JP2011512807A - 発酵豆乳および発酵豆乳の官能特性の改善方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、発酵豆乳、および発酵豆乳の官能特性の改善方法に関する。

Description

本発明は、発酵豆乳および発酵豆乳の官能特性の改善方法に関する。
牛乳や乳製品などの動物由来の製品に対する特定のアレルギーを有する消費者群がある。結果として、これらの製品は、日常の栄養分としては利用できない場合があり、彼らの消費可能性は、いずれにせよ大幅に制限されることとなる。実際に、乳糖不耐性およびカゼイン(牛乳に含有される主要タンパク質類の一つ)に対するアレルギーは、小児、成人のいずれにおいても非常に広く蔓延している。動物性由来である牛乳を用いた製品に対する既知の代替品としては、実質的に植物由来の牛乳およびそれに由来する食品の使用がある。
特に、豆乳の使用は、健康上有益な特性で知られている。実際、豆乳は、牛のミルクよりもカロリーが少ないうえ、そのタンパク質含有量はほぼ2倍であり、脂肪濃度は低い。鉄分が豊富で、ビタミンB群の割合は同等である。カルシウムは不足しているが、ポリ不飽和脂肪酸の含有量は高く、消化しやすい。しかも、動物由来のタンパク質、特にミルクカゼインがコレステロールやトリグリセリドの濃度を上昇させる傾向があるのに対し、豆乳の場合はレシチンが含まれることにより、血液中の過剰なコレステロール濃度とトリグリセリド濃度の低減に大いに貢献する。
豆乳は、さまざまな発酵・非発酵食品の生産に使用される。したがって、不耐性問題を解決するという場合には、豆乳の使用が、一方では動物由来の牛乳の有効な代替品であるが、他方で、製品自体の官能特性の乏しさにより、その使用は制限されている。
実際、消費者が摂取の瞬間に感じることになる豆乳の味および/または香りは、豆類の味や香りに非常に類似していることが知られている。前記味および/または香りは、平均的な消費者からは「不快」なものと認識される。この味および/または香りは、特にヘキサナールおよび/またはペンタナール化合物などに加え、アルコール基、ケトン基および/またはアルデヒド基を含む化合物が、豆乳に実質的に含有されるためと考えられている。
前記アルコール基、ケトン基および/またはアルデヒド基は、酵素(リパーゼ、ホスホリパーゼおよびリポキシゲナーゼ)が介在する複合的な触媒作用による、大豆の脂質成分の酸化、特に不飽和脂肪酸の分解(fraction)により生成される。後者の酵素群は、豆類(beans)、エンドウ豆(peas)または小麦などの他の植物性・豆科植物に見られる濃度以上に、特に大豆中に高濃度で含まれる。さらに、大豆の種子中に通常ごく微量含まれる銅イオンおよび鉄イオンの触媒作用により、遊離の脂肪酸が、自動酸化反応の対象となる。
酸化後に、いずれも炭素数18のリノール酸およびリノレン酸が、ヘキサナール、2、4−デカジエナール、2、4−ヘプタジエナール、3−ヘキサナール、2、4、7−デカトリエナールなどの数々のアルデヒド化合物を生成する。
前記アルデヒド分子は、種々の不快な感覚刺激性の兆候、特に大豆系製品または大豆由来製品の豆臭い(bean−like)味の発生に関与している。
上記アルデヒド分子は、一般的に固形かつ乾燥状態の大豆には含有されていないが、前記豆類に吸水させて粉砕し、いわゆる「豆乳」を製造する際に相当量が生成される。
P.スカラブリーニ(Scalabrini)らの論文「豆乳発酵に使用するビフィズス菌株の特性評価」(非特許文献1)によれば、ビフィドバクテリウム・ブリーブ(Bifidobacterium breve)種に属するMB233株による豆乳の発酵に関するデータが報告されている。特に、ガスクロマトグラフィー解析から、発酵後24時間は得られた発酵豆乳には、ヘキサナールが少量存在するものの、実質的にペンタナールは含有されないことがわかる。
本出願人は、実験を通じて、実際には、ビフィドバクテリウム・ブリーブ種に属するMB233株による豆乳の発酵によって、P.スカラブリーニらにより報告されたようには、十分な官能特性を有する生成物は得られないことを見出した。実際に試食したところ、得られた生成物には、実際には依然として匂いが残っており、とりわけ、無視できないほどの豆の味が残っており、商業用途には適さなかった。
International Journal of Food Microbiology, 39 (1998) 213−219
したがって、本出願人らは、発酵豆乳の官能特性が改善され、未処理の豆乳の典型的な豆臭い匂いと味とを実質的に除去できるような方法を見出すことを目標とした。
本出願人は、この課題は、デンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む植物由来製品を添加し、続いて、サーモフィルス菌(Streptococcus thermophilus)種から選択される少なくとも1つの細菌により発酵を行うことにより解決できることを見出した。
デンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む植物由来製品は、少なくとも1つの植物性粉末の熱処理、化学的処理および/または酵素処理により得られる。前記植物性粉末は、たとえば米、トウモロコシ(corn)、大麦、トウモロコシ(maize)、小麦、ソルガム(sorghum)、キビ(millet)、オーツ麦、ライ麦、フォニオ(fonio)、ライ小麦などの穀物類、または、たとえばマニオク、タピオカ、芋類などの塊茎作物から得られる。加水分解は部分的でもよい。このような処理により、麦芽糖よりも高分子量でデンプン自体またはデンプンの部分加水分解物由来の複合糖質とともに、ブドウ糖、麦芽糖および/または果糖をそれぞれさまざまな量比で含む粘稠液(シロップまたは糖液(molasses))状態または水溶液状態の生成物が得られる。
本発明の目的上、「豆乳(soymilk)」は、好ましくは黄色い全粒大豆または種子から、または高脂肪の大豆粉末から得られる水性抽出物であって、可能であればビタミン類および/または少数元素(oligoelements)および/または塩類および/または乳化剤および/または、メープルシロップ、大麦モルトまたは米麹、バニラ糖、未精製の甘蔗糖などの甘味料・調味料が添加されたものを示すと解する。この抽出物は、全粒粉または精製された穀物であり、外側の殻を取り除いた後の大豆の種子から得られる。豆乳は、乳液または懸濁液の状態の白みがかった液であり、炭水化物、タンパク質、ミネラル類および油脂性物質が含まれる。一般的に、豆乳には、水に対する量比(w/w)が1:4〜1:18の範囲、好ましくは1:6〜1:15の範囲、より好ましくは1:8〜1:12の範囲となる大豆/粉末が含まれる。
本発明の目的上、「静置(する)」とは、1以上の細菌株から選択した少なくとも1つの細菌を、好ましくはデンプンおよび/または加水分解生成物を含む少なくとも1つの植物由来製品を混合した豆乳中で、所定時間培養させる工程を意味すると解する。なお、この場合の培養時間とは、特定の触媒特性および代謝特性が発揮されるのに十分な時間である。
したがって、本発明の第一の目的は、発酵豆乳の官能特性の改善方法であって、
i)豆乳をデンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む少なくとも1つの植物由来の製品と混合し;
前記工程i)の混合物に、サーモフィルス菌種から選択される少なくとも1つの細菌を加えて静置する;工程を含む発酵豆乳の官能特性の改善方法である。
好ましくは、前記デンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む少なくとも1つの植物由来の製品は、豆乳に対してが0.1%〜50%v/v、好ましくは1%〜25%v/v、より好ましくは2%〜10%v/vの範囲の量比で用いられる。本発明の特に好ましい実施形態においては、この量比が3%〜7%v/vである。
好ましくは、デンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む植物由来の製品は、タピオカシロップである。
前記タピオカシロップは、さまざまな程度でデンプンの量的・質的変換を行って、麦芽糖、ブドウ糖および/または果糖などの単純なモノマーまたはオリゴマーへ変換することで得られる。
好適な実施形態において、本発明に係わる方法の工程(i)の混合前に、この豆乳は、1〜30分間、好ましくは3〜15分間30℃〜70℃、好ましくは35℃〜50℃の温度範囲まで予め加熱される。
好ましくは工程(ii)において、サーモフィルス菌種から選択される前記少なくとも1つの細菌を混合物に添加し静置する。好ましくは、前記静置は、30℃〜49℃、好ましくは35℃〜46℃、さらにより好ましくは39℃〜44℃の温度範囲にて行われる。
上記混合物の化学的特性を考慮すると、大豆の脂質成分を損なう酸化現象をできるだけ回避できるように、有利には、無菌の窒素圧下、または少なくとも酸素濃度を低減した条件下で実施することが好ましい。
有利には、本方法におけるデンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む植物由来の製品の添加により、静置工程に要する時間を20時間未満に低減することができる。好ましくは、静置プロセスは、1〜20時間、さらにより好ましくは2〜15時間の間行われ、3〜10時間が特に好ましい。
前記少なくとも1つの細菌としては、どんな形状でも使用可能であり、たとえば、凍結または凍結乾燥状態でもよく、あるいは新鮮な培地から採取したものでもよい。
上述した少なくとも1つの細菌としては、好ましくは、前記静置している混合物のpH値が、上記所定時間内に5.5以下、好ましくは5.0以下、さらにより好ましくは4.5以下に達するまで確実に連続的に下げることができる程度の量を加える。
特に好ましい実施形態において、工程i)の混合物のpH値は、7.5〜8時間で4.5以下の値まで落ちる。
本発明に係わる方法では、前記少なくとも1つの細菌は、好ましくは表1に提示された菌株から選択される。
Figure 2011512807
表1に示す菌株は、アニドラル・エス・ピー・エー社(Anidral S. p. A.)(イタリア国、ノヴァーラ I−28100、ヴィア ピエトロ カストーディ、12)が、上記に寄託日に、DSMZ(ドイツ・サムラング・フォン・マイクロオーガニズメン・ウント・ゼルクルチュレン・GmbH(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)、ドイツ、ブランズウィック D−38124 インホーフェンStr.I 7B)に寄託した。
菌株DSM16591、DSM16593およびDSM17843(以下、それぞれYOSO1、YOSO2およびYOSO3ともいう)は、Terzaghi(参考文献:メルクカタログ1.15029)に従い、好ましくは44℃で少なくとも5時間、好気条件下で、M17培養液中で培養される。
菌株YOSO1、YOSO2およびYOSO3は、球形の短鎖形状である。これらの菌株は、随意的に嫌気性のグラム陽性・カタラーゼ陰性細菌である。10℃、40%w/wの胆汁酸および6.5%w/wのNaCl中で成長できなくなるが45℃であれば可能という特徴がある。また、L−乳酸を生成し、アルギニンおよびエスクリンを加水分解しないという特徴ももつ。これらの菌株は、ベータ溶血に必要な酵素は発現しない。
好ましくは、pHが4〜4.5のブドウ糖培養液およびpHが4.3〜4.5のミルク(the milk)にて成長する。
この分野で既知のプロセスにより、豆乳に細菌を添加して、豆乳を含有する溶液中で静置することが可能である。
上記方法の2つの工程は、必ずしも定義したとおりの順序で行う必要はない。この点に関し、本出願人は、前記少なくとも1つの細菌を、豆乳自体に添加し、その後、上述したものから選択される少なくとも1つの植物由来の製品と「豆乳+細菌」複合体とを混合することも可能であることを見出した。
前記工程は、その間に待機時間を設けずに行ってもよく第2の成分(細菌または植物由来の製品)を添加する前に、豆乳に添加される第1の成分(植物由来の製品または細菌)を、確実に完全に均一にするように混合する工程を別途設けてもよい。
前記さらなる混合工程は、1分〜1時間、好ましくは2分〜30分間、特に好ましくは3〜15分間続けて行ってもよい。
本発明の第2の態様によれば、本発明は、デンプンおよび/または少なくとも部分的に加水分解したデンプン製品を含む少なくとも1つの植物由来の製品を含有する豆乳であって、サーモフィルス菌種から選択される少なくとも1つの細菌により発酵される豆乳に関する。好ましくは、サーモフィルス菌種から選択される前記少なくとも1つの細菌は、表1に示す菌株から選択される少なくとも1つの細菌からなる。好適な実施形態において、前記製品は、本発明に係わる方法により得られる。
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は、上述のように、デンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む少なくとも1つの植物由来の製品が添加され、サーモフィルス菌種により発酵した豆乳から得られる大豆系食品に関する。
本発明を、さらにいくつかの実施形態を参照して説明するが、これらの実施形態は、単に例示にすぎず、本発明を制限するものではない。
本発明に係わる方法を、発酵豆乳の調製に用いて、この分野に既知の方法と比較検討した。
市販のベルギー産の豆乳(Alpro soya Wevelgem)を、30分間110℃で予め熱処理した。
以下の組成を有する9つのサンプルを用意した。
1. サンプル1 −豆乳+濃度が4.6%v/vのタピオカシロップ;
2. サンプル2 −豆乳+濃度が5%v/vのショ糖およびビフィドバクテリウム・ブリーブMB233;
3. サンプル3 −豆乳+濃度が4.6%v/vのタピオカシロップおよびビフィドバクテリウム・ブリーブB233;
4. サンプル4 −豆乳+濃度が5%v/vのショ糖およびサーモフィルス菌YOSO3;
5. サンプル5 −豆乳+濃度が4.6%v/vのタピオカシロップおよびサーモフィルス菌株YOSO3;
6. サンプル6 −豆乳+濃度が5%v/vのショ糖およびサーモフィルス菌YOSO2;
7. サンプル7 −豆乳+濃度が4.6%v/vのタピオカシロップおよびサーモフィルス菌株YOSO2;
8. サンプル8 −豆乳+濃度が5%v/vのショ糖およびサーモフィルス菌YOSO1 ;
9. サンプル9 −豆乳+濃度が4.6%v/vのタピオカシロップおよびサーモフィルス菌株YOSO1。
サンプル2、4、6および8において、静置工程を実施する際に用いられる細菌株用の炭素源およびエネルギー源として濃度5%のショ糖を使用した。実際には、ストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する細菌株、および少なくともビフィドバクテリウム属の何らかの種類に属する細菌株は豆乳に含まれるオリゴ糖を発酵させにくいため、これらの細菌株による発酵には、豆乳自体は一般的に不適である。
サンプル1については、豆乳に前記タピオカシロップを4.6%v/v添加した。この豆乳は、2分間混合した後、持続的に軽く撹拌しながら、温度37℃で24時間静置した。
サンプル2については、5%v/vのショ糖と、ビフィドバクテリウム・ブリーブMB233を豆乳に添加して、持続的に軽く撹拌しながら、37℃で24時間静置した。前記細菌は、新鮮な液体培地から採取し、3×10CFU/mlの濃度で添加した。前記サンプルは、ショ糖を添加し、2分間の短時間混合後に、菌株MB233を添加するという順番で調製した。
サンプル3については、4.6%v/vの前記タピオカシロップと、ビフィドバクテリウム・ブリーブMB233を豆乳に添加し、持続的に軽く撹拌しながら、37℃で24時間静置した。前記細菌は、新鮮な液体培地から採取し、3×10CFU/mlの濃度で添加した。前記サンプルは、タピオカシロップを添加し、2分間の短時間混合後に、菌株MB233を添加するという順番で調製した。
サンプル4については、5%v/vのショ糖とサーモフィルス菌YOSO3を豆乳に添加し持続的に軽く撹拌しながら、42℃で8時間静置した。前記細菌は、新鮮な液体培地から採取し、7.5〜8時間の静置後にpH値を4.5未満に低減できるような濃度で添加した。サンプル2と同様に、調製は、ショ糖を添加し、2分間の短時間混合後に、菌株YOSO3を添加するという順番で行われた。
サンプル5については、4.6%v/vの前記タピオカシロップとサーモフィルス菌YOSO3とを豆乳に添加し、持続的に軽く撹拌しながら、42℃で8時間静置した。菌株YOSO3の使用量は、サンプル4について記載したのと同様である。サンプル3と同様に、調製は、タピオカシロップを添加し、2分間の短時間混合後に、菌株YOSO3を添加するという順番で行われた。
サンプル6および8は、それぞれ上述の菌株を用いて、サンプル4の調製と同様の手順で調製された。サンプル7および9は、それぞれ上述の菌株を用いて、サンプル5の調製と同様の手順で調製された。これら種々のサンプルを、各サンプルについて上述してきたとおりの時間静置し、この間、最初の8時間にわたり1時間ごとに、各サンプルから標本を抽出した。ビフィドバクテリウム・ブリーブMB233を用いて調製されたサンプル2および3については、最終的に、24時間後にさらにもう1回ずつ評価を行った。
その後、サンプルについて、10名の人を含むパネルテストにて、匂いと味の検証を行った。前記パネルテストは、ブラインドテスト形式で、1〜9と採番されたサンプルを用いて実施され、サンプルについては何ら補足的情報も説明も与えられなかった。各人が、匂いと味の双方の知覚について自身の印象を表に記録し、評価サンプルの嗜好性(agreeability)や受容性(acceptability)に応じて0〜5の点数で評価した。0点は、豆特有の匂いおよび/または味がまったくない状態であり、つまり、官能性の観点から条件を十分に満たすサンプルであることを示している。他方、5点は、試験サンプルと最初の豆乳の官能特性には、完全な同一性があること、すなわち、豆特有の味および/または匂いが残留していることをはっきりと示している。
表2に、静置工程の最後に測定した各サンプルのpH値と、パネルテストの過程で与えられた点数とを示す。
Figure 2011512807
サンプル1、2、3、4、6および8について、パネルテストの8時間後に豆特有の匂いと味が認められた。サンプル7と9については、前記豆特有の官能的な知覚の有意な低減が認められたが、サーモフィルス菌YOSO3菌株で発酵したサンプル5については、官能特性は完全に受容可能であった。
官能性の向上が見られたサンプルにおいて、この向上は4時間後には既に認識されていたことは特筆すべき点であった。これは、細菌株の生化学的活性/代謝活性がこの点において根本的な役割を果たしていることを示すものである。
サンプル2および3については、開始時と8時間後の状態を比べても本質的な改善が認められず、24時間静置された後さらに官能性評価を行った。
上記の結果から、タピオカシロップ単独(サンプル1)でも、細菌(サンプル2、4、6および8)のみによる発酵でも、発酵豆乳の望ましくない官能特性を除去することはできないことがわかる。サンプル5の結果と、サンプル7および9の結果の一部から、適切な細菌株と、有効量のタピオカシロップとの特定の組合せにより、従来技術で見られた発酵豆乳の望ましくない官能性の知覚を低減し、一例においてはほぼ完全に除去することができる点が示された。特に、サーモフィルス菌株とタピオカシロップには、特定の相互作用が見られるのに対し、この特性は、ビフィドバクテリウム・ブリーブ菌株MB233を用いた場合には、一切見られないか、ごくわずかな程度見られたに過ぎないことが、出願人の実験によりわかった。

Claims (13)

  1. 発酵豆乳の官能特性の改善方法であって、
    (i) 豆乳をデンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む少なくとも1つの植物由来の製品と混合し;
    (ii) 前記工程(i)の混合物に、サーモフィルス菌種から選択される少なくとも1つの細菌を加えて静置する;工程を含む発酵豆乳の官能特性の改善方法。
  2. 前記デンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む植物由来の製品は、少なくとも1つの植物性粉末の熱処理、化学的処理および/または酵素処理により得られる請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1つの植物性粉末は、穀物類または塊茎作物から選択される請求項2に記載の方法。
  4. 前記塊茎作物は、タピオカである請求項3に記載の方法。
  5. 前記デンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む植物由来の製品は、シロップもしくは糖蜜;またはブドウ糖および/または麦芽糖および/または果糖および/または高分子量の複合糖質を含有する水溶液;である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 工程(i)における豆乳に対する、前記実質的に植物由来の製品の混合量は、0.1%〜50%v/v、好ましくは1%〜25%v/v、より好ましくは2%〜10%v/vである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記サーモフィルス菌のうちの少なくとも1つの細菌は、
    2004年2月26日にドイツ・サムラング・フォン・マイクロオーガニズメン・ウント・ゼルクルチュレン・GmbHに寄託され、寄託番号をDSM16591とするサーモフィルス菌;
    2004年2月26日にドイツ・サムラング・フォン・マイクロオーガニズメン・ウント・ゼルクルチュレン・GmbHに寄託され、寄託番号をDSM16593とするサーモフィルス菌;および
    2005年12月21日にドイツ・サムラング・フォン・マイクロオーガニズメン・ウント・ゼルクルチュレン・GmbHに寄託され、寄託番号をDSM17843とするサーモフィルス菌;からなる菌株群から選択される少なくとも1つの細菌を含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記工程(ii)における静置段階は、1〜20時間、好ましくは2〜15時間、より好ましくは3〜10時間の範囲の時間続けられる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記豆乳は、工程(i)において混合される前に、30℃〜70℃の温度範囲まで1〜30分間予め加熱される請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. デンプンおよび/またはその加水分解生成物を含む少なくとも1つの植物由来製品を有する豆乳であって、サーモフィルス菌種から選択される少なくとも1つの細菌により発酵されることを特徴とする豆乳。
  11. サーモフィルス菌のうちの前記少なくとも1つの細菌は、
    2004年2月26日にドイツ・サムラング・フォン・マイクロオーガニズメン・ウント・ゼルクルチュレン・GmbHに寄託され、寄託番号をDSM16591とするサーモフィルス菌;
    2004年2月26日にドイツ・サムラング・フォン・マイクロオーガニズメン・ウント・ゼルクルチュレン・GmbHに寄託され、寄託番号をDSM16593とするサーモフィルス菌;および
    2005年12月21日にドイツ・サムラング・フォン・マイクロオーガニズメン・ウント・ゼルクルチュレン・GmbHに寄託され、寄託番号をDSM17843とするサーモフィルス菌;からなる菌株群から選択される少なくとも1つの細菌を含む請求項10に記載の豆乳。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により得られる発酵豆乳。
  13. 請求項10〜12に記載の豆乳系食品。
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