JP2011507288A - レーザ光源 - Google Patents

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Abstract

レーザ光源はとりわけ、少なくとも2つの活性領域(45)を有する活性層を備えた半導体層列(10)と、前記半導体層列(10)の主表面(14)上において前記少なくとも2つの活性領域(45)それぞれに設けられた電気的面コンタクト(30)と、前記半導体層列(10)の主表面(14)に設けられた表面パターン部とを備えており、前記活性領域(10)は動作中に、放射出力結合面(12)として形成された前記半導体層列(10)の側面を介して放射方向(90)に電磁放射を放射するように形成されており、前記少なくとも2つの活性領域(45)は前記放射方向(90)に対して横方向に、相互に離隔して前記活性層(40)内に配置されており、前記電気的面コンタクト(30)はそれぞれ第1の部分領域(31)と、幅が前記放射方向(90)に沿って前記放射出力結合面(12)に向かって拡大していく第2の部分領域(32)とを含み、前記表面パターン部は前記少なくとも2つの電気的面コンタクト(30)間に、前記放射方向(90)に沿った少なくとも1つの第1の凹入部(6)と、第2の凹入部(7)とを有し、前記電気的面コンタクト(30)の第1の部分領域(31)はそれぞれ、少なくとも2つの第2の凹入部(7)間に配置されている。

Description

本願は、独国特許出願第102007061922.9号および独国特許出願第102008013896.7号の優先権を主張するものであり、それらの開示内容は参照により本願に含まれるものとする。
以下では、半導体層列を有するレーザ光源を開示する。
プロジェクション等の光学的用途や、光ファイバに入力結合するためのレーザポンピング源用のレーザシステムは高い明るさを必要とする。すなわち、高出力および高ビーム品質を必要とする。後者はいわゆるビームパラメータ積によって得られる。すなわち、レーザから放射された放射光のビームウェスト半径と発散角との積によって得られる。さらに、たとえば材料加工や固体レーザ用のポンピングレーザに使用する場合には、小さい放射面積で出力が高いレーザを使用するのが望まれることがある。
少なくとも1つの実施形態の課題は、少なくとも2つの活性領域を有する半導体層列を含むレーザ光源を提供することである。
前記課題は、独立請求項の特徴を有する発明により解決される。従属請求項に本発明の有利な実施形態および発展形態が記載されており、これらの実施形態および発展形態は、以下の詳細な説明および図面に示されている。
少なくとも1つの実施形態によれば、レーザ光源はとりわけ以下のものを含む:
・少なくとも2つの活性領域を有する活性層を備えた半導体層列。これらの活性領域は動作中に、放射出力結合面として形成された半導体層列の側面を介して放射方向に電磁放射を放射するように設けられている。
・前記半導体層列の主表面に設けられた表面パターン部。
・前記半導体層列の主表面において前記少なくとも2つの活性領域それぞれに設けられた電気的面コンタクト。
・前記少なくとも2つの活性領域は前記放射方向に対して横方向に、相互に離隔して前記活性層内に配置されている。
・前記電気的面コンタクトはそれぞれ第1の部分領域と、幅が放射方向に沿って前記放射出力結合面に向かって拡大していく第2の部分領域とを含む。
・前記表面パターン部は前記少なくとも2つの電気的面コンタクト間に、前記放射方向に沿った少なくとも1つの第1の凹入部と、第2の凹入部とを有する。
・前記電気的面コンタクトの第1の部分領域はそれぞれ、少なくとも2つの第2の凹入部間に配置されている。
上記および下記において「横方向」とは、他の第2の方向に対して横方向に決められた第1の方向が、該第2の方向に対して垂直な方向成分を少なくとも1つ有することを意味する。とりわけ「横方向」は、第1の方向が第2の方向に対して垂直であることを意味する。
上記および下記において「光」または「電磁放射」はともに、とりわけ赤外線〜紫外線の波長領域に含まれる少なくとも1つの波長または波長領域を有する電磁放射を意味する。とりわけ光または電磁放射は可視波長領域を含む。すなわち、約450nm〜約700nmの1つまたは複数の波長を含む赤色〜青色の波長領域を含む。ここでは、半導体層列は動作中に、とりわけ誘導放出によって生成されるコヒーレント電磁放射を生成することができ、このコヒーレント電磁放射はたとえば、スペクトルが10nm未満のスペクトル幅を有する波長領域にあることを特徴とし、有利にはスペクトルが5nm未満のスペクトル幅を有する波長領域にあることを特徴とする。さらにこのようなコヒーレント電磁放射は、数mのオーダ〜100m以上のオーダのコヒーレント長を有することができる。ここでは各活性領域は、コヒーレント電磁放射の固有のビーム束を放射することができる。これらのビーム束はそれぞれ、理想的なガウスビーム束のような、または理想的なガウスビーム束と同じビーム特性を有することができる。
少なくとも2つの活性領域を有する前記半導体層列は、レーザ光源から放射される電磁放射の出力ないしは強度を、1つの活性領域のみを有するレーザ光源と比較して上昇させるのに適している。とりわけレーザ光源を、複数の活性領域を含むいわゆるストライプレーザとして構成することができる。
さらに、前記活性領域からそれぞれ放射されたコヒーレント電磁放射のビーム束が1つのビーム束に視準および/または集束されるように構成することもできる。こうするためには、半導体層列の放射出力結合面およびとりわけ活性領域に、たとえば1つまたは複数のアナモフィックレンズや1つまたは複数のシリンダレンズ等の、電磁放射を1つのビーム束に視準および/または集束するための視準光学系または集光光学系を後置することができる。
コヒーレント電磁放射を誘導放出によって生成するためには、放射出力結合面および/または放射出力結合面に対向する半導体層列の側面を、少なくとも部分的に反射性に形成することができる。この放射出力結合面に対向する半導体層列の側面は、裏面とも称される。このように反射性に形成することにより、放射出力結合面と裏面とが、活性領域で生成された電磁放射に対する光共振器を構成することができる。このような構成では、前記少なくとも2つの活性領域それぞれにおいて、活性領域において光共振器によって予め決定されている1つまたは複数のモードに相応する1つまたは複数の定在電磁波が形成されるようにすることができる。とりわけ、前記少なくとも2つの活性領域において形成されるモード間の相対位相位置は異なることができる。
半導体層列の放射出力結合面および裏面はたとえば、結晶面に沿った半導体層列の劈開によって形成することができる。さらに、半導体層列の放射出力結合面および/または裏面は反射性コーティングを有することができ、たとえばブラッグミラーの形態で有することができる。
活性領域は同一の活性層に配置されているので、複数の活性領域を有する公知のストライプレーザでは、いわゆる光学的なクロストークが活性領域間で発生する可能性がある。このような光学的クロストークは基本的に、活性領域によって生成されたコヒーレント電磁放射が同じ活性領域に散乱して戻るか、または別の活性領域へ散乱または偏向されることによって発生する。さらに、有利にはコヒーレント電磁放射を生成するための活性領域内を伝搬する誘導放出の他に、付加的に行われる自然放出によってインコヒーレント電磁放射を生成して等方性に放射するように構成することも可能である。このようにして、このように生成されたインコヒーレント電磁放射を1つの活性領域から別の活性領域内へ放射することができる。以下では、半導体層列内部を伝播して1つの活性領域内に入射されるこのような電磁放射を、散乱放射とも称する。この散乱放射は定在波の形成を、すなわち電磁界モードの形成を妨害するので、各活性領域から放射される出力ないしは強度が低減され、ビーム品質が低減されてしまう。
ここで記載したレーザ光源は、少なくとも1つの第1の凹入部と第2の凹入部とを含む表面パターン部を有するので、散乱放射が半導体層列内を伝播するのが阻止される。さらにこのことによって、光学的クロストークが低減または阻止される。レーザ光源の活性領域から放射される電磁放射のビーム品質はたとえば、当業者に公知である回折率(Beugungsmasszahl)Mとして測定することができ、このようなビーム品質は従来のストライプレーザと比較して格段に改善することができる。
この半導体層列は、エピタクシー層列として構成するか、またはエピタクシー層列を含む放射放出半導体チップとして構成することができる。すなわち、エピタキシャル成長によって形成された半導体層列として構成することができる。その際には、たとえばAlGaAsをベースとして半導体層列を構成することができる。AlGaAsベースの半導体チップおよび半導体層列には殊に、エピタクシー形成された半導体層列が通常は、III‐V族化合物半導体材料系であるAlGa1−xAsから成る材料を含有する少なくとも1つの個別層を含む異なる複数の個別層から構成された層列を有する半導体チップおよび半導体層列が含まれる。ここでは0≦x≦1である。とりわけ、AlGaAsベースの材料を含む活性層は、赤色〜赤外線の波長領域にある1つまたは複数のスペクトル成分を有する電磁放射を放出するのに適している。さらにこのような材料は、上記の元素の他に択一的または付加的にInおよび/またはPを含むことができる。
さらに、たとえばInGaAlNをベースとして半導体層列を構成することができる。InGaAlNベースの半導体チップおよび半導体層列には殊に、エピタクシー形成された半導体層列が通常は、III‐V族化合物半導体材料系であるInAlGa1−x−yNから成る材料を含有する少なくとも1つの個別層を含む異なる複数の個別層から構成された層列を有する半導体チップおよび半導体層列が含まれる。ここでは、0≦x≦1,0≦y≦1およびx+y≦1である。InGaAlNをベースとする少なくとも1つの活性層を有する半導体層列はたとえば、有利には紫外線〜緑色の波長領域にある電磁放射を放出する。
択一的または付加的に、半導体層列または半導体チップはInGaAlPをベースとすることができ、すなわち半導体層列は異なる単一層を有することができ、そのうち少なくとも1つの単一層はInAlGa1−x−yP(但し0≦x≦1、0≦y≦1およびx+y≦1)のIII‐V族化合物半導体材料系からなる材料を有する。InGaAlPをベースとする少なくとも1つの活性層を有する半導体層列または半導体チップはたとえば、有利には緑色〜赤色の波長領域にある1つまたは複数のスペクトル成分を有する電磁放射を放出する。
III‐V化合物半導体材料系の他に択一的または付加的に、半導体層列または半導体チップは II‐VI 化合物半導体材料系を含むことができる。
半導体層列はさらに基板も有することができ、該基板に、上記の III‐V化合物半導体材料系または II‐VI 化合物半導体材料系が成層される。その際には基板は半導体材料を含み、たとえば上記の化合物半導体材料系を含むことができる。とりわけ基板は、GaP,GaN,SiC,Siおよび/またはGeを含むか、またはこれらの材料から形成することができる。
半導体層列は活性層内の活性領域としてたとえば、従来のpn接合部、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造(SQW構造)あるいは多重量子井戸構造(MQW構造)を有することができる。半導体層列はさらに、このような活性領域を含む活性層の他に、別の機能層および機能領域も有することができ、たとえばpドーピングまたはnドーピングされた電荷担体輸送層、すなわち電子輸送層または正孔輸送層、および/または、pドーピングまたはnドーピングされた閉じ込め層、および/または、pドーピングまたはnドーピングされたクラッド層、および/または、pドーピングまたはnドーピングされた導波層、および/またはバリア層、および/または平坦化層、および/またはバッファ層および/または保護層および/または電極を有し、また、これらの組み合わせを有することができる。上記電極はそれぞれ、Agおよび/またはAuおよび/またはSnおよび/またはTiおよび/またはPtおよび/またはPdおよび/またはNiを含む1つまたは複数の金属層を含むことができる。活性層または別の機能層および別の機能領域に関するこのような構造のとりわけ構成、機能および構造は、当業者には公知であるから、ここでは詳細に説明しない。
さらに、たとえばバッファ層および/またはバリア層および/または保護層等の付加的な層を、半導体層列の成長方向に対して垂直に、たとえば該半導体層列の周囲に配置することができ、たとえば半導体層列の側面に配置することができる。
さらに、半導体層列をいわゆる「分布帰還レーザ(Distributed Feedback Laser)」として、略してDFBレーザとして構成することもできる。このようなDFBレーザは、放射方向に周期的にパターニングされた活性領域を有する。周期的にパターニングされた活性領域は周期的に配置された領域を有し、該領域の屈折率は交互に入れ替わり、これらの領域は、波長選択性の反射を生じさせるための干渉格子ないしは干渉フィルタを構成する。
半導体層列の側面を放射出力結合面として形成することにより、半導体層列は有利には端面放出レーザダイオードとすることができる。その際に有利なのは、半導体層列が第1の導波層と第2の導波層とを有し、該第1の導波層と該第2の導波層との間に活性領域を有する活性層が配置されており、該第1の導波層および該第2の導波層によって、該活性領域で生成された電磁放射が活性層内へ導かれるように構成することである。
電気的面コンタクトおよび表面パターン部を有する主表面は、半導体層列の成長方向に対して垂直な主延在平面を有することができる。とりわけ電気的面コンタクトおよび表面パターン部を有する主表面は、基板に対向する半導体層列の表面とすることができる。
主表面上の電気的面コンタクトはとりわけ、該主表面上に設けられた電極に導電接続される主表面の面領域として形成することができる。こうするためにはたとえば、上記の金属のうち1つの金属等を含む電極層を電気的面コンタクトとして、主表面にパターニングによって形成することができる。択一的または付加的に、電気的面コンタクトに電気絶縁層が設けられずに、主表面上において電気絶縁層と電気的面コンタクトとにおいて電極層がパターニングされて設けられるかまたは面全体に設けられるように、主表面に電気絶縁層をパターニングによって形成することができる。択一的または付加的に、半導体層列が電気的面コンタクトの領域においてパターニングされ、高ドープされた半導体材料を含有する層を含み、このような半導体材料によって、電極に対する接触抵抗が主表面の他の部分より低いオーム抵抗を実現することができる。
電気的面コンタクトの形状と、半導体層列の成長方向および延在平面の機能層の導電度とによって、活性層において電気的面コンタクトの下方に、コヒーレント電磁放射の誘導放出を行うのに十分な高さの電流密度の活性層を形成することができる。電気的面コンタクトの第1の部分領域および第2の部分領域に相応して、活性領域も同様の第1の部分領域および第2の部分領域を有することができる。このようにして電気的面コンタクトの形状によって、活性領域で生成された定在電磁波のモード構造を調整することができる。半導体層列の放射方向は、電気的面コンタクトの主延在方向に相応し、ひいては活性領域の主延在方向に相応することができる。
その際に有利なのは、電気的面コンタクトの第1の部分領域が主表面上に、放射方向に沿って一定の幅で延在することである。とりわけ、前記少なくとも2つの電気的面コンタクトの第1の部分領域は、相互に平行に配置されたストライプとして形成することができる。電気的面コンタクトの第1の領域はさらに、放射出力結合面と反対側の半導体層列の裏面に接することができる。第1の部分領域の幅を20μm以下とし、有利には10μm以下とし、特に有利には5μm以下とすることができる。
前記電気的面コンタクトの第1の部分領域はさらに、第2の部分領域に直接接することができる。このことは、第2の部分領域が第1の部分領域に接する境界領域において該第2の部分領域が該第1の部分領域と等しい幅を有することができることを意味する。とりわけ第2の部分領域は、第1の部分領域から放射方向に線形に拡幅していくことができる。このことはとりわけ、第2の部分領域が台形であり、さらにこの台形状が放射方向を基準として対称的とすることができることを意味する。第2の部分領域の幅は、放射方向に50μm以上の幅まで、または100μm以上の幅まで、または200μm以上の幅まで拡大していくことができる。とりわけ、第2の部分領域が拡大していく開度は1°以上かつ10°以下であり、とりわけ2°以上かつ6°以下である。このことにより、回折限界を受けるビームがガウス状になる。第2の部分領域中では電磁放射は、利得導波の原理にしたがって導波することができる。すなわち、第1の部分領域においてほぼガウス状のビームを生成し、該第1の部分領域の幅が小さいことによりこのガウス状のビームに対する回折角が大きくなるようにすることができる。さらに、第1の部分領域からのほぼガウス状のビームが第2の部分領域において自由に回折し、該第2の部分領域を伝搬する間に出力が効率的に増幅されるように構成することもできる。その際には第2の部分領域は、活性領域において生成され増幅された電磁放射を直接放射するための放射出力結合面に接することができる。
ここで有利なのは、半導体層列の層をウェブ状にパターニングし、電気的面コンタクトを有する主表面がこのウェブ状にパターニングされた部分を含むようにすることである。とりわけ、「リッジ構造」としても知られている半導体層列の主表面のこのような構成は、該リッジ構造の幅および高さに依存して、リッジ状の構造に起因して該リッジ状の構造に伴う約0.005から0.01までの屈折率ジャンプによって生じるいわゆるインデックス導波によって、活性領域において基本横モードを形成するのに適している。リッジ構造の高さが上記屈折率ジャンプに及ぼす影響は、幅よりも大きい。さらに、リッジ構造の幅および高さが、ほぼガウス状のビームが活性領域の第1の部分領域から第2の部分領域に入射する際の開き角を決定することもできる。とりわけ主表面は、それぞれ電気的面コンタクトの第1の部分領域および第2の部分領域が配置された複数のリッジ状の構造を有する。
このようなリッジ構造はたとえば、第1の部分領域では第1の深さまでパターニングし、第2の部分領域では、該第1の深さと等しいかまたは異なる第2の深さまでパターニングすることができる。とりわけたとえば、第1の深さはインデックス導波のために導波層まで達することができ、それに対して、第2の深さは上記の利得導波のために、導波層上に配置された半導体コンタクト層またはクラッド層まで達することができる。さらに、第1の深さはクラッド層内まで達するのに対し、第2の深さは該クラッド層と該クラッド層上に配置された半導体コンタクト層との間の境界面まで達するか、または該半導体コンタクト層内までのみ達する構成も可能である。
リッジ構造を形成するためには、たとえば、上記の機能層を含むように半導体層列を構成することができる。その際には、マスクを通じて切除手法により、たとえばエッチングによって、リッジ構造を半導体層列の主表面に形成することができる。その後で設けられる電気的面コンタクトの第1の部分領域および第2の部分領域におけるリッジ構造の幅は、マスクによって調整することができ、その際にはこのマスクは、フォトリソグラフィで形成することができる。リッジ構造の高さを定義されたように、かつ均質にするためには、半導体層列にいわゆるエッチングストップ層を設けることができる。たとえば、AlGaAsベースの材料を含む半導体層列の場合、エッチングストップ層は、該半導体層列の層中または2つの層間に、Alを含まないP含有の層を有することができる。エッチングストップ層はたとえば、Al不含かつP含有のGaAs半導体材料および/またはInGaPを含むか、またはこのようなGaAs半導体材料および/またはInGaPから形成することができる。たとえばエッチングストップ層は、活性層と主表面との間に配置された導波層に配置することができる。その際には、エッチングストップ層の厚さおよび/またはドーピングおよび/または位置を導波層に適合することができる。エッチング後には、エッチングストップ層がリッジ構造部に接し、主表面の一部を成すようにすることができる。
活性領域間に上記の光学的クロストークが発生するのを回避するためには、半導体層列中に散乱放射が半導体層列中を伝搬するのを低減するかまたは阻止できるように、第1の凹入部が主表面から半導体層列内に入り込むようにすることができる。第1の凹入部は、半導体層列の機能層のうちいずれかに達することができる。第1の凹入部が「層に達する」とは、該第1の凹入部が層中で終了し、該層が該第1の凹入部の領域内で、該第1の凹入部に隣接する部分よりも小さい厚さを有することを意味する。さらにこのことは、第1の凹入部が層を真っ直ぐに貫通して、該層の下方に配置された別の層との境界面まで延在することも意味することがある。たとえば、半導体層列は2つの導波層を有し、該導波層間に活性層を配置する構成が可能である。第1の凹入部は少なくとも、活性層と主表面との間の導波層に達することができる。さらに、第1の凹入部は前記活性層内まで達するか、または、主表面から見て活性層の下方に配置された導波層内まで達することもできる。さらに第1の凹入部は、導波層および活性層の下方の層まで達することもでき、たとえばクラッド層または中間層まで達することができ、また、機能層が設けられた基板に達することもできる。
さらに、第1の凹入部は主表面上において、放射出力結合面から放射出力結合面と対向する半導体層列の裏面まで延在することもできる。その際には、第1の凹入部はたとえば、放射方向に沿って活性領域に対して平行に延在する少なくとも1つのトレンチを含むことができる。択一的または付加的に、第1の凹入部は、相互に隣接および/または前後して配置された複数のトレンチまたは凹入部を有することもできる。
第1の凹入部は、半導体層列の成長方向に沿って延在する側壁であって、主表面との間に90°以上の角度を成すことができる側壁を有することができる。ここで90°の角度とは、第1の凹入部の側壁が、半導体層列の成長方向に対して平行に、ひいては主表面に対して垂直に形成されていることを意味することができる。90°を上回る角度とは、第1の凹入部の1つの側壁と主表面との間の角が鈍角を成すことを意味する。したがって第1の凹入部の断面は、主表面から半導体層列内に向かって低減していく。その際には第1の凹入部は、V字形またはU字形の断面を有するか、またはこれらの組み合わせた形状の断面を有することができる。とりわけ第1の凹入部は、主表面との間に135°以下の角度を有する角を成す側壁を有することができ、有利には130°に等しい角度を有する角を成す側壁を有することができる。このことにより、半導体層列内を伝播して第1の凹入部の側壁に当たった散乱放射は、主表面から見て下方に、活性層の下方にある機能層内および/または基板内に反射されてここで吸収される。こうするためには、半導体層列はたとえば付加的に、吸収性材料を含む層を活性層の下方の有することができる。
さらに、第1の凹入部内の少なくとも一部分に、吸収性材料を充填することもできる。このことは、第1の凹入部の少なくとも側壁が吸収性材料によってコーティングされることを意味することができる。半導体層列内を伝播して第1の凹入部に当たった散乱放射はこのようにして吸収され、該半導体層列内をさらに伝播するのを阻止することができる。
この吸収性材料は、たとえばガリウム、アルミニウム、クロムまたはチタンを含むか、またはこれらの組み合わせを含むことができる。さらに吸収性材料は、たとえばシリコン、ゲルマニウム、InAlGaAs、InGaAlPおよびInGaAlN等の半導体材料および/またはZnSeおよび/またはZnSを含むことができる。半導体材料は有利には、活性領域において生成された電磁放射の波長以下のバンドギャップを有することができる。さらに吸収性材料は、N,Te,Ge,AgおよびInのうち1つまたは複数の材料を含むアンチモンを含有するか、またはこのようなアンチモンを含む層または層スタックを含むことができ、たとえば窒化アンチモン(SbN)、SbTe、GeSbTeおよび/またはAgInSbTeを含むことができる。択一的または付加的に、第1のフィルタエレメントは、AgO、PtOおよび/またはPdOを含む層または層スタックを有することができる。このような層または層スタックは、「超解像近接場構造」(Super-RENS)としても知られている。この超解像近接場構造は、限界温度を下回ると透明ではなく、電磁放射に対して吸収性を示す。
このように上記の第1の凹入部によって、前記少なくとも2つの活性領域を効果的に光学的に分離することができ、活性領域間に光学的クロストークが発生することがなくなる。
さらに、第1の凹入部に関して説明したように、第2の凹入部のうち少なくとも1つの第2の凹入部が半導体層列のうち1つの層内に達するようにすることもでき、たとえば導波層、活性層または基板内に達するようにすることもできる。さらに、少なくとも1つの第2の凹入部は、主表面との間に90°以上かつ135°以下の角度を成す側壁を有すること、すなわち、主表面との間に直角または鈍角を成す側壁を有することができる。とりわけ、第2の凹入部の深さ、大きさおよび断面形状を等しく形成することができる。
少なくとも1つの第2の凹入部は、放射角度との間に0°を上回りかつ90°を下回る角度を成す延在方向を有することができる。有利には、この角度を30°以上かつ60°以下にし、特に有利には約45°とする。このことは、前記少なくとも1つの第2の凹入部がトレンチを含むか、またはトレンチとして形成されており、放射方向に対して斜めに配置されていることを意味することができる。
とりわけこのことは、前記少なくとも1つの第2の凹入部が放射出力結合面に対しても斜めに配置されているという意味も有することができる。このことによって、放射出力結合面で反射され散乱放射として半導体層列中を放射方向と逆に活性領域から側方にずれて伝播する電磁放射を、第2の凹入部によって第1の凹入部の方向に反射し、上記のように該第1の凹入部によって反射されるかまたは吸収されるようにすることができる。このことにより、活性領域の隣でレーザ発振が発生した場合には、このレーザ発振を阻止することができ、活性領域内に副モードが発生することがなく、この副モードによって、活性領域によって生成された電磁放射のビーム品質が劣化することがなくなる。
さらに、少なくとも1つの第2の凹入部には、第1の凹入部に関して説明したように、少なくとも部分的に吸収性材料を充填するかまたはコーティングすることができる。
とりわけ第2の凹入部を同様に形成することができ、その際には、第2の凹入部をそれぞれ2つずつ放射方向を基準として対称的に、電気的面コンタクトの第1の部分領域の周辺に配置することができる。その際には、活性領域および/またはリッジ構造部ないしは電気的面コンタクトから4μm以下の間隔に前記第2の凹入部を設けることができる。電気的面コンタクトの第1の部分領域がそれぞれ2つの第2の凹入部間に設けられるように該第2の凹入部を該第1の部分領域の隣に配置することで、該第2の凹入部によって半導体層列内に、可能な限り小さい遮蔽部開口を有する遮蔽部を形成することができる。とりわけその際には、第2の凹入部を半導体層列の裏面よりも第2の部分領域に近接して配置するのが有利である。
とりわけ、活性領域で生成されたコヒーレント電磁放射が放射出力結合面で反射することによって散乱放射が発生するのを回避するためには、放射出力結合面に10%以下の反射率を有する層を設け、有利には5%以下の反射率を有する層を設け、特に有利には2%以下の反射率を有する層を設けることにより、該出力結合面が90%以上の透過率を有し、有利には95%以上の透過率を有し、特に有利には98%以上の透過率を有するようにすることができる。とりわけ、0.1〜2%の反射率が有利である。たとえば、この層を単層として形成するか、または層対を有する層列として形成することができ、その際には該層は、金属酸化物または半金属酸化物および/または金属窒化物または半金属窒化物を含むことができる。金属酸化物または半金属酸化物は、アルミニウム、シリコン、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオビウムまたはハフニウムを含むことができる。さらに窒化物も、上記金属および半金属のうち少なくとも1つを含むことができ、たとえば窒化シリコンが可能である。特に有利には金属酸化物または半金属酸化物は、五酸化ニオビウム、二酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、二酸化シリコン、二酸化チタン、五酸化タンタルおよび二酸化ジルコニウムのうち少なくとも1つの材料を含む。
さらに半導体層列は、電気的面コンタクトが配属された多数の活性領域を主表面に有することができる。このことはとりわけ、半導体層列がさらに少なくとも1つの活性領域と、第1の部分領域および第2の部分領域を含む少なくとも1つの電気的面コンタクトとを有し、該第1の部分領域および第2の部分領域は放射方向に対して横方向に、前記少なくとも2つの活性領域の隣ないしは該少なくとも2つの活性領域に配属された電気的面コンタクトの隣に配置されるという意味を有することができる。さらに、半導体層列は主表面上に、さらに少なくとも1つの第1の凹入部を前記少なくとも2つの電気的面コンタクト領域と前記さらなる電気的コンタクト領域との間に有することができる。さらに、主表面上にさらに2つの第2の凹入部を配置し、該さらなる2つの第2の凹入部間に前記さらなる電気的面コンタクトの第1の部分領域を配置することができる。
ここで開示したレーザ光源により、高い放射出力と同時に高いビーム品質を実現することができる。それに対して、活性領域の幅が数100μmのオーダにある公知のワイドストライプレーザダイオードは確かに高い放射出力を有するが、それと同時にこの公知のワイドストライプレーザダイオードの放射特性は複数の電磁波モードを有し、半導体層列の延在平面に対して平行であり("slow axis")かつ該半導体層列の成長方向に対して平行("fast axis")であるビーム軸に関してビームパラメータ積が非対称であることにより、公知のワイドストライプレーザダイオードの放射特性は非常に非対称的なビームプロフィールを有する。このことによりワイドストライプレーザは、本願で開示したレーザ光源と対称的に、放射特性を対称化するために通常は面倒かつ高コストの光学系を必要とする。また、本願で開示したレーザ光源は、ストライプダイオードの公知の台形状の構成と比較して、高いビーム品質と同時に高出力も実現することができる。それと同時に、本願で開示したレーザ光源は低コストで製造することができる。
以下で図1Aから5Bに基づいて説明する実施形態から、本発明のさらなる利点、有利な実施形態および発展形態を導き出すことができる。
一実施例のレーザ光源を示す概略図である。 別の実施例のレーザ光源を示す概略図である。 別の実施例のレーザ光源の測定結果を示す。 別の実施例のレーザ光源の測定結果を示す。 別の実施例のレーザ光源の測定結果を示す。
実施例および図面において、同じ構成素子または同機能の構成素子にはそれぞれ同じ参照符号を付してある。ここに図示された要素および該要素相互間のサイズ比は、基本的に拡大比率どおりであると見なすべきではない。むしろ、たとえば層、部品、素子および領域等の要素は、より良好に見やすくし、かつ/または理解しやすくするため、過度に厚く、ないしは過度に大きい寸法で図示されていることがある。
図1Aおよび1Bに、一実施例のレーザ光源を示す。この実施例に関する以下の説明は、明確に特記しない限り、図1Aおよび1B双方を参照する。
図1Aは、半導体層列10を有するレーザ光源の概略的な立体図である。図1Bは、図1AにおいてBBで示された方向から見たレーザ光源の平面図である。
図1Aおよび1Bの実施例のレーザ光源は、基板1を有する半導体層列10を含み、該基板1上に、エピタキシャル成長で形成された複数の機能層4が設けられている。半導体層列10は同図中の実施例では、GaAs基板1と、その上に設けられた100nmの厚さの中間層ないしはクラッド層41と、その上に設けられた2μmの厚さのInAlP導波層42と、その上に設けられた100nmの厚さのInGaAlP/InGaP量子膜/バリア層のMQW構造部と、その上に設けられた2μmの厚さのInAlP導波層43と、その上に設けられた100nmの厚さのInGaP中間層ないしはクラッド層44とから構成され、前記中間層ないしはクラッド層41は、III 族材料で約40%の割合のAlを含むAlGaAsおよび/または III 族材料で約50%の割合のInを含むInGaPから成り、前記InGaAlP/InGaP量子膜/バリア層MQW構造部は、約50%の割合のInと約25%の割合のAlとを含む。さらに付加的に、クラッド層44にコンタクト層が配置されている。このコンタクト層はたとえば、300nmの厚さのGaAsコンタクト層47である。このような半導体層列10は、黄色〜赤外電磁放射を生成することができ、特に有利には、赤色波長領域内の電磁放射を生成するのに適している。
ここで記載した砒化物ベースの半導体材料の他に択一的に、半導体層列10はたとえば窒化物ベースの半導体材料を含むことができる。このような半導体層列10は、紫外〜緑色の波長領域内の電磁放射を生成することができ、有利には青色波長領域内の電磁放射を生成することができる。
ここでは、基板層1を成長基板として、この成長基板上に前記機能層をエピタキシャル成長させることができる。このことに対して択一的に、前記半導体層列を薄膜技術で形成することができる。このことは、機能層を成長基板上に成長させた後に支持基板上に移し、該支持基板が半導体層列10の基板1を成すようにすることを意味する。成長技術に応じて、半導体層列10のn型層を基板1に対向させるか、またはp型層を基板1に対向させることができる。
さらに、半導体層列10は放射出力結合面12と、該放射出力結合面12に対向し裏面として形成された表面13とを有し、該放射出力結合面12および裏面13にはそれぞれ、少なくとも部分的に反射性のコーティングが設けられている(同図には示していない)。このことにより、放射出力結合面12および裏面13は光共振器を成す。各反射性コーティングはたとえば、ブラッグミラー層列および/または反射性金属層を含むことができる。
さらに、放射出力結合面ではない半導体層列の表面上または上方に、半導体層列を保護するためのパッシベーション層を設けることもできる(図中に示していない)。
半導体層列10の電気的コンタクトは、機能層4と反対側の基板1の表面上の電極2と、該基板1に対向する該機能層4の主表面14上の電極ストリップ3とを使用して行われる。上記電極2および3はそれぞれ、Agおよび/またはAuおよび/またはSnおよび/またはTiおよび/またはPtおよび/またはPdおよび/またはNiを含む1つまたは複数の金属層を含むことができる。
基板1にわたる電極2によって行われる電気的コンタクトの他に択一的に、電気的コンタクト2を機能層4と同じ基板1の面に配置することもできる。このようなコンタクト手法はとりわけ、機能層4が非導電性の基板1に配置されている場合に該機能層4を基板側から電気的にコンタクトするのに適している。
電極ストリップ3とクラッド層44との面コンタクトは電気的面コンタクト30として形成されている。
図1Bに示されているように、この電気的面コンタクト30はそれぞれ、第1の部分領域31と、該第1の部分領域31に接する第2の部分領域32とを有する。第1の部分領域と第2の部分領域との間の仮想境界線を、それぞれ線33によって示している。第2の部分領域32は、放射方向90に沿って放射出力結合面12に向かうほど拡大していく幅を有する。部分領域32はここでは台形に形成されており、この部分領域32によって、活性領域45において生成された電磁放射の出力を増幅することができる。
クラッド層44は図中の実施例では、電気的面コンタクト30の領域の第1の部分領域31ではリッジ状に形成されており、一般的な記載で説明されているように、コンタクト層47とともにいわゆるリッジ構造11を形成し、リッジ構造11の上面は電気的面コンタクト30の主表面14の一部を形成する。第2の部分領域32ではコンタクト層47のみがリッジ状に形成されており、第1の部分領域31におけるリッジ構造の深さの方が、第2の部分領域より大きい。リッジ構造11の形状は、電気的面コンタクト30の形状と同じである。
このようなリッジ構造11によって、活性層40においてコヒーレント電磁放射を基本横モードで形成することができ、それに対して不所望の他のレーザモードを抑圧することができる。このことにより、活性層40は電気的面コンタクト30およびリッジ構造部11の下方に活性領域45を有する。この活性領域45はとりわけ、電気的面コンタクト30およびリッジ構造部11の寸法によって設定され、図中の実施例では、活性層40中の斜線面によって示されている。その際には活性領域45は、放射出力結合面12と裏面13とによって形成された共振器内の活性層40の全長にわたって延在する。半導体層列10は活性領域45において、動作中に誘導放出によってコヒーレント電磁放射を生成し、該コヒーレント電磁放射は放射出力結合面12を介して、90によって示された放射方向に、そのつどビーム束として放射される。
電気的面コンタクト30間に主表面14は表面パターン部の一部として第1の凹入部6を有し、該第1の凹入部6は放射方向90に該主表面14にわたって延在する。第1の凹入部6はここでは、主表面14から基板1内に達するトレンチとして形成されている。図中の実施例における第1の凹入部は、主表面14に対して垂直であり該主表面14との間に直角を成す側壁を有する。第1の凹入部6はここでは放射出力結合面12から半導体層列10の裏面13まで延在する。
この第1の凹入部6によって、散乱放射が半導体層列中の1つの活性領域45から直接、別の活性領域45まで伝播することがなくなり、2つの活性領域45は光学的に分離される。さらに、第1の凹入部の少なくとも側壁に、吸収性材料を含む層(図中に示されていない)を設けることができる。この層は、たとえばゲルマニウムを含むことができる。機能層4間の電気的短絡を回避するためには、第1の凹入部6の側壁と吸収性材料を含む層との間に誘電体層を配置することができる。この誘電体層はたとえば酸化シリコンである。
さらに、この表面パターン部は主表面14に第2の凹入部7も有し、電気的面コンタクト30の各第1の部分領域31は2つの第2の凹入部7間に配置されている。前記第2の凹入部7の延在方向92はそれぞれ、一例として第2の凹入部7にマークしているように、放射方向90との間に約45°の角度を成す。第2の凹入部7は2つずつで、放射方向90および各第1の部分領域31を基準として対称的に配置されている。前記第2の凹入部7は第1の凹入部6と同様に主表面14から基板1内に達する。
たとえば、活性領域45で生成された電磁放射が放射出力結合面12において反射されることにより、散乱放射が、放射方向90と反対に半導体層列10内の該活性領域45に対して横方向にずれて伝播し、このような散乱放射を第2の凹入部7において反射させ、第1の凹入部6ないしは半導体層列10の側面へ伝播させることができる。このようにして、放射出力結合面12と裏面13との間に電磁波の副モードが形成されるのが阻止される。付加的に、第1の凹入部6と同様に第2の凹入部7の少なくとも一部に吸収性材料を充填することもできる。
放射出力結合面12で反射される散乱放射を低減するためには、該放射出力結合面12に、2%未満の反射率を有する反射低減層または反射低減層列を設けることができる(図示されていない)。この反射低減層または反射低減層列は、特に有利には1%未満の反射率を有する。
図3A〜3Cに別の実施例のレーザ光源を示す。これは、上述の実施例の変形例である。下記の説明は、明確に特記しない限り、図2A〜2Cすべてを参照する。ここではとりわけ、上述の実施例に対する差異および改良点を説明する。
図2Aは上述の図1Bと同様に、レーザ光源の平面図を示す。図2Bおよび2Cは、図2A中でBBおよびCCによって示された切断面に沿って切断されたレーザ光源の断面を示す。
図2A〜2Cの実施例のレーザ光源は、複数の活性領域と複数の電気的面コンタクト30とを有する。さらに、図2Aに一例として、2つの電気的面コンタクト30の他に別の電気的面コンタクト30′も示す。この別の電気的面コンタクト30′は第1の部分領域31′および第2の部分領域32′を有し、この第1の部分領域31′および第2の部分領域32′は、電気的面コンタクト30の第1の部分領域31および第2の部分領域32と同様に成形されている。
電気的面コンタクト30と別の電気的面コンタクト30′との間に別の第1の凹入部6が配置されており、該別の第1の凹入部6の構成は、2つの電気的面コンタクト30間の第1の凹入部6に相応する。前記別の電気的面コンタクト30′の第1の部分領域31′はさらに、2つの別の第2の凹入部7′間に配置されており、これらの別の第2の凹入部7′は、第2の凹入部7と同様に構成されている。
図2Bの断面図BBから分かるように、第1の凹入部6,6′はV字形の断面を有する。このことは、第1の凹入部6,6′が、主表面14との間に90°を上回る角度91を成す側壁を有することを意味する。したがって、第1の凹入部6,6′の側壁と主表面14とは鈍角を形成する。このことによって、半導体層列10内をたとえば活性層40に沿って伝播する散乱放射を第1の凹入部6,6′によって基板1の方向に反射させることができる。基板1、電極2または半導体層列10の付加的な層(図中にない)をたとえば吸収性にし、散乱放射がさらに伝播しないようにすることができる。
図2Cの断面図CCから分かるように、第2の凹入部7,7′もV字形の断面を有する。図中の実施例では、第2の凹入部7,7′の側壁は主表面14との間に約135°の角度を成す。この角度は、半導体層列10の成長方向に対して約45°傾いていることに相応する。
半導体層列10は、上述の実施例では活性層40と主表面14との間に配置された導波層43中に、InGaPから成るエッチングストップ層46を有する。このエッチングストップ層46によって、一般的な記載で説明したように、定義されたように正確な高さのリッジ構造部11を形成することができ、活性領域から放射された電磁放射のビーム品質を改善することができる。
クラッド層44上にGaAsコンタクト層47が配置されており、このGaAsコンタクト層47によって電気的面コンタクト30において、大面積で設けられた電極3との接合抵抗が低いオーム抵抗を実現することができる。電流注入を電気的面コンタクト30を介してのみ行えるようにし、ひいては、定義されたように正確に活性領域45が形成されるようにするためには、主表面14全体に電気的面コンタクト30まで誘電体層を設けることができ、たとえば二酸化シリコンを設けることができる(図中にない)。
次の図3A〜5Bに、図2A〜2Cの実施例のレーザ光源で得られた測定結果を、比較対象のレーザ光源と比較して示す。ここでは、本願で開示した第1の凹入部および第2の凹入部を有する表面パターン部の有利な効果が示されている。
図3Aおよび3Bに、比較対象のレーザ光源の出力特性曲線(図3A)と、一実施例のレーザ光源の出力特性曲線(図3B)とを示す。横軸は、比較対象レーザ光源ないしは本レーザ光源に供給された電流を単位アンペアで示す。曲線901(正方形の記号)は右側の縦軸とともに、そのために必要な電圧を単位ボルトで示しており、曲線902(菱形記号)は左側の縦軸とともに、放射出力を単位ワットで示す。
図3B中の測定結果は、上述の実施例で説明したように構成されたレーザ光源を基礎としており、該レーザ光源の全幅は1cmである。第2の部分領域の開き角は4°である。第1の部分領域は4μmの幅を有し、この幅は第2の部分領域において拡大していき、放射出力結合面12では100μmの幅まで拡大される。放射出力結合面12は、1%の反射率を有する反射低減層によってコーティングされている。放射された電磁放射は940nmの波長を有する。第1の凹入部6には吸収性材料が設けられていない。
それに対して、比較対象レーザ光源は第1の凹入部6を有さないので、活性領域45が光学的に分離されていない。比較対象レーザ光源の第2の部分領域の開き角は3°である。
放射出力に関しては、比較対象レーザ光源では飽和特性が顕著に認識でき、また、帰還作用および光学的クロストークに起因して出力特性曲線902に段が生じているのが認識できる。70Aの電流で、最大放射出力は約34Wに達している。それに対して、本願の実施例のレーザ光源の出力特性曲線902は、70Aの電流で線形であり、約58Wの出力を示している。
図4Aおよび4Bに、比較対照のレーザ光源のビーム火線(図4A)と、一実施例のレーザ光源のビーム火線(図3B)とを示す。横軸はそれぞれ、放射方向90の放射出力結合面12からの距離を単位ミリメータで示し、縦軸はそれぞれ、ビーム中心までの間隔を単位μmで示す。曲線903は、半導体層列10の延在平面に対して平行な(x方向)ビーム中心平面における強度に等しい線を示し、曲線904は、該半導体層列10の延在平面に対して垂直な(y方向)ビーム中心平面における強度に等しい線を示す。測定は、スピリコン社の Spiricon Beam Propagation Analyzer によって実施した。
図3Aおよび3Bの測定と異なり、比較対象レーザ光源はこの測定では第1の凹入部も第2の凹入部も有さない。
とりわけ、曲線903および904は、所定の強度に達する位置が、ビーム中心点からx方向およびy方向に横方向にあることを示している。曲線の勾配と、ビームウェストからビーム中心点までの間隔を示す各最小値とから、当業者に公知である回折率Mを求めることができる。比較対象レーザ光源では、x方向のMは約7であるのに対し、実施例のレーザ光源では、x方向のMは約2.2である。
図5Aおよび5Bに、比較対照のレーザ光源の入力結合効率(図5A)と、一実施例のレーザ光源の入力結合効率(図5B)とを示す。この測定でも、比較対象レーザ光源は第1の凹入部も第2の凹入部も有さない。横軸はそれぞれ、供給された電流を単位アンペアで示す。点905(中抜きの正方形)は、比較対象レーザ光源ないしはレーザ光源から放射された電磁放射が直径600μmおよび開口数(NA)0.2の光ファイバに入力結合した際の入力結合効率を示す(単位%)。点906(塗り潰された正方形)は、比較対象レーザ光源ないしはレーザ光源から放射された電磁放射が直径400μmおよびNA0.2の光ファイバに入力結合した際の入力結合効率を示す(単位%)。
第1の凹入部および第2の凹入部を有さない比較対象レーザ光源で得られた図5A中の測定結果から、70Aの電流および600μmのファイバでは入力結合効率は約79%になり、400μmのファイバでは入力結合効率が約66%になったのに対し、実施例のレーザ光源では、600μmのファイバで相応に得られた入力結合効率は89%になり、40μmのファイバでは86%の入力結合効率を実現することができる。ここではそれぞれ、入力結合光学系のレンズ表面における損失を考慮している。
さらに、第2の部分領域における開き角が異なる複数の比較対象レーザ光源を使用して測定を行った。これらの比較対象レーザ光源では、70Aの電流では、400μmのファイバに入力結合する際の入力結合効率は平均して約75%になり、これは、図5Bに示された86%の入力結合効率906と対照的である。
ここで図示および記載した測定結果から、第1の凹入部と第2の凹入部とを組み合わせて設けることで、高い放射出力かつ高いビーム品質を実現できることが明らかである。
また、放射出力を上昇するために、ここで示したレーザ光源を2つ以上重ねることも可能である。その際には、コヒーレント結合の場合、スタックあたり約1000Wの出力を実現することができ、インコヒーレント結合の場合、約3000Wの出力を実現することができる。
本発明は上述した実施例の記載内容に限定されるものではない。むしろ本発明はあらゆる新規の特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴のあらゆる組み合わせが含まれる。このことはこのような特徴またはこのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていない場合であっても当てはまる。

Claims (15)

  1. ・少なくとも2つの活性領域(45)を有する活性層を備えた半導体層列(10)と、
    ・前記半導体層列(10)の主表面(14)上において前記少なくとも2つの活性領域(45)それぞれに設けられた電気的面コンタクト(30)と、
    ・前記半導体層列(10)の主表面(14)に設けられた表面パターン部
    とを備えたレーザ光源であって、
    前記活性領域(10)は動作中に、放射出力結合面(12)として形成された前記半導体層列(10)の側面を介して放射方向(90)に電磁放射を放射するように形成されており、
    前記少なくとも2つの活性領域(45)は前記放射方向(90)に対して横方向に、相互に離隔して前記活性層(40)内に配置されており、
    ・前記電気的面コンタクト(30)はそれぞれ第1の部分領域(31)と、幅が前記放射方向(90)に沿って前記放射出力結合面(12)に向かって拡大していく第2の部分領域(32)とを含み、
    ・前記表面パターン部は前記少なくとも2つの電気的面コンタクト(30)間に、前記放射方向(90)に沿った少なくとも1つの第1の凹入部(6)と、第2の凹入部(7)とを有し、
    ・前記電気的面コンタクト(30)の第1の部分領域(31)はそれぞれ、少なくとも2つの第2の凹入部(7)間に配置されている
    ことを特徴とする、レーザ光源。
  2. 前記第2の部分領域(32)はそれぞれ台形の形状を有し、それぞれ前記放射出力結合面(12)に接する、請求項1記載のレーザ光源。
  3. 前記第1の部分領域(31)はそれぞれ一定の幅で、前記主表面(14)上に前記放射方向(90)に沿って延在する、請求項1または2記載のレーザ光源。
  4. 前記活性層(40)は基板(1)上において、2つの導波層(42,43)間に配置されており、
    前記第1の凹入部(6)は前記主表面(14)から、前記活性層(40)と前記導波層(42,43)と前記基板(1)とのうちから選択された少なくとも1つの層内まで達する、請求項1から3までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  5. 前記第1の凹入部(6)は前記主表面(14)上において、前記放射出力結合面(12)から、該放射出力結合面(12)に対向する前記半導体層列(10)の側面(13)まで延在する、請求項1から4までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  6. 前記第1の凹入部(6)は、前記放射方向(90)に対して平行に少なくとも1つのトレンチを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  7. 前記第1の凹入部(6)は、前記主表面(14)との間に90°以上の角度を成す側壁を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  8. 前記第1の凹入部(6)および/または前記第2の凹入部(7)内に吸収性材料が配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  9. 前記第2の凹入部(7)のうち少なくとも1つが、前記放射方向(90)との間に0°を上回り90°以下の角度を成す延在方向(92)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  10. 前記第2の凹入部(7)のうち少なくとも1つが、前記電気的面コンタクト(30)との間に4μm以下の間隔を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  11. 前記活性層(40)は基板(1)上において、2つの導波層(42,43)間に配置されており、
    前記第2の凹入部(7)のうち少なくとも1つは前記主表面(14)から、前記活性層(40)と前記導波層(42,43)と前記基板(1)とのうちから選択された少なくとも1つの層内まで達する、請求項1から10までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  12. 前記第2の凹入部(7)のうち少なくとも1つは、前記主表面(14)との間に90°以上の角度を成す側壁を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  13. 前記主表面(14)は、前記電気的面コンタクト(30)を有するリッジ状の構造部(11)を有する、請求項1から12までのいずれか1項記載のレーザ光源。
  14. 前記主表面(14)は、前記リッジ状の構造部(11)に接するエッチングストップ層(46)を含む、請求項13記載のレーザ光源。
  15. ・前記半導体層列(10)は、前記少なくとも2つの活性領域(45)から離隔して、前記活性層(40)中に少なくとも1つの別の活性領域を有し、
    ・前記主表面(14)は前記別の活性領域の上方に、第1の部分領域(31′)および第2の部分領域(32′)を含む別の電気的面コンタクト(30′)を備えており、
    ・前記表面パターン部は前記放射方向(90)に沿って少なくとも1つの別の第1の凹入部(6′)を有し、該別の第1の凹入部(6′)は前記少なくとも2つの電気的面コンタクト(30)と前記別の電気的面コンタクト(30′)との間に配置され、
    前記表面パターン部は2つの別の第2の凹入部(7′)を有し、該別の第2の凹入部(7′)間に、前記別の電気的面コンタクト(30′)の第1の部分領域(31′)が配置されている、請求項1から14までのいずれか1項記載のレーザ光源。
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