現在、流体を供給するための多種多様な方法が存在している。その中で、流体搬送のタイプに3つの一般的な従来技術の分類がある。1つの従来技術の分類は、ブラシ、パッド、及び発泡体など、機械的システムを含むものである。第2の分類は、一般に能動的である、加圧又は電磁駆動式のシステムを含むものである。第3の分類は、一般に受動的である、毛管(又はウィッキング)に基づくシステムを含むものである。
システムが、ブラシ、パッド、及び/又は発泡体を介する機械的手段によって流体を保持及び放出する、第1の機械的システムの分類の中では、従来技術は、典型的には、塗装用ブラシ、化粧品用の発泡体アプリケータ、及び他のブラシに基づく流体搬送システムなどの製品を含む。
この分類の中において流体搬送システムを使用することの欠点は、一般に、流体の出力が一定せず、継続的な再充填を必要とすることである。
第2の加圧式搬送の分類の中で1つの共通のクラスは、特定又は規定のレベルの流体若しくは流体を送達するため、典型的には蠕動ポンプ及び/又は他の電気、機械、電磁、若しくは加圧駆動式のデバイスを含んでもよい、ポンプベースのシステムである。ポンプベースの原理に基づく周知の製品は、市販のWagner塗装噴霧器デバイスなど、塗料をローラに継続的に分配する塗装システムであろう。他の例としては、肥料又は殺虫剤噴霧に使用される、噴射ガンタイプのタンク噴霧器が挙げられる。
このタイプのポンプベースの搬送システムの欠点は、動的であり、したがって動作させるのにエネルギーを必要とし、それによって、所望の低コスト又は量販製品としては比較的高価な解決策となっていることである。
ポンプを用いる流体搬送の別の欠点は、システムが常に作動中であるか、又は作動を必要とし、したがって、システムは汎用性がとても高いものの、機能性又は製品の美観には重要な要因である、所望の用途に対する特定の用量を送達できない可能性があることである。
流体搬送の第3の分類としては、毛管に基づくシステムが挙げられる。従来技術の毛管システムは、焼結粉末、フィラメント状、発泡体、又は繊維に基づくシステムを含む。
毛管システム製品のいくつかの共通の例は、ウィッキングに基づく消臭スプレー芳香剤送達製品、又は一部のインクジェットプリンタ送達製品である。繊維に基づくシステムは、互いに物理的に付着された束又は他の構造を使用する。これらのいくつかの例としては、フェルトペン、マジックペン、多孔質ドームアプリケータ(例えば、焼結固形粉末)がある。しかしながら、他の従来技術の解決策と同様に、繊維の束は、それらが送達する製品の量が必ずしも一定ではなく、アプリケータのサイズを変えることによってその問題を解決しようとする試みによって、困難さが増している。更に、これらのシステムを複数回使用すると、時間とともに目詰まりが発生して、所望の用量に対して材料の送達が一定でなくなってしまう可能性がある。
米国特許第6,994,932号において、燃料電池に関して記載されている勾配(gradient)又は圧縮発泡体は、ポンプ及び毛管の両方に基づくシステムを必要としており、最終的なデバイスのコスト及び複雑さが増している。それに加えて、該特許に記載されているシステムの限定は、電子デバイス用の燃料電池に対するその適用において、内蔵型のシステムであり、即ち、燃料流体の揮発性のため、外部環境に対して開いていないことである。
本発明の目的のため、用語「流体」は、流れることができるとともに、その形状を変化させる傾向がある力による作用を受けると安定した速度でその形状が変化する流体のような物質として定義され、流体、水、アルコール、シリコーンオイル、エマルション、又はこれらの流体を指す用語のあらゆる組み合わせ、若しくはあらゆる追加の可溶性構成成分とのあらゆる組み合わせと同義的に使用するか、それらを表してもよい。
本発明において望ましい流体は、所与の孔構造内を流れることができる低粘度製剤を生じるタイプのものであり、粘度は、毛管現象によって機能し、送達にいかなる圧力も必要としない十分に低いものである。
それに加えて、用語「ウィッキング」及び「毛管現象」は、本発明の目的に対して等価であるものとし、同義的に使用される。
次に図1を参照すると、フェルト化前の従来技術の楔形の発泡体又はウィッキング材料を示している。ウィッキングは、一般に、毛管現象によって流体を抜き出すことを意味するものであると知られている。「燃料電池用の流体燃料容器(Fluid Fuel Reservoir for Fuel Cells)」、米国特許第6,994,932号に記載されているように、その中のウィッキング構造は毛管勾配を有する発泡体で作られているので、流体燃料の流れは、2つの領域間の毛管効果に差がある結果として構造の1つの領域から別の領域へと向けられ、その場合、毛管効果による流体の流れの方向は毛管効果のより低い領域から毛管効果のより高い領域へであり、又は発泡体の低密度から高密度の領域へである。
従来技術では、毛管勾配を有する材料を作製する1つの方法は、その長さに沿って圧縮又は孔径の程度が異なるように、「フェルト化」、圧縮、又はヒートセット、発泡することである。毛管勾配を有する材料を作製する別の方法は、互いに物理的に付着された毛管効果が明確に異なる個々の構成成分の複合体を組み立てることであり、後者は図4に関連して後述する。
発泡体又はウィッキング材料の個片は、一般に一定のサイズである多数の孔を有することが一般に知られており、典型的には、平方センチメートル当たり特定数の孔(平方インチ当たり孔数(ppi))を有するものと説明される。PPI表記は一般に発泡体に使用される。発泡体中に存在する孔(単位面積当たり)が多いほど、孔は小さいということになり、それによって発泡体の多孔性は低くなる。したがって、発泡体中に存在する孔が少ないほど、孔径は大きくなり、それによって発泡体の多孔性は高くなる。孔径が一定である発泡体片の孔径は、図1及び2に関して後述するように変動させることができる。発泡体片の孔径を変動させる(多孔性の勾配を変化させる、又は毛管勾配を有するとも称される)ことによって、発泡体の一方の側面は他方よりも多孔性が高くなる。したがって、発泡体中に位置するあらゆる流体は、多孔性のより高い範囲(最大孔)から多孔性が最低の範囲(最小圧縮孔)に向かうことになる。
連続気泡発泡体が製造されると、それらは、全体的な発泡体構造内に材料の薄層の「窓」を有する。これらの窓は、典型的には、網状発泡体として説明されるような連続気泡構造を作り出すため、化学的に、又は閃光炎を用いたザッピングプロセス(zapping process)によって除去される。網目状になっている発泡体を使用して勾配発泡体を作製することが望ましい。
図1及び2は、毛管勾配を有する発泡体などのウィッキング材料の加工前後の概略図を示す。
図1に示されるように、密度が一定及び孔径が一定である楔形の発泡体片10は、第1の末端部11における第1の厚さT1と第2の末端部15における第2の厚さT2とを有する。発泡体10は、予め定義された出発原料及び多孔性を有し、ある角度で物理的に切断されて、図1に示されるような楔形を形成する。発泡体片10は、均等に離間した孔16と一定の孔径とを有し、各孔16の初期の孔径は、好ましくは、平方cm当たり孔数約3.1(平方インチ当たり孔数(ppi)20)〜平方cm当たり孔数約18.6(120ppi)である。勾配の角度は、厚さT1及びT2並びに発泡体片の長さ17に伴って変動する。
発泡体片10は、好ましくはポリウレタンで作られるが、メラミン、セルロース系材料、PVC、ポリスチレン、ポリエチレン、及びポリエステルのいずれか、ただしそれらに限定されない材料から作ることができる。発泡体片の材料は様々であることができ、また、他の表面エネルギー特性を達成するように表面処理することができる。例えば、発泡体片10は、疎水性を増加させる(即ち、水に対する親和性を有さない)ように化学物質で表面処理することができ、又は出発発泡体原料は本質的に疎水性であることができる。
孔径が様々である、又は毛管勾配を有する材料を生じさせるため、発泡体を、その長さに沿って程度が変動する圧縮にさらしてもよい。別の方法は、毛管効果又は圧縮比が異なる様々な孔径を有する網状発泡体のいくつかの異なる個片を互いに組み立て、複合材料を作り出すことである。
圧縮を達成するため、発泡体片10は、所望の時間の高温圧縮を伴うフェルト化工程にさらされ、それによって、発泡体片10は、図2に示されるように、好ましくはT2以下及びT1未満の厚さである一定の厚さT3に圧縮される。このタイプの圧縮後に発泡体片10から作製される発泡体は、図2に示され、本明細書では、勾配発泡体20と称される。
第1の末端部11において材料をT1からT3まで圧縮するのに必要な、図1の矢印12によって表される圧縮力は、第2の末端部15において材料をT2からT3まで圧縮するのに必要な、図1の矢印14によって表される圧縮力よりも大きいことに留意されたい。
発泡体10が圧縮されると、図2に示されるように、発泡体20の孔径も圧縮されるが、これは、孔16の周囲の組織又は構造、即ち間隙26が破壊されているためである。これは、圧縮によって孔の周囲の構造の崩壊が引き起こされることによるもので、多くの場合、「圧縮された孔」は圧縮前の状態と同じようには見えないことがあるが、必ずしもより小さくなるものではない。この視覚的効果は、間隙がより小さくなることによる産物であるが、その理由は、圧縮が大きいほど、発泡体の全長にわたって間隙がより小さくなるためである。一部の孔は圧縮後も損なわれないままのであり得ることに留意されたい。本明細書における説明のため、用語「圧縮された孔」は、一般に、図2において生じている孔16及び間隙26の両方を表すものとする。
勾配発泡体20の場合、発泡体材料の圧縮比(T1/T2)は、好ましくは約0〜約20に及ぶ。圧縮は、図2に示されるフェルト化又は勾配発泡体20の長さに沿って変動し、第2の末端部22(T2からT3)に比べて第1の末端部21(T1からT3)において最大の圧縮が起こっている。
したがって、圧縮後、圧縮された孔16及び26は、第2の末端部22においてよりも第1の末端部21において、より小さい。圧縮された孔16及び26の圧縮比は、第1の末端部21における約0から第2の末端部22における約20まで変動する。
毛管現象又は毛管効果は有効毛管半径に反比例し、有効毛管半径は硬度又は圧縮が増加するのに伴って減少する。したがって、流体は、勾配発泡体20の最も硬い部分(又は勾配構造の最も圧縮された部分)へと流れることになる。
図2の矢印24は、フェルトの硬度又は毛管効果がより低い領域からフェルトの硬度又は毛管効果がより高い領域への毛管流の方向を表す。したがって、特定の毛管勾配を有する材料又は複合材料でウィッキング材料又はウィッキング構造が形成されている場合、材料に吸い上げられたあらゆる流体は、矢印24によって示されるように、圧縮比がより低い材料の1つの領域から圧縮比がより高い別の領域へと、又は圧縮された孔のサイズがより大きい末端部から圧縮されたサイズがより小さい末端部へと流れるように向きけられ得る。勾配発泡体20の圧縮された孔により、この流体流は受動的に、及び重力とは独立して達成される。
次に図3を参照すると、アプリケータ30は図2の勾配発泡体20を含むように示され、該勾配発泡体20は、本発明の好ましい一実施形態による、アプリケータ表面領域32と、ホルダ34に挿入された第1の末端部35と、外部環境に対して開いた第2の末端部33とを有し、それによって、単純な流体(例えば、1つ若しくは少数の成分を有する)又は複雑な製剤のどちらが発泡体20に吸い上げられるかに関わらず、流体は、重力又はアプリケータ30の向きとは独立に、第2の末端部33におけるアプリケータ表面領域32に向かって一定して流れるようになる。流体は、別の表面と接触すると、範囲32から(外部環境内へと)流出するようになる。流体は、本発明の好ましい態様によって、ポンプ、圧力、又は他の能動的メカニズムを用いずにアプリケータ表面領域32へと流れる。
図3に示されるようなアプリケータ30は、ほぼ矩形の形状を有するが、円形若しくは正方形又は他のあらゆる所望形状などのあらゆる形状が、本発明の範囲内にあるものと予期される。アプリケータ30は、独立型のユニットであるか、又はオンデマンド式の流体搬送システム(例えば、製品アプリケータ)の一部であってもよい。アプリケータ30は、あらゆるタイプの適用デバイスの使い捨て構成要素として扱われてもよい。アプリケータ30は、一回使用又は複数回使用の製品であってもよく、したがって、発泡体中の流体の量はそれに応じて変動する。アプリケータ30に関して多数の異なるタイプの適用が想到されるので、アプリケータ30の寸法は、意図される適用及び単位面積あたりの所望の流体用量に応じて大幅に変動する。
同様に、アプリケータ表面領域32は、図3に示されるようにほぼ矩形及び平面であることができ、又はあらゆる所望の形状(例えば、ドーム状)に変化させる、若しくは整形(sculpted)することができ、又は表面32上の突出する、丸み付けられた、若しくは面取りされたナブや、あらゆるタイプの異なる縁部を有することができる。更に、露出した送達アプリケータ表面領域32は、あらゆる必要な流体放出を調節するように変化させることができる。表面領域と流体放出との間の関係は、図8に関連して後述する。
ホルダ34は、図3に示されるように、露出したアプリケータ表面領域32を除いて、本発明の好ましい一実施形態による勾配発泡体20をほぼ包囲する。それに加えて、ホルダ34は、積層体として形成し、発泡体20上に直接位置させることができる。末端部33の小さな区画は、ホルダ33を越えて延在するか、又は図3に示されるように外部環境に対して露出してもよい。
勾配発泡体20中の流体は、使用に伴って空になるか、又は時間とともに乾燥若しくは蒸発することがある。この時間は、どの程度の流体が最初に発泡体20に吸い上げられたかに応じて変わる。勾配発泡体20中の流体の大半が枯渇又は乾燥すると、「空の」勾配発泡体20を除去し、新しい発泡体又は新しい発泡体を有する新しいアプリケータと交換することができ、その際、発泡体は流体を予めロードされているか、又は「空の」勾配発泡体20に流体を再充填することができる。更に、アプリケータ30は、ホルダ34内に、好ましくは発泡体20と接触して又はその近傍に(例えば、発泡体20の底部の下方若しくは後方に)1つ以上の流体容器36を含んでもよい。流体容器36は、勾配発泡体20中の流体が枯渇又は乾燥した場合に発泡体20を補液するため、アプリケータ30に追加の流体を提供する。
図3の本発明の好ましい実施形態におけるキャップ38は、アプリケータ表面領域32及び末端部33を覆って、使用していないときに勾配発泡体20の乾燥が加速するのを回避する。キャップ38はまた、ホルダ34と統合されてもよい(図示なし)。場合によっては、流体は容易に乾燥せず(即ち、オイルベースの製剤)、キャップ又はカバーは必須であってもなくてもよい。本発明の代替実施形態では、キャップがなく、それよりもむしろ、アプリケータ又は発泡体内の不揮発性の製剤自体が流体の乾燥を防ぐ助けとなる。
ホルダ34及びキャップ38は、好ましくは、射出成形プロセスによって製造される場合は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ナイロン、ポリカーボネートなど、射出成形されたプラスチックポリマー材料で、又は、独立型の流体ディスペンサーを用いて箔パッケージ内で製造される場合は、箔/プラスチック積層体で、及び製剤のタイプに応じて作られる。アプリケータ30は、ホルダ34及び発泡体20など、2つ又はそれ以上の個片を含むように製造されてもよく、又はPVC(ポリ塩化ビニル)浸漬被覆プロセスを使用して単一片部品として製造されてもよい。
勾配発泡体20の発泡体材料は、好ましくはポリウレタンで作られるが、メラミン、セルロース系材料、PVC、ポリスチレン、ポリエチレン、又はポリエステルのいずれかの、ただしそれらに限定されない材料から作ることができる。更に、発泡体20は、図2に示され、図4にも40で示されるような、圧縮された孔径が様々である単一の連続発泡体材料(即ち、多孔性の連続勾配)であることができ、又は、発泡体20は、積層体、又は異なる毛管効果若しくは圧縮比をそれぞれ有するいくつかの発泡体の複合体(図4に42で示されるような)であることができ、したがって、積層発泡体の多孔性の勾配が生じる。
勾配発泡体20は、あらゆる色、形状であることができ、又は、特定の用途に望ましいあらゆる様々な孔径を有することができる。好ましくは、圧縮前の勾配発泡体20の孔径の開始範囲は、一般に、平方cm当たり孔数約3.1(20ppi)〜平方cm当たり孔数約18.6(120ppi)である。
アプリケータ表面領域32は、家庭、健康/医薬、美容、女性、乳児、個人、布地、ペット、食物、又は他のケア範囲などの適用範囲において、硬質又は軟質のあらゆるタイプの表面に直接適用されるか、それらに直接接触することができ、そのような表面は、木材、セラミックス、プラスチック、ガラス、金属、皮膚、毛髪、爪、毛皮、布地、口腔内組織又は口腔(例えば、歯)などであることができるが、それらに限定されない。発泡体20内の流体はまた、食物、飲料、薬品、又は薬物であることができるので、発泡体20は生体適合性であることが予期される。
本発明では、勾配発泡体中の流体又は複数の流体は、流れることができる流体など、あらゆるタイプの物質であり得ることが予期される。流体は、勾配発泡体20に吸い上げられるか、又はそれを満たす。流体は、少なくとも1つの成分又は構成成分から多数の複雑な成分までを有する、水性又は非水性であることができる。勾配(gradient)中の流体は「流動性」である必要があり、つまり、流体が発泡体を通過して自由に移動するのに十分な低い粘度を有するべきである。流体の粘度が高いほど(例えば、ゲル又はクリーム)、孔を通過させるのに圧力を必要とすることなく、流体が発泡体を通り抜ける傾向が低くなる。したがって、本発明に使用される流体の粘度は、好ましくは、約0.1〜約2000センチポアズに及ぶ。それに加えて、水性及び非水性の流体が適切に流れるようにするため、発泡体及び/又は流体の特定の化学的性質及び表面エネルギープロファイルについて経験的決定を行う必要がある。また、所与の流体の適切な送達を達成するため、発泡体20を化学的に、又はプラズマエッチングによって変性することが更に必要なことがある。
一般に、発泡体中の流体製剤のタイプは、アプリケータ30の適用範囲によって決定される。例えば、パーソナルケア又は制汗剤用途の場合、発泡体20には、制汗剤及び/又は防臭剤タイプの流体製剤が吸い上げられる。硬質面又は布地の洗浄の場合、発泡体には洗浄剤流体製剤が吸い上げられる。アプリケータ30又は発泡体20には多数の潜在的用途がある。これらには、数例を挙げると、化粧品用途、口腔ケア/歯ブラシ用途、剃毛システム、制汗剤、染み除去剤、流体洗剤の送達、悪臭吸収剤、防ダニ/ノミ製剤送達、染毛剤、毛髪脱色剤、及び芳香剤送達が含まれる。
本発明の代替実施形態では、適用を容易にするため想到され、発泡体20はまた、分配システム又は容器として作用して、流体の精確で連続的な送達(あらゆる単純若しくは複雑な又は組み合わせの流体を用いて)を可能にしてもよい。
本発明の更に別の代替実施形態にしたがって、ホルダ34は、好ましくは2つ又はそれ以上の勾配発泡体を含むことができ、勾配発泡体52及び勾配発泡体54によって示される2つの発泡体が図5に示される。発泡体52及び54は、多孔性の異なる勾配を有してもよく、異なる流体成分又は製剤を含有してもよい。例えば、所望の用途に応じて、発泡体52は、流体成分、又は粉末若しくは固体などの勾配のない侵食性の材料を含有してもよく、発泡体54は、ローションなど、純粋に流体の成分であってもよい。更に、発泡体52の流体又は成分は、発泡体54の流体又は成分と相互作用して、表面上に適用される第3の流体成分又は構成成分を形成してもよいことが予期される。例えば、反応して脱色に有用な過酸化物を形成するように、2つの流体が選択されてもよい。2つの流体は、被膜を堆積するように、又はガス若しくは熱を発生するように選択されてもよい。発泡体52及び54を用いた新規な使用に適用することができる二成分システムの他のいくつかの例は、デンタルフロス用の活性剤を形成することを開示している米国特許第5,937,874号に見出される。
それに加えて、本発明は、勾配発泡体52及び54が、特定の用途の利益になるように所望のあらゆる形で組織化又は配向されてもよいことを予期する。例えば、毛髪のストランド又は布地片などの表面66は、図6に示されるように発泡体52及び54の間に通されて、各発泡体52及び54がそれぞれ、表面66の各側面62及び64上に流体(同じ又は異なるものであり得る)を堆積させてもよい。故に、表面66が発泡体片52及び54のアプリケータ表面62及び64の間で引っ張られるにつれて、発泡体52及び54からの成分が使用中直ちに表面66上へ活性化され、発泡体52及び54からの成分が互いに接触するようになってもよい。あるいは、流体を同時にではなく順次堆積させるのが望ましいことがあり、例えば、発泡体54がその流体を堆積させる前に、発泡体52がその流体を堆積させる。
図7は、ホルダ74によって包囲された勾配発泡体72を有し、矢印75によって示されるように流体が皮膚表面76に適用されているアプリケータ70の例を示す。ホルダ74は勾配発泡体72を包囲するが、図7に示されるように、流体容器78も有してもよい。アプリケータ70は、図3の図の逆向きに示されているが、発泡体72内の流体を皮膚76へと最適に放出するのに重力が必要であることを示唆するものではなく、それよりもむしろ、ユーザーがアプリケータ70を最も一般的に利用するやり方を示している。
アプリケータ表面領域と、本発明の好ましい実施形態に関連して上述したような勾配発泡体から放出される平均流体との全体的な関係を、図8のグラフに示す。図示されるように、ほぼ線形の関係があり、それによって、アプリケータ表面領域が増加するにつれて、放出される流体の量は正比例する形で増加する結果となる。図8のグラフに示されるデータは、特定の製剤及び特定の勾配発泡体、特定の適用速度(例えば、アプリケータが皮膚を横切ってどの程度迅速に移動するか)で皮膚表面上に送達される用量について経験的に決定されたものであることに留意することが重要である。
これらの結果(即ち、所定の製剤の場合、アプリケータ表面領域が増加すると用量が線形的に増加する)は、一般に、圧縮若しくは勾配発泡体から送達される流体又は製剤のタイプに関わらず当てはまる。換言すれば、製剤、適用速度、及びアプリケータ表面のタイプごとの、アプリケータの単位面積当たりの同じ用量プロファイルが実現することが予測される。
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。