JP2011500576A - ラミニン、派生物、及びそれらを含む組成物並びにそれらの治療用途方法 - Google Patents

ラミニン、派生物、及びそれらを含む組成物並びにそれらの治療用途方法 Download PDF

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Abstract

様々な実施例において、本開示は、ラミニン又はラミニンを含む組成物を使用して被検体を治療する方法を提供する。一つの実施例において、本方法は、被検体の筋肉再生を促進し、維持し、又は修復するために使用される。他の実施例において、本方法は、創傷治癒を助成するために使用される。さらに他の実施例において本方法は、筋肉損傷又は障害を防ぐ又は減少させるために使用される。これらの方法の具体的な実施において、ラミニン又はラミニンを含む組成物は、治療効果のある量が投与される。いくつかの実施において、ラミニンは、完全ラミニンたんぱく質である。他の実施において、ラミニンはラミニン断片、ラミニン派生物、またはラミニン類似物である。

Description

政府支援の名言
本発明は、認可番号NCRR P20 RR018751-01及びP20 RR15581-04のNational Institute of Health (NIH)及びNational Center for Research Resources、認可番号NIAMS R01AR053697-01のNational Institute of
Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases、及び認可番号NINDS R21NS058429-01のNational Institute of
Neurological Disorders and Strokeからの許可の下、合衆国政府の支援を受けてなされたものである。合衆国政府は本発明に特定の権限を有する。
本開示は、ラミニン又はラミニンを含む組成物を被検体に投与することにより被検体に治療効果を提供する方法に関する。特定の実施例において、本開示は、ラミニン又はラミニン組成物を被検体に投与することにより筋ジストロフィーを治療することのような筋肉再生の増強方法を提供する。
成熟骨格筋は、外傷又は損傷を負った後、修復及び再生する驚くべき能力を示す。骨格筋の再生能力は、基底膜下に位置し、そして筋原線維に近接する衛星細胞の貯蔵によるものである。これらの細胞は、健康で損傷のない筋肉内では静止したままであるが、筋肉損傷、運動、又は疾患に反応してすばやく活性化される。
活性化すると、衛星細胞は増殖し筋原性経路まで分化し、損傷筋肉を修復することができる。モデルは、筋原性系統経路まで進行した活性細胞を交換するために衛星細胞の亜集団が幹細胞として残存することを示す。活性化期間中、衛星細胞は筋肉修復に向けて発達プログラムを介して進行するにつれ、転写因子のPax3、Pax7、MyoD、myogenin、及びMRF4を発現する。
筋ジストロフィーは、進行性の筋力低下をもたらす遺伝性疾患群を言及するために使用される表現である。筋ジストロフィーは、様々な生理的機能の低下をもたらす骨格筋力の低下及び骨格筋タンパク質の欠損を引き起こす場合がある。筋ジストロフィーの十分な治療法は存在していない。存在する治療法は、理学療法または整形装置の提供などを通じて、一般的に疾患の影響の改善及び患者の生活の質の向上に焦点を置いている。
筋ジストロフィーと関わり合いを持つ突然変異遺伝子は、コスタメリックタンパク質ネットワークに関連するいくつかのタンパク質のコード化に関与する。そのようなタンパク質は、ラミニン−2、コラーゲン、ジストログリカン、インテグリン、カベオリン−3、アンキリン、ジストロフィン、α−ジストロブレビン、ビンキュリン、プレクチン、BPAG1b、筋肉LIMタンパク質、デスミン、アクチニン関連LIMタンパク質、α−アクチン、タイチン、テレソニン、サイファー、ミオチリン、及びサルコグリカン/サルコスパン複合体を含む。
筋ジストロフィーの最も一般的な種類であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーは、ジストロフィンの生成に関与する遺伝子の変異により引き起こされる。ジストロフィンは、基底膜を含む細胞外マトリックスに対する結合細胞に関与するタンパク質である。先天性筋ジストロフィーは、コスタメリックタンパク質の生成に影響する遺伝子変異によって引き起こされる。例えば、ヨーロッパ系統の人種において、最も一般的な先天性筋ジストロフィーは、α7β1インテグリン発現の欠如をもたらす異変により引き起こされる。ジストロフィンのように、α7β1インテグリンは細胞外マトリックスに対する結合細胞に関与している。
ある程度、ジストロフィン又はα7β1インテグリンの内の一つに対する遺伝子コード化における異常は、他の増強発現又はユートロフィン(ジストロフィン類似体)のようなコスタメトリックタンパク質によって大抵補われる。ジストロフィン、α7β1インテグリン、及びユートロフィンの全ては、ラミニンの受容体の役割を果たし、細胞外マトリックスに対する連結の役割を果たす。ラミニン−2自体の産生不全は、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー(MCMD)又は1A型筋ジストロフィー(MDC1A)を引き起こす。
ラミニンは、基底膜の主要構成要素である。少なくとも15のラミニンたんぱく質三量体が確認されており、α、β、γ鎖を含むそれぞれのヘテロ三量体である。ラミニンは、いくつかの生理的機能に関連しており、細胞接着、遺伝子発現、たんぱく質のチロシンリン酸化、細胞分化、また細胞形状及び活動を含む。ラミニンは、インテグリン受容体を介して細胞膜に結合することが知られている。また、ラミニン−2は、ジストロフィン−糖たんぱく質複合体の一部としてα−ジストログリカンに結合する。
α7β1インテグリンは、骨格筋で発現される主要ラミニン受容体である。α7β1インテグリンは、神経筋及び筋腱間接合の発達において重要な役割を果たす。成体において、α7β1インテグリンは、結合部位で濃縮され、細胞外マトリックスへ筋肉繊維の接着を仲介する外部結合領域で発見される。α7鎖欠乏のマウスは筋腱間接合に影響を及ぼす筋ジストロフィーを発症する。α7の欠乏は、筋腱間接合でマトリックス沈着不全を引き起こす。γ−サルコグリカンマウスにおけるα7インテグリンの損失は、重度の筋肉病変を招く。mdxマウスのα7の欠乏もまた、重度の筋肉病変を招き、α7β1インテグリンは、デュシェンヌ型及び他の筋ジストロフィーの主要遺伝的修飾因子としての役割を果たすことを裏付けている。
α7遺伝子における突然変異は、人体に発生する筋ジストロフィーに関与する。117名の原因不明の筋肉疾患患者の筋肉生検は、α7インテグリン鎖が欠乏していてβ1Dインテグリン鎖のレベルを低下させていた3人を明らかにした。患者は、遅延性発達マイルストンと、そしてα7β1インテグリンが神経筋と筋腱間接合発達及び機能とに果たす役割に一致する運動障害を示す。
いくつかの証拠が、α7インテグリンが筋肉発達に対して重要である可能性があることを示している。例えば、胚発生中、α7β1インテグリンは、筋原線維構造の範囲への筋芽細胞移動を制限する。MyoD(筋原性定量たんぱく質)はα7インテグリン遺伝子発現をインビトロ(in vitro)でトランス活性化し、活性衛星細胞においてα7インテグリンレベルを上昇する場合がある。衛星細胞から派生したヒト、マウス、及びラットの筋芽細胞株は、高レベルのα7インテグリンを示す。上昇α7インテグリンmRNA及びたんぱく質は、5週齢のmdxマウスの骨格筋において感知され、最大筋肉変性及び再生の期間に相互に関連する。更に、α7β1インテグリンは、筋特異α1−インテグリン結合たんぱく質(MIBP)と関連があり、C2C12筋芽細胞におけるラミニン沈着を制限する。ラミニンは、筋芽細胞移動及び増殖を支持する環境を提供する。そして、ジストロフィー骨格筋におけるα7の増強発現は、衛星細胞数の増加をもたらす。
米国特許第6,933,280号 米国特許第5,444,158号 米国公開公報第2006/0014287号 米国公開公報第2007/0025972号
Langer, "New Methods of Drug Delivery," Science 249:1527-1533 (1990) Banga, Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation, Processing, and Delivery Systems 2ed. (2005) Mahato, Biomaterials for Delivery andTargeting of Proteins and Nucleic Acids (2004) McNally, Protein Formulation and Delivery,2ed. (2007) Kumar et al., "Novel Delivery Technologiesfor Protein and Peptide Therapeutics," Current Pharm. Biotech., 7:261-276(2006) Gilman et al., eds., Goodman And Gilman's The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th ed., Pergamon Press (1990) and Remington's Pharmaceutical Sciences,17th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1990) Rooney et al., J. Cell Sci.119:2185-2195 (2006) Shefer, et al., J. Cell Sci. 117:5393-5404 (2004) Shefer, et al.,Methods Mol. Biol. 290:281-304 (2005)
今まで、筋ジストロフィーを治療する、又は改善するための様々な努力は、コスタメリックネットワークの様々な成分の発現増強を伴っている。しかしながら、これらのアプローチはインビトロ、又は遺伝子導入動物において多少の見込みを示している一方で、一般的には人体に効果的な結果を残しておらず、そして人体で達成されることができる治療の方法を提供できていない。このような治療方法は、実施することが非常に困難であることがよく知られている。
しかしながら、たんぱく質、具体的には大型たんぱく質、の直接投与が非常に難しいことがよく知られている。例えば、大型、高荷電、短い半減期、乏しい耐久性、高免疫原性、及び膜透過性の低さは、投与されたたんぱく質の生体利用効率を制限する場合がある。更に、投与の方法によっては、被検体の自然の生理的過程が投与されたたんぱく質を攻撃し、分解してしまう場合がある。例えば、ラミニンは細胞外マトリックスとしての役割を果たすことが知られているが、具体的には大型で(通常>600kD)高荷電分子であり、結果として患者への投与の困難さが予想されていた。従って、今までの試みは治療剤の直接投与よりむしろ更に高機能な治療に焦点が置かれてきた。
様々な実施例において、本開示は、ラミニン又はラミニンを含む組成物で被検体を治療する方法を提供する。例えば、いくつかの実施例は、フラグメント、派生物、又はそれらの類似体を含むラミニン又はラミニンを含む組成物の効果的な量を被検体に投与することにより、被検体の筋肉再生の強化、維持、又は修復などの筋肉の健康を改善する方法を提供する。更なる実施例において、ラミニンはラミニン−1、ラミニン−2、ラミニン−4、及びそれらの組み合わせから選択される。更なる実施例において、ラミニン又はラミニン組成物は、少なくともラミニン−1、ラミニン−2、又はラミニン−4に実質的に同質の物質を含む。更なる実施において、ラミニン又はラミニン組成物は、少なくともラミニンα1鎖に実質的に同質のポリペプチドを含む。
その他の例において、ラミニン又はラミニン組成物は、ラミニン−1、ラミニン−2、ラミニン−4、及びそれらの組み合わせからなる。他の例において、ラミニン又はラミニン組成物は、少なくともラミニン−1、ラミニン−2、又はラミニン−4に実質的に同質の物質を含む。更に他の実施において、ラミニンまたはラミニン組成物は、少なくともラミニンα1鎖に実質的に同質のポリペプチドを含む。具体的な例において、ラミニン又はラミニン組成物は、例えば完全ラミニンたんぱく質だけを含んだラミニンフラグメントを含まない。
更に他の例において、ラミニン又はラミニン組成物は、原則的にラミニン−1、ラミニン−2、ラミニン−4、及びそれらの組み合わせからなる。更に他の例において、ラミニン又はラミニン組成物は原則的に、少なくともラミニン−1、ラミニン−2、又はラミニン−4に実質的に同質の物質を含む。更に他の実施において、ラミニンまたはラミニン組成物は原則的に、少なくともラミニンα1鎖に実質的に同質のポリペプチドを含む。具体的な例において、ラミニン又はラミニン組成物は、完全ラミニンたんぱく質だけを原則的に含んだラミニンフラグメントを含まない。
開示された方法の更なる実施は、ラミニン又はラミニンを含む組成物の投与により治療可能な状態を有するように被検体を診断することを含む。他の例において、被検体は、先天性筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、又は肢帯筋ジストロフィーなどの筋ジストロフィーを患っているとして診断される。更なる例において、その状態は、ラミニン、インテグリン、ジストロフィン、ユートロフィン、又はジストログリカンの減少又は非生成のような、細胞外マトリックスの構成又は維持に関連した一つかそれ以上のたんぱく質を発現するように、被検体の障害又は被検体の能力の減衰により特徴付けられる。
具体的な実施例において、本開示は被検体体内においての筋肉再生を増大するための方法を提供する。例えば、高齢の被検体、筋疾患を患う被検体、及び運動による損傷のような、活動により引き起こされる筋障害を含む筋障害を患う被検体は、本実施例から利益を受けるであろう。
本開示の更なる他の実施例において、ラミニン又はラミニン組成物は、筋損傷又は障害(活動又は運動による損傷など)を予防又は減少するためなどの予防方法として投与される。例えば、高齢の被検体、筋肉損傷を受ける傾向のある被検体、又は運動選手のような筋肉損傷を受ける危険性のある被検体は、筋肉損傷、筋障害、又は筋肉疾患を解消する又は改善するために治療されてもよい。
本開示の開示は、創傷治癒の促進に使用されてもよい。いくつかの例において、ラミニン又はラミニンを含む組成物は、創傷に直接または最も近くに投与される。他の例において、その物質は全身に投与される。一般的にその物質は創傷が起きた後に投与されるが、いくつかの例においてはその物質は予め投与される。
他の実施例において、本開示の方法は、ラミニン又は治療薬のような一つかそれ以上の追加の薬理的物質を含むラミニン組成物の投与を含む。いくつかの観点において、追加の治療薬は、ラミニン又はラミニン組成物の治療効果を強化する。他の観点において、治療薬は治療される状態に対して独立した治療有益を提供する。様々な例において、追加の治療薬は、インテグリン、ジストロフィン、ジストログリカン、ユートロフィン、又は増殖因子のような細胞外マトリックスの構成要素である。他の例において、治療薬は、細胞外マトリックスの構成又は維持を増強する物質の発現を減少又は増強する。
いつくかの例において、ラミニン又はラミニン組成物は、治療される被検体の特定の部位に投与される。例えば、ラミニン又はラミニン組成物は、筋肉のような治療される特定の部位に投与されてもよい。他の例において、ラミニン又はラミニン組成物は、全身投与又は部分投与のような被検体の複数の部位に分散されるように投与される。
ラミニン又はラミニンを含む組成物は、局所的、非経口(静脈注射又は腹腔内になど)、又は経口などのあらゆる適当な方法で投与されてもよい。特定の例において、ラミニン又はラミニン組成物は、腹部又は腹膜注射のような非経口投与などによって全身に投与される。
開示された方法は一般的に筋肉再生に関して説明されているが、他の組織及び臓器の修復又は維持、又はそれらに対する損傷を防ぐために使用されてもよい。例えば本開示の方法は、脳機能障害または脳機能変性、平滑筋、又は心筋などの骨格筋以外にも、細胞又は組織に対する効果から生じる筋ジストロフィーの症状を治療するために使用されてもよい。
本開示の様々な実施例の付随的な特徴及び有意な点が存在する。それらは後述の開示から明白になるであろう。
これに関して、これがここに説明される様々な実施例の簡単な要約であることは当然のことである。本開示の特定の実施例は、上述の全ての特性を提供する必要はなく、上述された従来技術における全ての問題を解決又は対処するわけではない。
坑α7インテグリンモノクローナル抗体を使用したネスチン−GFP遺伝子導入マウスから分離した筋線維の免疫蛍光画像である。 心臓毒由来損傷の4日、10日、28日後の野生型及びα7インテグリン欠損マウスの前脛骨筋の写真である。 野生型及びα7インテグリン欠損マウスにエバンズブルー染色の取り込みを示した図である。 野生型及びα7インテグリン欠損マウスの組織断片のヘマトキシリン及びエオキシン染色の顕微鏡写真である。 野生型及びα7インテグリン欠損マウスの中心核の割合を示したグラフである。 野生型及びα7インテグリン欠損マウスの胚期ミオシン重鎖発現のグラフである。 野生型及びα7インテグリン欠損マウスの筋線維断面部位のグラフである。 野生型及びα7インテグリン欠損マウスにBrdU(Bromodeoxyuridine/ブロモデオキシウリジン)の取り込みを示したグラフである。 野生型及びα7インテグリン欠損マウスにおけるPax7発現を示したグラフである。 野生型及びα7インテグリン欠損マウスにおけるMyoD発現を示した図である。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスから分離した筋線維の免疫蛍光画像である。 心臓毒由来損傷の4日、10日、28日後のラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスの前脛骨筋の写真である。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスにエバンズブルー染色の取り込みを示した図である。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスの組織断片のヘマトキシリン及びエオキシン染色の顕微鏡写真である。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスの中心核の割合を示したグラフである。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスの胚期ミオシン重鎖発現のグラフである。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスの筋線維断面部位のグラフである。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスにおけるBrdU(Bromodeoxyuridine/ブロモデオキシウリジン)の取り込みを示したグラフである。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスにおけるPax7発現を示したグラフである。 ラミニン−1で処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスにおけるMyoD発現を示した図である。 α7βgal+/-筋管が、筋管(右パネル)に対する分化にともない増加するβ−ガラクトシダーゼ(左パネル)を発現することを説明しているX-gal染色の画像である。 0〜72時間分化されたα7βgal+/-細胞におけるα7インテグリン及びβ−ガラクトシダーゼのウエスタン解析の画像である。 α7βgal+/-筋管が、100 nM LAM-111の処置後β−ガラクトシダーゼの増加発現を示すことを説明している蛍光標示式選別(FACS)グラフ(側方乱光とFITCスキャニング(強度)のログ)である。 ラミニン−111−並びにリン酸緩衝食塩水処理C2C12及びデュシェンヌ型筋ジストロフィー筋芽細胞におけるα7Bインテグリン及びCox-1発現のウエスタン解析の画像である。 ラミニン−111−並びにリン酸緩衝食塩水処理C2C12及びデュシェンヌ型筋ジストロフィー筋芽細胞におけるα7Bインテグリン発現のグラフ(ピクセル対平方ミリメートル)である。 対照の前脛骨筋、リン酸緩衝食塩水処理及びラミニン−111処理筋肉の免疫蛍光画像(尺度図=10μm)であり、ラミニン−111又はリン酸緩衝食塩水で処理されたジストロフィン欠損mdx筋肉を示し、また、野生型及びリン酸緩衝食塩水が注射されたラミニン−111欠損mdx筋肉の一方で、ラミニン−111はラミニン−111が注射されたmdx筋肉の細胞外マトリックスにおいて感知されることを示している。 野生型、リン酸緩衝食塩水が注射されたmdx筋肉、及びラミニン−111が注射されたmdx筋肉に対してヘマトキシリン及びエオシン(上パネル)染色及びエバンズブルー染色(EBD)取り込み(下パネル)の顕微鏡画像(尺度図=10μm)であって、ラミニン−111が注射された筋肉は、リン酸緩衝食塩水が注射されたmdx筋肉と比較して中心核及びEBD取り込みの減少を示した。 野生型、リン酸緩衝食塩水が注射されたmdx筋肉、及びラミニン−111で処置された筋肉、に対するエバンズブルー染色取り込み(左側グラフ、陽性繊維の割合)及び中心核のグラフを提供する。 α7インテグリン、ユートロフィン、及びα−ブンガロトキシンの存在又は欠如を示している、野生型、リン酸緩衝食塩水処置されたmdx筋肉、及びラミニン−111治療された筋肉、の免疫蛍光画像(尺度図=10μm)である。 野生型筋肉、リン酸緩衝食塩水処置されたmdx筋肉、及びラミニン−111治療された筋肉における、ジストロフィン、ユートロフィン、α7Aインテグリン、α7Bインテグリン、β1Dインテグリン、及びCox−1発現のウエスタン分析の画像である。 野生型筋肉、リン酸緩衝食塩水処置されたmdx筋肉、及びラミニン−111治療された筋肉に対する、α7Aインテグリン/Cox−1(上グラフ)、α7βインテグリン/Cox−1(中央グラフ)、及びユートロフィン/Cox−1(下グラフ)の割合のグラフである。 野生型筋肉、リン酸緩衝食塩水処置されたmdx筋肉、及びラミニン−111治療された筋肉の免疫蛍光画像(尺度図=10μm)であって、mdxマウスで腹腔内に送達されたラミニン−111の1mg/kgの1投与は、心臓、横隔膜、及び腓腹筋に対する局在をもたらすことを示している。 ラミニン−111は、ラミニン−111の腹腔内注射に従ってmdxマウスの横隔膜に渡って位置することを示している、リン酸緩衝食塩水処置mdx筋肉(左画像)及びラミニン−111(右画像)処置mdxマウスの横隔膜の免疫蛍光画像である。 野生型筋肉、リン酸緩衝食塩水が注射されたmdx筋肉、及びラミニン−111治療された筋肉に対するクレアチン(md/dl)および血中尿素窒素(md/dl)レベルのグラフである。
略記
PBS リン酸緩衝食塩水
LAM−111 α1β1γ1鎖を含むラミニン−1
NaCl 塩化ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
HCl 塩化水素
MCMD、MDC1A メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
eMyHC 胚性ミオシン重鎖
BrdU ブロモデオキシウリジン
TA 前脛骨
H&E ヘモキシリン&エオシン
GFP 緑色蛍光たんぱく質
WT 野生型
EBD エバンズブルー染色
DMD デュシェンヌ筋ジストロフィー
CLN 中心核
nmol ナノモル
nM ナノモル
MyoD 筋原定量たんぱく質
MIBP 筋特異α1−インテグリン結合たんぱく質
FACS 蛍光標示式細胞分取
FITC フルオレセインイソチオシアネート
Pax7 Pax7
Pax3 Pax3
Cox−1 シクロオキシゲナーゼ
MRF4 MRF4
用語
本実施例の理解を容易にするために、後述の説明が提供される。
他に説明されない限り、ここに使用されるすべての技術的及び科学的表現は、本開示が属する当業者にとって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。対立がある場合、用語の説明を含む本明細書が支配する。単数表現の“一つの”及び“この”は、文脈で明白に述べない限り、複数の対象を含む。同じように、“又”という言葉も、文脈で明白に述べない限り、“及び”という意味を含むことを意図している。“からなる”という表現は“含む”という意味であり、従って“A又はBからなる”は“A又はBを含む”、又は“A及びBを含む”という意味である。ここに与えられる端点(排除されない限り)及び端点間のいかなる全ての中間範囲の範囲は、全ての値を含む。
ここで説明されるものに類似する又は同等な方法及び物質は、本開示の実行又は試験に使用されてもよいが、適当な方法及び物質はここに説明される。開示された物質、方法、及び用例は説明のためだけであり、制限を意図するものではない。
“筋肉”は、いかなる筋芽細胞、筋細胞、筋線維、又は筋肉細胞からなるほかの構造を言及する。筋肉又は筋細胞は、骨格筋、平滑筋、又は心筋であってもよい。本開示の特定の実施において、筋肉は細胞又は幹細胞及び衛星細胞のような筋細胞を形成することができる他の物質を言及してもよい。
“細胞外マトリックス”とは、組織又はその層の細胞外構造を言及し、コラーゲン及びエラスチンのような構造たんぱく質と、フィブロネクチン及びラミニンのようなたんぱく質と、プロテオグリカンと、を含むたんぱく質のような一つかそれ以上のマトリックス構成要素の配列、構成、及び形状を含む。マトリックスは、繊維のネットワークを有するフィブリリンコラーゲンを含んでいる場合がある。いくつかの例において、細胞外マトリックスは、コスタメリックたんぱく質ネットワークを介して細胞に結合している。
“組織”は、動物の構造物質の一つを形成し、また結合組織、上皮、筋組織、及び神経組織を含む動物内の細胞物質と共に、一般的には特定の種類の細胞の集合を言及する。
“被検体”は、動物などの生命体を言及しそれらには治療が施される。被検体は、人間、豚、ネズミ、牛、犬、猫、及び霊長類のような哺乳類を含む。
“ラミニン”は、一般的に細胞外マトリックスの構成及び維持に関係するいかなる糖たんぱく質の種族を言及する。ラミニンは、α鎖、β鎖、及びγ鎖から形成されるヘテロ三量体である。特定のラミニンは様々な鎖は、分子の特性に影響を与える場合がある。本開示のいくつかの観点において、少なくともラミニンα1鎖に実質的に類似した一部を少なくとも有するラミニンのような、様々なラミニンのフラグメント、派生物、又は類似物が使用されてもよい。
本開示に使用される“少なくとも実質的に同属な”は、筋肉再生、維持、又は修復、又は創傷治癒において、基準物質の活動の少なくとも一部を生成するのに十分な同属の度合いを言及する。いくつかの例において、基準物質に対して少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%同属であるとき、物質は少なくとも実質的に同属である。
ここに使用される“フラグメント”は、ラミニンのような物質の一部を言及する。いくつかの例において、フラグメントは特定のたんぱく質のドメイン又は鎖である場合がある。例えば、本開示の特定の実施例は、ラミニンα1鎖の少なくとも一部に対応するラミニン−1のフラグメントの投与に関連している。フラグメントは合成物質か或いは大型親物質から派生していてもよい。
ここに使用される“派生物”は、ラミニンまたはその一部のような物質の形状を言及し、親組成物と比べて変化、追加、又は除去された少なくとも一つの機能グループを有する。
“機能グループ”は、物質に物理的又は化学的性質を追加する炭化水素基以外の基を言及する。
ここに使用される“類似物”は、元の合成物のような所望の目的に対する類似の機能的活動を有するように、合成物に十分に同属である合成物を言及する。類似物は、特定の物質と比べて一つかそれ以上のアミノ酸物質を含むポリペプチドを含む。
いくつかの観点において、ラミニンはフラグメント、類似物、及びそれらの派生物を含むラミニンの混合物として投与される場合がある。ラミニンドメインの類似物を準備する適切な方法は、特許文献1に開示されており、その開示内容に矛盾しない範囲で引用して援用する。
本開示のラミニン又は組成物は、離散分子として送達される場合があり、また他の物質に複合或いは接合される場合がある。例えば、ラミニンは、ラミニンの関心部位への送達を補助するため、または生理学的取り込み或いはラミニンの取り込みを増加するために、担体と結合する場合がある。
特定の例において、投与されるラミニンは、ラミニン−1(LAM-111)を含むか又はそれから成り、鎖α1β1γ1を含む。他の例において、投与されるラミニンはラミニン−2を含むか又はそれから成り、鎖α2β1γ1を含む。更に他の例において、投与されるラミニンはラミニン−4を含むか又はそれから成り、鎖α2β2γ1を含む。
ラミニンは適切な原料から得られてもよい。例えば、ラミニン−1は胎盤組織又はEHSマウス肉腫から得られてもよい。様々なラミニンを分離する適当な方法は、特許文献2に開示されており、その開示内容に矛盾しない範囲で引用して援用する。
生物学的原料が得られる例えば動物や哺乳類、またはそれらの一部のような“生物学的起源”は有機体と言及される。そのような物質の例は、胎盤又は肉腫のような組織サンプル;衛星細胞のような細胞;ラミニン又はそれらの他の成分を含む細胞外物質;又は有機体の中で見つけられる有機又は無機物、を含む。
“筋肉の健康の改善”は、既存の状態又は治療の欠如で発生するであろう状態と比較した筋肉における健康の改善を言及する。例えば、筋肉の健康の改善は、筋肉再生の強化、維持、又は修復を含む。筋肉の健康の改善はまた、筋肉損傷又は障害を防ぐ或いは減らすために被検体を事前に治療することも含む。
“再生は”、例えば筋肉細胞又は筋肉細胞を含む組織(又は臓器)などの細胞又は組織の修復を言及し、障害又は損傷後、筋肉又は組織を筋肉又は組織が障害又は損傷が起こる前に似た状態に少なくとも部分的に回復させる。再生はまた、疾患による影響を取り除く或いは改善するためにそのような細胞又は組織に影響する疾患を抱えた被検体内の細胞又は組織の修復を容易にすることも言及する。いくつかの具体的な例において、再生は、細胞又は組織を障害や損傷が起こる前、或いは疾患が存在しない状態と同じ状態又は改善した生理学的状態にする。
筋肉細胞又は筋肉細胞を含む組織(又は臓器)のような細胞又は組織の“維持”は、例えば損傷、障害、又は疾病を通常引き起こすであろう刺激の存在下でそのような状態事象を維持することのような、細胞又は組織を少なくとも実質的に同じ生理学的状態に維持することを言及する。
筋肉細胞又は筋肉細胞を含む組織(又は臓器)などの細胞又は組織の“修復”は、損傷又は他の外傷の後の細胞又は組織に対する損傷回復の生理的過程を言及する。
“投与”は、被検体が物質から治療的有用性を受けることができるように、一つかそれ以上の物質を被検体に提供することを言及する。ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療的物質は、一般的に、局所、経鼻、静脈注射、経口、頭蓋内、筋肉注射、非経口、又はインプラントなどにより投与されるが、原則としては直腸又は膣内使用も可能である。ラミニン又はそれらの組成物はまた、これらの技術の組み合わせを使用して被検体に投与されてもよい。
適当な固形又は液体の医薬品の形状は、例えば、噴霧器、(マイクロ)カプセル、クリーム、ドロップ、ドロップ又はアンプル上の注射可能な溶液、乳液、顆粒、粉、坐薬、懸濁液、シロップ、タブレット、被膜タブレット、及び活性化合物の持続放出製剤であり、その調合において、例えば結合剤、被膜剤、崩壊剤、着香料、滑剤、可溶化剤、甘味料、又は膨張剤のような医薬賦形剤及び添加物及び/又は助剤が上述されたように通常使用される。医薬品は、様々な薬物送達システムでの使用に適している。様々な薬物送達システムの簡単なレヴューについては、非特許文献1を参照し、その開示内容に矛盾しない範囲で引用して援用する。
本開示のラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、被検体に対して非経口又は経口で投与されることができる治療的活性医薬組成物に処方されてもよい。非経口投与法は、表皮、動脈内、筋肉内(IM及びdepot
IM)、腹腔内(IP)、静脈(IV)、胸骨内注射又は点滴、経鼻(吸入)、髄空内、腹部注射、皮下注射(SQ及びdepot
SQ)、経皮、局所、及び点眼を含むが、これに限定されない。
ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、医薬品を生成するために医薬的に認められる適当な添加剤と混合又は結合されてもよい。医薬的に認められる添加物は、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、中和剤(リン酸など)、グリシン、イオン交換体(例えば帯電物質の放電制御を助ける)、レシチン、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、ソルビン酸カリウム、血清たんぱく質(例えば人体血清たんぱく質)、ソルビン酸、水、塩又はセルロース基物質のような電解質、コロイドシリカ、リン酸水素二ナトリウム、三ケイ酸マグネシウム、ポリアクリル酸、例えばポリエチレン・グリコールのようなポリアルキレン・グリコール、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、ポリビニルピロリドン、カリウムリン酸水素、硫酸プロタミン、塩化ナトリウムのようなグループ1ハロゲン化物塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ワックス、羊毛脂、及び亜鉛塩、などであるがこれに限定されない。リポソーム懸濁液もまた、医薬的に認められる担体に適している。
ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬の混合又は添加により、生成される混合物は、固形、液体、懸濁液、乳液、又は類似物であってもよい。これらは当業者に周知の方法に従って生成される場合がある。生成される混合物の形状は、意図された投与方法及び選択された担体における溶剤の溶解性を含むいくつかの要因による。
ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬の投与に適した薬剤担体は、特定の投与方法に適当であることが知られているいかなるそのような担体を含む。更に、ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、所望の作用を損なわない他の不活性又は活物質、或いは所望の作用に補助的な物質、又はその他の作用を有する物質と混合されてもよい。
溶解のための方法は、薬剤が担体の中で不十分な溶解を示す際に使用される場合がある。そのような方法は、ジメチルスルホキシドのような共溶媒及びTWEEN(登録商標)(ICI
Americas, Inc., Wilmington, DE)のような界面活性剤を使用する含水重炭酸ナトリウムでの溶解が含まれ周知されているがこれに限定されない。
ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、コーティングまたは持続放出型処方のような体内からのそれらの急速な排出を防ぐ担体で準備されてもよい。そのような担体は、マイクロカプセル化した伝達システムのような制御放出処方を含むが、これに限定されない。ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、一般的には治療被検体に望まない副作用を避けるための量である治療的に有用な効果を発揮するために十分な量で治療的に認められる担体に含有される。治療的に効果のある濃度は、治療状態に対して周知のインビトロ及びインビボモデルシステムにおいて組成物をテストすることにより、実験的に測定される場合がある。例えば、筋ジストロフィーのマウスモデルは、当業者に知られているように、人体などの他の対象物に変換されてもよい有効な量及び濃度を測定するために使用されてもよい。
注射可能な溶剤又は懸濁液は、適当な毒性のない経口投与が可能な賦形剤又は溶媒を使用して処方されてもよい。それらは例えば、1,3−ブタンジオール、生理食塩水、マンニトール、リンガー溶液、食塩水、又は水;又は、剛性モノグリセリド或いはジグリセリドを含む殺菌、無菌、固定油、及びオレイン酸を含む脂肪酸などの適当な分散又は懸濁溶剤;ヤシ油、綿実油、ピーナッツオイル、ゴマ油、及び類似物のような天然素材である植物油;グリセリン;ポリエチレン・グリコール;プロピレン・グリコール;又はその他の合成溶媒;ベンジルアルコール及びメチルパラベンなどの抗菌性溶媒;アスコルビン酸及び亜硫酸水素ナトリウムのような坑酸化物質;アセテート、クエン酸塩、及びリン酸塩のような緩衝剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤;塩化ナトリウム及びブドウ糖のような弾力調整用の溶媒;及びそれらの組み合わせである。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス、プラスチック、又は適当な素材で形成された複数投与量バイアルに封入されてもよい。緩衝剤、保存料、酸化防止剤及びその他は、要望に応じて取り込まれてもよい。静脈投与される場合、適当な担体は、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水(PBS)、及びグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びそれらの混合物のような濃化剤及び溶解剤を含む溶剤を含む。組織標的化リポソームを含むリポソーム懸濁液は、医薬的に認められる担体として適当である。
局所使用のために、ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、クリーム、ローション、軟膏、液体、又は適当な水性又は非水性担体の懸濁液として生成されてもよい。局所使用は、経皮貼布又は治療物質を含んだ包帯によって達成される場合もある。添加物は、例えばメタ重亜硫酸ナトリウム又はエデト酸2ナトリウムなどの緩衝剤;フェニル酢酸第二水銀又は硝酸エステル、塩化ベンザルコニウム、或いはクロルヘキシジンを含む殺菌及び抗菌剤などの保存料;及びヒプロメロースなどの増粘剤を含んでいてもよい。
ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬が懸濁液として経口で投与される場合、医薬組成物は、医薬処方の当業者に周知の技術に従って準備されてもよい。その医薬組成物は、アルギン酸又はアルギン酸ナトリウムなどの懸濁剤、微結晶性セルロースなどの増量剤、メチルセルロースのような粘性強化剤、及び甘味料/着香料を含んでいてもよい。経口液体製剤は、例えばゼラチン、グルコースシロップ、水素化食用脂、メチルセルロース、ソルビートル、及びシロップなどの懸濁;アラビアゴム、レシチン、又はソルビタンオレイン酸モノエステルなどの乳化剤;例えばアーモンドオイル、分割ヤシ油、グリセリンのような油性エステル、ポリピレングリコール、又はエチルアルコールなどの非水性担体(食用油を含む);パラオキシ安息香酸メチル又はプロピル或いはソルビン酸などの保存料;及び必要な場合は従来の香料又は着色料、を含んでいてもよい。即効型錠剤として処方されたとき、これらの組成物は、第二リン酸カルシウム、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、及びスターチ及び/又は他の結合剤、賦形剤、崩壊剤、増量剤、及び滑剤を含んでいてもよい。
経口投与が望まれる場合、ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、胃の酸性環境から守るための要素を備えていてもよい。例えば、ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、その完全な状態を胃の中で維持し、活性組成物を腸で発散する腸内コーティングが施されていてもよい。ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、耐酸性又は他のそのような成分の組み合わせで処方されてもよい。
経口組成物は、一般的に不活性希釈剤又は可食性担体を含み、錠剤に圧縮されるか又はゼラチンカプセルに封入される。治療投与の目的のために、ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、賦形剤と混ぜ合わされ、カプセル、タブレット、又はトローチの形状に用いられる。医療的に相溶性補助物質または結合剤は、組成の一部として含まれてもよい。
カプセル、ピル、錠剤、トローチ及び類似物は、後述の成分又は同類の性質の組成物を含んでいてもよい:これに限定されないが、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、トラガカント・ゴム、ポリビニルピロリドン、又はソルビートルなどの結合剤;リン酸カルシウム、グリシン、ラクトース、微結晶性セルロース、又はスターチなどの充填剤;これに限定されないが、アルギン酸及びコーンスターチなどの崩壊剤;これに限定されないがステアリン酸マグネシウム、ポリエチレン・グリコール、シリカ、又はタルクなどの滑剤;これに限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンのような甘味料;じゃがいも澱粉などの錠剤分解物質;ラウリル硫酸ナトリウムなどの分散剤又は湿潤剤;及びペパーミント、メチル・サリチル酸、又はフルーツ香味料などの着香料。
投与形状がカプセルの場合、上述のタイプの物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含んでいてもよい。更に、投与形状は、例えば糖衣及び他の腸溶性剤などの投与ユニットの物理的投与形状を修正する様々な他の物質を含んでいてもよい。ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、水、茶、チューインガム、その他の要素として投与されてもよい。シロップは、活性組成物に加えて甘味料としてサクロース又はグリセリンを、また特定の保存料、脱色剤並びに着色剤、及び香料を含んでいてもよい。
経口で投与されるとき、組成物は通常の経口投与の形状で投与されてもよい。これらの投与形状は、錠剤及びカプセルの通常の固形形状、並びに溶剤、懸濁液、及びエリキシル剤の液状を含む。固形投与形状が使用されるとき、それらは除放性であってもよいので、組成物は頻繁に投与される必要がない。
本開示の別箇所で説明されたように、驚くことに事前の期待に反して、ラミニンは被検体に容易に吸収されると定義され、生理学的に利用されている。例えば、被検体の腹部に注射されたラミニンは、様々な筋肉グループなどの被検体の全身に取り込まれることが立証されている。腹腔内注射は、横隔膜、腓腹筋、及び心筋へのラミニンの分布を含むラミニンの全身への分布も引き起こした。更なる例において、投与が筋肉注射により生じるとき、ラミニンは近くの筋肉グループにまで浸透することが確認されている。その結果、ラミニンの投与は、特に巨大たんぱく質などの他のたんぱく質を苦しめていたいくつかの重度の送達問題に悩まされることはないであろうと信じられている。たんぱく質を含んだ治療薬の投与方法及び組成物の例は、非特許文献2、3、4、及び5で説明されたものを含み、その開示内容に矛盾しない範囲で引用して援用する。
疾病又は病気を“抑制する”とは、例えば疾病にかかる危険性のある被検体又は特定の疾病を抱える被検体における疾病又は病気の発生の抑制を言及する。本開示の特定の方法は、筋ジストロフィーの抑制方法を提供する。“治療”とは、疾病又は病気の兆候又は症状が現れた後にそれらを改善する治療的介入を言及する。ここに使用されるように、疾病又は病気に関して“改善する”という表現は、治療のあらゆる観測可能な有益な効果を言及する。有益な効果は、病気にかかりやすい被検体の疾病又は病気の臨床症状の発症遅延、疾病又は病気のいくつかの又は全ての臨床症状の重症化の軽減、疾病又は病気の緩やかな進行、疾病又は病気の再発数の低減、被検体の健康全般又は健康の改善、特定の疾病又は病気に特有である当業者に周知のパラメータ、及びこれらの要因の組み合わせにより立証されることができる。
“治療的に効果的な量”は、治療される疾病、障害、病気の少なくとも一つの症状を軽減、改善、排除、予防、又は抑制するのに効果的な量を言及し、それは実験的に測定されてもよい。本開示の様々な実施例において、“治療的に効果的な量”は、対照と比較して筋肉細胞再生のような組織又は細胞再生の統計的に著しい促進を達成するのに十分な量である“筋肉再生促進量”である。
具体的には、筋肉細胞再生、維持、又は修復などの筋肉の健康の指標は、Pax7、Pax3、MyoD、MRF4、及びミオゲニンなどの転写因子のような筋肉再生の監視マーカーを含む様々な方法により評価されてもよい。例えば、そのようなマーカーの発現の増加は、筋肉再生が行われている、若しくは最近起きたことを指し示す場合がある。胚性ミオシン重鎖(eMyHC)の発現のような筋肉再生のマーカーは、筋肉再生、維持、又は修復の程度を測定するために使用されてもよい。例えば、eMyHCの存在は、被検体の体内において筋肉再生が直近で起きたことを指し示す場合がある。
筋肉細胞再生、維持、又は修復は、筋肉細胞又は筋線維の周囲の長さ又は経筋断面を測定することにより監視されてもよい。付随的な筋肉状態の指標は、筋肉の重さと筋肉たんぱく質含有量を含む。分裂指数(BrdU取り込みの測定など)及び筋形成は、筋肉再生の程度を評価するのに使用されてもよい。
具体的な例において、再生のような筋肉状態の改善は、対照と比較して少なくとも10%、少なくとも30%、又は少なくとも50%、或いはそれ以上である。
いくつかの実施において、ラミニン又はラミニン組成物の効果的な量は、3ヶ月又は4ヶ月ごと、月、週、又は日のような一回あたり単回投与として、或いは期間を通して2回投与に分けられ投与される。治療は、所望の結果を得るために必要な限り続けられてもよい。例えば、継続治療を含めて治療は約3週間又は4週間から12ヶ月から24ヶ月以上まで継続されてもよい。組成物はいくつかの容量で断続的に投与されてもよく、例えば数日ごと(例えば少なくとも二日、三日、四日、五日、又は十日ごと)、又は数週間ごと(例えば少なくとも二週間、三週間、四週間、五週間、又は十週間ごと)である。
具体的な投薬計画は、特定の被検体、治療される病気、又は所望の結果により適合されてもよい。例えば、本開示の方法が筋ジストロフィー又は類似の病気の治療に使用される場合、初回の投薬計画は、病気の進行を止めるために使用されてもよい。そのような初回の治療計画は、ラミニン又はラミニン組成物の高投与量の投与、又は連日投与のようなより頻繁な物質の投与を含む。所望の筋肉再生のレベルなどの所望の治療結果が得られた後、第二弾の投与計画が適用されてもよく、それは例えば低投与量のラミニン又はラミニン組成物の投与、又は月ごと、2ヶ月ごと、4ヵ月ごと、又は半年ごとなどの頻度での投与である。そのような場合において、第二弾の投与計画は、所望の筋肉再生のレベルの修復又は維持のための“効果促進剤(booster)”としての役割を果たしてもよい。類似の治療計画は、高齢被検体のような筋肉再生機能が低下又は減少した被検体に対しても使用されてもよい。
本開示の特定な方法が、運動又は怪我によって生じる損傷などの筋肉損傷を防ぐため又は軽減するために使用される場合、被検体は治療効果をもたらすために運動又は怪我の前に通常効果的な期間治療される。例えば被検体は、予定された運動又は怪我の可能性の例えば約48時間前、約72時間前、約一週間前、約二週間前、約三週間前、又は約四週間前、或いはそれ以上など、少なくとも24時間前に治療されてもよい。
本開示の方法の実施例が、創傷治癒を促進するために使用される場合、ラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬は、治療される部位に直接又はその近くに適用されてもよい。例えば物質はその部位に又は近くに注射されてもよい。他の例において、物質は治療される部位に局所的に適用されてもよい。治療は一般的に怪我の前から開始され怪我後数週間まで続けられる。より具体的な実施において、治療は、怪我の後約12時間から72時間の間に施され、例えば怪我後約24時間から48時間の間である。いくつかの場合において、所望の治療効果をもたらすために物質の単回投与が効果的である。他の例においては、所望の治療効果を得るために更なる投与が提供される。
本開示の様々な治療に対して効果的な量はもちろん、疾病の重症度及び被検体の体重並びに一般的症状、そして治療的活性組成物又は成分の吸収、不活性、及び排せつレート、投薬計画、及び投薬量、また当業者にとって周知であるそれ以外の要素により決まる。正確な投薬及び投与周期は、投与される具体的なラミニン、ラミニン組成物、又は他の治療薬、治療される具体的な病気、治療される病気の重症度、年齢、体重、特定の被検体の一般的な体調、及び被検体が受けている投薬によって決まることは、当業者にはまた明白なことである。一般的に、インビトロに使用される投薬量は、医薬組成物のインビボ投与に有用な量の有効なガイダンスを提供することができ、また動物モデルは特定の疾患の治療のための有効な投薬量を測定するために使用されてもよい。例えば、筋ジストロフィーのマウスモデルは、当業者に周知なように、人間などの他の被験者に対する投薬量に置き換えられてもよい有効な投薬量を測定するのに使用される場合がある。様々な投薬量測定に関しては、非特許文献6、7、及び8で開示されており、それらはその開示内容に矛盾しない範囲で引用して援用する。
具体的な例において、ラミニンまたはラミニン組成物は、例えば約2fmol/gから約20fmol/gの間、又は約2fmol/gから約10fmol/gの間などの、約10fmol/gから約500fmol/gの間のラミニンの投薬量を提供するために十分な量が被検体に対して投与される。他の付随的な例において、ラミニン又はラミニン組成物は、約0.01μg/kgから約1000μg/kgの間、又は約0.1mg/kgから約1000mg/kgの間のラミニン投薬量を提供するのに十分な量が投与され、具体的な例においては、この量が一日ごとまたは一週間ごとに投与される。他の例において、ラミニン又はラミニン組成物は、約0.2mg/kgから約2mg/kgの間のラミニンの投薬量を提供するために十分な量が被検体に投与される。更に他の例では、ラミニン又はラミニン組成物は、例えば約50nMから約200nM、又は約100nMなど、約5nMから約500nMの投薬物質におけるラミニンの濃度を提供するのに十分な量が被検体に投与される。
上述の用語の説明は、読み手を助けるためだけに提供されており、当業者にとって当然である、或いは添付の特許請求の範囲を制限するそれ以下の範囲を有する、と解釈されるべきではない。
一般的に、本開示は細胞又は細胞修復、再生、又は維持を促進するための方法及び組成物の実施例を提供し、結果として起こる障害、損傷、又は疾病に対する期待される治療を含む。様々な実施例において、本開示は、筋ジストロフィーの治療、障害または損傷後の筋肉修復の促進、または筋肉障害又は損傷の重症度の軽減、の方法を提供する。更に実施例は、創傷治癒の促進のための方法を提供する。
いくつかの実施例において、方法は、有効量のラミニン又は有効量のラミニンを含んだ組成物の投与を含む。その方法の具体的な実施において、ラミニンはラミニン−1である。更に具体的な実施において、ラミニンはラミニン−2またはラミニン−4である。
具体的なメカニズムに限定されることを意図することなく、ラミニンは、衛星細胞を増殖させ新しい筋肉細胞及び筋管に分化するために活性化することにより筋肉再生を助けると信じられている。従って、筋肉修復は被検体の生来の状態と比較して強化されてもよい。
具体的に筋ジストロフィーの治療に本方法が使用されるとき、そしてこれもまた実施の理論に束縛されることなく、ラミニンは細胞外マトリックスの成分の結合において、例えばジストロフィン又はα7β1インテグリンへの結合を補助してもよい。例えば、デュシェンヌ筋ジストロフィーにおいて、ラミニンの量の増加は、ジストロフィンと同類であるユートロフィンなどのα7β1インテグリン又は他の受容体の結合を介して、基底膜への結合の形成を補助する場合がある。ラミニンの投与は、ユートロフィン又はα7β1インテグリンなどの細胞外マトリックスとコスタメアの余残との間に付随的な結合点を潜在的に提供する、一つかそれ以上のコスタメリックネットワークの要素の発現を上方制御することができる。ラミニンはまた、組織の完全性を改善するために構造環境を提供することができる。
更なる実施例において、本開示は、筋肉再生を促進するための方法を提供する。筋肉再生は、例えば、高齢者又は筋肉修復能力が低下した患者に有用であり、又は単純に生理的に障害のない被験者に対する筋肉修復工程を早めることができる。具体的な実施において、ラミニンの投与は、スポーツ選手又は運動により引き起こされる筋肉障害又は損傷を有する者において、筋肉修復、又は筋肉損傷の軽減を手助けすることができる。更に他の実施において、例えば事故又は障害などの筋肉損傷に苦しむ患者の筋肉修復は、ラミニンの投与により増強される。
本開示の実施例の様々な例において、ラミニン又はラミニン組成物は、細胞外マトリックスの成分のような、一つかそれ以上の他の成分と共に投与される。例えば、付随的な物質は、アグリカン、アンジオスタチン、カドヘリン、コラーゲン(コラーゲンI、コラーゲンIII、又はコラーゲンIVを含む)、デコリン、エラスチン、エンタクチン、エンドスタチン、フィブリン、フィブロネクチン、オステオポンチン、テネイシン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、及びそれらの組み合わせを含んでいてもよい。バイグリカン、グリコサミノグリカン(例えばヘパリン)、糖たんぱく質(例えばジストログリカン)、プロテオグリカン(例えばヘパラン硫酸)、及びそれらの組み合わせが投与されてもよい。特定のラミニンは、他のラミニン形状、ラミニン類似物、ラミニン派生物、又はいかなる前述のフラグメントとして投与されてもよい。
ラミニン及びラミニン組成物と共に、成長促進剤が添加されてもよい。成長促進剤の例として、サイトカイン、ポリペプチド、及び脳由来神経栄養因子(BDNF)、CNF(毛様体神経栄養因子)、EGF(上皮細胞成長因子)、FGF(線維芽細胞増殖因子)、グリア増殖因子(GGF)、グリア成熟因子(GMF)、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン、インスリン様増殖因子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、ニュートロフィン−3並びに−4、PDGF(血小板由来増殖因子)、血管内皮増殖因子(VEGF)、及びこれらの組み合わせ、のような成長促進剤を含む。
ラミニン又はラミニン組成物の治療効果を強化するために付随の治療薬が添加されてもよい。例えば、筋肉細胞源が筋肉再生及び修復を手助けするために添加されてもよい。本開示のいくつかの観点において、衛星細胞がラミニン治療と共に被検体に投与される。その開示内容に矛盾しない範囲で本明細書に引用して援用される特許文献3は、筋原細胞における細胞の収集の濃縮及びこれらの細胞を被検体に投与する方法が提供される。
更なる観点において、脂肪由来幹細胞のような幹細胞が被検体に投与される。脂肪由来幹細胞の製造及び投与の適切な方法は特許文献4に開示され、その開示内容に矛盾しない範囲で本明細書に引用して援用する。付随の線維芽細胞のような細胞物質も、いくつかの例において投与されてもよい。
特定の具体的な特性及び/又は実施例を説明するために後述の例が提供される。これらの例は、説明される具体的な特性又は実施形態に本発明を制限するためと解釈されるべきではない。
例1
物質及び方法
動物
これらの研究に使用される野生型(C57BL/6)、α7インテグリン欠損(C57BL/6 background)、及びネスチンGFPマウス(C57BL/6 background)は、ネバダ州立大学リノ校及びワシントン州立大学、並びにSeattle Institutional Animal Care and Use
Committeesによって認可された手続に従って安楽死させた。
組織学
前脛骨筋(TA)は、最適切削温度(OCT)(Tissue-Tek; Sakura Finetek, Torrance, California,
United States)に取り込まれ、10μm凍結切片がLeica CM1850低温保持装置を使用して切り取られ、Surgipath顕微鏡スライド(Surgipath Medical Industries, Richmond, IL)に配置された。組織切片は、非特許文献9「ジストロフィン及びα7インテグリンが欠如している重度の筋ジストロフィーのマウス」ですでに説明されているように、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)を使用して染色された。この特許文献13は、その開示内容に矛盾しない範囲で本明細書に引用して援用する。再生筋肉の中央筋核は、明視野顕微鏡検査により630倍の倍率で数えられた。筋線維ごとの中心核の数は、動物ごとに最低1000筋線維を数えることにより測定された。各遺伝子型から少なくとも5種類の動物が分析された。更に、断面部は、時点ごとグループつきに最低5000筋線維において検査された。結果は、平均線維断面部として報告された。
免疫蛍光法
前脛骨筋(TA)は、Tissue-TEK適温切削温度化合物(Sakura
Finetek USA Inc., Torrance, CA)に取り込まれた。切片は、Leica
CM1850低温保持装置を使用して10μmで切り取られ、Surgipath顕微鏡スライド(Surgipath Medical Industries, Richmond, IL)に配置された。ラミニン−α2鎖は、1:500希釈のラビット坑ラミニン−α2ポリクロナール抗体(Peter Yurchenco, Robert Wood Johnson Medical School,
Department of Pathology, Piscataway, NJからの寄贈)で検出された。ラミニン−α1鎖は、坑ラミニン−α1抗体(sc-5582, Santa Cruz Biotechnology, Santa
Cruz, CA)を使用して検出された。主要のウサギ抗体は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)共役坑ウサギ二次抗体の1:500希釈で検出された。
マウス・モノクローナル抗体に対して、内因性マウス免疫グロブリンは、mouse-on-mouseキット(Vector
Laboratories, Burlingame, CA)でブロックされた。MyoD及びPax7の発現は、5μg/ml坑MyoD及びanti-Pax7
(Developmental Studies Hybridoma Bank (DSHB), Iowa City, IA)を使用することで検出された。eMyHCは、以前に説明されたように検出された(特許文献4)。1μg/ml濃度のテトラメチルローダミン共役コムギ胚芽凝集素(WGA)(Molecular Probes, Eugene, OR)は、筋線維を定義するために使用された。蛍光発光は、Zeiss Axioskop 2 Plus蛍光顕微鏡で観察され、画像はZeiss AxioCam HRcデジタルカメラ及びAxiovision 4.1ソフトウエア(全てCarl Zeiss MicroImaging, Thornwood, NYで入手可能)により撮影された。複数の隣接部分は、動物ごとに630倍率で20のランダムで非オーバーラップの顕微鏡視野により分析された。
単筋原線維は、コラゲナーゼ消化のあと、10週齢のネスチン−GFP遺伝子導入マウスの長指伸筋から隔離され、そして非特許文献10で「骨格筋衛星細胞は、自発的に他の間葉経路に入り込む場合がある」、また非特許文献11で「衛星細胞を分析する手段としての骨格筋筋線維の隔離及び培養」とすでに説明されているように、マトリゲル皮膜ウェルで個別に培養された。粘着性単筋線維は、4%のパラホルムアルデヒドに固定され、坑−α7インテグリンラット単クローン抗体(CA5.5)(Sierra
BioSource, Morgan Hill, CA)の1:1000希釈で溶媒された。坑−α7インテグリンラット抗体は、ローダミン標識坑ラット二次抗体を使用して感知された。GFP及びローダミン蛍光発光の両者は、倒立蛍光発光顕微鏡(Nikon eclipse, TE2000-S, Nikon Instruments, Inc.,
Melville, NY)を使用して感知され、画像は、MetaVue Imaging System (Universal Imaging
Corporation, Downingtown, PA)により制御されたCoolSNAPESモノクロームCCDカメラ(Princeton
Instruments Inc., Trenton, NJ)によって取得された。
エバンズブルー染色分析
体重10gにつき50μlの10mg/ml溶液の滅菌エバンズブルー染色(EBD)溶液をマウスに腹腔内注射した。3時間後、前脛骨筋(TA)が採取され、液体窒素で急速冷凍された。10μmの凍結切片が顕微鏡スライドの上に配置され、4%のパラホルムアルデヒドに固定された。筋線維は、組織断片をOregon Green-488共役コムギ胚芽凝集素
(2μg/ml, Molecular Probes, Eugene, OR)で培養することにより要約される。EBDに陽性な筋線維の割合を測定するために一動物につき最低1000繊維が数えられた。各遺伝子型から少なくとも4種類の動物が分析された。画像は撮影され、計測は630倍の倍率で行われた。
ブロモデオキシウリジン(BrdU)取り込み
筋肉採取の72時間前、48時間前、及び24時間前にBrdU(500mg/kg)が腹腔内に注射された。筋肉凍結切片は、1分の間95%のエタノールの中に固定された。凍結切片はその後、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄され、2N塩酸(HCl)で20分間処置された。凍結切片は20分間50mMの塩化ナトリウムで中和された後、100mMのトリス塩酸で20分間培養され、PBSで洗浄された。組織は坑BrdU抗体(G3G4,
1:1000, Developmental Studies Hybridoma Bank (DSHB), Iowa City, IA)で1時間培養後、PBSで洗浄され、Vectashield
(Vector Labs, Burlingame, CA)に取り付けられた。
心臓毒由来筋肉障害
マウスは、トリブロモエタノール(Avertin)(体重の0.25μl/g)により麻酔がされ、PBS内の10μl心臓毒溶液(C3987, Sigma, St. Louis, MO)の100μlが、5週齢の雄の野生型α7-/-マウスの左側前脛骨筋に注射された。100μlのPBSが右側の前脛骨筋に注射され、対照として使用された。心臓毒が分析のために注射された後、マウスは安楽死させられ、4日、7日、10日、及び28日の時点の筋肉が採取された。
ラミニン−111注射
PBS内の100nMの天然マウスラミニン(Invitrogen,
Carlsbad, CA)が、心臓毒注射の3日前に、麻酔をされた野生型α7-/-マウスの左側前脛骨筋に注射された。PBSの100μlが右側の前脛骨筋に注射され、対照として使用された。筋肉は、心臓毒注射後、0、4、7、10、28日の時点で分析のために採取された。
統計分析
平均化された全てのデータは、平均値±標準偏差として報告される。複数のグループ間の比較は、パラメータデータのために分散分析(ANOVA)、又はSigmaStat
1.0 software (Jandel Corporation, San Rafael, CA)を使用して非パラメータデータのための段階におけるKruskal-Wallis分散分析によって実施された。P<0.05が、統計的に意味があると思慮された。
静止衛星細胞におけるインテグリン発現
衛星細胞においてα7インテグリンが発現することを裏付けるために、ネスチン−GFP導入マウスから隔離された筋線維は、坑α7インテグリン単クローン抗体(図1)を使用する蛍光抗体法を受けた。ネスチン−GFPは特に、静止衛星細胞において発現する。筋線維表面の全てのネスチン−GFP陽性細胞はまた、α7インテグリンに対しても陽性である(図1)。画像分析は、衛星細胞の基底面でのα7インテグリンのより強い局在を示した。これらのデータは、静止衛星細胞がα7インテグリンを発現し、また筋線維に面する基底面で局在が高まることを裏付ける。
インテグリン欠損マウスにおける筋肉修復
最近の研究は、α7インテグリンは、衛星細胞の活性及び/又は増殖において役割を果たすことを説いている。α7β1インテグリンが筋肉修復に必要であるかどうかを試すために、野生型及びα7インテグリン欠損マウスの前脛骨筋は心臓毒由来損傷を受け、4、10、及び28日後に検査された(図2)。心臓毒損傷の4日後、野生型前脛骨筋は健康な様子であり、この状態は28日間続いた。対照的に、α7インテグリン欠損筋肉は、損傷後4日及び10日の時点で白い大きな損傷筋肉箇所を示した。28日後の時点で、筋肉損傷箇所は、まだα7インテグリン欠損マウスにおいて明らかであった。これらのデータは、骨格筋におけるα7インテグリンの損失が筋肉再生の深刻な遅延を引き起こすことを示している。
α7インテグリンの損失は、損傷後の細胞膜統合性の低下を引き起こす。
心臓毒処置後の細胞膜統合性を検査するために、野生型及びα7インテグリン欠損マウスにエバンズブルー染色(EBD)が注射された。心臓毒注射前に、EBD取り込みは両グループには存在していなかった。心臓毒注射前、α7インテグリン欠損マウスはEBD取り込みに対して陰性であったが、4日後の時点で野生型と比較して7倍以上の筋線維がEBD陽性であった。障害後4日の時点において、野生型の8.5%及びα7インテグリン欠損筋線維の66%がEBD陽性であった。10日後、4%以下の野生型筋線維がEBD取り込みに対して陽性であり、一方でα7インテグリン欠損筋線維の40%がEBD陽性であった。心臓毒注射後28日の時点では、17%のα7インテグリン欠損筋線維がEBD陽性のままであり、一方で野生型の筋肉においてはEBDは観測されなかった(P<0.05)(図3)。これらの結果は、心臓毒由来損傷後、α7インテグリンの欠損が筋鞘脆弱性の増加を引き起こすことを示している。
α7インテグリン欠損マウスにおける筋肉修復の減少
ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色は、心臓毒注射後、単核細胞湿潤及び中心核を検査するために使用される(図4、尺度図は10μmを示す)。心臓毒損傷の4日後、野生型筋肉は単核細胞湿潤と中心核を有した筋線維とを示した(図4)。10日目に至っては、野生型筋肉はほとんど単核湿潤を示さず、ほとんどの筋線維は中心核を有していた。28日までには、野生型筋肉において修復は完了しており、ほとんどの筋線維は中心核を有していて、単核湿潤はほとんど示されなかった。対照的に、心臓毒由来損傷の4日後、α7インテグリン欠損筋肉は広域の単核湿潤と心臓毒損傷の10日後まで及んだ発育不全の筋線維とを示した。28日目までに、α7インテグリン欠損筋肉は、中心核及び単核湿潤を有した発育不全の筋線維を示した。
筋肉修復を数値化するために、中心核を有する筋線維の割合が計測された(図5)。野生型マウスにおいて、心臓毒注射の4日後には81.8%の筋線維が中心核を含んでいた。一方で、α7インテグリン欠損筋肉において、たった28.1%の筋線維が中心核に対して陽性であった(P<0.05)。10日及び28日目までには、野生型マウスにおいてそれぞれ95.5%及び97.5%の筋線維が中心核を示した。10日及び28日目までには、α7インテグリン欠損マウスにおいて、それぞれ野生型より少ない(P<0.05)、82%及び95.5%の筋線維が中心核を示した。これらの結果は、α7インテグリンの損失が筋肉再生の遅延を引き起こすことを示す。
胚性ミオシン重鎖(eMyHC)は、筋肉修復後一時的に発現し、最近の筋肉再生のマーカーとして使用される。0日目には、eMyHCは野生型及びα7インテグリン欠損マウスどちらにおいても存在していなかった。心臓毒処置後4日目及び10日目には、99%以上の野生型筋線維においてeMyHCの発現が検出された。それとは著しく対照的に、心臓毒損傷後4日目及び10日目では、それぞれたった2.2%及び9.9%のα7インテグリン欠損筋線維のみがeMyHCを発現した(図6)。28日目までには、たった11.3%のα7インテグリン欠損筋線維のみがeMyHCを発現し、一方で18.5%の野生型筋肉がeMyHCを発現した(*P<0.01)。これらの結果は、α7インテグリンの損失がeMyHCの一時的発現によって測定されるように不完全な筋肉修復を引き起こすことを裏付ける。
α7インテグリン欠損マウスにおける発育不全筋肉修復を引き起こす心臓毒損傷
α7インテグリンの損失が損傷後の筋肉修復に影響したかどうかを究明するために、筋線維断面部が測定された(図7)。野生型マウスの再生筋線維は、心臓毒損傷後4日目のα7インテグリン欠損筋線維より31%大きかった(図7)。10日目においては、α7インテグリン欠損筋線維と比較すると野生型筋線維は45.1%大きかった(図7)。28日目には、野生型筋肉は様々な筋線維サイズを示した。しかしながらこれは、100-600μm2範囲における線維の大部分の小さい断面を引き続き示したα7インテグリン欠損筋肉に対比したものであった。これらの結果は、α7インテグリンの損失が再生能力の低下を引き起こし、発育不全の筋線維を生じさせることを示している。
衛星細胞増殖及び分化は、損傷後にα7インテグリン欠損筋肉において減少する。
衛星細胞増殖がα7インテグリン欠損マウスにおいて減少したかどうかを究明するために、衛星細胞の核へのBrdUの取り込みが数値化された(図8)。損傷後4日目では、α7インテグリン欠損筋肉は、野生型動物と比較して3倍少ないBrdU陽性核を有していた。しかしながら、BrdU陽性核は、野生型と比較して10日目及び28日目で、α7インテグリン欠損マウスにおいて増加した(図8)。これらの結果は、衛星細胞増殖が心臓毒由来損傷後、α7インテグリン欠損筋肉において遅延することを示す。
筋肉修復を制御する発生プログラムがα7β1インテグリンの損失により影響されたかどうかを研究するために、Pax7およびMyoD(図9及び図10)の発現が測定された。Pax7は、静止及び活性衛星細胞の両者で発現し、一方でMyoDは分化筋線維でのみ発現した。野生型筋肉と比較すると、α7インテグリン欠損マウスは、心臓毒注射後4日及び10日の野生型に比べると、2から3倍少ないPax7陽性細胞を示した(図9)。28日目までには、同様の数のPax7陽性細胞が野生型インテグリン欠損マウスにおいて観測された。
MyoD発現の分析は、心臓毒由来損傷後α7インテグリン欠損筋肉は、4日目及び10日目の野生型筋肉と比較すると、それぞれ28及び50倍も少ないMyoD陽性筋線維を有していた。28日目までには、同様の数のMyoD陽性細胞が野生型及びα7インテグリン欠損マウスにおいて観測された。
これらの結果は同時に、α7インテグリンの欠損は、損傷骨格筋における活性衛星細胞の減少と、筋線維分化を制御する発達プログラムの反応の遅れと、を引き起こすことを示す。
α7インテグリン欠損マウスのラミニン処置
ラミニン−111治療は、α7インテグリン欠損マウスにおいて筋鞘統合性を修復する。
最近の研究は、α7インテグリンの損失がラミニン発現の減少を引き起こすことを示している。ラミニン沈着の減少が、α7インテグリン欠損マウスで観察される筋肉再生表現型欠損の主な原因になったかどうかを研究するために、心臓毒損傷の3日前に、前脛骨筋にラミニン−111が注射された。
ラミニン−111が、2週齢の野生型及びα7インテグリン欠損のマウスの前脛骨筋に注射され、坑ラミニン−α1を使用して蛍光抗体法により組織が分析された。PBSが単独で注射された筋肉は、ラミニン−111を含んでいなかった。4日後には、ラミニン−111は筋線維を取り巻く細胞外マトリックスに多量に発現し、28日間以上存続していた。培養筋線維でのラミニン-111の滴定は、濃度200nM以上の毒性の増加を明らかにした(データ不図示)。
驚くことに、注射されたラミニン−111は、24から72時間以内に前脛骨筋の全体に急速に透過し(図11及び付属データ)、31日間筋肉の至るところに保持された(図11)。心臓毒損傷後の全ての時点において、外部的にラミニン−111が処置されたα7インテグリン欠損筋肉は、野生型筋肉と同一に見えた。(図12)。
心臓毒由来障害後のEBD取り込みの分析は、全ての時点においてラミニン処置した野生型又はα7インテグリン欠損筋肉の間でEBD-陽性筋線維の割合の差がないことを明らかにした(図13)。これらの結果は、心臓毒由来障害に先駆けたラミニン−111の注射がα7インテグリン欠損筋肉に対して、筋鞘統合性を修復したことを示している。
ラミニンはインテグリン欠損マウスにおける筋肉再生を媒介した。
筋肉再生を改善するためのラミニン−111の能力を測定するために、5週齢の野生型及びα7インテグリン欠損前脛骨筋にラミニンが注射され、心臓毒由来障害を受けた。筋肉部位は、H&Eで染色され、単核細胞湿潤及び中心核が検査された(図14)。障害後、4日、10日、28日後のラミニン−111で処置された野生型及びα7インテグリン欠損筋肉において筋線維サイズの差、中心核、又は単核細胞湿潤は観測されなかった。
中心核の評価によって、ラミニン−111治療が筋肉再生を野生型レベルまで修復することを確認した(図15)。全ての時点において、ラミニン処置した野生型及びα7インテグリン欠損マウスの中心核の分析割合は、互いにそれほど違いがなかった。これらの結果は、ラミニン−111がα7インテグリン欠損筋肉における筋肉修復を野生型の水準に戻したことを示す。
α7インテグリン欠損筋肉に対して再生能力を戻すラミニン−111の能力は、eMyHC発現を分析することにより調査された(図16)。0日目では、野生型の線維の7.3%及びα7インテグリン欠損の線維の9.7%が、ラミニンの注射によりeMyHC陽性であった(図16)。心臓毒処置後4日及び10日目では、野生型及びα7インテグリン欠損筋肉では、同様のレベルのeMyHC発現を示した(図16)。損傷後28日目では、α7インテグリン欠損筋肉の筋線維において34.4%のeMyHCが存在した一方で、野生型筋肉にはごく少量のeMyHCしか存在していなかった(図16)。これらの結果は、ラミニン−111の注射がα7インテグリン欠損筋肉の再生能力を大いに改善したことを表す。
ラミニン処置は、α7インテグリン欠損マウスの筋線維部位を修復する。
筋線維断面部位は、心臓毒由来損傷前後、ラミニン処置された野生型及びα7インテグリン欠損マウスにおいて検査された。損傷後4日目では、野生型マウスの筋線維断面部位は、α7インテグリン欠損筋肉よりたった13%大きいだけであった。心臓毒損傷後10日目及び28日目には、α7インテグリン欠損筋肉の筋線維断面部位は野生型動物に類似していた(図17)。これらのデータは、ラミニン−111での処置がα7インテグリン欠損筋肉の筋肉修復及び筋線維サイズを戻したことを示す。
ラミニンは、α7インテグリン欠損障害筋肉において衛星細胞増殖を促進する。
ラミニン処置が、衛星細胞増殖を改善したかどうかを研究するために、筋肉損傷後のBrdU取り込みが計測された(図18)。心臓毒損傷後0日、4日、及び10日目では、野生型及びα7インテグリン欠損筋肉においてBrdU陽性衛星細胞の数において差は観測されなかった(図18)。損傷後28日目には、α7インテグリン筋肉において、野生型よりかなり多いBrdU陽性衛星細胞が存在した。これらの結果は、ラミニンによる処置が衛星細胞増殖を野生型レベルまで修復したことを示す。
ラミニン処置は、α7インテグリン欠損筋肉に対して筋芽細胞分化を修復する。
ラミニン−111による処置が、α7インテグリン欠損筋肉の筋芽細胞修復プログラムを修復したかを調べるために、Pax7及びMyoDの発現が測定された(図19及び図20)。心臓毒損傷の前に、野生型及びα7インテグリン欠損筋肉は、少しのPax7陽性細胞を示し、それはラミニン注射による若干の被害に起因する場合がある(図19)。心臓毒損傷後4日目では、野生型と比較して20%少ないPax7陽性細胞がラミニン処置α7インテグリン欠損筋肉に存在した(図19)。心臓毒損傷後10日目及び28日目において、α7インテグリン欠損筋肉のPax7陽性細胞のレベルは、野生型に類似していた(図19)。
MyoDの分析は、0日目のラミニン処置された野生型及びα7インテグリン欠損前脛骨筋におけるいくつかの陽性細胞を明らかにした(図20)。心臓毒損傷後4日目及び10日目において、ラミニン処置されたα7インテグリン欠損筋肉におけるMyoD陽性細胞の数は野生型より約20-25%少なかった。しかしながら28日目までには、野生型及びα7インテグリン欠損筋肉は同等数のMyoD陽性細胞を有していた(図20)。これらのデータは、ラミニン処置は、実質的に筋芽細胞の数を修復し、そしてα7インテグリン欠損筋肉における筋肉修復に関連する筋芽細胞プログラムの活性を促進したことを示す。
議論
本例は、α7インテグリン欠損マウスが、心臓毒損傷後に骨格筋再生不全を示すことを明らかにする。ラミニンによる処置は修復表現型不全を修正した。筋芽細胞発達プログラムのいくつかの特徴は、骨格筋再生の間に解明されてきてはいるが、細胞外マトリックス及びインテグリン細胞表面受容体が筋芽細胞修復に参加するメカニズムは、一般的によく理解されていない。
筋肉損傷に続いて衛星細胞の急速な活性化が起こる。活性化により、これらの細胞は損傷筋肉を修復するために筋芽細胞発達プログラムを増殖及び活性化する。モデルは、衛星細胞の下位固体群が筋芽細胞系統経路に進んだ細胞を交換するために幹細胞として残ることを示す。活性化の間、衛星細胞は、転写因子Pax3、Pax7、MyoD、筋芽細胞、及びMRF4を発現する。
本例は、α7インテグリンの損失が、BrdU取り込み及び心臓毒処置されたα7インテグリン欠損筋肉におけるPax7の発現の減少により定義された衛星細胞増殖の減少を引き起こすことを示す。更に、MyoD発現で測定されたように、筋芽細胞分化は損傷α7インテグリン不完全筋肉において著しく減少した。これらのデータは、衛星細胞が活性化される筋肉再生の早い段階において、α7β1インテグリンが、筋肉修復が可能な筋芽細胞への増加または分化するための重要な変異を制御することを示す。
本例に示された結果は、α7インテグリン欠損筋線維における中心核の存在の著しい減少とeMyHC発現の遅延を示す。中心核の存在及びeMyHC発現は、α7インテグリン欠損筋芽細胞がインビボで融合できることを示唆する。これらの観察は、主要なα7インテグリン欠損筋芽細胞が細胞培養において、筋管を形成するために融合できることを示すインビボでの研究を支える。これらの観測は、インビボにおける筋肉修復の遅延が、主として筋芽細胞の増殖の不全と、損傷筋肉の修復が可能な筋芽細胞をほとんど導かない分化と、によるものであると示唆する。
骨格筋の再生能力は、衛星細胞及び細胞外マトリックスの複雑な相互作用に依存しているため、α7インテグリンの不在は、筋原性修復に必要とされる適切なラミニンに富んだ微小環境の損失を引き起こす場合がある。ラミニン沈着の減少が、α7インテグリン欠損マウスで観測される筋肉再生表現性の減少に寄与するかどうかを測定するために、ラミニン−111が損傷に先駆けてマウスの筋肉に投与された。ラミニンは、通常、骨格筋細胞で生成され周囲の基底膜に分泌される。興味深いことに、48−72時間以内に、注射されたラミニン−111たんぱく質は、前脛骨筋全体に広がり、基底膜に31日以上存続した。心臓毒由来損傷の前にラミニン−111の筋肉への注射が、α7インテグリン欠損マウスの筋肉再生を野生型レベルまで修復した。これらのデータは、α7インテグリン欠損骨格筋のラミニン微小環境の欠損が、これらの動物で観測される筋肉修復不全の根本的な原因であることを示す
ラミニン−211及びラミニン−221が成熟筋肉で発現する一方で、ラミニン−111は、胚骨格筋にのみ存在する。ラミニン−111の注射が成熟骨格筋において胚筋原性プログラムを繰り返す場合があることが、ラミニン処置されたα7インテグリン欠損筋肉における改善された筋肉再生の一つの考えられる説明である。この胚筋原性プログラムの活性化は、強化筋芽細胞活性化及び増殖並びに筋肉修復の改善をもたらす場合がある。しかしながら、野生型骨格筋へのラミニン−111の注射は、α7インテグリン欠損骨格筋においてラミニン−111がラミニン−211/221の交換に作用することを示す再生能力を増加しなかった。これらの結果は、一般的に筋原性修復を促進するラミニンと相互作用する衛星細胞、又は筋芽細胞のα7インテグリンの損失を補うように作用することができる衛星細胞において、他のラミニン受容体が発現されることを示す。
本例は、α7インテグリン変異の被検体が、ラミニン−211/221沈着の減少による筋肉再生能力の減少の結果として先天性ミオパシーに苦しむことを示す。これらのデータはまた、精製ラミニン−111たんぱく質の直接注射が、α7インテグリン−先天性ミオパシーの患者に対して潜在的な治療となるかもしれないことを示す。再生能力の損失がMDC1A及びDMDを含む様々な筋ジストロフィーに関係しているため、ラミニン−111たんぱく質治療は、筋ジストロフィーの他の形態において有益であるかもしれない。
物質及び方法
動物
C57BL/10ScSn(野生型)及びC57BL/10ScSn-Dmdmdx/J(mdx)染色(Jackson Laboratories, Bar Harbor, ME) マウスは、ネバダ州立大学リノ校Animal Care
and Use Committeeにより承認されたアニマルプロトコルに従ったこれらの研究に使用された。
α7βgal +/- 筋芽細胞の隔離
腓腹筋は、10週齢のα7βgal+/-マウスから取り除かれ、組織はハサミで刻まれた。細胞は、1.25mg/mlコラーゲンタイプII(Worthington Biochemical Corporation, Lakewood, NJ)により37℃で1時間、酵素的に解離された。スラリーは徐々に粉末にされナイロンメッシュを介してろ過された。細胞は、筋肉細胞切片から分画遠心法により分離され組織培養皿に固定された。筋芽細胞は、増殖媒体(10%のウシ胎児血清(FBS)、0.5%ニワトリ胚抽出物、1%L−グルタミン、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンで補完されたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM))に維持された。
β−ガラクトシダーゼ染色
筋芽線維又は筋管は、4%のパラホルムアルデヒドに5分間固定され、1倍のPBSで洗浄され、デオキシコール酸ナトリウム/NP40混合物に30分間浸透された。X-gal(50nMのフェロシアン化カリウム、50nMのフェリシアン化カリウム、1MのMgCl2及び100mg/mlのX-gal)が皿に添加され、37℃で2時間培養された。皿はPBSで洗浄された。画像は解剖用顕微鏡及びSpotデジタルカメラで撮影された。
蛍光標示式細胞分取(FACS)
約1x106α7βgal+/-筋芽細胞は、0.1%のゼラチンで覆われた100mmの細胞培養皿に散布され、37°Cで一晩培養される。培養基が取り除かれ、細胞はPBSの中で100nMのLAM-111で16時間から24時間の間処理される。細胞はトリプシン処理後、計数されてペレット状にされ、そして20%FBS培養基を含む30mlのDMEMが加えられた。200nMの30mlのFDG(Molecular Probes,
Eugene, OR)が、細胞に加えられ37℃で1分培養された。反応を止めるために、60mlの冷たい培養基が各サンプルに加えられ、氷の上で20分間培養された。サンプルは、ベックマン培養XL/MCI流動血球計算器にかけられ、FlowJoソフトウエアを使用して分析された。
ラミニン−111注射
PBS内の100nMの自然派生マウスラミニン(Invitrogen)が、10日齢のmdxマウスの左前脛骨筋に注射された。対側の右前脛骨筋には対照の役割を果たすPBSが注射された。マウスは解剖され筋肉は5週齢で採取された。全身運搬のために、PBS内の1mg/kgのラミニン−111が10日齢のマウスの腹腔内に注射され、5週齢で組織が分析のために採取された。対照mdxマウスには、同量のPBSが注射された。
エバンズブルー染色取り込み
マウスの体重10gにつき50mlの滅菌エバンズブルー染色溶液(10mg/ml)がマウスの腹腔内に注射された。3時間後、前脛骨筋が採取され液体窒素で急速冷凍された。10mmの凍結切片が顕微鏡スライドに配置され、4%のパラホルムアルデヒドに固定された。筋線維を説明するために、組織断片が、2μg/mlのOregon Green-488共役コムギ胚芽凝集素(WGA) (Molecular Probes, Eugene, OR)で培養された。動物ごとに、エバンズブルー染色取り込みに対して陽性の筋線維の割合を測定するために最低1000繊維が数えられた。各遺伝子型から少なくとも5種類の動物が分析された。画像は撮影され、630倍の倍率で数えられた。
血液化学
5週齢のマウスから血液が採取され、室温で最低30分かけて凝固された。3000rpmでの遠心分離後、血清が採取された。採取された血清は、クレアチンキナーゼ、クレアチン、及び血中尿素窒素(BUN)を分析するためにカリフォルニア州立大学デービス校のComparative Pathology Laboratoryに送られた。
免疫蛍光法
組織は、Tissue-TEK Optimal Cutting Temperature compound (Sakura Finetek USA
Inc., Torrance, CA)に包埋された。ライカCM1850(Leica Microsystems, Wetzlar, DE)を使用して、10ミクロン断片がSurgipat顕微鏡スライド(Surgipath Medical
Industries, Richmond, IL)に配置された。α7インテグリンは、1:1000希釈の坑CA5.5マウス単クローン抗体(Sierra Biosource, Morgan Hill, CA) で検出され、その後1:1000希釈のFITC共役坑マウス二次抗体で検出された。β1Dインテグリンは、1:500希釈の坑ウサギ多クローン抗体で検出された後、1:500希釈のFITC共役坑ウサギ抗体で検出された。ラミニン−α1は、1:500希釈のMAB1903(Chemicon
International, Temecula, CA)で検出された。ジストロフィンは、マウス単クローンDys2抗体(Novacastra Laboratories, Ltd, Newcastle upon Tyne, UK)で検出され、ユートロフィンは、1:200の希釈のユートロフィンにするMANCHO7 7F3単クローン抗体(Glenn Morris, Center
for Inherited Neuromuscular Disease, Shropshire, UK)で検出された。マウス単クローン抗体は、マウス免疫グロブリン阻止するためにmouse-on-mouse (MOM) immunodetection kit (Vector Laboratories,
Burlingame, CA)と1:500希釈のFITC共役坑マウス二次抗体と併せて使用された。アセチルコリン受容体は、1:1000のRhodamine-labeled α-bungarotoxin (Molecular Probes, Eugene, OR)で検出された。蛍光発光は、Zeiss Axioskop
2 Plus蛍光発光顕微鏡で検出され、画像は、Zeiss AxioCam HRcデジタルカメラ及びAxiovision 4.1 ソフトウエア(全てCarl
Zeiss MicroImaging, Thornwood, NYから入手可能)で撮影された。
組織学
組織切片は、冷たい95%エタノールに2分間固定された後、70%エタノールで2分間固定され、その後流水で5分間再水和された。この切片は、Gill’s hematoxylin (Fisher Scientific, Fair Lawn, NJ)で染色され、水で5分間洗浄された。切片は、Scott’s
solution (0.024 M NaHCO3, 0.17 M MgSO4)に3分間浸され、水で5分間洗浄された。切片はその後、エオシン(Sigma-Aldrich, St Louis, MO)で2分間染色された。切片は、冷たい70%及び95%エタノールでそれぞれ30分連続的に再水和された後、100%エタノールに2分間、そしてDePeX mounting medium (Electron Microscopy Sciences, Washington, PA)に実装される前にキシレンで5分間洗浄された。再生筋肉の中心筋核は、明視野顕微鏡法の630倍率で数えられた。筋繊維ごとの中心核の数は、動物ごとに最低1000の筋肉繊維を数えることで測定された。各遺伝子型から少なくとも5種類の動物が分析された。
免疫ブロット
α7インテグリンを分析するために、200mMのoctyl-β-D-グルコピラノシド(Sigma Aldrich, St Louis, MO)、50mMのTris-HCl pH 7.4、150mMの塩化ナトリウム、1mMの塩化カルシウム、1 mMの塩化マグネシウム、 2 mMのフッ化フェニルメチルスフホニル、及び 1:200希釈のProtease Inhibitor Cocktail Set III (Calbiochem, EMD Biosciences,
San Diego, CA)を使用してたんぱく質が抽出された。可溶化液が収集され10,000×gで15分間遠心分離され、そして上澄みが新しい管に移された。たんぱく質はBradford分析により数値化され、非減少状態で40μgの総たんぱく質が7.5%のSDS-PAGEゲルの上に分離され、そしてニトロセルロース膜上に移された。膜は、リン酸緩衝食塩水(PBS)の中で1:1に希釈されたOdyssey Blocking Buffer (LiCor Biosciences, Lincoln, NE)において遮断された。α7インテグリンは、1:500希釈のウサギ坑α7B(B2 347)多クローン抗体で検出された。ブロットは、1:5000希釈のAlexa Fluor 680-coupled
goat anti-rabbit IgG (Molecular Probes, Eugene, OR)で、一次抗体を検出するために培養された。
ユートロフィン発現を検査するために、RIPAバッファー(50mMのヘペスpH7.4、150mMの塩化ナトリウム、1mMのNa3VO4、10mMのナファモスタット、0.5%のトリトンX-100、0.5%のNP40、10%グリセロール、2mMのフッ化フェニルメチスルホニル、及び1:200希釈のProtease Inhibitor Cocktail Set II)を使用して、PBS及びLAM-111が注射されたmdx及び野生型前脛骨筋からたんぱく質が抽出され、そしてBradford分析(BioRad Laboratories Inc., Hercules, CA) により数値化された。80μgの総たんぱく質が7.5%のSDS-PAGEゲルの上に分離され、そしてニトロセルロース膜上に移された。ブロットは、1:200希釈の坑ユートロフィンマウス単クローム抗体(MANCHO3 8A4, a kind gift of Glenn Morris, Center for Inherited
Neuromuscular Disease, Shropshire, UK)で培養され、その後1:50,000希釈の西洋わさびペルオキシザーゼ(HRP)標識ヤギ坑マウス二次抗体で培養された。395kDa ユートロフィンバンドは化学発光により検出され、同じブロットをanti-Cox-1 antibody (Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)で検査することでたんぱく質負荷のために基準化された。バンド強度は、ImageQuant TL software (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を使用して定量化された。
統計分析
全ての平均化されたデータは、平均値±標準偏差値として報告される。複数のグループ間の比較は、パラメータデータに対して一元配置分散分析(ANOVA)によって実行され、又はSigmaStat 1.0 software (Jandel Corporation, San Rafael, CA)を使用して非パラメータデータに対して順位によるKruskal-Wallis一元配置分散分析によって実行された。P<0.05は統計的に重要であると思慮された。
議論
デュシェーヌ筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィンをコード化する遺伝子の変異により引き起こされる深刻な神経筋疾患である。α7β1インテグリン及びユートロフィンは、DMD患者の筋肉及びmdxマウスモデルにおいて発現増加させられたラミニン結合たんぱく質である。ジストロフィーのマウスにおけるユートロフィン及びα7インテグリンの遺伝子導入の大量発現は、これらの遺伝子ターゲットを薬理学的介入にする筋肉疾患を緩和する。ラミニンがα7インテグリン発現を制御するかどうかを究明するために、培養マウス及びヒト筋芽細胞がラミニンで処置され、α7インテグリン発現が分析された。この例は、胚発生過程で多く発現するラミニンの形状であるラミニン−111が、マウス及びDMD患者からの培養筋芽細胞においてα7インテグリンの発現を増加させたことを示す。mdxマウスに対するラミニン−111の筋肉内注射は、β7インテグリン及びユートロフィン発現を増加させ、筋鞘を安定させ、筋肉病変を予防した。全身性ラミニン−111たんぱく質治療は、mdxマウスにおける血清クレアチンキナーゼレベルを通常範囲まで修復した。これらの発見は、ラミニン−111は、DMDのマウスモデルに対して非常に強力であり且つ新種のたんぱく質治療であることを示し、また遺伝子疾患に対する治療として細胞外マトリックスたんぱく質の全身運搬のための新しい模範であることを意味する。
デュシェーヌ筋ジストロフィー(DMD)は、男児出生3,500人に1人に影響する最も一般的なX連鎖疾患である。DMD患者は、最初に2歳から5歳で確認される症状の重度の進行性筋萎縮を示す。疾患が進行するにつれ、患者は車椅子生活を余儀なくされ、人工呼吸器の補助を必要とし、20年から30年で死亡する。今日まで、この深刻な神経筋疾患に効果的な処置法が存在していない。
DMD患者及びmdxマウス(DMD用のマウスモデル)は、ジストロフィンをコード化する遺伝子に変異を有しており、それはジストロフィンたんぱく質の損失を引き起こす。ジストロフィンは、筋線維の細胞質膜内部に位置する427kDaたんぱく質である。そのN末端ロッドドメインの反復を通して、ジストロフィンは細胞骨格のFアクチンと結合する。C末端領域のジストロフィンは、α及びβジストログリカン、ジストロブレビン、α及びβシントロフィン、及びサルコグリカンから成る膜貫通複合体と結合する。ジストロフィン糖たんぱく質複合体は、筋肉の細胞外マトリックスにおいて細胞骨格及びラミニンの間の貫通膜結合を提供する。ジストロフィンの損失は、損傷及び進行性筋力低下を誘導するこの重大なラミニン結合複合体の形成の不全を招く。
ジストロフィンの欠損において、α7β1インテグリンとユートロフィン糖たんぱく質との複合体である二つの付加的なラミニン結合複合体は、DMD患者及びmdxマウスの骨格筋で発現増加される。骨格筋のユートロフィン又はα7インテグリンの遺伝子導入強化は、ジストロフィーマウスの筋疾患を緩和する。一方で、mdxマウスのユートロフィン又はα7インテグリンの欠損は、より重度の表現型及び生存能力の低下を引き起こす。これらの結果を合わせて、ユートロフィン及びα7インテグリンは、疾患進行の遺伝的修飾因子であり、それらの発現を増やす薬に基づいた治療のためのターゲットであることを示す。
特定の分子がα7インテグリン発現を増加するかどうか対して、筋肉細胞ベース分析が開発された。α7インテグリン欠損マウスは、α7インテグリンをコード化するエクソン1遺伝子がLacZレポーター遺伝子により交換され生成された。これらのマウスでは、全ての転写制御因子が、α7インテグリンプロモーター活性をβガラクトシダーゼによって伝達されることを可能にしながら保持される。一次筋芽細胞(指定のα7βgal+/-)は、10日齢のα7+/-マウスから隔離された。α7βgal+/-筋芽細胞は、分化によって増加したβガラクトシダーゼを発現し(図21及び図22)、それは筋芽繊維及び筋管におけるα7インテグリンの発現パターンに一致した。α7インテグリンプロモーターの活動は、フルオレセインへ対する非発光組成物フルオレセインdi-β-D-ガラクトピラノシド(FDG)のβガラクトシダーゼ開裂により測定された。
いくつかの証拠は、ラミニン及びα7インテグリン発現の制御においてポジティブフィードバックを示す。ラミニン−α2をコード化する遺伝子における変異は、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー(MDC1A)を引き起こす。MDC1A患者及びラミニン−α2欠損マウスは、重度の筋肉病変に寄与するかもしれないα7インテグリンのレベルを劇的に低下させた。さらに、ラミニン−α2は、α7インテグリン欠損骨格筋において減少した。ラミニンとα7インテグリン発現との関係を測定するために、α7βgal+/-筋芽細胞が0−200nMの様々な濃度のラミニン−111に24時間曝された。研究は、ラミニン−111が機能的にラミニン−211に似ており、α7β1インテグリンと相互作用することを示す。蛍光標示式細胞分取器(FACS)分析は、100nMのラミニン−111で最大限のα7インテグリンプロモーター活性を示した(図23)。
ラミニン−111治療C2C12マウス筋芽細胞とDMD一次筋芽細胞のα7インテグリンとが数値化された。ラミニン治療筋芽細胞からのたんぱく質抽出物は、α7Bインテグリンを検出するためにWestern分析にかけられた。ラミニン−111は、C2C12及びDMD筋芽細胞(図24及び図25)のα7Bインテグリンにおいて2倍増加を生成した。これらのデータは、ラミニン−111がヒト及びマウス筋肉細胞においてα7インテグリン発現を増加することを示す。
その後、上述のラミニン−111のインビトロの結果が、骨格筋のα7インテグリンを増加させるためにインビボに移すことができるかどうかが決定された。10日齢のmdxマウスの左前脛骨筋に100μlの100nMラミニン−111が注射され、一方で100μlのPBSが右前脛骨筋に注射され、反側性対照としての役割を果たした。5週齢のマウスが解剖され前脛骨筋が摂取された。ラミニン−111は成熟骨格筋では通常発現せず、注射されたたんぱく質は坑ラミニンα1抗体で検出された。免疫蛍光法は、注射されたラミニン−111たんぱく質が5週齢のmdxマウスの前脛骨筋の基底膜の至るところに沈着したことを明らかにした(図26)。画像は、ジストロフィンが野生型筋肉に存在したが、PBS及びラミニン−111治療mdx筋肉には存在しなかったことも裏付けた。
ラミニン−111が筋肉病変を予防するかどうかを測定するために、PBS及びラミニン−111注入前脛骨筋の凍結切片に対して、エバンズブルー染色(EBD)取り込みと、ヘモトキシリン及びエオシン(H&E)染色とが行われた(図27)。分析は、半側性対照と比較してラミニン−111が注射されたmdx筋肉が、EBDに陽性の12倍の繊維の割合の減少を有したことを明らかにした(図28、P<0.05, **P<0.001, n=5 mice/group)。更に、ラミニン−111が注射されたmdx筋肉は、中心核の筋細胞の割合の4倍の増加を示した(図28、*P<0.05, **P<0.001, n=5 mice/group)。これらの結果は、ラミニン-111タンパク質治療が筋鞘統合性を劇的に増加させ、又筋肉修復の必要を減らしたことを示す。
ジストロフィン欠損筋肉を損傷から保護するラミニン−111たんぱく質治療のメカニズムを測定するために、ユートロフィン及びα7インテグリンの免疫発光分析が行われた。結果は、対照と比較してmdxマウスのラミニン−111治療筋肉のα7インテグリン及びユートロフィンの発現及び接合部外局在の増加を明らかにした(図29)。
これらの研究を確認及び数値化するために、PBS及びラミニン−111治療mdx筋肉がWestern分析(図30)にかけられた。対照と比較して、ラミニン−111治療mdx筋肉においてα7A及びα7Bインテグリンイソフォームの1.6及び2.6倍の増加がそれぞれ観測された(図31、*P=<0.05, **P=<0.001, n=5 mice/group)。たんぱく質負荷は、シクロオキシゲナーゼ−1(cox-1)に正常化された。さらに、ラミニン−111治療筋肉においてユートロフィンの1.3倍の増加が観察された(図31、*P=<0.05, **P=<0.001, n=5 mice/group)。α7インテグリン遺伝子導入マウスで報告された結果に一致してβ1Dインテグリンレベルの著しい変化は見られなかった。これらの結果は、ラミニン−111が、ジストロフィー筋肉において遺伝子導入で過剰発現した際に筋病理を緩和することで知られている二つのたんぱく質であるα7インテグリン及びユートロフィンの発現を増加したことを示す。
DMD患者は全身性の筋萎縮に苦しんでいる。従って効果的な治療は全ての筋肉を対象とするべきであり、それは心筋及び横隔膜を含む。そして、ラミニン−111たんぱく質がこれらの筋肉に全身的に運ばれることが出来るかどうかが測定された。10日齢のmdxマウスに、1mg/kgで一投与のラミニン−111が腹腔内注射され、組織は5週齢で分析された。免疫蛍光法分析は、横隔膜の基底膜及びラミニン−111注射マウスの腓腹筋全体の至る所にラミニン−α1の存在を明らかにし、一方では対照は陰性であった(図32及び図33)。心筋の分析は、心筋細胞を取り巻くラミニン−111を示した(図32)。
ラミニン−111の全身伝達が効果的であるかどうかを測定するために、ラミニン−111が注射された3週間後に血清が収集され、クレアチンキナーゼレベルが測定された。血清クレアチンキナーゼは、筋肉損傷によるDMD患者において極めて上昇する。そしてクレアチンキナーゼレベルは診断及び予後目的で使用される。この例は、ラミニン−111治療が、PBS制御(図34、*P<0.05, n=5 mice/group)と比べて、血清クレアチンキナーゼレベルの2.6倍減少という結果をもたらした。これらのレベルは野生型マウスのクレアチンキナーゼレベルと統計的には変わらなかった。これらの結果は、ラミニン−111たんぱく質がジストロフィー病変を防ぐためにmdxマウスの主要筋肉システムに全体的に伝達されることができることを明らかにした。
ラミニン−111たんぱく質は比較的大型で腎機能に悪影響を与える場合があるため、血清クレアチン及び血中尿素窒素(BUN)が測定された。分析は、クレアチン及びBUNは、ラミニン−111治療mdx及び対照マウスにおいて統計的に違いはなかった(図34、*P<0.05, n=5 mice/group)ことを明らかにした。これらのデータは、ラミニン−111たんぱく質治療が腎機能に悪影響を与えることがないことを示している。
筋ジストロフィーを発症するように遺伝的に運命付けられているマウスにおいて、ラミニン−111たんぱく質の全身投与が、筋疾患の発病を最低3週間防ぐことをこの例が初めて明らかにする。これらの発見は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対してラミニン−111は極めて効き目のある新種のたんぱく質治療であるかもしれないことを示す。さらに、ラミニン−111たんぱく質治療は、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー(MCMD)、肢帯型筋ジストロフィー、及びα7インテグリン欠損病変を含む他の筋疾患の治療において有効であることを証明するかもしれない。ジストロフィーマウスへのラミニン−111たんぱく質の注射の効力は、細胞外マトリックスたんぱく質の全身伝達が遺伝子疾患向け治療として調査されてもよいということを立証する新しい理論的枠組みを示す。
上述の議論は、様々な実施例の詳細の説明を提供しているとして理解される。上述の説明は、当業者が、本開示に従って構成される装置を提供するために具体的な例から新しい試みをすることを可能にする。本実施例は説明のためのものであり、本開示の範囲を制限する意図はない。本開示の範囲はむしろ、発行された特許請求の範囲により決定され、それに同等である。

Claims (33)

  1. 少なくともラミニンの一部の治療効果のある量を被検体に投与することを含む、被検体の筋肉再生を促進し、修復し、又は維持する方法。
  2. 前記ラミニンは、少なくともラミニン−1の一部を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ラミニンは、ラミニン−1を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ラミニンは、少なくともラミニン−2の一部を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ラミニンは、ラミニン−2を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ラミニンは、少なくともラミニン−4の一部を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ラミニンは、ラミニン−4を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記ラミニンは、ラミニン−1、ラミニン−2、ラミニン−4、これらの全て又は一部、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記ラミニンは、ラミニンのα1鎖を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記ラミニンは、少なくともラミニンのα1鎖の一部を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 少なくともラミニンの一部の治療効果のある量を前記被検体に投与する前に、筋肉再生障害を特徴とする前記被検体を診断することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記被検体は、コスタメア成分の生成の低下により特性づけられる状態を有している、請求項1に記載の方法。
  13. 前記被検体は、ジストロフィン生成障害を有する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記被検体は、ラミニン生成障害を有する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記被検体は、α7β1インテグリン生成障害を有する、請求項1に記載の方法。
  16. 前記ラミニンは付随の治療薬として投与される、請求項1に記載の方法。
  17. 前記付随の治療薬は、コスタメトリックたんぱく質、成長因子、衛星細胞、幹細胞、及び筋細胞から選択される請求項16に記載の方法。
  18. 前記ラミニンは、被検体が筋肉損傷又は疾患を受ける前に投与される請求項1に記載の方法。
  19. 前記ラミニンは被検体に全身的に投与される、請求項1に記載の方法。
  20. 前記ラミニンは腹部への注射により被検体に投与される、請求項1に記載の方法。
  21. 前記ラミニンは非経口で被検体に投与される、請求項1に記載の方法。
  22. 前記ラミニンは筋肉内注射により投与される、請求項1に記載の方法。
  23. 前記ラミニンは腹腔内注射により投与される、請求項1に記載の方法。
  24. 前記ラミニンは、ラミニン派生物、類似物、又は断片から選択される請求項1に記載の方法。
  25. 前記ラミニンは、約50nMから約200nMの間の濃度で投与される請求項1に記載の方法。
  26. 前記ラミニンは、約100nMの濃度で投与される請求項1に記載の方法。
  27. 前記ラミニンは、前記被検体の体重の約1nmol/gから約50nmol/gの間の量が投与される請求項1に記載の方法。
  28. 前記ラミニンは、前記被検体の体重に対しての約2nmol/gから約20nmol/gの間の量が投与される請求項1に記載の方法。
  29. 前記ラミニンは、前記被検体の体重に対しての約2nmol/gから約10nmol/gの間の量が投与される請求項1に記載の方法。
  30. 被検体に治療効果のある量のラミニンを投与することを含む、前記被検体の創傷治癒を促進する方法。
  31. 被検体に治療効果のある量のラミニンを投与することを含む、前記被検体における筋肉障害又は損傷の予防又は減少方法。
  32. 少なくともラミニンの一部の治療効果のある量を被検体に投与することを含む、前記被検体の創傷治癒促進の方法。
  33. 少なくともラミニンの一部の治療効果のある量を被検体に投与することを含む、被検体を治療する方法。
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