)に続いて、工程d)を以下の通りに実施する。
d1)該油中に存在する残留物を除去し;
d2)該油温度THを低減させるために、該装置を新しい運転条件にしたがって運転し;そして、
d3)工程c)において得られるサンプル中に残留物が存在しなくなるまで工程b)、c)、d1)、及びd2)を繰り返し、
残留物が存在しない場合は、
d4)該サンプル中に残留物が存在するまで工程a)、b)、及びc)を繰り返し、
そして、該過熱点温度TPCが該残留物の遷移温度TRに等しい運転条件を確立する。
工程a)は、該油中に溶解性のひとつのみの化合物を用いることにより実施し;
工程b)は、該油温度THを測定しながら少なくともふたつの油サンプルを異なる時間において採取することにより工程a)の間に実施し;
工程c)は、該油中に存在する残留物濃度を測定するために、工程b)において採取されたサンプルの各々について実施し;
工程d)は、工程c)において測定された濃度、残留物が形成され始める時間t0、残留物の形成温度TRに等しい時間t0における過熱点温度TPCに基づいて、外挿により測定することにより実施する。
工程a)は、該油中に溶解性である少なくともふたつの異なる化合物を用いることにより実施し、各々の化合物が残留物遷移温度TRにて該油中に溶解性の残留物を形成し、各残留物についての遷移温度TRは互いに異なり;
工程b)は、工程a)の後に実施し;
工程c)は、以下の通りに実施する。すなわち、
残留物が存在しない場合は、
d1)前記溶解性残留物のうち少なくともひとつが、採取されるサンプル中に存在するまで、工程a)〜c)を繰り返し;
すべての残留物が存在する場合は、
e2)該油中に存在する残留物を排除し;そして、
e3)前記溶解性残留物のうち少なくともひとつが、採取されるサンプル中に存在しなくなるまで工程a)〜c)を繰り返し;
過熱点温度TPCestが、残留物を生成する化合物の当該残留物の遷移温度TRと存在しない化合物の残留物の遷移温度TR2との間である運転条件を確立し;そして、
工程e)において、TPCest−THに等しいΔTを計算する、ここでTHは工程a)の最後の繰り返しの間に測定される油の温度である。
残留物が存在するかを測定するために油サンプルの分析を実施するための手段;
該サンプルに前記少なくともひとつの残留物の存在を可能とする予め決められた運転条件下で、過熱点温度TPCを、前記少なくともひとつの残留物の遷移温度TRに等しいものとして見積もるための手段;
該油の温度THを測定するための手段;
予め決められた運転条件下で過熱点温度TPCと油温度THとの差ΔTを計算するための手段;及び
以下の等式:
TPC *=TH *+ΔT
にしたがって、任意の他の運転条件下での装置の過熱点温度TPC *を確立するための手段(THは前記他の運転条件下での油の温度である)、を含む。
該サンプル中に前記少なくともひとつの残留物の存在を可能とする予め決められた運転条件下で、前記少なくともひとつの残留物の遷移温度TRと等しいものとして、過熱点の温度を見積もるための手段;
予め決められた運転条件下で過熱点温度TPCと油温度THとの差ΔTを計算するための手段;及び、
以下の等式:
TPC *=TH *+ΔT
にしたがって、任意の他の運転条件下での装置の過熱点温度TPC *を確立するための手段(THは前記他の運転条件下での油の温度である)、を含む。
装置(1)は、その中央内部に、コア(5)及びコイル(7)により形成される電磁的アセンブリを含んでいる槽(3)を含む。
筐体又は槽(3)は、鉱油などの油(11)が充填される。
また、槽(3)の底部には、油の採取又は装置から油を排出することを可能とする開放システム(15)が提供される。
異なるプローブ(13,17)は、測定したデータを記録し、過熱点の測定を可能とする計算を行うために、コンピュータに連結することができる。
本発明にしたがった方法の工程a)は、少なくともひとつの予め決められた運転条件にしたがって、油の温度THを上昇させるように電気的装置を運転することにある。
“電気的装置を運転する”とは、運転者が装置内部の温度を上昇又は低減させるように一般的なやり方で電流負荷を適用すると理解しなければならない。温度上昇の速度は、一般的には、分又は時間あたりの℃で表される。
図2は、また、検討する変圧器の固有のパラメータ(寸法、kVA又はMVAの能力、油の強制循環の有無、など)又は外部パラメータ(外部温度、風の速度、など)を考慮する計算ソフトウェアにより得られたものなどの、過熱点の計算された温度に関する運転時間の関数としての漸進的変化の曲線を示している。過熱点の真の温度の漸進的変化の曲線は、掲載された温度の曲線の上か又は下であることができる。
予め決めることができ、また、運転者により制御されることができる運転条件は、好ましくは、装置が要求する電気的負荷又は電流強度の値を含む。これまでに説明したように、温度の変化は、主として銅コイル内における熱損失IR2(I=電流密度、R=コイルの抵抗)による。
選択するために、トレーサーは、運転者によく知られた一定の数の物理的及び/又は化学的特性を有していなければならない。
“許容される最高温度”とは、変圧器、特に絶縁体として使用される紙が損傷を受けない温度であると理解される。この温度は、一般的には、変圧器において使用される紙の質及び使用中の湿度に依存して、130〜160℃である。使用するトレーサーは、油中に溶解性である分子を含む。
これらの化合物の第一の例は、化学的に修飾されたジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジン又は4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル)−ヒドラジンなどの、油中に溶解性である窒素(N2)を分解により形成するジアゾ分子である。化学的修飾は、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する、炭化水素長鎖などの、別の疎水性分子を分子上にグラフトすることにある。ジアゾ分子のこの疎水性セグメントの存在により、分子が完全に油中に溶解可能となる。
化学的トレーサーは、また、液晶などの、所与の温度において非可逆的なやり方で相が変化する化合物又は分子であってもよい。
本出願に説明する本発明の発明的側面は、上述の化学的トレーサーに限定されない。
装置中に存在する油の体積;
使用する油の質(鉱物性又は非鉱物性);
使用するトレーサーの性質;
形成することができる残留物の量;及び
利用可能な以下に説明する工程c)において使用する分析手法。
本方法の工程b)は、油の温度THを測定しながら工程a)の間又は工程a)の後に油の少なくともひとつのサンプルを採取することにある。
また、例えば、溶解ガス用のプローブ又は比色計などの、油サンプルを採取する必要が無く各化学的トレーサーの残留物を連続的に測定することを可能とする装置も使用することができる。
本方法の工程c)は、残留物が存在するか否かを測定するために、工程b)で採取したサンプルの分析を実施することにある。
その場で実施される比色分析又は溶解ガス分析(DGA)などの一部の手法は、サンプルを採取する間にその場で直接使用することができる。
工程d):
工程c)の分析から、工程d)は、過熱点の温度が、残留物(単数又は複数)の遷移温度TRに対して、等しい、高い、又は低いか否かを見積もることにある。
この運転モード下においては、ひとつのみのトレーサーを使用し、工程a)から得られる油温度THの平衡に到達するまで待ち(図2を参照)、残留物が存在するか存在しないかを測定するために、工程c)に説明される分析を実施する。
d1)油中に存在する残留物を取り除き、
d2)平衡状態にて到達する油温度THを低減するように新しい運転条件にしたがって装置を運転し、そして、
d3)工程c)において採取するサンプル中に存在する残留物がなくなるまで、これまでに定義した工程b)、c)、d1)、及びd2)を繰り返す。
残留物が存在しない場合は、
d4)平衡状態にて到達する油の温度THを上昇させるように、新しい運転条件にしたがって装置を運転し、そして、
d5)工程c)において採取したダンプル中に剤遺留物が存在するまで工程a)、b)、及びc)を繰り返す。
ひとつのみのトレーサーを平衡状態ではない状態で使用する場合
この運転モードにおいては、ひとつのみのトレーサーを使用するが、温度が平衡に到達するときではなく、図2の温度の上昇の間に残留物の濃度を測定する。次いで、残留物が時間t0にて過熱点温度TPCを形成し始める時間t0を外挿により決定し、これゆえに、残留物の遷移温度TRに等しい。
少なくともふたつのトレーサーが油中に存在する場合、工程d)は、以下の二つの場合にしたがって以下の通りに実施する。
すべての残留物が存在する場合、油中に存在する残留物を排除し、工程a)〜c)のうち少なくともひとつを、少なくともひとつの前記残留物が採取したサンプルにおいて消失するまで繰り返す。
工程e):
工程e)は、
いずれかの好ましい態様を選択し、工程d)から得られる過熱点温度TRと
予め決められた運転条件下での油温度THと
の間の差ΔTを計算することにある。
最後に、工程f)は、確立することにある。装置の任意の他の所与の運転条件にしたがった過熱点温度TPC*を、以下の等式:
TPC*=TH*+ΔT
(TH*は、所与の運転条件下での油の温度である)
にしたがって得ることを確立することにある。
本発明のこの他の好ましい態様にしたがった方法、すなわち、変圧器の油中におけるひとつのみの化学的トレーサーの使用は、以下のやり方で予測することができる:
a)トレーサーを選択し;
b)適する量のトレーサーを変圧器の油中に導入し;
c)トレーサーの遷移温度よりわずかに低い平衡状態で計算された過熱点温度に到達させるために、変圧器を運転;
d)変圧器から油の一サンプルを採取し;
e)残留物が存在しないことを実証するために分析し;
f)トレーサーの遷移温度よりわずかに高い、平衡状態で計算された過熱点温度に到達させるように、変圧器を再び運転し;
g)油の第二のサンプルを、残留物の存在、不存在を測定するために分析する変圧器から採取し;そして、
h1)残留物が存在する場合は、真の過熱点温度に到達したと推定し;
h2)残留物が存在しない場合は、平衡状態での真の過熱点温度に到達していないと推定し、更に過熱点温度を上昇させるように、変圧器を運転し;又は
h3)残留物が遷移温度にて検出可能であるために充分な量で形成されておらず、検出可能であるためにこの遷移温度を超える必要がある場合、又は、動的なモードでトレーサーを使用することが好ましい場合は;
i)計算された過熱点温度を遷移温度よりも15〜30℃高くするように変圧器を運転し;
ii)残留物含量の増加を測定するために規則的に油サンプルを採取し;
iii)どの時点で遷移の反応が開始されるか、これゆえにこの時点での真の過熱点温度を外挿により測定し;そして、
iv)場合により、過熱点測定に関してより良好な正確性を得るために最適なやり方で変圧器を運転することにより再び本方法を開始する。
実施例2 幾つかのトレーサーの理論的使用
本方法は、変圧器の油に少なくともふたつの化学的トレーサーを添加することを含み、各々は、他の選択される化学的トレーサーの遷移温度とは異なり、周囲の室温と変圧器内部の許容可能な最高温度との間にある遷移温度を有する。
a)幾つかの異なる化学的トレーサーを選択し;
b)化学的トレーサーを油中に導入し;
c)所望の計算された過熱点温度(トレーサーの遷移温度より高い温度又は低い温度)に到達させるために、予め決められた時間の間、変圧器を運転し;
d)前記決められた時間の間に変圧器から油サンプルを採取し;そして、
e)いくつかの残留物の存在又は不存在を測定するためにサンプルを分析する。
本発明にしたがった方法は、また、より良好及び/又は完全なトレーサーから誘導される残留物の溶解を可能とするために、残留物が気体である場合に油を脱気する予備的かつ任意の工程を含んでもよい。例えば、残留物がN2ガスである場合、空気は既知の量のN2を含むことから油中に溶解される空気は除去されなければならない。油中に溶解される空気中の窒素の存在は、トレーサーの残留物への変形に由来する濃度の測定に誤差を与え得る。
同じ変圧器、すなわち35ガロンの絶縁性鉱油Voltesso 35(登録商標)を含有する100キロボルト−アンペア(KVA)、14.4kV〜120VのFederal Pioneer(登録商標)において三つの以下の例を行った。見かけの電流負荷を実施例1及び3について6時間、実施例2について8時間適用した。
実施例3
選択されるトレーサーは、鉱油中に溶解性とするために化学的に修飾されたジフェニレンスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジンの分子である(分子D)。そうするために、炭化水素飽和側鎖、18個の炭素原子を含有する鎖、を分子上にグラフトする。かかる修飾された分子は、Uniroyal社への特別な注文により商業的に入手可能である。反応温度又は遷移温度は130℃であり、その温度にてこの分子はN2を形成する。
結果を図3に報告し、示される曲線は、
a)槽の底部における油温度;
b)槽の頂部の油温度;
c)屈曲部から出てくる油チャンネルにおける熱変換;
d)油中に溶解される窒素N2の濃度(ppm);
e)真の過熱点温度
を示す。
運転の間に油サンプルを採取し、図3の実験曲線(曲線d)に沿った分子Dの分解による窒素の形成のピークが検出される。使用される手法は、実験室での溶解ガス分析(DGA)である。
選択されたトレーサーは、鉱油中に溶解性とするために化学的に修飾された4,4’オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジンの分子である(分子F)。そうするために、典型的には18個の炭素原子を含有する、炭化水素飽和側鎖を分子上にグラフトする。かかる修飾された分子は、Uniroyal社への特別な注文により商業的に入手可能である。反応温度又は遷移温度は150℃であり、その温度にてこの分子はN2を形成する。
実施例5
選択したトレーサーは、炭化水素化された側鎖を有するカルボニル金属の分子(分子G)である。
変圧器の油中に導入される分子Gの量は、その最終濃度が油中のトレーサーの約0.01重量%であるように計算される。
本発明を、図面を参照しながらその好ましい態様によりこれまで説明してきた。これらの好ましい態様に対する本発明の範囲内の任意の修飾は、本発明の性質又は範囲を変更するものとはみなされないことに注目すべきである。
工程a)は、該油中に溶解性である少なくともふたつの異なる化合物を用いることにより実施し、各々の化合物が残留物遷移温度TRにて該油中に溶解性の残留物を形成し、各残留物についての遷移温度TRは互いに異なり;
工程b)は、工程a)の後に実施し;
工程c)は、以下の通りに実施する。すなわち、
残留物が存在しない場合は、
d1)前記溶解性残留物のうち少なくともひとつが、採取されるサンプル中に存在するまで、工程a)〜c)を繰り返し;
すべての残留物が存在する場合は、
d2)該油中に存在する残留物を排除し;そして、
d3)前記溶解性残留物のうち少なくともひとつが、採取されるサンプル中に存在しなくなるまで工程a)〜c)を繰り返し;
過熱点温度TPCestが、残留物を生成する化合物の当該残留物の遷移温度TRと存在しない化合物の残留物の遷移温度TR2との間である運転条件を確立し;そして、
工程e)において、TPCest−THに等しいΔTを計算する、ここでTHは工程a)の最後の繰り返しの間に測定される油の温度である。
残留物が存在するかを測定するために油サンプルの分析を実施するための手段;
該サンプルに前記少なくともひとつの残留物の存在を可能とする予め決められた運転条件下で、過熱点温度TPCを、前記少なくともひとつの残留物の遷移温度TRに等しいものとして見積もるための手段;
該油の温度THを測定するための手段;
予め決められた運転条件下で過熱点温度TPCと油温度THとの差ΔTを計算するための手段;及び
以下の等式:
TPC *=TH *+ΔT
にしたがって、任意の他の運転条件下での装置の過熱点温度TPC *を確立するための手段(TH * は前記他の運転条件下での油の温度である)、を含む。
Claims (14)
- 異なる運転条件の装置にしたがって、電気的装置に含有される油の過熱点温度TPC *を確立するための方法であって:
a)該油の温度THを上昇させるために、少なくともひとつの予め決められた運転条件にしたがって電気的装置を運転する工程、該油は、該油中に溶解性の少なくともひとつの化合物を含み、各化合物は、残留物遷移温度TRにて該油中に溶解性の残留物を形成する;
b)工程a)の間又は工程a)の後に、油温度THを測定しながら少なくともひとつの油のサンプルを採取する工程;
c)残留物が存在するか否かを測定するために、工程b)において採取した該少なくともひとつのサンプルの分析を行う工程;
d)工程c)の分析から、該サンプル中に前記少なくともひとつの残留物の存在を可能とする少なくともひとつの予め決められた運転条件下で過熱点温度TPSを前記少なくともひとつの残留物の残留物遷移温度TRに等しいものとして評価する工程;
e)少なくともひとつの予め決められた運転条件での過熱点温度TPCと油温度THとの差ΔTを計算する工程;及び
f)該装置の任意の他の運転条件にしたがった過熱点温度TPC *を、以下の式:
TPC *=TH *+ΔT
(TH *は、前記他の運転条件下での油の温度である)
にしたがって得る工程、を含む前記方法。 - 工程a)は、油中に溶解するひとつのみの化合物を用いることにより実施し;
工程b)は、工程a)の後に実施し;
更に工程c)に続いて、工程d)を以下の通りに実施し、
すなわち、残留物が存在する場合は、
d1)該油中に存在する残留物を除去し;
d2)該油温度THを低減させるために、該装置を新しい運転条件にしたがって運転し;そして、
d3)工程c)において得られるサンプル中に残留物が存在しなくなるまで工程b)、c)、d1)、及びd2)を繰り返し、
残留物が存在しない場合は、
d4)該サンプル中に残留物が存在するまで工程a)、b)、及びc)を繰り返し、
そして、該過熱点温度TPCが該残留物の遷移温度TRに等しい運転条件を確立する、請求項1記載の方法。 - 工程a)は、該油中に溶解性のひとつのみの化合物を用いることにより実施し;
工程b)は、該油温度THを測定しながら少なくともふたつの油サンプルを異なる時間において採取することにより工程a)の間に実施し;
工程c)は、該油中に存在する残留物濃度を測定するために、工程b)において採取されたサンプルの各々について実施し;
工程d)は、工程c)において測定された濃度、残留物が形成され始める時間t0、残留物の形成温度TRに等しい時間t0における過熱点温度TPCに基づいて、外挿により測定することにより実施する、請求項1記載の方法。 - 工程a)は、該油中に溶解性である少なくともふたつの異なる化合物を用いることにより実施し、各々の化合物が残留物遷移温度TRにて該油中に溶解性の残留物を形成し、各残留物についての遷移温度TRは互いに異なり;
工程b)は、工程a)の後に実施し;
工程c)は、以下の通りに実施し、すなわち、
残留物が存在しない場合は、
d1)前記溶解性残留物のうち少なくともひとつが、採取されるサンプル中に存在するまで、工程a)〜c)を繰り返し;
すべての残留物が存在する場合は、
e2)該油中に存在する残留物を排除し;そして、
e3)前記溶解性残留物のうち少なくともひとつが、採取されるサンプル中に存在しなくなるまで工程a)〜c)を繰り返し;
過熱点温度TPCestが、残留物を生成する化合物の当該残留物の遷移温度TRと存在しない化合物の残留物の遷移温度TR2との間である運転条件を確立し;そして、
工程e)において、TPCest−THに等しいΔTを計算し、ここでTHは工程a)の最後の繰り返しの間に測定される油の温度である、請求項1記載の方法。 - 電気的装置が電力変圧器である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 少なくともひとつの化合物が、所与の温度で、
油中に溶解性のガスを形成する化合物であり;
非可逆的なやり方で色が変化する化合物であり;
非可逆的なやり方で相変化をする化合物であり;又は
非可逆的なやり方で化学構造を変更する化合物である、
請求項1記載の方法。 - 少なくともひとつの化合物が、ジアゾ化合物、カルボニル金属、着色性化合物、顔料、液晶、又はアルブミンである、請求項1記載の方法。
- 少なくともひとつの化合物がジアゾ化合物であり、次いで形成される残留物が油中に溶解性の窒素であり、次いで該方法が、油を脱気して溶解された空気を該油から排除する、工程a)に対する準備工程を含む、請求項7記載の方法。
- 少なくともひとつの化合物が、油中に溶解性であるために化学的に修飾された、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒロダジン、又は、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジンである、請求項8記載の方法。
- 電気的装置中に含有される油の過熱点温度TPC *を該装置の異なる運転条件にしたがって確立するための装置であって、該油は、当該油中に溶解性の少なくともひとつの化合物を含み、各々の化合物は、残留物の遷移温度TRにて該油中に溶解性の残留物を形成し、該装置は、
残留物が存在するかを測定するために油サンプルの分析を実施するための手段;
該サンプルに前記少なくともひとつの残留物の存在を可能とする予め決められた運転条件下で、過熱点温度TPCを、前記少なくともひとつの残留物の遷移温度TRに等しいものとして見積もるための手段;
該油の温度THを測定するための手段;
予め決められた運転条件下で過熱点温度TPCと油温度THとの差ΔTを計算するための手段;及び
以下の等式:
TPC *=TH *+ΔT
にしたがって、任意の他の運転条件下での装置の過熱点温度TPC *を確立するための手段(THは前記他の運転条件下での油の温度である)、を含む前記装置。 - 油サンプルの分析を実施するための前記手段が、油中に存在する各残留物の濃度を測定するための手段である請求項10記載の装置。
- 油サンプルの分析を実施するための前記手段が、比色分析、溶解ガス分析、質量分析、核磁気共鳴、ガス又は液体クロマトグラフィー、赤外分光分析、紫外分光分析、又はX線蛍光分析を使用する、請求項10記載の装置。
- 油の温度を測定するための前記手段が、温度計、熱電対、又は温度測定プローブである、請求項10記載の装置。
- 分析を行うための前記手段、見積もるための前記手段、計算するための前記手段、及び過熱点温度TPC*を確立するための前記手段が、ソフトウェアが提供されかつキーボードとスクリーンに連結されたコンピュータにより実施される、請求項13記載の装置。
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