JP2011508610A - バチルス属とストレプトマイセス属の種におけるストレプトマイセススブチリシン阻害剤(ssi)タンパク質の発現 - Google Patents

バチルス属とストレプトマイセス属の種におけるストレプトマイセススブチリシン阻害剤(ssi)タンパク質の発現 Download PDF

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Abstract

シグナル配列とストレプトマイセス・スブチリシン阻害剤(SSI)タンパク質を含む融合タンパク質をコードする組換核酸を含むストレプトマイセス属及びバチルス属の宿主細胞が、これらの細胞を用いてSSIタンパク質を生成する方法とともに提供される。ある実施態様では、この宿主細胞は、ストレプトマイセス宿主細胞であり、シグナル配列はcelAシグナル配列である。他の実施態様では、この宿主細胞は不活性化された遺伝子を含むゲノムを有するバチルス属の宿主細胞である。

Description

この開示はストレプトマイセススブチリシン阻害タンパク質(「SSI タンパク質」)として知られているタンパク質のプロテアーゼ阻害剤の生産に関する。このSSIタンパク質はスブチリシン(家庭用洗剤製品に普通見出されるプロテアーゼ)の阻害剤である。
プロテアーゼは、多くの市販製品で見られ、現在、最大の用途は洗濯用洗剤での使用である。しかし、多くのプロテアーゼは不安定で、自己加水分解又は自己分解を受けることが知られている。そのような不安定性はプロテアーゼ含有製品の製品使用期間を限定し、特にプロテアーゼが製品中で活性をもっているときはそうである。
液体洗濯洗剤のプロテアーゼは多くの異なるやり方で安定化できる。例えば、液体洗濯洗剤のプロテアーゼは1,2-プロパンジオールとホウ酸の組み合わせのような小分子で安定化できる。これらの分子は稀釈されていない洗濯洗剤中での、自己分解するプロテアーゼ活性を最小化し、液体洗濯洗剤使用時の稀釈でプロテアーゼから解離し、プロテアーゼの活性を回復させる。他の場合、液体洗濯洗剤中のプロテアーゼはそのプロテアーゼのタンパク質の阻害剤により安定化できる。タンパク質のプロテアーゼ阻害剤は、使用しているプロテアーゼと同時に生産できる点、さらに小分子の阻害剤よりもはるかに低濃度で使用できる点で小分子のプロテアーゼ阻害剤に勝る長所を有している。
シグナル配列とストレプトマイセススブチリシン阻害剤(SSI)タンパク質を含む融合タンパク質をコードする組換え核酸を含むストレプトマイセス属の種とバチルス属の種の宿主細胞が、これらの細胞を用いたSSIタンパク質の生産法とともに提供される。ある実施態様では、宿主細胞はストレプトマイセス宿主細胞であり、組換え核酸はcelAシグナル配列であるシグナル配列を含む。他の実施態様では、宿主細胞は少なくとも1個の不活性化されたプロテアーゼ遺伝子を含むゲノムをもつバチルスの宿主細胞である。
ある実施態様では、ストレプトマイセス属の種は、a) celA シグナル配列とb) ストレプトマイセス・スブチリシン阻害剤(SSI)タンパク質を含む融合タンパク質をコードする組換え核酸が提供される。この細胞は細胞からSSIタンパク質を培地へ分泌する。ある実施態様では、このSSIタンパク質は、天然に生じるSSIタンパク質と比較して、スブチリシンの存在下で安定性が高く、及び/又はスブチリシンに対する親和性が低い。特定の実施態様では、このSSIタンパク質は、62番目にLys、63番目にIle、73番目にPro、83番目にCys、98番目にGluをもち、SEQ ID NO:1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列をもつ。
ある実施態様では、celAシグナル配列はストレプトマイセス・リビダンスのcelA遺伝子によりコードされたシグナル配列でも良い。特定の実施態様では、celAシグナル配列はSEQIDNO:2のアミノ酸配列を含んでも良い。
スプレプトマイセス属の種の宿主細胞はS・リビダンス宿主細胞でもよく、ある場合には不活性化されたssi遺伝子を含む。
ある実施態様では、組換え核酸はプロモーターとターミネーターに機能的に連結しSSIタンパク質の発現用の発現カセットを形成している。組換え核酸はこのストレプトマイセス属の種でSSI融合タンパク質の発現のために最適化されたコドンでも良い。組換え核酸は宿主細胞のゲノムまたは細胞中で自律的に複製するベクターに含まれる。
複数の上記のストレプトマイセス属の種である宿主細胞を含む細胞の培養と培地も提供される。好ましい実施態様では細胞の培養はSSIタンパク質を含む。
SSIタンパク質を生産する方法で、先に述べたストレプトマイセス宿主細胞を培養し培地へSSIタンパク質を分泌することを含む方法が提供される。この方法はさらに上記培地から上記のSSIタンパク質を回収することを含む。このタンパク質は洗濯洗剤と組み合わされてスブチリシンプロテアーゼと上記SSIタンパク質の両者を含む洗剤となる。この洗濯洗剤はホウ砂を含まない洗濯洗剤でもよい。
別の実施態様では、バチルス属の種である宿主細胞であり、a) シグナル配列とb) ストレプトマイセス阻害剤(SSI)タンパク質を含む、融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む細胞が提供される。宿主細胞は細胞からSSIタンパク質を分泌し、この宿主細胞は不活性化されたaprE、nprE, epr、ispA、bpr、vpr、wprA、mpr-ybjF及び/またはnprB遺伝子を含んでも良い。
ある実施態様では、SSIタンパク質は、天然に生じるSSIタンパク質と比較して、スブチリシンの存在下で安定性が高く、及び/またはスブチリシンに対する親和性が低い。特定の実施態様では、タンパク質は、62番目にLys、63番目にIle、73番目にPro、83番目にCys及び98番目にGluを持ち、SEQ ID NO:1と少なくとも95%同一性のあるアミノ酸配列をもつ。シグナル配列はB・スブチリスのaprE遺伝子によりコードされたシグナル配列でも良い。
バチルス属の種の宿主細胞は、degUHy32、oppA、ΔspoIIE3501、ΔaprE、ΔnprE、Δepr、ΔispA、Δbpr、Δvpr、ΔwprA、Δmpr-ybjF、ΔnprB、amyE::xylRPxylAcomK-ermC遺伝子型をもち、ある実施態様では、B・スブチリス宿主細胞でも良い。
組換え核酸は、プロモーターとターミネーターと機能的に連結しSSIタンパク質の発現用の発現カセットを形成しても良い。組換え核酸は、先のバチルス属の種の宿主細胞でSSI融合タンパク質発現のために最適化されたコドンでも良い。この組換え核酸は宿主細胞のゲノムに含まれても良く、または細胞で自律的に複製するベクターに含まれても良い。
複数の先に述べたバチルス属の種の宿主細胞と培地を含む細胞の培養が提供される。特定の実施態様では、培地はSSIタンパク質を含んでも良い。
先に述べたバチルス属の細胞を培養し培地に上記SSIタンパク質を分泌することを含むSSIタンパク質を生産する方法が提供される。この方法はさらに培養培地からSSIタンパク質を回収することを含む。このタンパク質は洗濯用洗剤と組合わされて、スブチリシンプロテアーゼとSSIタンパク質の両者を含む洗剤を形成する。この洗濯洗剤はホウ砂を含まない洗濯洗剤でも良い。
図1はpKB128-STM-SSI-PG、スチレプトマイセス細胞にcelAシグナル配列-11AG8-SSI融合タンパク質としてSSIを発現するためデザインされたベクター、pKB128-STM-SSI -PGのマップを示す。 図2は、ストレプトマイセス属の細胞でS・アルボグリセオルス(Streptomyces albogriseolus)の野生型SSIシグナル配列を用いてSSIが発現するようにデザインされたベクター、pKB105-SSI-PGのマップを示す。 図3は、ストレプトマイセス細胞でcelAシグナル配列を用いてSSIを発現するようにデザインされたベクター、pKB105-celA-SSI-PGのマップを示す。 図4は、種々のストレプトマイセス細胞でSSIが発現していることを示すSDS-PAGEゲルを示す。 図5は、S・リビダンスのssi 遺伝子を不活性化するためにデザインされたベクターpKB65-5’-apraR-3’のマップを示す。 図6はバチルス属の細胞でapreEシグナル配列-SSI融合タンパク質が発現するようにデザインされたベクター、p3107-2のマップを示す。 図7は、種々のバチルスの細胞でSSIが発現されていることを示す2つのSDS-PAGEゲルを示す。
詳細な説明
定 義
本明細書に別に定義されている場合を除き、本明細書で使用される全ての技術的科学的用語は本発明が属する分野の普通の技術者が、普通に理解するものと同一の意味をもつ。Singletonら、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR
BIOLOGY、第2版、John Wikey and Sons, New York(1994)及び、Hale&Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991)は技術者に本発明で使用される用語の多くの一般的な辞書を提供している。本明細書で述べられたものと類似または等しいいずれの方法と物質も本発明の実施または試験で使用できるが、好ましい方法と物質が述べられている。
本明細書に引用されている全ての特許と刊行物は、その特許や刊行物に開示されている全ての配列を含め、引用により本明細書に明示的に組み入れられる。
数値範囲はその範囲を限る数を含む。別に示される場合を除き、核酸は5’から3’の方向に左から右に表され、アミノ酸の配列はアミノ基からカルボキシの方向へ左から右に表される。
本発明は、全体として明細書を参照することにより理解できるようになるものであり、本明細書に記載される表題は本発明の種々の側面や実施態様の限度を示すものではない。従って、直ぐ後に定義される用語は全体的に明細書を参照することにより十分に定義される。
用語「プロモーター」は、本明細書では細胞中で下流に位置するポリヌクレオチドを転写させる核酸として定義される。ある場合には、このポリヌクレオチドはコーディング配列を含み、プロモーターはコーディング配列を転写し翻訳を受けるRNAを産生する。
用語「コーディング配列」は、本明細書では、プロモーターを含む適当な調節配列の制御下に置かれた時、ポリペプチドに翻訳され得るmRNAに転写される核酸として定義される。コーディング配列は、例えば、1個の単一オープンリーディングフレームを含んでも良く、またはイントロンにより分離された、いくつかのオープンリーディングフレームを含んでも良い。コーディング配列は、例えばcDNA、ゲノムDNA、合成DNAまたは組換えDNAでも良い。コーディング配列は一般的に、開始コドン(例.ATG)で始まり、終止コドン(例.UAA、UAG及びUGA)で終わる。
用語「組換え体」は宿主細胞に天然で生じないポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。組換え分子は天然に生じないような方法で連結されている2個以上の天然に生じる配列を含んでも良い。
用語「異種」とは、正常では互いに関係づけられていない複数の因子をいう。例えば、宿主細胞が異種のタンパク質を産生する場合、そのタンパク質は、通常その宿主細胞に産生されない。同様に、異種のコーディング配列に機能的に連結しているプロモーターは野生型の宿主細胞では普通、機能的に連結していないコーディング配列に機能的に連結しているプロモーターである。ポリヌクレオチドまたはタンパク質に関して「同種」は、宿主細胞で天然に産生されるポリヌクレオチドまたはタンパク質をいう。
用語「機能的に連結した」は、因子が機能的に関係するように因子が並んでいることをいう。例えば、プロモーターは、コーディング配列の転写を調節する場合、その配列と機能的に連結し、シグナル配列が宿主細胞の分泌系を経てタンパク質を移動させるときはシグナル配列はタンパク質に機能的に連結している。
用語「核酸」はDNA、RNA、単一鎖または二重鎖及びそれらの修飾体を含む。用語「核酸」と「ポリヌクレオチド」は本明細書では相互に交換して使用できる。
用語「DNA構造体」は、本明細書で使用する場合、少なくとも2個のポリヌクレオチド断片を含む核酸配列をいう。
本明細書で使用する場合、用語「レポーター」は容易に検出され測定できるタンパク質をいう。ある場合には、レポーターは光学的に検出できる(例.ケイ光、発光または発色)。
用語「シグナル配列」または「シグナルペプチド」は、タンパク質のN-末端にあるアミノ酸配列をいい、タンパク質の成熟型の細胞外への分泌を促すものである。細胞外タンパク質の成熟型は分泌過程で切断されるのでシグナル配列を欠いている。
用語「ベクター」は、本明細書では1個以上のタイプの細胞に導入するための、核酸配列を担うデザインされたポリヌクレオチドである。ベクターはクローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージまたはウィルス粒子、DNA構造体、カセット等を含む。発現ベクターはプロモーター、シグナル配列、コーディング配列及び転写終結因子のような調節配列を含んでも良い。
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」は適した宿主細胞中のタンパク質の発現を行うことのできる適した調節配列に機能的に連結しているコーディング配列を含むDNA構造体をいう。このような調節配列は転写を行うプロモーター、転写を調節する任意のオペレーター配列、mRNAに適したリボゾーム結合部位をコードする配列、エンハンサーと転写と翻訳の終止を調節する配列を含んでも良い。
本明細書で使用する場合、用語「ポリペプチド」と「タンパク質」は相互に入れ替えて使用され、何個かのアミノ酸残基の重合体をいうことを含む。この用語は、天然のアミノ酸の重合体のほか、1個以上のアミノ酸残基が相当する天然のアミノ酸の人工的な化学的類似体であるアミノ酸の重合体にも適用される。この用語はまた、ポリペプチドが機能を発揮できるような保存的アミノ酸置換を含むポリマーにも使用される。「ペプチド」は50個未満のアミノ酸残基をもつポリペプチドである。
「宿主細胞」は組換核酸を含む細胞であり、組換核酸は宿主細胞のゲノムまたは宿主細胞のゲノムから自律的に複製を行う染色体外のベクターに含まれる。宿主細胞はどのタイプの細胞でも良い。
「形質転換」はDNAが染色体外因子または染色体に組み入れられたものとして細胞に維持されるように細胞にDNAを導入することをいう。
「不活性化された遺伝子」は、不活性化の前にはタンパク質を産生することができた(つまり、完全な長さの、触媒活性をもつポリペプチドに翻訳されるRNAに転写されることができた)ゲノム中の遺伝子座に位置する遺伝子をいう。遺伝子が転写、翻訳されて完全な長さの触媒的に活性なタンパク質を産生しないとき、遺伝子は不活性化されている。例えば、その転写に必要な配列を変え、RNA処理(例.ポリA末端の付加)に要する配列を変え、翻訳に必要な配列を変えることにより遺伝子は不活性化される。欠失された遺伝子、欠失した領域を含む遺伝子、転移した領域を含む遺伝子、不活性化ポイント変異またはフレームシフト変異(frameshift)をもつ遺伝子及び挿入を含む遺伝子は不活性化された遺伝子のタイプである。遺伝子はアンチセンス、RNA干渉又はその遺伝子の発現を止めるその他の方法を用いても不活性化される。
用語「回収された」、「単離された」及び「分離された」は本明細書で使用する場合、天然状態で組み合わされていた少なくとも1個の成分から取り出されたタンパク質、細胞、核酸またはアミノ酸をいう。
本明細書では、「培養」は液体、固体、半固体培地で適当な条件下、微生物細胞の個体数を増やすことをいう。一実施態様では、培養は目的とする外来のタンパク質または他の所期の目的物の発酵による組換体の生産をいう。通常、発酵は発酵槽又は反応器で起こる。
本明細書で使用する場合、用語「スブチリシン」と「スブチリシンタンパク質」は、ぺプチダーゼのS8ファミリーのセリンエンドペプチダーゼをいう。スブチリシンタンパク質は、IUMBM酵素命名法のEC3.4.21.62として記述される活性をもつ。典型的なスブチリシンタンパク質の活性は一般的にPhilippら(Mol.Cell.Biochem.1983 51:5-32)で一般的に述べられている。
本明細書で使用する場合、用語「ストレプトマイセススブチリシン阻害剤タンパク質」または「SSIタンパク質」は、ストレプトマイセスアルボグリセオルス由来の天然に生じるSSIタンパク質をいう。
(SEQ ID NO:1)及び、後にさらに詳細に述べられるように、そのタンパク質の変異種はスブチリシン阻害活性を保持する。SSIタンパク質はスブチリシンのプロテアーゼ活性を阻害する。
別に記載がある場合を除き、ストレプトマイセススブチリシン阻害剤タンパク質の全てのアミノ酸の位置は、BLASTP プログラム(Altschul,Nucl.Acids Res. 1997 25:3389-3402; Schaeffer, Bioinformatics 1999 15:1000-1011) を初期条件で使用して、そのタンパク質をSEQIDNO:1と位置合わせをした後に、SEQIDNO:1と比較して決められる。BLASTP プログラムは国立バイオテクノロジー情報センター(National Center of Biotechnology Information (NCBI))のワールドワイドウェブサイトから利用できる。

SSI タンパク質
先に述べたように、ストレプトマイセススブチリシン阻害剤(SSI)タンパク質を分泌する宿主細胞が提供される。対象となる宿主細胞は、一般的に、シグナル配列とSSIタンパク質を、機能的に連結して含む融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む。
このSSIタンパク質は、ストレプトマイセスのいずれかの種(例.ストレプトマイセスアルボグリセオルス(SEQ ID NO:1)のSSIタンパク質)に由来する天然のSSIタンパク質または、スブチリシンプロテアーゼ阻害活性を保持するその変異種でも良い。スブチリシンプロテアーゼ阻害活性を保持する変異SSIタンパク質の例は知られており、WO00/01826の表2-10に記載の約230個のSSIタンパク質、及び、KojimaらのJ.Biochem(1991) 109:377-382、KojimaらのProtein Eng (1990) 3:527-530、TamuraらのBiochemistry(1994) 33:14512-14520、TamuraとSturtevantのJ.Mol.Biol(1995) 249:625-635、TamuraとSturtevantのJ.Mol.Biol.(1995)249:646-653、GanzらのProtein Eng. Design and Selection(2004) 17:333-339及びWO98/13387に記載のものを含む。これらの引用文献は、そこに開示されている全てのSSIタンパク質配列を含め、引用により本明細書に組み入れられる。ある実施態様では、SSIタンパク質はSEQIDNO:1と少なくとも80%同一、例えば、SEQIDNO:1と少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%または99%同一であるアミノ酸配列を有しても良い。特定の実施例では、SSIタンパク質のアミノ酸配列は、SEQID NO:1と少なくとも90%または少なくとも95%同一でも良く、SEQID NO:1と比べて以下のアミノ酸置換を含んでいる。つまり、A62K、L63I、M73P、D83C及びS98Eである。従って、特定の実施態様では、SSIタンパク質のアミノ酸配列はSEQID NO:1と少なくとも90%または少なくとも95%同一であり、62番目にLys、63番目にIle、73番目にPro、83番目にCys及び98番目にGluを有し、SSIのこれらの各位置は、SSIタンパク質とSEQIDNO:1が標準的配列位置合わせ法(例えば、初期パラメータを用いたBLASTP(Altschul, Nucl. Acids Res (1997)25:3389-3402; Schaeffer, Bioinformatics(1999) 15:1000-1011))を用いて位置合わせされたとき、SEQIDNO:1と比較して決められる。特定の実施態様では、このSSIタンパク質はSEQIDNO:2のアミノ酸配列を有しても良い。
ある実施態様では、対象宿主細胞により産生されたSSIタンパク質はスブチリシンプロテアーゼの存在下、ストレプトマイセス・アルボグリセオルス(SEQID NO:1)の天然のSSIタンパク質と比較して、高い又は低い安定性を有しても良い。他の実施態様では、対象宿主により産生されたSSIタンパク質は、ストレプトマイセス・アルボグリセオルス(SEQID NO:1)の天然のSSIタンパク質と比較して、スブチリシンプロテアーゼに対し高くなった又は低くなった結合親和性を有しても良い。そのようなSSIタンパク質のいくつかの例は先の段落で述べた引用文献に記載されている。
一実施態様では、このSSIタンパク質はSEQIDNO:2のアミノ酸配列を有しても良く、これは、上記、Ganzの記事において述べられているように、ストレプトマイセス・アルボグリセルス(SEQ ID NO:1)の天然のSSIタンパク質よりもスブチリシンプロテアーゼ存在下で安定であり、スブチリシンプロテアーゼにより低い親和性(例.160+/-17nMのKi)をもつSSIタンパク質である。

組換核酸
対象の細胞の組換核酸は一般的に、宿主細胞に、機能的に連結した、プロモーター、シグナル配列とSSIタンパク質を含む融合タンパク質をコードするコーディング配列、及び終止配列を含む発現カセットを含む。ここで発現カセットは宿主細胞で融合タンパク質の産生するに十分なものである。
シグナル配列、プロモーター及びターミネーターの選択は使用される宿主細胞により変わる。上記のように、ある実施態様では、ストレプトマイセス宿主細胞が使用され、この場合、シグナル配列はcelAシグナル配列でも良い。ある場合には、Kluepfel らが述べているように(Nature Biotechnol. 1996 14:756-759)このcelAシグナル配列はS・リビダンスセルラーゼA遺伝子、CelAによりコードされるシグナル配列でも良い。特定の実施態様では、celAシグナル配列のアミノ酸配列はSEQID NO:3の配列である。バチルス宿主細胞が使用される他の実施態様では、シグナル配列はバチルス宿主細胞の分泌経路に融合タンパク質を向けることが出来るアミノ酸のいずれの配列でも良い。ある例では、使用されるシグナル配列は野生型バチルス細胞から分泌されるタンパク質のシグナル配列を含む。そのようなシグナル配列はα-アミラーゼ、プロテアーゼ(例.aprEまたはスブチリシンE)またはβ-ラクタマーゼ遺伝子によりコードされるシグナル配列を含む。典型的なシグナル配列は、いずれかの適したバチルス属の種(B・ステアロテルモフィルス、B・リケニフォルミス、B・レンツスとB・アミロリケファシエンスを非限定的に含む)のα-アミラーゼ遺伝子、スブチリシン遺伝子、β-ラクタマーゼ遺伝子、中性プロテアーゼ遺伝子(例.nprT,nprS、nprM)またはprsA遺伝子によりコードされているシグナル配列を、非限定的に含む。ある実施態様では、シグナル配列は、B・スブチリス(Appl.Microbiol.Biotechnol. 2003 62:369-73に述べられているように)のaprE遺伝子によりコードされる。さらに、シグナルペプチドは、SimonenとPalva(Microbiological Reviews 1993 57: 109-137)と他の文献に述べられている。
バチルス属とストレプトマイセス属宿主細胞で使用される、適したプロモーターとターミネーターは知られており、以下のものを含む。apr(アルカリプロテアーゼ)、npr(中性プロテアーゼ)、amy(α-アミラーゼ)及びβ-ラクタマーゼ遺伝子、及びB・スブチリス・レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、B・リケニフォルミスアルファアミラーゼ遺伝子(amyL)、B・ステアロテルモフィルス・マルトース産生アミラーゼ遺伝子(amyM)、B・アミロリケファシエンスアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、B・リケニフォルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)、B・スブチリスxylA及びxylB 遺伝子のプロモーターとターミネーター、WO93/10249、WO98/07846とWO99/43835に述べられているプロモーターとターミネーター。ストレプトマイセス宿主細胞で使用される発現カセットは、例えば、”Genetic Manipulation of Streptomyces: A Laboratory Manual”(Hopwood らCold Spring Harbor Laboratories, 1985)、HopwoodらのRegulation of Gene Expression in Antibiotic-producing Streptomyces 、Booth, I. and Higgins, C.(編)SYMPOSIUM OF THE SOCIETY FOR GENERAL MICROBIOLOGY, REGULATION OF GENE EXPRESSION, Cambridge University Press, 1986, 251-276頁、及びFornwaldらのProc. Natl. Acad. Sci. 1987 84:2130-2134、PulidoらのGene, 1987 56:277-82、DehottayらのEur.J.Biochem.1987 166:345-50、TaguchiらのGene, 1989 84:279-86、Schmitt-JohnらのAppl. Microbiol. Biotechnol. 1992 166:345-50、MontamediのGene 1995 160:25-31及びBinnie のProtein Expr. Purif. 1997 11:271-8に述べられているプロモーターとターミネーターを用いて構築できる。一実施態様では、A4プロモーターが使用でき、このプロモーターはWO06/054997(引用により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
特定の実施態様では、組換核酸はさらに、組換核酸を含む細胞を、組換核酸を含まない他の細胞から選択するための選択マーカーを含んでも良い。典型的な選択マーカーは前段落に引用されている文献に述べられ、抗生物質に対し耐性(例.ハイグロマイシン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、フレオマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、チオストレプトン等に対する耐性)を与える選択マーカーを非限定的に含む。
ある実施態様では、コーディング配列は、使用された宿主細胞内に融合タンパク質を発現させるために最適化されたコドンでも良い。多くの細胞における各コドンの用法を一覧にしたコドン表は、本技術分野で知られ(例.Nakamuraら、Nucl.Acids Res. 2000 28:292)または容易に作ることができるので、そのような核酸は、容易にデザインされ、発現されるべきタンパク質のアミノ酸配列を与える。
対象となる組換核酸は、宿主細胞のゲノム(例.核ゲノム)に存在し(例.組み入れられ)、または、宿主細胞で自律的に複製するベクター(例.ファージ、プラスミド、ウィルスまたはレトロウィルスベクター)に含まれる。ある実施態様では、このベクターは宿主細胞にタンパク質を発現する発現ベクターでも良く、そのような場合、さらに先に述べた、第2の発現カセットを含んでも良い。
ストレプトマイセス属及びバチルス属の宿主細胞で組換タンパク質を発現するベクター系は本技術分野で知られており、先に述べたより詳細に述べる必要はない。

宿主細胞
対象組換核酸を含む宿主細胞も提供される。この宿主細胞はB・スブチリス、B・リケニフォルミス、B・レンツス、B・ブレビス、B・ステアロテルモフィルス、B・アルカロフィルス、B・アミロリケファシエンス、B・クラウシ、B・ハロジュランス、B・メガテリウム、B・コアグランス、B・サーキュランス、B・ラウツス、B・スリンギエンシスまたはS・リビダンス、S・カルボフィルス、S・コエロカラー(S.coelocolor)、S・ルビギノスス、R・アルボグリセオウルス及びS・ヘルバチクスを非限定的に含む、いずれのバチルス属の種またはストレプトマイセス属の種でもよい。いくつかの実施態様では、宿主細胞は、FDAからのGRASステータス(つまり、「一般に安全であると認識される」ステータス)をもつ、タンパク質の生産に使用された実績のある株の細胞でも良い。
先に述べたように、いくつかの特定の好ましい実施態様では、バチルス属の種の宿主細胞は9個の不活性化されたプロテアーゼ遺伝子を含む(aprE、nprE、epr、ispA、bpr、vpr、wprA、mpr-ybjF及びnprB)。いくつかの実施態様では、宿主細胞は以下の遺伝子型をもつB・スブチリス細胞でも良い。degUHy32、oppA、ΔspoIIE3501、ΔaprE、ΔnprE、Δepr、ΔispA、Δbpr、Δvpr、ΔwprA、Δmpr-ybjF、ΔnprB、amyE::xylRPxylAcomK-ermC。
全B・スブチリスゲノムの配列は一般に入手でき、注釈され(例えば、Moszer, FEBS Lett. 1998 430:28-36参照)、B・スブチリスのプロテアーゼは同定され、詳細に検討され(Heら Res. Microbiol. 1991 142:797-803参照)、そしてバチルス細胞の遺伝子破損法は一般的に本技術分野で良く知られている(例えば、Leeら、Applied and Environmental Microbiology 2000 66:476-480;Yeら、Proceedings of the International Symposium on Recent Advances in Bioindustry 1996 160-169ページ、Seoul, Korea: The Korean Society for Applied Microbiology; WuらJ. Bacteriol. 1991 173:4952-4958;及びSloma ら J. Bacteriol. 1991 173:6889-6895)ので、そのような株の構築は本技術分野の技術者が十分に行える。
特定の実施態様では、不活性化されたSSI遺伝子をもつストレプトマイセス宿主細胞が使用されても良い。
ある実施態様では、SSIタンパク質の生産に適した組換え核酸を含むことに加え、宿主細胞はスブチリシンタンパク質(つまり、この細胞により産生されたSSIタンパク質により阻害を受ける酵素)を発現するための組換核酸を含んでも良い。そのような特定の実施態様では、細胞は、機能的に連結した、以下の因子を含む発現カセットを含んでも良い。プロモーター、スブチリシンタンパク質をコードするコーディング配列(このスブチリシンタンパク質はシグナル配列と先のスブチリシンタンパク質を含む融合タンパク質に含まれても良い。)、及び終止配列。ここで、発現カセットは宿主細胞に融合タンパク質を産生するに十分なものである。
スブチリシンタンパク質は野生型ゲノムにあるアミノ酸配列を有しても良い(つまり、スブチリシンは天然のスブチリシンでも良い)。または天然のスブチリシンの変異種でも良く、そのため野生型ゲノムによりコードされたスブチリシンと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%同一性のあるアミノ酸配列を含んでも良い。スブチリシンの例は、ALCANASE(登録商標)(Novozymes)、FNA(商標)(Genencor)、SAVINASE(登録商標)(Novozymes)、PURFECT(商標)(Genencor)、KAP(商標)(Kao)、EVERLASE(商標)(Novozymes)、PURAFECT OXP(商標)(Genencor)、FN4(商標)(Genencor)、BLAP S(商標)(Henkel)、BLAP X(商標)(Henkel)、ESPERASE(登録商標)(Novozymes)、KANNASE(商標)(Novozyme)及びPROPERASE(商標)(Genencor)を含む。他の実施態様では、このスブチリシンは、スブチリシン168、スブチリシンBPN’、スブチリシン Carlsberg、スブチリシンDY、スブチリシン147またはスブチリシン309(例えば、EP414279B、WO89/06279及びStahlら、J.Bacteriol. 1984 159:811-818参照)でも良い。本明細書で使用できる典型的なスブチリシンと他のプロテアーゼは、WO99/20770、WO99/20726、WO99/20769、WO89/06279、RE34,606、米国特許第4,914,031号、米国特許第4,980,288号、米国特許第5,208,158号、米国特許第5,310,675号、米国特許第5,336,611号、米国特許第5,399,283号、米国特許第5,441,882号、米国特許第5,482,849号、米国特許第5,631,217号、米国特許第5,665,587号、米国特許第5,700,676号、米国特許第5,741,694号、米国特許第5,858,757号、米国特許第5,880,080号、米国特許第6,197,567号そして米国特許第6,218,165号に記載されているものを含む。スブチリシンは一般的に、Siezenが非常に詳細に報告している(Protein Sci. 1997 6:501-523)。洗剤添加剤スブチリシンはBryan (Biochem. Biopys.Acta 2000 1543:203-222)、Maurer(Current Opinion in Biotechnology 2004 15:330-334)及びGupta(Appl Microbiol Biotechnol. 2002 59:15-32)が報告している。目的のスブチリシンはIUMBM 酵素命名法のEC3.4.4.16として記述される活性をもつ。
これらの実施態様では、SSIコーディング配列とスブチリシンコーディング配列は、異なる組換核酸の一部でも良く、または同一の組換核酸の部分でも良い(例えば、異なるベクターに存在するまたは同一のベクターに存在する)。特定の実施態様では、このSSIタンパク質とスブチリシンは1個の細胞で同時に発現されても良く、その結果両タンパク質は宿主細胞から培地へ分泌される。
細胞の培養が提供される。ある実施態様では、先に述べたように細胞の培養は複数のストレプトマイセス属の種である宿主細胞またはバチルス属の種である宿主細胞と培地を含む。培地はSSIタンパク質を含み、ある実施態様では、培地はSSIタンパク質とスブチリシンタンパク質の両者を含んでも良い。ある実施態様では、このSSIタンパク質とスブチリシンタンパク質は培地で共に複合体を形成し、その結果、この培地は、SSIタンパク質の存在しない条件下で同一量のスブチリシンタンパク質が含まれている培地と比較してスブチリシンプリテアーゼ活性が低い。

タンパク質生産法
上記の細胞を用いる方法も提供される。ある実際態様では、対象である方法はSSIタンパク質を生産する対象細胞を培養する。ある実施態様では、先に述べたように、このタンパク質は培地に分泌されても良い。本法の特定の実施態様は培地からタンパク質を回収する段階を含む。宿主細胞がスブチリシンタンパク質の発現のための組換核酸を含むか否かにより、SSIタンパク質は、スブチリシンタンパク質とともに又はスブチリシンタンパク質を含まずに培地から回収されても良い。特定の実施態様では、SSIタンパク質とスブチリシンタンパク質は培地で複合体を形成しても良く、SSIタンパク質とスブチリシンタンパク質を含む複合体は培地から回収されても良い。
SSIタンパク質はいずれかの好適な方法、例えば、沈殿、遠心分離、アフィティー、ろ過又は本技術分野で知られている他の方法により培地から回収されても良い。例えば、アフィニティークロマトグラフィー(Tilbeurghら、(1984)FEBS Lett. 16:215);イオン交換クロマトグラフィー法(Goyalら(1991) Biores. Technol. 36: 37; Filessら(1983) Eur. J. Appl. Microbiol. Biotechnol. 17:314; Bhikhabhaiら(1984) J. Appl. Biochem. 6:336;及びEllouz ら(1987) Chromatography 396:307)、高分離性能をもつ物質を用いたイオン交換法(Medveら(1998) J. Chromatography A808:153); 疎水性相互作用クロマトグラフィー(Tomaz とQueiroz(1999)J. Chromatography A865:123);二相分配(Brumbauerら(1999) Bioseparation 7:287);エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はDEAEのような陽イオン-交換樹脂でのクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;及びゲルろ過(例.SEPHADEX G-75を用いる)を用いることが出来る。特定の実施態様では、洗剤添加用タンパク質は培地の他の成分から精製を受けることなく使用されても良い。ある実施態様では、培地の成分は、例えば単に濃縮されても良く、その後SSIタンパク質(又は、SSIタンパク質/スブチリシン複合体)を、培地の他の成分からそれ以上に精製することなく使用されても良い。
いくつかの実施態様では、細胞は回分式、流加培養または連続培養条件で培養されても良い。古典的なバッチ発酵法はクローズドシステムを用い、これは発酵を開始する前に培地が調製される。培地は所望の生物により接種を受け、発酵は、その後培地へ成分を加えることなく行われる。ある場合には、培地のpHと酸素濃度が、回分法の間に変わることはあるが、炭素源の濃度は変わらない。回分系の代謝物と細胞のバイオマスは発酵が終了するまで、一定の割合で変化する。回分系では細胞は、普通、細胞数が増えない誘導期を経て、高速対数増殖期と最後の増殖速度が減少し又停止する静止期に到る。処理を行わない場合、静止期の細胞は最後に死滅する。一般的には、細胞は対数増殖期に殆どのタンパク質を産生する。
標準的回分系の変形は、「流加培養発酵」系である。この系では、培地の濃度が閾値未満になったときにのみ、栄養素(例.炭素源、窒素源、セール(sale)、O2、または他の栄養素)が加えられる。流加培養系は、異化産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向があるとき、また培地に限定された量の栄養素があることが望ましい場合に有用である。流加培養系の実際の栄養素の濃度はpH、溶存酸素、CO2のような廃ガスの分圧のような測定可能因子の変化に基づき見積もられる。回分式及び流加培養は一般的であり、本技術分野で知られている。
連続培養は、バイオリアクターに一定量の培地が連続的に加えられ、等量の反応を受けた培地が同時に取り除かれ処理を受ける開放系である。連続発酵は一般的に、細胞が主に対数増殖期にあり、定常的に高密度に培地を維持する。
連続培養は細胞増殖及び/又は最終製品濃度に影響を与える1因子又はいくつかの因子の調整が可能である。例えば、一実施態様では、炭素源または窒素源のような制限栄養素は一定速度に維持され、全ての他の変数は調整できる。他の系では、細胞濃度(培地の濁りで測定される)は一定に保ちながら、増殖に影響する多くの因子は、連続的に変化することができる。連続システムは定常状態の増殖条件を維持するように図る。従って、培地が流出することによる細胞の損失は、発酵における細胞増殖速度により釣り合わされる。連続発酵法の栄養素と増殖因子の調整方法は、生成物生成の速度を最大化する技術と合わせて知られている。

使用法
先に述べた方法を用いて産生されるSSIタンパク質は、洗浄剤組成物(例.布地洗浄組成物(例えば、洗濯洗剤)、表面洗浄剤組成物、皿洗い洗浄剤組成物及び自動皿洗機洗剤剤組成物)を非限定的に含むスブチリシンプロテアーゼを含むいずれの製品にも使用できる。そのような洗浄剤組成物はWO0001826に詳細に述べられ、引用により本明細書組み入れられる。ある特定の実施態様では、洗浄剤組成物はホウ砂を含まない組成物である。特定の実施態様では、このSSIタンパク質は洗浄剤組成物に加えられる前にスブチリシンプロテアーゼと複合する。他の実施態様では、SSIタンパク質はスブチリシンプロテアーゼを加える前、加えると同時、加えた後に洗浄剤組成物に加えられても良い。
特定の実施態様では、SSIタンパク質は、約1%から80%、例えば、5%から50%(重量で)の界面活性剤(非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤、またはそれらの混合物、例えば、アニオン性及び非イオン性界面活性剤の混合物でも良い。)を含むスブチリシン含有洗濯洗剤組成物で使用される。界面活性剤の例は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含むアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、直鎖アルキル硫酸ナトリウム、アルキルフェノキシポリエトキシエタノール(例.ノニルフェノキシエトキシレート又はノニルフェノール)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンを含む。洗濯洗剤に含まれてもよい界面活性剤の例は米国特許第3,664,961号、第3,919,678号、第4,222,905号、第4,239,659号で述べられている。
洗濯洗剤は固体、液体、ゲルまたは塊状であっても良く、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのような緩衝剤、又は、洗剤ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、酵素、酵素安定化剤、発泡促進剤、抑制剤、変色防止剤、腐食防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ遊離剤、殺菌剤、pH調整剤、非ビルダー性アルカリ性物質、キレート剤、有機又は無機増量剤、溶媒、ヒドロトロープ、光学的漂白剤、染料または香料をさらに含んでも良い。洗濯洗剤は少なくともさらに、SSIタンパク質によりスブチリシン誘導分解から保護された酵素(例.別のプロテアーゼ、またはアミラーゼ、ペクテート分解酵素またはリパーゼ)を含んでも良い。
このSSIタンパク質は、ペプチドの汚れの除去が必要なとき種々の表面の洗浄に有用ないずれの組成物において使用されても良い。そのような洗浄剤組成物は、堅い表面の洗浄用の洗剤組成物(形態は限定されない(例えば、液体、ゲル、塊及び顆粒形態));布地洗浄用洗剤組成物(形態は限定されない(例えば、顆粒、液体、ゲル、塊の形態));皿洗い組成物(形態は限定されない);口腔洗浄剤組成物(形態は限定されない)(例.歯磨き粉、練り歯磨き、ゲルと口腔洗浄調合剤);義歯洗浄剤組成物(形態は限定されない(例.液体、ゲル又は錠剤));及びコンタクトレンズ洗浄剤組成物(形態は限定されない(例.液体、錠剤)を含む。
洗浄剤組成物は、また、本明細書に記載されたタンパク質に加えて、プロテアーゼ阻害剤と適合する一以上の洗浄剤組成物原料も含んでよい。用語「洗浄剤組成物原料」は、本明細書では、洗浄剤組成物用の、所望の特定のタイプ及び製品の形態(例.液体、顆粒、塊、スプレー、スティック、ペースト、ゲル)に適するよう選ばれる液体、固体または気体のいずれかの物質であり、その組成物中で使用される変異種にも適合しているものである。洗浄剤組成物原料の具体的な選択は、洗浄を受ける表面の材料、使用時の洗浄条件(例えば洗剤の使用の間)に適した組成物の好ましい形態を考慮することにより容易に行われる。本明細書で使用する場合、「非布地用洗浄剤組成物」は、堅い表面の洗浄剤組成物、皿洗い組成物、口腔洗浄剤組成物、義歯洗浄剤組成物及びコンタクトレンズ洗浄剤組成物を含む。
SSIタンパク質は種々の従来の成分と共に使用されて、十分に調合された堅い表面の洗浄剤、皿洗い組成物、布地洗濯組成物等を与える。そのような組成物は、液体、顆粒、塊等の形態でも良い。そのような組成物は界面活性剤の重量で30-60%も含む最新の「濃縮」洗剤として調合できる。
本明細書の洗浄剤組成物は任意に、好ましくは、種々のアニオン性、非イオン性、両性等の界面活性剤を含み得る。そのような界面活性剤は、通常、組成物の約5%から約35%の水準で含まれる。
他の活性成分、担体、ヒドロトロープ、処理助剤、染料または色素、液体調合剤の溶媒等、洗剤洗浄剤組成物で有用な多くの他の成分を、本明細書の組成物に含めることができる。泡立ちの増加が好ましい場合、C10-C16のアルコールアミドのような発泡促進剤を、通常約1%から約10%水準で組成物に加えることができる。
洗剤組成物は担体として水と他の溶媒を含み得る。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールのような低分子量の1級または2級アルコールが適している。一水和アルコールは、界面活性剤を溶解するために好ましい。しかし、約2から約6炭素原子と約2から6個の水酸基(例.1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセリン及び1,2-プロパンジオール)を含むもののようなポリオールもまた使用できる。この組成物は約5%から約90%の、通常約10%から約50%のそのような担体を含んでも良い。
本明細書の洗剤組成物は、水での洗浄において、洗浄液が約pH6.8と約11.0の間のpHをもつように調合できる。そのため最終製品は、通常、この範囲で調合される。推奨使用水準にpHを調整する技術には、緩衝液、アルカリ、酸などの使用が含まれ、本技術分野の技術者に良く知られている。
過炭酸塩、過ホウ酸塩等の種々の漂白化合物は通常は、重量で約1%から約15%の水準でそのような組成物で使用できる。好ましい場合は、そのような組成物は、本技術分野でまた知られている、テトラアセチルエチレンジアミン、ノナノイロキシベンゼンスルホン酸塩等のような漂白活性剤も含み得る。使用水準は、重量で、通常、約1%から約10%の範囲にある。
種々の汚れ遊離剤、特にアニオン性オリゴエステル型のもの、種々のキレート剤、特にアミノホスホン酸塩とエチレンジアミンジコハク酸塩、種々の粘土汚れ除去剤、特にエトキル化されたテトエチレンペンタミン、種々のアニオン性増白剤、種々の発泡抑制剤、特にシリコーンと2級アルコール、種々の布地柔軟剤、特にスメチッククレー等は重量で約1%から約35%の範囲の水準でそのような組成物に使用できる。標準的処方書と公開された特許には、そのような従来型の材料について多くの詳細な説明が述べられている。
酵素安定化剤は、洗浄剤組成物の中でも使用されても良い。そのような安定化剤プロピレングルコール(好ましくは、約1%から約10%)、ギ酸ナトリウム(好ましくは、約0.1%から約1%)及びギ酸カルシウム(好ましくは約0.1%から約1%)を含む。
本発明の堅い表面の洗浄剤組成物と布地洗浄剤組成物を調合するときは、調合者は、重量で約5%から約50%の水準で種々のビルダーを使用することを希望するかもしれない。典型的なビルダーは、1-10ミクロンのゼオライト、クエン酸塩とオキシジコハク酸塩のようなポリカルボン酸塩、層化シリケート、リン酸塩等を含む。他の従来のビルダーは標準的な処方書に記載されている。
他の光学的成分はキレート剤、粘土汚れ除去剤/汚れ再付着防止剤、ポリマー性懸濁剤、漂白剤、増白剤、発泡抑制剤、溶媒及び美観向上剤を含む。
本発明とその長所をさらに説明するために以下の具体例が与えられるが、これは、本発明を説明するために提供され、その範囲を限定するものとして解釈されてはならないという理解が前提である。
実施例1
ストレプトマイセス・リビダンスでストレプトマイセス・スブチリシン阻害剤を発現する株の構築

野生型ストレプトマイセス・スブチリシン阻害剤(SSI)の5個のアミノ酸置換(A62K、L61IM73PD83CS98E;SEQID NO:4)を含むSSIはGanzら(Protein Engineering, Design & Selection 2004 17: 333-339)から得られた。このSSIタンパク質(SEQ IDNO:5)をコードするDNAはDNA2.0社(Menlo Park, CA)により合成された。2個のオリゴ配列がデザインされ(SEQ ID NO:6とSEQ ID NO:7)、成熟SSI-A62K L61IM73PD82CS98Eタンパク質をコードするDNA断片(SEQ ID NO:8)を増幅するために使用された。クローニングのため、制限酵素の部位NsiIがDNAの5’末端に導入され、制限酵素部位BamH1がDNAの3’末端に導入された。プライマーはInvitrogen社(Carlsbad, CA)により合成され、PCRで使用され、DNA、プライマー、マスター溶液及びQ溶液(HOT Star Taq、QIAGEN 社(Valencia, CA))を含むPCR反応混合物中でDNA断片が増幅された。このPCR反応は98℃、30秒、62℃、30秒及び72℃、1分8秒のサイクルを30回繰り返した。72℃での最終伸長は5分間行われ、反応は4℃に冷却された。NsiIからBamHI までのDNA断片は、NsiIとBamHIで切断された、ストレプトマイセス発現プラスミドpKB128(SEQ ID NO:9)にクローンされ、pKB128-STM-SSI-PG(図1)を作成した。このプラスミドpKB128は、3個の制限酵素部位:NsiI、MluI及びHapIを含むポリリンカー配列がBamHI部位の前に加えられていることを除きプラスミドpKB105と同一である。この発現プラスミド(pKB128-STM-SSI-PG)は、ストレプトマイセス・リビダンス株g3s3を形質転換し、形質転換された株は50μg/mlチオストレプトン存在下で30℃で2-3日TS培地で選別、培養された。細胞は次に、抗生物質を含まない培地へ移され、培養は、さらに3日続けられた。次に培地の一部が新しい試験管に移され、細胞は遠心分離により沈殿された。上澄液が酵素活性定量とタンパク質ゲル分析のために使用された。
1つのオリゴ配列がデザインされ(SEQ ID NO:10)、最初の3個のアミノ酸(SEQ ID NO:4)
のない成熟SSI-A62KL61IM73PD83CS98Eタンパク質をコードするDNA断片を増幅するために使用された。クローニングのため制限酵素部位NsiIがDNAの5’末端に導入され、制限酵素部位BamH1がDNAの3’末端に導入された。このプライマーは、Invitrogen社により合成され、これらはDNA、プライマー、マスター溶液とQ溶液(HOT Star Taq、Qiagen)を含むPCR反応混合物中でDNA断片を増幅するためにPCRで使用された。このPCR反応は98℃30秒、62℃30秒、72℃1分8秒のサイクルを30回繰り返した。最後の伸長反応は72℃で5分間行われ、反応は4℃まで冷却された。このDNA断片(NsiIからBamHIまでの断片、SEQID NO:11)は、NsilとBamHIで切断されたストレプトマイセス発現プラスミドpKB128(SEQ ID NO:9)にクローンされ、発現プラスミド(pKB128-STM-SSI-PG短鎖)が作成された。このプラスミドは、成熟タンパク質のN-末端の3個のアミノ酸が除去されたことを除きpKB128-STM-SSI-PG(図1)と同一である。このプラスミドは、ストレプトマイセス・リビダンス株g3s3を形質転換し、形質転換株が、50μg/mlのチオストレプトンの存在下で30℃で、TS培地で2-3日間、選別され培養された。細胞は次に抗生物質を含まない培地に移され、培養はさらに3日間継続された。一部が新しいチューブに移され、細胞は遠心分離により沈殿させられた。上澄液が酵素活性の定量とタンパク質ゲル分析のために使用された。

実施例2
SSI遺伝子由来のシグナル配列を用いたストレプトマイセススブチリシン阻害剤変異種を発現する株の構築
合成DNA配列(SEQ ID NO:5)はS・アルボグリセオルス(SEQ ID NO:12)のSSIシグナルペプチドに機能的に連結しているSEQID NO:4のSSI変異種をコードする。NcoI部位がDNAの5’末端に導入され、アミノ酸グリシン残基は2番目にくる。BamH1制限部位も、またクローニングの目的でDNAの3’末端に導入された。合成DNAはNcoIとBamHIにより切断された。この断片はゲルから単離され、BamHIで完全に、NcoIで部分的に切断されたストレプトマイセス発現プラスミドpKB105にクローンされた。この発現プラスミド(pKB105-SSI-PG、図2)は、ストレプトマイセス・リビダンス株g3s3を形質転換した。この形質転換株は、50μg/mlのチオストレプトンの存在下で30℃で2-3日間、TS培地で選別され培養された。細胞は次に抗生物質を含まない培養培地に移され、培養はさらに3日間継続された。一部が新しいチューブに移され、細胞は遠心分離により沈殿させられた。上澄液が酵素活性の定量とタンパク質ゲル分析のために使用された。

実施例3
CelA シグナル配列を使用するストレプトマイセス・リビダンスにおけるストレプトマイセス・スブチリシン阻害剤変異種を発現する株の構築
1個のオリゴ配列がデザインされ(SEQ ID NO:13)、オリゴ(SEQ ID NO:7)と共に使ってcelAシグナル配列と成熟SSI-A62KL61IM73PD82CS98Eタンパク質の一部をコードするDNA断片(SEQID NO:14)を増幅した。SEQID NO:14でコードされたタンパク質のアミノ酸配列はSEQID NO:15である。プライマーはInvitrogen社により合成され、これらはDNA、プライマー、マスター溶液及びQ溶液(HOT StarTaq, Qiagen)を含むPCR反応混合物のDNA断片を増幅するため、PCRに使用された。このPCR反応は98℃で30秒、62℃で30秒、72℃で1分8秒のサイクルを30回繰り返した。最後の伸長反応は72℃で5分間行われ、反応は4℃に冷却された。このPCR断片は制限酵素NheIとBamHIで切断された。切断された断片はNheIとBamHIで切断されたストレプトマイセス発現プラスミドpKB105にクローンされ発現プラスミドpKB-celA-SSI-PG(図3)を作成した。この発現プラスミドはストレプトマイセス・リビダンス株g3s3を形質転換し、この形質転換株は、50μg/mlのチオストレプトンの存在下で、30℃で2-3日間、TS培地で選別され培養された。細胞は次に抗生物質を含まない培養培地に移され、培養はさらに3日間継続された。一部が新しいチューブに移され、細胞は遠心分離により沈殿させられた。上澄液が酵素活性の定量とタンパク質ゲル分析のために使用された(図4)。

実施例4
ストレプトマイセス・スブチリシン阻害剤遺伝子が欠失する株の構築
2個のオリゴ配列がデザインされ(SEQ ID NO:16とSEQ ID NO:17)、ストレプトマイセス・リビダンスSSI遺伝子の5’末端側を増幅するために使用された。2個の他のオリゴ配列がデザインされ(SEQID NO:18とSEQIDNO:19)、ストレプトマイセス・リビダンスSSI遺伝子の3’末端側を増幅するために使用された。このプライマーはInvitrogen社により合成され、DNA、プライマー、マスター溶液とQ溶液(HOT StarTaq, Qiagen)を含むPCR反応混合物のDNA断片を増幅するため、PCRに使用された。このPCR反応は98℃で30秒、62℃で30秒、72℃で1分8秒のサイクルを30回繰り返した。最後の伸長反応は72℃で5分間行われ、反応は4℃に冷却された。5’末端のDNA断片(SEQIDNO:20)がXbaIとHindIIIで切断され、3’末端のDNA断片(SEQIDNO:21)はHindIIIとPstIで切断された。これらは、XbaIとPstIで切断されたプラスミドpKB65にクローンされ、pKB65-5’/3’ SSIが作成された。アパラマイシン耐性遺伝子を含むHindIII断片(SEQ ID NO:22)がpKB65-5’/3’SSIのHindIII部位にクローンされ、SSI遺伝子が欠失したプラスミドpKB65/SSI5’/apra/3’が作成された(図5)。このプラスミドは、ストレプトマイセス・リビダンス株g3s3を形質転換した。

実施例5
バチルス・スブチリスにストレプトマイセススブチリシン阻害剤変異種を発現する株の構築
アミノ酸置換:A62K、L63I、M73P、D83C及びS98E (Philip J. Ganzら Protein EngDesSel. 2004 17:333-9)をもつストレプトマイセス・アルボグリセオルス(Streptomyces albogriseolus)由来のSSIをコードするポリヌクレオチドであって、バチルス・スブチリスでの発現に最適化されたコドンが合成された(SEQID NO:23)。このポリヌクレオチドの5’末端は、HpaI制限部位(イタリックス)を含み、このポリヌクレオチドの最初の51個のヌクレオチドは、aprE分泌シグナルのC末端の17個のアミノ酸をコードし、連結して完全なaprE分泌シグナルになることができる。3’末端はSSI遺伝子の終止コドンの直後にHindIII制限部位を含む。このSSIタンパク質はこの配列の52番目から390番目のヌクレオチドによりコードされている。この遺伝子はその後、合成的に構築された(DNA 2.0社、Menlo Park, CA)。
このポリヌクレオオチドによりコードされたタンパク質のアミノ酸配列はSEQIDNO:24に表されている。このタンパク質はC末端に17個のアミノ酸aprE分泌シグナルを含む。
SSIをコードする配列はHpaIとHindIIIにより切断され、やはりHpaIとHindIIIで切断されたベクターpJHaprEssと連結された。このpJHaprEssベクターはpJH101を基本にするベクター(Ferrariら、J.Bacteriol., 152:809-814[1983])でありE.コリでの複製と選別、バチルス・スブチリス内に組み入れられた株の選別が可能である。pJHaprEssは、aprEプロモーターと分泌シグナル及びBPN’転写ターミネーターを含む。aprEプロモーターは、バチルス・スブチリスゲノムに組み入れられ、SSI遺伝子の発現を行う。連結体は、化学的に、適合するE・コリ(TOP10、Invitrogen)を形質転換した。得られたプラスミド、p3107-2は、TOP10E・コリから単離され、制限酵素による切断、アガロースゲルによる電気泳動により確認された。P3107-2はその後、B・スブチリス株BG3594comK(2個のプロテアーゼが欠失)とBG6006comK(9個のプロテアーゼが欠失)を形質転換した。このスブチリス株はキシロース誘導性プロモーター(Hahnら、Mol.Microbiol.., 21:763-775[1996])の制御下にあるcomK遺伝子の誘導により活性となる。この形質転換体は、5μg/mlのクロラムフェニコールを含むLuria Broth寒天(LA)プレート上で選別された。遺伝子の増幅を受けたクローンを選ぶためにいくつかの耐性クローンが、25μg/mlのクロラムフェニコールを含むLAプレート上で選別された。SSIを発現するB・ブチリス株BG3594comK(3594-4、3594-5)とBG6006comK(6006-1、6006-3)のそれぞれ2個のクローンが、14Lの発酵槽で評価された。発酵上澄液がいくつかの時点で採取され還元的条件下でSDSPAGEを受けた(図7)。
図7のゲルに見られるように、BG3594comKクローンよりもBG6006comKクローンの発酵上澄液にずっと多くのSSIが含まれていた。33時間で検出されたSSIの濃度は以下のとおりである。
Figure 2011508610
これまでの述べたことは、例示した実施態様の基本的思想を説明するに過ぎない。本明細書には明示して述べたり示されてはいないが本発明の基本的思想を具現化するものであり、本発明の本質と範囲に属する種々の応用を、本技術分野の技術者は実施することができると理解されよう。さらに、本明細書に引用された全ての実施例と条件は、主に本発明の基本的思想と発明者が本技術をさらに進めるため提供した着想について読者の理解を助けることが意図されているのであり、そのような具体的に引用された実施例や条件に限定するものではないと解釈されるべきである。
さらに、本発明の基本的思想、諸相と実施態様及びそれらの具体例の記述はそれらの構成的及び機能的に均等なものを含むことを意図している。加えて、そのような均等物は現在知られている均等物と将来明らかにされる均等物、即ち詳細な構成の如何にかかわらず、将来明らかにされる同一機能を行う構成要素、の両者を含む。そのため本発明の範囲は本明細書に示され、述べられた典型的な実施態様には限定されないことが意図されている。

Claims (23)

  1. バチルス属の種の宿主細胞であって、
    a) シグナル配列と
    b) ストレプトマイセス・スブチリシン阻害剤(SSI)タンパク質と
    を含む融合タンパク質をコードする組換核酸を含み、前記宿主細胞は、前記細胞から前記SSIタンパク質を分泌するものであり、前記宿主細胞は不活性化されたaprE、nprE、epr、ispA、bpr、vpr、wprA、mpr-ybjF、nprB遺伝子を有する細胞。
  2. 請求項1の宿主細胞であり、前記SSIタンパク質が、天然に生じるSSIタンパク質と比較して、スブチリシンの存在下、安定性が高いものである宿主細胞。
  3. 請求項1の宿主細胞であって、前記SSIタンパク質は、天然に生じるSSIタンパク質と比較して、スブチリシンへの親和性が低い宿主細胞。
  4. 請求項1の宿主細胞であって、前記SSIタンパク質が、62番目のLys、63番目にIle、73番目にPro、83番目にCys及び98番目にGluを有する、SEQID NO:1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するものである細胞。
  5. 請求項1の宿主細胞であって、前記シグナル配列がB・スブチリスのaprE遺伝子によりコードされたシグナル配列である細胞。
  6. 請求項1の宿主細胞であって、前記バチルス属の種の宿主細胞が、degUHy32、oppA、ΔspoIIE3501、ΔaprE、ΔnprE、Δepr、ΔispA、Δbpr、Δvpr、ΔwprA、Δmpr-ybjF、ΔnprB、amyE::xylRPxylAcomK-ermC遺伝子型を有する細胞。
  7. 請求項1の宿主細胞であって、前記バチルス属の種である宿主細胞がB・スブチリス宿主細胞である細胞。
  8. 請求項1の宿主細胞であって、前記組換核酸がプロモーターとターミネーターと機能的に連結され発現カセットを形成するものである細胞。
  9. 請求項1の宿主細胞であって、前記組換核酸が前記バチルス属の種の宿主細胞で前記SSI融合タンパク質を発現するために最適化されたコドンである細胞。
  10. 請求項1の宿主細胞であって、前記組換核酸が、前記宿主細胞のゲノムに存在しまたは前記細胞内で自律的に複製するベクターに存在する細胞。
  11. 請求項1の複数のバチルス属の種の宿主細胞、及び培地を含む細胞の培養。
  12. 請求項1の細胞の培養であって、前記培地は、前記SSIタンパク質を含むものである培養。
  13. SSIタンパク質を生産する方法であって、培地に前記SSIタンパク質を分泌するために請求項1の細胞を培養することを含む方法。
  14. 請求項13の方法であって、さらに前記培地から前記SSIタンパク質を回収することを含む方法。
  15. 請求項13の方法であって、スブチリシンプロテアーゼと前記SSIタンパク質の両者を含む洗剤を生産するために、さらに洗濯洗剤と前記SSIタンパク質を組み合わせることを含む方法。
  16. 請求項13の方法であって、前記洗濯洗剤が、ホウ砂を含まない洗濯洗剤である方法。
  17. ストレプトマイセス属の種の宿主細胞であって、
    a) celAシグナル配列 と
    b) ストレプトマイセススブチリシン阻害剤(SSI)タンパク質
    を含む融合タンパク質をコードする組換核酸を含み、前記宿主細胞が前記細胞から前記SSIタンパク質を分泌するものである細胞。
  18. 請求項17の宿主細胞であって、前記SSIタンパク質が、天然に生じるSSIタンパク質と比較して、スブチリシン存在下で安定性が高い細胞。
  19. 請求項17の宿主細胞であって、前記SSIタンパク質が、天然に生じるSSIタンパク質と比較して、スブチリシンへの親和性が低い細胞。
  20. 請求項17の宿主細胞であって、前記SSIタンパク質が、62番目にLys、63番目にIle、73番目にPro、83番目にCys及び98番目にGluを有する、SEQID NO:1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するものである細胞。
  21. 請求項17の複数のストレプトマイセス属の種の宿主細胞、及び培地を含む細胞の培養。
  22. SSIタンパク質を生産する方法であって、培地に前記SSIタンパク質の分泌をする請求項17の細胞を培養することを含む方法。
  23. 請求項22の方法であって、スブチリシンプロテアーゼと前記SSIタンパク質の両者を含む洗剤を生産するために、さらに洗濯洗剤を前記SSIタンパク質と組み合わせることを含む方法。
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