JP2011515159A - 皮下トンネル装置 - Google Patents
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Abstract
調節可能なハンドルを具えてなり、トンネル処置の間、使用者が、貫通機構を高い精度の下で簡易に作動させることができる皮下トンネル装置を提供する。
【選択図】図3
【選択図】図3
Description
この発明の種々の実施形態は、皮下トンネル装置及び、それを用いる方法に関するものであり、とくには、改良したチップおよびハンドル機構を採用した皮下トンネル手段ならびに、それを使用する方法に関する。
トンネルは、皮下に、ワイヤ、カテーテルもしくは、一の領域から他の領域へとシャントを通過させるための経路を形成する外科的な処置であって、一般に、脳深部刺激(DBS)、皮質刺激(CS)、脊髄電気刺激(SCS)および脳室腹腔短絡術(VPS)の四種類の処置で用いられる。
DBSおよびCSでは、脳に埋め込んだ電極を、体内のパルス発生器および、鎖骨の直下に配置される電力供給装置に連結するため、ワイヤを皮下に存在させることが必要である。DBSは現在、パーキンソン病や本態性振戦、ジストニアのような運動障害を治療するものとして、米国食品医薬品局(FDA)により認可されている。近年の研究によれば、鬱病、強迫神経症、てんかんおよび肥満のような、さらに多くの症状への適応が有望である。
CSはDBSと似ているが、それが対象とする刺激部位は、脳の表面上の領域である。CSは現在、慢性痛を治療するものとして、FDAにより認可されている。
VPSは、脳脊髄液(CSF)を流すため、カテーテルを、脳室内に充満された液体内に配置するとともに、腹膜腔に到るまで皮下にトンネルされたカテーテルに連結する処置である。
リードのために、皮下(皮膚の下の)トンネルを形成するには、トンネル装置が必要となる。かかる装置は一般に、一端に弾丸型のチップを、他端にハンドルをそれぞれ有する可鍛性の金属チューブにて構成される。
トンネルは、頭部の頂点の頭皮の下から始め、次いで、耳の後ろの、頭部の側面に下ろしていき、そして、首から鎖骨の直下の領域に下ろすことにより行う。ここで、神経刺激装置を配置する場合は、移植可能なパルス発生器(IPG)を設置し、それを、頭皮の電極まで後退させたトンネル装置を介して通すことができるリードに連結することで切開を行う。
神経外科医は、現在のトンネル装置に対して、様々な理由から苛立ちを覚えることが頻繁にある。
一つ目の理由は、トンネルの間に力の条件が変化することにある。現在のトンネル装置のほとんどは、比較的尖っていないチップを有する。これは、首の、頭や腕に供給する血管および神経の近傍をトンネルする際に、尖ったチップは危険なものとなり得るからである。しかしながら、尖っていないチップでは、力ずくで行うことが必要となって、制御が不能になる結果として、トンネルすることが困難な高濃度組織の領域が存在することになる。耳の裏側を直接的にトンネルする際に、高濃度組織に遭遇することがある。ここで、尖ったチップは、過度の力を要することなく、筋膜の切断を促すことに理想的に適している。
二つ目の理由は、多くの場合、トンネル工具が操作し難いことにある。長い可鍛性の工具は、ハンドルがチップとは反対側の端部分に存在することが多いため操作が困難となる。皮下に向けようとしたときに、チップから距離を隔てた位置からの力によって、チップの操作性は損なわれる。また、可鍛性の材料では曲げの力が生じるが、かかる曲げの力によって、トンネル装置の形状が変形し、チップに伝わる力が減少する。できる限りチップの近くで力を作用させることが可能な工具を使用することにより、外科医による操作を改善することができる。
皮下トンネル装置は、これまでに様々な構造が開示されている。たとえば、特許文献1には、皮下トンネル工具と搬送工具とを一体化したものが提案されており、その内容の全体を参照によりここに組み込む。他の例として、特許文献2には、皮下トンネル器具および方法が提案されており、その内容の全体、とくに、1〜4欄を参照によりここに組み込む。
また、さらなる例として、特許文献3には、医療用パッシング装置および方法が提案されており、参照によりその内容の全体、とくに、1〜8欄をここに組み込む。また、たとえば、特許文献4には、医療機器挿入器、人口器官および使用方法が提案されており、参照することによりその内容の全体、とくに、1および3〜9欄をここに組み込む。
これら従来技術の欠点は、外科医をより一層苛立たせることのみならず、厄介な問題を引き起こすものである。既知のトンネル工具においては、神経外科医にとって、トンネル処置の間に様々な問題がある。
(1)オペレータの疲労
装置の粗悪な人間工学と相俟って、厚い筋膜に、工具を押圧するために要する大きな力によって、オペレータの疲労を招くことがよくある。
装置の粗悪な人間工学と相俟って、厚い筋膜に、工具を押圧するために要する大きな力によって、オペレータの疲労を招くことがよくある。
(2)重要な動脈、静脈および神経への損傷のリスクを増大させる貧弱な操縦性および過大な力によって、体内の重要な構造物への損傷のリスクが増大する。そしてまた、皮膚に極めて大きな力を負荷すると、誤って皮膚を貫通して突き刺さるリスクも増大する。
(3)さらなる切開が必要となるのは大抵、多くの外科医がもはや装置を適切に皮下へ誘導することができないような、トンネル経路の後半である。その結果、外科医は、チップを前進させることができない位置で中間切開を行って、その新しい切開部位から経路の形成を再開する。このことは、様々な処置のトンネル形成の約50%で生じ得る。
二次切開は、第二の傷口としての第二の位置で髪を剃る必要性および、最も重要な、外傷および器具感染のリスクの増大をもたらす。器具感染は極めて重要な問題であり、長期の入院(平均的な入院はおよそ14日までである。)、抗生物質の静脈内投与および、器具の除去や交換のためのさらなる手術の必要性の結果として生じることが多い。
この結果、患者の疾病率や死亡率が増大するとともに、病院の費用が増大する(追加の費用は、手術の必要がない場合で〜30000ドルであり、また、追加の手術を行う場合で〜45000ドルである。)。政府はもはや、手術に関連する感染を補償することはなく、この費用の負担は今後、病院に課されることになる。
トンネル中にすぐれた操作性を発揮することができ、かつ二次切開を行う必要性を減らすことができるトンネル装置は有益である。
一の形態を概説すれば、皮下に医療用チューブを配置するためのトンネル装置を提供する。トンネル装置は、細長いチューブ状部材と、そのチューブ状部材に連結される調節可能なハンドル機構と、ブレード部材、ブレードハウジングおよびブレード作動機構を有するトンネル機構とを具える。
他の実施形態は、手術時に、皮下にトンネルを形成する方法であって、細長いチューブ状部材と、先端にオリフィスを有するとともに、貫通手段を取り囲むチップと、作動機構とを具えるトンネル装置を使用する工程を含む。
図1に示した皮下トンネル装置10は、遠位端部12、近位端部14、チューブ状部材16およびハンドル18を具える。装置10は、医療用リードおよびカテーテルを通すことができる皮下のトンネルを形成することを目的として、人もしくは動物の皮下に、細長い医療用チューブ16を通すために用いられる。
チューブ状部材16は、近位端部および遠位端部を有し、近位端部14と遠位端部12との間に経路を画成するものである。チューブ状部材16は、内側を、医療用リード、電極、カテーテルもしくはシャントを通すことができるルーメンを有する。
この装置10の目的は、トンネル処置を容易なものとするにある。チューブ状部材16の様々な位置で、トンネル装置10の操作を可能とするため、装置10は、チューブ16の長手方向に沿って摺動することができる、チューブ状部材16上で固定されるハンドル18を有する。
ハンドル部材18は、人間工学的な形状の様々な形態に形成することができる。あるいは、とくに、精神外科医等のような医療従事者のために、その好みに合わせて、ハンドル18をカスタマイズすることが考えられる。
図2および3に示すようにして、装置10の遠位端部12は与えられる。遠位端部12は、先端にオリフィス26とともにチップ24を有するブレードハウジング30を具える。ブレードハウジング30内には、ブレード、外科用メスその他の適当な切断手段としての貫通手段28が存在する。
この実施形態では、装置10は、引込み式のブレードハウジング30によって覆われた固定式のブレード28を具える。ブレード28をカバーするため、装置10のオペレータが作動させるスイッチがあり、それにより、ブレード28を伸ばしたり、また、ブレードを十分にカバーすることが可能となる。
チップ24は、円錐状、三角錐状その他の、貫通に適した形状とすることができる。あるいは、この実施形態では、ブレードハウジング30を固定し、ブレード28を移動可能とするように改変することもできる。
図4および5に、この発明の他の実施形態を示す。装置10は、被覆部材30によって覆われた引込み式のブレード28を具える。そのブレードは、装置10の近位端部14で、ボタン34によって付勢されたスプリング32により作動する。
チューブ状部材16に沿う様々な位置での、トンネル装置10の操作を可能にするべく、ハンドル部材18は、チューブ状部材の長手方向に沿ってハンドルを摺動させるための、チューブ状部材16および調節機構22を保持する開口を有する。ハンドル部材18は、チューブ状部材16上で固定されるとともに、作動に際し、チューブ状部材16に沿う特定の位置からハンドルを解除し、かつハンドルをチューブ状部材に沿って摺動可能とする作動機構22を具える。作動機構22が解除されると、ハンドル部材18は、チューブ状部材16上のその位置で摩擦により固定される。
あるいは、チューブ状部材16に沿う種々の位置に、窪み(図示せず)を設けることができる。ハンドル18は、チューブ状部材16に沿って設けた窪み内で固定され、また、作動機構22によって、ハンドルが特定の窪みから解除されるので、ハンドルを、次の窪みまで、その位置で固定されるように摺動させることができる。チューブ状部材は、円形、長円形もしくは方形その他の断面形状とすることができる。
作動機構38を係合させたときに、貫通装置28がチップ30の外方に突出し、また、作動機構38を再度係合させたときに、貫通装置28がチップ30内に引込むような、オペレータによる操作を可能とするため、装置10は、作動機構22および、チューブ上で内側貫通装置36と作動機構38との間に位置する連結機構を具える。
あるいは、ハンドル機構がチューブ状部材を圧縮し、もしくは作動機構がチューブ状部材を圧縮しつつ、貫通装置36がチューブ状部材内で強固に保持され、それによって、装置10を容易に使用できるように、チップ作動機構(図示せず)は、チューブ状部材16上に配置するか、もしくは、ハンドル機構18に連結することができる。あるいは、装置がトンネルする筋膜の種類や特定の処置に基き、貫通装置28の、ハウジング30からの突出距離を変更することができる。
この発明は、鋭いチップを、高濃度領域の通過に使用することができ、また、鈍いチップを、神経や血管の領域での安全な案内に使用することができるように、外科医がチップの鋭さを調節することができる、ハンドルとチップにおける二つの独立した新規なアイデアを利用するものである。従って、この発明は、装置と方法の双方を請求するものである。患者の組織にトンネルを形成することを目的として、貫通装置を覆う細長い医療用チューブを利用することを請求する方法を開示する。
この発明の医療用装置は、近位端部および遠位端部を有する通路を具え、その通路は、近位端部と遠位端部との間にチャネルを画成する。第一に、チューブ状部材に沿う様々な位置でのトンネル装置の操作を可能とするため、装置は、チューブ状部材の長手方向に沿って摺動して、把持するハンドルを具える。第二に、装置は、被覆部材によって覆われた引込み式のブレードを具える。被覆部材によって覆われない状態で、ブレードを使用するため、装置のオペレータが作動させるスイッチを設ける。
この発明の様々な実施形態は、外科手術での、皮下へのトンネルの形成に用いられる。その工程には、装置の最適な操作のため、皮下へのトンネル装置の侵入および、チューブ状部材の長手方向に沿うハンドル位置の調整に伴い、図1〜6に示すような細長いチューブ状部材およびハンドルを具える装置を使用することが含まれる。
また、手術中に皮下にトンネルを形成する方法には、細長いチューブ状部材と、先端にオリフィスを有するとともに、内側貫通装置を取り囲むチップと、作動機構22とを具えるトンネル装置を使用することが含まれる。その処置は、ブレードがチップに覆われた状態で、トンネルを皮下に侵入させ、オペレータによる作動機構22の操作によって、チップに覆われないようにブレードを露出させ、ブレードを露出させた状態で装置を侵入させることを含む。貫通装置がチップによって覆われるように、貫通装置を引込めるため、オペレータは、作動機構22を係合させることができる。さらに、トンネル装置を皮下に侵入させ、オペレータが望んだときにブレードが露出するように、作動機構を使用することが考えられる。
以上の様々な実施形態は、この発明の範囲内での一例として述べたものであり、ここで挙げた例に限定されるべきではない。好ましい実施形態に関してこの発明の詳細を説明したが、特許請求の範囲に記載して特定したこの発明の精神と範囲内で、変化および変更が可能である。
Claims (17)
- 皮下に医療用チューブを配置するためのトンネル装置であって、細長いチューブ状部材と、該チューブ状部材に連結される調節可能なハンドル機構と、ブレード部材、ブレードハウジングおよびブレード作動機構を有するトンネル機構とを具える装置。
- チューブ状部材に沿う可変位置で、トンネル装置を操作できるように、前記ハンドルを、チューブ状部材の長手方向に沿って摺動可能に、ハンドルに係合させてなる請求項1に記載の装置。
- 前記調整可能なハンドル機構を、チューブ状部材上でハンドルを固定するものとしてなる請求項1に記載の装置。
- 調整可能なハンドル機構の解除状態で、ハンドルが前記部材から解除されて、チューブ状部材に沿って自由に摺動し、前記作動機構の解除により、ハンドルがその位置でチューブ状部材に対して固定されるものとしてなる請求項1に記載の装置。
- 前記チューブ状部材が、ハンドルの固定配置に寄与する複数の窪みを有する請求項1に記載の装置。
- 前記ハンドルが、人間工学的な保持を可能とする形状を有する請求項1に記載の装置。
- チューブ状部材が、医療用リード、電極、カテーテルもしくはシャントを通すことができるルーメンを有する請求項1に記載の装置。
- 前記ブレードハウジングを、先端にオリフィスを有するチップとしてなる請求項1に記載の装置。
- 作動機構が係合されるときに、内側貫通手段がチップから外方に突出し、作動機構が再度係合されるときに、内側貫通手段がチップ内に引込むように、オペレータがアクセス可能なチューブ上の内側貫通手段と作動機構との間に、連結手段を設けてなる請求項8に記載の装置。
- 前記ハウジングを円錐形状としてなる請求項8に記載の装置。
- 前記貫通手段を、均一に尖った先端としてなる請求項8に記載の装置。
- 手術時に、皮下にトンネルを形成する方法であって、細長いチューブ状部材および、ハンドルを具える請求項1に記載のトンネル装置を用いて、該トンネル装置を皮下に侵入させる工程と、最適な操作で、チューブ状部材の長手方向に沿うハンドルの配置を調整する工程とを含む方法。
- 皮下に医療用チューブを配置するためのトンネル装置であって、細長いチューブ状部材と、該チューブ状部材に連結される調節可能なハンドル機構と、ブレード部材、ブレードハウジングおよびブレードハウジング作動機構を有するトンネル機構とを具える装置。
- 手術時に、皮下にトンネルを形成する方法であって、細長いチューブ状部材と、先端にオリフィスを有するとともに、貫通手段を取り囲むチップと、作動機構とを具える請求項8に記載の装置を用いる工程を含む方法。
- ブレードがチップによって覆われて、トンネル装置を皮下に侵入させる工程をさらに含む請求項14に記載の方法。
- ブレードが、チップによって覆われずに露出するように機構を作動して、ブレードを露出させた状態で、トンネル装置を侵入させる工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
- 前記貫通手段がチップによって被覆されるべく、貫通手段が引込むように機構を作動させる工程をさらに含む請求項16に記載の方法。
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