JP2011501159A - Ngalの検出用イムノアッセイ及びキット - Google Patents

Ngalの検出用イムノアッセイ及びキット Download PDF

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Abstract

本発明は、NGALイムノアッセイ及びキット並びにイムノアッセイ及びキットにおいて、グリコシル化された哺乳動物NGAL及び哺乳動物NGALに結合する抗体を使用する方法に関する。とりわけ、前記方法及びキットは、検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定するために、並びに検査試料中に含有されるヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定するために使用することができる。

Description

(関連出願の情報)
本願は、全て2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号、60/981,471号及び60/981,473号並びに全て2008年4月16日に出願された米国非仮特許出願12/104,408号、12/104,410号及び12/104,413号の優先権を主張し、これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる。
(技術分野)
本発明は、NGALイムノアッセイ及びキット並びにイムノアッセイ及びキットにおいて、グリコシル化された哺乳動物NGAL及び哺乳動物NGALに結合する抗体を使用する方法に関する。このようなイムノアッセイ及びキットは、とりわけ、単量体の改善された検出を場合によって与える。前記方法及びキットは、検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定するために、並びに検査試料中に含有されるヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定するために使用することができる。
リポカリンは、細菌からヒトまで様々な生物中に見出される細胞外リガンド結合タンパク質のファミリーである。リポカリンは、小さな疎水性分子の結合及び輸送、栄養素の輸送、細胞増殖の制御並びに免疫応答の調節、炎症及びプロスタグランジン合成など、多くの異なる機能を有している。さらに、幾つかのリポカリンは、細胞制御プロセスにも関与しており、様々な病状における診断及び予後のマーカーとしての役割を果たす。例えば、α糖タンパク質の血漿レベルは、妊娠中に、並びに癌化学療法、腎機能不全、心筋梗塞、関節炎及び多発性硬化症などの症状の診断及び予後においてモニターされる。
1993年に、ヒト好中球由来の新規リポカリン好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(又はNGAL、リポカリン−2若しくはLCN2としても知られる。)が同定された。NGALは、単量体並びにホモ及びヘテロ二量体形態で存在する25kDaのリポカリンであり、後者は、ヒト好中球ゼラチナーゼとの46kDa二量体として存在する。NGALの三量体形態も同定されている。NGALは、活性化されたヒト好中球の特異的顆粒から分泌される。相同的なタンパク質が、マウス(24p3/ウテロカリン)及びラット(α(2)−ミクログロブリン関連タンパク質/ν関連リポカリン)中に同定されている。構造的データは、8本鎖のβバレルを有するNGALの典型的なリポカイン折り畳みを確認したが、リポカリン中に通常見られるより極性が高く、正に帯電したアミノ酸残基とともに整列された異常に大きな空洞を有している。25kDaNGALタンパク質は、細菌由来のリポ多糖及びホルミルペプチドなどの小さな親油性物質を結合すると考えられており、炎症の調節物質として機能し得る。
急性腎不全又は慢性腎不全などの腎臓の傷害又は病気は、(病気、傷害などの)様々な異なる原因に由来し得る。腎臓の傷害及び病気の早期同定及び治療は、疾病の進行を妨げる上で有用である。現在、腎機能のバイオマーカーとして、血清クレアチニンがしばしば使用されている。しかしながら、血清クレアチニンの測定は、筋肉質量、性別、人種及び服薬によって影響を受ける。残念なことに、これらの制約のために、しばしば、著しい損傷が既に生じた後でなければ、腎臓病の診断が得られない。
NGALは、急性腎臓傷害又は腎臓病に対する初期マーカーである。活性化されたヒト好中球の特異的な顆粒によって産生される他に、NGALは、尿細管上皮の損傷に応答して、ネフロンによっても産生され、尿細管間質性(TI)傷害のマーカーである。NGALレベルは、正常な血清クレアチニンレベルと比べて、穏やかな「無症候性」腎虚血の後でさえ、虚血又は腎毒性由来の急性尿細管壊死(ATN)において上昇する。さらに、NGALは、慢性腎臓病(CKD)の場合に、腎臓によって発現されることが知られている。上昇した尿のNGALレベルは、進行性の腎不全として示唆されている。NGALは動物及びヒトの両モデルにおいて、虚血性又は腎毒性傷害後の極めて早期に、腎臓尿細管によって顕著に発現されることが以前に示されている。NGALは、尿中に素早く分泌され(NGALは、尿中において、容易に検出及び測定できる。)、虚血性傷害の他のあらゆる公知の尿又は血清マーカーの出現に先行する。このタンパク質はプロテアーゼ耐性であり、NGALの尿細管発現の忠実なマーカーとして尿中に回収できることを示唆する。さらに、例えば、血液からろ過される腎臓の外側に由来するNGALは、尿中に出現せず、むしろ、近位尿細管によって定量的に吸収される。
NGALを検出するための様々なイムノアッセイが本分野において公知である。本明細書に前述されているように、NGALは、単量体として、二量体(ホモ二量体又はヘテロ二量体)として、及び三量体としてさえ見出される。従って、検査試料中のNGAL単量体、二量体又は三量体を特異的に検出及び識別することができる新規抗体及びイムノアッセイに対する要望が本分野において存在する。さらに、検査試料中に含有される二量体に対する単量体の相対的割合を定量することができるイムノアッセイに対する要望も本分野において存在する。このような新規抗体及びイムノアッセイは、とりわけ、患者中のあらゆる腎傷害又は腎臓病の程度を評価し、腎傷害又は腎臓病に罹患している患者の腎臓の状態をモニターし、又は患者中の何れかの腎傷害の程度を評価し、その後、患者の腎臓の状態をモニターするために使用することができる。本発明のさらなる目的及び利点が、本明細書に提供されている記載から明らかとなる。
一実施形態において、本発明は、検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定するための方法に関する。該方法は、
(a)第一の抗体/ヒトNGAL複合体を形成させるために、ヒトNGAL単量体及びヒトNGAL二量体を含有することが疑われる検査試料を少なくとも1つの第一の抗体(例えば、捕捉抗体)と接触させる工程(前記少なくとも1つの捕捉第一の抗体はヒトNGALに結合し、並びにATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体及びATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生される抗体からなる群から選択される抗体(例えば、捕捉抗体)である。);
(b)第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体を形成させるために、前記抗体/ヒトNGAL複合体を、ヒトNGALに結合し、及び検出可能な標識に連結されている第二の抗体と接触させる工程(前記第二の抗体は前記第一の抗体とは異なり、並びにATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体及びATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);並びに
(c)工程(b)において形成された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量に基づいて、検査試料中に含有されたヒトNGAL単量体の量を少なくとも約75%の特異性で測定する工程;
を含む。
上記方法において、検査試料は、尿又は血液である。具体的には、検査試料は、尿である。
上記方法において、前記方法は、検査試料中に存在するNGALのレベルに基づいて、対象の尿細管細胞傷害状態を評価するために実施される。具体的には、尿細管細胞傷害は、虚血性腎傷害、腎毒性傷害及び腎臓の尿細管細胞に影響を与えるあらゆる他の傷害からなる群から選択される傷害を含む。
上記方法において、少なくとも1つの第一の抗体は、検査試料と接触させる前又は後に、固相上に固定化される。場合によって、少なくとも1つの第一の抗体は、第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の形成前に、固相上に固定化される。場合によって、少なくとも1つの第一の抗体は、第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成前に、固相上に固定化される。場合によって、少なくとも1つの第一の抗体は、第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成後に、固相上に固定化される。
一態様において、上記方法は、あらゆる還元剤の不存在下で行われる。あるいは、上記方法において、工程(a)、(b)及び(c)は、少なくとも1つの還元剤の存在下で又は少なくとも1つの還元剤での前記検査試料の処理後に行われる。少なくとも1つの還元剤は、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンからなる群から選択される。少なくとも1つの還元剤は、約0.1mMから約500mMの量、特に、約0.1mMから約100mMの量で存在する。別の態様において、前記方法は自動化されたシステム又は半自動化されたシステムでの使用のために適合されている。
上記方法において使用される検出可能な標識は、放射性標識、酵素標識、化学発光標識、蛍光標識、熱測定標識及び免疫連鎖反応標識からなる群から選択される。具体的には、検出可能な標識は、アクリジニウムである。特に、前記方法は、最適には、アッセイの検量範囲全体を通じて(例えば、NGAL、特に、尿NGALの約1ng/mLから最大約2000ng/mL)、NGAL二量体と比較してNGAL単量体に対して約4倍特異的である。
別の実施形態において、本発明は、検査試料中に含有されるヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定する方法に関する。該方法は、
(a)第一の抗体/ヒトNGAL複合体を形成させるために、ヒトNGAL単量体及びヒトNGAL二量体を含有することが疑われる検査試料を少なくとも1つの第一の抗体と接触させる工程(前記少なくとも1つの第一の抗体はヒトNGALに結合し、並びにATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体及びATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);
(b)第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体を形成させるために、前記第一の抗体/ヒトNGAL複合体を、ヒトNGALに結合し、及び検出可能な標識に連結された第二の抗体と接触させる工程(前記第二の抗体は前記第一の抗体とは異なり、並びにATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体及びATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);
(c)工程(b)において形成された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量を測定する工程(工程(a)及び(b)は、あらゆる還元剤の不存在下で行われる。);
(d)工程(b)において形成された前記第二の抗体/ヒトNGAL複合体の量を測定する工程(工程(a)及び(b)は、少なくとも1つの還元剤の存在下で又は少なくとも1つの還元剤での前記検査試料の処理後に行われる。);並びに
(e)工程(c)において測定された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量及び工程(d)において測定された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量を比較することに基づいて、前記検査試料中のヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定する工程;
を場合によって含む。
上記方法において、少なくとも1つの第一の抗体が、検査試料と接触させる前又は後に、固相上に場合によって固定化される。場合によって、少なくとも1つの第一の抗体は、第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の形成前に、固相上に固定化される。場合によって、少なくとも1つの第一の抗体は、第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成前に、固相上に固定化される。さらに別の実施形態において、場合によって、少なくとも1つの第一の抗体は、第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成後に、固相上に固定化される。少なくとも1つの還元剤は、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンからなる群から選択される。少なくとも1つの還元剤は、約0.1mMから約500mMの量、特に、約0.1mMから約100mMの量で存在する。場合によって、上記方法は自動化されたシステム又は半自動化されたシステムでの使用のために適合されている。
上記方法において使用される検出可能な標識は、放射性標識、酵素標識、化学発光標識、蛍光標識、熱測定標識及び免疫連鎖反応標識からなる群から選択される。具体的には、検出可能な標識は、アクリジニウムである。
上記方法において、検査試料は、尿又は血液である。具体的には、検査試料は、尿である。
上記方法において、前記方法は、検査試料中に存在するNGALのレベルに基づいて、対象の尿細管細胞傷害状態を評価するために実施される。具体的には、尿細管細胞傷害は、虚血性腎傷害、腎毒性傷害及び腎臓の尿細管細胞に影響を与える他の傷害からなる群から選択される傷害を含む。
別の実施形態において、本発明は、検査試料中の哺乳動物NGALの存在を検出するための方法の改良に関する。該方法は、
(a)哺乳動物NGAL/抗体複合体の形成を可能とする時間及び条件下で、哺乳動物NGALを含有することが疑われる検査試料を、前記哺乳動物NGALに対して特異的な少なくとも1つの抗体と接触させる工程;及び
(b)前記哺乳動物NGALの存在の指標として、形成された何れかの哺乳動物NGAL/抗体複合体を検出する工程;
を含み、
前記改良が、検量用物質又は対照として、明細書に前述されている検量用物質又は対照を使用することを含み、特に、検量用物質又は対照は、配列番号1又は13の配列を含むグリコシル化されたヒトNGALである。
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されている検量用物質又は対照を含む哺乳動物NGALの検出のための診断用キットに関し、特に、検量用物質又は対照は、
(a)配列番号2又は10の配列を含むグリコシル化されたヒトNGAL及び
(b)配列番号1又は13の配列を含むグリコシル化されたヒトNGAL
からなる群から選択される検量用物質又は対照を含む。
別の実施形態において、本発明は、検査試料中のヒトNGAL抗原の存在を検出するための方法の存在を検出するための方法の改良に関し、該方法は、
(a)ヒトNGAL/抗体複合体の形成を可能とする時間及び条件下で、ヒトNGALを含有することが疑われる検査試料を本明細書に記載されている免疫診断試薬と接触させること、及び
(b)前記ヒトNGAL抗原の存在の指標として、形成された何れかのヒトNGAL/抗体複合体を検出すること
を含む。
一般に、本明細書にさらに論述されているように、免疫診断用試薬は、
(a)配列番号1、2、10又は13に記載されているヒトNGALタンパク質のアミノ酸残基112、118及び147を含む立体構造的エピトープへ特異的に結合する抗体;
(b)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
(c)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(d)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(前記抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(e)ATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体;
(f)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(前記抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
(g)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(前記抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(h)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(前記抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);及び
(i)ATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生された抗体;
からなる群から選択される1つ又はそれ以上の抗体を含む。
従って、さらに、本発明は、上記免疫診断用試薬及び指示書を含むヒトNGALを検出するための診断用キットを提供する。
図1は、ヒトNGAL野生型抗原配列(配列番号1)を示している。固有のヒトNGALシグナルペプチド残基は、斜字体で記載され、下線が付されている。pJV−NGAL−A3プラスミド中の野生型ヒトNGAL配列は、太字で記載されている。C末端中の6×Hisタグには、下線が付されている。
グリコシル化された哺乳動物NGALタンパク質及び哺乳動物NGALタンパク質に結合する抗体が発見された。これらのNGALタンパク質及び単独の又は組み合わされた抗体は、例えば、診断アッセイの成分として様々な用途を有し、又はイムノアッセイキット中に存在する。
全てのNGALポリヌクレオチド及びポリペプチド配列並びに野生型NGAL組換え抗原(rAg)及び変異体C87SNGALNGALrAgクローン、サブクローン、ハイブリッド及びハイブリドーマ(名称及び付番を含む。)は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号(参照により、これらに関するその教示に関して組み込まれる。)に記載されているとおりである。
ある種の哺乳動物NGALタンパク質に結合する抗体も発見された。これらの抗NGAL抗体(本明細書において、「NGAL抗体」とも大まかに表記される。)は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,471号(参照により、これらに関するその教示に関して組み込まれる。)に記載されているとおりである。
A.定義
本明細書に使用されているように、文脈上明確に反対の記述がなければ、単数形「a」、「an」及び「the」には、複数表記が含まれる。本明細書での数的範囲の引用に関して、その間に介在する各数字は、同じ正確度で明示的に想定される。例えば、範囲6から9の場合、6及び9に加えて、数字7及び8が想定され、範囲6.0から7.0の場合、数字6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明示的に想定される。
a)抗体
本明細書において使用される、「抗体」という用語は、モノクローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体(完全又は部分的にヒト化)、動物抗体(一態様において、鳥(例えば、アヒル又はガチョウ))、別の態様において、サメ又はクジラ、さらに別の態様において、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウスなど)及びヒト以外の霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジーなどのサル)を含む哺乳動物)、組換え抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合されたFv(sdFv)及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体など)及び上記の何れかの機能的に活性なエピトープ結合断片を表す。特に、抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、すなわち、抗原結合部位を含有する分子が含まれる。免疫グロブリン分子は、あらゆる種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA及びIgA)又はサブクラスであり得る。単純化のために、分析物に対する抗体は、「抗分析物抗体」又は単に「分析物抗体」(例えば、NGAL抗体)の何れかとしばしば称される。
b)尿細管細胞傷害
本明細書において使用される「尿細管細胞傷害」という表現は、多数の疾病又は疾患のプロセスによって引き起こされ得る、突然の(急性)又は時間をかけてゆっくり低下する(慢性)腎若しくは腎臓不全又は機能障害を意味する。尿細管細胞傷害の急性及び慢性形態は何れも、生命を脅かす代謝異常をもたらし得る。
c)急性腎臓病
「急性尿細管細胞傷害」は、急性虚血性腎傷害(IRI)又は急性腎毒性腎傷害(NRI)を意味する。IRIには、虚血傷害及び慢性虚血傷害、急性腎不全、急性糸球体腎炎及び急性尿細管間質性腎障害が含まれるが、これらに限定されない。NRI毒性には、敗血症(感染)、ショック、外傷、腎臓結石、腎感染症、薬物毒性、毒(poison)又は毒物(toxin)又は放射線造影色の注射後が含まれるが、これらに限定されない。
d)慢性腎臓病
本明細書において互換的に使用される「慢性尿細管細胞傷害」、「進行性腎臓病」、「慢性腎臓病(CRD)」、「慢性腎臓病(CKD)」という用語には、突然の現象ではなく、ある期間にわたって発生して、尿細管細胞機能の漸進的低下又は尿細管細胞傷害の悪化を引き起こすあらゆる腎臓症状又は機能障害が含まれる。慢性腎臓病が継続した場合の1つの終末点は、「慢性腎不全(CRF)」である。例えば、本明細書において互換的に使用される慢性腎臓病又は慢性腎傷害には、慢性的な感染によって引き起こされる症状又は機能障害、慢性的炎症、糸球体腎炎、血管疾患、間質性腎炎、薬物、毒物、外傷、腎臓結石、長期の高血圧、糖尿病、うっ血性心不全、鎌形赤血球貧血症及び他の造血機能障害に由来する腎障害、肝炎、HIV、パルボウイルス及びBKウイルス(ヒトポリオーマウイルス)に関連する腎障害、嚢胞性腎臓病、先天性奇形、閉塞、悪性腫瘍、原因不明の腎臓病、ループス腎炎、膜性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、局所的糸球体硬化症、微小変化型疾患、クリオグロブリン血症、抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎、ANCA陰性血管炎、アミロイドーシス、多発性骨髄腫、軽鎖沈着症、腎臓移植の合併症、腎臓移植の慢性的拒絶、慢性同種移植腎障害及び免疫抑制剤の慢性効果が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、慢性腎臓病又は慢性腎傷害は、慢性腎不全又は慢性糸球体腎炎を表す。
e)免疫診断試薬
本発明における「免疫診断試薬」は、NGALタンパク質の領域に特異的に結合する1つ又はそれ以上の抗体を含む。免疫診断試薬は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,471号(免疫診断試薬に関するその教示に関して、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている。
f)NGALポリヌクレオチド及びポリペプチド配列
NGALポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号(NGALポリヌクレオチド及びポリペプチド配列に関するその教示に関して、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されているとおりである。一般に、NGALは、例えば、Genbank受付番号GenpeptCAA58127(配列番号1)、AAB26529、XP 862322、XP 548441、P80108、P11672、X83006.1、X99133.1、CAA67574.1、BC033089.1、AAH33089.1、S75256.1、AD14168.1、JC2339、1DFVA、1DFVB、1L6MA、1L6MB、1L6MC、1NGLA、1QQSA、1X71A、1X71B、1X71C、1X89A、1X89B、1X89C、1X8UA、1X8UB及び1X8UCとして記載されているものなど、あらゆるNGAL配列であり得る。NGALポリヌクレオチド及びポリペプチド(例えば、ポリアミノ酸)配列は、天然に見出される配列に基づいて、天然に見出されるとおりであり、単離され、合成的、半合成的、組換え又はその他である。一実施形態において、NGALは、ヒトNGAL(「hNGAL」としても知られる。)である。別段の記載がなければ、NGALポリペプチド配列は、天然に典型的に見出される20残基のアミノ酸シグナルペプチドを差し引いた(及び他のあらゆるシグナルペプチド配列を差し引いた)成熟ヒトNGAL配列に従って付番される。シグナルペプチドが存在する場合、例えば、残基−1から−20のように負の数字が付番され、コードポリヌクレオチド配列に対しては同じ付番が適用される。
同様に、NGALのN末端の開始Met残基は、原核生物(例えば、イー・コリ(E.coli))中で産生されたNGAL又は合成(半合成を含む。)若しくは誘導された配列中のみに存在し、真核生物(例えば、ヒトを含む哺乳動物細胞及び酵母細胞)中で産生されるNGAL中には存在しない。従って、存在する場合には、開始Met残基は本明細書において負の数として(例えば、残基−1として)カウントされ、原核及び真核両バックグラウンド中でポリヌクレオチド配列が同じように複製及び転写され、差異は翻訳のレベルで存在するので、真核生物と比較して原核生物のバックグラウンド又は発現系中のポリヌクレオチド配列に対して類似の調整を行わなかった。
従って、本明細書の開示は、原核生物及び/又は真核生物バックグラウンド中に存在し及び/又は産生される(例えば、その結果、コドン認識に対する最適化を有する)異なる多数のNGALポリヌクレオチド及びポリペプチド配列を(例えば、免疫原として、及び/又は抗体結合研究において)包含する。要するに、配列は、(a)シグナルペプチド、(b)成熟NGAL配列中のN末端に存在する開始Met残基、(c)成熟NGALタンパク質に先行するシグナルペプチドの先頭に存在する開始Met残基及び(d)当業者に自明なものなどの他の変動を保有若しくはコードしてもよく、又は保有若しくはコードしなくてもよい。
典型的な配列には、本明細書中に記載されているもの、すなわち、配列番号1(シグナルペプチドを含むNGAL野生型ポリペプチド)、配列番号2(シグナルペプチドを含むNGAL変異体ポリペプチド)、配列番号10(シグナルペプチドを一切含まず、並びに原核生物中で産生され及びMet開始コドンが存在するときには、Met開始残基が先行し得るが、Met開始コドンが存在するか否かに関わらず、真核生物中で産生されたときにはMet開始残基が存在しないNGAL変異体ポリペプチド)、配列番号13(シグナルペプチドを一切含まず、並びに原核生物中で産生され及びMet開始コドンが存在するときには、Met開始残基が先行し得るが、Met開始コドンが存在するか否かに関わらず、真核生物中で産生されたときにはMet開始残基が存在しないNGAL野生型ポリペプチド);配列番号3(シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むNGAL野生型ポリヌクレオチド配列);配列番号4(シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むNGAL変異体ポリヌクレオチド);配列番号12(何れかのシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含まないが、Met開始コドン、例えば、ATGあり又はなしに、場合によってN末端にさらに先行することができる、合成又は真核生物発現用のNGAL変異体ポリヌクレオチド)、配列番号9(何れかのシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含まないが、Met開始コドン、例えば、ATGあり又はなしに、場合によってN末端にさらに先行することができる、合成又は真核生物発現用のNGAL変異体ポリヌクレオチド)が含まれるが、これらに限定されない。
g)グリコシル化された哺乳動物NGAL
グリコシル化された哺乳動物NGAL(例えば、免疫原として、及び/又は様々な抗体の結合を評価するために使用される)は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号(参照により、この点に関するその教示に関して組み込まれる。)に記載されているとおりである。
一般に、本明細書において使用される場合、本明細書において互換的に使用される「オリゴ糖部分」又は「オリゴ糖分子」という用語は、インビボ又はインビトロでのグリコシル化によって、(例えば、哺乳動物のNGALなどのグリコシル化されたポリペプチドを産生するために)ポリペプチドに付着させることができる1つ又はそれ以上の単糖残基を含む炭水化物含有分子を表す。ポリペプチドに付着されたオリゴ糖部分の数が明示的に表示されている場合を除き、本明細書において引用される「オリゴ糖部分」という表記は全て、ポリペプチドに付着された1つ又はそれ以上のこのような部分を表すものとする。好ましくは、前記炭水化物含有分子を付着させることができるポリペプチドは、すなわち、本明細書中にさらに記載されている「グリコシル化された哺乳動物NGAL」を提供するために野生型又は変異体哺乳動物NGALである。
「インビボグリコシル化」という用語は、インビボで、例えば、例えばN結合型及びO結合型グリコシル化によって、ポリペプチドの発現のために使用されるグリコシル化細胞中での翻訳後プロセッシングの間に起こるオリゴ糖部分のあらゆる付着を意味するものとする。通常、N−グリコシル化されたオリゴ糖部分は、5つの単糖残基(すなわち、2つのN−アセチルグルコサミン残基及び3つのマンノース残基)から構成される共通の基本的コア構造を有する。正確なオリゴ糖構造は、グリコシル化を行う問題の生物及び具体的なポリペプチドに大きく依存する。
「インビトログリコシル化」という用語は、場合によって架橋剤を用いて、オリゴ糖部分をポリペプチドの付着基へ共有結合させることを通常含む、インビトロで行われる合成的グリコシル化を表す。インビトログリコシル化は、様々な異なる化学を用いて、化学的に合成されたオリゴ糖構造をポリペプチド(例えば、哺乳動物NGALなど)に付着させることによって達成することができる。例えば、使用され得る化学は、ポリエチレングリコール(PEG)をタンパク質に付着させるために使用される化学であり、場合によって短いスペーサーを介して、オリゴ糖が官能基に連結される。インビトログリコシル化は、約0.02から約2.0mLの容量で、約0.5から約2.0mg/mLのタンパク質濃度で、約4.0から約7.0のpHの適切な緩衝液中で実施することができる。他のインビトログリコシル化法は、例えば、Aplin他によるWO87/05330、Chemical Reagents for Protein Modification,CRC Press Inc.,Boca Raton,Fla中のLundblad他によるCRCCrit.Rev.Biochem.259−306(1981)、Yan et al.,Biochemistry,23:3759−3765(1982)及びDoebber et al.,J.Biol.Chem.257:2193−2199(1982)に記載されている。
h)ヒトNGAL断片
ヒトNGAL断片(例えば、免疫原、検量用物質、対照として、及び/又は様々な抗体の結合を評価するために使用される)は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号(参照により、この点に関するその教示に関して組み込まれる。)に記載されているとおりである。
一般に、本明細書において使用される「ヒトNGAL断片」は、本明細書において、成熟ヒトNGAL又はシグナルペプチドを含むNGALの全体より少ない部分を含むポリペプチドを表す。特に、ヒトNGAL断片は、配列番号1、2、10又は13の約5から約178まで又は約179の連続するアミノ酸を含む。特に、ヒトNGAL断片は、配列番号1、2、10又は13の約5から約170の連続するアミノ酸を含む。特に、ヒトNGAL断片は、配列番号1、2、10又は13の少なくとも約5個の連続するアミノ酸、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約10個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13のアミノ酸の少なくとも約15個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約20個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約25個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13のアミノ酸の少なくとも約30個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約35個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約40個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約45個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約50個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約55個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約60個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約65個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約70個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約75個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約80個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約85個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約90個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約95個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約100個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約105個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約110個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約115個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約120個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約125個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約130個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約135個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約140個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約145個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約150個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約160個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約165個の連続するアミノ酸残基、配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約170個の連続するアミノ酸残基又は配列番号1、2、10若しくは13の少なくとも約175個の連続するアミノ酸残基を含む。
本発明によって想定されるヒトNGAL断片の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない。
(a)配列番号1、2、10又は13のアミノ酸残基112、113、114、115、116、117及び118を含む少なくとも約7個の連続するアミノ酸のヒトNGAL断片(配列番号1及び2の付番は、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基直後の成熟配列のGln残基から始まり、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基は、本明細書に前述されているように、負の付番が為される。);
(b)配列番号1、2、10又は13のアミノ酸残基112、113、114、115、116、117、118及び119を含む少なくとも約8個の連続するアミノ酸のヒトNGAL断片(配列番号1及び2の付番は、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基直後の成熟配列のGln残基から始まる。);
(c)配列番号1、2、10又は13のアミノ酸残基112、118及び147を含む少なくとも約36個の連続するアミノ酸のヒトNGAL断片(配列番号1及び2の付番は、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基直後の成熟配列のGln残基から始まる。);
(d)配列番号1、2、10又は13のアミノ酸残基15及び109を含む少なくとも約95個の連続するアミノ酸のヒトNGAL断片(配列番号1及び2の付番は、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基直後の成熟配列のGln残基から始まる。);
(e)配列番号1、2、10又は13のアミノ酸残基15、109及び158を含む少なくとも約144個の連続するアミノ酸のヒトNGAL断片(配列番号1及び2の付番は、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基直後の成熟配列のGln残基から始まる。);
(f)配列番号1、2、10又は13のアミノ酸残基15、109、158及び159を含む少なくとも約145個の連続するアミノ酸のヒトNGAL断片(配列番号1及び2の付番は、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基直後の成熟配列のGln残基から始まる。);又は
(g)配列番号1、2、10又は13のアミノ酸残基15、109、158、159及び160を含む少なくとも約146個の連続するアミノ酸のヒトNGAL断片(配列番号1及び2の付番は、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基直後の成熟配列のGln残基から始まる。)。
場合によって、本明細書に記載されているように使用されるこのようなヒトNGAL断片は、配列番号3、4又は12の対応する配列によって部分的に又は完全にコードされる。これらの線に沿って、一実施形態において、本発明は、配列番号4若しくは12の配列を含む又は配列番号4若しくは12の配列からなる単離され、精製され、又は単離及び精製されたヒトNGALポリヌクレオチドの使用を提供する。
i)NGALハイブリッド
本明細書において使用される「NGALハイブリッド」又は「NGALハイブリドーマ」という用語は、目的の抗NGAL抗体を産生するハイブリドーマクローン又はサブクローン(明記されているとおりの)を表す。一般に、同じ種類のサブクローンから得られたものと比較すると、ハイブリドーマクローンによって産生された抗体の親和性には、幾らか小さな変動が存在し得る(例えば、クローンの純度を反映する。)。比較により、同じクローンを起源とし、さらに、目的の抗NGAL抗体を産生する全てのハイブリドーマサブクローンは、同じ配列及び/又は同じ構造の抗体を産生することが十分に確立されている。NGALハイブリッドは、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,471号(参照により、NGALハイブリッドに関するその教示に関して組み込まれる。)に記載されているとおりである。
j)特異性
本明細書において使用されるヒトNGALの量に対する「特異性」は、約75%の特異性が約25%の交叉反応性と等しく、約90%の特異性は約10%の交叉反応性に等しいなどように、二量体に対する交叉反応性の逆数として定義される(すなわち、特異性は、1/交叉反応性と等しい。)。本明細書において、NGAL単量体に対して約75%特異的であるアッセイは、NGAL二量体との約25%の交叉反応性を示す。これを記述する別の方法は、単量体に対して約75%の特異性を有するアッセイは、NGAL二量体と比較して、NGAL単量体に対して約4倍特異的であることである。
k)特異的結合
本明細書において、「特異的結合」という用語は、特定の部位において、別の結合パートナーよりある結合パートナー(例えば、2つのポリペプチド、ポリペプチドと核酸分子又は2つの核酸分子)に優先的に結合することと定義される。「特異的に結合する」という用語は、非特異的な標的分子(例えば、特異的に認識される部位を欠如する無作為な分子)に比べて、標的分子/配列に対する結合の優先性(例えば、親和性)は、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍及び最も好ましくは少なくとも10倍又は20倍であることを示す。
l)結合パートナー
本明細書において使用される「結合パートナー」とは、結合ペアの一員、すなわち、分子の1つが第二の分子に結合する分子のペアである。特異的に結合する結合パートナーは、「特異的結合パートナー」と称される。イムノアッセイにおいて一般的に使用される抗原及び抗体結合パートナーの他に、他の特異的な結合パートナーは、ビオチン及びアビジン、炭水化物及びレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクター及び受容体分子、補因子及び酵素、酵素阻害剤及び酵素などが含まれ得る。さらに、特異的な結合パートナーは、元の特異的結合パートナーの類縁体である対(例えば、分析物−類縁体)を含み得る。免疫反応性の特異的結合パートナーには、抗原、抗原断片、抗体及び抗体断片(モノクローナル及びポリクローナルの両方)並びにこれらの複合体が含まれる(組換えDNA法によって形成されるものを含む。)。
m)エピトープ
本明細書において使用される「エピトープ」又は「目的のエピトープ」という用語は、認識され、その特異的結合パートナー上の相補的部位に結合することができる何れかの分子上の部位を表す。分子と特異的結合パートナーは、特異的結合ペアの一部である。例えば、エピトープは、ポリペプチド、タンパク質、ハプテン、炭水化物抗原(糖脂質、糖タンパク質又はリポ多糖など(但し、これらに限定されない。))又は多糖であり得、その特異的結合パートナーは抗体であり得る(但し、これに限定されない。)。
特に、エピトープは、抗原(すなわち、抗体が結合するタンパク質)の特定領域(1つ又はそれ以上のアミノ酸から構成される。)を表す。より具体的には、抗原性エピトープは、抗体結合ドメインの表面上の相補的領域(パラトープ)と相互作用するタンパク質表面上の領域である。従って、エピトープは、抗体との静電的相互作用、疎水的相互作用及び水素結合に関与し、表面の正しい形状、その柔軟性及び構造的動力学に必要とされる残基も含有する。抗原性エピトープに対して強固な支持の役割を有する、埋め込まれた「第二球体」残基も存在する。
「立体構造的エピトープ」又は「不連続エピトープ」として知られるエピトープの特定の種類は、順序の上では不連続であるが、三次元空間中で互いに近接する残基によって形成されたエピトープの種類である。
n)結合定数(例えば、K、k及びk
本明細書において互換的に使用される「平衡解離定数」又は「K」という用語は、平衡状態での滴定測定において得られた値又は会合速度定数(kon)によって解離速度定数(koff)を除することによって得られた値を表す。会合速度定数、解離速度定数及び平衡解離定数は、抗原への抗体の結合親和性を表すために使用される。
「相対親和性」又は「相対的K」という用語は、抗血清検査試料又はクローニングされていないハイブリッド検査試料を含む検査集団内で抗体/抗原Kを測定するために同じ検査方法を用いて明らかにされた抗原への抗体の結合力として定義することができ、従って、「絶対的な」特異性データではなく、相対的な親和性値を与える。(例えば、Immunology,32:49(1977)及びEsssential Immunology,Blackwell Scientific Publications,7th edition,page74(1991)参照)。
本明細書において互換的に使用される「会合速度定数」、「kon」又は「k」という用語は、以下の式によって示されているように、標的抗原への抗体の結合速度又は抗体と抗原の間での複合体形成の速度を示す値を表す。
抗体(「Ab」)+抗原(「Ag」)−>Ab−Ag
本明細書において互換的に使用される「解離速度定数」、「koff」又は「k」という用語は、以下の式によって示されているように、標的抗原から抗体が解離する速度又はAb−Ag複合体が経時的に遊離の抗体及び抗原へ分離することを示す値を表す。
Ab+Ag<−Ab−Ag
会合及び解離速度定数を測定するための方法は、本分野において周知である。蛍光を基礎とする技術を用いることによって、平衡状態にある生理的緩衝液中で試料を調べるための高い感度及び能力が得られる。BIAcore(R)(生物分子相互作用分析)アッセイなどの他の実験的アプローチ及び装置(例えば、BIAcore International ABから入手可能な装置、GE Healthcare company、Uppsala,Sweden)を使用することが可能である。さらに、Sapidyne Instruments(Boise,Idaho)から入手可能なKinExA(R)Kinetic Exclusion ssay)も使用することが可能である。
o)対象
本明細書において使用される「対象」及び「患者」という用語は、当該対象が治療の何れかの形態を有し、又は現在行っているかどうかに関わらず、互換的に使用される。本明細書において使用される「対象」という用語は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット及びマウスなど)、ヒト以外の霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジーなどのサル)及びヒトを含む哺乳動物を表す。好ましくは、対象は、ヒトである。
p)検査試料
本明細書において使用される「検査試料」という用語は、血清、血漿、血液(全血を含むが、これに限定されない。)、リンパ、尿又は対象の他の体液に由来する生物学的試料を表す。検査試料は、当業者に公知の定型的な技術を用いて調製することが可能である。好ましくは、検査試料は、尿又は血液である。
q)前処理試薬(例えば、溶解、沈殿及び/又は可溶化試薬)
本明細書に記載されている診断アッセイにおいて使用される前処理試薬とは、何れかの細胞を溶解し、及び/又は検査試料中に存在する何らかの分析物を可溶化する試薬である。本明細書中にさらに記載されているように、前処理は、全ての試料に対して必要とは限らない。とりわけ、分析物(すなわち、NGAL)の可溶化には、試料に存在する何れかの内在性結合タンパク質からの分析物の放出を引き起こす。前処理試薬は、同種(分離工程を必要としない)又は異種(分離工程を必要とする)であり得る。異種の前処理試薬を使用すると、アッセイの次の工程に進む前に、検査試料からのあらゆる沈殿した分析物結合タンパク質の除去が存在する。前処理試薬は、(a)1つ若しくはそれ以上の溶媒及び塩、(b)1つ若しくはそれ以上の溶媒、塩及び界面活性剤、(c)界面活性剤、(d)界面活性剤及び塩又は(e)細胞溶解及び/若しくは分析物の可溶化に適したあらゆる試薬若しくは試薬の組み合わせを場合によって含むことができる。また、単独の又は他の何れかの前処理剤(例えば、溶媒、界面活性剤、塩など)と組み合わせたプロテアーゼを使用することができる。
r)固相
本明細書において使用される「固相」は、不溶性であり、又はその後の反応によって不溶性となり得るあらゆる物質を表す。固相は、捕捉剤を誘引及び固定化するその固有の能力のために選択され得る。あるいは、捕捉剤を誘引及び固定化する能力を有する連結剤を固相に付着することができる。連結剤には、例えば、捕捉剤そのものに、又は捕捉剤に連結された帯電物質に関して反対の電荷を帯びた帯電物質が含まれ得る。一般に、連結剤は、固相上に固定化され(又は固相に付着され)、及び結合反応を通じて捕捉剤を固定化する能力を有するあらゆる結合パートナー(好ましくは、特異的な)であり得る。連結剤によって、アッセイの実施前又はアッセイの実施中に、捕捉剤が固相物質に間接的に結合することが可能となる。固相は、例えば、プラスチック、誘導化されたプラスチック、磁気又は非磁気金属、ガラス又はケイ素であり得、例えば、試験管、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップ及び当業者に公知の他の構成などであり得る。
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみを記載することを目的とするものであって、その他、限定を意図するものではない。
B.グリコシル化された哺乳動物NGAL
(例えば、検量用物質又は対照として)本発明において使用されるグリコシル化された哺乳動物NGALは、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号(参照により、この点に関するその教示に関して組み込まれる。)に記載されているとおりである。一般に、本発明は、あらゆる種類の哺乳動物NGAL(例えば、単離された、組換え、変異体、野生型、合成、半合成など)、特に、場合によってグリコシル化されている哺乳動物NGAL、特に本明細書に記載されているようなヒトNGALの使用を想定する。このような哺乳動物NGALは、例えば、抗体を作製するための免疫原として、及び/又はこのような抗体の結合を評価する際に使用される。
一実施形態において、本発明は、単離されたグリコシル化された哺乳動物NGALの使用に関する。より具体的には、本発明は、少なくとも1つのオリゴ糖分子又は部分及び最大10のオリゴ糖分子又は部分を含有するグリコシル化された哺乳動物NGALに関する。本発明において使用されるグリコシル化された哺乳動物NGALには、グリコシル化されたイヌNGAL、グリコシル化されたネコNGAL、グリコシル化されたラットNGAL、グリコシル化されたマウスNGAL、グリコシル化されたウマNGAL、グリコシル化された非ヒト霊長類NGAL及びグリコシル化されたヒトNGALが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、グリコシル化された哺乳動物NGALは、ヒトNGALである。さらに、グリコシル化された哺乳動物NGALは、野生型NGAL(すなわち、野生型イヌNGAL、野生型ネコNGAL、野生型ラットNGAL、野生型マウスNGAL、野生型ウマNGAL、野生型非ヒト霊長類NGAL又は野生型ヒトNGALなどの(但し、これらに限定されない。)あらゆる野生型哺乳動物NGAL)であり得る。好ましくは、野生型哺乳動物NGALは、配列番号1(シグナルペプチドを含み、配列番号1の付番はシグナルペプチド及び何れかのMet開始残基の直後の成熟配列のGln残基から始まる。)又は配列番号13(シグナルペプチドを含まない。)に示されているアミノ酸配列を有する野生型ヒトNGALである。あるいは、グリコシル化された哺乳動物NGALは、野生型哺乳動物NGALの対応するアミノ酸配列と比べたときに、1つ又はそれ以上のアミノ酸置換、欠失又は付加を含むアミノ酸配列を含むグリコシル化された変異体哺乳動物NGALであり得る。例えば、グリコシル化された哺乳動物NGALは、野生型ヒトNGAL(例えば、配列番号1又は13参照)のアミノ酸配列は少なくとも1つのアミノ酸置換を含有するヒトNGALであり得る。具体的には、少なくとも1つのアミノ酸置換を、配列番号1又は13のアミノ酸残基87に施すことができる。具体的には、配列番号1又は13に示されているアミノ酸87のシステインをセリンと置換することができる(例えば、配列番号2及び10参照)。セリン又はシステイン以外のアミノ酸(例えば、グリシン又はアラニン)に対する他の置換を施すこともできる。さらに、定型的な実験操作を用いて、当業者により、配列番号1又は13のアミノ酸残基87における単一のアミノ酸置換以外の他のアミノ酸置換、欠失又は付加を施すことができる。
本明細書において使用される哺乳動物NGAL(例えば、場合によってグリコシル化された)は、組換えDNA技術を用いて、化学合成によって、又は化学合成と組換えDNA技術の組み合わせによって作製することができる。具体的には、哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列は、目的の哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列を単離又は合成することによって構築され得る。上述のように、哺乳動物NGAL(例えば、場合によってグリコシル化された)は、野生型哺乳動物NGALであり得、又は1つ以上のアミノ酸置換、欠失又は付加を含有する変異体哺乳動物NGALであり得る。このようなアミノ酸置換、欠失又は付加は、突然変異導入によるなど(例えば、Nelson and Long,Analytical Biochemistry 180:147−151(1989)に記載されているような、周知の方法に従う部位指定突然変異導入、無作為突然変異導入又はシャッフリングを用いて)、本分野において公知の定型的技術を用いて施すことができる。
目的の哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチド合成装置を使用することによるなど、オリゴヌクレオチドが所望の哺乳動物NGAL(野生型又は変異体)のアミノ酸配列に基づいて設計される化学合成によって、好ましくは、組換え哺乳動物NGALがその中で産生される宿主細胞中で好まれるコドンを選択することによって調製され得る。例えば、所望の哺乳動物NGALの一部をコードする幾つかの小さなオリゴヌクレオチドがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、連結又は連結連鎖反応(LCR)によって合成及び組み立てられ得る。各オリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的
組み立てのために5’又は3’突出を含有する。
(合成、部位指定突然変異導入又は別の方法によるなど)一旦組み立てられたら、目的の哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列は、組換えベクター中に挿入され、所望の形質転換された宿主細胞中でのその発現のために必要な何れかの調節配列へ作用可能に連結され得る。
全てのベクター及び発現調節配列が、目的のポリヌクレオチド配列を発現するために等しく良好に機能し得るわけではなく、全ての宿主が同じ発現系とともに等しく良好に機能するわけではないが、当業者は、過度の実験操作なしに、本発明において使用するためのこれらのベクター、発現調節配列、最適化されたコドン及び宿主から容易に選択を行い得ると考えられる。ベクターは、宿主中で複製可能でなければならず、又は染色体中に組み込まれなければならないので、例えば、ベクターを選択する際には、宿主を検討しなければならない。ベクターのコピー数、そのコピー数を調節する能力及びベクターによってコードされる何らかの他のタンパク質の発現(抗生物質マーカーなど)も検討すべきである。発現調節配列を選択する際には、様々な要因も検討され得る。これらには、配列の相対的な強さ、その調節可能性及び特に、潜在的な二次構造に関して、哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列とのその適合性が含まれるが、これらに限定されない。宿主は、選択されたベクターとのその適合性、コドン使用、分泌特性、ポリペプチドを正しく折り畳む能力、発酵又は培養の必要性、タンパク質をグリコシル化する能力(又は能力の欠如)及びヌクレオチド配列によってコードされる産物の精製の容易さなどを検討することによって選択すべきである。
組換えベクターは、自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外成分として存在し、その複製が染色体の複製から独立しているベクター(プラスミドなど)であり得る。あるいは、ベクターは、宿主細胞中に導入されたときに、宿主細胞ゲノム中に組み込まれ、ベクターがその中に組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクターであり得る。
ベクターは、好ましくは、哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列はポリヌクレオチド配列の転写のために必要とされる追加セグメントに作用可能に連結されている発現ベクターである。ベクターは、典型的には、プラスミド又はウイルスDNAに由来する。本明細書に挙げられている宿主細胞中での発現に適した多数の発現ベクターが市販されており、又は文献に記載されている。真核生物宿主に対する有用な発現ベクターには、SV40、ウシ乳頭腫ウイルス、アデノウイルス及びサイトメガロウイルスから得られる発現調節配列を含むベクターが含まれるが、これらに限定されない。具体的なベクターには、pCDNA3.1(+)/Hyg(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)及びpCI−neo(Stratagene,La Jolla,CA,USA)が含まれる。酵母細胞中で使用するための発現ベクターの例には、2μプラスミド及びその誘導体、POT1ベクター(米国特許第4,931,373号参照)、pJSO37ベクター(Okkels,Ann.New York Acad.Sci.,782:202−207,(1996)に記載されている。)及びpPICZA、B又はC(Inbitrogen Corp.,Carlsbad,CA)が含まれるが、これらに限定されない。昆虫細胞中で使用するための発現ベクターの例には、pVL941、pBG311(Cate et al.,“Isolation of Bovine andHuman Genes forMullerian Inhibiting Substance And Expression of the Human Gene In Animal Cells” Cell,45:685−698(1986)、pBluebac4.5及びpMelbac(何れも、Invitrogen Corp.,Carlsbad,CAから入手可能である。)が含まれるが、これらに限定されない。本発明において使用するための好ましいベクターは、pJV(Abbott laboratories,Abbott Bioresearch Center,Worcester,MAから入手可能)である。
使用可能な他のベクターは、哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列のコピー数を増幅することができる。このような増幅可能なベクターは、本分野において周知である。これらのベクターには、DHFR増幅(例えば、Kaufinan、米国特許第4,470,461号、Kaufinan et al.,“Construction Of A Modular Dihydrofolate Reductase cDNA Gene:Analysis Of Signals Utilized For efficient Expression”Mol.Cell.Biol.,2:1304−1319(1982))及びグルタミン合成酵素(GS)増幅(例えば、米国特許第5,122,464号及び欧州特許出願0338,841号参照)によって増幅され得るベクターが含まれるが、これに限定されない。
組換えベクターは、目的の宿主細胞中でのベクターの複製を可能にするDNA配列をさらに含み得る。(宿主細胞が哺乳動物細胞である場合)このような配列の例は、SV40の複製起点である。宿主細胞が酵母細胞である場合、ベクターの複製を可能にする適切な配列は、酵母プラスミド2μ複製遺伝子REP1から3及び複製起点である。
ベクターは、選択可能なマーカー、すなわち、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)又はシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)TPI遺伝子をコードする遺伝子など(P.R.Russell,Gene,40:125−130(1985)参照)、その産物が宿主細胞中の欠損を相補する遺伝子又はポリヌクレオチドをコードする遺伝子もしくはポリヌクレオチド又はアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与するものも含み得る。糸状真菌の場合、選択可能なマーカーには、amdS、pryG、arcB、niaD及びsCが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される「調節配列」という用語は、哺乳動物NGALの発現に必要な又は有利なあらゆる成分を表す。各調節配列は、哺乳動物NGALをコードする核酸配列にとって固有又は外来であり得る。このような調節配列には、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、エンハンサー又は上流活性化配列、シグナルペプチド配列及び転写終結因子が含まれるが、これらに限定されない。最小限、調節配列は、哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列に作用可能に連結された少なくとも1つのプロモーターを含む。
本明細書において使用される「作用可能に連結された」という用語は、配列の正常な機能が発揮され得るような互いに対する配置での、酵素的連結又はその他の手段による2つ又はそれ以上のポリヌクレオチド配列の共有結合を表す。例えば、プレ配列又は分泌リーダーをコードするポリヌクレオチド配列は、ポリペプチドの分泌に関与するプロタンパク質としてポリペプチドが発現された場合に、ポリペプチドに対するポリヌクレオチド配列に作用可能に連結されている。プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼした場合に、コード配列に作用可能に連結されている。リボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されている場合に、コード配列に作用可能に連結されている。一般に、「作用可能に連結された」とは、連結されているポリヌクレオチド配列が連続しており、分泌性リーダーの場合には、連続しており及び読み取り相にあることを意味する。連結は、都合のよい制限部位での連結によって達成される。このような部位が存在しない場合には、標準的な組換えDNA法と組み合わせて、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが使用される。
本発明において、多様な発現調節配列が使用され得る。このような有用な発現調節配列には、前記発現ベクターの構造遺伝子に付随した発現調節配列及び原核若しくは真核細胞又はこれらのウイルスの遺伝子の発現を調節することが知られているあらゆる配列並びにこれらの様々な組み合わせが含まれる。哺乳動物細胞中での転写を誘導するための適切な調節配列の例には、SV40及びアデノウイルスの初期及び後期プロモーター、例えば、アデノウイルス2主要後期プロモーター、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子プロモーター(CMV)、ヒト延長因子1α(EF−1α)プロモーター、ドロソフィラ最小熱ショックプロテイン70プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ヒトユビキチンC(UbC)プロモーター、ヒト成長ホルモン終結因子、SV40又はアデノウイルスE1b領域ポリアデニル化シグナル及びKozakコンセンサス配列(Kozak, J MoI Biol, 196:947−50(1987))が含まれる。
哺乳動物細胞中での発現を改善するために、合成イントロンが、哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列の5’非翻訳領域中に挿入され得る。合成イントロンの一例は、プラスミドpCI−Neo(Promega Corporation,WI,USAから入手可能)から得られる合成イントロンである。
昆虫細胞中での転写を誘導するための適切な調節配列の例には、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター、バキュロウイルス前初期遺伝子1プロモーター及びバキュロウイルス39K後初期遺伝子プロモーター及びSV40ポリアデニル化配列が含まれるが、これらに限定されない。
酵母宿主細胞中で使用するための適切な調節配列の例には、酵母α接合系のプロモーター、酵母トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)プロモーター、酵母解糖系遺伝子又はアルコール脱水素酵素遺伝子由来のプロモーター、ADH2−4cプロモーター及び誘導性GALプロモーターが含まれる。
糸状真菌宿主細胞中で使用するための適切な調節配列の例には、ADH3プロモーター及びターミネーター、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼトリオースリン酸イソメラーゼ又はアルカリプロテアーゼをコードする遺伝子に由来するプロモーター、エー・ニガー(A.niger)α−アミラーゼ、エー・ニガー又はエー・ニジュラス(A.nidulas)グルコアミラーゼ、エー・ニジュランス(A.nidulans)アセトアミダーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ又はリパーゼをコードする遺伝子に由来するプロモーター、TPI1ターミネーター及びADH3ターミネーターが含まれる。
哺乳動物NGALをコードするポリヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含んでもよく、又は含まなくてもよい。哺乳動物NGALがその中で発現される細胞から分泌されるべき場合には、シグナルペプチドが存在する。このようなシグナルペプチドが存在する場合、このようなシグナルペプチドは、ポリペプチドの発現のために選択された細胞によって認識されるものであるべきである。シグナルペプチドは、目的の哺乳動物NGALに対して相同(例えば、目的の哺乳動物NGALとともに通常付随するシグナルペプチドであり得る。)若しくは異種(すなわち、目的の哺乳動物NGALとは別の源を起源とする。)であり得、又は宿主細胞に対して、相同又は異種であり得る(すなわち、宿主細胞から本来発現されるペプチドであり、又は宿主細胞から本来発現されないペプチド)。従って、シグナルペプチドは、原核生物性であり(例えば、細菌に由来する。)又は真核生物性(例えば、哺乳動物又は昆虫、糸状真菌又は酵母細胞に由来する。)であり得る。
シグナルペプチドの存在又は不存在は、例えば、哺乳動物NGALの産生のために使用される発現宿主細胞に依存する。糸状真菌において使用するために、シグナルペプチドは、アスペルギルス種のアミラーゼ又はグルコアミラーゼをコードする遺伝子、リゾムコール・ミエヘイリパーゼ若しくはプロテアーゼ又はフミコラ・ラヌギノサリパーゼをコードする遺伝子に都合よく由来し得る。昆虫細胞中で使用する場合、シグナルペプチドは、鱗翅目のマンジュカ・セクスタ(Manduca sexta)脂質動員ホルモン前駆体(米国特許第5,023,328号参照)、ミツバチのメリチン(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)、エクジステロイドUDPグルコシル転移酵素(egt)(Murphy et al., Protein Expression and Purification 4:349−357(1993)などの昆虫遺伝子(WO90/05783参照)又はヒト膵臓リパーゼ(hpl)(Methods in Enzymology, 284:262−272(1997))に由来し得る。
哺乳動物細胞中で使用するためのシグナルペプチドの具体例には、マウスIgκ軽鎖シグナルペプチドが含まれる(Coloma,M,J.Imm.Methods,152:89−104(1992))。酵母細胞中で使用する場合、適切なシグナルペプチドには、S.セレビシアエ(S.cerevisiae)由来のα−因子シグナルペプチド(米国特許第4,870,008号参照)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(O.Hagenbuchle et al., Nature,289:643−646(1981))、修飾されたカルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(L.A.Vails et al.,Cell,48:887−897(1987)参照)、酵母BAR1シグナルペプチド(WO87/02670参照)及び酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(M.Egel−Mitani et al., Yeast,6:127−137(1990)参照)が含まれる。
本発明のグリコシル化された哺乳動物NGALを産生するために、細菌、真菌(酵母を含む。)、昆虫、哺乳動物又は他の適切な動物細胞若しくは細胞株及びトランスジェニック動物又は植物を含むあらゆる適切な宿主を使用し得る。イー・コリなどの非グリコシル化生物が使用される場合、本発明のグリコシル化された哺乳動物NGALを産生するために、イー・コリ中での発現の後に、好ましくは、適切なインビトログリコシル化が行われる。
細菌宿主細胞の例には、バシラス、例えば、ビー・ブレビス((B.brevis)又はビー・スブチリス(B.subtilis)、シュードモナス又はストレプトミセスの系統などのグラム陽性細菌又はイー・コリの系統などのグラム陰性細菌が含まれるが、これらに限定されない。細菌宿主細胞中へのベクターの導入は、形質転換受容細胞(例えば、Young et al., Journal of Bacteriology, 81:823−829(1961))又はDubnau et al., Journal of Molecular Biology,56:209−221(1971))を用いた例えば、プロトプラスト形質転換(例えば、Chang et al., Molecular General Genetics,168:111−115(1979)参照)、電気穿孔(例えば、Shigekawa et al., Biotechniques,6:742−751(1988)参照)又は連結(例えば、Koehler et al., Journal of Bacteriology, 169:5771−5278(1987)参照)によって実施され得る。
適切な糸状真菌宿主細胞の例には、アスペルギルス、例えば、エー・オリザエ(A.oryzae)、エー・ニガー(A.niger)又はA.ニジュランス(A.nidulans)、フザリウム(Fusarium)又はトリコデルマ(Trichoderma)の系統が含まれるが、これらに限定されない。真菌細胞は、当業者に公知の技術を用いて、プロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換及び細胞壁の再生を含む方法によって形質転換され得る。アスペルギルス宿主細胞の形質転換のための適切な手法は、欧州特許出願238023及び米国特許第5,679,543号に記載されている。フザリウム種を形質転換するための適切な方法は、「Malardier et al, Gene, 78:147−156(1989)」及びWO96/00787によって記載されている。酵母は、「Becker and Guarente, In Abelson, J.N.and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182−187, Academic Press, Inc., New York; Ito et al, Journal of Bacteriology, 153:163(1983);及びHinnen et al., Proceedings of the National Academy of Sciences USA, 75:1920(1978)」によって記載されている手法を用いて形質転換され得る。
好ましくは、本発明の哺乳動物NGALは、インビボでグリコシル化される。哺乳動物NGALがインビボでグリコシル化される場合、宿主細胞は、哺乳動物NGALの所望されるグリコシル化を作製することができる宿主細胞の群から選択される。従って、宿主細胞は、酵母細胞、昆虫細胞又は哺乳動物細胞から選択され得る。
適切な宿主細胞の例には、サッカロミセスの系統、例えば、エス・セレビシアエ(S.cerevisiae)、スキゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、クリベロミセス、ピー・パストリス又はピー・メタノリカ(P.methanolica)などのピキア、エイチ・ポリモルファ又はヤロウィアなどのハンセニュラ(Hansenula)の系統が含まれる。異種のポリヌクレオチドで酵母細胞を形質転換し、酵母細胞から異種のポリペプチドを産生する方法は、Clontech Laboratories, Inc, Palo Alto, CA, USA (YeastmakerTM Yeast Tranformation System Kitの製品プロトコール中)によって、及びReeves et al., FEMS Microbiology Letters, 99:193−198(1992), Manivasakam et al., Nucleic Acids Research, 21:4414−4415(1993)及びGaneva et al., FEMS Microbiology Letters, 121:159−164(1994)によって開示されている。
適切な昆虫宿主細胞の例には、スポドプテラ・フルギペルダ(Sf9又はSf21)又はトリコプルシア・ニー細胞(HighFive)などの鱗翅目細胞株が含まれるが、これらに限定されない(米国特許第5,077,214号参照)。昆虫細胞の形質転換及び異種のポリペプチドの産生は、当業者に周知である。
適切な哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ミドリザル細胞株(COS)、マウス細胞(例えば、NS/O)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株、ヒト細胞(ヒト胚性腎臓細胞(例えば、HEK293)(ATCC受託番号CRL−1573)など)及び組織培養中の植物細胞が含まれる。好ましくは、哺乳動物細胞は、CHO細胞株及びHEK293細胞株である。別の好ましい宿主細胞は、B3細胞株(例えば、Abbott Laboratories, Abbott Bioresearch Center, Worcester, MA)又は別のジヒドロ葉酸還元酵素欠損(DHFR)CHO細胞株(例えば、Invitrogen Corp.,Carlsbad,CAから入手可能)である。一態様において、本発明は、グリコシル化されたヒト野生型NGAL(すなわち、配列番号1又は13のアミノ酸配列を有するもの)を産生し、2006年11月21日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託され、ATCC受託番号PTA−8020が付与されたCHO細胞株に関する。好ましくは、ATCC受託番号PTA−8020を有するCHO細胞株によって産生される野生型ヒトNGALは、約25キロダルトン(kDa)の分子量を有する。別の態様において、本発明は、グリコシル化された変異体ヒトNGALを産生するCHO細胞株に関する。好ましくは、グリコシル化された変異体ヒトNGALは、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸配列のアミノ酸87に対応するアミノ酸においてアミノ酸置換を含む。より好ましくは、アミノ酸置換は、セリンによるシステインの置換である(配列番号2又は10参照)。最も好ましくは、CHO細胞株は、2007年1月23日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−8168が付与されたCHO細胞株である。ATCC受託番号PTA−8168を有するCHO細胞株は、配列番号2又は10のアミノ酸配列を含むグリコシル化された変異体ヒトNGALを産生する。さらに別の態様において、本発明は、配列番号2又は10のアミノ酸配列を含む単離された変異体グリコシル化されたヒトNGALに関する。
哺乳動物の宿主細胞中に外来ポリヌクレオチドを導入する方法には、リン酸カルシウムによって媒介される形質移入、電気穿孔、DEAE−デキストランによって媒介される形質移入、リポソームによって媒介される形質移入、LipofectamineTM2000を用いる、Life Technologies Ltd, Paisley, UKによって記載されているウイルスベクター及び形質移入方法が含まれる。これらの方法は、本分野において周知であり、例えば、Ausbel et al.(eds.) Current Protocols in Molecular Biology John Wiley & Sons, New York, USA (1996)によって記載されている。哺乳動物細胞の培養は、例えば、「Jenkins, Ed., Animal Cell Biotechnology, Methods and Protocols, Human Press Inc.Totowa,N.J.,USA(1999)」及び「Harrison and Rae General Techniques of Cell Culture, Cambridge University Press(1997)」に開示されている確立された方法に従って実施される。
製造方法において、細胞は、本分野で公知の方法を用いて、哺乳動物NGALの産生に適した栄養素培地中で培養される。例えば、細胞は、振盪フラスコ培養、適切な培地中並びにグリコシル化された哺乳動物NGALを発現及び/又は単離させる条件下で行われる研究室用又は産業用発酵装置中での小規模若しくは大規模発酵(連続、バッチ、フェドバッチ又は固体状態発酵を含む。)によって培養される。培養は、本分野において公知の手法を用いて、炭素及び窒素源並びに無機塩を含む適切な栄養素培地中で行われる。適切な培地は、民間の業者から入手することができ、又は(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログ中に)公開された組成に従って調製され得る。グリコシル化された哺乳動物NGALが栄養素培地中に分泌される場合、哺乳動物NGALは、培地から直接回収され得る。哺乳動物NGALが分泌されない場合には、細胞可溶化液から回収することができる。
得られた哺乳動物NGALは、本分野において公知の方法によって回収され得る。例えば、哺乳動物NGALは、遠心、ろ過、抽出、スプレー乾燥、蒸発又は沈殿などの(但し、これらに限定されない。)慣用の手法によって、栄養素培地から回収され得る。
哺乳動物NGALは、クロマトグラフィー(イオン交換、アフィニティー、疎水性、等電点電気泳動及びサイズ排除など(但し、これらに限定されない。)、電気泳動手法(調製用等電点など(但し、これらに限定されない。))、溶解度の差(硫酸アンモニウム沈殿など(但し、これらに限定されない。))、SDS−PAGE又は抽出(例えば、J−C Janson and Lars Ryden, editors, Protein Purification, VCH Publishers, New York (1989)参照)などの(但し、これらに限定されない。)本分野において公知の様々な手法によって精製され得る。
本明細書に記載されているグリコシル化された哺乳動物NGAL(野生型及び変異体)は、様々な異なる目的及び様々な異なる方法のために使用することができる。具体的には、本明細書に記載されているグリコシル化された哺乳動物NGALは、1つ若しくはそれ以上の検量用試料、1つ若しくはそれ以上の対照又は検査試料中の哺乳動物NGALを検出するためのアッセイ(好ましくは、イムノアッセイ)における1つ若しくはそれ以上の検量用試料の組み合わせとして使用することができる。グリコシル化された哺乳動物NGAL(野生型及び変異体)は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号(NGAL抗原及び検量用試料又は対照に関するその教示に関して、参照により組み込まれる。)の主題の一部である。好ましくは、グリコシル化された哺乳動物NGALは、配列番号1又は13のアミノ酸配列を含む。あるいは、グリコシル化された哺乳動物NGALは、配列番号2又は10のアミノ酸配列を含む。
例えば、本明細書に記載されているグリコシル化された哺乳動物NGALは、検査試料中の哺乳動物NGALの存在を検出するための方法を改良するために使用することができる。検査試料中の哺乳動物NGALを検出するための前記方法の正確な工程及びこれらの工程の順序は重要でない。むしろ、方法の改良は、1つ若しくはそれ以上の検量用物質、1つ若しくはそれ以上の対照として、又は1つ若しくはそれ以上の検量用物質と対照の組み合わせとしての、本明細書に記載されているグリコシル化された哺乳動物NGALの使用を含む。例えば、このような方法は、
(a)哺乳動物NGAL/抗体複合体(哺乳動物抗体/捕捉抗体複合体など)の形成を可能とする時間及び条件下で、哺乳動物NGALを含有することが疑われる検査試料を、哺乳動物NGALに対して特異的な少なくとも1つの抗体(捕捉抗体など(但し、これに限定されない。))と接触させる工程;及び
(b)前記哺乳動物NGAL抗原の存在の指標として、(連結物を添加することなどによって)形成された何れかの哺乳動物NGAL/抗体複合体を検出する工程;
を含み得、
前記方法は、少なくとも1つの検量用物質、少なくとも1つの対照として、又は少なくとも1つの検量用物質と少なくとも1つの対照の組み合わせとして、(配列番号1、配列番号2、配列番号10若しくは配列番号13又は配列番号1、配列番号2、配列番号10若しくは配列番号13の組み合わせ(すなわち、1つは検量用物質として使用され、1つは対照として使用されるなど)のアミノ酸配列を有するグリコシル化された哺乳動物NGALなどの)本明細書に記載されている少なくとも1つのグリコシル化された哺乳動物NGALを使用する。
(例えば、配列番号2又は10に記載されているような)変異体NGAL(場合によって、グリコシル化されている。)を使用することの1つの主な利点は、野生型NGALを用いて作製された検量用物質は時間とともに二量体をゆっくり形成し得ることである。本明細書の実施例に記載されているように、伝統的なNGALアッセイは二量体より単量体をよりよく検出するので、これは、単量体の喪失(すなわち、不安定性)として認識される。このために、検量用曲線はシフトし、減少した精度をもたらす。
本明細書に記載されているように、試料中のNGALの存在を検出するためのキットにおいて、哺乳動物NGAL(例えば、グリコシル化された哺乳動物NGAL)も、場合によって使用することができる。
さらに、哺乳動物NGALは、抗体作製のために動物を免疫化するための免疫原として使用することが可能であり、動物は、マウス、ウサギ、ニワトリ、ラット、ヒツジ、ヤギ、サメ、ラクダ、ウマ、ネコ、イヌ、非ヒト霊長類、ヒト又はその他の動物であり得る。一実施形態において、免疫原は、グリコシル化された哺乳動物NGAL、特に、配列番号1、2、10又は13の配列を含むグリコシル化されたヒトNGALを含む。別の実施形態において、哺乳動物NGALは、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウマ、非ヒト霊長類、ヒト又は他の哺乳動物のものである。
C.ヒトNGAL抗体
NGALポリペプチドに対して誘導された抗体及びNGALポリペプチドを用いて、このような抗体を作製する方法は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,471号(これらに関するその開示に関して、参照により、組み込まれる。)に記載されている。このような抗体は、本発明のアッセイにおけるその使用に関して、本明細書中にさらに記載されている。本発明は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)又はヒトNGAL断片に特異的に結合する抗体を使用する。抗体は、変異体又は非固有配列(例えば、配列番号2又は10)を含むように、アミノ酸配列が野生型配列(配列番号1又は13)の少なくとも1つのアミノ酸置換を含有するヒトNGALにも場合によって結合する。
特に、一態様において、本発明は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13、配列番号1の付番は、シグナルペプチド及び何れかのMet開始残基の直後に存在する成熟配列のGln残基から始まる。)の連続していないアミノ酸残基112、118及び147を含むエピトープ、例えば、立体構造的エピトープに結合する単離された抗体を使用する。別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147並びに少なくとも1つのヒトNGALタンパク質の追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基117又は119である。)を含む立体構造的エピトープに結合する単離された抗体を使用する。さらに別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、117、118、119及び147を含む立体構造的エピトープに結合する単離された抗体を使用する。
別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する単離された抗体に関する。
別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有し、並びに、さらに(1)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147、(2)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147並びに野生型NGALタンパク質の少なくとも1つの追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基117又は119である。)又は(3)野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、117、118、119及び147を含む立体構造的エピトープに結合する、単離された抗体に関する。
別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する単離された抗体の使用に関する。
別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有し、並びに、さらに(1)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147、(2)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147並びに野生型NGALタンパク質の少なくとも1つの追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基117又は119である。)又は(3)野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、117、118、119及び147を含む立体構造的エピトープに結合する、単離された抗体の使用に関する。
別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する単離された抗体の使用に関する。
別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有し、並びに、さらに(1)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147、(2)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147並びに野生型NGALタンパク質の少なくとも1つの追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基117又は119である。)又は(3)野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、117、118、119及び147を含む立体構造的エピトープに結合する、単離された抗体の使用に関する。
さらに別の態様において、本発明は、2006年11月21日に寄託されたATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体の使用に関する。マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体は、(1)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147、(2)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、118及び147並びに野生型NGALタンパク質の少なくとも1つの追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基117又は119である。)又は(3)野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基112、117、118、119及び147を含む立体構造的エピトープに結合することができる。マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン及び配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメインを有する。
さらに別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する単離された抗体の使用に関する。
さらに別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有し、並びに、さらに(1)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15及び109、(2)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15及び109並びに野生型NGALタンパク質の少なくとも1つの追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基158、159又は160である。)又は(3)野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15、109、158、159又は160を含む立体構造的エピトープに結合する、単離された抗体の使用に関する。
さらに別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する単離された抗体の使用に関する。
さらに別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有し、並びに、さらに(1)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15及び109、(2)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15及び109並びに野生型ヒトNGALタンパク質の少なくとも1つの追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基158、159又は160である。)又は(3)野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15、109、158、159又は160を含む立体構造的エピトープに結合する、単離された抗体の使用に関する。
別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する単離された抗体の使用に関する。
別の態様において、本発明は、野生型ヒトNGALに特異的に結合し、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有し、並びに、さらに(1)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15及び109、(2)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15及び109並びに野生型ヒトNGALタンパク質の少なくとも1つの追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基158、159又は160である。)又は(3)野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15、109、158、159又は160を含む立体構造的エピトープに結合する、単離された抗体の使用に関する。
さらに別の態様において、本発明は、2006年11月21日に寄託されたATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生された抗体の使用に関する。マウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生された抗体は、(1)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15及び109、(2)野生型ヒトNGALタンパク質(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15及び109並びに野生型ヒトNGALタンパク質の少なくとも1つの追加のアミノ酸(追加のアミノ酸は、野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基158、159又は160である。)又は(3)野生型ヒトNGAL(すなわち、配列番号1又は13)のアミノ酸残基15、109、158、159又は160を含む立体構造的エピトープに結合することができる。マウスハイブリドーマ細胞株1−903−430は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメインを有する。
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号1、2、10又は13に記載されている(特に、配列番号10又は13に記載されている)ヒトNGALタンパク質に特異的に結合する単離された抗体の使用に関し、
(a)残基N116に関して、約H=9.47又は約15N=118.30に位置する共鳴位置;
(b)残基Q117に関して、約H=7.79又は約15N=117.67に位置する共鳴位置;
(c)残基H118に関して、約H=8.75又は約15N=116.43に位置する共鳴位置;
(d)残基T141に関して、約H=7.99又は約15N=109.06に位置する共鳴位置;
(e)残基K142に関して、約H=7.82又は約15N=114.25に位置する共鳴位置;
(f)残基E143に関して、約H=7.40又は約15N=114.00に位置する共鳴位置;及び
(g)残基E150に関して、約H=8.70又は約15N=118.80に位置する共鳴位置;
からなる群から選択される、配列番号1又は13の残基に対応するアミノ酸に対するアミド共鳴位置の少なくとも3つ、4つ又は5つ、特に、配列番号1、2、10又は13の(特に、配列番号10又は13の)残基に対応するアミノ酸に対するアミド共鳴位置の約2から6のTROSYプロトン−窒素相関NMRスペクトルにおいて、
前記抗体を(一般に、過剰に、特に化学量論的に過剰に)ヒトNGALタンパク質に添加した結果として、前記抗体が添加されていない場合と比べて、前記抗体は、
(1)H共鳴位置における約0.05ppmから約1.0ppm、特に、約0.04ppmから約0.06ppm、特に、H共鳴位置における約0.05ppmの擾乱、
(2)15N共鳴位置における約0.3ppmから約3.0ppm、特に、約0.01ppmから約2.0ppmの、特に約0.1ppm、約0.3ppm若しくは15N共鳴位置における約0.6ppmの擾乱、又は
(3)共鳴強度の約2.5倍から約20倍の減少、特に、蛍光強度の約3倍から約15倍の減少、特に約4倍から約10倍の減少、
を引き起こす。換言すれば、シフトは、野生型NGALタンパク質中の残基に対応する共鳴位置中に存在する。
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号1、2、10又は13に記載されている(特に、配列番号10又は13に記載されている)ヒトNGALタンパク質に特異的に結合する単離された抗体の使用に関し、
(a)残基Y64に関して、約H=9.15又は約15N=113.30に位置する共鳴位置;
(b)残基V84に関して、約H=9.34又は約15N=121.50に位置する共鳴位置;
(c)残基G86に関して、約H=8.32又は約15N=111.60に位置する共鳴位置;
(d)残基T93に関して、約H=9.32又は約15N=112.80に位置する共鳴位置;
(e)残基L94に関して、約H=7.71又は約15N=122.72に位置する共鳴位置;
(f)残基G95に関して、約H=9.30又は約15N=113.70に位置する共鳴位置;及び
(g)残基S99に関して、約H=8.18又は約15N=114.50に位置する共鳴位置;
からなる群から選択される配列番号1又は13の残基に対応するアミノ酸に対するアミド共鳴位置の少なくとも3つ、4つ又は5つ、特に、配列番号1、2、10又は13の(特に、配列番号10又は13の)残基に対応するアミノ酸に対するアミド共鳴位置の約2から6のTROSYプロトン−窒素相関NMRスペクトルにおいて、
前記抗体を(一般に、過剰に、特に化学量論的に過剰に)ヒトNGALタンパク質に添加した結果として、前記抗体が添加されていない場合と比べて、前記抗体は、
(1)H共鳴位置における約0.05ppmから約1.0ppm、特に、約0.04ppmから約0.06ppm、特に、H共鳴位置における約0.05ppmの擾乱、
(2)15N共鳴位置における約0.3ppmから約3.0ppm、特に、約0.01ppmから約2.0ppmの、特に約0.1ppm、約0.3ppm若しくはH共鳴位置における約0.6ppmの擾乱、又は
(3)共鳴強度の約2.5倍から約20倍の減少、特に、約3倍から約15倍の減少、特に共鳴強度の約4倍から約10倍の減少、
を引き起こす。
D.NGAL抗体を作製及び使用する方法
本発明のイムノアッセイにおいて使用される抗体は、本分野において公知の様々な異なる技術を用いて作製することができる。例えば、野生型ヒトNGALに対するポリクローナル及びモノクローナル抗体は、適切な免疫原を含有する免疫原性調製物で適切な対象(ウサギ、ヤギ、マウス又は他の哺乳動物など(但し、これらに限定されない。))を免疫化することによって産生され得る。免疫化のために使用することができる免疫原には、ヒトNGALを発現することが知られている不死化された細胞株NSOから得られる細胞などの細胞が含まれ得る。特に、本明細書において使用される抗体は、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,471号(抗体に関するその教示に関して、参照により、組み込まれる。)に記載されているように作製することができる。
あるいは、免疫原は、精製された若しくは単離されたヒト野生型NGALタンパク質そのもの(すなわち、配列番号1又は13)又はそのヒトNGAL断片であり得る。例えば、アフィニティークロマトグラフィー、免疫沈降又は本分野において周知である他の技術を用いて、タンパク質(NSOなど)を産生する細胞から単離された野生型ヒトNGAL(配列番号1又は13参照)を免疫原として使用することができる。あるいは、本分野において公知の定型的技術(合成装置など(但し、これに限定されない。))を使用する化学的合成を用いて、免疫原を調製することが可能である。
次いで、抗体が野生型ヒトNGAL又はヒトNGAL断片に結合するかどうかを測定するために、対象中で産生される抗体をスクリーニングすることができる。このような抗体は、本明細書中に記載されている方法を用いてさらにスクリーニングすることができる(例えば、実施例5参照)。例えば、これらの抗体が野生型ヒトNGALのアミノ酸残基112、118及び147又は野生型ヒトNGALのアミノ酸残基15及び109(配列番号1又は13参照)に結合するかどうかを測定するために、これらの抗体をアッセイすることができる。所望される特徴を有する抗体を同定するための適切な方法が、本明細書に記載されている(実施例5参照)。さらに、変異体NGAL(配列番号2又は10参照)に結合する抗体を用いて得られた結果は、野生型NGALの結合へ完全に翻訳可能であること、及び抗体は野生型ヒトNGAL(配列番号1又は13参照)の同等の残基に結合することが完全に理解される。従って、便宜上、特定の事例において変異体NGALを使用しない合理的基礎が欠如しなければ、抗体の結合特性を評価するために、変異体NGALを使用することができる。
免疫原(すなわち、精製されたタンパク質、タンパク質を発現する腫瘍細胞又は組換え的に発現されたヒトNGALタンパク質)の単位用量及び免疫化計画は、免疫化されるべき対象、その免疫状態及び対象の体重に依存する。対象中の免疫応答を増強させるために、免疫原はフロイントの完全又は不完全アジュバントなどのアジュバントとともに投与することができる。
上記されているような免疫原での対象の免疫化は、ポリクローナル抗体応答を誘導する。免疫化された対象中の抗体力価は、固定化された抗原、すなわち、本明細書に記載されているようなヒトNGAL(配列番号1若しくは13又はそのヒトNGAL断片)を用いるELISAなどの標準的な技術によって、経時的にモニターすることができる。
ヒトNGAL(配列番号1若しくは13又はそのヒトNGAL断片)に対する抗体を生産する方法には、ヒト免疫グロビン遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを使用することが含まれる(例えば、WO91/00906、WO 91/10741又はWO92/03918を参照)。あるいは、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト抗体を産生する細胞又は組織(例えば、ヒト骨髄細胞、末梢血リンパ球(PBL)、ヒト胎児リンパ節組織又は造血性幹細胞)が移植された免疫欠損マウス中に抗原を導入することによって作製することができる。このような方法には、SCID−huマウス(例えば、WO93/05796、米国特許第5,411,749号又はMcCune et al, Science,241:1632−1639(1988))又はRag−1/Rag−2欠損マウス中で抗体を生産することが含まれる。ヒト抗体免疫欠損マウスも市販されている。例えば、Rag−2欠損マウスは、Taconic Farms(Germantown,NY)から入手可能である。
モノクローナル抗体は、対象を免疫原で免疫化することによって作製することができる。免疫化後の適切な時点で、例えば、抗体力価が十分に高いレベルになった時点で、標準的な技術を用いてモノクローナル抗体を調製するために、抗体産生細胞を免疫化された動物から採集し、使用することができる。例えば、抗体産生細胞は、標準的な体細胞融合手法によって、ハイブリドーマ細胞を産生するために、骨髄腫細胞などの不死化細胞と融合させ得る。このような技術は本分野において周知であり、例えば、「Kohler and Milstein, Nature, 256:495497 (1975)」によって最初に開発されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbar et al., Immunology Today, 4:72 (1983))及びヒトモノクローナル抗体を作製するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R.Liss, Inc.pp.77−96 (1985))が含まれる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを作製するための技術は、当業者に周知である。
モノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現し、及びヒトNGALタンパク質で免疫化されたトランスジェニックマウスから抗体産生細胞、例えば、脾細胞を採集することによっても作製することができる。脾細胞は、ヒト骨髄腫との融合を通じて、又はエプシュタイン−バーウイルス(EBV)での形質転換を通じて不死化することができる。これらのハイブリドーマは、本分野において記載されているヒトB細胞又はEBV−ハイブリドーマ技術を用いて作製することができる(例えば、Boyle et al.,欧州特許公開0 614 984号参照)。
野生型ヒトNGALタンパク質(配列番号1又は13)又はそのヒトNGAL断片に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、ハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって、例えば、不死化されたヒトNGALタンパク質に特異的に結合する抗体を選択するためにスクリーニングすることによって、又は抗体が所望される特徴、すなわち、本明細書に記載されているアミノ酸残基においてヒトNGALに結合する能力を有するかどうかを決定するために本明細書に記載されている抗体を検査することによって検出される。所望の特異性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、例えば、限界希釈手法、例えば、Wands他(Gastroenterology 80:225−232(1981))によって記載されている手法によってクローンがサブクリーニングされ、標準的な方法によって増殖され得る。
本明細書に記載されているスクリーニングアッセイ中で陽性検査結果を示すモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、ハイブリドーマ細胞が培地中にモノクローナル抗体を分泌することによって、完全な抗体を産生するのに十分な条件下及び時間で、栄養素培地中において培養することができる。ハイブリドーマ細胞に適した組織培養技術及び培地は、本分野において全般に記載されている(例えば、R.H.Kenneth,in Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, N.Y.(1980)参照。)。次いで、抗体を含有する馴化されたハイブリドーマ培養上清を収集することができる。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインAクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーなどの慣用の免疫グロブリン精製手法によって、場合によって培地から単離することができる。
モノクローナル抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブリーを構築し、ヒトNGALタンパク質を用いてライブラリーをスクリーニングすることによって操作することができる。ファージディスプレイライブラリーを作製及びスクリーニングするためのキットは、市販されている(例えば、the Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, Catalog No.27−9400−01;及びthe Stratagene SurfZAP Phage Display Kit, Catalog No.240612参照)。同様に、酵母ディスプレイベクターは本分野において公知であり、市販されている(例えば、Invitrogen Corp.,Carlsbad,CAから入手可能なpYD1)。要約すれば、野生型ヒトNGALタンパク質(配列番号1又は13)に特異的に結合する抗体を発現するファージ又は酵母細胞を同定及び単離するために、抗体ライブラリーがスクリーニングされる。好ましくは、ライブラリーの一次スクリーニングは、固定化された野生型ヒトNGALタンパク質又はその断片を用いたスクリーニングを含む。
スクリーニング後に、ディスプレイファージ又は酵母が単離され、選択された抗体をコードするポリヌクレオチドをディスプレイファージ又は酵母から(例えば、ファージ又は酵母ゲノムから)回収し、周知の組換えDNA技術によって他の発現ベクター中に(例えば、サッカロミセス・セレビシアエ細胞、例えば、EBY10細胞(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)))サブクローニングすることができる。ポリヌクレオチドは、宿主細胞中でさらに操作し(例えば、さらなる定常領域などのさらなる免疫グロブリンドメインをコードする核酸に連結される。)、及び/又は発現させることができる。
あるいは、抗体に対するヒト患者による応答を最小化するために、キメラ及びヒト化抗体などの抗体の組換え形態も調製することができる。非ヒト対象中で産生された又は非ヒト抗体遺伝子の発現に由来する抗体がヒトの中で治療的に使用される場合、抗体は様々な程度で外来と認識され、患者中で免疫応答が生成され得る。この免疫反応を最小限に抑え又は除去するための1つのアプローチは、キメラ抗体誘導体、すなわち、非ヒト動物可変領域及びヒト定常領域を組み合わせた抗体分子を作製することである。このような抗体は、元のモノクローナル抗体のエピトープ結合特異性を保持しているが、ヒトに投与されたときに免疫原性がより低下し得、従って、患者によって許容される可能性がより高い。
キメラモノクローナル抗体は、本分野において公知の組換えDNA技術によって作製され得る。例えば、非ヒト抗体分子の定常領域をコードする遺伝子は、ヒト定常領域をコードする遺伝子で置換される(例えば、PCT特許公開PCT/US86/02269、欧州特許出願184,187号又は欧州特許出願171,496号を参照されたい。)。
抗原結合に関与していない可変領域の一部をヒト可変領域由来の等価な一部で置換することによって、キメラ抗体は、さらに「ヒト化」することができる。「ヒト化された」キメラ抗体の一般的な総説は、「Morrison,S.L.,Science,229:1202−1207(1985)及びOi et al., BioTechniques, 4−214(1986)」に見出すことができる。このような方法には、重又は軽鎖の少なくとも1つから得られる免疫グロブリン可変領域の全部又は一部をコードする核酸配列を単離し、操作し、及び発現させることが含まれる。次いで、ヒト化キメラ抗体又はその断片をコードするcDNAを適切な発現ベクター中にクローニングすることができる。あるいは、適切な「ヒト化された」抗体は、相補性決定領域(CDR)置換によって作製することができる(例えば、米国特許第5,225,539号;Jones et al., Nature, 321:552−525(1986);Verhoeyan et al., Science 239:1.534(1988);及びBeidler et al., J.Immunol,.141:4053−4060(1988)参照)。
野生型ヒトNGALタンパク質(配列番号1又は33)又はそのヒトNGAL断片に対して特異的な抗体(例えば、ハムスター抗体)の結合特異性を保持する「ヒト」抗体ポリペプチド二量体を作製するために、エピトープインプリンティングも使用することができる。要約すれば、抗原への特異的結合を有する非ヒト可変領域(VH)及びヒト定常領域(CH1)をコードする遺伝子をイー・コリ中で発現させ、ヒトVλ.Cλ遺伝子のファージライブラリーに感染させる。次いで、ヒトNGALタンパク質への結合に関して、抗体断片を提示するファージをスクリーニングする。Vλ.Cλ.鎖の発現に関して、選択されたヒトVλ遺伝子を再度クローニングし、これらの鎖を有するイー・コリをヒトVHCH1遺伝子のファージライブラリーに感染させ、抗原によって被覆されたチューブを用いたスクリーニングの繰り返しにライブラリーを供する(WO93/06213参照)。
別の態様において、本発明は、抗体が抗体断片であることを想定する。例えば、抗体断片には、Fab、Fab’、Fab’−SH断片、ジスルフィド結合されたFv、一本鎖Fv(scFv)及びF(ab’)断片が含まれ得るが、これらに限定されない。抗体断片を作製するために、様々な技術が当業者に公知である。例えば、このような断片は、完全な抗体のタンパク分解的消化を介して得ることができ(例えば、Morimoto et al., J.Biochem.Biophys.Methods, 24:107−117 (1992)及びBrennan et al., Science, 229:81(1985)参照)、又は組換え宿主細胞によって直接産生され得る。例えば、Fab’−SH断片は、イー・コリから直接回収し、F(ab’)断片を形成するために化学的に連結することができる(Carter et al., Bio/Technology,10:163−167(1992)参照)。別の実施形態において、F(ab’)は、F(ab’)分子の集合を促進するために、ロイシンジッパーGCN4を用いて形成される。あるいは、Fv、Fab又はF(ab’)断片は、組換え宿主細胞培養から直接単離することができる。一本鎖可変領域断片(scFv)は、短い連結ペプチドを使用することにより軽及び/又は重鎖可変領域を連結することによって作製される(Bird et al.Science, 242:423−426(1998)参照)。連結ペプチドの例は、GPAKELTPLKEAKVS(配列番号11)である。次いで、薬物の付着又は固体支持体への付着など、さらなる機能のためにリンカーを修飾することが可能である。本発明において使用することができる他のリンカー配列の例は、「Bird et al., Science, 242:423−426 (1988), Huston et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 85:5879−5883 (1988)」及び「McCafferty et al., Nature, 348:552−554 (1990)」に見出すことができる。
一本鎖変形物は、組換え的に又は合成的に作製することができる。scFvの合成的産生のために、自動化された合成装置を使用することができる。scFvの組換え的産生のために、scFvをコードするポリヌクレオチドを含有する適切なプラスミドは、適切な宿主細胞(酵母、植物、昆虫若しくは哺乳動物などの真核生物又はイー・コリなどの原核生物の何れか)中に導入することができる。目的のscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの連結などの定型的操作によって作製することができる。本分野において公知の標準的タンパク質精製技術を用いて、得られたscFvを単離することができる。さらに、ダイアボディなどの一本鎖抗体の他の形態も、本発明によって想定される。ダイアボディは、VH及びVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現されているが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合が不可能なほど短く、これにより、ドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させ、2つの抗原結合部位を作製するリンカーを用いて発現される二価の二重特異的抗体である(例えば、Holliger, P., et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:6444−6448(1993);Poljak,R.J., et al.,Structure,2:1121−1123(1994)参照)。
さらに、本明細書に記載されている本発明の幾つかの態様において(例えば、対照としての使用)、市販の抗NGAL抗体又は文献に記載されている抗NGAL抗体又はその作製方法を使用することが可能であり得る。これらには、(1)抗NGALモノクローナル抗体(AntibodyShop A/S, Gentofte, Denmarkから市販されているHYB211−01、HYB211−02又はHYB211−05);(2)マウス抗NGALモノクローナル抗体(例えば、クローン番号697、カタログ番号HM2193B、HyCult Biotechnology,Uden,Netherlands);(3)ラット抗NGALモノクローナル抗体(例えば、クローン番号220310、カタログ番号MAB1757,R&DSystems,Minneapolis,MN);(4)遊離のNGAL形態(すなわち、ヘテロ二量体中に複合体化されていない形態)を検出すると称されるQuantikine(R)NGALELISAキットDLCN20(R&D Systems, Minneapolis, MN)中に含有される抗NGAL抗体(米国特許出願公開2007/0196876号);(5)マウスハイブリドーマ細胞中で産生されるウサギ抗ヒトNGALモノクローナル抗体(EP0 756 708及び米国特許第6,136,526号);(6)ヒトNGALに対する精製されたモノクローナル又はポリクローナル抗体(Kjeldsen et al, J.Biolog.Chem., 268:10425−32(1993);Kjeldsen et al., J.Immunolog.Methods,198(2):155−64(1996));(7)ヒトNGALに対するポリクローナル抗体(PCT国際公開WO2002/031507)及び/又は(8)ヒトNGALに対するモノクローナル抗体を作製するためのNGALの溶媒に露出したペプチドループ領域の使用を論述する(米国特許第7,056,702号及び米国特許出願公開US2004/0115728号)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の抗体は、様々な用途を有する。一態様において、本発明の抗体は、1つ又はそれ以上の免疫診断試薬として使用することができる。例えば、本発明の抗体は、検査試料中のヒトNGAL抗原の存在を検出するための1つ又はそれ以上の方法において1つ又はそれ以上の免疫診断試薬として使用することができる。より具体的には、本発明の抗体は、検査試料中のヒトNGALの存在を検出するためのイムノアッセイにおいて1つ若しくはそれ以上の捕捉抗体、1つ若しくはそれ以上の連結抗体又は1つ若しくはそれ以上の捕捉抗体及び1つ若しくはそれ以上の連結抗体の両方として使用することができる。
E.試料の収集及び前処理
例えば、本発明の抗体が免疫診断薬として及び/又はNGALイムノアッセイキット中で使用される場合、尿、血液、血清及び血漿並びに他の体液を収集し、取り扱い及び処理するための本分野で周知の方法が本発明の実施に際して使用される。
検査試料は、抗体、抗原、ハプテン、ホルモン、薬物、酵素、受容体、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドなどの目的NGAL分析物の他に、さらなる部分を含み得る。例えば、試料は、対象から得られた全血試料であり得る。検査試料、特に、全血は、本明細書に記載されているようなイムノアッセイの前に、例えば、前処理試薬で処理することが必要であり得、又は所望され得る。前処理が不要である場合でさえ(例えば、多くの尿試料)、前処理は、場合によって、単に便宜のために実施され得る(例えば、市販のプラットフォーム上での計画の一環として)。前処理試薬は、異種の因子又は同質の因子であり得る。
本発明の異種の前処理試薬を用いると、前処理試薬は試料中に存在する分析物結合タンパク質(例えば、NGALを結合することができるタンパク質)を沈殿させる。このような前処理工程は、前処理剤の試料への添加によって形成された混合物の上清を沈殿した分析物結合タンパク質から分離することによって、あらゆる分析物結合タンパク質を除去することを含む。このようなアッセイでは、結合タンパク質が一切存在しない混合物の上清がアッセイにおいて使用され、抗体捕捉工程に直接進む。
同質の前処理試薬が使用される場合には、このような分離工程は存在しない。抗体捕捉工程において、検査試料と前処理試薬の混合物全体を捕捉抗体と接触させる。このようなアッセイのために使用される前処理試薬は、典型的には、抗体捕捉工程の前に又は抗体補足抗体で抗体と遭遇している間に、前処理された検査試料混合物中に希釈される。このような希釈に関わらず、抗体捕捉の間に、検査試料混合物中に前処理試薬のある量(例えば、5Mメタノール及び/又は0.6Mエチレングリコール)がなお存在する(又は残存する)。
前処理試薬は、本発明のイムノアッセイ及びキットとともに使用するのに適したあらゆる試薬であり得る。前処理は、(a)1つ若しくはそれ以上の溶媒(例えば、メタノール及びエチレングリコール)及び塩、(b)1つ若しくはそれ以上の溶媒、塩及び界面活性剤、(c)界面活性剤又は(d)界面活性剤及び塩を場合によって含む。前処理試薬は本分野において公知であり、このような前処理は、文献に記載されているように(例えば、Yatscoff et al., Abbott TDx Monoclonal Antibody Assay Evaluated for Measuring Cyclosporine in Whole Blood, Clin.Chem., 36:1969−1973 (1990)及びWallemacq et al., Evaluation of the New AxSYM Cyclosporine Assay:Comparison with TDx Monoclonal Whole Blood and EMIT Cyclosporine Assays, Clin.Chem.45: 432−435 (1999)参照)に記載されているように、及び/又は市販されているように、AbbottTDx、AxSYM(R)及びATCHITECT(R)分析装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)上でのアッセイのために使用されるように使用され得る。さらに、前処理は、Abbottの米国特許第5,135,875号、EP0 471 293、2006年12月29日に出願された米国特許出願60/878,017号及び2006年6月21日に出願された米国特許出願11/490624号(参照により、前処理に関するその教示に関して全体が組み込まれる。)に記載されているように行うことができる。また、単独で又は他の何れかの前処理剤(例えば、溶媒、界面活性剤、塩など)と組み合わせて、プロテアーゼを使用することができる。
F.NGALイムノアッセイ
イムノアッセイは、サンドイッチフォーマットなどの(但し、これに限定されない。)本分野において公知のあらゆるフォーマットを用いて実施することができる。具体的には、本発明の一態様において、検査試料中のヒトNGAL又はヒトNGAL断片を分離及び定量するために、少なくとも2つの抗体が使用される。より具体的には、少なくとも2つの抗体は、「サンドイッチ」と称される免疫複合体を形成するヒトNGAL又はヒトNGAL断片のあるエピトープに結合する。一般に、イムノアッセイにおいて、検査試料中のヒトNGAL又はヒトNGAL断片を捕捉するために、1つ又はそれ以上の抗体を使用することが可能であり(これらの抗体は、「捕捉」抗体としばしば称される。)、サンドイッチに検出可能な(すなわち、定量可能な)標識を結合するために、1つ又はそれ以上の抗体を使用することができる(これらの抗体は、「検出抗体」、「連結物」としばしば称される。)。
捕捉抗体、検出抗体又は捕捉及び検出抗体として、本発明の抗体を用いて、優れたイムノアッセイ、特に、サンドイッチアッセイを実施することができる。例えば、本発明の抗体の少なくとも1つ(マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生された抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体とマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生された抗体の組み合わせなど)は、第一の捕捉抗体として使用することができる。あるいは、2以上の捕捉抗体が使用される際には、本発明の抗体は、第二の又はそれ以降の捕捉抗体として使用することができる。あるいは、本発明の抗体の1つが捕捉抗体として使用されている場合には、(本発明の抗体以外の)異なる抗体は、第二の捕捉抗体として使用することができる。あるいは、本発明の抗体は、検出抗体としてのみ使用することができ、捕捉抗体としては使用できない。さらに別の代替物において、本発明の抗体は、捕捉及び検出抗体の両方として使用することができる。例えば、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体を捕捉抗体として使用することができ、マウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生された抗体を検出抗体として使用することができる。あるいは、マウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生された抗体を捕捉抗体として使用し、及びハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体を検出抗体として使用することができる。
ヒトNGAL又はヒトNGAL断片に関して検査されている(例えば、これらを含有することが疑われている)検査試料は、少なくとも1つの捕捉抗体(又は複数の抗体)及び少なくとも1つの検出抗体(第二の検出抗体又は第三の検出抗体である。)と同時に又は順次に、任意の順序で接触させることができる。例えば、検査試料は少なくとも1つの捕捉抗体とまず接触させ、次いで(順次)少なくとも1つの検出抗体と接触させることができる。あるいは、検査試料は、少なくとも1つの検出抗体とまず接触させ、次いで(順次)少なくとも1つの捕捉抗体と接触させることができる。さらに別の代替例において、検査試料は、捕捉抗体及び検出抗体と同時に接触させることができる。
サンドイッチアッセイフォーマットにおいて、第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成を可能とする条件下で、ヒトNGAL又はヒトNGAL断片を含有すると疑われる検査試料をまず少なくとも1つの第一の捕捉抗体と接触させる。2以上の捕捉抗体が使用される場合、第一の複数の捕捉抗体/ヒトNGAL複合体が形成される。サンドイッチアッセイにおいて、抗体、好ましくは、少なくとも1つの捕捉抗体は、検査試料中に予測されるヒトNGAL又はヒトNGAL断片の最大量のモル濃度過剰量で使用される。例えば、抗体の約5μg/mLから約1mg/mL/mL緩衝液(例えば、微小粒子コーティング緩衝液)を使用することができる。
場合によって、検査試料を少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と接触させる前に、検査試料からの第一の抗体/ヒトNGAL複合体の分離を促進するために、少なくとも1つの捕捉抗体を固体支持体に結合させることができる。ウェル、管又はビーズの形態のポリマー性材料から作製された固体支持体など(但し、これらに限定されない。)、本分野において公知のあらゆる固体支持体を使用することができる。1つの抗体(又は複数の抗体)は、吸着によって、化学的連結剤を用いた共有結合によって又は本分野によって公知の他の手段によって、固体支持体に結合させることができる(但し、このような結合は、ヒトNGAL又はヒトNGAL断片を結合する抗体の能力を妨害しない。)。あるいは、1つの抗体(又は複数の抗体)は、(例えば、Seradyn,Indianapolis,Indianaから入手可能な、Power−BindTM−SA−MPストレプトアビジンによって被覆された微粒子を用いて)ストレプトアビジン又はビオチンで予め被覆された微粒子と結合させることができる。あるいは、1つの抗体(又は複数の抗体)は、抗種特異的モノクローナル抗体で予め被覆された微粒子を用いて結合させることができる。さらに、必要であれば、固体支持体は、抗体上の様々な官能基との反応性を許容するために誘導化することができる。このような誘導化には、無水マレイン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどの(但し、これらに限定されない。)ある種のカップリング剤の使用が必要とされる。
ヒトNGAL若しくはヒトNGAL断片に関して検査されている及び/又はヒトNGAL若しくはヒトNGAL断片を含有すると疑われている検査試料を少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と接触させた後、第一の抗体(又は複数の抗体)−ヒトNGAL複合体の形成を可能とするために、混合物を温置する。温置は、約2℃から約45℃の温度で、約4.5から約10.0のpHで、少なくとも約1分から約18時間、好ましくは、約1から約20分、より好ましくは約18分間の期間、実施し得る。本明細書に記載されているイムノアッセイは、1つの工程で(検査試料、少なくとも1つの捕捉抗体及び少なくとも1つの検出抗体が全て、順次に又は同時に反応容器へ添加されることを意味する。)、又は2つ工程、3つの工程など、2以上の工程で実施することができる。
(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL複合体の形成後、次いで、複合体を少なくとも1つの検出抗体((第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/第二の抗体検出複合体の形成を可能とする条件下で)と接触させる。少なくとも1つの検出抗体は、イムノアッセイにおいて使用される第二、第三、第四などの抗体であり得る。捕捉抗体/ヒトNGAL複合体が2以上の検出抗体と接触される場合、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(複数の)検出抗体複合体が形成される。捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と同様に、少なくとも第二の(及び後続の)検出抗体を捕捉抗体/ヒトNGAL複合体と接触させる場合、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体の形成のために、上述の条件と類似の条件下での温置の期間が必要とされる。好ましくは、少なくとも1つの検出抗体は、検出可能な標識を含有する。検出可能な標識は、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体の形成前に、同時に又は後に、少なくとも1つの検出抗体(例えば、第二の検出抗体)に結合させることができる。本分野において公知のあらゆる検出可能な標識を使用することができる。例えば、検出可能な標識は、H、1251、35S、14C、32P、33Pなどの放射性標識、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコース6−リン酸脱水素酵素などの酵素的標識、アクリジニウムエステル、ルミナール、イソルミノール、チオエステル、スルホンアミド、フェナントリジニウムエステルなどの化学発光標識、フルオレセイン(5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロ−フルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナートなど)、ローダミン、フィコビリタンパク質、R−フィコエリトリンなどの蛍光標識、量子ドット(硫化亜鉛がキャッピングされたセレン化カドミニウム)、温度測定標識又は免疫ポリメラーゼ連鎖反応標識であり得る。標識への導入、標識の手法及び標識の検出は、「Polak and Van Noorden, Introduction to lmmunocytochemistry, 2nd ed., Springer Verlag, N.Y.(1997)」及び「(Molecular Probes,Inc.,Eugene,Oregonによって出版されたハンドブックとカタログの組み合わせである)Haugland, Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1996)」に見出される。
検出可能な標識は、直接又は連結剤を介して抗体に結合させることができる。使用可能な連結剤の例は、Sigma− Aldrich, St.Louis, MOから市販されているEDAC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、塩酸塩)である。使用可能な他の連結剤は、本分野において公知である。検出可能な標識を抗体に結合するための方法は、本分野において公知である。さらに、N10−(3−スルホプロピル)−N−(3−カルボキシプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミド(CPSP−アクリジニウムエステルとしても知られる。)又はN10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル)−アクリジニウム−9−カルボキサミド(SPSP−アクリジニウムエステルとしても知られる。)など、抗体への検出可能な標識の連結を容易にする末端基を既に含有する多くの検出可能な標識を購入又は合成することができる。
(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体は、標識の定量前に、検査試料の残りから分離させることが可能であるが、分離させなければならないわけではない。例えば、少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)がウェル又はビーズなどの固体支持体に結合されている場合、分離は、固体支持体との接触から(検査試料の)液体を除去することによって達成することができる。あるいは、少なくとも第一の捕捉抗体が固体支持体に結合されている場合、第一の捕捉抗体は、第一の(複数の)抗体/ヒトNGAL/第二の(複数の)抗体複合体を形成するために、ヒトNGAL含有試料及び少なくとも1つの第二の検出抗体と同時に接触させた後、固体支持体との接触から液体(検査試料)を除去することができる。少なくとも1つの第一の捕捉抗体が固体支持体に結合されていなければ、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体は、標識の量の定量のために、検査試料から除去する必要はない。
標識された捕捉抗体/ヒトNGAL/検出抗体複合体(例えば、第一の捕捉抗体/ヒトNGAL/第二の検出抗体複合体)の形成後、本分野において公知の技術を用いて、複合体中の標識の量が定量される。例えば、酵素標識が使用されるのであれば、標識された複合体を、発色などの定量可能な反応を与える標識に対する基質と反応させる。標識が放射性標識であれば、標識はシンチレーションカウンターを用いて定量される。標識が蛍光標識であれば、1つの色(「励起波長」と知られる。)の光で標識を刺激し、刺激に応答して標識によって発光された別の色(「発光波長」として知られる。)を検出することによって、標識が定量される。標識が化学発光標識であれば、標識は、視覚的に又は光測定装置、X線フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラなどを使用することによって、発光された光を検出して定量される。複合体中の標識の量が定量されたら、既知濃度のヒトNGAL又はヒトNGAL断片の系列希釈を用いて作製された標準曲線の使用によって、検査試料中のヒトNGAL又はヒトNGAL断片の濃度が測定される。ヒトNGAL又はヒトNGAL断片の系列希釈を使用する以外に、標準曲線は、重量分析、質量分析法によって及び本分野において公知の他の技術によって作製することができる。
別の態様において、本発明の抗体は、ヒトNGAL単量体とヒトNGAL二量体(ヒトNGALホモ二量体又はヒトNGALヘテロ二量体など)の両方を含有すると疑われる検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定するために使用することができる。より具体的には、本発明の抗体は、少なくとも約75%の特異性で、検査試料中に含有されているヒトNGAL単量体の量を測定するために、1つ又はそれ以上のイムノアッセイにおいて使用することができる。
より具体的には、本発明の抗体は、検査試料中に含有されているヒトNGAL単量体の量を特定するために、捕捉及び検出抗体として使用することができる。例えば、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生される抗体などの1つ又はそれ以上の抗体を含む第一の捕捉抗体がイムノアッセイにおいて使用するために選択される場合、第一の捕捉抗体の他に、第二の捕捉抗体として使用するために、同じ又は異なる抗体を選択することができる。しかしながら、第二の捕捉抗体は第一の捕捉抗体によって結合されるエピトープと異なるエピトープに結合することが好ましい。あるいは、第二の捕捉抗体は、本発明の抗体以外の抗体であり得る。あるいは、第二の捕捉抗体が使用されない場合、第二の抗体、すなわち検出抗体は、例えば、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生される抗体などの本発明の抗体の1つ又はそれ以上であり得る。上記第二の捕捉抗体と同様に、検出抗体は第一の捕捉抗体(存在する場合、第二の捕捉抗体)によって結合されるエピトープと異なるエピトープに結合することが好ましい。
少なくとも1つの捕捉抗体として、又は少なくとも1つの検出抗体として、本発明の抗体を使用する本明細書に記載されているように実施されるイムノアッセイは、少なくとも約75%の特異性で、検査試料中に含有されるヒトNGAL単量体の量を測定することができる。好ましくは、イムノアッセイは、少なくとも約85%の特異性で、検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定することができる。最も好ましくは、イムノアッセイは、少なくとも約90%の特異性で、検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定することができる。さらに好ましくは、イムノアッセイは、少なくとも約95%の特異性で、検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定することができる。さらに最も好ましくは、イムノアッセイは、少なくとも約98%の特異性で、検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定することができる。
特に、本明細書に記載されている方法及びイムノアッセイは、特に、アッセイの検量範囲(例えば、NGAL、特に、尿NGALの約1ng/mLから最大約2000ng/mL)全体にわたって、単量体に対して約75%の特異性から最大約98%までの特異性(例えば、NGAL二量体と比較して、少なくとも約4倍、例えば、約3から約5倍又は少なくとも約3、4、4.5若しくは5倍、NGAL単量体に対して特異的である。)を最適に有する。従って、本明細書に記載されている方法及びイムノアッセイは、NGAL(例えば、尿NGALを含む。)の約5ng/mLから最大約2000ng/mLまで、特に、NGAL(例えば、尿NGALを含む。)の約100ng/mLから最大約2000ng/mLまで、特に、(a)NGALの約200ng/mLから最大約2000ng/mLまで、(b)NGALの約250ng/mLから最大約2000ng/mLまで、(c)NGALの約300ng/mLから最大約2000ng/mLまで、(d)NGAL(例えば、尿NGALを含む。)の約350ng/mLから最大約2000ng/mLまで、(e)NGALの約400ng/mLから最大約2000ngまで、及び(a)NGAL(例えば、尿NGALを含む。)の約500ng/mLから最大約2000ng/mLまでなど、NGAL(例えば、尿NGALを含む。)の約150ng/mLから最大約2000ng/mLまで、少なくとも約75%の特異性を示す。
ヒトNGAL単量体の量を測定するために検査されている検査試料は、少なくとも1つの捕捉抗体(又は複数の抗体)及び少なくとも1つの検出抗体(第二の検出抗体又は第三の検出抗体である。)と同時に又は順次に、任意の順序で接触させることができる。例えば、検査試料は少なくとも1つの捕捉抗体とまず接触させ、次いで(順次)少なくとも1つの検出抗体と接触させることができる。あるいは、検査試料は、少なくとも1つの検出抗体とまず接触させ、次いで(順次)少なくとも1つの捕捉抗体と接触させることができる。さらに別の代替例において、検査試料は、捕捉抗体及び検出抗体と同時に接触させることができる。
サンドイッチアッセイフォーマットにおいて、第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成を可能とする条件下で、本発明の抗体(例えば、マウスハイブリドーマ細胞1−2322−455によって産生される抗体又はマウスハイブリドーマ細胞1−903−422によって産生される抗体など)である少なくとも1つの第一の捕捉抗体と検査試料をまず接触させる。2以上の捕捉抗体が使用される場合、第一の複数の捕捉抗体/ヒトNGAL複合体が形成される。サンドイッチアッセイにおいて、抗体、好ましくは、少なくとも1つの捕捉抗体は、検査試料中に予測されるヒトNGAL又はヒトNGAL断片の最大量のモル濃度過剰量で使用される。例えば、抗体の約5μg/mLから約1mg/mL/mL緩衝液(例えば、微小粒子コーティング緩衝液)を使用することができる。
場合によって、検査試料を少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と接触させる前に、本明細書に前述されている技術を用いて、少なくとも1つの捕捉抗体を固体支持体に結合させることができる。ヒトNGAL単量体及びヒトNGAL二量体を含有すると疑われている検査試料を少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と接触させた後、第一の抗体(又は複数の抗体)−ヒトNGAL複合体の形成を可能とするために、混合物を温置する。温置は、約2℃から約45℃の温度で、約4.5から約10.0のpHで、少なくとも約1分から約18時間、好ましくは、約1から約20分、より好ましくは約18分間の期間、実施し得る。本明細書に記載されているイムノアッセイは、1つの工程で(検査試料、少なくとも1つの捕捉抗体及び少なくとも1つの検出抗体が全て、順次に又は同時に反応容器へ添加されることを意味する。)、又は2つ工程、3つの工程など、2以上の工程で実施することができる。
(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL複合体の形成後、次いで、複合体を少なくとも1つの検出抗体((第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/第二の抗体検出複合体の形成を可能とする条件下で)と接触させる。少なくとも1つの検出抗体は、イムノアッセイにおいて使用される第二、第三、第四などの抗体であり得る。捕捉抗体/ヒトNGAL複合体が2以上の検出抗体と接触される場合、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(複数の)検出抗体複合体が形成される。捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と同様に、少なくとも第二の(及び後続の)検出抗体を捕捉抗体/ヒトNGAL複合体と接触させる場合、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体の形成のために、上述の条件と類似の条件下での温置の期間が必要とされる。好ましくは、少なくとも1つの検出抗体は、検出可能な標識を含有する。検出可能な標識は、本明細書に前述されているあらゆる検出可能な標識であり得る。
検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定するための本明細書に記載されているイムノアッセイは、あらゆる還元剤の不存在下で実施することができる。あるいは、イムノアッセイの工程の何れかの1つ又はそれ以上を、1つ又はそれ以上の還元剤の存在下で実施することができる。さらに別の例では、検査試料は、イムノアッセイ中で検査試料を使用する前に、1つ又はそれ以上の還元剤で処理される(すなわち、前処理される)ことができる。イムノアッセイにおいて、又は検査試料を前処理するために、あらゆる還元剤を使用することができる。使用可能な還元剤の例には、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンが含まれるが、これらに限定されない。イムノアッセイにおいて使用することができる、又は検査試料を前処理するために使用することができる還元剤の量は、約0.1mMから約500mM、特に、約0.1mMから約100mMの量である。
(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体は、標識の定量前に、検査試料の残りから分離させることが可能であるが、分離させなければならないわけではない。例えば、少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)がウェル又はビーズなどの固体支持体に結合されている場合、分離は、固体支持体との接触から(検査試料の)液体を除去することによって達成することができる。あるいは、少なくとも第一の捕捉抗体が固体支持体に結合されている場合、第一の捕捉抗体は、第一の(複数の)抗体/ヒトNGAL/第二の(複数の)抗体複合体を形成するために、ヒトNGAL含有試料及び少なくとも1つの第二の検出抗体と同時に接触させた後、固体支持体との接触から液体(検査試料)を除去することができる。少なくとも1つの第一の捕捉抗体が固体支持体に結合されていなければ、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体は、標識の量の定量のために、検査試料から除去する必要はない。
標識された捕捉抗体/ヒトNGAL/検出抗体複合体(例えば、第一の捕捉抗体/ヒトNGAL/第二の検出抗体複合体)の形成後、本分野において公知の技術を用いて、複合体中の標識の量が定量される。例えば、酵素標識が使用されるのであれば、標識された複合体を、発色などの定量可能な反応を与える標識に対する基質と反応させる。標識が放射性標識であれば、標識はシンチレーションカウンターを用いて定量される。標識が蛍光標識であれば、1つの色(「励起波長」と知られる。)の光で標識を刺激し、刺激に応答して標識によって発光された別の色(「発光波長」として知られる。)を検出することによって、標識が定量される。標識が化学発光標識であれば、標識は、視覚的に又は光測定装置、X線フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラなどを使用することによって、発光された光を検出して定量される。複合体中の標識の量が定量されたら、既知濃度のヒトNGAL単量体の系列希釈を用いて作製された標準曲線の使用によって、検査試料中のヒトNGAL単量体の濃度が測定される。ヒトNGAL単量体の系列希釈を使用する以外に、標準曲線は、重量分析、質量分析法によって及び本分野において公知の他の技術によって作製することができる。
さらに別の態様において、本発明の抗体は、検査試料中に含有されるヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定するための方法において使用することができる。ヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定するための方法は、イムノアッセイの工程を少なくとも2回実施する(すなわち、イムノアッセイのある工程を繰り返す)ことを含む。より具体的には、本発明の抗体は、検査試料中に含有されるヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定するための捕捉及び検出工程として使用することができる。例えば、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生された抗体などの1つ又はそれ以上の抗体を含む第一の捕捉抗体がイムノアッセイにおいて使用するために選択される場合、第一の捕捉抗体の他に、第二の捕捉抗体として、同じ又は異なる抗体を使用のために選択することができる。しかしながら、第二の捕捉抗体は第一の捕捉抗体によって結合されるエピトープと異なるエピトープに結合することが好ましい。あるいは、第二の捕捉抗体は、本発明の抗体以外の抗体であり得る。あるいは、第二の捕捉抗体が使用されない場合、第二の抗体、すなわち検出抗体は、例えば、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生される抗体などの本発明の抗体の1つ又はそれ以上であり得る。上記第二の捕捉抗体と同様に、検出抗体は第一の捕捉抗体(及び、存在する場合、第二の捕捉抗体)によって結合されるエピトープと異なるエピトープに結合することが好ましい。
本明細書において記載されているように実施されるイムノアッセイは、少なくとも1つの捕捉抗体として又は少なくとも1つの検出抗体として、本発明の抗体を使用するのみならず、イムノアッセイ中の特定の点において、1つ又はそれ以上の還元剤の使用も使用する。イムノアッセイにおいて、あらゆる還元剤を使用することができる。使用可能な還元剤の例には、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンが含まれるが、これらに限定されない。イムノアッセイにおいて使用することができる、又は検査試料を前処理するために使用することができる還元剤の量は、約0.1mMから約500mM、特に、約0.1mMから約100mMである。
具体的には、ヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定するために検査されている検査試料は、同時に又は順次に、あらゆる順序で、少なくとも1つの捕捉抗体及び少なくとも1つの検出抗体(第二の検出抗体又は第三の検出抗体の何れかである。)と接触させることができる。例えば、検査試料を、まず、少なくとも1つの捕捉抗体と接触させ、次いで(順次)、少なくとも1つの検出抗体と接触させることができる。あるいは、検査試料を、まず、少なくとも1つの検出抗体と接触させ、次いで(順次)、少なくとも1つの捕捉抗体と接触させることができる。さらに別の例において、検査試料は、捕捉抗体及び検出抗体と同時に接触させることができる。
サンドイッチアッセイフォーマットにおいて、第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成を可能とする条件下で、本発明の抗体(例えば、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生される抗体など)である少なくとも1つの第一の捕捉抗体と検査試料をまず接触させる。2以上の捕捉抗体が使用される場合、第一の複数の捕捉抗体/ヒトNGAL複合体が形成される。サンドイッチアッセイにおいて、抗体、好ましくは、少なくとも1つの捕捉抗体は、検査試料中に予測されるヒトNGAL又はヒトNGAL断片の最大量のモル濃度過剰量で使用される。例えば、抗体の約5μg/mLから約1mg/mL/mL緩衝液(例えば、微小粒子コーティング緩衝液)を使用することができる。
場合によって、検査試料を少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と接触させる前に、本明細書に前述されている技術を用いて、少なくとも1つの捕捉抗体を固体支持体に結合させることができる。ヒトNGAL単量体及びヒトNGAL二量体を含有すると疑われている検査試料を少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と接触させた後、第一の(又は複数の)抗体−ヒトNGAL複合体の形成を可能とするために、混合物を温置する。温置は、約2℃から約45℃の温度で、約4.5から約10.0のpHで、少なくとも約1分から約18時間、好ましくは、約1から約20分、最も好ましくは約18分間の期間、実施し得る。本明細書に記載されているイムノアッセイは、1つの工程で(検査試料、少なくとも1つの捕捉抗体及び少なくとも1つの検出抗体が全て、順次に又は同時に反応容器へ添加されることを意味する。)、又は2つの工程、3つの工程など、2以上の工程で実施することができる。
(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL複合体の形成後、次いで、複合体を少なくとも1つの検出抗体((第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/第二の抗体検出複合体の形成を可能とする条件下で)と接触させる。少なくとも1つの検出抗体は、イムノアッセイにおいて使用される第二、第三、第四などの抗体であり得る。捕捉抗体/ヒトNGAL複合体が2以上の検出抗体と接触される場合、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(複数の)検出抗体複合体が形成される。捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)と同様に、少なくとも第二の(及び後続の)検出抗体を捕捉抗体/ヒトNGAL複合体と接触させる場合、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体の形成のために、上述の条件と類似の条件下での温置の期間が必要とされる。好ましくは、少なくとも1つの検出抗体は、検出可能な標識を含有する。検出可能な標識は、本明細書に前述されているあらゆる検出可能な標識であり得る。
(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体は、標識の定量前に、検査試料の残りから分離させることが可能であるが、分離させなければならないわけではない。例えば、少なくとも1つの捕捉抗体(例えば、第一の捕捉抗体)がウェル又はビーズなどの固体支持体に結合されている場合、分離は、固体支持体との接触から(検査試料の)液体を除去することによって達成することができる。あるいは、少なくとも第一の捕捉抗体が固体支持体に結合されている場合、第一の捕捉抗体は、第一の(複数の)抗体/ヒトNGAL/第二の(複数の)抗体複合体を形成するために、ヒトNGAL含有試料及び少なくとも1つの第二の検出抗体と同時に接触させた後、固体支持体との接触から液体(検査試料)を除去することができる。少なくとも1つの第一の捕捉抗体が固体支持体に結合されていなければ、(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL/(第二の又は複数の)検出抗体複合体は、標識の量の定量のために、検査試料から除去する必要はない。
標識された捕捉抗体/ヒトNGAL/検出抗体複合体(例えば、第一の捕捉抗体/ヒトNGAL/第二の検出抗体複合体)の形成後、本分野において公知の技術を用いて、複合体中の標識の量が定量される。例えば、酵素標識が使用されるのであれば、標識された複合体を、発色などの定量可能な反応を与える標識に対する基質と反応させる。標識が放射性標識であれば、標識はシンチレーションカウンターを用いて定量される。標識が蛍光標識であれば、1つの色(「励起波長」と知られる。)の光で標識を刺激し、刺激に応答して標識によって発光された別の色(「発光波長」として知られる。)を検出することによって、標識が定量される。標識が化学発光標識であれば、標識は、視覚的に又は光測定装置、X線フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラなどを使用することによって、発光された光を検出して定量される。複合体中の標識の量が定量されたら、既知濃度のヒトNGAL二量体又はヒトNGAL単量体の系列希釈を用いて作製された標準曲線の使用によって、検査試料中のヒトNGAL二量体及びヒトNGAL単量体の濃度が測定される。ヒトNGAL二量体及びヒトNGAL単量体の系列希釈を使用する以外に、標準曲線は、重量分析、質量分析法によって及び本分野において公知の他の技術によって作製することができる。
検査試料中のヒトNGAL二量体とヒト単量体の量が測定された後、イムノアッセイの工程が繰り返される。イムノアッセイの工程を反復する際に、検査試料の新しい分取試料が使用される(イムノアッセイの工程を反復する際に使用される分取試料は、ヒトNGAL二量体とヒトNGAL単量体の量を測定するために使用される分取試料と異なることを意味する。)。検査試料の新しい分取試料を用いて実施されるべきイムノアッセイの工程は、イムノアッセイの工程の1つ又はそれ以上が少なくとも1つの還元剤の存在下で行われることを除き、上記の工程と同一である。あるいは、少なくとも1つの還元剤の存在下でイムノアッセイの1つ又はそれ以上の工程を実施することに代えて、イムノアッセイの工程を反復して使用されるべき検査試料の新しい分取試料は、イムノアッセイの工程を実施する前に、少なくとも1つの還元剤で処理する(すなわち、前処理する)ことができる。イムノアッセイ中での還元剤の使用は、検査試料中に含有されるあらゆる二量体を単量体に転化する。標識された捕捉抗体/ヒトNGAL/検出抗体複合体の形成後、本分野において公知の技術を用いて、複合体中の標識の量が定量される。例えば、酵素標識が使用されるのであれば、標識された複合体を、発色などの定量可能な反応を与える標識に対する基質と反応させる。標識が放射性標識であれば、標識はシンチレーションカウンターを用いて定量される。標識が蛍光標識であれば、1つの色(「励起波長」と知られる。)の光で標識を刺激し、刺激に応答して標識によって発光された別の色(「発光波長」として知られる。)を検出することによって、標識が定量される。標識が化学発光標識であれば、標識は、視覚的に又は光測定装置、X線フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラなどを使用することによって、発光された光を検出して定量される。複合体中の標識の量が定量されたら、既知濃度のヒトNGAL単量体の系列希釈を用いて作製された標準曲線の使用によって、検査試料中のヒトNGAL単量体の濃度が測定される。ヒトNGAL単量体の系列希釈を使用する以外に、標準曲線は、重量分析的に、質量分析法によって及び本分野において公知の他の技術によって作製することができる。ヒトNGAL単量体の量が測定されたら、還元剤なしにイムノアッセイが行われたときに測定された(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL複合体の量を、イムノアッセイが還元剤を用いて反復されたときに測定された(第一の又は複数の)捕捉抗体/ヒトNGAL複合体の量と比較することによって、ヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の比を測定することができる。
例として、イムノアッセイの工程は、以下のように実施することができる。
(a)第一の抗体/ヒトNGAL複合体を形成させるために、ヒトNGAL単量体及びヒトNGAL二量体を含有することが疑われる検査試料と、ヒトNGALに結合する少なくとも1つの第一の抗体と接触させる工程(前記少なくとも1つの捕捉第一の抗体は、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455(該細胞株はATCC受託番号PTA−8024を有する。)によって産生される抗体及びマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430(該細胞株はATCC受託番号PTA−8026を有する。)によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);
(b)第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体を形成させるために、前記第一の抗体/ヒトNGAL複合体を、ヒトNGALに結合し、及び検出可能な標識に連結された第二の抗体と接触させる工程(前記第二の抗体は、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455(該細胞株はATCC受託番号PTA−8024を有する。)によって産生される抗体及びマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430(該細胞株はATCC受託番号PTA−8026を有する。)によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);
(c)工程(b)において形成された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量を測定する工程(工程(a)及び(b)は、あらゆる還元剤の不存在下で行われる。);
(d)少なくとも1つの還元剤の存在下で又は少なくとも1つの還元剤で検査試料を処理した後に工程(a)、(b)及び(c)を反復する工程;
(e)工程(c)の繰り返しにおいて形成された第二の抗体/ヒトNGAL複合体の量を測定する工程;並びに
(f)工程(c)において測定された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量及び工程(e)において測定された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量に基づいて、検査試料中のヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定する工程。
別の実施形態において、NGALポリペプチドは、NGALの検出用イムノアッセイの改良においても最適に使用することができる。本明細書に記載されているこの具体的な方法は、捕捉及び/又は検出用のあらゆる抗体を用いて、あらゆるNGALイムノアッセイにおいて使用することができる。一実施形態において、従って、本発明は、検査試料中の哺乳動物NGALの存在を検出する方法の改良を提供し、該方法は、
(a)哺乳動物NGAL/抗体複合体の形成を可能とする時間及び条件下で、哺乳動物NGALを含有することが疑われる検査試料を、前記哺乳動物NGALに対して特異的な少なくとも1つの抗体と接触させること;及び
(b)前記哺乳動物NGALの存在の指標として、形成された何れかの哺乳動物NGAL/抗体複合体を検出すること;
を含み、
前記改良が、検量用物質又は対照として、本明細書に記載されているNGALポリペプチドである検量用物質又は対照、特に、(a)配列番号2又は10の配列を含むグリコシル化されたヒトNGAL及び(b)配列番号1又は13の配列を含むグリコシル化されたヒトNGALからなる群から選択される検量用物質又は対照を使用することを含む。改良されたNGALアッセイの1つの変形において、検量用物質又は対照は、配列番号1又は13の配列を含むグリコシル化されたヒトNGALである。
さらに、本明細書での使用に関して記載されている抗NGAL抗体は、例えば、検査試料中のヒトNGAL抗原の存在を検出するための方法において、免疫診断剤として一般的に使用することもできる。前記方法は、
(1)ヒトNGAL/抗体複合体の形成を可能とする時間及び条件下で、ヒトNGALを含有することが疑われる検査試料を本明細書に記載されている免疫診断試薬と接触させる工程、並びに
(2)前記ヒトNGAL抗原の存在の指標として、形成された何れかのヒトNGAL/抗体複合体を検出する工程
を場合によって含み、
前記免疫診断試薬は、
(a)配列番号1、2、10又は13に記載されているヒトNGALタンパク質のアミノ酸残基112、118及び147を含む立体構造的エピトープへ特異的に結合する抗体;
(b)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
(c)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(d)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(前記抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(e)ATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体;
(f)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
(g)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(h)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);及び
(i)ATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生された抗体;
からなる群から選択される1つ又はそれ以上の抗体を含む。
本明細書に記載されている方法(すなわち、イムノアッセイ及びキット)は、あらゆる時点で、あらゆる疾病、疾患、症状又は状態の評価において、NGALのあらゆる評価が実施される。例えば、本明細書に記載されている方法は、検査試料中に存在するNGALのレベルの測定に基づいて、対象の尿細管細胞傷害の状態を評価するために使用することができる。評価されるべき対象は、現在、尿細管細胞傷害を有し、又は尿細管細胞傷害を発症するリスクを有し得る。
本明細書に記載されている方法は、尿細管細胞傷害に対して対象を治療した後に、又は対象が尿細管細胞傷害を現在経験しながら、対象に対して実施することができる。
本明細書に記載されている方法は、対象中での薬物又は他の治療剤の腎毒性副作用をモニターするために使用することができる。
イムノアッセイは、外科的処置の後など(心臓手術、冠動脈バイパス手術、心血管手術、血管手術又は腎臓移植後など)、対象によって経験される現象の後に、対象が腎臓への低下した血液供給を経験した後に、(対象が、損傷を受けた心機能、卒中、外傷、敗血症及び脱水からなる群から選択される医学症状を有し、又は経験している場合)集中治療室への患者の入室後に、1つ若しくはそれ以上の医薬の対象への投与後に、又は1つ若しくはそれ以上の造影剤を対象に投与した後に使用することもできる。
本明細書に記載されている方法は、慢性腎臓病を評価するために実施又は実行することもできる。
本明細書中のある種の実施形態は、尿細管細胞傷害の状態を評価するために使用されたときに有利であることは言うまでもないが、イムノアッセイ及びキットは、他の疾病、例えば、癌、敗血症及びNGALの評価を伴うあらゆる疾病、疾患又は症状においてNGALを評価するためにも、場合によって使用することができる。
より具体的には、腎疾患、疾病及び傷害の評価の他に(例えば、米国特許出願公開2008/0090304号、2008/0014644号、2008/0014604号、2007/0254370号及び2007/0037232号参照)、本明細書に記載されているアッセイ及びアッセイ成分は、他のあらゆるNGALアッセイにおいて、又はNGALレベル若しくは濃度の評価が有用であると判明し得る他のあらゆる状況、例えば、癌関連アッセイ(例えば、全般的に又はより具体的に、膵臓癌、乳癌、卵巣/子宮癌、白血病、大腸癌及び脳癌が含まれるが、これらに限定されない。例えば、米国特許出願公開2007/019876号参照;米国特許第5,627,034号及び5,846,739号も参照)、全身性炎症応答症候群(SIRS)、敗血症、重篤な敗血症、敗血症ショック及び多発性臓器機能障害症候群(MODS)の診断(例えば、米国特許出願公開2008/0050832号及び2007/0092911号参照;米国特許第6,136,526号も参照);血液学用途(例えば、細胞の種類の推測);とりわけ子癇前症、肥満(メタボリックシンドローム)、インシュリン抵抗性、高血糖、組織再構築(MMP−9と複合される場合、例えば、米国特許出願公開2007/0105166号及び米国特許第7,153,660号参照)、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症)、過敏性腸症候群(例えば、米国特許出願公開2008/0166719及び2008/0085524参照)、神経変性疾患、呼吸器疾患、炎症、感染、歯周病(例えば、米国特許第5,866,432号参照)及び静脈血栓塞栓疾患を含む心血管疾患(例えば、米国特許出願公開2007/0269836号)の評価においても場合によって使用することが可能である。
G.NGALイムノアッセイキット
本発明は、単量体用の改良されたアッセイにおいて、検査試料中の哺乳動物NGAL抗原の存在を検出するためのキットも想定する。このようなキットは、本明細書に記載されている免疫診断試薬(例えば、抗体)の1つ又はそれ以上を含み得る。より具体的には、キットがイムノアッセイを実施するためのキットである場合、キットは、(1)哺乳動物NGALに特異的に結合する少なくとも1つの捕捉抗体、(2)少なくとも1つの連結物及び(3)イムノアッセイを実施するための1つ又はそれ以上の指示書を場合によって含有することができる。本発明の免疫診断試薬は、捕捉抗体として、検出抗体として、又は捕捉抗体及び検出抗体の両方として、このような検査キットに含めることができる。例えば、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体を捕捉抗体としてキット中に含めることが可能であり、マウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生される抗体を検出抗体としてキットに含めることができる。あるいは、マウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生される抗体を捕捉抗体としてキットに含めることが可能であり、ハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体を検出抗体としてキットに含めることができる。さらに別の例において、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生される抗体を捕捉抗体としてキットに含めることができ、異なる抗体を検出抗体としてキットに含めることができる。さらに別の例において、マウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体又はマウスハイブリドーマ細胞株1−903−422によって産生される抗体を検出抗体としてキットに含めることができ、異なる抗体を捕捉抗体としてキットに含めることができる。場合によって、キットは、少なくとも1つの検量用物質又は対照も含有することができる。あらゆる検量用物質又は対照をキット中に含めることができる。しかしながら、好ましくは、検量用物質又は対照は、哺乳動物NGAL、特に、本明細書において前述されているグリコシル化されたヒトNGAL(例えば、野生型又は変異体)である。
従って、本発明のキットは、少なくとも1つの検量用物質又は少なくとも1つの対照又は少なくとも1つの検量用物質及び少なくとも1つの対照の組み合わせを含むことができ、検量用物質又は対照は、本発明のグリコシル化された哺乳動物NGALを含む。好ましくは、少なくとも1つの検量用物質又は少なくとも1つの対照は、配列番号1、配列番号2、配列番号10、配列番号13及び配列番号1、2、10又は13の組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するグリコシル化された哺乳動物NGALである。キットがイムノアッセイを実施するためのキットである場合、キットは、(1)哺乳動物NGALに特異的に結合する少なくとも1つの捕捉抗体、(2)少なくとも1つの連結物、(3)イムノアッセイを実施するための1つ若しくはそれ以上の指示書又は(4)項目(1)から(3)のあらゆる組み合わせを場合によってさらに含む。
従って、本発明は、1つ若しくはそれ以上の組換え抗体又は本発明の哺乳動物NGALを含む診断用及び品質管理キットをさらに提供する。場合によって、本発明のアッセイ、キット及びキット成分は、市販のプラットフォーム上での使用(例えば、Abbott Laboratories,Abbott Park,ILのPrism(R)、AxSYM(R)、ARCHITECT(R)及びEIA (ビーズ)プラットフォーム上でのイムノアッセイ並びに他の市販の及び/又はインビトロ診断用アッセイ)に対して最適化される。さらに、前記アッセイ、キット及びキット成分は、他の形式で、例えば、電気化学的な又はその他の携帯式又は治療場所でのアッセイ系に対して使用することができる。例えば、本発明は、TnI、CKMB及びBNPを含む幾つかの心臓マーカーに対するサンドイッチイムノアッセイを実施する市販のAbbott Point of Care(i− STAT(R), Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)電気化学的イムノアッセイ系に対して適用可能である。イムノセンサー及び使い捨て検査装置中でイムノセンサーを作動させる方法は、例えば、米国特許出願公開20030170881号、20040018577号、20050054078号及び20060160164号(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている。電気化学的なイムノセンサー及びイムノセンサーの他の種類の製造に関するさらなる背景は、米国特許第5,063,081号(同じく、これらに関するその記述に関して、参照により組み込まれる。)に見出される。
場合によって、キットは、品質管理試薬(例えば、感度パネル、検量用試料及び陽性対照)を含む。品質管理試薬の調製は本分野において周知であり、例えば、様々な免疫診断用製品同封シート上に記載されている。NGAL感度パネルの一員は、例えば、適切なアッセイ緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)中に本発明のNGAL抗原又は抗体の既知量をスパイクすることによって、例えば、「低」から「高」にわたるNGAL抗原又は抗体の既知量を含有する可変量で場合によって調製することができる。これらの感度パネルの一員は、アッセイの性能特性を確立するために場合によって使用され、さらに、場合によって、イムノアッセイキット試薬の完全性及びアッセイの標準化の有用な指標である。
別の実施形態において、本発明は、アッセイの性能特性を評価し、並びに/又はアッセイ中に使用される抗原の完全性を定量及びモニターするための感度パネルとして使用するための1つ又はそれ以上の本発明の抗原及び/又は抗体を含む品質管理キットを提供する。
さらに別の実施形態において、本発明の哺乳動物NGAL(例えば、グリコシル化された哺乳動物NGAL)は、検量用物質及び/又は対照として使用することができる。キットに提供される抗体は、蛍光色素、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光標識などの検出可能な標識を取り込むことができ、又はキットは、抗体を標識するための試薬若しくは抗体を検出するための試薬(例えば、検出抗体)及び/又は抗原を標識するための試薬若しくは抗原を検出するための試薬を含み得る。抗体、検量用試料及び/若しくは対照は別の容器中に与えることができ、又は、適切なアッセイフォーマット中に、例えばマイクロタイタープレート中に予め分配させることができる。
さらに別の実施形態において、キットは、単独で、指示書とともに、又はキット及びキット成分の他の態様とともに、
(a)配列番号1、2、10又は13に記載されているヒトNGALタンパク質のアミノ酸残基112、118及び147を含む立体構造的エピトープへ特異的に結合する抗体;
(b)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
(c)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(d)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(e)ATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体;
(f)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
(g)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
(h)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);及び
(i)ATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生された抗体;
からなる群から選択される1つ又はそれ以上の抗体を含む免疫診断剤を含むことができる。
キットは、緩衝液、塩、酵素、酵素補因子、基質、検出試薬などの、診断アッセイを実施し又は品質管理評価を容易にするために必要とされる他の試薬を場合によって含み得る。検査試料を単離及び/又は治療するための緩衝液及び溶液などの他の成分(例えば、前処理試薬)も、キットに含め得る。キットは、1つ又はそれ以上の他の対照をさらに含み得る。キットの成分の1つ又はそれ以上は凍結乾燥させることができ、キットは、凍結乾燥された成分の再構成に適した試薬をさらに含み得る。
キットの様々な成分は、場合によって、適切な容器中に与えられる。上述のように、容器の1つ又はそれ以上は、マイクロタイタープレートであり得る。さらに、キットは、試料を保持又は保存するための容器(例えば、血液又は尿試料用の容器又はカートリッジ)を含むことができる。適宜、キットは、反応容器、混合容器及び試薬又は検査試料の調製を容易にする他の成分も場合によって含有し得る。キットは、注射器、ピペット、鉗子、測定用スプーンなどの検査試料の取得を補助するための1つ又はそれ以上の機器も含み得る。
キットは、紙形態又はディスク、CD、DVDなどのコンピュータ読み取り可能な形態で提供され得る使用説明書を場合によってさらに含み得る。
例として、限定することなく、ここで、本発明の実施例を記載する。
H.方法及びアッセイキットの改良
キット(又はその成分)並びに以下にさらに記載されているアッセイによって、検査試料中のNGAL抗原の濃度を測定する方法は、例えば、米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号に記載されているように、並びに、例えば、ARCHITECT(R)としてAbbott Laboratories(Abbott Park, IL)によって市販されているように、様々な自動化又は半自動化されたシステム(固相が微粒子を含むシステムを含む。)で使用するために改良することができる。
自動化されていないシステム(例えば、ELISA)と比較した自動化又は半自動化されたシステムの差の幾つかには、第一の特異的結合パートナー(例えば、NGAL捕捉抗体)が付着されている基質(サンドイッチ形成及び分析物の反応性に影響を与えることができる。)並びに捕捉の長さとタイミング、検出及び/又は何らかの場合によって行われる洗浄工程が含まれる。ELISAなどの自動化されていないフォーマットは、試料及び捕捉試薬との相対的により長い温置時間を必要とし得るのに対して(例えば、約2時間)、自動化又は半自動化されたフォーマット(例えば、ARCHITECT(R),Abbott Laboratories)は相対的により短い温置時間(例えば、ARCHITECT(R)に関して約18分間)を有し得る。同様に、ELISAなどの自動化されていない形式は、相対的により長い温置時間(例えば、約2時間)、連結物試薬などの検出抗体を温置し得るのに対して、自動化又は半自動化されたフォーマット(例えば、ARCHITECT(R))は、相対的により短い温置時間(例えば、ARCHITECT(R)に関して約4分)を有し得る。
Abbott Laboratoriesから入手可能な他のプラットフォームには、AxSYM(R)、IMx(R)(例えば、参照により本明細書にその全体が組み込まれる米国特許第5,294,404号参照)、PRISM(R)、EIA(ビーズ)及びQuantumTMII並びに他のプラットフォームが含まれるが、これらに限定されない。さらに、アッセイ、キット及びキット成分は、他のフォーマット、例えば、電気化学的又は他の携帯式若しくは治療地点でのアッセイ系において使用することができる。本開示は、例えば、サンドイッチイムノアッセイを実施する市販のAbbott Point of Care(i−STAT(R)、Abbott Laboratories)電気化学的イムノアッセイシステムに対して適用可能である。イムノセンサー並びに使い捨て検査装置におけるその製造及び操作方法は、例えば、米国特許第5,063,081号、米国特許出願公開2003/0170881号、米国特許出願公開2004/0018577号、米国特許出願公開2005/0054078号及び米国特許出願公開2006/0160164号(これらに関する教示に関して、参照により、その全体が組み込まれる。)に記載されている。
特に、I−STAT(R)システムへのNGALアッセイの改造に関して、以下の構成が好ましい。微小加工されたシリコンチップは、金電流測定作用電極及び銀−塩化銀参照電極の一対を用いて製造される。作用電極の1つの上で、固定化された捕捉抗体を有するポリスチレンビーズ(直径0.2mm)が電極の上にパターン化されたポリビニルアルコールのポリマーコーティングに接着される。このチップは、イムノアッセイに適した流体装置フォーマットを有するI−STAT(R)カートリッジ中に組み立てられる。カートリッジの試料保持チャンバーの壁の一部上に、アルカリホスファターゼ(又は他の標識)で標識された第二の検出抗体を含む層が存在する。カートリッジの流体袋内には、p−アミノフェノールリン酸を含む水性試薬である。
作動時に、NGAL抗原を含有すると疑われる試料は、検査カートリッジの保持チャンバーに添加され、カートリッジはI−STAT(R)読取装置中に挿入される。第二の抗体(検出抗体)が溶液中に溶解された後、カートリッジ内のポンプ要素がチップを含有する伝導路内に試料を押し出す。ここで、ポンプ要素は、NGAL抗原、NGAL捕捉抗体及び標識された検出抗体間でのサンドイッチの形成を促進するために、周期的に振動する。アッセイの最後から2番目の工程において、試料をチップから廃棄チャンバーの中に洗浄するために、液体は袋から伝導路の中に押し出される。アッセイの最後の工程において、アルカリホスファターゼ標識は、p−アミノフェノールリン酸と反応してリン酸基を切断し、放出されたp−アミノフェノールを作用電極において電気化学的に酸化させる。測定された電流に基づいて、読取装置は、埋め込まれたアルゴリズム及び工場で測定された較正曲線を用いて、試料中のNGAL抗原の量を計算することができる。
さらに、本明細書に記載されている方法及びキットは、イムノアッセイを実施するための他の試薬及び方法を必ず包含することは言うまでもない。例えば、連結物希釈剤及び/又は検量用試料希釈剤として、例えば洗浄のために、本分野において公知の様々な緩衝液及び/又は使用するために容易に調製し、又は最適化され得る様々な緩衝液が包含される。典型的な連結物希釈剤は、ある種のキットにおいて使用され、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質ブロッキング剤、抗微生物剤及び界面活性剤を含有するARCHITECT(R)連結物希釈剤(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)である。典型的な検量用試料希釈剤は、MES、他の塩、タンパク質ブロッキング剤及び抗微生物剤を含有する緩衝液を含む、ある種のキットにおいて使用されるARCHITECT(R)ヒト連結物希釈剤(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)である。
市販の抗体を用いた典型的なNGALアッセイ(固有のNGAL)
本実施例は、2つの市販の抗体を使用する典型的なイムノアッセイを用いて、固有のNGAL(本明細書に記載されているように、インビボから、例えば、血液等の材料から精製されたことを意味する。)の測定を例示する。
固有のNGALは、Diagnostics Development(Uppsala,Sweden)から購入した。NGAL単量体及び二量体の存在は、還元及び非還元SDS−PAGEを用いて測定した。ゲルは、購入した固有のNGALの大部分は二量体から構成されることを示した(データは図示せず。)。単量体の少量が存在した可能性があるが、これはゲルから定量することはできなかった。
これらの研究のために、室温で1時間、固有のNGALの試料135μLを10mMジチオスレイトール(DTT)15μLと混合した。対照条件のために、10mMDTTを水15μLと置き換えた。自動化されたARCHITECT(R)i2000分析装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)上でアッセイを行った。アッセイは、以下によって実施した。
1.検査試料10μLを抗NGAL抗体(AntibodyShopA/S,Gentofte,Denmarkから得たHYB211−01)で被覆した微粒子50μLと混合する。
2.33から38℃で約18分間、反応混合物を温置する。試料中のNGALは、微粒子上の抗NGAL抗体を結合する。
3.リン酸緩衝液で微粒子を洗浄する。
4.アクリジニウム−抗NGAL抗体(AntibodyShopA/S,Gentofte,Denmarkから得たHYB211−01)検出分子50μLを反応混合物に添加する。
5.33から38℃で約4分間、反応混合物を温置する。アクリジニウム−抗NGAL抗体分子は、微粒子抗体に結合されたNGALとサンドイッチを形成する。
6.リン酸緩衝液で微粒子を洗浄する。
7.捕捉されたアクリジニウム−NGAL標識に発光させるために、プレトリガー(酸溶液)及びトリガー(塩基性溶液)を添加する(発光は、RLU(相対光単位))として、装置によって測定される。)。
RLUは、ARCHITECT(R)システム上で使用される測定の光学単位に対する表記である。ARCHITECT(R)光学システムは、本質的には、化学発光反応によって放出される光に対して光子数の計測を行う光増倍管(PMT)である。化学発光反応によって生じた光の量は、反応混合物中に存在するアクリジニウム追跡物質の量に比例し、これにより、化学発光反応が生じた時点で反応混合物中に残存するアクリジニウムの量に同じく比例する患者の試料分析物の定量を可能とする。
「相対光単位」という用語は、アクリジニウムのある量に対する光子計数の関係から得られる。各光学モジュールは、アクリジニウム標準の群を用いて較正される。化学発光反応が起きると、光が放出され、3秒の期間にわたって光子が測定される。PMTは、計数された光子をデジタル信号に変換し、次いで、デジタル信号は演算処理のために回路基板に送られる。光学回路基板はPMTから得られたデジタル信号を計数された光子に比例するアナログ信号に変換し、アナログ信号は存在するアクリジニウムの量に比例する。次いで、このアナログシグナルは、さらに処理されて、RLU値を与える。この関係は、光学モジュールを較正するための標準を作製するために確立され、異なるアクリジニウム標準はこれに割り当てられたRLU値を有する。従って、RLU単位そのものは任意的なものであるが、RLUはアクリジニウムのある量に比例する(すなわち、関連する。)。
得られたアッセイ応答曲線データは、下表1に示されている。
Figure 2011501159
このデータから明らかなように、予想通り、固有のNGALを用いた典型的NGALアッセイにおいて、NGALの量が増加するにつれて、アッセイ中で検出されたシグナルは増加した。
市販の抗体を用いる典型的なNGALアッセイ
本実施例は、固有のNGALホモ二量体(二量体)と比較した固有NGAL単量体の測定を実施例1の典型的イムノアッセイと比較する。
ジチオスレイトール(「DTT」:試料135μLに10mMDTT15μLを添加した後、約1時間、混合及び温置した。)による固有NGALの還元がNGALの測定に対して及ぼす影響も調べ、結果を下表2に示した。
Figure 2011501159
表2から明らかなように、固有NGALをDTTで還元した後、NGAL単量体へのNGAL二量体の転化のために、アッセイ中に検出されたNGALの濃度は増加した。これによって、市販の抗体を用いるイムノアッセイが二量体より単量体を優先的に検出することが確認される。これは、実施例1のイムノアッセイを用いた還元されていない抗原試料のアッセイにおいて、より少量のNGALが検出されることを示唆し、及びこのような試料中のNGALの正しい量は過小評価される可能性があり得ることを示唆する。
組換えヒトNGALを用いた典型的NGALアッセイ
本実施例は、HYB211−01及びHYB211−02抗体を使用する実施例1に記載されている典型的イムノアッセイを用いた、野生型組換えヒトNGAL二量体と比較した野生型組換えヒトNGAL単量体の優先的測定を例示する。
本明細書中に明記されていない全ての野生型NGAL組換え抗原(rAg)単量体又は二量体並びにあらゆる変異体C87SNGALrAgクローン、サブクローン、ハイブリッド及びハイブリドーマ(名称及び付番を含む。)、ベクター、ベクター構築物及び抗体は全て、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号(NGAL抗原に関するその教示に関して、参照により組み込まれる。)に全部記載されている。参照を容易にするために、これらの材料の幾つか、特に、(ヒトNGAL野生型抗原配列(配列番号1)を示す)図1の米国仮特許出願60/981,470号から得られる図解も、本明細書に含められる。
CHO細胞中で発現された野生型組換えヒトNGALは、単量体として又は二量体として、ゲルろ過クロマトグラフィーによって精製された。ゲルろ過クロマトグラフィーによる試料の調製後に還元及び非還元SDS−PAGEを使用して、NGAL単量体及び二量体の存在を確認した。SDS−PAGEによって、二量体調製物の大部分は二量体から構成されていることが確認された(データは図示せず。)。また、25mM無機リン酸塩、0.5MNaCl、1%TritonX−100、0.05%BSA、5μg/mLサラフロキサシン、0.1%NaN、pH7.5中の単量体及び二量体NGALを用いて、検量用物質を調製した。各二量体検量用物質の試料200μLを、室温で2時間、100mMジチオスレイトール(DTT)5μLと混合した。アッセイは、実施例1に記載されているように、自動化されたARCHITECT(R)i2000分析装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)上で行った。
応答曲線データは下表3に示されており、(a)イムノアッセイは二量体よりNGAL単量体を優先的に検出すること、及び(b)還元剤(例えば、DTT)を用いて二量体を単量体へ転化させることによって、二量体検量アッセイの応答は単量体検量応答と等しくなることを示している。
Figure 2011501159
下表4は、参照標準として単量体検量用物質を用いて濃度単位へ変換した後の同じデータを示している。二量体を単量体へ還元した後、二量体の単量体への転化のために、NGALの濃度は、平均248%増加した。
Figure 2011501159
二量体対単量体NGAL抗原を用いたイムノアッセイ性能の比較
様々な検量用物質の精度を測定するために、HYB211−01及びHYB211−02抗体を用いるARCHITECT(R)NGALアッセイ上で、実施例3に記載されているように調製された単量体、二量体及びDTT処理された(2.4mMDTT)野生型NGAL検量用物質を、比較検査した。得られた結果は、表5に示されている(下記)。
Figure 2011501159
表5から明らかなように、変異体NGALを使用することの主な利点は、野生型NGALを用いて作製された検量用物質は時間とともに二量体をゆっくり形成し得ることである。アッセイは、二量体より単量体をよりよく「認識する」ので、これは、アッセイにおいて、単量体の喪失(すなわち、不安定性)として認識される。検量用曲線はこの現象のためにシフトする。さらに、例えば、市販の製品の作製のために使用される場合、NGALを精製するために高い濃度が必要なので、製造過程の間に、二量体は野生型NGALを形成する。このため、還元剤が必要となることによって、製造過程をさらに複雑化し、「還元された」抗原に伴う安定性の問題が生じる可能性が極めて高いプロセスがもたらされる。
上記から明らかなように、DTTを添加した際に、単量体シグナルに合致する二量体シグナルの概ね定量的な回収が存在した。このことは、二量体検量用物質中の信号の喪失は、実際に、二量体及び単量体を認識することができない抗体対によるものであることを示唆する。
本発明のNGAL抗体を用いた典型的NGALアッセイ
本実施例は、1−2322−455及び1−903−430細胞株によって産生された抗体(2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,471号(この点に関するその教示に関して、参照により組み込まれる。)から構成されるイムノアッセイを使用する別の形式を用いた、NGAL二量体と比較した組換えヒトNGAL単量体の優先的測定を例示する。
本実施例では、実施例3に記載されている組換えヒトNGAL単量体及び二量体検量用物質を使用した。アッセイは、以下のように、自動化されたARCHITECT(R)i2000分析装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)上で行った。
1.試料(NGAL単量体又は二量体検量用物質)10μLを、細胞株1−2322−455によって産生された抗NGAL抗体で被覆した微粒子50μL及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)20μLと混合する。TCEPは、ジスルフィド結合還元剤である。
2.33から38℃で約18分間、反応混合物を温置する。試料中のNGALは、微粒子上の抗NGAL抗体を結合する。TCEPは、二量体を単量体へ還元する。
3.細胞株1−903−430によって産生されたアクリジニウム抗NGAL抗体検出分子50μLを反応混合物に添加する。
4.33から38℃で約4分間、反応混合物を温置する。アクリジニウム−抗NGAL抗体分子は、微粒子抗体に結合されたNGALとサンドイッチを形成する。
5.リン酸緩衝液で微粒子を洗浄する。
6.捕捉されたアクリジニウム−NGAL標識に発光させるために、プレトリガー(酸溶液)及びトリガー(塩基性溶液)を添加する(発光は、装置によって測定される。)。
応答曲線データは、下表6に示されている。
Figure 2011501159
これらの結果は、イムノアッセイが二量体よりNGAL単量体を優先的に検出することを示す。単量体への二量体の転化がDTT以外の還元剤(本事例では、TCEP)によって達成され得ることも示している。さらに、還元剤は、実施例1及び2に記載されているように試料の前処理の間ではなく、一連のアッセイの温置の間に添加され得る。
表7は、単量体検量用物質を参照として用いて、濃度単位へ転換した後の同じデータを示している。
Figure 2011501159
市販のELISAキットと比べたARCHITECT(R)アッセイの増加した特異性
本実施例は、AntibodyShopNGALRapidELISAKit(AntibodyShopA/S,Gentofte,Denmark)と比べた、1−2322−455及び1−903−430細胞株によって産生された抗体(2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,471号(この点に関するその教示に関して、参照により組み込まれる。)にさらに記載されている。)から構成されるイムノアッセイを使用する別の形式を用いた、NGAL二量体と比較した組換えヒトNGAL単量体の優先的測定を例示する。
本実施例では、実施例3に記載されている組換えヒトNGAL二量体検量用物質を使用した。二量体検量用物質は、1500ng/mL(「NGAL二量体高」)及び150ng/mL(「NGAL二量体低」)の濃度で、これらの実験のために使用した。
ARCHITECT(R)アッセイは、以下のように、自動化されたARCHITECT(R)i2000分析装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)上で行った。
1.試料(NGAL二量体検量用物質)10μLを、0.5%生理的食塩水90μLと混合する。
2.33から38℃で約7分間、反応混合物を温置する。
3.この混合物25μLを取り出し、細胞株1−2322−455によって産生された抗NGAL抗体で被覆された微粒子50μL及びARCHITECT(R)ライン希釈剤90μL(Brij界面活性剤を加えたリン酸緩衝化生理的食塩水)と混合する。
4.33から38℃で約18分間、反応混合物を温置する。試料中のNGALは、微粒子上の抗NGAL抗体を結合する。
5.細胞株1−903−430によって産生されたアクリジニウム抗NGAL抗体検出分子50μLを反応混合物に添加する。
6.33から38℃で約4分間、反応混合物を温置する。アクリジニウム−抗NGAL抗体分子は、微粒子抗体に結合されたNGALとサンドイッチを形成する。
7.リン酸緩衝液で微粒子を洗浄する。
8.捕捉されたアクリジニウム−NGAL標識に発光させるために、プレトリガー(酸溶液)及びトリガー(塩基性溶液)を添加する(発光は、装置によって測定される。)。
製造業者の指示書(Kit037,Revision2006−09−EN)に記載されているように、AntibodyShopNGALRapidELISAKitを実施した。
NGAL二量体を用いて得られた典型的応答が、下表8に示されている。
Figure 2011501159
これらの結果は、例えば、実施例4(5ng/mLまで上昇した改善された特異性を示す。)の結果と合わせると、本明細書に記載されているアッセイは、アッセイの検量範囲全体を通じて(例えば、約1ng/mLから最大約2000ng/mL)改善された特異性を示すことを確認する。AntibodyShopNGALRapidELISAKitはARCHITECT(R)アッセイより多くの二量体を検出するので、結果は、さらに、ARCHITECT(R)NGALアッセイは、より高い二量体濃度において、AntibodyShopNGALRapidELISAKitより特異的であることを確認する。急性腎臓傷害に伴うNGALのより高い濃度において、ARCHITECT(R)NGALアッセイは、AntibodyShopNGALRapidELISAKitより、単量体に対してより特異的であることになる。換言すれば、ARCHITECT(R)NGALアッセイは、約100ng/mLより高いNGALのレベルで、単量体に対してより特異的である。
ATCC寄託情報
野生型NGALrAgCHO662細胞株は、2006年11月21日に、10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託され、ATCC受託番号PTA−8020を与えられた。
変異体NGALrAgCHOC87S細胞株(CHO細胞クローン#734(変異体C87SNGALrAgCHO734としても知られる。))は、2007年1月23日に、10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託され、ATCC受託番号PTA−8168を与えられた。
マウスハイブリドーマ細胞株1−903−430及び1−2322−455は、2006年11月21日に、10801 University Blvd., Manassas, VA 20110−2209のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(以下、A.T.C.Cと称する。)にそれぞれ寄託された。細胞株1−903−430には、ATCC受託番号PTA−8026が割り当てられた。細胞株1−2322−455には、ATCC受託番号PTA−8024が割り当てられた。
当業者は、目的を遂行し、記載されている目的及び利点並びに本発明に固有の目的及び利点を取得するように、本発明が上手く適合されることを容易に理解する。本明細書に記載されている分子複合体及び方法、手法、処置、分子、具体的化合物は好ましい実施形態の本明細書における代表例であり、典型的なものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示されている本発明に様々な置換及び適合を変更し得ることが当業者に自明である。
本明細書に挙げられている全ての特許及び公報は、本発明が属する分野の当業者の水準を示唆するものである。全ての特許及び公報は、個別の各公報が参照により具体的且つ個別に取り込まれると記されているのと同じ程度まで、参照によって本明細書に組み込まれる。特に、本開示と同時出願された以下の2つの米国特許出願、2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,471号及び2007年10月19日に出願された米国仮特許出願60/981,470号の全体が、参照により組み込まれる。
本明細書に例示的に記載されている本発明は、本明細書に具体的に開示されていないあらゆる1つの要素又は複数の要素、1つの限定又は複数の限定の不存在下において適切に実施され得る。従って、例えば、本明細書の各事例において、「含む」、「実質的に〜からなる」及び「からなる」という用語の何れも、他の2つの用語の何れかと置換され得る。使用されている用語及び表現は、限定の用語ではなく、説明の用語として使用されており、このような用語及び表現の使用において、示されている及び記載されている特徴又はその一部のあらゆる均等物を除外することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲内で、様々な修飾が可能であることが認められる。従って、本発明は好ましい実施形態及び場合によって存在する特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示されている概念の修飾及び適合が当業者によって想到され得ること、並びにこのような修飾及び変更は、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲に属すると考えられることを理解すべきである。さらに、「定義」においてある種の用語が定義されており、「詳細な説明」の他の箇所で別段の定義、記載又は論述が為されている場合には、このような定義、記載及び論述は全て、このような用語に帰するものと理解しなければならない。また、このような用語及び表現の使用に際して、示されている及び記載されている特徴又はその一部のあらゆる均等物を除外することを意図するものではない。さらに、小見出し(例えば、「定義」)が「詳細な説明」において使用されているが、このような使用は、参照を容易にするためのものに過ぎず、ある見出し内に行われた何れかの開示をその見出しのみに限定することを意図するものではない。むしろ、1つの小見出しの下に為されたあらゆる開示は、それぞれのあらゆる他の小見出し下の開示を構成するものとする。

Claims (31)

  1. (a)第一の抗体/ヒトNGAL複合体を形成させるために、ヒトNGAL単量体及びヒトNGAL二量体を含有することが疑われる検査試料を少なくとも1つの第一の抗体と接触させる工程(前記少なくとも1つの捕捉第一の抗体はヒトNGALに結合し、並びにATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体及びATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);
    (b)第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体を形成させるために、前記抗体/ヒトNGAL複合体を、ヒトNGALに結合し、及び検出可能な標識に連結された第二の抗体と接触させる工程(前記第二の抗体は前記第一の抗体とは異なり、並びにATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体及びATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);
    (c)工程(b)において形成された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量に基づいて、検査試料中に含有されたヒトNGAL単量体の量を少なくとも約75%の特異性で測定する工程;
    を含む、検査試料中のヒトNGAL単量体の量を測定する方法。
  2. 前記検査試料と接触される前又は後に、前記少なくとも1つの第一の抗体が固相上に固定化されている、請求項1の方法。
  3. 前記第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の形成前に、前記少なくとも1つの第一の抗体が固相上に固定化されている、請求項2の方法。
  4. 前記第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成前に、前記少なくとも1つの第一の抗体が固相上に固定化されている、請求項3の方法。
  5. 前記第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成後に、前記少なくとも1つの第一の抗体が固相上に固定化されている、請求項3の方法。
  6. 前記方法があらゆる還元剤の不存在下で行われる、請求項1から5の何れかの方法。
  7. 少なくとも1つの還元剤の存在下で又は少なくとも1つの還元剤での前記検査試料の処理後に、工程(a)、(b)及び(c)が行われる、請求項1から6の何れかの方法。
  8. 前記少なくとも1つの還元剤が、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンからなる群から選択される、請求項7の方法。
  9. 前記少なくとも1つの還元剤が約0.1mMから約500mMの量で存在する、請求項7の方法。
  10. 前記検出可能な標識が、放射性標識、酵素標識、化学発光標識、蛍光標識、熱測定標識及び免疫連鎖反応標識からなる群から選択される、請求項1から9の何れかの方法。
  11. 前記検出可能な標識がアクリジニウムである、請求項10の方法。
  12. 前記方法が、約100ng/mLより大きな尿NGALのレベルで、NGAL二量体と比較してNGAL単量体に対して約4倍特異的である、請求項1から11の何れかの方法。
  13. 前記方法が自動化されたシステム又は半自動化されたシステムでの使用のために適合されている、請求項1から12の何れかの方法。
  14. (a)第一の抗体/ヒトNGAL複合体を形成させるために、ヒトNGAL単量体及びヒトNGAL二量体を含有することが疑われる検査試料を少なくとも1つの第一の抗体と接触させる工程(前記少なくとも1つの第一の抗体はヒトNGALに結合し、並びにATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体及びATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);
    (b)第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体を形成させるために、前記第一の抗体/ヒトNGAL複合体を、ヒトNGALに結合し、及び検出可能な標識に連結された第二の抗体と接触させる工程(前記第二の抗体は前記第一の抗体とは異なり、並びにATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生される抗体及びATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生される抗体からなる群から選択される抗体である。);
    (c)工程(b)において形成された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量を測定する工程(工程(a)及び(b)は、あらゆる還元剤の不存在下で行われる。);
    (d)工程(b)において形成された前記第二の抗体/ヒトNGAL複合体の量を測定する工程(工程(a)及び(b)は、少なくとも1つの還元剤の存在下又は少なくとも1つの還元剤での前記検査試料の処理後に行われる。);並びに
    (e)工程(c)において測定された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量及び工程(d)において測定された第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の量に基づいて、前記検査試料中のヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定する工程;
    を含む、検査試料中に含有されるヒトNGAL二量体に対するヒトNGAL単量体の割合を測定する方法。
  15. 前記検査試料との接触前又は後に、前記少なくとも1つの第一の抗体が固相上に固定化されている、請求項13の方法。
  16. 前記第二の抗体/ヒトNGAL/第一の抗体複合体の形成前に、前記少なくとも1つの第一の抗体が固相上に固定化されている、請求項15の方法。
  17. 前記第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成前に、前記少なくとも1つの第一の抗体が固相上に固定化されている、請求項16の方法。
  18. 前記第一の抗体/ヒトNGAL複合体の形成後に、前記少なくとも1つの第一の抗体が固相上に固定化されている、請求項16の方法。
  19. 前記少なくとも1つの還元剤が、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンからなる群から選択される、請求項13から18の何れかの方法。
  20. 前記少なくとも1つの還元剤が約0.1mMから約500mMの量で存在する、請求項13から19の何れかの方法。
  21. 前記検出可能な標識が、放射性標識、酵素標識、化学発光標識、蛍光標識、熱測定標識及び免疫連鎖反応標識からなる群から選択される、請求項13の方法。
  22. 前記検出可能な標識がアクリジニウムである、請求項21の方法。
  23. 前記検査試料が尿又は血液試料である、請求項13から22の何れかの方法。
  24. 前記検査試料中に存在するNGALのレベルに基づいて、前記対象の尿細管細胞傷害状態を評価するために実施される、請求項13から23の何れかの方法。
  25. 前記尿細管細胞傷害が虚血性腎傷害、腎毒性傷害及び腎臓の尿細管細胞に影響を与える他の傷害からなる群から選択される傷害を含む、請求項13から24の何れかの方法。
  26. 前記方法が自動化されたシステム又は半自動化されたシステムでの使用のために適合されている、請求項13から25の何れかの方法。
  27. 検査試料中の哺乳動物NGALの存在を検出するための方法の改良において、前記方法が、
    (a)哺乳動物NGAL/抗体複合体の形成を可能とする時間及び条件下で、哺乳動物NGALを含有することが疑われる検査試料を、前記哺乳動物NGALに対して特異的な少なくとも1つの抗体と接触させること;及び
    (b)前記哺乳動物NGALの存在の指標として、形成された何れかの哺乳動物NGAL/抗体複合体を検出すること;
    を含み、
    前記改良が、検量用物質又は対照として、配列番号1又は13の配列を含むグリコシル化されたヒトNGALを使用することを含む。
  28. (a)配列番号2又は10の配列を含むグリコシル化されたヒトNGAL及び
    (b)配列番号1又は13の配列を含むグリコシル化されたヒトNGAL
    からなる群から選択される検量用物質又は対照を含む、哺乳動物NGALの検出のための診断用キット。
  29. (1)ヒトNGAL/抗体複合体の形成を可能とする時間及び条件下で、ヒトNGALを含有することが疑われる検査試料を本明細書に記載されている免疫診断試薬と接触させること、並びに
    (2)前記ヒトNGAL抗原の存在の指標として、形成された何れかのヒトNGAL/抗体複合体を検出すること
    を含み、
    前記免疫診断試薬が、
    (a)配列番号1、2、10又は13に記載されているヒトNGALタンパク質のアミノ酸残基112、118及び147を含む立体構造的エピトープへ特異的に結合する抗体;
    (b)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
    (c)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
    (d)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
    (e)ATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体;
    (f)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
    (g)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
    (h)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);及び
    (i)ATCC受託番号PTA−8026を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−903−430によって産生された抗体;
    からなる群から選択される1つ又はそれ以上の抗体を含む、検査試料中のヒトNGAL抗原の存在を検出する方法。
  30. 前記方法が自動化されたシステム又は半自動化されたシステムでの使用のために適合されている、請求項29の方法。
  31. 指示書並びに
    (a)配列番号1、2、10又は13に記載されているヒトNGALタンパク質のアミノ酸残基112、118及び147を含む立体構造的エピトープへ特異的に結合する抗体;
    (b)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域を有する。);
    (c)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
    (d)ヒトNGALへ特異的に結合する単離された抗体(該抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重ドメイン領域及び配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽ドメイン領域を有する。);
    (e)ATCC受託番号PTA−8024を有するマウスハイブリドーマ細胞株1−2322−455によって産生された抗体;
    からなる群から選択される1つ又はそれ以上の抗体を含む免疫診断試薬を含むヒトNGALを検出するための診断用キット。
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