JP2011512394A - 慢性創傷の治療 - Google Patents

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Abstract

本発明は、慢性創傷治癒を促進するための、少なくとも3リン酸塩単位を有する非結合ポリリン酸塩の使用を提供する。両方ともポリリン酸塩の使用に基づく治療方法および医薬組成物も提供される。

Description

本発明は、慢性創傷の治癒に関し、その点について、特定の化合物の使用、ならびに治療方法および医薬組成物を含む。
創傷治癒は、複雑な生理学的過程であるが、通常、予測される順序の事象をたどる。この順序は、恣意的に一連の段階に分けられており、すなわち、(i)炎症相;(ii)組織形成相および(iii)組織再生相である。多くの場合に外傷/手術によって引き起こされる急性創傷は、これらの段階を順番に適時に進行することにより修復される。対照的に、慢性創傷はこの順序をたどらず、炎症相に「止まって」しまう。このことは、治癒過程を遅延し、特定の慢性創傷が永久に治癒しない場合があるかまたは治癒するのに何年もかかる場合があることを意味する。(Rovee DT and Maibach HI in The Epidermis in Wound Healing(2003)Informa HealthCare、NY、US)。
慢性創傷は、分解酵素の空間的および時間的発現が歪められているので、急性創傷のときに生じる治癒段階の順序をたどらないことが示唆されている。治癒の初期段階では、細胞外マトリックス(ECM)を分解するように酵素が特異的に発現する。ECMは、いくつかある役割の中でも、細胞に支持および足場を提供する組織の構成成分である。大まかには、ECMの3つの主要な構成成分:線維性成分(例えば、コラーゲン、エラスチン)、リンクタンパク質(例えば、フィブロネクチン)および空間充填分子(例えば、ヒアルロナン)が存在する。治癒の際のECMの分解は、線維芽細胞、好中球およびマクロファージなどの細胞が創傷領域に移動にして、組織修復を実施するのを可能にする。ECMの分解は、ECMが新たな組織の合成を支持できるように再構築するのを可能にするためにも必須である。治癒過程が進むと、創傷におけるECM分解酵素の活性は、既存のECMの必要な崩壊および再構成と新たなECMの合成との間の平衡を可能にするために低減するはずである。組織修復部位での分解酵素の持続的活性は、創傷治癒の慢性を説明することができる。例えば、多数の研究者らによる研究によれば、ECMを分解する酵素のレベルが急性創傷よりも慢性創傷において著しく高いことが実証されている。Yagerら(J Invest Dermatol 1996;107:743〜8)は、MMP−2およびMMP−9のレベルが急性手術創傷と比較して慢性褥瘡性潰瘍の創傷液において有意に高かったことを示した。Yagerら(Wound Rep Reg 1997;5:23〜32)は、慢性創傷液が上昇したレベルのエラスターゼ活性を有したことも示した。最後に、Dechertら(Wound Rep Reg 2006;14:252〜258)は、褥瘡性潰瘍のヒアルロニダーゼ活性が急性創傷と比較して有意に上昇したことを示した。
慢性創傷における創傷微環境の生化学組成が急性創傷と比較して異なることは、これらの別々の種類の創傷を治療する方法も異なることを意味する。Falanga(Wounds 2002;14(2):47〜57)は、急性創傷に適した治療剤および創傷床調整法の使用が慢性創傷には適切ではないことを記述している。これは、慢性創傷が急性創傷の治癒段階の順番をたどらないからである。
慢性創傷は、ヒトにおいて内部的にも外部的にも生じうる。内部慢性創傷は、胃腸管の上皮の損傷によってもたらされ、口腔、咽喉、食道、胃、小および大腸、結腸ならびに直腸における病変または潰瘍化として生じうる。外部慢性創傷は、表皮/真皮に影響を与え、例えば、糖尿病性足部潰瘍、静脈うっ血性潰瘍および褥瘡性潰瘍を含む。
内部創傷の治癒は、胃腸管内における他のタンパク質分解酵素の存在によって複雑になる。胃液は、一連のアスパラギン酸プロテアーゼ(ペプシン1、3a、3b、3cおよびガストリシン)を含有し、これらは胃粘膜において不活性前駆体(ペプシノゲン)として合成され、胃主細胞での刺激の後、胃内腔に放出され、そこで塩酸により活性化される。ペプシンの主な機能は、食事性のタンパク質およびペプチドを吸収に適したアミノ酸フラグメントに分解することである。ペプシンは食事性タンパク質を特異的に分解することはなく、あらゆる適切なタンパク質、ペプチドまたは糖タンパク質を無差別に切断する。したがって、コラーゲンおよびエラスチンなどの通常の生理学的機能に必須である一連の構成タンパク質を分解する。これらのタンパク質の無差別の分解は、自己消化とも呼ばれ、消化不良、胃炎、潰瘍化および胃食道逆流性疾患を含むいくつもの疾患状態の基礎的な病理である。これらの疾患状態では、胃腸管の粘膜はペプシンのタンパク質分解活性により損傷を受ける。
胃粘膜は、粘液ゲル層の分泌を含むいくつもの防御機構によりペプシン分解から保護されている。粘液ゲル層は、ペプシンと下にある粘膜表面タンパク質との相互作用を防止する拡散障壁として作用する。しかし、粘液ゲル層はペプシンにより分解される可能性があり、したがって、粘液分泌と分解との間に動的平衡が存在する。この平衡が妨げられ、粘液障壁が損なわれると、ペプシンは、下にある上皮およびコラーゲンを消化し、組織の破壊および胃損傷をもたらす可能性がある。同様に、ペプシンが食道の括約筋を越えて気道消化管の中に逆流すると、この括約筋の上方の上皮は胃に存在する防御機構を有さないので、広範囲に及ぶ組織損傷が起こる可能性がある。食道および喉頭への胃内容物の逆流は、食道および喉頭の扁平上皮に損傷を生じる場合があり、胃食道逆流性疾患および食道外逆流性疾患を起こし、さらには粘膜にバレット食道および食道または喉頭癌の素因を与える場合がある。
ECM(コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼおよびエラスターゼを含む)を分解する酵素の過剰活性は、胃腸管の病変/潰瘍化などの内部慢性創傷、ならびに糖尿病性足部潰瘍、静脈うっ血性潰瘍および褥瘡性潰瘍などの外部慢性創傷の両方の慢性に寄与する。さらに、タンパク質分解酵素ペプシンは、胃、食道および喉頭の病変/潰瘍化における原因酵素として関与するとともに、それらの治癒の遅延に寄与している。
加えて、皮膚においてECMおよび構造生体分子を分解する酵素は(コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼおよびエラスターゼを含む)、皮膚老化の発症および進行における原因として関与している。
そのような酵素を阻害すること、またはマトリックス構成成分を分解から保護することは、関連する障害の介入点として確認されている。したがって、ECM活性酵素、例えば、ペプシンなどのアスパラギン酸プロテイナーゼ、コラゲナーゼなどのマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、エラスターゼなどのセリンプロテイナーゼおよび/またはヒアルロニダーゼなどのグリコシドヒドロラーゼの調節および/または阻害は、頑強なECMの修復および/または維持にとって有利でありうる。
ポリリン酸塩は、一般に、高エネルギーリン酸無水結合により連結している数十数百の多くのオルトリン酸塩残基の直鎖状ポリマーである。
ポリリン酸塩は、広範囲の生細胞において見出され、その役割の1つは、細胞を作動させるためにエネルギーを供給する、ATP(アデノシン三リン酸)産生のためのリン酸塩貯蔵レザバーとして機能すると考えられている。最近、ポリリン酸塩が、細菌において、これらの単細胞生物が栄養欠乏および環境ストレスに対応するのを助けることが開示されている。例えば、細菌が栄養欠乏または環境ストレス(例えば、熱または浸透圧)に付される場合、ポリリン酸塩が合成されて、多様なタンパク質の産生に必要なエネルギーを供給する。
Kyung Won Medicalの国際特許出願第01/72313号は、急性創傷の創傷治癒および瘢痕寛解を促進する多様なポリリン酸塩(PからP798)の使用を記載する。
US6,599,523は、慢性非治癒創傷の治療におけるヘキサメタリン酸ナトリウムの4〜16%組成物から形成されるポリリン酸化創傷包帯の使用を記載する。創傷包帯は、綿セルロースなどの支持マトリックスおよび支持マトリックスに関連する活性剤から構成される。活性剤は、プロテアーゼ捕捉剤、特に、エラスターゼなどの好中球誘導カチオン性プロテアーゼの捕捉剤であってもよい。
最近では、Edwardsら、Journal of Biomedical Materials research Part A DOI 10.1002、446〜454は、エラスターゼおよびコラゲナーゼの捕捉にリン酸化綿包帯の使用を記載している。しかし、従来技術の組成物は捕捉剤として作用し、したがって有意に高いリン酸塩含有量を必要とする。
発明の記述
本発明によると、慢性創傷治癒を促進するための、少なくとも3リン酸塩単位を有する非結合ポリリン酸塩の使用が提供される。
「非結合」とは、ポリリン酸塩が、創傷治療に積極的に使用されるとき、他の任意の化合物または基質に化学的に結合していないことを意味する。保存され、さらには適用されると化学的に結合しうるが、治療条件下では「非結合」になる。例えば基質担体に物理的に結合しうるが、ここでも、治療中は実質的に遊離リン酸塩として挙動する。
本発明に使用されるポリリン酸塩は、例えば、外部的に、局所的にまたは経腸的に投与することができ、ペプシン、ならびにコラゲナーゼ、エラスターゼおよびヒアルロニダーゼなどのECMの再構成に関与するものを含む多様な酵素を阻害するのに有効であってもよい。これらの酵素の過剰活性に関わる慢性状態は、下記である:
褥瘡性潰瘍、糖尿病性潰瘍などの慢性外部創傷−これらの創傷の慢性は、コラゲナーゼ(MMP)、ヒアルロニダーゼおよびエラスターゼの過剰活性からもたらされる。
GI管の病変/潰瘍化などの慢性内部創傷−ECMを分解する酵素が、これらの内部創傷を引き起こす原因であり(ペプシン)、それらの慢性の原因である(ペプシン、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼおよびエラスターゼ)。
したがって、ポリリン酸塩は、創傷治癒を防止または遅延することに寄与する少なくとも1つの酵素の作用を阻害することが好ましい。より好ましくは、酵素は、ペプシン、コラゲナーゼ、エラスターゼおよびヒアルロニダーゼの1つまたは複数である。
ポリリン酸塩は、単一の化学実体でありうるか、または異なる数のリン酸塩単位を有するポリリン酸塩の混合物でありうる。混合物である場合、平均リン酸塩単位数は、少なくとも3である。好ましくは、ポリリン酸塩は、平均4〜40のリン酸塩単位を有する。
好ましくは、リン酸塩は、少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも60重量%のP含有量を有する。好ましい範囲は、60〜75重量%、より好ましくは65〜70重量%である。
例としては、ヘキサメタリン酸ナトリウムとして知られている物質は、平均12のリン酸塩単位および約68%のP含有量を有するポリリン酸塩の混合物である。
好ましくは、ポリリン酸塩は、アルカリ金属塩、より好ましくはナトリウム塩もしくはカリウム塩またはそれらの混合物である。
本発明は、また、慢性創傷治癒を促進する方法であって、少なくとも3リン酸塩単位および/または上記に示されたリン酸単位を有するポリリン酸塩の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
好ましくは、ポリリン酸塩の量は、1日投与量として300mg〜24,000mgである。
好ましくは、ポリリン酸塩は、2〜6のpHで投与される。
本発明は、さらに、少なくとも3リン酸塩単位を有するポリリン酸塩の治療有効量を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合して含む、医薬組成物を提供する。
発明のより詳細な記述
本発明に使用されるポリリン酸塩の例は、トリメタリン酸塩(P)およびヘキサメタリン酸塩(名目上はPであるが、実際はほぼP12)である。
ポリリン酸塩は、例えば、アルカリ金属塩(上記の通り)、カルシウム塩またはアンモニウム塩などのアルカリ土類金属塩であってもよい。好ましくは、ポリリン酸塩は、可溶性の塩である。
ポリリン酸塩による阻害に付される酵素には、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、セリンプロテイナーゼおよびグリコシドヒドロラーゼからなる群から選択されるECM活性酵素が含まれうる。MMPは、例えばコラゲナーゼであってもよく、セリンプロテイナーゼは、例えばエラスターゼであってもよく、グリコシドヒドロラーゼは、例えばヒアルロニダーゼであってもよい。
1つまたは複数の酵素が、上部消化管において活性であってもよい。これらの酵素には、アスパルチルプロテイナーゼ、例えばペプシン、ならびに例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、セリンプロテイナーゼおよびグリコシドヒドロラーゼからなる群から選択される細胞外マトリックス(ECM)酵素が含まれる。例として、コラゲナーゼ、エラスターゼおよびヒアルロニダーゼがある。
ポリリン酸塩を、哺乳動物におけるECMまたは消化管活性酵素の阻害のための薬剤の製造に使用することができる。
ポリリン酸塩の治療有効量は、0.1〜500mMであってもよく、好ましい範囲には、0.1〜200mMおよび0.1〜100mMが含まれる。
ポリリン酸塩を、例えば4〜10の範囲のpHで投与することができる。好ましい範囲には、6〜8が含まれ、より好ましい範囲は、6〜7である。
方法は、瘢痕形成の低減および/または創傷治癒の方法であってもよい。
方法は、哺乳動物におけるペプシン活性により引き起こされる胃部病変の予防、緩和または治療のためであってもよい。ポリリン酸塩の治療有効量は、例えば0.1〜500mMまたは0.1〜10mMであってもよい。投与のpHは、2〜8、2〜6および3〜5の範囲のうちの1つであってもよい。
医薬組成物は、乾燥粉末剤、ゲル剤もしくはペースト剤または液剤を含む適切な剤形のいずれかであってもよい。ポリリン酸塩は、例えば0.1〜12.0重量/容量%の量で存在することができる。組成物は、スプレー、ロール・オン、パッチ、懸濁剤、移植物、皮下デポー剤、注射、口紅/香膏型アプリケーター、縫合/縫合糸または手術用接着剤などの任意の適切な構造であってもよい。
ポリリン酸塩/トリメタリン酸塩の治療有効量を創傷部位に送達する創傷包帯は、創傷接触物質を含有する。創傷接触物質(ポリリン酸塩/トリメタリン酸塩を組み込む)は、いくつもの形態をとることができる。これらには、限定することなく、発泡体、繊維、布、膜、アルギン酸塩、ヒドロゲルおよびヒドロコロイドが含まれる。
発泡体は、一般に多孔性高分子構造、好ましくは開放気泡構造を意味する。適切な発泡体には、ポリウレタン、カルボキシル化ブタジエンスチレンゴム、ポリエステル、ポリアクリレートなどの合成有機ポリマー、ならびに多糖類およびそれらの誘導体などの非合成/半合成ポリマーが含まれる。一般に、発泡体は親水性であることが望ましいが、親水性被覆を有する疎水性発泡体を使用することができる。親水性発泡体には、イソシアネート、ポリエーテル/ポリエステルポリオールと、水、触媒、安定剤および他の物質とから形成される多孔性ポリウレタン発泡体が含まれる。
布は、合成繊維、天然繊維またはこれらの組み合わせなどの繊維から形成されうる。合成繊維には、例えば、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアラミド、ポリウレタン、再生セルロースおよびこれらのブレンドが含まれる。より詳細には、ポリエステルには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリフェニレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸およびこれらの組み合わせが含まれる。ポリアミドには、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6およびこれらの組み合わせが含まれる。ポリオレフィンには、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびこれらの組み合わせが含まれる。ポリアラミドには、例えば、ポリ−p−フェニレンテラフタルアミド(すなわち、Kevlar(登録商標))、ポリ−m−フェニレンテラフタルアミド(すなわち、Nomex(登録商標))およびこれらの組み合わせが含まれる。天然繊維には、例えば、羊毛、綿、亜麻およびこれらのブレンドが含まれる。布は、織布、編物、不織布またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない任意の種類であってもよい。
膜は、熱可塑性物質、熱硬化性物質またはこれらの組み合わせであってもよい。熱可塑性または熱硬化性物質には、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、シリコーン、メラミン化合物、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ニトリルゴム、イオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、クロロイソプレンまたはこれらの組み合わせが含まれうる。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチルビニルアセテート、エチルメチルアセテートまたはこれらの組み合わせであってもよい。ポリエチレンには、低密度または高密度ポリエチレンが含まれうる。膜は、約1〜約500ミクロン、より好ましくは約1〜約250ミクロン、さらにより好ましくは約1〜約100ミクロンの厚さを有することができる。
アルギン酸塩は、多くの褐海藻に広く存在する天然の多糖である。アルギン酸ナトリウムは、大部分の多価カチオンとの接触によりゲルを形成する能力について良く知られている。アルギン酸塩水溶液を、多価カチオン(例えば、カルシウム)を含有する凝固浴の中に押し出すかまたは紡糸して、アルギン酸塩溶液を架橋またはゲル化することによって、アルギン酸塩からアルギン酸繊維を形成することができる。次にアルギン酸繊維を通常加工し、創傷ケア包帯に組み込む。
ヒドロゲルは、一般に、小型分子および水溶液を封入する凝集マトリックスを形成する高分子量の分子から構成される。ヒドロゲルは、水と三次元網状構造ポリマーの2成分系と説明することができる。ヒドロゲルの例には、デンプン、ペクチン、ゼラチン、他の天然ガムおよびポリエチレンオキシドなどの不溶性架橋ポリマーが挙げられる。
ヒドロコロイドは、一般に多くのヒドロキシル基を含有し、高分子電解質でありうる、植物、動物、微生物または合成由来の親水性ポリマーである。ヒドロコロイドは天然に存在するか、または増粘およびゲル化が含まれる粘度および水結合性などの物質の機能性を制御するために添加される。ヒドロコロイドは、創傷滲出液をその重量の数倍吸収する能力があるので、創傷ケア用具として有利に使用される。ヒドロコロイドの例には、カーボワックス、ビニルポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリ酢酸ビニル)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース)、ならびに天然ガム(例えば、グアー、アカシアおよびペクチン)が挙げられる。
アゾコール用量反応アッセイ
アゾコールは、ウシ皮膚から得られる市販のアゾ染料標識I型コラーゲン基質である。特定の酵素の存在下では、レッドアゾ染料は、コラーゲンから遊離し、得られた色変化を測定し、コラーゲン分解活性と相関させることができる。アゾコールアッセイを使用して、アゾ標識コラーゲン基質に対するペプシン、コラゲナーゼ、ヘビ毒メタロプロテアーゼ、ヒト胃液およびヒト慢性創傷液の作用へのポリリン酸塩の阻害効果を決定した。
方法
0〜122mg/mlの提案した阻害剤を含有する一連の試験溶液を調製した。次に100μlのこの試験溶液を、100μlの関連する酵素溶液とボルテックスミキサーにより十分に混合した後、1000μlの緩衝アゾコール溶液を添加し混合した。次に阻害剤:酵素:アゾコール試料を、温水浴中37℃で3時間インキュベートし、このインキュベーション時間の間に30分毎で反転させた。次に試料をインキュベーターから取り出し、氷水の中に入れて冷却し、4000rpmで5分間遠心分離した(Fisher Scientific、accuSpin Model 400 Benchtop Centrifuge)。上澄みの吸光度を、脱イオン水をブランク液として使用して、540nmで測定した(Labsystems Multiskan Ascent 354、ThermoFisher Scientific、Horsham、West Sussex、UK)。酵素活性の阻害率は、阻害剤を含有する試験試料と0μg/mlの阻害剤を含有する試料の吸光強度を比較することにより、下記の方程式に従って計算した:
トリクロロ酢酸(TCA)沈殿アッセイ
TCAアッセイは、M.L.Anson(1938).J General Physiol、22、79〜89に記載された方法に基づいている。基質であるウシヘモグロビンはペプシンにより消化される。次に残った未消化のヘモグロビンをTCAで沈殿させて、消化ヘモグロビンの生成物のみを含有する上澄みを生じる。上澄みにおけるヘモグロビン分解生成物の濃度を、分光光度的に測定し、プロテイナーゼ活性の指標を提示する。TCA沈殿アッセイを使用して、ヘモグロビンに対するペプシンの作用へのポリリン酸塩およびトリメタリン酸塩の阻害効果を決定した。
方法
0〜306mg/mlの提案した阻害剤を含有する一連の試験溶液を調製した。次に100μlのこの試験溶液を100μlペプシン溶液とボルテックスミキサーにより十分に混合した後、1500μlの緩衝ウシヘモグロビン溶液を添加し混合した。次に阻害剤:酵素:ヘモグロビン試料を、温水浴中37℃で30分間インキュベートした。次に試料をインキュベーターから取り出し、2.0mlのTCA溶液と混合し、氷水中に30分間放置した。次に試料を4000rpmで5分間遠心分離した(Fisher Scientific、accuSpin Model 400 Benchtop Centrifuge)。上澄みの吸光度を、脱イオン水をブランク液として使用して、280nmで測定した(Labsystems Multiskan Ascent 354、ThermoFisher Scientific、Horsham、West Sussex、UK)。ペプシン活性の阻害率は、阻害剤を含有する試験試料と0μg/mlの阻害剤を含有する試料の吸光強度を比較することにより、下記の方程式に従って計算した:
エラスチンコンゴレッドアッセイ
エラスチンコンゴレッドは、発色団のコンゴレッドに含浸されている市販のエラスチン基質である。エラスターゼの存在下では、コンゴレッド染料は、エラスチンから遊離し、得られた色変化を測定し、エラスチン分解活性と相関させることができる。エラスチンコンゴレッドアッセイを使用して、エラスチンコンゴレッド基質に対するエラスターゼへのポリリン酸塩およびトリメタリン酸塩の阻害効果を決定した。
方法
0〜306mg/mlの提案した阻害剤を含有する一連の試験溶液を調製した。次に100μlのこの試験溶液を100μlのエラスターゼ溶液とボルテックスミキサーで十分に混合した。次に1000μlの緩衝エラスチンコンゴレッド溶液を添加し混合した。次に、阻害剤:酵素:エラスチンコンゴレッド試料を温水浴中37℃で一晩インキュベートした。次に試料を温水浴から取り出し、氷水の中に30分間入れて冷却した後、13000rpmで5分間遠心分離(Fisher Scientific、accuSpin Model 400 Benchtop Centrifuge)した。上澄みの吸光度を、脱イオン水をブランク液として使用して、540nmで測定した(Labsystems Multiskan Ascent 354、ThermoFisher Scientific、Horsham、West Sussex、UK)。エラスターゼ活性の阻害率は、阻害剤を含有する試験試料と0μg/mlの阻害剤を含有する試料の吸光強度を比較することにより、下記の方程式に従って計算した:
ヒアルロニダーゼ用量反応アッセイ
ヒアルロニダーゼ活性アッセイは、BonnerおよびCantey(Clin.Chim.Acta、13(1966)746〜752)ならびにReissigら、J.Biol.Chem.、217(1955)959〜966の方法に基づいている。このアッセイは、ヒアルロン酸ナトリウムがヒアルロニダーゼの存在下で分解して、N−アセチルグルコサミン(NAG)末端基を有する糖類になることを利用したものである。次にNAGをアルカリ四ホウ酸塩と共に加熱して定量して、中間体を形成し、それをp−ジメチルアミノベンズアルデヒドと酸性媒質中で反応させて、着色生成物を形成することができる。色変化を測定し、ヒアルロニダーゼの活性と相関させることができる。ヒアルロニダーゼアッセイを使用して、ヒアルロン酸ナトリウム基質に対するヒアルロニダーゼの活性へのポリリン酸塩の阻害効果を決定した。
0〜61.2mg/mlの提案した阻害剤を含有する一連の試験溶液を調製した。次に、100μlのこの試験溶液を100μlの1mg/mlヒアルロニダーゼとボルテックスミキサーを使用して十分に混合した後、200μlの4mg/ml緩衝ヒアルロン酸ナトリウム溶液を添加した。次に、ポリマー:ヒアルロニダーゼ:HA試験試料を、ボルテックスミキサーを使用して十分に混合し、37℃で4時間インキュベートした。その後、80℃で5分間加熱することにより反応を停止させた。インキュベーションの後、60μlの四ホウ酸カリウム(0.8M)を添加し、試料を再び80℃で5分間インキュベートし、続いて氷で5分間冷却した。冷却した後、2.0mlのDMAB溶液を添加し、色を37℃で20分間発色させた。次に試料をインキュベーターから取り出し、1500rpm(1854×g)で10分間遠心分離した(Fisher Scientific、accuSpin Model 400 Benchtop Centrifug)。上澄みの吸光度を、脱イオン水をブランク液として使用して、540nmで測定した。ヒアルロニダーゼ活性の阻害率は、阻害剤を含有する試験試料と0μg/mlの阻害剤を含有する試料の吸光強度を比較することにより、以下の方程式に従って計算した:
リゾチーム用量反応アッセイ
リゾチーム用量反応アッセイは、リゾチームの存在下、Micrococcus lysodeikticusの細胞懸濁液の光学濃度が減少するという知見に基づいている。光学濃度のこの減少速度を測定し、リゾチーム活性と相関させることができる。リゾチームアッセイを使用して、Micrococcus lysodeikticusの細胞懸濁基質に対するリゾチームの作用へのポリリン酸ナトリウム(68%のP)の阻害効果を決定した。
方法
2.5mlのMicrococcus lysodeikticus細胞懸濁液をキュベット(kartell使い捨てセミミクロPMMA、UV等級、パス長10mm、容量1.5ml、範囲280〜800nm、ThermoFisher Scientific Horsham、West Sussex、UK)に添加し、25℃に維持したサーモスタット制御UV分光光度計に設置した。次に、0〜61.2mg/mlの提案した阻害剤を含有する100μlの試験溶液をキュベットに添加し、反転により十分に混合した。次に、阻害剤:基質試料を室温で1時間インキュベートした後、100μlのリゾチーム溶液を添加し反転により混合した。阻害剤:基質:リゾチーム試験試料の吸光度を、450nmで3秒間の間隔で5分間測定した(Unicam UV 500、Thermo−Spectronic、Cambridge、UK)。緩衝液をブランク液として使用した。
リゾチーム活性の阻害は、阻害剤を含有する試験試料と0μg/mlの阻害剤を含有する試料の、5分間での光学濃度の低下の最大直線勾配を比較することにより計算した。阻害率は、下記の方程式に従って計算した:
キモトリプシン用量反応アッセイ
キモトリプシン用量反応アッセイは、キモトルプシンの存在下、基質のNa−ベンゾイル−L−チロシンエチルエステル(BTEE)が分解して、Na−ベンゾイル−L−チロシン+エタノールになるという知見に基づいている。この変換は、253nmでの吸光度の増加により分光光度的に測定することができる。次に、吸光度の変化速度を測定し、キモトリプシン活性と相関させることができる。キモトリプシンアッセイを使用して、BTEE基質に対するキモトリプシンの作用へのポリリン酸ナトリウム(68%のP)の阻害効果を決定した。
方法
0〜61.2mg/mlの提案した阻害剤を含有する1.28mlの試験溶液を石英キュベットに添加し、25℃に維持したサーモスタット制御UV分光光度計に設置した。1.26mlのBTEE溶液および0.07mlの塩化カルシウム溶液もキュベットに添加し、反転により混合し、253nmでの吸光度が一定になるまで平衡にした。次に、0.09mlのキモトリプシン溶液をキュベットに添加し、反転により直ぐに混合した。阻害剤:基質:キモトリプシン試験試料の吸光度を、253nmで3秒間の間隔で5分間測定した(Unicam UV 500、Thermo Spectronic、Cambridge、UK)。緩衝液をブランク液として使用した。
キモトリプシン活性の阻害は、阻害剤を含有する試験試料と0μg/mlの阻害剤を含有する試料の、5分間の253nmでの吸光度の増加の最大直線勾配を比較することにより計算した。阻害率は、下記の方程式に従って計算した:
結果
以下の考察は、添付の図面を参照して行う。
異なるpHでのポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるペプシンの阻害。pH2では、平均n=2。pH4および6では、平均n=3。エラーバーは、明確にするために省略した。 pH4でのポリマー鎖長さ(Pの含有率で定義)の異なるポリリン酸ナトリウムによるペプシンの阻害。平均n=1。 pH4でのポリリン酸カリウム(60%のP含有量)によるペプシンの阻害。平均n=1。 pH2でのトリメタリン酸ナトリウムによるペプシンの阻害。平均n=1。 異なるpHでのポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるコラゲナーゼの阻害。平均n=2。エラーバーは、明確にするために省略した。 pH7でのポリマー鎖長さ(Pの含有率で定義)の異なるポリリン酸ナトリウムによるコラゲナーゼの阻害。平均n=1。 pH7でのポリリン酸カリウム(60%のP含有量)によるコラゲナーゼの阻害。平均n=1。 異なるpHでのポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるヒアルロニダーゼの阻害。平均n=3±SEM。 pH4.5でのポリマー鎖長さ(Pの含有率で定義)の異なるポリリン酸ナトリウムによるヒアルロニダーゼの阻害。平均n=1。 pH7でのポリリン酸カリウム(60%のP含有量)によるヒアルロニダーゼの阻害。平均n=1。 異なるpHでのポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるエラスターゼの阻害。平均n=3±SEM。 pH8でのポリマー鎖長さ(P含有率で定義)の異なるポリリン酸ナトリウムによるエラスターゼの阻害。平均(n=4)である68%のP以外は、全て平均(n=1)。 pH8でのポリリン酸カリウム(60%のP含有量)によるエラスターゼの阻害。平均n=1。 pH8でのトリメタリン酸ナトリウムによるエラスターゼの阻害。平均(n=2)±SEM。 pH4でのポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるヒト胃液のタンパク質分解活性の阻害。平均n=1。 pH7.2でのポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるヘビ毒メタロプロテイナーゼの阻害。平均n=1。 pH7のポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるリゾチームの阻害。平均n=1。 pH7.8のポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるキモトリプシンの阻害。平均n=1。 pH7でのポリリン酸ナトリウム(68%のP)によるヒト慢性創傷のタンパク質分解活性の阻害。平均n=4±SEM。
1.ペプシンの阻害
図1は、ポリリン酸ナトリウム(68%のP含有量)が濃度依存的にペプシンのタンパク質分解活性を阻害したことを示す。阻害は、広範囲の濃度のポリリン酸塩で生じた。阻害は、pH依存的でもあり、pH4で最大であることが見出された。pH4では、90%を超える阻害レベルが、4.59mg/mlを超える濃度のポリリン酸塩で達成された。
図2は、ポリリン酸ナトリウムのポリマー鎖長さ(Pの含有量で表される)により、阻害能力が異なることを示す。P含有量が大きいポリリン酸ナトリウムほど、より効果的なペプシンの阻害剤であった。
図3は、ポリリン酸塩を使用するペプシンの濃度依存的阻害が、アルカリ金属対イオンの選択により影響を受けなかったことを示す。ポリリン酸カリウムは、ポリリン酸ナトリウムで観察されたものと同じ程度でペプシンを阻害した。
図4は、トリメタリン酸ナトリウムが、広範囲の濃度でペプシンを阻害することもできるが、最大濃度での能力および阻害程度は、ポリリン酸塩で観察されたもの程大きくなかったことを示す。
2.コラゲナーゼの阻害
図5は、ポリリン酸ナトリウム(68%のP含有量)が濃度依存的にコラゲナーゼのタンパク質分解活性を阻害したことを示す。阻害は、広範囲の濃度のポリリン酸塩で生じた。阻害は、pH依存的でもあり、pH7で最大であることが見出された。pH7では、70%を超える阻害レベルが、より高い濃度のポリリン酸塩で達成された。
図6は、ポリリン酸ナトリウムのポリマー鎖長さ(P含有量で表される)により、阻害能力が異なることを示す。Pの含有量が大きいポリリン酸ナトリウムほど、より効果的なコラゲナーゼの阻害剤であった。
図7は、ポリリン酸塩を使用するコラゲナーゼの濃度依存的阻害が、アルカリ金属対イオンの選択により比較的影響を受けなかったことを示す。ポリリン酸カリウムは、ポリリン酸ナトリウムで観察されたものと同じ程度でコラゲナーゼを阻害した。
3.ヒアルロニダーゼの阻害
図8は、ポリリン酸ナトリウム(68%のP含有量)が濃度依存的にヒアルロニダーゼの消化活性を阻害したことを示す。阻害は、広範囲の濃度のポリリン酸塩で生じた。阻害は、pH依存的でもあり、pH4.5で最大であることが見出された。pH4.5では、90%を超える阻害レベルが、0.612mg/mlを超える濃度のポリリン酸塩で達成された。
図9は、ポリリン酸ナトリウムのポリマー鎖長さ(Pの含有量で表される)により、阻害能力が異なることを示す。P含有量が大きいポリリン酸ナトリウムほど、より効果的なヒアルロニダーゼの阻害剤であった。
図10は、ポリリン酸塩を使用するヒアルロニダーゼの濃度依存的阻害が、アルカリ金属対イオンの選択により影響を受けなかったことを示す。ポリリン酸カリウムは、ポリリン酸ナトリウムで観察されたものと同じ程度でヒアルロニダーゼを阻害した。
4.エラスターゼの阻害
図11は、ポリリン酸ナトリウム(68%のP含有量)が濃度依存的にエラスターゼの消化活性を阻害したことを示す。阻害は、広範囲の濃度のポリリン酸塩で生じた。高濃度のポリリン酸塩では、90%を超える阻害レベルが達成された。
図12は、ポリリン酸ナトリウムのポリマー鎖長さ(Pの含有量で表される)により、阻害能力が異なることを示す。60〜68%のP含有量を有するポリリン酸ナトリウムは、同様のレベルの阻害を与えたが、70%のPを含有するポリリン酸ナトリウムは、高濃度でエラスターゼ活性を100%阻害することができた。
図13は、ポリリン酸塩を使用するエラスターゼの濃度依存的阻害が、アルカリ金属対イオンの選択により悪影響を受けなかったことを示す。ポリリン酸カリウムは、ポリリン酸ナトリウムで観察されたものよりも僅かに優れた程度でエラスターゼを阻害した。
図14は、トリメタリン酸ナトリウムが、広範囲の濃度でエラスターゼを阻害することもできるが、最大濃度での阻害程度は、ポリリン酸塩で観察されたもの程大きくなかったことを示す。
5.他の酵素および酵素を含有するヒト体液の阻害
ポリリン酸ナトリウム(68%のP)は、前述のものと同じ部類の他の酵素を阻害することも示した。
図15は、ポリリン酸塩が、ヒト胃液のタンパク質分解活性を濃度依存的に阻害したことを示す。6.12mg/mlを超える濃度のポリリン酸塩では、ヒト胃液のタンパク質分解活性のほぼ100%が阻害された。ヒト胃液は、ペプシン1、3a、3b、3cおよびガストリシンを含むアスパラギン酸プロテアーゼの混合物を含有する。ヒト胃液の活性の阻害は、ポリリン酸塩がペプシンに加えて他のアスパラギン酸プロテアーゼを阻害できることを示す。
図16は、ポリリン酸塩が、ヘビ毒メタロプロテイナーゼを濃度依存的に阻害できることを示す。これは、コラゲナーゼに加えて、ポリリン酸塩は他のマトリックスメタロプロテイナーゼを阻害できることを示す。
図17は、ポリリン酸塩がリゾチームの消化活性を濃度依存的に阻害できることを示す。これは、ヒアルロニダーゼに加えて、ポリリン酸塩がグリコシドヒドロラーゼの部類の他の酵素を阻害できることを示す。
図18は、ポリリン酸塩がα−キモトリプシンの消化活性を濃度依存的に阻害できることを示す。これは、エラスターゼに加えて、ポリリン酸塩がセリンプロテアーゼの部類の他の酵素を阻害できることを示す。
最後に、図19は、ポリリン酸塩がヒト慢性創傷から抽出された液体のタンパク質分解活性を濃度依存的に阻害できることを示す。

Claims (14)

  1. 慢性創傷治癒を促進するための、少なくとも3リン酸塩単位を有する非結合ポリリン酸塩の使用。
  2. ポリリン酸塩が、創傷治癒を防止または遅延することに寄与する少なくとも1つの酵素の作用を阻害する、請求項1に記載の使用。
  3. 酵素が、ペプシン、コラゲナーゼ、エラスターゼおよびヒアルロニダーゼの1つまたは複数である、請求項2に記載の使用。
  4. ポリリン酸塩が平均4〜40のリン酸塩単位を有する、請求項1から3のいずれかに記載の使用。
  5. ポリリン酸塩が、少なくとも55重量%のP含有量を有する、請求項1から3のいずれかに記載の使用。
  6. ポリリン酸塩が、少なくとも60重量%のP含有量を有する、請求項5に記載の使用。
  7. ポリリン酸塩が、60〜75重量%のP含有量を有する、請求項6に記載の使用。
  8. ポリリン酸塩が、65〜70重量%のP含有量を有する、請求項7に記載の使用。
  9. ポリリン酸塩がアルカリ金属塩である、請求項1から8のいずれかに記載の使用。
  10. ポリリン酸塩が、ナトリウム塩もしくはカリウム塩またはこれらの混合物である、請求項9に記載の使用。
  11. 慢性創傷治癒を促進する方法であって、少なくとも3リン酸塩単位を有するポリリン酸塩の治療有効量を投与することを含む方法。
  12. ポリリン酸塩の量が、1日投与量として300mg〜24,000mgである、請求項11に記載の方法。
  13. ポリリン酸塩が6〜8のpHで投与される、請求項11または請求項12に記載の方法。
  14. 少なくとも3リン酸塩単位を有するポリリン酸塩の治療有効量を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合して含む、医薬組成物。
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