JP2011508225A - 異なる長さのパイプを形成して当該パイプを試験するための装置および方法 - Google Patents

異なる長さのパイプを形成して当該パイプを試験するための装置および方法 Download PDF

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Abstract

パイプ形成用およびパイプ試験用の本発明に係る装置は、マンドレルを支持するフレームと、パイプの内部に挿入されるマンドレルと、マンドレル、パイプ、および、封止装置に囲まれた環状の空間を形成するためにパイプの両端部を封止するための2つの封止装置とを備えている。パイプは複数のパイプセグメントを互いに端部で溶接して形成される。本発明に係る装置には更に、パイプセグメントを互いに端部で溶接するための溶接装置を備えており、好ましくは、更に、溶接作業を楽に行なうためにマンドレル−パイプ組立構造体を軸回転させる回転手段を備えている。このようにパイプが形成されると、上述した環状の空間を加圧して、圧力をモニターすることによって、当該パイプの完全性を試験することができる。

Description

発明の詳細な説明
〔優先権出願の相互参照〕
本願は、米国特許出願番号11/966,737(2007年12月28日出願)の優先権を主張するものである。この米国特許出願番号11/966,737は、米国仮特許出願番号60/548,960(2004年3月2日出願)を基礎として優先権を主張して出願したPCT出願PCT/CA2005/000319(2005年3月2日出願)の米国特許出願番号11/469,548(2006年9月1日出願)の一部継続出願である。これらの全内容は、参照によりここに援用される。
〔本発明の技術分野〕
本発明は、複数の分割部分からなるパイプの形成、および、形成したパイプの完全性試験のための装置に関する。
〔背景技術〕
パイプや導管といった類は、液体物質を或る位置から別の位置まで搬送する様々な用途において使用されている。一般的に、このようなパイプに対しては完全性試験が行なわれ、安全性を満たすことが確認される。完全性試験を行なうことで、搬送する液体が漏れ出るような亀裂や穴などがパイプに在るか否かを特定することができる。亀裂は、パイプの溶接を仕損じたことに起因していたり、製造過程での管の欠陥に起因している。パイプの完全性試験は、特に、高圧をかけて引火性液体や有毒性液体をパイプ搬送する用途において重要である。
パイプを試験するための様々な装置や方法が知られている。例えば、概して非圧縮性の液体を単に充填しただけのパイプに対して当該パイプの内圧をモニターしながら加圧するというものがあり、パイプ壁内に漏れが生じていることが圧力低下によって示される。しかしながら、これらの方法は、パイプの全容積に液体を充填して加圧することが求められるため、大口径のパイプや、全長が長いパイプを試験対象とする場合に問題があり、有効的なものとはいえない。
また、米国特許第6,463,791号、米国特許第6,131,441号、および米国特許第5,844,127号(全て本願と同一の発明者)にも、様々な形態のパイプ検査装置が開示されている。しかしながら、これらの装置はいずれも、パイプ検査として有効であることは証明されているものの、パイプの長さに応じて効果的な検査を行なうことができる装置に対する要求がある。例えば、米国特許第4,067,228号に開示されている装置は、マンドレルを具備していて、このマンドレルを検査対象であるパイプに挿入して、パイプの内壁と、マンドレルの外壁との間に環状空間を形成するというものである。このようにすれば、完全性試験を行なうにあたって、僅かな量の液体を当該環状空間に注入して加圧すればよい。これは有効な試験方法ではあるが、この米国特許第4,067,228号の装置は、或る場所から別の場所に移動させるのが非常に煩雑で、容易でない。更に、この米国特許第4,067,228号には、パイプの湾曲部分における試験手法に関する説明がない。
試験対象となるパイプによっては、複数の分割部分を溶接して形成されているものがある。このようなパイプは、まず、或る装置において分割部分を互いに溶接などによって繋ぎ合わせ、そのあとで別の装置に移動させて試験工程を行なう。しかしながら、工程が2つあることによって、設備と時間費用が増大する。
したがって、パイプの複数の部分に対して安全性試験をより効果的に行なうことができる装置の実現が求められている。加えて、複数の分割部分からなるパイプに関して、より一層効率的な連結を行なうことができ、且つ、より一層有効な安全性試験を行なうことができる装置の実現が求められている。
〔要約〕
上記の課題を解決するために、本発明の目的の一つは、複数の分割部分からなるパイプの形成、および、形成したパイプの完全性試験のための装置および方法を提供することにある。
また、別の目的として、本発明は、フレームと、当該フレームに接触していて且つ同軸上にパイプセグメントを搭載することができるように構成されたマンドレルと、パイプの両端部を封止するための少なくとも2つの封止装置とを備えた装置を提供することにある。この装置は、更に、パイプセグメントの端部同士を溶接してパイプを形成するための溶接装置を備えている。更に、この装置は、パイプの安全性試験のための加圧装置を備えている。
また本発明は、複数のパイプセグメントから構成されているパイプであって、第1開口部を有する第1端部と第2開口部を有する第2端部と有するパイプの安全性試験を行なうための試験装置であって、
第1端部および第2端部とを有するフレームと、
第1端部および第2端部を有しており、且つ、上記パイプの長手方向の長さよりも長くて、上記パイプの内径よりも小さい外径を有する長手方向に伸長しているマンドレルであって、上記パイプに挿入することによってマンドレル−パイプ組立構造体を形成することができるマンドレルとを備えており、
上記マンドレルは上記フレームに支持されており、当該マンドレルの上記第1端部は、当該フレームの上記第1端部に固定されており、
上記マンドレルの上記第1端部には、上記パイプの上記第1開口部を封止する第1封止装置が設けられており、上記マンドレルの上記第2端部には、上記パイプの上記第2開口部を封止する第2封止装置が設けられており、上記マンドレルと、上記パイプと、当該第1封止装置および当該第2封止装置との間に概して環状の空間が形成されるように構成されており、
上記試験装置は、更に、
上記環状の空間に加圧流体を充填するための、あるいは、上記環状空間から空気もしくは当該加圧流体を排出するための、1つまたは複数のポートと、
上記環状の空間の圧力をモニターするための手段と、
上記パイプを形成する上記パイプセグメント同士を、取り外し不能な状態に接合するための接合手段とを備えている試験装置を提供する。
更にこの試験装置に、上記マンドレル−パイプ組立構造体を軸回転させる手段が設けられていても良い。
また本発明は、複数のパイプセグメントを有したパイプの安全性試験を行なうための試験方法であって、
上記パイプの長さ以上の長さを有する、フレームに固定されたマンドレルを準備する工程と、
上記準備した上記マンドレルを同軸上に覆うように上記パイプセグメントを配置し、且つ、上記パイプを形成するために当該パイプセグメント同士を付勢することによって、上記マンドレルと上記パイプとの間に環状の空間が形成されたマンドレル−パイプ組立構造体を形成する工程と、
上記マンドレル−パイプ組立構造体に形成された上記環状の空間における両端部を封止する工程と、
上記パイプセグメント同士を溶接する工程と、
上記封止された上記環状の空間を、加圧流体で充填する工程と、
上記加圧流体が充填された上記環状の空間の圧力をモニターすることによって、上記パイプの安全性を試験する工程と、
を含む試験方法を提供する。
また更に、上記マンドレル−パイプ組立構造体を軸回転させる工程を含んでもよい。
〔図面の簡単な説明〕
ここに示された図面は、例示のみを目的としており、いかなる場合でも、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
図1は、本発明の一実施形態における試験装置の側面図である。
図2は、図1に示した試験装置の上面図である。
図3は、図1に示した試験装置の第1端部の図である。
図4は、図1に示した試験装置を切断線A−Aで切断した状態を示した断面図である。
図5は、図1に示した試験装置および試験対象であるパイプとを組み合わせた状態の側面図である。
図6は、図5の主要部分を示した図である。
図7は、本発明のマンドレルおよびマンドレルと組み合わせる構成を分解して示した分解図である。
図8は、図7に示した封止リングの部分透視図である。
図9は、本発明の第2封止装置の部分側面図である。
図10は、第1封止装置の透視図である。
図11は、本発明における別の実施形態を示した断面図である。
図12は、本発明における別の実施形態の分解図である。
図13は、本発明における別の実施形態の断面図である。
図14は、本発明における別の実施形態における試験装置の側面図である。
図15は、図14に示した試験装置にパイプを装填した状態を示した部分側面図である。
図16aは、パイプを装填した、マンドレルが無い状態の図14に示した試験装置の横断立面図。
図16bは、パイプを装填した、マンドレルが有る状態の図14に示した試験装置の横断立面図。
図17aは、外部滑りパッドを有するマンドレルにパイプの分解部分を載せた状態の図14に示した試験装置の部分側面図である。
図17bは、パイプを載せたあとの図17bに示した試験装置の部分側面図である。
図18は、外部滑りパッドを有するマンドレルを示した図14の試験装置の一形態の側面図である。
図19は、パイプの分解部分が装填された図18に示した試験装置の側面図である。
図20aは、マンドレルとパイプの回転用のモーターおよびギアボックスを示した図17aの試験装置の部分側面図である。
図20bは、図20bの試験装置にパイプの分解部分を装填した状態の部分側面図である。
図21は、図20に示した試験装置の断面図である。
〔本発明の詳細な説明〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態で説明する内容に限定されるものではなく、当業者が行ない得る範囲において改変された種々の形態についても本発明に含まれる。
図1から図4に示すように、本発明に係る試験装置10は、1対の水平支持手段14および16を有するフレーム12を備えている。1対の水平支持手段14および16は互いに横方向に離間して設けられている。これら水平支持手段14および16は、ベース18および支持台20に接続しており、水平支持手段14および16の底部および上部がしっかりと固定されている。フレーム12はまた、1対の鉛直支持手段21および22を有している。これら支持手段14および16並びに20および22は、例えばI字型の梁の構造とすることができる。また、必要に応じてベース18には車輪(不図示)が設けられていてもよい。車輪があれば、試験装置の動きすなわち移動を容易に行なうことができる。
試験装置10は、概して円筒形で、好ましくは穴の開いた、マンドレル24を備えている。マンドレル24は、その長さが試験対象のパイプの長さよりも長いことが好ましい。後述するように、マンドレル24の動作としては、マンドレル24がパイプの内に挿入されることになる。そのため、マンドレル24は、試験対象のパイプの径よりも僅かに小さい径であることが望ましい。また、マンドレル24は、パイプの長さよりも少なくとも18インチ長いことが好ましい。しかしながら、上述した値に限定されるものではなく、当業者であれば、後述する内容を考慮して多少のクリアランスを有してもよいことを理解することができるだろう。マンドレル24は、第1封止装置26とともに第1端部に設けられる。第1封止装置26の一形態としては、後述する封止板を有しているものである。第1封止装置26は、一形態としては、マンドレル24に対して例えば溶接によって半永久的に固定されている。あるいは、別の形態として、第1封止装置26は後述するようにマンドレル24に取り外し可能なかたちで固定されていてもよい。第1封止装置26は、鉛直支持手段21および22に接触して支えられており、この状態から第1封止装置26を取り外す構成になっていてもよい。一例としては、第1封止装置26は、鉛直支持手段21および22によって形成される細長い穴に提供されて、鉛直支持手段21および22に対して制限的に鉛直方向に動くことが可能になっている。後述する内容からわかるように、この鉛直方向に動くことが、試験装置10の使用を円滑にすることになる。
支持台20は、マンドレル24を支持するために設計された、対になった複数の支持ローラー28を備えている。図4に示すように、支持ローラー28は、マンドレル24の底部を支持するように設計されており、それぞれが角度を変えて設けられていることにより、概して円筒形のマンドレル24が転がって外れてしまわないようになっている。また試験装置10は、複数のアライメントローラー30も備えている。このアライメントローラー30も対になって構成されており、後述するように、試験対象のパイプをガイドして位置合わせする。アライメントローラー30は、マンドレル24の第1端部14に設けられ、第1封止装置26による試験対象のパイプにおける一方の端部の封止を容易にさせる。なお、アライメントローラー30の設置数は、本形態で説明する数に限られるものではなく、試験装置10の寸法に応じて適宜変更することができる。また、支持ローラー28およびアライメントローラー30の必要設置数は、当業者にとって理解することができるであろう。図4に示す試験装置10には、6つの対になった支持ローラー28と、3つの対になったアライメントローラー30を有している。また図示した形態では、アライメントローラー30は2方位に設けられており、2つの対になったアライメントローラー30が支持ローラー28に並んでいて試験対象のパイプの端部をガイドおよび支持するために配設されており、残りの1つの対になったアライメントローラー30がマンドレル24の径を挟むように対向して配設されていて当該パイプの端部をガイドおよび支持する。
図1から図4に示す32が試験対象のパイプである。図示するように、試験対象パイプ32は、ホイストまたはスリング34、あるいはその類のメカニズムを有した手段によって支えられている。図示しているホイストまたはスリング34は、試験対象パイプ32を支持するための1つまたは複数のベルト36と、このベルト36が接続されたクレーンのような昇降機構とを有した簡易な構成である。なお、試験対象パイプ32を持ち上げたり支持したりすることができるホイストまたはスリング34と同等の構成であれば、ホイストまたはスリング34の代替手段としての採用することができる。
試験の際には、まず、図1および図2に示すように、試験対象パイプ32をマンドレル24の軸に一致させるように配置する。上述したように、マンドレル24のサイズは試験対象パイプ32の内径に沿うように設計されており、一例としては、試験対象パイプ32の直径を54インチとして、マンドレル24の外径を50インチとすることができる。試験対象パイプ32は、図において矢印で示す方向に沿ってマンドレル24を覆うかたちとなる。この状態は図5および図6にも示している。図5に示すように試験対象パイプ32がマンドレル24に沿って移動していくと、マンドレル24は僅かに持ち上がり、マンドレル24と支持ローラー28との間に試験対象パイプ32がスライドする。一形態として、試験対象パイプ32内にマンドレル24を挿入し易いように、マンドレル24には複数の滑りパッド38が設けられている。滑りパッド38は、挿入工程においてマンドレル24と試験対象パイプ32との摩擦が低減するあらゆる材料から構成されることができる。すなわち、滑りパッド38は、摩擦係数の小さい材料から構成することができる。一例としては、テフロン(登録商標)と呼ばれて市販されているテトラフルオロエチレンを含む材料から構成することができる。滑りパッド38には、図6に示すように、ウエッジ40が設けられていてもよい。ウエッジ40によって、マンドレル24と支持ローラー28との間を試験対象パイプ32がより円滑にスライドすることができる。
なお、上の説明では、マンドレル24の上を試験対象パイプ32が移動する構成について説明したが、当業者によれば、マンドレル24が試験対象パイプ32の内部を移動しても最終形態は同じであることが理解できるだろう。また、マンドレル24および試験対象パイプ32の双方が移動してもよい。
試験対象パイプ32とマンドレル24とは、試験対象パイプ32の第1端部が第1封止装置26に接触するところまで合わさる。上述のように、第1封止装置26は、フレーム12の鉛直支持手段21および22に対していくらか鉛直方向のクリアランスがあることが望ましい。
図7は、試験対象パイプ32に挿入された後のマンドレル24を示している。また、図7には、上述した第1封止装置26も示している。本形態においては、第1封止装置26は、試験対象パイプ32よりも大きな径を有する板部材42を有している。板部材42には、環状溝44が設けられており、環状溝44の大きさは、試験対象パイプ32の第1端部46を上回るように構成されている。弾性シール48は、例えばOリングであり、環状溝44の内部を通っていて、試験対象パイプ32の第1端部46と密閉状態を形成することができる。板部材42と第1端部46との間の密閉によって、板部材42と試験対象パイプ32とが合わさる。この工程は、また後述する。また本実施形態の第1封止装置26には、図10に示すような円環板のような固体の封止板を有していてもよい。このような円環板もまた、上述したような弾性シール48を有している。
図7には、試験対象パイプ32における第1端部46とは反対側の第2端部も示している。上述したように、また図7に示しているように、マンドレル24は、試験対象パイプ32よりも長く構成されている。この構成によれば、第2封止装置50を、マンドレル24に対して確実に取り付け、また、試験対象パイプ32に対して確実に取り付けるために充分なマンドレル表面を提供することができる。第2封止装置50は、封止環部52と、圧縮板54と、力供給リング56とを備えており、軸方向に伸びた試験対象パイプ32の第2端部において、封止環部52と、圧縮板54と、力供給リング56とがこの順で試験対象パイプ32から離れる方向に並んでいる。封止環部52と、圧縮板54と、力供給リング56とはそれぞれ、概して環状の形状を有しており、マンドレル24を覆うようにして同軸上に配設されている。
図7とともに図8および図9に示すように、封止環部52は、第1のパイプ封止溝58と、第2のマンドレル封止溝60とを有するアニュラ・リングを有している。第1のパイプ封止溝58は、上述した環状溝44と同様の構成であり、概して円形の溝で、その直径は試験対象パイプ32の第2端部の直径と一致するように設計されている。第1のパイプ封止溝58は、Oリングのような弾性封止体62を有しており、試験対象パイプ32の第2端部と第1のパイプ封止溝58とが合わさったときには封止手段として機能する。第2のマンドレル封止溝60は、図9により明確に表されているように、封止環部52上に、はす縁を有している。第2のマンドレル封止溝60は、封止環部52の内径であって、且つ、試験対象パイプ32に隣接している側とは反対側に提供される。第2のマンドレル封止溝60には、Oリングまたはその類の弾性封止体64が提供され、弾性封止体64は封止環部52とマンドレル24の外周との間の封止体として機能する。図9に示すように、そのような封止は、弾性封止体64の変形を起こさせ、且つ、マンドレル24の外周のまわりの弾性封止体64の締め付けを起こさせるように、封止環部52のほうへ圧縮板54を促すことによって実現することができる。
このように様々な封止体(手段)について説明したが、これらは複数の部材同士を付勢することによって実現することができる。此処で説明するように、全ての封止体は1つの付勢工程によって実現することができる。例えば、図8および図9に示すように、力供給リング56は、一般に入手可能な、周囲に空間が設けられた複数の油圧(水圧)ラムまたはジャッキ66を有している。油圧(水圧)ジャッキ66は、後述するように圧縮板54に対して圧力を与える。当業者であれば、本明細書の記載から、所望の力を与えることができる手段であれば、あらゆる手段を、油圧(水圧)ジャッキ66に代えて採用することができることを理解できるだろう。油圧(水圧)ジャッキ66は、力供給リング56における試験対象パイプ32側の表面に配設されている。そして、マンドレル24の外周に複数の“ジャッキストップ”68が提供され、このジャッキストップ68は力供給リング56を補強する機能をはたす。一形態においては、ジャッキストップ68は、マンドレル24の、周囲に空間が設けられた開口部70を貫通するボルトを有している。ジャッキストップ68は、ネジ部72を有していてもよく、このネジ部72は開口部70を貫通するように配置されて、ジャッキストップ68のネジ部72と協同するナット74で当該ボルトがマンドレル24に、留められるようにしてもよい。なお、マンドレル24に固定することができるものであれば、ジャッキストップ68の代替手段として採用することができることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、別の形態としては、開口部70に挿入されるアンカーをジャッキストップ68が有していてもよい。
図9に示すように、マンドレル24には、複数の一連の開口部70が設けられていて、これらの開口部70は、マンドレル24の異なるアキシアル位に形成されていて、異なる長さの試験対象パイプ32に適用することができるようになっている。
試験の際には、まず、試験対象パイプ32がマンドレル24上を第1封止装置26に向けてスライドする。試験対象パイプ32における、第1封止装置26に隣接する第1端部は、板部材42と接触し、より具体的には、試験対象パイプ32第1端部は、弾性シール48に沿った位置になる。続いて、第2封止装置50は、第1封止装置26とは反対側にあるマンドレル24の第2端部上にスライドする。
第2封止装置50は、まず封止環部52がスライドして設置され、続いて圧縮板54が、そして最後に力供給リング56が設置される。封止環部52は、弾性封止体62が試験対象パイプ32の端部と確実に接触することができるように配置されている。第2封止装置50は試験対象パイプ32に向かって動き、最終的に、ジャッキストップ68が、マンドレル24における適切な開口部70に提供される。当然のことながら、一形態において、ジャッキストップ68の挿入に先立って、第2封止装置50に何らかの力が加えられ、装置に先行荷重をかけてもよい。ジャッキストップ68が挿入されると、必要に応じてマンドレル24を保護するために、油圧(水圧)ジャッキ66が働く。
油圧(水圧)ジャッキ66は、試験対象パイプ32の第2端部に向けて軸方向に、圧縮板54および封止環部52に負荷をかける。ジャッキストップ68は、力供給リング56が試験対象パイプ32から軸方向に離れる力が働かないようにしている。したがって、当業者であれば分かるように、試験対象パイプ32の第1端部が、マンドレル24にしっかり固定された第1封止装置26に向けて力がかかり、油圧(水圧)ジャッキ66がかける力が、試験対象パイプ32の各端部に対して第1封止装置26および第2封止装置50それぞれがかける力となる。弾性シール48と第2のマンドレル封止溝60と弾性封止体62が在ることによって、a)試験対象パイプ32の第1端部と第1封止装置26との間の封止と、b)試験対象パイプ32の第2端部と第2封止装置50との間の封止と、c)マンドレル24と第2封止装置50との間の封止とを順に形成することになる。これらの封止は、マンドレル24外面と、試験対象パイプ32の内部空間と、第1封止装置26および第2封止装置50とによって囲まれた環状の封止空間を形成することになる。この封止空間の一部を、図9において76で示している。
環状封止空間76が2つの第1封止装置26および第2封止装置50に接触することで形成されると、試験対象パイプ32の完全性試験を始めることができる。試験は、概して非圧縮性の液体を環状封止空間76に充填し、次に、環状封止空間76の圧力をモニタリングしながら、当該液体を加圧する。この試験手法は、当業者に理解されるだろう。
環状封止空間76を充填するために、本発明の装置には、充填するための手段と、環状封止空間76を乾燥もしくは通気するための手段とが設けられている。図10は、そのための一形態を示しており、充填するための構成が示されている。なお、図10においては、上述した各構成と同等の構成には同じ部材番号を付しているが、説明の便宜上、部材番号に続いて「a」を付している。図10には、26aとして第1封止装置26の別の態様を示している。この態様では、上述した板部材42の代替として、円環板42aが第1封止装置26aに設けられている。円環板42aには、少なくとも1つの貫通穴78が設けられている。ポート80は、貫通穴78から伸びており、試験パイプが装置に接続されて形成される環状封止空間76に、貫通穴78を介して、液体を供給する。ポート80は、ホースのような類のものを介して液体供給手段(不図示)に接続されている。第1封止装置26aには、ポートおよび貫通穴をいくつも設けることができ、最低でも1つの充填手段および排出手段があれば良いことは、当業者にとっては当然のことながら理解されるだろう。更に、1つのポートがもう1つのポートよりも鉛直方向の上方に設けられていることによって、環状封止空間76への充填と排出を容易に行なうことが可能となる。なお、本発明は、これら充填手段および排出手段の配設数および配設位置に限定されるものではない。また図10では、第1封止装置26aに円環板が設けられている構成について説明するが、上述した板部材42にポート80を設けても良い。
図11には、供給手段および排出手段の別の形態を示している。この形態では、マンドレル24にポート82が設けられている。この形態では、ポート82には、マンドレル24と、試験対象パイプ32と、封止装置(説明の便宜上、図11では一方の封止装置だけを示している)とによって形成される環状封止空間76につながる貫通穴84が設けられている。図11に示す別の形態では、ポート80とポート82の双方が設けられた構成となっている。このように、当業者であれば、一方のポート(例えばポート80)が、他方のポートよりも鉛直方向の上方に配置されていることで、充填工程および排出工程が容易に行なえることを理解することができるだろう。
本発明の装置には、更に、上述したような圧力を計測するための手段(不図示)が設けられている。これにより、環状封止空間76内の圧力をモニタリングすることができる。一形態としては、新たなポート79が設けられ、それに圧力計81が取り外せないかたちで設けられている構成を採用することができる。別の形態としては、液体に圧力をかける手段に、圧力計が備えられている、従来周知の構成を採用してもよい。当業者であれば、環状封止空間76の圧力をモニタリングするための手段としてどのような構成を用いることができるかは理解可能である。
本発明の装置は、あらゆる径のパイプまたはあらゆる長さのパイプでも試験対象することができる。例えば、径が3インチよりも大きく、長さが1フィートから100フィートまでのパイプを試験対象とすることができる。パイプの長さの上限は、これに限定されるものではないが、パイプが過度に長いと、装置自体が大型化して扱い難くなる。また、パイプが過度に長いと、重くなって吊り上げるための力がより一層必要になり、試験工程を行なうことが不可能ではないものの、管理が難しくなってしまう。本発明の利点の一つは、試験用の液体の使用量を少なくすることができることにあるので、この利点を発揮させるためには、パイプの径に近い径を有するマンドレルを選択すべきであることを当業者であれば理解することができるだろう。一形態としては、試験パイプの径が54インチである場合、50インチの径を有するマンドレルを用いることが好ましい。しかし、この数値に限定されるものではなく、本発明を実現可能な範囲で適宜選択することができる。
一形態として、第2封止装置50は、装置のフレーム12に対して取り外し可能なかたちで取り付けることができる。この点は図2に示しており、第2封止装置50は、スイングアーム51に付加的に取り付けられている。スイングアーム51は、フレーム12に回転可能に取り付けられたベース53に取り付けられている。この形態では、第2封止装置50が必要な段階になると、所定の位置までスイングして入り込み、上述したように取り付けられる。これに代えて、第2封止装置50は、別体で構成されていて、上述したように取り付けられてもよい。
上述したように、第1封止装置26もしくは第1封止装置26aは、第2封止装置50と構造的に違うものとなっているが、試験対象パイプ32の両方の端部に第2封止装置50を用いてもよい。
上述した装置は概して水平方向に配置されているものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該装置が鉛直に配置されているものであっても同等の機能を実現することができる。例えば、図1に示す構成において、第1封止装置26が装置の底部を構成し、試験対象パイプ32が、鉛直方向に伸びるマンドレルにスライドする構成であってもよい。このような鉛直方向に構成される装置においては、大きい径のパイプを試験するのには好適でない。
図12に示す本発明の別形態では、説明の便宜上、上述した構成と同等の構成について部材番号の後ろに「b」を付して区別している。図12においては、試験対象パイプ32bが直線ではなく、屈曲部分を有している。このパイプは、例えば、エルボー型、T型、もしくは、Y型などいったものである。この場合、マンドレル24bも屈曲部分を有している。ここで、試験対象パイプ32bの屈曲部分が過度に鋭角に曲がっていると、同等の形状を有するマンドレル24bを挿入することが難しい場合があるが、挿入が可能な範囲であれば、図12に示すように、マンドレル24bを上述した第1封止装置および第2封止装置とともに実現することができる。図12に示す形態では、マンドレル24bには、互いに類似した2つの封止装置50bが配設されていて、これらは上述した第2封止装置50と同様の構成を有する。なお、マンドレル24bに、取り外し不可能なかたちで上述した第1封止装置26および26aが取り付けることも可能である。
上述した試験対象パイプ32は一定の径を有したパイプであるが、パイプには、例えば、端部において異なる内径を有した構造のものも在り得る。そのような場合は、マンドレル24は、そのパイプの最も小さい径の部分に合わせた大きさのものを用いる。また、第1および第2封止装置は、そのパイプの各端部に接続し得る大きさのものを用いればよい。
更に別の態様を図13に示す。図13では、説明の便宜上、上述した構成と同等の構成について部材番号の後ろに「c」を付して区別している。図13の形態では、マンドレル24は、取り外し不可能に取り付けられたフランジ88を有している。フランジ88の形状としては、従来周知のように、概して円環状の板の中心部分が開口した形状の構造であり、マンドレル24の一端が当該開口部分に挿入されている。フランジ88は、溶接90や従来周知の手法でマンドレル24に連結されている。フランジ88には、ボルト92を挿入するための少なくとも一対の、好ましくは複数のボルト孔が設けられている。第1封止装置は、円環板もしくは板部材42cを有しており、この円環板もしくは板部材42cには、ボルト92に適合した開口が設けられている。ボルト92に挿入されるナット94は、円環板もしくは板部材42cをフランジ88にしっかりと固定するために設けられている。ボルト92は、円環板もしくは板部材42cおよび/またはフランジ88に取り外し不可能なかたちで取り付けられており、よって、ナット94を必要とするボルト92の一端だけを必要とする。この形態では、第1封止装置を代えることなく、本発明のマンドレル24を必要に応じて代えることができる。この機能性は、あらゆる試験対象パイプ32に迅速に対応することを可能にしている。図13に示す形態においては、充填/排出手段80および82は、図11で示したものと同等のものを用いている。
図14から図21に示す装置は、上述した装置の構成に類似しており、種々の管部が互いに接続されてなる或る長さのパイプを試験対象とする装置である。接続には、溶接を用いることができる。後述するように、装置の特徴としては、パイプの分解部分の溶接も補助することができるように構成されており、よって、効率的に、パイプの溶接工程と、それに続く試験工程とを行なうことが可能な構成となっている点にある。
図14および図15は、5つのパイプセグメント102,104,106,108,110からなる構成されたパイプを試験対象パイプ100として用いる態様について示している。なお、試験対象パイプ100を構成するパイプセグメントはこの数に限定されるものではなく、また、各部分の長さについても限定されるものではない。例えば、一例として、各パイプセグメントが20フィート長で、試験対象パイプとしては100フィート長のものである場合もある。勿論これは単なる一例であり、組み合わせに応じて種々の長さのパイプを実現することができる。
図15に示す構成は、上述した構成と同様に、各パイプセグメントがマンドレル112に提供されている。この場合、マンドレル112のサイズは、パイプセグメントの径よりも小さい外径を有するように構成されている。またマンドレル112は、単体から構成されるか、もしくは、複数のセクションを組み合わせた構成とすることができる。マンドレル112が複数のセクションを組み合わせてなる構成は、あらゆる径または長さのパイプに適応することができる点で好ましい。これは、複数のセクションを入れ替えて組み合わせることによって、あらゆる長さのマンドレルを簡易に実現することができる。例えば、図15では、2つのマンドレルセクションの間の接合部分に継ぎ目114が示されている。このような継ぎ目は、例えば、2つの隣接するマンドレルセクションを繋ぐ円周溶接部を有している。このような溶接が接続方法として好ましいが、他の接続方法であってもよい。また、2つのマンドレルセクションの間にある継ぎ目は封止されたものであることが好ましい。なぜなら、封止していれば、後の試験工程を行なうことが可能であるからである。したがって、一形態としては、継ぎ目114は、隣接するマンドレルセクション同士が合わさる力が加わるとマンドレルセクション同士の間に必要な封止が形成されるような弾性封止部を有することができる。上述したように、本発明の必須構成としては、マンドレルとパイプとの間に環状の空間が形成されることにあり、これによりパイプの試験を行なうことにある。よって、マンドレルセクションを互いに接続する方法としては、あらゆる手法を採用することができる。
マンドレルセクションの長さは、パイプセグメントの長さに対応させてもよい。これによれば、試験装置100の長さにマンドレルの長さを簡単に一致させることができる。しかしながら、マンドレルに関しては、その長さが決まっている必要はない。また、本発明の装置は、マンドレルセクションの径が異なっていてもよい。これにより、異なる径のパイプセグメントに適用させることができる。
上述した装置は、マンドレル112と、提供された試験装置100とは、概して鉛直な末端部分118と水平な本体部分120とを有するフレーム116に支持されている。この機能を有するものであれば、フレーム116のデザインは図14から図20に示したものに限定されるものではない。鉛直な末端部分118は、上述した第1封止装置を支持する。そして、フレーム116の水平な本体部分120が、マンドレル112と、提供された試験装置100とを支持する。種々の長さを有するパイプとマンドレルに適応させるために、当該フレームの水平な本体部分120を1つまたは複数の部分から構成することも可能である。図14に示すように、フレーム112は、その一形態として、5つの水平セクション121,122,123,124,125を有することができる。マンドレル112のセクションと同様に、この構造は、パイプセグメントの長さに対応したセクションをフレーム116が含むことを可能にしている。このように、パイプセグメントの数が決定されると、マンドレル112とフレーム116の長さも、それに対応して決定する。しかしながら、これらの構成は単なる一例にすぎず、必ずしも、マンドレルおよびフレームをパイプセグメントの長さに応じて改変させたり、マンドレルおよびフレームのそれぞれのセクションをパイプセグメントの長さに一致させたりする必要はない。
フレーム114には、一形態において、上述したものと同等の構造を有することができる。例えば、図14〜図16に示すように、フレーム114の水平な本体部分120は、対向伸長した水平方向に配置された構造体126および128を有することができる。この構造体126および128は、上部板および底部板の1つまたは複数で互いに連結している。図16では、水平な本体部分120が、上部板および底部板130および132をそれぞれ有している。構造体126および128は、特徴の一つとして、従来周知のI字型の梁を有している。フレーム114の好適な構造は、ここに説明したもの以外のものであっても、本発明に含まれる。
上述したように、マンドレル112のセクション群は、互いに溶接されているか、もしくは封止されていることが好ましい。しかしながら、フレーム114の水平な本体部分水平な本体部分120のセクション121〜125は、単にブラケット134のようなものを用いて接続していもよい。図14および図15に示すように、ブラケットは、構造体126および128の隣接部分にボルト連結されるフランジを有している。別の形態としては、その隣接部分を溶接するという手法もある。
上述した形態においては、マンドレル112および試験装置100を支持するフレーム114は、複数の支持ローラー136を有している。支持ローラー136は、水平な本体部分120の長さ方向に実質的に沿って設けられている。図16aおよび図16bに示すように、支持ローラー136のそれぞれは、フレーム114の水平な本体部分120の上部に連結されている筐体140に固定されたボール型ローラー138を有していることが好ましい。その理由は後述する。支持ローラー136の一形態としては、4つの支持ローラー136が互いに違う角度で配設されていて、マンドレル112および試験装置100を支持することができるようになっている。例えば、図16aおよび図16bに示すように、4つの支持ローラー136のうち、外側2つの支持ローラー136が内側2つの支持ローラー136よりも僅かに高く構成されている。図16aおよび図16bに示す形態では、4つの支持ローラーを設けた構成について説明したが、場合によっては、支持ローラーは2つだけでも良い構成がある。例えば、試験対象が小さい径を有したチューブである場合がそうである。また、他にも、パイプおよび/またはマンドレルの径に合わせて、ローラーの位置や高さを調節できるようなローラーであってもよい。
図15に示すように、セグメント102として示しているような各パイプセクションは、まず、上述したものと同等のホイストまたはスリング34によって、マンドレル112と概して同軸上に並んでいる。なお、当業者であれば、パイプセグメントを操作でき且つマンドレルを包むように当該セグメントを配置するためのあらゆる装備がホイストまたはスリング34に設けられていることを理解できるだろう。例えば、ホイストまたはスリング34は、クレーンのようなものが設けられている、または、連結されている。図15に示すように配置されると、パイプセグメントは続いてスライドして、マンドレル112を覆うように配置される。この間、試験装置102をマンドレル112に向けてスライドするのを支持ローラー136がサポートするとともに、パイプセグメント102がマンドレル112を支持ローラー136から外す。
図17aに示すように、マンドレル112は、複数の滑りパッド142を有していることが好ましい。この滑りパッド142は、パイプセグメントのスライドをサポートする機能と、パイプの内側にマンドレルが配置される際にマンドレルの底部がパイプに載ってしまうのを防ぐ機能とを有している。前半の機能は、パイプの表面とマンドレルの表面との間に生じる摩擦を低減することによって実現できる。これに関して、滑りパッド142は低い摩擦係数の材料から構成されることが好ましい。上述したように、滑りパッド142は、テフロン(登録商標)と呼ばれて市販されているテトラフルオロエチレンから構成、もしくはこれでコートしたものを用いることができる。また、滑りパッド142のマンドレルの配置に関する機能については、パイプ100を試験のために所定の位置にセットすると、マンドレルとパイプとの間に環状の空間が形成される必要がある。そのためには、マンドレルは、マンドレルとパイプとが或る程度の長さをもって接触することを避けるために、持ち上がっていないといけない。図17aでは滑りパッド142を使用している形態が記載されているが、当業者であれば、これに類似したもので代用することが可能であることを理解できるだろう。例えば、滑りパッド142の代替として、マンドレルの外面に、車輪もしくはローラー、あるいはその類の装置を取り付けることが考えられる。また滑りパッド142は、例えば、マンドレルの表面に搭載された各筐体の中に設けられたボール型ローラーで代用することも可能である。また、図17aに示すように、滑りパッド142をマンドレルの表面全体に配置することで、マンドレルがパイプに挿入される工程においてガイドとして機能することができる。しかしながら、滑りパッド142(もしくは、同等の機能をもつ車輪やローラーなど)は、マンドレル112の底部表面のみに配置することも可能である。
図17bには、図17aに示したマンドレルにパイプセグメントの提供が完了した状態を示している。図示するように、セグメント108および110が試験装置100の一端側を構成しており、パイプセグメントが無い部分では支持ローラー136がマンドレル112を支持しており、パイプセグメントが有る部分では試験装置100を支持している。
図18は、好ましい形態のマンドレル112を示している。図18に示すマンドレル112には、その外面に滑りパッド142が設けられている。また図18は、マンドレルに第1のパイプセグメント102が取り付けられた状態を示している。試験装置102は、マンドレルの後方端部144と並ぶように配置され、そして、マンドレルの前方端部146に達するまでマンドレルをその全長にわたってスライドする。図19には、パイプ100(パイプセグメント102〜110の全てを含む)がマンドレル112に取り付けられた状態を示している。なお、上述したように、パイプ100は支持ローラー136上に支持されている。
図16aおよび図16bに戻るが、パイプ100のセグメントは、断面でみると、支持ローラー136上に載った状態となる。図16aはマンドレルが無い状態を、そして、図16bはマンドレルとパイプとが組み合わさった状態を示している。図16bではまた、マンドレル112上に配設された滑りパッド142も示している。また、マンドレル112および滑りパッド142のサイズは、試験装置100の内壁と滑りパッド142とが接触するように調整されていてもよい。図16aおよび図16bでは、支持ローラー136の一形態として、ボール型のものを挙げている。また、このボール型のローラーは、マンドレル112および/またはパイプ100の操作において様々なメリットを与える。なぜなら、ボール型のローラーであれば、あらゆる方向へ動くことができるからである。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の改変や代替が可能である。例えば、ボール型のローラーに代えて、車輪(不図示)を用いてもよい。車輪の場合、キャスターと同様に、枢動可能な構成となる。車輪は、マンドレルの長手方向軸に対して並行な平面内において回転可能なように配置することができる。このような構成とすれば、パイプをマンドレル112上にスライドすることができる一方、ハイプがその軸を中心に回転することを防ぐことができる。しかしながら、後述するように、この構成は本発明の機能的な構成でもある。
図20a、図20b、および、図21には、フレーム114の鉛直部分116を含む、装置の前方端部146が示されている。上で説明したように、装置の前方端部146に隣接したマンドレル112の端部は、端板148を有している。端板148は、マンドレル112の端部を覆うように配設されており、且つ、端板148の直径は、パイプの開口部分をも覆うような大きさで構成されている。端板148は、パイプの末端を封止するための手段として設けられている。端板148の一形態としては、環状溝(図20a、図20b、および、図21には不図示)が設けられているものがある。当該環状溝は、試験対象のパイプの直径に対応していて、当該パイプの端部を受け付けるように構成されている。環状溝には、弾性の封止材料が設けられており、パイプが当該環状溝に入り込むことによって、パイプの端部と端板148との間での封止を形成することができる。このような封止に関して、上でも他の図面を用いて説明しており、当業者であれば理解できるだろう。端板148の一形態としては、マンドレル112の端部に永続的に付着または固定されている。
端板148はフレーム114の鉛直部分116に様々な形態で固定することができる。例えば、フレームの直立構造部材150および152に端板148を固定することができる。しかしながら、図20a、図20b、および、図21に示す形態では、端板148は、ギアボックス156および関連モーター158に接続されているドライブシャフト154に付着している。また、ギアボックス156および関連モーター158は、フレーム114に固定されている。図21に示す形態では、フレーム114には、支持台160が設けられており、支持台160には関連モーター158およびギアボックス156がボルトかその他の留め具によって固定されている。軸受部162はドライブシャフトをサポートするために、鉛直部分116上に配設することができる。ドライブシャフト154は端板148に固定されており、ドライブシャフト154(すなわち、関連モーターとギアボックス)の回転が端板148の回転を駆動する。端板148はマンドレル112に固定されているので、端板148の回転により、マンドレル112は長手方向の軸を回転軸として回転する。
マンドレル112の後方端部には、上述した第2封止装置が含まれる。この点については、図7〜図9に例示したものを援用する。これらの図で論じたように、一旦、第2封止装置が試験装置100およびマンドレル112に固定されると、パイプの両端において、マンドレル112と試験装置100と対向する封止装置との間に封止環状空間が形成される。上述したように、第1封止装置には端板148を有している。第2封止装置は、試験装置100の反対側の端に圧縮力をあたえて、必要な封止体を形成する。
試験装置100が一旦、マンドレル112にマウントされると、マンドレル112の回転が試験装置100の回転となる。この点に関しては、図16に示すように、支持ローラー136がパイプ100の回転を可能にさせている。したがって、支持ローラー136はマンドレルの軸に沿って回転する(パイプをマンドレルに挿入することを補助するため)ようにも設計されており、且つ、マンドレルの軸に対して垂直な方向に回転する(パイプおよびマンドレルの一体的な軸回転を補助するため)ように設計されている。
滑りパッド142および/またはマンドレル112の一形態としては、その大きさが、試験装置100の内径に対応させて、試験装置100と滑りパッド142との間で摩擦による合致を形成することができる。滑りパッド142はマンドレル112に固定されているので、マンドレル112の回転がパイプの回転をアシストする。
図20aには、装置の前方端部146と、パイプセグメント群をロードさせる前のマンドレル112を示している。図20bおよび図21には、パイプセグメント群がロードされた状態を示している。
図20a、図20b、および、図21に示す形態では、端板148は、複数のグリッパもしくはガイドアーム164を備えることができる。このグリッパもしくはガイドアーム164は試験装置100の位置決めおよび/または固定を補助する。試験装置100の固定は、マンドレル112の回転に伴って試験装置100が回転することを補助することになる。図20aは、ガイドアーム164が‘開放’または引っ込んだ位置にあって、パイプセグメントを受け止めることができるような状態を示している。図20bは、ガイドアーム164が‘閉鎖’していてパイプセグメントを把持している状態を示している。図21に更に明確に示すように、ガイドアーム164は、端板148の背面166に固定されており、マンドレル112とは反対側を向いている。ガイドアーム164同士は端板148の周囲に沿って間隔をあけて設けられており、ガイドアーム164の数は、例えばパイプの直径に応じて適宜決めることができる。図20a、図20b、および、図21に示す形態では、4本のガイドアーム164が、それぞれ端板148の周囲に沿って90°の間隔をあけて配置されている。ガイドアーム164は、端板148の背面166に固定されたベース部168を有している。ガイドアーム164は好ましくは、ガイドアーム164と連接する1つまたは複数のヒンジ170を有している。また、ガイドアーム164は、軸受パッド174を有した軸受末端172を有している。軸受パッド174は試験装置100の外面と接触することができるように構成されており、当業者にとって明らかな範囲であらゆる材料の中から選択された材料を用いて構成することができる。軸受パッド174の一形態としては、パイプ表面を把持し易いようにゴムまたはその類の材料から構成することができる。しかしながら、この材料に限定されるものではない。ガイドアーム164群は、開放位置と閉鎖位置との間で動くことができるように設計されており、開放位置においては、ガイドアーム164が引っ込んでいるので、上述したように、パイプ100が端板148の溝に嵌る。この工程の間、ガイドアーム164は調整されて、軸受パッド174群の間に試験装置100が合致できるようにしている。これにより、試験装置100を、上述した溝に確実に嵌めることができる。試験装置100が一旦配置されると、ガイドアーム164が伸びて、軸受パッド174が試験装置100の外面に対して力を加える。これにより、ガイドアーム164が試験装置100の外面を把持することができる。この構成は、マンドレル112が回転している間のパイプの回転を補助する。なお、ここで説明したガイドアーム164には2つの機能をもたせている。すなわち、ガイドアーム164は、マンドレル112の端板148に対してパイプの位置決めとパイプの固着とを行なっている。しかし、ガイドアーム164は必要に応じてその一方の機能だけをもつものであってもよい。また、ガイドアーム164全体を無くしてもよい。
マンドレルの回転の目的を説明する。本形態の試験装置100は、複数のセグメントから構成されていて、まずは、各セグメントを溶接して一本の連結パイプが形成される。そこで、このような連結パイプは、その使用前に、溶接部分が完全性を有しているかどうかを試験される必要がある。したがって、本発明は、パイプセグメントの接合、および、接合されたパイプの試験を、時間とコストを抑えて実現することを可能にしている。そのためには、まず、マンドレル112にパイプセグメントを取り付ける。これは、上述したように、各パイプセグメントを、位置決めするとともにガイドすることによって完了する。所望のセグメント群が取り付けられると、封止装置がはめ込まれて、試験装置100に軸圧縮力を与える。これと同時に、モーターがはめ込まれて、マンドレル112が試験装置100とともに支持ローラー138上を回転する。試験装置100が回転すると、1つまたは複数の手動もしくは自動の溶接装置が試験装置100の隣接するセグメント間の継ぎ目を溶接するために用いられる。全ての継ぎ目が溶接されて試験装置100が形成されれば、溶接部分を冷却することが可能である。
溶接部分が冷却されたら、試験工程が始まる。ここでは、例えば図10,11,13に示すように、1つまたは複数のポートが、封止装置および/またはマンドレルに設けられていて、マンドレル112と試験装置100との間に形成される円環状の空間に加圧流体を提供するのに用いられる。そして、当該円環状の空間は加圧され、圧力降下が生じないかをモニターされながら、所望の圧力値まで加圧される。圧力降下は、少なくとも1つの溶接部分に欠陥があることを示している。圧力降下が生じた場合は、そこから減圧して継ぎ目を再溶接するか、確認する。
上述したように、別の形態として、支持ローラー136を、旋回運動する車輪またはキャスターに代えることができる。このように代えた場合であっても、試験装置100は長手方向の軸において回転することができる。しかしながら、更に別の形態では、支持ローラー136の代わりに、一方向のみに回転する車輪を設けて、マンドレル上を滑ることはできるもののパイプの軸回転は補助しない構成としてもよい。この構成の場合は、試験装置100は、車輪上に隆起し、且つ、上述したようなモーターによって回転する。更に別の形態では、各セグメントの連結部分において試験装置100の周囲を溶接装置が回転している形態では、車輪(または支持ローラー136であってもよい)の上にパイプが継続的に位置している構成であってもよい。これらの構成は、どれもが望ましい態様というわけではないが、本発明の範囲に含まれる構成である。
以上で説明した具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明の一実施形態における試験装置の側面図である。 図1に示した試験装置の上面図である。 図1に示した試験装置の第1端部の図である。 図1に示した試験装置を切断線A−Aで切断した状態を示した断面図である。 図1に示した試験装置および試験対象であるパイプとを組み合わせた状態の側面図である。 図5の主要部分を示した図である。 本発明のマンドレルおよびマンドレルと組み合わせる構成を分解して示した分解図である。 図7に示した封止リングの部分透視図である。 本発明の第2封止装置の部分側面図である。 第1封止装置の透視図である。 本発明における別の実施形態を示した断面図である。 本発明における別の実施形態の分解図である。 本発明における別の実施形態の断面図である。 本発明における別の実施形態における試験装置の側面図である。 図14に示した試験装置にパイプを装填した状態を示した部分側面図である。 パイプを装填した、マンドレルが無い状態の図14に示した試験装置の横断立面図。 パイプを装填した、マンドレルが有る状態の図14に示した試験装置の横断立面図。 外部滑りパッドを有するマンドレルにパイプの分解部分を載せた状態の図14に示した試験装置の部分側面図である。 パイプを載せたあとの図17bに示した試験装置の部分側面図である。 外部滑りパッドを有するマンドレルを示した図14の試験装置の一形態の側面図である。 パイプの分解部分が装填された図18に示した試験装置の側面図である。 マンドレルとパイプの回転用のモーターおよびギアボックスを示した図17aの試験装置の部分側面図である。 図20bの試験装置にパイプの分解部分を装填した状態の部分側面図である。 図20に示した試験装置の断面図である。

Claims (15)

  1. 複数のパイプセグメントから構成されているパイプであって、第1開口部を有する第1端部と第2開口部を有する第2端部と有するパイプの安全性試験を行なうための試験装置であって、
    第1端部および第2端部とを有するフレームと、
    第1端部および第2端部を有しており、且つ、上記パイプの長手方向の長さよりも長くて、上記パイプの内径よりも小さい外径を有する長手方向に伸長しているマンドレルであって、上記パイプに挿入することによってマンドレル−パイプ組立構造体を形成することができるマンドレルとを備えており、
    上記マンドレルは上記フレームに支持されており、当該マンドレルの上記第1端部は、当該フレームの上記第1端部に固定されており、
    上記マンドレルの上記第1端部には、上記パイプの上記第1開口部を封止する第1封止装置が設けられており、上記マンドレルの上記第2端部には、上記パイプの上記第2開口部を封止する第2封止装置が設けられており、上記マンドレルと、上記パイプと、当該第1封止装置および当該第2封止装置との間に概して環状の空間が形成されるように構成されており、
    上記試験装置は、更に、
    上記環状の空間に加圧流体を充填するための、あるいは、上記環状空間から空気もしくは当該加圧流体を排出するための、1つまたは複数のポートと、
    上記環状の空間の圧力をモニターするための手段と、
    上記パイプを形成する上記パイプセグメント同士を、取り外し不能な状態に接合するための接合手段とを備えていることを特徴とする試験装置。
  2. 上記接合手段には、溶接装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
  3. 上記試験装置は、更に、
    上記パイプが上記マンドレルを当該マンドレルの長手方向の軸に沿って挿入させて形成された上記マンドレル−パイプ組立構造体を回転するための回転手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の試験装置。
  4. 上記フレームには、上記マンドレル、もしくは、上記マンドレル−パイプ組立構造体を支持するための複数の支持ローラーが搭載されていることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の試験装置。
  5. 上記支持ローラーは、上記マンドレルの長手方向の軸に平行な方向に上記パイプを移動させることを可能にしてマンドレルのパイプへの挿入を支援するとともに、上記マンドレルの長手方向の軸を回転軸として上記パイプを回転させることを可能にするように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の試験装置。
  6. 上記マンドレルには更に、
    マンドレルの外面に、外に向けて放射方向に伸長した、円周および長手方向の軸に沿った空間伸長部が複数設けられており、
    上記伸長部は、上記パイプの内壁面に接触することができるように構成されており、パイプにマンドレルを挿入した際に位置決めの役割をもつことを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の試験装置。
  7. 上記第1封止装置は、上記マンドレルに固定された端板を有しており、
    上記端板は、上記パイプの上記第1端部を封止するための封止手段を有していることを特徴とする請求項1から6までの何れか1項に記載の試験装置。
  8. 上記第2封止装置は、上記パイプの上記第2端部に隣接して配置される、上記マンドレルを同軸上で覆う円環状の封止リングであって、当該パイプの径よりも大きい外径を有する円環状の封止リングを有しており、
    上記封止リングは、当該封止リングと上記パイプの一方の端部との間を封止する第1封止部、および、当該封止リングと上記マンドレルの外径との間を封止する第2封止部を有しており、
    上記第2封止装置は、上記パイプに向かう力を上記封止リングに加える手段を有していることを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の試験装置。
  9. 上記回転手段には、駆動手段に連結した第1端部と、上記第1封止装置の端板に連結した第2端部とを有するドライブシャフトが設けられており、
    使用時には、上記第1封止装置が回転することによって、上記マンドレルが回転するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の試験装置。
  10. 上記端板は、上記パイプが上記マンドレル上にセットされたときに当該パイプを位置決めし且つ保持するための複数のガイドアームを有していることを特徴とする請求項7に記載の試験装置。
  11. 上記フレームと上記マンドレルとは、上記パイプの長さに応じて長さを調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1から10までの何れか1項に記載の試験装置。
  12. 複数のパイプセグメントを有したパイプの安全性試験を行なうための試験方法であって、
    上記パイプの長さ以上の長さを有する、フレームに固定されたマンドレルを準備する工程と、
    上記準備した上記マンドレルを同軸上に覆うように上記パイプセグメントを配置し、且つ、上記パイプを形成するために当該パイプセグメント同士を付勢することによって、上記マンドレルと上記パイプとの間に環状の空間が形成されたマンドレル−パイプ組立構造体を形成する工程と、
    上記マンドレル−パイプ組立構造体に形成された上記環状の空間における両端部を封止する工程と、
    上記パイプセグメント同士を溶接する工程と、
    上記封止された上記環状の空間を、加圧流体で充填する工程と、
    上記加圧流体が充填された上記環状の空間の圧力をモニターすることによって、上記パイプの安全性を試験する工程と、
    を含むことを特徴とする試験方法。
  13. 上記パイプセグメント同士を溶接する上記工程において、上記マンドレル−パイプ組立構造体を軸回転させる工程を、更に含むことを特徴とする請求項12に記載の試験方法。
  14. 上記パイプを上記マンドレルに擦られるように固定して、マンドレルの軸回転によってパイプの軸回転を引き起こさせることを特徴とする請求項12または13に記載の試験方法。
  15. 上記試験する工程の後に、上記パイプを軸方向に移動させて上記マンドレルから離す工程を更に含むことを特徴とする請求項12から14までの何れか1項に記載の試験方法。
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