JP2011511769A - 大網及びその用途 - Google Patents

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Abstract

本発明の一実施形態は、認知症に関連する症状及び/又は容態を改善するための、哺乳動物の大網とそれを用いる方法とを提供する。さらに、大網組織及び/又はその抽出物を含む組成物について提示している。本発明の他の実施形態は、その組成物の製剤化方法及び投与方法を提供する。さらに、大網の培養細胞及び/又は組織の培養細胞法について提示している。実施形態の一態様は、大網組織から1つ又はそれ以上の生物学的因子を同定する方法を提供する。実施形態の他の態様は、認知症の容態の改善において、大網の刺激の効果を試験する方法を提示している。

Description

本開示は認知症に関連する症状及び/又は容態を改善するための大網と、大網組織及び/又は大網組織の抽出物の用途とに関する。本開示の一実施形態の態様において、大網組織又はその抽出物から1又はそれ以上の生物学的因子を同定する方法を提供する。
一般に、認知症とは認知機能の低下に関連する症状及び/又は容態の群をいう。認知症により影響を受ける認知の領域は、記憶、注意、言語、問題解決及び感情が含まれるが、これらに限らない。一般に、認知症は少なくとも部分的に脳の機能障害が起こっていると考えられ、この病気のメカニズムを明らかにして、治療する手段を開発するために広範な研究が行われてきた。
一般に、大網は種々の構造を取り囲んでいる腹膜の一部に当たる。最近の30年間又はそれ以上の間において、大網を脳に移す外科手術は、いくつかの症例における認知症の容態の顕著な改善を示している。しかしながら、このような外科的アプローチは、実質的に侵襲的であり、患者に不要な合併症を引き起こさせる。
ここで開示するのは、水性又は有機性である大網組織の抽出物を得ることと、抽出物を2つ又はそれ以上の分画に分離することと、分画のそれぞれの活性に対して、認知症を治療する能力を示すかどうかの試験をすることと、分画のうち認知症を治療する能力を示す少なくとも1つを選択することと、認知症を治療する能力を示す少なくとも1つの分画から認知症を治療するための1つ又はそれ以上の生物学的因子を同定することとを備えている認知症を治療するための生物学的因子を同定する方法である。該方法において、生物学的因子は、神経栄養因子であってもよい。その方法において、分画のそれぞれの活性に対して、認知症を治療する能力を示すかどうかの試験は、インビボ又はインビトロで行われてもよい。
本開示の一態様は、哺乳動物から得られた大網細胞及び/又は大網組織を準備することと、細胞培養法により哺乳動物の大網細胞及び/又は大網組織を培養することとを備えている哺乳動物の体外において哺乳動物の大網細胞及び/又は大網組織を培養する方法を提供する。
本開示の他の態様は、大網組織又は水性若しくは有機性である大網組織の抽出物と、薬剤に適応できる水、油、アルブミン、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤及び結合剤からなる群から選択される少なくとも1つのキャリアとを備えている組成物を提供する。該組成物において、大網組織又は大網組織の抽出物は、哺乳動物から得られる、又は哺乳動物の大網細胞の培養により得られてもよい。その組成物は、標的とする病気に認知症を含んでもよい。その組成物は、経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用により哺乳動物に投与されてもよい。
本開示の他の態様は、大網組織又は水性若しくは有機性である大網組織の抽出物を準備することと、大網組織又は大網組織の抽出物と薬剤に適応できる水、油、アルブミン、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤及び結合剤からなる群から選択される少なくとも1つのキャリアとを混合することと、大網組織又は大網組織の抽出物と薬剤に適応できる少なくとも1つのキャリアとの混合物を、経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用に適する型にすることとを備えている組成物の製剤化方法を提供する。
さらに、本開示の他の態様は、哺乳動物にその組成物を投与することを含む認知症の治療方法を提供し、ここで、該組成物は、大網組織又は水性若しくは有機性である大網組織の抽出物を備えていてもよい。この認知症の治療方法において、経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用によりその組成物を哺乳動物に投与してもよい。
本開示の他の態様は、哺乳動物に対して大網又はその近傍に刺激物質を投与することを含む認知症の治療方法を提供する。一例として、刺激物質は1%リドカインであってもよい。
本開示の他の態様は、哺乳動物に大網刺激装置を埋め込むことを含む認知症の治療方法を提供する。一実施例において、大網刺激装置は大網又はその近傍に埋め込まれてもよい。他の実施例において、大網刺激装置は、皮下組織、硬膜下の脊髄組織、硬膜下の頭蓋組織又はこれらのうちの複数に大網組織及び/又は水性若しくは有機性である大網組織の抽出物を運ぶように形成されていてもよい。
本開示のさらなる他の態様は、第1の処理として大網を刺激することと、任意的に第2の処理として大網以外の組織を刺激することと、第1の処理及び任意的な第2の処理の後の認知症に関連する1つ又はそれ以上の症状及び/又は容態を評価することとを備えている認知症の治療における大網の刺激の効果を試験する方法を提供する。該方法において、認知症に関連する1つ又はそれ以上の症状及び/又は容態は、行動性のアプローチ、神経学的なアプローチ、神経心理学的なアプローチ、病理学的なアプローチ又はこれらの組み合わせにより評価されてもよい。方法の一実施例において、第1の処理の大網の刺激において、大網又はその近傍に胃瘻管を適応してもよい。その方法の他の実施例において、第2の処理における刺激装置は、内視鏡の管であり、該内視鏡は口から入れられてもよい。
本開示は、一般に、認知症に関連する症状及び/又は容態を改善するための大網と、大網組織及び/又は大網組織の抽出物を用いる方法とに関する。一実施形態は、大網組織又はその抽出物から生物学的因子を同定する方法を提供する。
一般に、大網は体内の種々の器官を取り囲んでいる腹膜の一部に当たる。大網に取り囲まれている器官の例は、肝臓、胃、小腸及び大腸である。大網は、通常、細胞性及び非細胞性の組織を含む薄い層を備える。このような細胞性及び非細胞性の組織は、脂肪組織、結合組織、並びに折り畳まれた層同士の間及び/又は大網と体内の器官との間を満たす体液が含まれるが、これらに限られない。大網は、大網が神経組織及び血管組織のための導管として働くために、神経及び/又は血管とリンパ管とを含んでいる場合が多い。
本開示の少なくとも一部は、発明者の経験による複数の観察結果に基づく。消化器の専門家として、発明者は種々の外科的方法により患者の腹部に胃瘻管を適応することが度々必要となる。認知症に関する症状を有する患者がその手術を受けた際のある場合において、発明者は、その手術後の少なくとも24時間又はそれ以上の間に、その症状の顕著な改善があったことを確認した。
これにより、発明者は大網への刺激が認知症に関する症状及び/又は容態を改善できるという仮説を立てた。さらに、大網への刺激は、認知症に関する容態を改善できる1つ又はそれ以上の生物学的因子の生成及び/又は分泌を誘導できるため、前記のような改善は少なくとも部分的に起こり得る。
一実施形態は、認知症の症状及び/又は容態の改善における大網刺激の効果を試験する方法を提供する。一実施例において、その方法は、第1の処理において大網を刺激することと、第2の処理において大網以外の組織を刺激することと、第1の処理と第2の処理との間における認知症に関する1つ又はそれ以上の症状及び/又は容態の差違を評価することとを備えていてもよい。
他の実施例において、その方法は、第1の処理において大網を刺激することと、該刺激の前と後とにおける1つ又はそれ以上の症状及び/又は容態を評価及び比較することとを備えていてもよい。
これらの特定の実施例において、対象は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ブタ、マウス、ラット及びウサギを含む種々の哺乳動物であってもよい。
大網刺激は、種々のアプローチにおいて行われる。例えば、大網を刺激するために、1%リドカインのような刺激物質を大網又は大網の近傍に注入できる。また、大網を機械的に、電気的に及び/又は化学的に刺激するために形成された刺激装置は、大網又は大網の近傍に埋め込まれる。機械的刺激は、例えば、大網の振動、大網の吸引、大網の切開及びこれらの組み合わせであってもよい。電気的刺激は、例えば、大網又は大網の近傍に約0.1〜約100Vの電気ショックを約数ミリ秒〜約数分間与えることであってもよい。化学的刺激は、例えば、大網又は大網の近傍に1%リドカインのような刺激物質を与えることであってもよい。
一実施例において、第1の処理として胃瘻管を大網又はその近傍に適応してもよい。所望ならば第2の処理において、腹部の切開をすることなく口を介して内視鏡を適応してもよい。
前記の実施形態の種々の態様において、認知症に関する症状及び/又は容態は、行動性のアプローチ、神経学的なアプローチ、神経心理学的なアプローチ、病理学的なアプローチ又はこれらの組み合わせにより、少なくとも部分的に評価される。このような評価の方法論の例は、Goldsmith等(2003)及びShankle等(2008)を含む参考文献に記載されている。行動性のアプローチ及び/又は神経学的なアプローチによる評価の例は、入浴、排泄、更衣動作、食事、身支度、歩行、電話をすること、家事及びお金を使うこと等のような日常生活の活動の容易度及び型を評価することである。神経心理学的なアプローチによる評価の例は、理解の深さ、色の伝播、顔の認識、気分の調節及び対連合学習等を観察することを含むがこれらに限られない。病理学的なアプローチによる評価の例は、脳のコンピュータ断層撮影(CT)、脳の剖検及び脳の単一光子放射断層撮影(SPECT)等を含むがこれらに限られない。
前記の種々の実施例は、実施形態の詳細な説明のために記載されたものであり、本開示の範囲を逸脱することなく前記の実施例に対して種々の改変及び/又は置換を行うことができることは当業者には明白である。従って、前記の実施例、及び認知症の治療のための大網の刺激の影響を試験することを目的とする分野において、用いることができるその他の方法の改変又は置換は、本開示の範囲から除かれない。
大網の刺激により誘導される生物学的因子は、認知症の進行の防止又は遅延のために、脳の細胞に作用できる薬剤を含んでもよい。また、生物学的因子は、認知症を改善する他の生物学的因子の生成及び/又は分泌を誘導するために、種々の組織に作用してもよい。そのような組織は、例えば、大網、脳、脳下垂体、視床下部、甲状腺、副甲状腺、副腎、松果体、胸腺、膵臓及び生殖腺を含むがこれらに限られない。
ある実施形態において、大網の刺激により誘導される生物学的因子は、1つ又はそれ以上のニューロトロフィンを含んでもよい。一般に、ニューロトロフィンは、神経細胞の生存、発生、成長及び/又は機能化を誘導できるタンパク質又は修飾タンパク質の多数の群のうちの1つである。刺激を受けると、大網は1つ又はそれ以上のニューロトロフィンの生成及び/又は分泌を誘導できる。また、大網の刺激は、大網又は、脳、脳下垂体、視床下部、甲状腺、副甲状腺、副腎、松果体、胸腺、膵臓及び生殖腺のような他の組織からのニューロトロフィンの生成及び/又は分泌を誘導できる生物学的因子の生成及び/又は分泌を誘導できる。
本開示の一態様は、そのような大網の刺激により誘導される1つ又はそれ以上の生物学的因子の同定方法を提供する。生物学的因子は、核酸、タンパク質、糖、脂質、イオン、金属又はこれらの組み合わせ(例えば、DNA、RNA、マイクロRNA、リボサイム、糖タンパク質、脂質結合タンパク質、及び金属又はイオンと結合しているタンパク質等)のような哺乳動物の中にある化合物であってもよい。
組織からの生物学的因子を同定及び/又は単離するための、この分野において利用可能な種々の方法がある。生物学的因子を同定及び/又は単離するための多数の生化学的及び/又は物理的方法には、クロマトグラフィ、電気泳動、遠心分離、免疫沈降及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。また、質量分析、種々の型のガス及び/又は液体クロマトグラフィ並びに核酸又はタンパク質配列解析等のような種々の分析法も当業者に知られている。それぞれの方法の本来の特徴及び利点は、この分野において明らかであり、本開示の範囲を逸脱することなく大網からの生物学的因子を同定するために利用可能な方法を使用又は改変することは、当業者には可能である。従って、大網組織からの生物学的因子を同定することを目的とする方法、その方法を改変及び/又は置換した方法並びにそのいくつかの方法の組み合わせのうちから特定の方法を選択することは、本開示の範囲に含まれるとみなされる。
大網からの生物学的因子を同定する方法の1つの実施例は、水性又は有機性である大網組織の抽出物を得ることと、該抽出物を2つ又はそれ以上の分画に分離することと、認知症を治療する能力を示す少なくとも1つの分画を選択することと、分画のそれぞれの活性に対して、認知症を治療する能力を示すかどうかの試験をすることと、認知症を治療する能力を示す少なくとも1つの分画から認知症の治療のための1つ又はそれ以上の生物学的因子を同定することとを備えていてもよい。
一般に、本開示において、大網組織とは、大網を含んでいる組織をいう。大網を哺乳動物から得る場合、一般に、大網は薄い層を含むため、周囲の大網ではない組織が同時に得られる可能性がある。このような大網ではない組織は、結合組織、細胞性又は非細胞性組織、体液、及び大網の近傍にある内部構造の少なくとも一部であってもよい。実施形態において、生物学的因子の同定のために得られ、分析される大網組織は、大網と大網でない組織とを含んでもよい。実施形態において、生物学的因子を同定のために得られ、分析される組織は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の大網と、約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、40%、30%、20%、10%又は0%の大網でない組織とをそれぞれ備えてもよい。
少なくともある実施形態において、哺乳動物は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ブタ、マウス、ラット及びウサギを含む哺乳動物の種であってもよい。
ある実施形態において、抽出物とは、一般に、特定の組織から抽出された物質の一部又は全部をいう。その抽出物は、本実施形態においては、大網組織に当たる大網を含んでいる組織から抽出されてもよい。
大網は腹部の多くの領域を覆っているため、大網組織は多くの異なる腹部の領域から得られる。例えば、大網組織は、小腸の近くの腹部の領域から得られる。また、大網組織は、胃の近くの腹部の領域からも得られる。ある実施形態において、大網組織は、腹部の領域のうちの1つよりも多くの領域から得られる。
大網組織は、本技術分野において用いることができる種々の方法により得られる。一実施形態において、外科的方法を行う医師又は技師は、腹壁を開いて、大網を露出できる。大網を露出させると、大網ではない組織を含む又は含まない大網の少なくとも一部は、切開により分離される。また、医師又は技師は、大網の少なくとも一部を含む組織を収集するために構成された手段を哺乳動物に挿入してもよい。例えば、その手段は、組織を切開し、その組織の少なくとも一部を吸引できる手段であり、最小限の侵襲的方法により哺乳動物の腹壁に挿入される。このような手段は、大網ではない組織を含む又は含まない大網を含む組織を収集してもよい。
哺乳動物から大網組織を得る方法として前記2つの実施例を説明したが、それらが本開示の範囲を逸脱することなく、その少なくとも一部における種々の改変及び/又は置換ができることは、当業者に明らかである。さらに、哺乳動物から大網を含む組織を得ることを目的とする本分野において知られた他の方法論も、本開示の範囲に含まれる。
抽出物を得るために大網組織を得る方法の実施例として、細胞培養技術を用いることもできる。大網を含む組織は、前記に説明したように哺乳動物から得られる。得られた組織は、本分野において用いることができる種々の細胞培養技術を用いて、ペトリ皿において培養される。例えば、得られた組織は、細胞及び/又は組織を分離するために、組織粉砕装置のような装置又はトリプシン処理のような生化学的方法を用いて細かく切断される。続いて、細胞及び/又は組織は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社等から購入できるDMEMのような商業的に得ることができる細胞培養培地において培養される。種々の哺乳動物細胞の培養技術は、本分野(例えば、「基礎細胞培養プロトコール」C.Helgason及びC.Miller,Humana Press,2004を参照。)において得られ、本開示の範囲に限ることなく適応できる。
実施形態のある態様において、大網組織は、哺乳動物又は培養細胞系から得られ、このように得られた組織は、抽出物を得るために処理されてもよい。抽出物を得るための方法の一例は、大網組織をホモジナイズし、ホモジナイズした組織から少なくとも数種の物質を抽出することである。ホモジナイズは、一般に、細胞、組織及び/又は細胞小器官(例えば、核及びミトコンドリア等)のような非細胞性の構造をばらばらに壊すことを含む工程をいう。ホモジナイズは、一般に、ホモジナイザ、ブレンダ、超音波粉砕機、機械的粉砕機並びにすり鉢及びすりこぎ等のような装置を用いることにより行われてもよい。ある場合において、その組織は、液体窒素により急速に凍結させ、実質的に均質な状態にするためにすり鉢とすりこぎとにより破壊されてもよい。他の場合において、哺乳動物から得られた組織は、液体窒素による処理を行うことなくホモジナイズされてもよい。一実施例において、ホモジナイズは、その組織が実質的に均質になるまで行われてもよい。
ある実施形態の少なくともいくつかの態様において、ホモジナイズされた組織は、実質的に水性の抽出物と実質的に固体の抽出物とに分離される。このような分離は、例えば、遠心分離を含む本分野において用いることができる種々の方法により行われてもよい。ある場合において、ホモジナイズされた組織は、約1000rpm〜約15000rpmで約数秒〜約数時間遠心分離される。ある実施形態において、ホモジナイズされた組織は、約1000rpm、2000rpm、3000rpm、4000rpm、5000rpm、6000rpm、7000rpm、8000rpm、9000rpm、10000rpm、11000rpm、12000rpm、13000rpm、14000rpm又は15000rpmで約5秒、10秒、15秒、30秒、1分、2分、5分、10分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間又は5時間遠心分離されることにより分離される。ある場合において、実質的に水性の部分と実質的に固体の部分との両方は、以下に記載するように2つ又はそれ以上の分画にさらに分離されてもよい。また、実質的に水性の抽出物は、2つ又はそれ以上の分画に分離するために、さらに処理が行われてもよい。
他の場合において、少なくとも本分野において知られている液体から液体を抽出する方法を用いることにより、抽出物を得ることができる。例えば、水のような水溶液及びベンゼンのような有機性の溶液は、ホモジナイズされた又はホモジナイズされていない大網組織と混合されてもよい。大網組織は、哺乳動物又は培養細胞系から得られる。組織に含まれる特定の化合物は、その溶解度に従って、水層又はベンゼン層のどちらかに置換される。水相における相対的に水性の抽出物とベンゼン層における相対的に有機性の抽出物とが分離されると、それぞれの抽出物は、別々に収集される。一実施例において、それぞれの抽出物は、2つ又はそれ以上の分画に分離するためにさらなる処理が行われてもよい。他の実施例において、相対的に水性の抽出物又は相対的に有機性の抽出物のどちらか1つの抽出物のみに対して、2つ又はそれ以上の分画に分離するために、さらなる処理を行ってもよい。液体から液体を抽出する方法について、水性及び/又は有機性の抽出物を得る方法を例として説明しているが、本開示の範囲を逸脱することなくその抽出法を改変及び/又は置換した種々の方法があることは、当業者に明らかである。また、組織から抽出物を得ることを目的とし、その分野において用いることができる他の技術又は方法があり、このような方法は、本開示の範囲に含まれるとみなされる。
ある実施形態において、大網組織の抽出物が得られると、その抽出物は、2つ又はそれ以上の分画に分離されるための処理が行われてもよい。このような分離は、本分野において用いられる種々の方法により行われてもよい。一実施例として、抽出物の分離は、密度勾配遠心分離法、クロマトグラフィ法又はこれらの組み合わせにより、少なくとも部分的に行われてもよい。ある実施形態において、移動相(ガス及び/又は液体クロマトグラフィ)、親和性(アフィニティクロマトグラフィ)、大きさ(分子ふるいクロマトグラフィ)及びイオン電荷(イオン交換クロマトグラフィ)等に従って分画に分離できる種々のクロマトグラフィ技術は、遠心分離のような他の分離方法と共に適応されてもよい。
特定の実施形態は、認知症を治療する能力を示す分画のそれぞれの活性を評価することを提供する。本分野において、認知症を治療する分画の潜在的な活性を評価する試験法は複数ある。用いることができる試験法は、認知症の容態の進行が脳における神経細胞のダメージ及び/又は欠損に関連することが多いという考えに基づいている。部分的に、そのような神経細胞のダメージ及び/又は欠損は、細胞内において不適当に折り畳まれたタンパク質及び/又は凝集されたタンパク質によって引き起こされる。従って、本分野においてよく知られた試験法は、細胞死、タンパク質の凝集及び/又はこれらに関連する他の指標を評価する。
例えば、Blanchard等(2004)により提示されたような、培養神経細胞系にアミロイド前駆体タンパク質(APP)を発現させる試験法がある。APPを過剰発現させると、APPは細胞内において凝集して、細胞死を引き起こす。特定の実施例において、大網組織の抽出物の2つ又はそれ以上の分画を、APPを発現する培養神経細胞の異なる群にそれぞれ加える。その後、APPタンパク質の凝集の量及び/又は時間の経過を測定するために、それぞれ異なる分画を処理された細胞同士を観察及び比較する。また、異なる分画をそれぞれ処理された細胞の群において細胞死の割合をそれぞれ評価及び比較してもよい。ある分画を処理した特定の細胞群がAPPの凝集の減少又は細胞死の減少を示す場合、その分画に対して生物学的因子を同定するための分析を行ってもよい。
特定のタンパク質の凝集を種々の可視化技術により直接的に及び/又は間接的に観察できることは、本分野においてよく知られている。例えば、APPタンパク質の凝集は、電子顕微鏡のような顕微鏡により直接的に観察され得る。また、APPを特定の蛍光色素又は他の生体分子により標識し、蛍光色素又は生体分子を観察することによって、タンパク質の凝集の程度を間接的に観察することができる。
さらに、細胞死は、本分野において用いられる種々の方法により観察され得る。ある場合において、シグマアルドリッチ株式会社のトリパンブルーのような特定の色素が、細胞死を観察するのに用いられる。細胞膜に開口部があると、トリパンブルーは細胞内に入り込み、そのような開口部はダメージを受けている細胞又は死んでいる細胞に見られる。培養神経細胞を含むペトリ皿において、細胞死は細胞内においてAPPのような特定のタンパク質の発現により誘導される。APPの発現後の細胞のダメージ又は細胞死の少なくともいずれかは、ペトリ皿にトリパンブルー色素を加えることにより、選択的に数えられる。大網組織の抽出物の分画が他の分画と比較して細胞死を減少させている場合、この分画に対して生物学的因子を同定するためのさらなる分析が行われてもよい。
トリパンブルーを用いた細胞死及び生存率の試験をここでは実施例として記載したが、記載した方法を改変及び/又は置換した種々の方法があることは、当業者に明らかである。また、本分野において用いられる細胞死及び生存率を観察するための他の方法があることも明らかである。例えば、それらは、BrdU(5−ブロモ−2−デオキシウリジン)試験法、MTT(3−4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5,−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)試験法及び放射性物質を用いた増殖測定法等がある。従って、本分野において、細胞死及び/又は生存率を観察するために構成された他の試験法は、本開示の範囲に含まれるとみなされる。
インビトロ試験は、一般に、培養細胞及び/又は組織を用いて行われる試験、又は細胞を用いないで行われる試験をいう。培養細胞系においてタンパク質の凝集又は細胞死を観察する前記の試験法は、インビトロ試験の例である。他のインビトロ試験の例は、生きた細胞及び/又は組織を実質的に用いない生化学試験を含む。例えば、タンパク質の凝集は、試験されるタンパク質及び適当な溶液を含む試験管内において試験される。本開示に関連して用いられる実施形態において、Blanchard等(2004)に提示されたようにアミロイド前駆体タンパク質(APP)が特定の緩衝液を含む試験管に加えられる。APPタンパク質及び緩衝液を含む多数の試験管を準備し、2つ又はそれ以上の大網組織の抽出物の分画をそれぞれ試験管に加える。少なくともいくつかの分画が他の分画と比較してAPPタンパク質の凝集を減少させた場合、その分画に対してさらに生物学的因子を同定するための分析をする。試験管内におけるタンパク質の凝集の観察は、例えば、顕微鏡を用いて行われる。また、試験管内におけるタンパク質の凝集の観察は、電気泳動、免疫組織化学的試験法及び円二色性(CD)スペクトル等により行われてもよい。
他の場合において、認知症を治療するための能力を示す分画の活性試験は、インビボにおいて行われてもよい。インビボ試験は、一般に、部分的に又は全体的に動物において行われる試験をいう。虫、ショウジョウバエ及びマウス等のような動物を用いて確立された認知症の疾病モデルがある。例えば、ショウジョウバエを用いた疾病モデルは、認知症の容態を少なくとも部分的に要約するために示されてきており、ヒトの患者における症状に対応する1つ又はそれ以上の症状を明らかとしている。Jackson等(1998)、Gunawardena等(2003)及びWolfgang等(2005)に提示されているように、認知症に関連するヒトのタンパク質の病原性は、本分野において用いられる種々の遺伝学的方法(例えば、Gal4−UAS系)によってショウジョウバエの複眼に発現させることができる。このような例において、ショウジョウバエの複眼における少なくともいくらかの神経細胞がダメージを受ける又は欠損することにより、眼が変形することとなる。この疾病モデルにおいて、分画の潜在的な活性を試験する。ある実施例において、認知症の疾病モデルにおける変形した複眼を有するショウジョウバエに大網組織の抽出物の分画を処理し(例えば、大網組織の抽出物の分画をショウジョウバエに餌として与えてもよい)、眼の形態への効果を読み取るために観察する。抽出物の分画がショウジョウバエの複眼の発育の異常を部分的に又は完全に治す場合、その分画は、生物学的因子を同定するためにさらに分析される。
インビボ試験の実施例としてショウジョウバエを用いた疾病モデルを記載したが、この実施例の種々の改変及び/又は置換は、当業者に明らかである。認知症を治療するための能力を示す分画の活性試験であるインビボ試験は他にもあり、例えば、マウスを用いた疾病モデルからマウスの認知機能を評価するような試験である。従って、認知症を治療するための能力を示す分画の活性試験を構成する前記の試験、及び本分野において用いられる他の試験は、本開示の範囲に含まれる。
ある実施形態は、大網組織の抽出物の分画からの生物学的因子を同定することを提供する。このような同定は、クロマトグラフィ技術、質量分析法、電気泳動技術及びこれらの組み合わせのような本分野において用いられる1つ又はそれ以上の方法を用いて行われる。一実施例において、APPの発現により誘導される培養神経細胞の死を減少できる分画は、電気泳動及び質量分析の技術の組み合わせを用いてさらに分析される。そのような分画に対して、未変性ゲル又は変性ゲルにおいて少なくともいくつかのタンパク質を分離するために2次元(2D)電気泳動を行う。2D電気泳動により分離されたタンパク質は、透析のような種々の方法によりゲルから単離される。分離されたタンパク質がゲルから回収されると、このタンパク質は、酵素処理されて又は酵素処理されずに質量分析される。質量分析法は、試験される少なくともいくつかのタンパク質又はその断片を同定できる。
同定されたタンパク質の少なくともいくつかの活性は、認知症を治療するための能力を示すかどうかについて試験される。このような同定されたタンパク質の活性試験は、本明細書に記載の方法の他に分画の活性試験として記載した方法と同一又は類似の方法により行ってもよい。
分画から生物学的因子を同定する実施例として電気泳動及び質量分析法の組み合わせを記載したが、本開示の範囲を逸脱することなくこの実施例を種々の方法に改変及び/又は置換することができることは、当業者に明らかである。従って、実施例の改変及び/又は置換、並びに分画から生物学的因子を同定するための本分野においてよく知られている他の方法は、本実施形態に含まれる。
他の実施形態は、大網組織又はその抽出物の哺乳動物への投与することを提供する。大網組織又はその抽出物は、本明細書に記載しているように哺乳動物又は培養細胞系から得られる。大網組織又はその抽出物は、種々の手段により哺乳動物に投与される。投与手段の例としては、経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用が含まれるがこれらに限られない。
一実施形態は、哺乳動物に大網組織又はその抽出物の特定の量を放出するように形成された医療装置を提供する。大網組織又はその抽出物は、医療装置が哺乳動物に埋め込まれる前又は後に医療装置に移されてもよい。また、この医療装置は、哺乳動物の中にある間に哺乳動物から大網組織又はその抽出物を得てもよい。このような医療装置は、腹部の領域に埋め込まれ、大網組織又はその抽出物を脳又はその他の組織に運ぶ。さらに、この医療装置は、大網組織又はその抽出物を血管及び/又はリンパ管のような生体管系に放出するように形成されていてもよい。一実施例において、大網組織又はその抽出物は、アルブミンにより覆われた医療装置に含まれ、また、この医療装置は、皮下、筋肉内及び/又は静脈内に投与される。
他の実施形態は、大網組織又はその抽出物を含む組成物を提供する。ほとんどの実施形態において、大網組織は、一般に、大網を含んでいる組織をいう。大網組織又はその抽出物は、哺乳動物又は培養細胞系から得られる。大網組織又はその抽出物を得る及び/又は調製する方法の実施例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
ある実施形態の一部において、その組成物は、薬剤に適応できる少なくとも1つのキャリアをさらに含んでもよい。その薬剤に適応できるキャリアは、これらに限られないが、水、油、アルブミン、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤及び結合剤の1つ又はそれ以上を含んでもよい。
ある実施形態の一態様において、その組成物は、認知機能の低下に関連する症状及び/又は容態を標的とする。例えば、その組成物は、記憶及び/又は適応の障害、集中、計画又は判断の制限、性格の変化、知覚、発言及び歩行の障害、並びに嚥下及び/又は排泄行為における体の機能障害を治療するために哺乳動物に投与される。
さらに、その組成物は、認知症及び/又は認知症に関連する症状を有すると診断された哺乳動物に投与される。本開示における認知症は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脳卒中、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV関連認知症、パンチドランカー、大脳皮質基底核変性症及びクロイツフェルト−ヤコブ病等が含まれるが、これらに限られない。
ある実施形態の他の態様は、その組成物を種々の手段により、哺乳動物に投与することを提示する。このような投与手段の例は、経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用が含まれるがこれらに限られない。特定の一実施例において、その組成物は、例えば、脳の領域に注入されることにより非経口的に投与されてもよい。また、その組成物は、血管及び/又はリンパ管のような生体管系に投与されてもよい。その組成物は、体内を循環でき、その組成物が認知症の容態を改善する役割を果たすことができる脳又はその他の組織の領域に達することができる。他の実施形態において、その組成物は、哺乳動物に経口投与又は移植されてもよい。
一実施例において、その組成物は、カプセル、錠剤、粉末、ゲル、注射液、パッチ及びクリーム等のような特定の薬物の型を有するように形成される。他の実施例は、その組成物を含み、その組成物の特定の量を哺乳動物に放出するように形成された医療装置を提供する。このような医療装置は、脳の領域に埋め込まれてもよい。また、哺乳動物に埋め込まれるその医療装置は、その組成物が脳又はその他の組織に運ばれることを目的とし、血管及び/又はリンパ管のような生体管系にその組成物を放出するように形成されてもよい。
他の実施形態は、大網組織又はその抽出物を含む組成物を製剤化する方法を提供する。その組成物の製剤化方法の一実施例は、大網組織又は水性若しくは有機性の大網組織の抽出物を準備することと、大網組織又は大網組織の抽出物と薬剤に適応できる水、油、アルブミン、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤及び結合剤からなる群から選択される少なくとも1つのキャリアとを混合することと、大網組織又は大網組織の抽出物と薬剤に適応できる少なくとも1つのキャリアとの混合液を経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用に適する型にすることとを備えている。
大網組織又はその抽出物は、本明細書の他の箇所において記載したように、哺乳動物又は培養細胞系から得られる。大網組織又はその抽出物は、薬剤に適応できる1つ又はそれ以上のキャリアと混合され得る。本分野において薬剤に適応できる種々のキャリアがあり、適当なキャリアの選択は、少なくとも部分的に、投与手段に従って行われる。薬剤に適応できるキャリアの例は、水、油、アルブミン、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤及び結合剤を含むがこれらに限られない。投与手段の例は、経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用を含むがこれらに限られない。
ある実施形態において、前記の組成物を特定の剤形にすることが提示されている。特定の場合において、その組成物は錠剤に加工される。他の場合において、その組成物は、ゲル、カプセル、粉末、クリーム、パッチ及び/又は注射剤等に加工されてもよい。
他の実施形態は、認知症に関連する症状及び/又は容態を改善する方法を提供する。特定の場合において、その方法は、大網組織又はその抽出物を哺乳動物に投与することを含む。他の場合において、その方法は、大網組織又はその抽出物を含む組成物を哺乳動物に投与することを含む。投与は、経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用のような種々の手段により行われる。
前記に記載した方法により改善される症状及び/又は容態は、記憶及び/又は適応の障害、集中、計画又は判断の制限、性格の変化、知覚、発言及び歩行の障害、並びに嚥下及び/又は排泄行為における体の機能障害を含むがこれらに限られない。
前記に記載した方法により治療される認知症は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脳卒中、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、HIV関連認知症、パンチドランカー、大脳皮質基底核変性症及びクロイツフェルト−ヤコブ病等が含まれるが、これらに限られない。
他の実施形態は、認知症に関連する症状及び/又は容態を改善する方法を提供し、その方法は、哺乳動物の大網を刺激することを含む。一実施例において、哺乳動物の大網又は大網の近傍に刺激物質が投与されてもよい。例えば、注射により大網又はその近傍に、2mlの1%リドカインを投与してもよい。この投与は、大網を刺激し、認知症に関連する症状の少なくともいくつかを改善できる。大網の刺激が生物学的因子の生成及び/又は分泌を誘導するため、少なくとも部分的にそのような改善が起こる。
他の実施形態において、大網は刺激装置により刺激されてもよい。この特定の場合において、機械的、電気的及び/又は化学的に大網を刺激するために形成された装置は、大網又はその近傍に埋め込まれてもよい。この装置は、大網の振動、吸引若しくは切開のような機械的刺激及び/又は電気的刺激を与えることにより大網を刺激してもよい。また、その装置は、化学的刺激を誘導するために、大網又はその近傍に1%リドカインのような刺激物質を供給してもよい。ある実施形態において、刺激装置は、哺乳動物の大網又はその近傍に埋め込まれてもよい。ある場合において、刺激装置の全体が哺乳動物に埋め込まれてもよい。他の場合において、刺激装置の一部が哺乳動物の中に埋め込まれ、刺激装置の残りの部分が哺乳動物の外にあってもよい。
ある実施形態において、刺激装置は、大網又はその近傍に埋め込まれ、1つ又はそれ以上のサブユニットを含んでおり、少なくとも1つのサブユニットは、哺乳動物から大網組織及び/又はその抽出物を得るために形成されている。この大網組織及び/又はその抽出物は、貯蔵器として機能する他のサブユニットに貯蔵される。この大網組織及び/又はその抽出物は、脳のような少なくとも1つ又はそれ以上の組織に運ばれる。ある場合において、大網組織及び/又はその抽出物の運搬は、例えば、カテーテルにより行われる。ある実施形態において、カテーテルは、埋め込まれた大網の刺激装置に連結し、硬膜下の脊髄組織、硬膜下の頭蓋組織に延びる。このカテーテルは、大網組織又はその抽出物を刺激装置から脳を含む標的組織に運ぶ。他の実施形態において、大網組織及び/又はその抽出物が血流及び/又はリンパの流れに入り、脳のような標的組織に運ばれることを目的として、大網の刺激装置に連結されたカテーテルは、鎖骨下静脈、門脈及び/又はリンパ管に延びる。特定の実施形態において、大網組織及び/又はその抽出物の予定された量は、刺激装置から放出され、脳を含む特定の組織である標的組織に規則的な間隔で(例えば、1日に1回又は1週間に2回)運ばれる。
認知症の容態を改善するために大網を刺激する方法のいくつかを前記に記載したが、それらの例は、実施例の一部であり、本開示の範囲を制限するとみなされない。本開示の範囲を逸脱することなく、前記の実施例に対して種々の改変及び/又は置換ができることは、当業者に明らかである。従って、大網を刺激するための前記の実施例及び本分野において用いられる他の方法の改変及び/又は置換は、本開示の範囲に含まれる。

Claims (20)

  1. 水性又は有機性である大網組織の抽出物を得ることと、
    前記抽出物を2つ又はそれ以上の分画に分離することと、
    前記分画のそれぞれの活性に対して、認知症を治療する能力を示すかどうかの試験をすることと、
    前記分画のうち認知症を治療する能力を示す少なくとも1つを選択することと、
    認知症を治療する能力を示す少なくとも1つの前記分画から認知症を治療するための1つ又はそれ以上の生物学的因子を同定することとを備えている認知症を治療するための生物学的因子を同定する方法。
  2. 前記生物学的因子は、神経栄養因子である請求項1に記載の方法。
  3. 前記分画のそれぞれの活性に対して、認知症を治療する能力を示すかどうかの試験は、インビボ又はインビトロにおいて行われる請求項1に記載の方法。
  4. 哺乳動物から得られた大網細胞及び/又は大網組織を準備することと、
    細胞培養法により哺乳動物の前記大網細胞及び/又は大網組織を培養することとを備えている哺乳動物の体外において哺乳動物の大網細胞及び/又は大網組織を培養する方法。
  5. 大網組織又は水性若しくは有機性である大網組織の抽出物と、
    薬剤に適応できる水、油、アルブミン、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤及び結合剤からなる群から選択される少なくとも1つのキャリアとを備えている組成物。
  6. 前記大網組織又は前記大網組織の抽出物は、哺乳動物から得られる、又は哺乳動物の大網細胞の培養により得られる請求項5に記載の組成物。
  7. 標的とする病気に認知症を含む請求項5に記載の組成物。
  8. 経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用により哺乳動物に投与される請求項5に記載の組成物。
  9. 大網組織又は水性若しくは有機性である大網組織の抽出物を準備することと、
    前記大網組織又は前記大網組織の抽出物と薬剤に適応できる水、油、アルブミン、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤及び結合剤からなる群から選択される少なくとも1つのキャリアとを混合することと、
    前記大網組織又は前記大網組織の抽出物と薬剤に適応できる前記少なくとも1つのキャリアとの混合物を経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用に適する型にすることとを備えている請求項5に記載の組成物を製剤化する方法。
  10. 哺乳動物に請求項5に記載の組成物を投与することを含む認知症を治療する方法。
  11. 経口投与、非経口投与、吸入、局所投与、直腸投与、膣内投与、移植又はこれらの併用により前記組成物を哺乳動物に投与することを含む請求項10に記載の方法。
  12. 哺乳動物に対して大網又はその近傍に刺激物質を投与することを含む認知症を治療する方法。
  13. 前記刺激物質は、1%リドカインである請求項12に記載の方法。
  14. 哺乳動物に大網刺激装置を埋め込むことを含む認知症を治療する方法。
  15. 前記大網刺激装置は、大網又はその近傍に埋め込まれる請求項14に記載の方法。
  16. 前記大網刺激装置は、皮下組織、硬膜下の脊髄組織、硬膜下の頭蓋組織又はこれらのうちの複数に、大網組織及び/又は水性若しくは有機性である大網組織の抽出物を運ぶように形成されている請求項14に記載の方法。
  17. 第1の処理として大網を刺激することと、
    任意的に第2の処理として大網以外の組織を刺激することと、
    第1の処理及び任意的な第2の処理の後の認知症に関連する1つ又はそれ以上の症状及び/又は容態を評価することとを備えている認知症の治療における大網の刺激の効果を試験する方法。
  18. 前記認知症に関連する1つ又はそれ以上の症状及び/又は容態は、行動性のアプローチ、神経学的なアプローチ、神経心理学的なアプローチ、病理学的なアプローチ又はこれらの組み合わせにより評価される請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1の処理の大網の刺激において、大網又はその近傍に胃瘻管を適応する請求項17に記載の方法。
  20. 前記第2の処理の刺激における刺激装置は、内視鏡の管であり、該内視鏡の管は口から入れられる請求項17に記載の方法。
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