JP2011507648A - 針位置を検出する装置と方法 - Google Patents
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Abstract
器官組織内での針位置を検出する装置と、美容・整形処置及び美容・整形外科に該装置を利用する方法。該装置1は、遠位端3を有する針2と、組織の生体インピーダンスを測定する測定回路4と、生体インピーダンスの測定回路に接続され、組織内で測定した生体インピーダンスからリアルタイムで針遠位端3の進行状況を検出するよう構成された検出素子10とを含んでいる。装置1は、少なくとも2つの電極16,18,21,22を含み、該電極が、針遠位端に配置され、かつ測定回路4に接続されている。針遠位端3の進行をモニタするのに必要な、生体インピーダンスを測定する電極6,18,21,22は、すべて針遠位端3に配置されている。
Description
本発明は、器官組織内の針位置を検出する装置であって、遠位端を有する針と、組織の生体インピーダンスを測定する測定回路と、検出素子とを含み、該検出素子が、生体インピーダンスを測定する回路に接続され、かつ組織内で測定された生体インピーダンスからリアルタイムで組織内での針遠位端の進行状況を検出するように構成されている形式のものに関する。
本発明は、更に、美容・整形処置又は美容・整形外科のための方法に関するものである。
多くの治療、外科、診断、美容・整形各処置の場合、麻酔剤や薬物、例えばトレーサが、処置に関連して患者の器官組織内へ投与される。これらの薬物は、通常、液状又はガス状であり、中空の針を介して組織内へ投与される。医学的な処置にさいして、中空の針を介して生体から物質を除去したり、生体組織検査のさい、針で組織が採取されることも知られている。
これらのどの処置の場合にも、極めて重要なことは、針の先端を正しい組織に到達させ、かつ何時尖端が正しい組織に到達したかを知ることである。例えば、脊髄神経の局所麻酔、つまり脊髄麻酔又は硬膜外麻酔では、麻酔剤が誤った組織に投与されれば、重篤な合併症、例えば意識喪失や、ひいては死さえ招くことがある。
現在、先行技術により周知の医療器具では、医師が組織内の針の位置に関する情報を得ることはできる。しかし、その種の器具の信頼性は十分ではない。医師は、また自分の解剖学的知識を頼りにすることもできる。しかし、ヒトの解剖学的構造は個人差が大きい。このため、医師は、しばしば、「感じ」だけに頼ることを強いられる。
先行技術では、また例えば生体インピーダンスの測定に基づいて針位置を検出するシステムも知られている。それらの1つは特許文献1に開示されている。しかし、該システムは、構造が複雑な上に、電極を皮膚に取り付けねばならない点が欠点で、使用する上での便益を得るためには、システムを迅速にどう利用可能にするかが問題となる。
本発明の目的は、新規な改良型の検出装置と方法とを提供することである。
本発明の装置は、針の遠位端に配置された少なくとも2個の電極を含み、該電極が測定回路に接続されていることを特徴とし、かつ生体インピーダンスを測定し、針遠位端の進行状況のモニタに必要とされるすべての電極が、針遠位端に配置されることを特徴としている。
また、本発明の方法は、次の複数段階を含むことを特徴とする。すなわち、生体インピーダンスを測定し、針の遠位端の進行状況のモニタに必要とされるすべての電極が遠位端に配置された針の使用を準備する段階と、組織の生体インピーダンスを測定する測定回路と、該測定回路に接続される検出素子とを使用できるように準備する段階と、該検出素子が、組織から測定した生体インピーダンスによりリアルタイムで組織内の針遠位端の進行状況を検出できるように準備する段階と、電極を測定回路に接続する段階と、患者の組織内へ針を刺し込む段階と、組織の生体インピーダンスを測定する段階と、である。
また、本発明の方法は、次の複数段階を含むことを特徴とする。すなわち、生体インピーダンスを測定し、針の遠位端の進行状況のモニタに必要とされるすべての電極が遠位端に配置された針の使用を準備する段階と、組織の生体インピーダンスを測定する測定回路と、該測定回路に接続される検出素子とを使用できるように準備する段階と、該検出素子が、組織から測定した生体インピーダンスによりリアルタイムで組織内の針遠位端の進行状況を検出できるように準備する段階と、電極を測定回路に接続する段階と、患者の組織内へ針を刺し込む段階と、組織の生体インピーダンスを測定する段階と、である。
本発明の利点は、生体インピーダンスの測定に要するすべての電極が針に配置されているので、本装置を極めて容易かつ迅速に使用できる点である。別の利点は、電極が針の遠位端に配置されているので、遠位端にきわめて近い組織を測定できることである。
本発明の一実施例によれば、本装置は、組織内での針の進行に抵抗する力を検出する素子を含んでいる。これらの素子は、例えばパワー・センサ又は圧力センサでよい。このことの利点は、針遠位端の前方に存在する堅い又は固体状の組織を検出可能なことであり、したがって針の破断が避けられる。
本発明の別の実施例によれば、本装置は、患者の皮膚又は粘膜に配置される主ステーション、それも、患者に取り付け可能な枠構造物と、該枠構造物に対して針を移動させるように構成された少なくとも1動力素子とを含む主ステーションと、更には患者の皮膚又は粘膜を介して患者の組織を検出するように構成されたゾンデ素子とを含んでいる。
この種のステーションの利点は、これによって、手による位置決めより著しく精密に皮膚又は粘膜に対して正確な角度で正確に針の位置決めができる点である。また、針が組織内へ刺し込まれる場合、動力素子により補助された運動は、手による運動より著しく精密である。主ステーションが固定された後、装置が独立的に操作可能であるのが好ましく、ボタンを押すことで全操作が自動式に行われる。
一実施例によれば、本装置は、解剖学的データに基づいて作成された解剖モデルを記憶するメモリと、解剖モデルに関連する針遠位端の位置をスクリーン等のディスプレーに表示できるように、電極により測定した生体インピーダンスを解剖モデルと突き合せて調整する手段とを含んでいる。
一つの利点は、組織に対する針遠位端の位置が、システムを操作する人員に明瞭に表示されるので、針位置の検出には、測定成績を解釈する特別な技術は必要ない。
本発明の幾つかの実施例を添付図面に詳細に開示する。
本発明の幾つかの実施例を添付図面に詳細に開示する。
分かりやすくするために、本発明の幾つかの実施例を略示図で示した。類似部品には類似に符号を付してある。
図1は、本発明の装置の略示図である。装置1は、生体インピーダンス測定回路と、組織を検出し、かつ相互に識別するパワー・センサとを含んでいる。従来の解決策と比較して、本発明の装置が提供する解決策では、例えば誤った組織へ意図せずして注射するようなことを、より容易に避けることができる。装置の部品や構成素子は、シリンジ、カテーテル、サンプリング器具、組織内へ刺し込まれる針を有する類似の器具構造物と組み合わせることができるが、それらの器具の使用により、続く診療が阻害されたり大幅に改変されたりすることはない。
以下で、本発明による幾つかの実施例と、その使用形式について、硬膜外麻酔、すなわち脊髄神経麻酔と関連させて開示する。しかし、この装置は、硬膜外麻酔に使用されるだけではなく、多くの他の麻酔形式、例えば治療、外科、診断、美容・整形の各麻酔の場合にも使用できることは明らかである。
装置1は、遠位端3を有する針2を含んでいる。遠位端は組織に刺し込まれる針端部である。針2はシリンジ9の一部材として構成され、シリンジは、針だけでなく、自体公知の形式で、注入される薬剤を入れる容器と、針2を介して薬剤を器官組織内へ強制注入するピストンとを含んでいる。この実施例の場合、針2は中空であり、生体内へ注入される薬剤を送るための導管を含んでいる。注入される薬剤は、液状又はガス状の自体公知の薬剤である。
この場合、注意すべき点は、他の幾つかの実施例では、この装置が、針その他の、器官組織から何らかの物質を除去するための、又は組織からサンプルを採取するための装備を含んでいる点である。また、別の幾つかの実施例では針2は中空ではない。
装置1は、更に、生体インピーダンス測定用のマイクロプロセッサを基礎とする処理ユニット5を備えた測定回路を含んでいる。処理ユニット5は、シリンジ9、カテーテル、サンプリング器具、装置1によりモニタされる針を含む類似器具のいずれかと統合するか、又は装置1によりモニタされる針を含む器具とは別個に、例えばPCに配置できる。
針2は電極6を含むが、電極の数は、この場合4個である。電極6は針の遠位端3か、又は遠位端の直近に配置される。電極6は、測定回路に接続され、処理ユニット5へ通じる線7に結合されている。線7は、全測定回路4及びその処理ユニット5と同じように、針2及び/又はシリンジ9と統合することができる。
図1では、線7を針2の遠位端3から直接に処理ユニット5へ通じる別個の線の形式で描くことにより、図が簡明にされている。実際には、線7は、針2の構造物に沿って電極からシリンジ9の構造物の残りの部分へ延びるように配置され、更に、適当なコネクタと線とを介して処理ユニット5に接続されている。線7は、シリンジ9の構造物内に遮蔽され、シリンジ9の正常な使用を阻害することはない。
シリンジ9から、シリンジとは別個に配置された処理ユニット5へデータを無線伝送することも可能であり、そうすることで、シリンジ9の扱いを幾分阻害する線やケーブルが、データ伝送に不要となる。
生体インピーダンスを測定し、針遠位端の位置を検出するすべての電極6を針2に、それも出来るだけ針遠位端3の近くに配置し、それによって、針遠位端3の前方の組織の生体インピーダンスを測定できるようにするのが好ましい。
電極6に多くの電極が配置されれば、それだけ正確に生体インピーダンスの測定が可能になる。針には少なくとも2電極を配置することで、電極には測定電流の給電と生体インピーダンス測定との双方が可能になり、測定全体が、針及び針を含む器具により統一的に実施できる。電極の数は2個、3個、4個、5個等々である。4個電極のシステムの利点は、電極のインピーダンスにより生じる誤差の可能性が低減されることである。4個の電極を使用する場合には、4線測定として知られる形式で測定を行うのが好ましい。
装置1は、更に、パワー・センサ又は圧力センサ13を含んでいる。このセンサは、組織内での針の進行に抵抗する力の大きさを検出するように構成されている。この力の大きさは、とりわけ、針周囲の組織の種類及び性質に影響される。センサ13は、針2が刺し込まれた組織から進入情報を得ることができる。例えば、針が骨に突き当たりそうになった場合、その進入情報が圧力センサ13を介して受け取られる。その場合、針2の位置は、骨の堅い組織に当たって破損する前に、変更される。もちろん、この操作は、例えば、生体インピーダンス測定又は超音波により得られた情報を用いて実施することもできる。
測定回路は、更に、電源を含み、該電源が、測定回路に接続され、交流電圧又は交流電力を測定回路に、更には適当な電極6に供給する。
処理ユニット5は、生体インピーダンス測定と圧力センサから得られた測定成績に基づいて得られた測定値を検出素子10へ供給する。検出素子10は、通常、表示器、例えば陰極線管(crt)又は液晶(lcd)ディスプレーである。検出素子10は、また、音信号を発生させ、かつ針が目標組織に近づきつつあることを音の振動数及び/又は音量の変化によって指示する器機でよい。検出素子10は、また針2の運動及び位置に関する発声情報を発生させる言語発生シンセサイザでもよい。
検出素子10は、患者の器官組織内での針の位置を、針の遠位端3が患者の皮膚又は粘膜へ刺し込まれた瞬間から連続的にリアルタイムで報知するのが好ましい。検出素子10によって得られた測定成績は、例えば直接測定値であり、言い換えると、電極6から得た生体インピーダンス値及びパワー・センサ13から得た測定値である。検出素子10は、患者の解剖学的構造をモデル化した画像(適当な平面での断面)と針2のリアルタイムでの動きとを表示するか、又は少なくとも、モデル化した患者の器官組織内での針遠位端3の動きを、リアルタイムで表示できるディスプレーであるのが、最も好ましい。そうすることによって、器官組織内での針2の位置が、出来るだけ明瞭に図解表示できる。
本装置は、更に、デジタル・フォーマットでのデータ記憶用メモリ11を含んでいる。メモリ11は自体公知のハードディスク、CD、DVD、フラッシュ・メモリ等である。メモリ11は、また処理ユニット5に情報ネットワークを介して接続でき、その場合、メモリは、処理ユニット5又は患者と物理的に同じ室内に配置される必要はない。しかし、注意すべき点は、メモリ11が、本発明の装置に不可欠のものではない点である。
患者の解剖学的構造のコンピュータ・モデルは、メモリ11に蓄えることができる。モデルは、患者の生体から測定した情報に基づいて作成するか、又は、例えば種を代表する複数個体の解剖学的構造を測定することで得られた種(例えばヒト)特有の一般に知られている解剖学的情報に基づいて作成することができる。モデルの構造は、磁気共鳴画像又はその他の3次元画像材料に基づいて作成できる。また、超音波画像又は導電率値、つまり生体インピーダンスに基づいてモデルを作成することもできる。しかし、注意すべき点は、モデル化は装置の操作及び使用を、より精密にするものではあるが、不可欠のものではない点である。
検出素子10に加えて、装置1は信号発生器12を含んでいる。この信号発生器は、針の遠位端3が特定種類の組織に達すると可視信号及び/又は可聴信号を発生できる。信号発生器12は、例えば信号ライト、検出素子10として役立つディスプレー上のサイン又は記号、拡声器等の音響発生装置を含むことができ、信号発生器が発生させる信号は、コミュニケーション可能な音声言語又は単純な音信号から成ることができる。
本発明の装置は、また自体公知の形式で、器官組織へ投与された薬剤量、又は器官組織から受け取った薬剤(物質)量を測定する用量検出器14を含んでいる。検出は、例えばシリンジ内のピストン運動を検出することに基づいて行うことができる。用量検出器14は、特定閾値に達した時に投与を停止するか、又は薬剤を回収する自動装置を備えることができる。
本装置を麻酔に使用する場合には、次の作業が含まれる:操作員は、解剖学的知識により、かつまた当該部位の触診により患者の皮膚又は粘膜の表面上で正しいスポットを探し出す。次に、針2を正しい角度に合わせて、手で針2を目標組織に向けて押し込む。針遠位端が組織内の目標位置に到達したことを装置が知らせると、操作員は、必要量の麻酔剤をシリンジのピストンを押して注入する。
本装置は、麻酔剤が間違った部位に注入されるのを防止することができる。同時に、本装置は、最悪の場合、意識喪失や死を招くような、患者にとっての重大なリスクを低減する。
本装置の使用によって、経験ある医師が常在する必要が無くなる。例えば、看護婦が、かなり高度な段階まで一人で麻酔処置を準備することができる。また、医師は手術室とは別の所にいてもかまわない。つまり、経験の十分な医師が、例えば、ビデオ会議連絡手段を介して麻酔を行っている人員に指示を与えることができる。
本装置は、注入(射)麻酔剤が使用されるすべての麻酔処置に適用できる。
硬膜外麻酔に加えて、本装置の別の用途には、歯科等で使用される複数の麻酔処置が含まれる。
本装置は、X線その他の画像作成技術と一緒に、又はその代わりに、補助位置決め器具として使用できる。
本装置は、例えば、医学生が麻酔の正確な部位を見つける実際の仕方を訓練するさいに、教育目的で使用することができる。
例えば、本装置を用いて神経組織に電流又は電圧を加えて、神経組織の反応を測定することによって、神経を検査することができる。針による測定値に基づいて、被測定神経組織が健康か又は損傷しているか推測可能である。同じように、例えば智歯の除去と関連して損傷した神経組織の機能回復をモニタすることもできる。
本装置の一実施例は、モニタ対象の目標の電気的な値及びその他の値を測定することにより組織の回復をモニタするのに使用される。それらの値は、健康な組織の公知対応値と比較でき、したがって、例えば骨折後又は外科手術後の組織の治癒をモニタできる。同じように、X線設備等による照射の負担なしに筋肉や関節組織の炎症度や回復度を検査することもできる。
別の実施例によれば、本発明の装置は薬剤の投与に使用される。引用できる例には、例えば、痛みの部位の組織に麻酔剤を直接投与したり、悪性腫瘍に着色剤又は放射性核種を投与して、治療を行うこと、又はその部位の画像を得ることが含まれる。この画像取得は、目視による観察だけでなく、例えばガンマ・カメラその他の検出器でも行われる。更に、本発明の装置は、筋組織を弛緩させる目的で、或る部位にボツリン(神経毒)を投与するさいにも使用できる。更に加えて、この装置は、成長因子及び組織の成長を制御するための物質、又は一般に組織を目標組織に正確に特定するための物質を投与するのに使用できる。加えて、この装置は、血液循環の及ばない目標、例えば膿瘍に抗生物質を投与する時にも使用できる。目標が骨の内部の場合、本装置には、切断刃と、針を骨に刺し込んで目標に到達させ得る機構とを備えることができる。同じように、必要な場合、本装置には真空ポンプ等を装備して、病巣及び周囲の部位から膿を除去することもできる。更に、本装置は、前記諸目標での生体組織検査に使用することもできる。
本発明の一装置は、例えば生検や、生体組織の導電率のあらゆる測定に使用できる。本装置は、脊髄液のサンプル採取、つまり特に子供が関係する場合に適用可能な穿刺に使用できる。本装置は、また炎症組織又は悪性病変組織からのサンプル採取に適している。健康な組織の導電率値は、病変組織のそれとは異なる。本装置は、できるだけ「代表的な」性質の部位からサンプルを採取できる。このことによって、部分的な病変器官又は組織の健康な部位から誤って採取したサンプルで生検を行うことが防止される。生検、又はサンプルを分離かつ生体外へ取り出す作業に係わる技術的解決策は、自体公知なので、ここでは、これ以上詳細には説明しない。
サンプルは、特定薬剤に対する患者の反応を検査する時にも採取できる。薬剤が使用した患者の受容体、例えば肝臓の受容体が働いているかどうか、サンプルから検査できる。その場合、装置には分析ユニットが装備できる。
本装置は、また、生検の場合に、目標部位の薬剤含有量を別個の手段により検出したり、細胞増殖抑制処置、例えば放射性核種に係わる処置に使用された物質が、目標部位への経路を誤りなく進んでいるかを確認するために使用することもできる。
本装置は、またサンプルを採取する目標とは別の目標の位置を検出することも可能である。それらの目標の一例はリンパ節である。乳癌患者の場合、前哨リンパ節は、リンパ液又は場合によりリンパ液で運ばれる癌細胞が、腫瘍から直接に流入する最初のリンパ節である。癌は、実際に、先ず前哨リンパ節に広がると考えられる。また、腋窩の前哨リンパ節が健康であれば、残りのリンパ節も健康と考えられ、腋窩を除去しても、つまり腋窩に存在する組織及びリンパ節を取り除いても、患者のためにはならない。前哨リンパ節は1つ以上存在するが、腋窩の部位の外部にも存在する。
本発明の幾つかの装置は、前哨リンパ節に使用する場合、先ず前哨リンパ細胞の生検に使用できる。本装置がその生検に好適なのは、悪性病変組織の導電率が異常なため、できるだけ代表的なリンパ節部位からサンプル採取ができるからである。この作業は、ガンマ・カメラの補助により、又はカメラなしで実現できる。同じように、本装置は、治療が必要なさいには、リンパ節への放射性核種又は細胞増殖抑制剤の注入に使用できる。本装置は、また静脈内に注入した放射性核種に基づいて悪性組織を内包する前哨リンパ節を検出できる。放射性核種の含有量が高いため、該リンパ節の導電率が、周囲の部位のそれとは異なるからである。
本発明の装置の幾つかの実施例は、組織から出る物質を除去するために、例えば、溜まった流体を組織から除去するために使用できる。その場合、装置には、例えば真空ポンプを装備することで、確実に組織から流体を効果的に除去できる。装置には、例えば、導電率に基づいてフィードバック・カップリングを備えることができるので、流体は、組織内に流体が過剰になった時にのみ除去される。
本装置は、また幹細胞の治療にも使用できる。その場合、例えば脂肪のサンプルを採取してから、適当な組織を選択し、幹細胞治療の対象となる解剖学的目標を選択する。この種の治療として挙げることができる一例は、腱の損傷の治療である。
本装置は、また、生体から出る分泌生成物の、情報処理機能を有するドレーン又は排出管として使用でき、溜まった流体を、組織内に流体量が過剰になった時にのみ除去することができる。除去すべき炎症分泌物が濃厚な場合は、針の直径を、通常、麻酔に使用する針の直径よりかなり大きい寸法のものにすることができる。また、この用途の場合、装置に、真空ポンプを装備でき、該真空ポンプの動作は、フィードバック・カップリング・モードで、組織内に溜まった流体及び/又は分泌生成物に基づいて調整できる。その場合、ドレーンは数日間所定位置に配置し、例えば1日数回、装置に接続する。導電率その他の組織測定値に基づいて、組織内で過剰量の流体及び/又は炎症分泌物が検出された場合、真空ポンプが起動され、作業が終われば、停止される。通常の状況では、この処置は外来診療部門で看護婦が行うことができ、患者は、処置以外の時間は家で過ごすことができる。
本発明の装置は、美容・整形治療又は美容・整形外科に適用できる。その一つの適用例が、組織からの吸引脱脂である。装置の針2が、脂肪組織を有する部位に解剖学的構造に従って案内される。針には、また真空ポンプ等が備えられ、それによって、組織の導電率に基づいて該部位から適当量の脂肪組織が除去され、針周囲の脂肪量が測定される。補助器具としてチューブ又は吸引ホースが、組織から針2を介して脂肪組織を搬出するために備えられる。適切な量の脂肪組織が除去されると、装置のフィードバック・カップリング機構が、自動的に組織からの脂肪組織吸引を終了する。脂肪組織の最終的な目標除去量は、予めプログラムできる。本装置は、特に、精密さが要求される少量の脂肪蓄積の除去に好適である。その種の処置の一例は、眼瞼の皮膚に蓄積された脂肪組織の除去である。
美容・整形処置の場合、本装置は、凹凸のある皮膚又はたるんだ皮膚の下に物質を注入投与する処置にも使用可能である。その場合、患者自身の脂肪細胞又は生理的食塩水を、装置に予めプログラミングして、皮膚に或る度合いの弾力性を与えるのに必要な量だけ皮下注入する。本装置では、例えば圧力センサを用いて又は組織の導電率を測定することによって、皮下弾力性を検出することができる。本装置では、フィードバック・カップリング機構を追加装備して、適当な皮膚弾力性を示す閾値に達した場合には、該機構により装置を切り、組織内への物質の注入を停止させることもできる。
本装置は、また例えばヒアルロン酸を用いて皺や瘢(創)痕を平滑にするのに使用できる。その場合の必要条件は、ヒアルロン酸を正確に目標部位に皮下注入することである。そのような目標部位の一例は、顔の皺である。
本装置は、顔又は生体の目標モデル又は構造を可視化するため、コンピュータに接続できる。可視化されたモデル又は構造によって、本装置は、患者の顔又は生体が所望通りに変更できるように制御される。例えば、患者の顔でモデルを作成するために、糸で吊り上げる方法が使用できる。その場合、本装置は、皮膚及び組織を支持し吊り上げるためのかかり付き糸の適切な数を決定し、かつ小切開により皮膚下に糸を挿入するのに使用できる。これにより、例えば顔及び頸部のたるんだ部位を吊り上げることができる。同じように、例えば美容上邪魔な顎の下の脂肪組織も、注入治療によって溶解することができる。その場合、針2は、自動式に脂肪組織へ案内され、脂肪組織内へ脂肪を分解する物質(脂肪分解性物質)を注入できる。本装置は、また治療の成功や当該部位での脂肪の分解をモニタするために使用することもできる。
類似の一装置は、例えば、アテローマ硬化症と呼ばれる疾患時に、静脈から脂肪分解物質により脂肪の蓄積(コレステロール)を除去するのに使用できる。その場合、本装置により得られた組織情報に従って、針2がコレステロールの内包される静脈へ案内される。溶解物質が針を介して蓄積脂肪内へ注入される。装置には、コレステロールが溶解された時に、注入を停止するフィートバック・カップリングを備えることができる。
ボツリンは、神経と筋肉との結合箇所と自律神経端部とに影響を与え、それらの活動を弱める。美容・整形上問題のある部位では、筋肉活動が弱まることで、例えば皮膚の皺が平滑化する所望の成果が得られる。類似の処置は、患者の有害な歯ぎしり傾向を制御又は完全に中止させるのに使用できる。その場合、ボツリンを咬合筋に注射し、筋肉の部分麻痺を生じさせる。本装置により、麻痺の度合いを調整かつ測定することができる。ボツリンは、正確に目標部位に投与できる。針2を有する本装置は、目標部位の検出にも、目標部位への小用量のボツリン投与制御にも好適である。
ボツリン及び類似の物質は、神経痛患者の治療にも使用できる。本装置により、神経痛の発症する可能性のある損傷神経部位へ正確に物質を注入できる。該物質が神経活動を麻痺させることにより、当該部位の痛みが緩和又は解消される。
図2には、本発明の装置の処理ユニット5が略示されている。
処理ユニット5は、針2に取り付けられた線を介して電極6a,6bに接続されている。処理ユニット5は、信号源23と、A/Dコンバータ25と、マイクロプロセッサ26と、これらの素子間の配線その他の電気リード線とを含んでいる。線を用いずに、データの無線伝送を採用することもできる。
信号源23は、線を介して外側の2つの電極6aに信号を送る。内側の電極6bは、組織31からの信号を受け取る。この信号は、線を通じてフィルタ24を経て、送られるとすれば、A/Dコンバータ25へ送られる。信号は、デジタル・フォーマットに変換されてマイクロプロセッサ26で処理され、読み出される。この作業は、使用者の自体公知のインタフェースにより補助でき、このインタフェースは、図1に示す信号発生器12、例えば可聴信号又は可視信号又はその他の信号の発生器を含むことができる。信号は、また送/受信器28へ送られ、送/受信器は、またPCその他の使用者の外部インタフェース29と通信する。インターフェースは、通常、図1に示す検出素子10と信号発生器12とを含んでいる。装置は、作業するには、電力源8を必要とするが、この電力源は、図1に示すように処理ユニット5に配置されるか、又は外部に配置して該ユニットに接続される。処理ユニット5のすべての部品は、使用者の外部インタフェース29を除いて、麻酔用シリンジに統合されている。全体としての装置1は、シリンジ、カテーテル、サンプリング器具、装置によりモニタされる針2を含む類似器具を統合したものである。
図3は、本発明の装置に属する針の略示図であり、図4は、本発明の装置に属する第2の針の略示図である。図には、針の遠位端3のみが示されている。
図3の針2は、中実であり、つまりその軸部が細長の導管になってはいない。この種の針2は、例えば、患者の組織を同定し検査するため、又は注入時に正しい経路を教えるために使用される。もちろん、この針2は中空でもよい。
針2には、2個の電極が配置されている。第1電極16は針の軸部であり、軸部は、適当な導電性材料製、通常は例えば鋼等の金属製である。第1電極16は、針2の最先端に設けられている。第2電極18は、針の軸部15を取り囲む導電材料層で作られ、電極16,18間に配置された第1絶縁層17によって、軸部から絶縁されている。第1絶縁層17は、針の軸部15の部分のみを取り囲み、小部分は露出したままなので、第1電極16は周囲の組織と接触できる。
第2電極18を形成する材料層は、第2絶縁層19により被覆され、この絶縁層が針2の外表面の主な部分を形成しているが、第2電極18を形成する材料層は、露出したままなので、周囲組織と接触できる。
既述のように、電極数は2個以上にすることができる。理由は、図3の電極構成は、幾つの電極でも実現可能だからである。
図4の針の軸部15は長手方向の通路20を有している。電極16,18は、互いに絶縁層17によって絶縁されている。最も外側の層は第2絶縁層19である。図4の針の場合、双方の電極16,18が、針先端の傾斜部30まで延びており、この点が、図3の針とは異なる点である。電極16,18の動作面、つまり組織と相互作用する針周囲の電極面は、大半の用途の場合、針の遠位端3の最も外方の個所50にできるだけ近くに設けるのが好都合である。
図3及び図4の針2は、針の軸部15を絶縁材料と電極材料とで交互に被覆することができる。針の軸部15は、例えばステンレス鋼製でよい。その場合、軸部は絶縁材料で被覆される。組織と接触する材料は、生体親和性でなければならない。被覆は、また密で、剥離不能でなければならない。適当な絶縁材料は、ポリマー、例えばプロピレン及びテフロン(登録商標)、また幾つかのセラミック被覆である。絶縁は、例えばプロピレンを用いる場合、例えば浸漬法により実現できるが、また被覆によっても実現できる。考えられる被覆方法には、ゾル・ゲル技術、レーザ被覆、プラズマ被覆、真空被覆、溶射被覆により実現されるナノ被覆法が含まれる。
絶縁層は、軸部15上に形成された後、金属で被覆される。この被覆には、前記の被覆方法が適している。被覆に使用可能な材料としては、金、プラチナ、又は組み合わせ金属、例えばプラチナ‐イリジウム等が挙げられる。その他の使用可能な材料は、導電性ポリマー及び組織親和性のセラミック材料である。
導電性材料と絶縁材料とで針の軸部を交互に被覆する作業は、目標量の電極と同時に、目標量の導体が得られるまで続けられる。作製される電極の寸法は、取り囲む次の絶縁材料上の、被覆されない針先端区域の寸法の変化に応じて変更される。針先端に残される環状の導体部分は、絶縁材で被覆してもよく、電極の一部として残してもよい。
図5は、本発明の装置に属する第3の針の略示図である。図5にも、針の遠位端3のみが示されている。
この針2は中空であり、言い換えると、軸部15が針の長手方向に導管として構成されている。針遠位端3には、4個の電極が備えられている。すなわち、第1電極16、第2電極18、第3電極21、第4電極22である。これらの電極16,18,21,22は、すべて、軸部15の外面に、それも針遠位端3の傾斜部30の直近に配置されている。この場合、電極は、軸部周囲に、電気絶縁された位置に互いに別々に配置され、また必要とあれば、針軸部15から電気絶縁されて配置されるが、軸部15が不導性材料の場合は、その必要はない。軸部15の材料が導電性の場合には、軸部を不導性材料で被覆し、その被覆表面に電極を配置することで、軸部が電極16,18,21,22から絶縁されるようにするか、又は電極構造物が絶縁材料層を有するようにすることで、電極の電気部品が針の軸部15から絶縁されるようにする。
針の遠位端3の最も外方の個所50に最も近い第1電極16は、針の長手方向で最外方個所50から1.0mm未満、例えば0.9mm又は0.8mm又は0.7mmの距離に配置するのが好ましい。残りの電極18,21,22は、第1電極16から約1mmの距離に配置するのが好ましい。
図6は、本発明の装置の第4の針の略示図である。電極16,18と21,22は、軸部15の両側に対形式で対称的に配置されている。また、電極は針の最外方の先端から異なる距離に配置でき、その場合、電極間の距離は僅かに増大する。電極は、通常、円形だが、他の幾何形状も可能である。第1電極対の電極16,18は、針の遠位端3に近く、第2の電極対21,22は、軸部上に更に離れて配置されている。電極の寸法は針の太さに応じて変わるが、針の軸部よりかなり小さい。電極間の距離が大きくなれば、それだけ電極が測定する組織の体積は大きくなる。一般に、電極の数、位置、例えば間隔を選択し、かつ電源及び測定電極の特性を選択することにより、測定の及ぶ範囲に影響を与えることができる。つまり、電極の近くのどの範囲で、又は電極からのどの奥行き範囲で、又は電極の近くの何処で、組織の導電性を測定できるのかに、影響を与えることができる。
図6に示した針の場合、電極16,18,21,22は、針の軸部よりかなり小さい直径を有している。第1電極16,18は、針の遠位端の傾斜部30に配置され、そこに埋め込まれている。電極は円形で、針軸部15の形状に合致している。
第2電極21,22は、針軸部15の両側に第1電極16,18から1mm未満の間隔をおいて、針遠位端の最外方個所50から等距離のところに配置されている。この実施例では、4個の電極16,18,21,22は、すべて寸法が等しい。第2電極21,22は、針の軸部に埋め込まれている。そのほかでは、針の遠位端3が絶縁層19で被覆されている。
もちろん、図3又は図4に示すように構成された電極と図5に記載の電極とを備えた針2を使用することも可能である。一般的に言って、針2に配置される電極は、その寸法、形状、構造に関してすべて等しくすることができるが、少なくとも1電極を残りの電極と異なるようにすることもできる。
図7aは、本発明の装置の主ステーションが第1位置にある状態を略示し、図7bは、主ステーションが第2位置にある状態を示す図である。
皮膚又は粘膜の表面から組織内へ針を刺し込むさい、正しい注入スポットを見出すことに問題がある場合が時折ある。同じように、針を正しい角度に設定する時にも、問題が生じることがある。このことが特に困難なのは、例えば、針の先端が組織内で骨に突き当たって針の方向を変更せねばならない時である。その場合、単一麻酔処置の間に何度か方向変更せねばならない。手の不正確さも、医師が上方から目標を捉えそこなったり、目標をそれて誤った組織に達してしまう一因である。
針の先端が誤って骨の組織に当たった場合、針の遠位端が、曲がって鉤状になったり、折れたりする可能性がある。脊髄麻酔の場合には、それが、例えば対麻痺、つまり両下肢の麻痺を発症させることがある。また、針が偶然に神経組織に当たれば、同じような障害及び/又は感覚異常を発症させることがある。
本発明の装置は、患者の皮膚又は粘膜に配置される主ステーション32を含むことができ、図7a及び図7bには、その一実施例が略示されている。主ステーションは枠構造物を含み、該枠構造物は、患者に、又は例えば患者がナルコーシスの場合には患者のベッドに、又は画像装置のフレームに、又は車椅子に取り付け可能である。枠構造物には、上部プレート33が結合され、かつ上部プレートから間隔をおいて上部プレートと平行に下部プレート34が配置されている。プレート33,34は、プレートを貫通する穴を有している。プレート33,34の相互位置及び枠構造物32に対する位置は、プレートの平面方向で2次元に変更できる。枠構造物は、更にプレート33,34の貫通穴内に回動可能に配置された案内管35を含み、該案内管35の長手軸線が穴を貫通している。案内管35の内部には、案内管の長手軸線方向にスライド可能な留め管36が配置されている。案内管35と留め管36とは、したがってテレスコープ構造を形成している。
主ステーション32は、少なくとも1つの、この場合は2つの動力素子3737を含み、該動力素子がプレート33,34に結合され、プレート平面方向でプレート33,34を2次元移動させるように配置されている。更に、又は主ステーション32は、案内管35と留め管36とにより形成されたテレスコープ構造の長さ調節用の第2動力素子38を有している。動力素子37と第2動力素子38とは、例えばサーボモータ又は類似のものでよい。
シリンジ9、又はその他針を有する既述の器具は、適当な留め手段により留め管36に固定される。針の固定は、例えば、クランプ部材によって留め管36を縮径することで確実に行うことができる。
針の位置は、プレート33,34の移動とテレスコープ構造の長さ変更により変えることができる。図7bでは、上部プレート33が、図で見て上方へ移動しており、これにより針が傾斜し水平レベルより下を指している。留め管36は、案内管35内部を移動し、それにより針は前方へ移動し、案内管35から突出している。針の位置は、動力素子37,38を制御する制御ユニットによって変えられる。制御ユニットは、例えばマイクロプロセッサを含む制御カードであり、後述するゾンデ素子39から、又は針の電極を介して得られた情報から、無線データ伝送により必要な情報を集めることができる。制御ユニットは、自体公知であり、したがって、この明細書ではこれ以上詳細には触れるつもりはなく、図にも示していない。
図7a,7bに示した主ステーションは、更に、患者の皮膚又は粘膜背後の組織を検出するように構成されたゾンデ素子39を含んでいる。ゾンデ素子39は、例えば自体公知の超音波送・受信器を含むことができる。ゾンデ素子は、既述の処理ユニット5に接続するのが好ましい。
主ステーション32は、例えば皮膚に容易に取り付けられる基部を含み、基部の材料はケイ素又は類似物でよい。この場合、枠構造物は基部上に配置される。枠構造物は、また基部上を、いわば「浮動」することができる。その場合、基部は、例えばケイ素ゲル、又は類似材料を含有する。主ステーション32の取り付けは、例えば適当な接着剤により、又は真空を利用した吸着パッドにより、行うことができる。
主ステーション32が、種々の形式で実現できることは言うまでもない。例えば、2個のプレート33,34の代わりに、1個のプレートを使用することもでき、針は、機械式のアーム又は類似部材によって移動させてもよい。
主ステーション32は、針を刺し込む予定の部位の近くに固定される。ゾンデ素子39は、骨組織、例えば関節を、すでに皮膚又は粘膜の表面から確認する。例えば背部から硬膜外麻酔剤を投与する場合、針は2個の脊椎骨間に向けられる。
針が予定の注入スポットに達すると、下部プレート34が、それ自体の機構により皮膚表面に取り付けられる。これにより、針が組織内へ進入開始すれば、プレートが患者から離れることはない。その機構は、例えば吸着パッド、又は機械式の拘束部材又は類似物でよい。針の角度は、その場合、目標部位に適合するように、前記動力素子37によって変更される。適切な針角度により、針は、その経路上で例えば骨組織に突き当たることが避けられる。装置1では、針が目標の組織又は組織部分に対して適正位置にあることを知らせるのに、例えば光又は音の信号を使用できる。
針の進入運動及び組織内での針位置は、図1及び図2に関連して説明したようにモニタされる。
本装置は、更に、目標の組織又は組織部分へ針遠位端を案内する自動装置を含んでいる。針は、例えば骨組織を迂回する新たな経路に自動式に進むことができる。経路変更を要する場合、主ステーションは針を僅かに引き込め、針が新しい方向へ進むのを容易にする。
麻酔剤注入前に、医師は、例えば光信号又は音信号により針先端の正しい位置の情報を受け取ることができる。最後の段階で、麻酔剤がバイアル又はその他の容器から針を介して目標組織へ手又はモータ又は類似物で注入される。
主ステーションは、幾つかの利点を有している。第1は、針が皮膚又は粘膜に対し容易に正しい位置へ、かつまた適正な角度で注入できる点である。また、組織内への注入時、モータにより補助される針の運動は、手による運動よりも著しく正確である。また、モータを用いた場合、麻酔剤の投与量は、手による注入よりも精密である。主ステーションを取り付けた後、装置は独立して動作できるのが好ましい。それにより、麻酔処置全体が、ボタンを押すことで可能になる。
主ステーションは、例えば、脳脊髄液サンプルの採取、すなわち穿刺に利用できるが、これは、特に子供の場合に有用な方法である。
図8a〜図8dには、硬膜外麻酔と関連する本発明の装置が略示されている。図8aの場合、針2が主ステーション32に当てがわれている。主ステーションは、ゾンデ素子によって麻酔の正しい部位と針の正しい角度とを探り、針を既述の動力素子で皮膚表面40上の適切な位置へ移動させる。
図8bでは、主ステーション32が、針2を目標麻酔点に向けて、つまり硬膜外部位42に向けて筋肉組織41内へ進入させている。針2の角度は、その経路にある脊椎骨44の骨組織に当たらないように選択されている。
図8cでは、主ステーション32が針の方向変更を行い、前進させている。
図8dでは、針2の遠位端が硬膜外部位に達し、ここで主ステーション32が麻酔剤を注入する。
図9は、本発明の装置でモデル化した通常の生体インピーダンスを示している。この曲線から、背部に麻酔が施される間に、針が硬膜外及び/又は脊髄部位内をどう進行しているかをたどることができる。曲線の初期部分の第1の高い値の個所は、皮膚によって生じたものである。曲線の最後の部分のピーク値は針が硬膜外部位に到達したことを示しており、ここで導電率は極端に低くなる。最後の部分の2つの陥没個所は、骨膜及び脊髄部位によって引き起こされたもので、それらの導電率は高い値である。
図10は、幾種類かの組織の導電率を測定周波数の関数として示した図である。生体インピーダンスは、大抵の組織の場合、測定周波数が増すにつれて下降する。図10から、異なる種類の組織を互いに区別せねばならない場合、測定周波数が重要であることが推測できる。例えば、血液組織を神経組織から区別せねばならない場合には、できるだけ低い測定周波数を用いるのが最も良い。なぜなら、両組織は、測定周波数が高くなるにつれて、急速に区別し難くなるからである。測定周波数が1キロヘルツを超えると、筋肉組織は、神経組織とあまり区別がつかなくなる。また、血液組織を筋肉組織から区別するのに使用する場合は、周波数の高低であまり差はない。
生体インピーダンス測定に使用する測定周波数は、区別すべき組織に応じて選択するのが好ましい。例えば、脊髄麻酔に関連して行う測定の場合には、硬膜外部位を脊髄部位から区別することが重要であり、下顎の神経ブロック麻酔に関連する測定時には、神経及び静脈組織を筋肉組織から区別することが必要である。測定装置には、異なる複数測定周波数で生体インピーダンスを測定可能な素子、又は異なる周波数の電流を同時発生可能な信号発生器を備えるのが好ましい。そのさい、それらの電流は、同一測定事象のさいに複数電極から供給される。
注意すべき点は、インピーダンスの位相角が組織の種類の変化に特に敏感に反応することを、予想外にも発明人が観察したことである。したがって、最も好ましいのは、生体インピーダンスの大きさのみでなく、その位相角をも検出することである。例えば脂肪組織の位相角の値は小さく、約3°であり、乾燥皮膚の位相角は約80°、筋肉組織の位相角は約30°、血液組織の位相角は約20°である。
幾つかの場合、本出願の特徴は、それ自体として、他の特徴と関係なく使用できる。しかし、ここに開示した諸特徴は、必要とあれば、別の組み合わせにすることもできる。
図面及び図面に関連する説明は、本発明を説明する意図のものに過ぎない。本発明の細部は、特許請求の範囲内で変更可能である。
Claims (23)
- 器官組織内で針位置を検出する装置において、該装置(1)が、
遠位端(3)を有する針(2)と、
組織の生体インピーダンスを測定する測定回路(4)と、
検出素子(10)とを含み、該検出素子(10)が、生体インピーダンス測定回路に接続され、かつ組織内で測定した生体インピーダンスからリアルタイムで組織内の針遠位端(3)の進行状況を検出するように構成されている形式のものにおいて、
前記装置(1)が、針遠位端(3)に配置された少なくとも2個の電極(16,18,21,22)を含み、該電極(16,18,21,22)が測定回路(4)に接続されており、
生体インピーダンスを測定し、かつ針遠位端(3)の進行状況のモニタに必要とされる電極(16,18,21,22)が、すべて針遠位端(3)に配置されていることを特徴とする、器官組織内で針位置を検出する装置。 - 前記電極(16,18,21,22)の数が2個であることを特徴とする、請求項1記載の装置。
- 前記電極(16,18,21,22)の数が4個であることを特徴とする、請求項1記載の装置。
- 前記電極(16,18,21,22)の1個が、針の軸部(15)であり、該軸部が、針に配置された残りの電極(16,18,21,22)から電気絶縁されていることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の装置。
- 少なくとも1個の電極(16,18,21,22)が導電性材料層で作られており、該導電性材料層が針軸部(15)を取り巻き、かつ針に配置された残りの電極(16,18,21,22)から電気絶縁されていることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の装置。
- 少なくとも1電極(16,18,21,22)が、針の外表面に形成された別個の1電極であることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の装置。
- 前記検出素子(10)がディスプレー装置であることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか1項記載の装置。
- 組織内での針の進行に抵抗する力を同定する素子を含むことを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項記載の装置。
- 前記同定素子が、圧力センサとパワー・センサ(13)とを含むことを特徴とする、請求項8記載の装置。
- 前記針(2)が中空であり、生体内及び/又は生体外へ流体物質を運ぶ導管(20)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか1項記載の装置。
- 前記装置が針の導管(20)に接続された容器を含むことを特徴とする、請求項10記載の装置。
- 前記装置が患者の皮膚(40)又は粘膜に配置される主ステーション(32)を含み、該主ステーションが、患者に取り付け可能な枠構造物と、
該枠構造物に対し針(2)を移動させるように構成された少なくとも1動力素子(37,38)とを含むことを特徴とする、請求項1から請求項11までのいずれか1項記載の装置。 - 前記主ステーション(32)が、患者の皮膚(41)を通して皮下組織を同定するように構成されたゾンデ素子(39)を含むことを特徴とする、請求項12記載の装置。
- 前記ゾンデ素子(39)が超音波送/受信器を含む、請求項13記載の装置。
- 前記装置が、解剖学的データに基づいて作成された解剖学的モデルを記憶するメモリ(11)と、該モデルに対する針遠位端(3)の位置を検出素子〈10〉が再現できるように、電極(16,18,21,22)で測定された生体インピーダンス情報を該モデルに照らして調整する素子とを含むことを特徴とする、請求項1から請求項14までのいずれか1項記載の装置。
- 前記解剖学的データが、一般に周知の種固有の解剖学的情報を含むことを特徴とする、請求項15記載の装置。
- 前記解剖学的データが、患者自身の解剖学的構造を測定した情報を含むことを特徴とする、請求項15記載の装置。
- 針遠位端(3)が特定組織内に進入した場合、区別可能な信号を発するように構成された信号発生器(12)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項17までのいずれか1項記載の装置。
- 前記区別可能な信号が、視覚的に区別可能な信号であることを特徴とする、請求項18記載の装置。
- 前記区別可能な信号が聴覚的な信号であることを特徴とする、請求項18記載の装置。
- 前記針遠位端(3)の最も外方の個所(50)に最も近い電極(16)が、最も外方の個所(50)から、針(2)の長手方向で見て、1.0mm未満の距離のところに配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項20までのいずれか1項記載の装置。
- 残りの電極(18,21,22)が、前記針遠位端(3)の最も外方の個所(50)に最も近い電極(16)から、針(2)の長手方向で見て、最大約1mmの距離のところに配置されていることを特徴とする、請求項21記載の装置。
- 美容・整形処置又は美容・整形外科の方法において、該方法が、
遠位端(3)を備えた針(2)を使用できるように用意する段階を含み、この針(2)には、生体インピーダンスを測定し、かつ針遠位端(3)の進行状況のモニタに必要とされる電極(16,18,21,22)が、すべて遠位端(3)に配置されており、更に前記方法が、
組織の生体インピーダンスを測定する測定回路(4)と、生体インピーダンス測定回路(4)に接続される検出素子〈10〉とを使用できるように用意する段階と、
組織内で測定した生体インピーダンスからリアルタイムで組織内での針遠板(3)の進行状況を検出できるように検出素子〈10〉を用意する段階と、
測定回路(4)に電極(16,18,21,22)を接続する段階と、
患者の組織内へ針(2)を刺し込む段階と、
組織の生体インピーダンスを測定する段階とを含むことを特徴とする、美容・整形処置又は美容・整形外科の方法。
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