JP2002542823A - ラミニン2とその使用方法 - Google Patents

ラミニン2とその使用方法

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JP2002542823A
JP2002542823A JP2000615754A JP2000615754A JP2002542823A JP 2002542823 A JP2002542823 A JP 2002542823A JP 2000615754 A JP2000615754 A JP 2000615754A JP 2000615754 A JP2000615754 A JP 2000615754A JP 2002542823 A JP2002542823 A JP 2002542823A
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cell
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JP2000615754A
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ピーター ユルチェンコ、
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ユニヴァースティ オブ メディシン アンド デンティストリー オブ ニュージャージー ロバート ウッド ジョンソン メディカル スクール
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、実質的に精製されたラミニン2、組換えラミニン2を製造する方法、組換えラミニン2を発現する細胞、ならびに実質的に精製されたラミニン2を用いて、抹消神経系神経再生を加速するための方法および細胞付着および移行を促進するための方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 相互参照 本出願は、米国仮特許出願番号60/131720、出願日1999年4月3
0日、出願番60/139198、出願日1999年6月15日、出願番号60
/155946、出願日1999年9月24日の優先権を請求するものであり、
これらいずれもが本文中にその全文が本願明細書に引用されるものとする。
【0002】 発明の分野 本出願は組み替え型ラミニン5およびその利用方法に関する。
【0003】 発明の背景 基底膜は、細胞の成長、組織発達および組織保持に中心的な役割を担う、シー
ト状の細胞関連細胞外マトリックスである。これらはほとんど全ての組織内に存
在し、胚成長の初期段階に出現する。
【0004】 基底膜はさまざまな構造的かつ細胞相互作用機能の中心となるものである(た
とえば、MalindaとKleinman, Int. J. Bioche
m. Cell Biol. 28:957−959(1996); Auma
illeyとKrieg. J.Inves. Dermatology 10
6:209−214(1996)を参照)。たとえば、 1.基底膜は細胞に接着基底を与えることで、組織の構造支持体として役立つ。
【0005】 2.基底膜は細胞の遊走を妨げ、受動的に高分子交換を調整する組織間の選択透
過性バリヤーをつくっている。これらの特性は、重要な濾過機構として機能し、
大半の蛋白質および細胞に対して不透過性であり、有効な血液組織バリヤーをつ
くっている腎臓の腎糸球体基底膜により説明される。
【0006】 3.基底膜は、胚形成および傷の修復の間に細胞遊走および細胞伸張を促進する
ことができる高度に相互作用的な表面を形成する。傷を受けた場合、基底膜は表
層をつくり、その上で細胞が再生し、正常な組織機能を復活させる。
【0007】 4.基底膜は、分化および組織保持にとって重要な細胞を接触させるためにその
構造内に暗号化された情報を持っている。この情報はintegrins(イン
テグリン)、dystroglycan(ジストログリカン)、細胞表面pro
teoglycans(プロテオグリカン)などのさまざまなレセプターを通し
て細胞に伝達される。シグナルの伝達はマトリックスリガンドおよび、十分な親
和力で相互作用する、対応するレセプターの存在にだけ依存しているのではなく
、三次元マトリックス「landscpe」におけるリガンド密度のような組織
分布的要素、さらにレセプターをクラスター形成する基底膜構成成分の性能にも
依存する。これらのマトリックス蛋白質は長く生きることができるため、基底膜
はそれに関連する基底膜内部に常在性細胞および過渡性細胞のための「表面メモ
リ」をつくる。
【0008】 基底膜は主としてラミニンおよびIV型コラーゲンヘテロ三量体で構成され、
これらの構成成分はさらに複合重合体構造として組織化される。現在まで、6つ
の型のVIコラーゲン鎖および少なくとも12のラミニンサブユニットが特定さ
れている。これらの鎖は割り当てられた単独の機能を有し、特定の時間的(発達
途中の)および空間的(組織部位特定)パターンと共に発現する。
【0009】 ラミニンは本来基底膜に常在するヘテロ三量体のグリコプロテインファミリー
である。これらは隣接する細胞レセプターとの結合相互作用を介して機能し、ラ
ミニンネットワークを形成する。ラミニンは、細胞/組織表現型の保持ならびに
組織修復および発育における細胞成長および分化を促進する上で重要である。
【0010】 ラミニンは大形の多領域蛋白質で、共通の構造的機構を持つ。ラミニン分子は
一つの分子内にさまざまなマトリックスおよび細胞相互作用機能を統合している
【0011】 ラミニン分子はコイルドコイル領域により互いに連結したα−、β−およびγ
−鎖から構成されている。この構造内において、他のラミニンおよび基底膜分子
へ向けての結合活性、および膜結合レセプターを有する領域が識別できる。領域
VI、IVb、およびIVaは球状構造をしており、領域V、IIIb、IIIa(シ
ステインリッチEGF[上皮成長因子]様要素を含む)はロッド状構造を形成す
る(Kamiguchi et al., Ann. Rev.Neurosc
i. 21:97−125(1998))。3つの鎖の領域IおよびIIは三本
鎖コイルドコイル構造(長腕)の形成に参加している。
【0012】 表1は、各ラミニンが構成される個々の鎖を示いる。
【0013】
【表1】 ラミニンの4つの構造的に定義されたファミリーグループが特定されている。
5つの特定されたラミニン分子の第1グループはは全てβ1およびγ1鎖を共有
しており、それらのα鎖構造により変化する(α1〜α5)。5つの特定された
ラミニン分子の第2グループは全てβ2およびγ1鎖を共有しており、これもα
鎖構造により変化する。第3の特定されたラミニン分子のグループは、α3β3
γ2の鎖構造を持つ一つの特定されたメンバー、ラミニン5を有している。第4
の特定されたラミニン分子のグループは、新たに特定されたγ3鎖(α2β1γ
3)を持つ特定されたメンバー、ラミニン12を有する。
【0014】 領域構造と機能との間の関係を解き明かす進展があった(たとえば、Wewe
rとEngvall, Neuromusc, Disord. 6:409−
418(1996)を参照)。異なる鎖の相同領域間で全配列の類似点は異なる
が、これは領域VIにおいてもっとも高く(ラミニン重合において重要な役割を
行っていると考えられる)、それに領域Vが続き(蛋白質−蛋白質相互作用に関
わっている可能性がある)、さらにIII(entactin(エンタクチン)/
nidogen(ニドゲン)結合、細胞接着部位の可能性)、もっとも低いのが
領域I、II(いずれも分子間集合に関わっていると考えられ、細胞接着部位を含
む可能性がある)およびGである。全ての領域が3つのすべての型の鎖内に存在
するわけではない。球形G領域(細胞レセプター結合に関わっていると考えられ
る)はα鎖にだけ存在する。その他の領域は特定の鎖型内の全ての鎖にには存在
しない可能性がある。たとえば領域VIはα3、α4、γ2鎖から不在である(
WewerとEngvall、1996)。
【0015】 大形サイズ(600 kD以上)であることかつ単一構造であるため、ラミニ
ン分子は電子顕微鏡で解析することが可能である(WewerとEngvall
、1996)。通常ラミニンは電子顕微鏡において十字型をした分子として現れ
る。十字の三本の短腕が3つの分離したラミニン鎖のそれぞれのアミノ末端部分
を示している(鎖毎に一本の短腕)。十字の長腕は、共にコイルドコイル構造を
形成する3つの鎖ののC末端部で構成されている(WewerとEngvall
、1996)。長腕は球形G領域で終わっている。
【0016】 長腕のコイルドコイル領域は、ラミニンの3つの鎖の組み立てにとって極めて
重要である(Yurchenco et al., Proc. Natl,
Acad. Sci. 94:10189−10194(1997))。ジスル
フィドは架橋結合し、長腕のもっとも中央に近い領域内で3つの鎖を安定させ、
長腕のもっとも末端領域でβおよびγを結合する。
【0017】 培養した筋管骨格およびシュヴァン細胞で導かれた研究に基づく、ラミニンレ
セプター促進性自己組織化のモデルにより、ラミニンが、リガンドを含まない場
合、流体膜内に自由に放散するそれらのレセプターと結合することが予想された
。レセプターの関わりによりラミニンは高度に局所性の二次元濃度内に追いやら
れ、それらの規則正しい表面ポリマーへの質量作用駆動集合を容易にする。この
過程では、それに関わるレセプターもまた再組織化され、細胞骨格再編成が伴う
(Colognato, J. Cell Biol. 145:619−63
1(1999))。この再編成で、レセプターが活性化され、細胞発現、形態お
よび/または挙動の変化を伴うシグナル伝達を引き起こす。
【0018】 ラミニンレセプターのある分類物はインテグリンであり、これは多くの細胞−
マトリックスおよび細胞−細胞相互作用を仲介する細胞表面レセプターである。
インテグリンはヘテロ二量体であり、αおよびβサブユニットからなる。16α
および8βサブユニットが知られており、現在まで、少なくとも22通りのαお
よびβサブユニットの組み合わせが識別されている。いくつかのインテグリンは
既知のリガンドを一つまたは数個しか持たないが、その他のものは極めて不規則
である。インテグリンへの結合は一般に低親和性であり、二価のカチオンに依存
している。それらのリガンドへの結合により活性化されたインテグリンはキナー
ゼ活性化カスケードを通して、限局的な接着および分裂促進因子活性化キナーゼ
のようなシグナルを伝達する。いくつかの異なるインテグリンは多少特異的にさ
まざまなラミニン異性体を結合させる(Aumailley et al.,
In The Laminins, TimplとEkblom, eds., Harwood Academic Publisher, Amester
dam. pp. 127−158(1996))。
【0019】 ラミニン2は、α2(400 kD)、β1(約100 kD)、γ1(約1
00 kD)鎖から構成される。α2鎖のC−末端G領域は、α−ジストログリ
カンへの結合に関与する大形の球状構造を形成している(Kamiguchi
et al., 1998)。
【0020】 ラミニン1の短腕領域は自己凝集プロセスに関わり(SchittneyとY
urcheno, J. Cell Biol. 110:825−832(1
990))、かつIV型コラーゲン型のような細胞外マトリックス構成成分を伴
う。α1(ラミニン1)とα2鎖との間の相同性は58.6%である。特にN−
末端領域におけるα1とα2鎖との間の有意相同性、およびそれらの同一βおよ
びγ鎖から、ラミニン2はラミニン1に類似した構造組織を有することが示唆さ
れている(Kamiguchi et al., 1998)。
【0021】 元々ラミニン2はプラセンタ、横紋筋、シュヴァン細胞の基底膜で見つかった
(LeivoとEngvall, Proc. Natl. Acad. Se
i. USA 85:1544−5488(1998))。 普通の成人ではラ
ミニン2が骨格筋の基底膜において優勢であり、ここで、細胞外マトリックスお
よび副筋細胞膜細胞骨格を結合することにより筋細胞膜対して機械的再強化を行
うのに役立っている(Sanes et al., J. Cell Biol
. 111:1685−1699(1990))。
【0022】 ラミニン2の構造または発現に悪影響を及ぼす遺伝的欠陥が、大半の先天性筋
ジストロフィー(CMD)の原因である。ラミニン2は、骨格筋発育中に筋管を
安定させるために、またCMDにおいて認められる病理学的現象のいくつかを説
明していると考えられているアポトーシスを防止するために特に必要であること
が分かっている(Kamiguchi et al., 1998)。
【0023】 インビトロ研究によって、部分的に精製したラミニン2が筋管生存および表現
型保持にとって重要であることが証明された(Vachon et al.,
J. Cell Biol. 134:1483−1497(1996))。生
体内実験では、一次筋細胞移植によるCMD動物モデルのラミニンα2欠陥にお
いて、部分的なラミニンα2鎖修復が認められた(Vilquin et al
., J. Cell Biol. 133:185−197)。
【0024】 ラミニン2はまた、発育中および成熟した末梢神経の神経内基底膜に存在する
主要なラミニン異性体であり、シュヴァン細胞遊走、神経突起成長、および神経
突起再分化(Kamiguchi et al., 1998)、ならびにオリ
ゴデンドロサイトによるミエリン形成を促進することが示された(Butter
y et al., Mol. Cell. Neurosci. 14:19
9−212(1999))。さまざまな実験の結果、ラミニン1よりもむしろラ
ミニン2が、特に早期発育段階におけるシュヴァン細胞/基底膜の相互作用に重
要であることが示された(Kamiguchi et al., 1998)。
その他の研究で部分的に精製されたラミニン2が神経細胞遊走および軸索成長を
促進することが証明された(AgiusとCochard, J. Neuro
sci. 18−328−338(1998); Kamiguchi et
al., 1998;U.S. Patent Nos. 5,444,158
;5,872,231; 5,624.905;と5,863,743; Ba
tesとMeyer, Develop. Biol. 181:91−101
(1997))。ラミニン2欠陥CMD動物モデルにおいては、CMDには抹消
運動神経の不良髄鞘形成が伴い、ラミニン2が末梢ミエリン形成に重要な役割を
行っていることが示された。
【0025】 部分的に精製したラミニン2はまた、細胞遊走およびさまざまなタイプの細胞
、特に筋肉細胞および神経細胞起始細胞の基質への付着を促進することが分かっ
た(U.S. Patent No. 5,444.158; White e
t al., Am. J. Resp. Biol. 20:787−796
(1999); Engvall et al., Exp. Cell Re
s.198:115−123(1992))。
【0026】 さらにライ菌の神経屈性の分子基底が、シュヴァン細胞軸索単位上のラミニン
2のG領域へのライ菌の特定結合に起因しうることが証明され、一方α−ジスト
ログリカン(αDG)はライ菌に対するシュヴァン細胞レセプターとして役立つ
ことが分かった(Rambukkana et al., Science28
2:2076−2079(1998); Rambukkana et al.
, Cell 88;811−821(1997))。未変性αDGは、原発性
シュヴァン細胞に結合するラミニン2媒介ライ菌を競合的に阻止することが証明
された(Rambukkana et al., 1998)。
【0027】 このようにラミニン2およびそれらの断片に対する研究および治療への応用は
、末梢神経系(RNS)神経再分化、退行性筋障害の処置、その結果として血管
形成、細胞付着および遊走の促進、生体外細胞治療、医療機器の生体適合性の向
上、移植片利用の改善、改良された細胞培養装置および培地の調製を含むが、そ
れらに限定されるものではない。
【0028】 現在、研究または治療目的のために細胞または組織源から実質的に適切な精製
されたラミニン2を単離する方法はなく、また組み替え型のヘテロ三量体ラミニ
ン2の生成のための方法も開発されていない。ラミニン2はプラセンタ、または
量は少ないが骨格筋から部分的に精製することができる。ヒトのプラセンタでは
ほんの数ミリグラムの蛋白質しか得ることができない(Cheng et al
., J. Biol. Chem. 272:31525−32, 1997
)が、このラミニンは通常だいたい同等モル量のラミニン4(α2β2γ1)と
蛋白質ニドゲン(エンタクチン)を含んでいる。ニドゲンはかなり強力であるが
非共有結合の会合によりラミニンに結合している。ラミニン4の大半は、追加の
工程を行っても除去することが難しく、かなりのラミニン4の混入が残存する。
ニドゲンを除去するには変性条件が必要である。
【0029】 したがって、当業では実質的に精製されたラミニン−2の適量、およびラミニ
ン2を生成する方法が必要である。好ましい生成方法は、組み替え型ラミニン−
2を生成するために選ばれた株細胞を操作する組み替え型DNA技術を使用する
ことである。組み替え型に基づくラミニン−2生成方法は、組織からの生成また
は培地中の細胞株からの単離全般にわたっていくつかの利点がある。
【0030】 1.組み替えにより生成された蛋白質には病原菌がない。これは内在性細胞培
養生成蛋白質についても同様であるが、ヒト組織から取り出された蛋白質は、H
IV、肝炎、その他の感染因子による汚染の危険を持っている。
【0031】 2.蛋白質の発現レベルおよびそれに由来する産出量は、コード化された蛋白
質の生成を高める遺伝的に操作した遺伝子/ベクターを使用することで改善する
ことが可能である。
【0032】 3.商業的に存続可能な親和性精製方法のための結合部位を提供する蛋白質鎖
に至るさらなるペプチド配列を操作することが可能である。
【0033】 4.本方法は、付加、置換、除去、および/またはその他の蛋白質領域構造の
修飾により蛋白質構造/機能の変性に役立つ。たとえば、合成基質への適切な結
合部位において、インテグリン結合部位(たとえばRGD)、切り替えインテグ
リン認識部位を導入する、または操作することが望ましい場合がある。このよう
に、ラミニン鎖を発現する発現ベクターを創ることで、将来使用するための大き
な適用性を生じさせ、2時的「合成」ラミニン生成の基礎を創ることになる。
【0034】 発明の概要 本発明は、実質的に精製されたラミニン2タンパク質、実質的に精製された組
換えラミニン2(本明細書中にて、以後、γ−ラミニン2と記す)を製造するた
めの方法、および実質的に精製されたラミニン2を、抹消神経再生、変性筋肉異
常の治療、脈管形成調節、細胞付着および移行の促進、エクスビボ細胞療法、移
植組織の「正着」の改善、医療用具の生体適合性の改善、および改善された細胞
培養装置および培地の調製を含むが、それらに限定されない研究および治療のた
めに用いる方法についての当該技術分野における要望を満たすものである。
【0035】 一つの態様において、本発明は、ラミニンα2、β1およびγ1鎖のうちの少
なくとも一つをコード化する発現ベクター(複数を含む)を用いてトランスフェ
クションされた哺乳動物細胞を提供し、この細胞がγ−ラミニン2を分泌する。
【0036】 もう一つの態様において、本発明は、実質的に精製されたラミニン2、および
γ−ラミニン2を生成するための方法を提供する。
【0037】 さらなる実施形態において、本発明は、新規の単離されたラミニン2α2核酸
およびα2タンパク質を提供する。この実施形態において、タンパク質生成物は
、以前に報告されている配列を基準として、カルボキシル末端にさらに30個の
アミノ酸を含有する。
【0038】 さらなる態様において、本発明は、実質的に精製されたラミニン2を含むか、
または新規組換えα2タンパク質を製薬上許容され得る担体と共に含む医薬品組
成物を提供する。こうした医薬品組成物には、細胞外基質成分などのその他の化
合物が任意に供給される。
【0039】 本発明は、抹消神経再生、変性筋肉異常の治療、脈管形成調節、細胞付着およ
び移行の促進、エクスビボ細胞療法、医療用具の生体適合性の改善、移植組織の
「正着」の改善、および改善された細胞培養装置および培地の調製のための方法
をさらに提供し、この方法には、所望の結果のために有効な量の実質的に精製さ
れたラミニン2またはその医薬品組成物の提供することが含まれる。
【0040】 さらなる態様において、本発明は、改善された医療用具または移植組織を提供
し、この改善には、用具または移植組織に、所望の塗布のために有効な量の実質
的に精製されたラミニン2またはその医薬品組成物を塗布することが含まれる。
こうした用具に、細胞外基質成分などのその他の化合物を任意に供給して、医療
用具または移植組織の生体適合性または有効性をさらに改善することができる。
【0041】 さらなるにおいて、本発明は、細胞培養装置への細胞の付着のために有効な量
の実質的に精製されたラミニン2またはその医薬品組成物によって、細胞のその
後の増殖/分化/うっ血に備える、改善された細胞培養装置を提供する。
【0042】 もう一つの態様において、本発明は、実質的に精製されたラミニン2を含む細
胞培養増殖捕捉を提供する。もう一つの態様において、本発明は、改善された細
胞培養増殖培地を提供し、この改善には、実質的に精製されたラミニン2を増殖
培地に添加することが含まれる。
【0043】 好ましい実施形態の詳細な説明 本明細書は、すべての参考文献、特許および特許出願の全文を引例として包含
する。
【0044】 別に述べない限り、本出願内で利用する技術は、Molecular Clo
ning:A Laboratory Manual(Sambrook,et
al.,1989,Cold Spring Harbor Laborat
ory Press)、Gene Expression Technolog
y(Methods in Enzymology,Vol.185,edit
ed by D.Goeddel,1991,Academic Press,
San Diego CA)、“Guide to Protein Puri
fication”in Methods in Enzymology(M.
P.Deutshcer,ed.,(1990)Academic Press
,Inc.);PCR Protocols:A Guide to Meth
ods and Applications(Innis,et al.,19
90,Academic Press,San Diego,CA),Cult
ure of Animal Cells:A Manual of Basi
c Technique,2nd Ed.(R.I.Freshney,198
7,Liss,Inc.,New York,NY),Gene Transf
er and Expression Protocols,pp.109−1
28,ed.E.J.Murray,The Humana Press In
c.,Clifton,N.J.)、およびthe Ambion 1998
Catalog(Ambion,Austin,TX)などのいくつかのよく知
られている参考文献のいずれかにおいて見つけることができる。
【0045】 本出願中で用いる「ラミニン2」は、γ−ラミニン2と、組織供給源からの実
質的に精製されたラミニン2との両方を含む。
【0046】 本出願中で用いる用語「γ−ラミニン2」は、α2、β1およびγ1鎖から選
択されるラミニン2鎖をコード化する核酸配列を少なくとも一つ含む一つ以上の
発現ベクターを用いてトランスフェクションされた細胞、それらの処理形態、ま
たはヘテロ三量体ラミニン2を形成することができ、ラミニン2の活性を維持す
ることができるそれらのその他のタンパク質によって発現される組換えラミニン
2を指す。従って、こうしたγ−ラミニン2は、単一生物からのまたは異なる生
物からのα2、β1およびγ1配列を含むことができる。ラミニン2鎖DNA配
列および多様な生物からのそれらをコード化したタンパク質は、当該技術分野に
おいて既知である(例えば、Vuolteenaho et al.,J.Bi
ol.Chem.265:15611−15616(1990);Kallun
ki et al.,J.Biol.Chem.266:221−228(19
91);Pikkarainen et al.,J.Biol.Chem.2
63:6751−6758(1988);Sasaki and Yamada
,J.Biol.Chem.262:17111−17117(1987);S
asaki et al.,Proc,Natl.Acad.Sci.84:9
35−939(1987);Pikkarainen et al.,J.Bi
ol.Chem.262:10454−10462(1987);およびBer
nier et al.,Matrix Biol.14:447−455(1
995)を参照のこと。すべての参考文献は、その全文を本明細書中に引例とし
て包含する)。
【0047】 本発明は、組換えヘテロ三量体ラミニン2を構成する一つまたは二つの鎖が内
在性ラミニン2鎖によってコード化されるようなラミニン分子を包含する。好ま
しい実施形態において、γ−ラミニン2は、哺乳動物のα2、β1およびγ1鎖
の各々をコード化する核酸配列を含む一つ以上の発現ベクターを用いてトランス
フェクションされる細胞、それらの処理形態、またはヘテロ三量体ラミニン2を
形成することができ、ラミニン2の活性を維持することができるそれらのその他
のタンパク質によって生成される。
【0048】 本発明において、ラミニン2は、シグナル配列の結果として、ER、分泌小疱
、および細胞外空間に方向を定めることができる分泌タンパク質、ならびに必ず
しもシグナル配列を含まずに細胞外空間に放出されるようなタンパク質である。
分泌タンパク質が細胞外空間に放出される場合、分泌タンパク質は、細胞外処理
を受けて「成熟」タンパク質を生成することができる。こうした処理事象は可変
性であり、従って、異なるバージョンの最終「成熟タンパク質」を生じる得る。
本発明の実質的に精製されたラミニン2には、全長といずれかのこうした処理ラ
ミニン2鎖との両方を含むヘテロ三量体が含まれる。
【0049】 本出願中で用いる用語「実質的に精製された」とは、そのように設計されたラ
ミニン2が、そのインビボでの細胞環境から分離されていることを意味する。
【0050】 本出願中で用いるラミニン2ポリペプチド鎖は、次の一つ以上に従うポリペプ
チド鎖を指す: (a)1. R1−R2−R3 2. R1−R2−R3(e) 3. R3 4. R3(e) 5. R1−R3 6. R1−R3(e) 7. R2−R3 8. R2−R3(e) (ここで、R1は、アミノ末端メチオニンであり;R2は、ポリペプチドの分
泌の方向を定めることができるシグナル配列であり、このシグナル配列は、別の
分泌タンパク質の特定のラミニン鎖についての自然シグナル配列であってもよい
し、または人工配列であってもよく;R3は、α2、β1およびγ1鎖から選択
される分泌ラミニン鎖であり;およびR3(e)は、(下記のものなどの)エピ
トープ標識をさらに含むα2、β1およびγ1鎖から選択される分泌ラミニン鎖
である) から成る群から選択されるポリペプチド構造を含み、ラミニン鎖アミノ酸配列内
のいずれの位置においても置換することができる;および/または (b)開示するラミニン鎖ポリヌクレオチド配列(配列番号:1、3、5、7
、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31)
またはそれらの断片の一つ以上に実質的に類似したポリヌクレオチドによってコ
ード化される;および/または (c)高または低厳密度条件のもとで、本明細書中で開示する組換えラミニン
2鎖DNA配列(配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17、1
9、21、23、25、27、29、31)、それらの断片、またはそれらの相
補的配列の一つ以上のコード領域へのハイブリッド形成を行うポリヌクレオチド
またはそれらのタンパク質によってコード化される;および/または (d)開示するラミニン2ポリペプチド鎖アミノ酸配列(配列番号:2、4、
6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30
、32、またはそれらの断片)の一つ以上と少なくとも70%の同一性、好まし
くは少なくとも80%の同一性、および最も好ましくは少なくとも90%の同一
性を有する。
【0051】 ここで“実質的類似の”というフレーズは、ここに開示されたラミニン2の配
列由来の、欠失、挿入、逆位、反復及び置換を含むがこれに限定されない1又は
それ以上の保存的変異を有するポリヌクレオチド又はポリペプチド配列を表すの
に使用され、ここで生じるラミニン鎖はここに開示されたものと機能的に同等で
ある。
【0052】 例えば保存的ポリヌクレオチド変異体はコード域、非コード域又はその両方に
変化を含むだろう。特に好適なものは、サイレント型の置換、付加又は欠失を生
じる変化を含むが、コードしたポリペプチドのアミノ酸配列は変えないポリヌク
レオチド変異体である。遺伝子コードの退縮によるサイレント型置換によって生
じるヌクレオチド変異体が好ましい。更には、5−10、1−5、又は1−2ア
ミノ酸がいずれかの組み合わせで置換、欠失、又は付加される変異体も好ましい
。ポリヌクレオチド変異体は、特定の宿主に関するコドン発現を最適化すること
を含むが、これに限定されない様々な理由により作成される(ヒトmRNA内の
コドンを大腸菌のような細菌性宿主に好適なコドンに変化させる)。
【0053】 天然に生ずる保存的変異体は“対立遺伝子変異体”と呼ばれ、生物の染色体上
のある遺伝子座を占有する遺伝子の複数の変化型の一つを表す(GenesII
、Lewin、B、ed.、John Wiley&Sons、New Yor
k(1985))。これら対立遺伝子変異体はポリヌクレオチド及び/又はポリ
ペプチドレベルのいずれも変化できる。あるいは非天然的に生ずる保存的変異体
を、突然変異誘発技術又は直接合成により生成しても良いだろう。
【0054】 発現したラミニン鎖ポリペプチドの特性を改良又は変化させるために、蛋白質
工学及び組換えDNA技術の既知方法を使用して保存的ポリヌクレオチド変異体
が生成されるだろう。例えば、1またはそれ以上のアミノ酸が分泌蛋白質のN−
末端又はC−末端から削除することができる(例えばRonら、J.Biol.
Chem 268:2984−2988(1993);Dobeliら、J.B
iotechonology 7:199−216(1988)参照)。多くの
証拠が、変異体がしばしば天然に生ずる蛋白質の生物的活性に類似の生物活性を
保持することが示されている。(例えばGayleetら、J.Biol.Ch
em 268:22105−22111(1993))。更に、ポリペプチドの
N−末端又はC−末端より1又はそれ以上アミノ酸を削除した結果1又はそれ以
上の生物学的機能が変化し、又は消失した場合でさえ、その他生物学的活性は依
然保持されるだろう。
【0055】 表現形としてサイレントなアミノ酸の置換を作成する方法に関するガイダンス
はBowie、J.U.ら、Science 247:1306−1310(1
990)に提供されておいるが、そこで著者は変化させるアミノ酸配列の許容度
の研究に関する2つの主要な方策を示している。
【0056】 第1の方策は、進化の過程の自然選択によるアミノ酸置換の許容度を利用する
。様々な種のアミノ酸配列を比較することで、保存的アミノ酸を特定することが
できる。これら保存的アミノ鎖は蛋白質機能にとって重要であろう。これに対し
、自然選択により許容される置換アミノ酸位置は、これらの位置が蛋白質機能に
とって重要でないことを示している。即ち、アミノ酸置換許容位置は、蛋白質の
生物学的活性を保ちながら変えることができる。
【0057】 第2の方策は遺伝子工学を利用しクローン化遺伝子の特定位置に変化を導入し
、蛋白質機能にとって重要な領域を特定する。例えば部位特異的突然変異導入法
又はアラニン−スキャニング突然変異導入法(分子内の残基毎への単1アラニン
突然変異の導入)が使用できる(CunninghamとWells、Scie
nce 244:1081−1085(1989))。次に生じた突然変異分子
を生物学的活性について試験できる。
【0058】 著者が記すように、これら2つの方策は蛋白質が意外な程アミノ酸置換に寛容
であることを表している。著者らは更にアミノ酸の変化が蛋白質内の特定アミノ
酸位置で許容されやすいことも示している。例えばほとんどの埋没(蛋白質の3
次構造内にある)アミノ酸残基は非極性側鎖を要求するのに対し、表面側鎖では
遺伝的に保存される特性は極僅かである。更に、許容される保存的アミノ酸置換
は脂肪族又は疎水性アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの置換;ヒド
ロキシル残基Ser及びThrの置換;酸性残基Asp及びGluの置換;アミ
ノ酸残基Asn及びGlnの置換、塩基性残基Lys、Arg及びHisの置換
;芳香族残基Phe、Tyr及びTrpの置換、および小サイズアミノ酸Ala
,Ser、Met及びGlyの置換を含む。
【0059】 保存的アミノ酸置換以外に、本発明の“実質類似の”ポリペプチドは(i)非
保存的アミノ酸残基の1またはそれ以上に置換にあって、前記置換アミノ酸残基
が遺伝子コードによりコードされたものでも、又はコードされたものでなくても
よい置換、又は(ii)置換基を有するアミノ酸残基の1またはそれ以上との置
換、あるいは(iii)成熟ポリペプチドと、ポリペプチドの安定性及び/又は
可溶性を増す化合物(例えばポリエチレングリコール)の様な他化合物との融合
、又は(iv)ポリペプチドとIgG Fc融合域ペプチドの様な付加アミノ酸
又はリーダーあるいは分泌配列、又は精製を容易にする配列との融合を含む。こ
れら変異体ポリペプチドは、本発明によれば“実質的類似する”と考えられる。
【0060】 例えば、荷電アミノ酸と他荷電又は中性アミノ酸とのアミノ酸置換を含むポリ
ペプチド変異体は低凝集性といった変化した特性を有する蛋白質を生ずるだろう
。医薬製剤の凝集は、凝集対の免疫原活性により活性を低下させ、且つクリアラ
ンスを増加させる(Pinckardら、Clin.Exp.Immunol、
2:331−340(1967);Robbinsら、Diabetes 36
:838−845(1987);Clelandら、Crit.Rev. Th
erapeutic Drug Carrier Systems 10:30
7−377(1993)。) “ハイブリダイゼーションの厳密性”とは、ここでは核酸ハイブリッドが安定
である条件を表すのに使用される。発明は更に高厳密性(ここで規定される如く
)下にここに開示されたラミニン鎖ポリヌクレオチドのコーディング配列又はそ
の相補体の全て又は一部とハイブリダイゼーションする核酸も含む。ハイブリダ
イゼーションする核酸のハイブリダイゼーション部位の長さは典型的には少なく
とも50ヌクレオチドである。当業者既知の如く、ハイブリッドの安定性はハイ
ブリッドの融解温度(T)に反映される。Tは配列相同性が1%低下する毎
に約1−1.5℃低下する。一般にハイブリッドの安定性はナトリウムイオン濃
度と温度の関数である。典型的にはハイブリダイゼーション反応は低厳密性下に
実施され、続いて厳密性をより高く変えながら洗浄される。即ちここで使用する
如く、高厳密性とは50%フォルムアミド、5×SSC(750mM NaCl
、75mM クエン酸ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6
)、5×デンハルト(Denhardt‘s)溶液、10%硫酸デキストラン及
び20μg/mlの変性、剪断サケ精子DNAを含む溶液中、42℃にて一晩イ
ンキュベーションし、続いてフィルターを0.1×SSC内、約65℃で洗浄す
ることを表す。
【0061】 またより低い厳密ハイブリダイゼーション条件にて本発明のポリヌクレオチド
とハイブリダイゼーションするラミニン2−コード核酸配列も予想される。ハイ
ブリダイゼーション及びシグナル検出の厳密性の変化は一次的にはフォルムアミ
ド濃度(フォルムアミドのパーセンテージが低い程厳密性も低くなる);塩条件
、又は温度を操作することで達成される。例えば、より低い厳密性条件には6×
SSPE(20×SSPE−3M NaCl;0.2M NaHPO;0.
02M EDTA、pH7.4)、0.5% SDS、30%フォルムアミド、
100ug/mlサケ精子ブロッキングDNAを含む溶液中での37℃、一晩の
インキュベーション;続く1×SSPE、0.1%SDSによる50℃での洗浄
を含む。加えて、より低い厳密性を達成するために、下記の厳密ハイブリダイゼ
ーションの洗浄が、高い塩濃度で行われてもよい(例 5×SSC)。
【0062】 上記条件の変更はハイブリダイゼーション実験でのバックグランドを抑制する
ことを目的に使用される別種ブロッキング試薬を含ませること、及び/又は交換
することで実行されることもできることに注意されたい。典型的なブロッキング
試薬にはデンハルト試薬、BLOTTO、へパリン、変性サケ精子DNA、及び
市販製剤が含まれる。特異的ブロッキング試薬を含める場合には、適合性問題よ
り上記ハイブリダイゼーション条件の変更が必要になることもある。
【0063】 ここに使用する2アミノ酸又は2核酸の“同一性%”はKarlinとAlt
schulにより改良された(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877,1993)KarlinとAltschulのア
ルゴリズムを利用し決定される(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A 87:2264−2268,1990)。この様なアルゴリズムはAlts
chulら(J.Mol.Biol.215;403−410、1990)のN
BLAST及びXBLASTプログラムに取り込まれている。BLASTヌクレ
オチド検索はXBLASTプログラムを使用し、スコア=100,ワード長=1
2で行われ、発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得る。BLAST蛋白
質検索はNBLASTプログラムを使用し、スコア=50,ワード長=3で行わ
れ、発明のポリペプチドに相同なアミノ酸配列を得る。比較目的のためのギャッ
プ入りアラインメントを得るために、Gapped BLASTをAltsch
ulら(Nucleic Acids、Res.25:3389−3402、1
997)記載の如くに利用した。BLAST及びGapped BLASTプロ
グラムを仕様する場合には、各プログラム(即ちXBLAST及びNBLAST
)の初期設定パラメーターが使用される。http://www.ncbi.nlm.nih gov.参照。
【0064】 本発明の別実施形態は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、1
8、20、22、24、26、28、30、32又はその断片に含まれる1また
はそれ以上のポリペプチド配列に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80
%、最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有するラミニン2鎖をコードす
るポリヌクレオチドを含む。
【0065】 ここに使用する如く“α2ポリヌクレオチド”は同一名のα2ラミニン鎖をコ
ードするポリヌクレオチドを表す。この様なポリヌクレオチドは、以下の1また
はそれ以上により特徴付けることができる:(a)前記ポリヌクレオチドのヌク
レオチドが配列番号2、4、6、8、10、12又はその断片に記載のアミノ酸
配列の1またはそれ以上に実質類似するアミノ酸配列をコードする;(b)配列
番号2、4、6、8、10、12又はその断片に記載の1又はそれ以上の配列に
少なくとも70%の同一性、好ましくは80%の同一性、及び最も好ましくは少
なくとも90%の同一性を共有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
;(c)α2ポリヌクレオチドは配列番号1、3、5、7、9、11、その断片
、又はその相補的配列の1またはそれ以上に記載のコーディング配列に低又は高
厳密条件下にハイブリダイズする;又は(d)α2ポリヌクレオチドは(1)R
1−R2−R3;(2)R1−R2−R3(e);(3)R3;(4)R3(e
);(5)R1−R3;(6)R1−R3(e);(7)R2−R3;及び(8
)R2−R3(e)より選択される一般構造を持つポリペプチドをコードし、前
記R1及びR2は上記に同じであり、R3及びR3(e)は上記に同じであるが
分泌されたα2鎖ポリペプチドを含むものである。
【0066】 ここに使用する“β1ポリヌクレオチド”は同一名のβ1ラミニン鎖をコード
するポリヌクレオチドを表す。これらポリヌクレオチドは以下の1またはそれ以
上により特徴付けることができる(a)前記ポリヌクレオチドのヌクレオチドが
配列番号14、16、18、20又はその断片に記載のアミノ酸配列の1または
それ以上に実質類似するポリペプチドをコードする;(b)配列番号14、16
、18、20又はその断片に記載の1又はそれ以上の配列に少なくとも70%の
同一性、好ましくは80%の同一性、及び最も好ましくは少なくとも90%の同
一性を共有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;(c)β1cDN
Asはは配列番号13、15、17、19、その断片、又はその相補的配列の1
またはそれ以上に記載のコーディング配列に低又は高厳密条件下にハイブリダイ
ズする;又は(d)β1ポリヌクレオチドは(1)R1−R2−R3;(2)R
1−R2−R3(e);(3)R3;(R4)R3(e);(5)R1−R3;
(6)R1−R3(e);(7)R2−R3;及び(8)R2−R3(e)より
選択される一般構造を持つポリペプチドをコードし、前記R1及びR2は上記に
同じであり、R3及びR3(e)は上記に同じであるが分泌されたβ1鎖ポリペ
プチドを含むものである。
【0067】 ここに使用する“γ1ポリヌクレオチド”は同一名のγ1ラミニン鎖をコード
するポリヌクレオチドを表す。これらポリヌクレオチドは以下の1またはそれ以
上により特徴付けることができる(a)前記ポリヌクレオチドのヌクレオチドが
配列番号22、24、26、28、30、32又はその断片に記載の酸配列の1
またはそれ以上に実質類似しているアミノ酸をコードする;(b)配列番号22
、24、26、28、30、32又はその断片に記載の1又はそれ以上の配列に
少なくとも70%の同一性、好ましくは80%の同一性、及び最も好ましくは少
なくとも90%の同一性を共有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
;(c)γ1ポリヌクレオチドは配列番号21、23、25、27、29、31
、その断片、又はその相補的配列の1またはそれ以上に記載のコーディング配列
に低又は高厳密条件下にハイブリダイズする;又は(d)γ1ポリヌクレオチド
は(1)R1−R2−R3;(2)R1−R2−R3(e);(3)R3;(R
4)R3(e);(5)R1−R3;(6)R1−R3(e);(7)R2−R
3;及び(8)R2−R3(e)より選択される一般構造を持つポリペプチドを
コードし、前記R1及びR2は上記に同じであり、R3及びR3(e)は上記に
同じであるが分泌されたβ1鎖ポリペプチドを含むものである。
【0068】 ここで使用する場合、用語“エピトープタグ”はキメラ蛋白質の一部として発
現されるポリペプチド配列を表し、前記エピトープタグはエピトープタグに対し
作製された抗体の結合に関する、又はタグを含む配列の親和性精製に利用できる
その他分子の結合に関する認識部位として機能する。
【0069】 ここで使用する場合、用語“生物適合性増加”は類似の非コート型生物材料に
関するラミニン2コート生物材料に関するインプラント周囲組織の急性又は慢性
炎症反応誘導低下及び適合な分化の破壊低下を表す。
【0070】 態様の一つでは、本発明はラミニン2のα2、β1及びγ1鎖又はその断片を
含む少なくとも1ポリペプチド配列をコードする核酸配列に動作可能に連結され
たプロモーター配列を含む発現ベクターをトンランスフェクションされたγ−ラ
ミニン2発現細胞にあって、該トランスフェクションされた細胞が組換え体ラミ
ニン鎖を含むヘテロトリマー型ラミニン2を分泌するである発現細胞を提供する
。好適な実施形態では、細胞はラミニン2のα2、β1及びγ1鎖又はその断片
のそれぞれを含むポリペプチド配列をコードする核酸配列に動作可能に連結され
たプロモーターを含む組換え体発現ベクターによりトランスフェクションされる
。トランスフェクション後細胞は、培地中にγ−ラミニン2を分泌する前にヘテ
ロトリマーを形成する各組換え体ラミニン2鎖を発現する。
【0071】 好適な実施形態では、α2、β1及びγ1ラミニン鎖、又はその断片をコード
するcDNAsが発現ベクター内にサブクローニングされる。あるいは、1また
はそれ以上のイントロンを含むラミニン2α2、β1及び/又はγ1ゲノム配列
が利用できる。
【0072】 γ−ラミニン2を発現し、分泌することができるいずれかの細胞が利用できる
【0073】 好ましくは真核生物細胞が使用され、最も好ましくは哺乳動物細胞が使用され、
これには腎臓及び上皮細胞株が含まれるがこれに限定されない。最適な実施形態
では、哺乳動物細胞は内因性にはラミニン2鎖を全く発現しない。ラミニン2蛋
白質の畳み込み及び機能にとって炭水化物及びジスルフィドの翻訳後修飾が必要
であると信じられている。このことから機能的γ−ラミニン2の生産には真核生
物細胞の利用が好適であるが、例えば抗体作製のための抗原を得る為にその他シ
ステムも利用される。
【0074】 “組換え体発現ベクター”には核酸コーディング域又は遺伝子を遺伝子産物の
発現に影響できるプロモーターと動作可能に連結させているベクターを含む。個
々の鎖、またはγ−ラミニン2を発現させるために使用されるプロモーター配列
は構成的(CMV、SV40、RSV、アクチン、EFを含むがこれに限定され
ない各種プロモーターの何れかにより作動する)または誘導的(テトラサイクリ
ン、エクジソン、ステロイド反応を含むが、これに限定されない複数の誘導型プ
ロモーターの何れかにより作動する)である。発現ベクターは宿主生物内におい
てエピソームとして、又は宿主染色体DNA内に組み込まれることで複製可能で
なければならない。好適な実施形態では、発現ベクターはプラスミドを含む。し
かし、発明はウイルスの様な同等の機能を果たすその他発現ベクターを含むこと
を目的とする。
【0075】 実施形態の一つでは、ラミニン鎖ポリヌクレオチド配列の少なくとも1つ、ま
たはその断片は“エピトープタグ”をコードする核酸配列に動作可能に連結され
、その結果鎖の少なくとも1つは発現したエピトープタグを持つ融合蛋白質とし
て発現される。エピトープタグは、生じるr−ラミニン2が機能を維持する範囲
でγ−ラミニン2を含むポリペプチド鎖のアミノ末端、カルボキシ末端、または
内部分として発現できる。エピトープタグは、それが生じるγ−ラミニン2の親
和性精製のベースとして利用できる範囲で使用されるだろう。この様なエピトー
プタグの例にはFLAG(シグマケミカル、セントルイス、ミズーリ(Sigm
a Chemical、St.Louis,MO))、myc(9E10)(イ
ンビトロゲン、カールスバッド、カリフォルニア(Invitrogen、Ca
rlsbad,CA)、6−His(インビトロゲン;ノバゲン、マジソン、ウ
イスコンシン(Novagen、Madison、WI))及びHA(ベーリン
ガーマンハイムバイオケミカルス(Boehringer Manheim B
iochemicals)。
【0076】 別の実施形態では、γ−ラミニン2鎖の一つは第1エピトープタグとの融合蛋
白質として発現され、そして少なくとも1の他γ−ラミニン鎖は第2エピトープ
タグとの融合蛋白質として発現される。これにより精製工程は簡便化され、より
高い回収が促進される。あるいは、同一エピトープタグを使用し、1より多いγ
−ラミニン鎖を有する融合蛋白質を作製できる。
【0077】 さらなる実施形態では、エピトープタグはγ−ラミニン2鎖から切り出し可能
に工夫することができる。あるいは、γ−ラミニン2鎖のいずれにもエピトープ
は融合されず、そしてγ−ラミニン2はラミニン2抗体に対する抗体又はその他
ラミニン2結合分子に対する抗体を使用するアフィニティークロマトグラフィー
を含むが、これに限定されない標準的技術により精製される。
【0078】 真核生物細胞への発現ベクターのトランスフェクションは、リン酸カルシウム
共沈殿法、エレクトロポレーション、又はリポゾーム媒介−、DEAEデキスト
ラン媒介−、ポリカチオン媒介−、又はウイルス媒介トランスフェクションを含
むがこれに限定されない当業者既知の技術により達成できる。
【0079】 好適な実施形態では、細胞は安定的にトランスフェクションされる。安定トラ
ンスフェクション及び適切にトランスフェクションされた細胞の選別に関する方
法は当分野既知である。最適な実施形態では、CMVプロモーター駆動発現ベク
ターが胚性ヒト腎臓293細胞株に使用される。
【0080】 1つの例では、単一ラミニン鎖がトランスフェクションされた細胞からの媒体
がまずラミニン鎖特異的抗体を使用したウエスタンブロットで解析される。トラ
ンスフェクション後の単一ラミニン鎖の発現は一般には細胞内発現である。個々
のトランスフェクション鎖に対し反応性を示すクローンは、PCR、逆転写−P
CR、又は核酸ハイブリダイゼーションの様な適当な方法により検証され、トラ
ンスフェクション遺伝子の取り込みが確認される。好ましくはこれらクローンか
らのゲノムDNA標本の分析はラミニン鎖−特異的プライマーペアを使用したP
CRにより実施される。3種類全ての鎖を産生するトランスフェクションクロー
ンからの媒体は、ウエスタンブロット分析及び細胞結合アッセイを含む適当な方
法によりγ−ラミニン2分泌及び/又は活性に関し更に分析される。γ−ラミニ
ン2の活性は細胞接着及び蛋白質結合アッセイにて好ましく分析される。
【0081】 別の態様では、本発明は実質精製されたラミニン2、好ましくはγ−ラミニン
2を提供する。実施形態の一つでは、実質精製されたラミニン2はα2鎖ポリペ
プチドを含む第1鎖;β1鎖ポリペプチドを含む第2鎖;及びγ1鎖ポリペプチ
ドを含む第3鎖を含む。あるいはγ−ラミニン2は、配列番号2、4、6、8、
10、12又はその断片に示される配列の少なくとも一つに実質類似する第1鎖
;配列番号12、14、16又は18、又はその断片に示される配列の少なくと
も一つに実質類似する第2鎖;及び配列番号20、22、24又は26又はその
断片に示される配列の少なくとも一つに実質類似する第3鎖を含む。
【0082】 別の実施形態では、実質精製されたγ−ラミニン2は配列番号2、4、6、8
、10、12又はその断片に示される配列の少なくとも一つに少なくとも70%
同一であるポリペプチドを含む第1鎖;配列番号14、16、18、20又はそ
の断片に示される配列の少なくとも一つに少なくとも70%同一であるポリペプ
チドを含む第2鎖;及び配列番号22、24、26、28、30、32又はその
断片に示される配列の少なくとも一つに少なくとも70%同一であるポリペプチ
ドを含む第3鎖であり、前記第1、第2及び第3ポリペプチドが組換え体ヘテロ
トリマー型ラミニン2に組み立てられるものである鎖を含む。
【0083】 実質精製されたヒトγ−ラミニン2の第1、第2又は第3鎖の少なくとも1つ
がエピトープを有する融合蛋白質として発現されることが好ましい。
【0084】 あるいはγ−ラミニン2はヘテロトリマーポリペプチド構造にあって、各個別
鎖が(1)R1−R2−R3;(2)R1−R2−R3(e);(3)R3;(
R4)R3(e);(5)R1−R3;(6)R1−R3(e);(7)R2−
R3;及び(8)R2−R3(e)より成るグループから選択される一般構造を
含む構造を含み、 前記R1はアミノ末端メチオニンであり;R2はポリペプチドを分泌に向かわ
せることができるシグナル配列であり、該シグナル配列は特定ラミニン鎖に関す
る天然シグナル配列、別分泌蛋白質のシグナル配列であり、又は人工配列でもよ
く;R3は分泌されたα2、β1、又はγ1ラミニン鎖であり;そしてR3(e
)は、ラミニン鎖アミノ酸配列内に何れかの位置に配置できるエピトープタグ(
上記の様な)を更に含む分泌されたラミニンα2、β1及びγ1鎖である。
【0085】 好適実施形態では、γ−ラミニン2の精製はトランスフェクションされた細胞
からの媒体をアフィニティーカラムに通すことで達成される。例えば、組換え体
鎖の少なくとも1つに発現されたペプチドエピトープに結合する抗体又はその他
結合分子がアフィニティーカラムに結合され、そして媒体中に分泌されたγ−ラ
ミニン2を結合する。γ−ラミニン2はカラムに過剰のペプチドを流すことでカ
ラムからはずされる。溶出した蛋白質は必要に応じて続いて更に精製することが
できる。
【0086】 溶出分画はゲル電気泳動法及びウエスタンブロット分析を含む適当な方法によ
り分析される。別の実施形態では、ペプチドエピトープは精製後に切断できる。
別の実施形態では、それぞれが異なるエピトープタグを持つ2または3種類の別
のγ−ラミニン鎖を融合蛋白質として発現し、2回または3回の精製工程を経て
2重又は3重精製されたγ−ラミニン2を得る。エピトープタグは精製後にγ−
ラミニン2鎖より切り離す様に工夫することができる。あるいは、いずれのγ−
ラミニン2鎖にもエピトープタグを融合させず、そしてγ−ラミニン2はラミニ
ン2特異的抗体又はその他ラミニン2結合分子を使用するアフィニティークロマ
トグラフィーカラムを含むがこれに限定されない標準的技術により精製される。
【0087】 別の態様では、本発明は配列番号1に示す配列より成る、ラミニンα2鎖をコ
ードする新規ポリペプチドを提供する。別の態様では、本発明は配列番号2に示
す配列より成る新規ラミニン2αポリペプチドを提供する。これら配列は、ラミ
ニンα2鎖コーディング核酸が余分のヌクレオチドを含んでいること、そしてそ
の結果核酸が従来報告されていないC−末端30個の追加アミノ酸をコードする
様になる点で従来報告の配列と異なる。
【0088】 本発明は、実質的に精製されたラミニン2、及び薬学的に許容されるキャリア
を含む薬学組成物をさらに提供する。好ましい態様において、該薬学組成物は、
実質的に精製されたγ−ラミニンを含む。本発明の本態様にしたがって、他の薬
剤は、処置するべき状態に基づいて該薬学組成物中に含むことができる。該薬学
組成物は、他のラミニン型、フィブロネクチン、ビトロネクチン、カドヘリン、
インテグリン、α−ディストログリカン、エンタクチン/ニドゲン、α−ディス
トログリカン、糖タンパク質、プロテオグリカン、ヘパラン硫酸グリカン、グリ
コサミノグリカン、上皮増殖因子、脈管内皮増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、ま
たは神経増殖因子、及びそれのペプチドフラグメントを含むが、コラーゲンのい
ずれかに制限されない、他の化合物の1種又はそれ以上をさらに含み得る。別の
実施形態において、該薬学組成物は、薬学上許容されるキャリアと一緒に本発明
の新規ラミニンα2ポリペプチド鎖を含む。
【0089】 実質的に精製されたラミニン2を含む薬学調製物は、いずれかの適当な形態で
製造することができ、かつ一般に周知の薬学上許容されるキャリアのいずれかと
の組み合わせにおいて実質的に精製されたラミニン2を含む。該キャリアは、注
射可能なキャリア、局所キャリア、経皮キャリアなどとされ得る。該調製物は有
利には、軟膏、ゲル、クリーム、スプレー、分散物、懸濁物又はペーストのよう
な、局所適用のための形態とし得る。該調製物は、保存料、殺菌剤、抗真菌薬、
抗酸化剤、浸透圧剤、及び通常の組成物及び品質において類似の材料を有利には
さらに含み得る。本発明に従う使用のために好適な溶液は滅菌状態とされ、目的
とする適用のために有害でなく、かつ滅菌のような通常の薬学的処理を受けさせ
ることができ及び/又は保存料、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤などのよう
な通常のアジュバントを含み得る。本発明の組成物を処方するために、それはR
emington’s Pharmaceutical Sciences,1
5th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,P
a.(1975)を参照し得る。
【0090】 更なる態様において、本発明は、末梢神経再生、変性筋肉疾患の処置、新脈管
形成の調節、細胞接合と移動の促進、エクスビボ細胞治療、医療装置の生物和合
性の改善、移植片の“受け入れ”の改善、及び実質的に精製されたラミニン2の
有効量、又は望ましい結果のためのその薬学組成物を提供することを含む方法と
キットを提供する。これらの方法の全てにおいて、γ−ラミニン2の使用が好適
である。
【0091】 ここで用いたような、用語“移植片”は、天然及び人工器官の両方、同じく移
植片をさす。
【0092】 末梢神経疾患の処置は、共通の外科手術の問題である。神経疾患は、外傷、慢
性的抑圧、虚血、放射線、治療の誤り及び他の原因から生じ得る。神経が部分的
に又は完全に分裂された疾患の重篤な形態は、現存の治療によって治療すること
は困難か又は不可能である。基底膜ラミニンは、そのような神経疾患に従う軸策
及びシュヴァン細胞を再生するための移動ガイドを提供することにおいて重要な
役割を演じる。成功裏の再生のための予後は、該基底膜が完全性を維持するなら
ば顕著に良好である。
【0093】 最近、作動可能な移植片として基底ラミニン被覆生体材料を用いることの有効
性が2つの実験におけるラットモデルで実証された(Kauppilaら、Ex
p.Neurol.123:181−191(1993);Tongら、Bra
in Res.663:155−162)。最初の実験において、ウシ腱コラー
ゲンI移植片シートは、巻回した移植片の末端に縫合したラット坐骨神経(取り
出した8mm)の切断末端で、部分的に精製された非組換えマウスラミニン1を
植え付けた。術後4ヶ月での電気生理学的及び挙動測定による判断として、冒さ
れた脚の機能は、横断した神経セグメントを再生するために均等なレベルでラミ
ニン移植片で再生された(冒されていない対側性の神経に対して〜60−80%
)。その著者は、該ラミニン移植片が疼痛の幾らかの徴候が生じたことをさらに
報告した。第2の実験において、著者は精製された、非−組換えラミニンとフィ
ブロネクチンでコラーゲン繊維をコーティングすること、及びコラーゲンスリー
ブ中に修飾した繊維を挿入することによって移植片を作製した。長さ約1cmの
この移植片は、横断した座骨神経の近傍及び末梢末端に再度縫合した。軸策/シ
ュヴァン細胞増殖は、末梢神経基部で最後の再接合を持った移植片を生じた。光
学及び電子顕微鏡によって、必須の構造/細胞要素の再生が移植片材料の最後の
再吸収とともに該移植片で見出された。該ラミニン/フィブロネクチン被覆は、
該コラーゲン繊維単独は神経を再生するために十分でないことから必須であった
【0094】 Kauppilaら及びTongらの実験は、再生における基底膜ラミニン成
分の価値を実証するのみでなく、治療的有効性も実証する。I型コラーゲンと精
製した胎盤ラミニン(優勢なラミニンI)で被覆した凹状神経再生導管を用いる
神経再生のための類似の方法もまた開示されている。(米国特許第5,019,
087号) したがって、一つの実施形態において、本発明は、神経の再生を促進するため
、実質的に精製されたラミニン2、またはその薬学組成物の有効量で神経移植片
をコーティングすることを含む、末梢神経再生を促進する方法を提供する。ラミ
ニン2は、発育している神経内基底膜及び成熟末梢神経に存在する優勢なラミニ
ンのイソ型であり、かつ神経細胞移動及び再生、軸策成長、稀突起神経膠細胞に
よるミエリン膜形成、およびシュヴァン細胞移動を促進することが示された。(
Kamiguchiら、(1998);AgiusとCochard,J.Ne
urosci.18:328−338(1998);米国特許第5,444,1
58号;Butteryら、Mol.Cell.Neurosci.14:19
9−212(1999);BatesとMeyer,Develop.Biol
.181:91−101(1997))。本発明は、神経移植片をコーティング
するための、かつそれによって神経及びシュヴァン細胞移動、軸策移動、ミエリ
ン膜形成、および神経再生を促進する、実質的に精製されたラミニン2、又はそ
の薬学組成物の十分な供給を提供する。該移植片は、神経移植片、又は人工移植
片を含むことができる。生物再吸収及び非再吸収材料の両方は、神経ギャップを
架橋するためのチューブに使用されている。(例えば、Nyilas,ら、(T
rans.Soc.Biomater.,6,85,1983)、Moland
er,ら、(Biomaterials,Vol.4,pp.276−280,
1983年10月)、Colin,ら、(Journal of Dental
Research 1984年7月、pp.987−993を参照)。
【0095】 別な実施形態において、γ−ラミニン2は、変性筋肉疾患の治癒を促進するた
めに用いられる。ラミニン2は、筋管生存及び表現型の維持のために重要である
ことが知られる。(Vachonら、J.Cell Biol.134:148
3−1497(1996))。インビトロ実験で部分的に精製されたラミニン2
が筋芽細胞融合及び筋管形成を促進することが実証されている。(Vachon
ら、J.Cell Biol.134:1483−1497(1996))。イ
ンビボ実験では、一次筋肉細胞移植によってラミニンα2欠損、CMD動物モデ
ルにおける部分的なラミニンα2鎖再生が示されている。(Vilquinら、
J.Cell Biol.133:185−197(1996))。このように
、γ−ラミニン2、または本発明の新規なラミニンα2鎖を発現する哺乳類細胞
は、ラミニンα2欠損によって特徴付けられる筋ジストロフィーのような変性筋
肉疾患に罹った患者を治療するため、細胞治療用に使用できる。
【0096】 部分的に精製したラミニン2は、各種の細胞型、特に筋肉細胞と神経又は間葉
起源の細胞の移動及び基質への接合を促進することもまた示されている。(米国
特許第5,444,158号;Whiteら、Am.J.Resp.Biol.
20:787−796(1999);Engvallら、Exp.Cell R
es.198:115−123(1992)) このように、別な実施形態において、実質的に精製されたラミニン2、または
その薬学組成物は、医薬装置、組織培養プレート、移植片、及び最初に体外移植
されたヒト組織を維持しかつ外植のための重要なリガンド物質を提供するための
細胞培養培地に添加できる。これは、過去10年にわたって多くの研究者によっ
て観測されている有効性、すなわち非常に多種の細胞の接着、拡散、増殖、及び
分化した表現型の維持のための至適な表面を提供する基底膜、特にラミニンを提
供する。実質的に精製されたラミニン2のこの特性は、適当なドナーを見出すた
め、及び移植及び身体遺伝子治療のための細胞集団の移植のために実験室で実行
される時点でヒト細胞の維持を許容するため、医療装置の生体和合性を増加する
ために利用できる。エクスビボ治療のための可能性のある標的細胞は、筋肉及び
神経起源の細胞、リンパ球および免疫系の細胞、膵臓小島、甲状腺傍、副腎、下
垂体、肝臓、心筋及び幹細胞を含む。
【0097】 別な実施形態において、本発明は、インビボとエクスビボの両方の細胞と組織
を再生するための方法を提供する。組織操作のための現行のアプローチの多くは
、細胞塊及び組織継代培養に増殖及び分化できる適当な細胞で播種されるコラー
ゲン/ポリマー足場で始められる。これらの方法の進展において、細胞増殖と組
織発育が増加されるであろうとの予測と共に、試みでは細胞の相互作用のために
より自然な表面を提供するためその足場にコーティングが加えられている。実質
的に精製したラミニン2によるこれら材料のコーティングは、正常細胞粘着性、
細胞増殖及び組織発育を促進する自然なリガンド相互作用表面を提供する。この
ように、実質的に精製したラミニン2の有効性は、組織再生行動を顕著に改善す
ることが予期される。
【0098】 ラミニン、またはラミニンを含む細胞抽出物は、二相性手法において新脈管形
成を調節することが示されている。(例えば、Nicosiaら、Dev.Bi
ol.164:197−206(1994);Bonfilら、Int.J.C
ancer 58:233−239(1994)参照)。より低い濃度で(30
−300μg/ml)、ラミニン−エンタクチン複合体は三次元培養において新
脈管形成を刺激し、一方同じ複合体は3000μg/mlで新脈管形成を阻害し
た。したがって、別な態様において、本発明は、新脈管形成を調節するためラミ
ニン2又はその薬学組成物の有効量を組織又は培養基質と接触することを含む、
新脈管形成を調節するための方法を提供する。一つの実施形態において、該ラミ
ニン2は、新脈管形成を促進するためのラミニン2の有効量を組織又は培養基質
と接触することによって新脈管形成を促進するために使用される。別な実施形態
において、該ラミニン2は、新脈管形成を阻害するためのラミニン2の有効量を
組織又は培養基質と接触させることによって、新脈管形成を阻害するために使用
される。新脈管形成を調節するためにラミニン2を接触させる培養基質の実例は
、組織工学の目的のためのそれらである。
【0099】 更なる態様において、本発明は改善された生物和合性を持った医療装置を含み
、該装置は、単独又は装置表面の生物和合性を増加するために用いる他のタンパ
ク質又は薬剤との組み合わせにおいて実質的に精製されたラミニン2、又はその
薬学組成物で被覆される。該被覆された装置は、細胞接合を刺激し、かつ器具の
挿入部位での減少された炎症及び/又は感染を提供する。
【0100】 好ましくは、該装置はステンレス鋼又はチタンのいずれか一方で作られた生物
和合性金属で作られ又は被覆される。代わりに、該装置は、セラミック材料、ま
たはポリエステル、ポリグリコール酸またはポリガラクトース−ポリグリコール
酸共重合体を含むがそれに制限されないポリマーで作られ又は被覆される。
【0101】 本発明の一つの特有な使用は、標的表面に対する神経、骨格筋、内皮又は間葉
細胞粘着を増加することである。例えば、血管移植及びステントは、内皮細胞接
合を促進するため、および移植片又はステント表面への血小板粘着を最小限にす
るために実質的に精製されたラミニン2でコートされ得る。代わりに、骨又は結
合組織移植片又は人工器官は、適切な細胞型の粘着及び移植の改善された有効性
を刺激するために実質的に精製したラミニン2で被覆され得る。
【0102】 もし該装置がメッシュ、シート又は織布の形態で天然又は人工の生物和合性材
料で作られるならば、実質的に精製されたラミニン2は、その表面に直接付着し
得る。適当な細胞は、歯科用橋脚歯、針、金属ピン又は棒、留置カテーテル、結
腸瘻チューブ、手術用メッシュ及び実質的に精製したラミニン2によるコーティ
ングが望まれるいずれかの他の装置を含む外植可能な又は移植可能な装置を形成
するためのマトリックス上で培養され得る。代わりに、該装置は移植してよく、
かつ細胞はインビボでの接合を許容してよい。
【0103】 実質的に精製されたラミニン2のカップリングは、非−共有(吸着によるよう
な)、または共有手段によってなし得る。該装置は、実質的に精製されたラミニ
ン2又はその薬学組成物中に浸漬され、インキュベートされ、またはスプレーさ
れ得る。
【0104】 実質的に精製された本発明のラミニン2を用いた各種治療用の投薬措置は、損
傷または症状の種類、年齢、体重、性別、個人の医学的症状、症状の重傷度、投
与経路を含む各種の要因に基づく。したがって投与措置は幅広く変化することが
あるが、標準方法を用いる医師によって日常的に決定することができる。ラミニ
ンはきわめて強力な分子であり、細胞当たり1〜数個の分子が効果を生ずること
ができる。それゆえ、送達が最適化されれば、リリットル当たりピコグラムの範
囲で有効な投薬を行える。ラミニンは場合によっては、基底膜において不溶形で
存在し、ラミニンのアイソフォームまたは条件によって、約50μg/mlの低
い濃度で重合することができる。ラミニンは2〜3mg/mlの濃度でゲルに重
合することも可能である。そのため、約1ng/ml〜10mg/mlの投薬レ
ベルは本明細書で開示されたすべての方法に有用であり、約1μg/ml〜約3
mg/mlが好ましい。
【0105】 本発明は、望ましい装置に適した細胞によってインキュベーションする前に、
装置を実質的に精製されたラミニン2をコーティングすることを含む、(上で開
示した)装置への細胞結合を誘発する方法も提供する。
【0106】 本発明の別の態様においては、細胞の結合および増殖/分化/停滞を刺激する
ための、実質的に精製されたラミニン2の有効量を細胞に接触させることによっ
て、実質的に精製されたラミニン2を、これに限定されるわけではないが、神経
単位、骨格筋、繊維芽細胞、シュヴァン細胞、間充織起源細胞、内皮細胞などの
細胞を培養するのに用いる。実質的に精製されたラミニン2は、細胞培地中に与
えることも、または細胞培地補足物として与えることも可能であり、あるいは細
胞成長基質の表面をコーティングすることもある。好ましい実施形態において、
方法はさらに細胞を、これに限定されるわけではないが、任意のコラーゲン、他
の種類のラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、カドヘリン、エンタク
チン/ニドゲン、αージストログリカン、糖タンパク質、プロテオグリカン、硫
酸ヘパリン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、上皮成長因子または神
経成長因子およびそのペプチドフラグメントを含む別の化合物に接触させること
を含む。
【0107】 細胞は一次細胞または細胞培養細胞系を含む。本発明の本態様の方法は、生体
内、生体外または試験管内で使用できる。
【0108】 好ましい実施形態において、γ−ラミニン2は、基質への細胞吸着を促進し、
細胞の増殖/分化/停止を促進するために、基質表面のコーティングに使用でき
る。本明細書で使用する基質は、望ましいどの基質でもよい。実験室で使用する
ために、基質はガラスやプラスチックなどの簡単なものでよい。生体内では、基
質は細胞成長を維持可能な、任意の生体適合性物質でよい。適切な基質物質は、
コラーゲン、再生コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリガラクトース、ポリ乳酸
またはその誘導体などの物質;チタンおよびステンレス鋼などの生体適合性金属
;ヒドロキシアパタイトなどの人工材料を含むセラミック物質、ポリエステルお
よびナイロン;ポリスチレン;ポリアクリル酸塩;ポリテトラフルオロエチレン
を含むポリマーおよび生体分子がただちに付着するその他の物質から作成された
、あるいはそれらでコーティングされた造形品を含む。
【0109】 別の態様において、本発明は、細胞の結合、次の増殖、分化および停止のため
の細胞培養装置に細胞が付着するために有効な量の実質的に精製されたラミニン
2を与えることによって、培養中の細胞の付着と増殖のための細胞成長基質を提
供する。基質は上述した任意の基質より成る。γ−ラミニン2が、好ましくは約
1ng/ml〜約10mg/ml、さらに好ましくは1ng/ml〜約10μl
/mlの濃度で基質表面にコーティングされる。
【0110】 本発明の別の態様において、改良細胞培地が提供され、ここで改良には、細胞
の付着、増殖、分化または停止を促進するために有効な量の実質的に精製された
ラミニン2を細胞培地に添加することを含む。細胞の成長を維持可能などの細胞
培地でも、本発明によって使用できる。このような細胞培地は、これに限定され
るわけではないが、バーゼル培地イーグル、ダルベッコ改良イーグル培地、Is
coveの改良ダルベッコ培地、マッコイ培地、最小必須培地、F−10 栄養
混合物、Opti−MEM(R) 血清低減培地、RPMI培地、マクロファー
ジ−SFM培地またはその組合せが含まれる。
【0111】 改良細胞培地は、濃縮形(すなわち10X)または非濃縮形のどちらでも提供
可能であり、液体、粉末または凍結乾燥物のいずれとしても提供できる。細胞培
養は化学的に規定してもよく、血清補足物を含んでいてもよい。細胞培地は、G
IBCO BRL(メリーランド州ゲティスバーグ)およびSigma(ミズー
リ州セントルイス)などの多くの供給元から市販されている。別の実施形態にお
いて、γ−ラミニン2は細胞培地補足物として使用される。
【0112】 本発明は、本明細書に添付された請求項によって定義されるように、単に説明
用に示され、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない、添付の実
施例を参照すればさらによく理解できる。
【0113】 実施例 組換えラミニン−2 ヒトβ1鎖およびヒトγ鎖の完全に開いた読取枠用のcDNAコード化につい
て述べられている(Kallunki et al., J. Biol. C
hem. 266:221−228(1991);Pikkarainen e
t al., J. Biol. Chem. 262:10454−1046
2(1987);Pikkarainen et al., J. Biol.
Chem. 263:6751−6758(1988);Pikkarain
en et al., Eur. J. Biochem. 209:571−
582(1992))。γ1 cDNAは、FLAGペプチドエピトープタグ(
SEQ ID NO:25)の3’末端(C−終端末に該当)挿入コード化を含
むように修飾された。完全なヒトラミニンα2 cDNAは、(Ehrig e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci. 87:326
4−3268(1990))C−終端(3’−末端)cDNAを用いて、(Vu
olteenaho et al., J. Cell Biol. 124:
381−394(1994))で述べられている、大型(開いた読取枠の約2/
3)のcDNAから作成される。β1、γ1およびα2 cDNAはそれぞれ、
pCIS(Genentech、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)、
pRC−CMV、およびpCEP4(InVitrogen, Inc., カ
リフォルニア州カールスバッド)哺乳類発現ベクターに挿入した。それぞれ独立
したプロモータのもとで、pRC−CMVは、ネオ(G418)発現カセットを
含み、pCEP4はピューロマイシン発現カセットを含んでいた。γ1−FLA
G発現ベクターによるヒト胚腎臓293細胞(アデノウィルス形質転換、ATC
C CRL 1573)の形質移入は、以前述べたように(Yurchenco
et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 94:1
0189−94(1997))、35mmプラスチック皿でのリン酸カルシウム
沈殿によって行った。ラミニンγ1発現安定クローンは、G418抗生物質の存
在下で選択された。これらの細胞は、免疫ブロットにおいてラミニンとFLAG
特異性抗体の両方と反応したラミニンγ1鎖を発現することがわかっている。こ
のようなクローンの1つは次に、α2とβ1ラミニン鎖の両方についてコード化
する発現ベクターDNAとともに形質移入された。新しいクローンは、G418
+ピューロマイシンの存在下で選択された。クローン(#44と呼ばれる)は、
胎盤ラミニンおよびα2−G領域、β1鎖およびFLAGエピトープタグに特異
的なポリクローナル抗体を用いて、3つすべてのラミニン2鎖を発現すると判定
された(Cheng et al., J. Biol. Chem. 272
:31525−32(1997);Rambukkana et al., C
ell 88:811−821(1997))。このクローンは組織培養でも伸
長する。調整された血清含有培地を回収し、分泌されたタンパク質を精製するた
めにプールした。
【0114】 組換えラミニン2の精製 100mlのプールされた調整培地のための手順を述べる。精製は涼しい室内
で4〜10℃にて実施した。小型のカラムに2mlのヘパリン−セファロース4
Bビードを詰め、水で2:1に希釈したTris緩衝液で平衡にした(50mM Tris−HCl、pH 7.4、1MM EDTAおよび0.1mM PM
SFを含む)。培地はカラムを通過させた。カラムを次に数倍量のTris緩衝
液で洗浄して、NaCl濃度を低下させた。1mlの抗FLAG M2アガロー
ス親和性ゲル懸濁液(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)
を調製物に添加し、FLAGエピトープタグを含む組換えタンパク質を吸収させ
るのに用いた。Tris緩衝液で5回洗浄した後、(1ml当たり)0.1mg
のFLAGペプチド(Sigma−Aldrich)を添加して、ビードから組
換えラミニンタンパク質を溶離させた。スピンカラムによって、タンパク質から
ペプチドが遊離された。組換えタンパク質はSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動(SDS−PAGE)(図1)、免疫ブロット法、Pt/Cロータリーシ
ャドウ電子顕微鏡(図2)によって特徴付けられる。
【0115】 調整培地からの組換えラミニン2の回収量は、6μg/mlの精製タンパク質
であった(100mlバッチ調製物から決定)。組換えラミニンには、3個のC
oomassieブルー染色バンドがあり、大きい方のバンドはα2サブユニッ
トに相当する(図1)。通常見られるのは、一部の未処理(すなわち未開裂)α
2鎖である。開裂鎖は高分子量バンド(約300kDa)と75kDaバンドを
含み、後者は予測されたGフラグメントであった(Cheng et al.,
J. Biol. Chem. 272:31525−32(1997)。ラ
ミニン2の2種類の形は、ヘパリン親和性クロマトグラフィーから分離できる。
【0116】 図2は、0.15M 重炭酸アンモニウム中に透析し、グリセロール:培養液
の最終比が6:4になるようにグリセロールと混合し、新たに割ったマイカに噴
霧した、精製γ−ラミニン2の電子顕微鏡写真である。サンプルをBalzar
s BAF−500Kフリーズエッチ装置中に排出し、述べたように0.9nm
Pt/Cによって8°の角度でロータリーシャドーした(Yurchenco
et al., Proc. Natl. Acad Sci. 94:10
189−94(1997))。図からわかるように、γ−ラミニン2は、内在的
に発現されるラミニン分子によく見られる十字形構造を示す。
【0117】 機能的データ 組換えラミニン2は、共重合アッセイにおいて自己集合活性を持つことがわか
っている(図3)。γ−ラミニン2の一定のわずかな量を、(それぞれ少量のウ
シ血清アルブミン(BSA)を含む)別々の管において、ラミニン1の濃度を増
加させて混合し、述べられているように37℃でインキュベートした(Chen
g et al., J. Biol. Chem. 272:31525−3
2(1997)。インキュベート混合物は次に遠心分離して、上澄(S)および
ポリマーペレット(P)画分を得た。FLAG特異性抗体によって、ラミニン2
が検出された。さらに高い濃度では、ペレット画分で多くのラミニン2画分が得
られ、これはラミニン型重合の証拠である。
【0118】 γ−ラミニン2はC2C12の付着と広がりを維持することもわかったが(図
4)、HT1080線維肉腫については維持しない(データは示していない)。
培養筋芽細胞を、あらかじめ2つのγ−ラミニン2(左の2本の棒)、あるいは
G領域に各種欠失があるγ−ラミニン2でコーティングした96ウェル培養皿に
、すべて5μg/mlの濃度で添加した。(α7β1インテグリン結合部位を含
む)G1−3サブ領域、または(デストログリカン部位も除去する)Gすべての
欠失は、結合を大幅に減少させる。
【0119】 ヒトラミニンα2ポリヌクレオチドおよびポリペプチド 我々は、ヒトラミニンα2核酸およびタンパク質配列の公表された配列(Eh
rig et al., PNAS 87:3264−3268(1990))
が正しくないと判定した。核酸配列の3’末端付近に位置する、誤って欠落され
たG塩基は、早期に切断されたラミニンアルファ2−G領域の予測につながる。
α2鎖タンパク質の正しいアミノ酸配列は、図5に示す。
【0120】 誤った配列の最も深刻な結果の1つは、G領域の末端が、各種ラミニンで保存
されているシステイン残基を欠くと予測されていて、本明細書に示した正しい配
列には存在していることである。このシステインは、G領域における別のシステ
インと対となり、タンパク質立体配座に関して重要である。さらに、正しい配列
が用いられる場合、見かけ上のC末端に配置されるエピトープタグは実際に枠外
となるため、エピトープタグは機能しない。
【0121】 本発明は上記の特定の好ましい実施形態によって制限されない。当業熟練者は
、本発明の概念から逸脱せずに、開示した好ましい実施形態に対する各種の変更
を思いつくであろう。このような変更はすべて、本発明の範囲内とする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラミニン1と比較した組換えラミニン2のクーマシーブルー染色SDS−ポリ
アクリルアミドゲルの写真である。
【図2】 精製組換えラミニン2の電子顕微鏡写真である。
【図3】 ラミニン2の共重合を示す免疫ブロットである。
【図4】 組換えラミニン2に対するC2C12筋芽細胞の密着を示すグラフである。
【図5】 ラミニンα2cDNAの正しい配列および演繹アミノ酸配列を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 21/00 C07K 14/78 4C087 25/00 C12P 21/02 C 4H045 C07K 14/78 C12N 15/00 ZNAA C12N 5/10 5/00 B C12P 21/02 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 60/143,289 (32)優先日 平成11年7月12日(1999.7.12) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/155,945 (32)優先日 平成11年9月24日(1999.9.24) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ユルチェンコ、 ピーター アメリカ合衆国 08854−5635 ニュージ ャージー州 ピスカタウェイ ホウズ レ ーン 675 ユニヴァースティ オブ メ ディシン アンド デンティストリー オ ブ ニュージャージー ロバート ウッド ジョンソン メディカル スクール Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA01 DA02 GA11 HA03 4B064 AG01 CA10 CA19 CC24 CE12 DA01 4B065 AA90X AA90Y AB01 AC12 AC14 BA02 BD14 CA24 CA44 4C081 AA01 AB01 AB11 AB31 BA13 CD111 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 BA44 CA53 NA14 ZA011 ZA012 ZA941 ZA942 ZC611 ZC612 4C087 AA02 AA05 BB65 NA14 ZA01 ZA94 ZC61 4H045 AA10 AA20 AA30 CA40 DA50 EA21 EA23 EA34 FA74 GA26

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に精製されたラミニン2。
  2. 【請求項2】 組換えラミニン2を含む、請求項1に記載の実質的に精製さ
    れたラミニン2。
  3. 【請求項3】 α2ラミニン鎖に実質的に類似したポリピプチドを含む第一
    鎖; β1ラミニン鎖に実質的に類似したポリペプチドを含む第二鎖;および γ1ラミニン鎖に実質的に類似したポリペプチドを含む第三鎖を含み、 この第一、第二および第三鎖を組合わせて組換えヘテロ三量体ラミニン2にす
    る、請求項2に記載の実質的に精製された組換えラミニン2。
  4. 【請求項4】 高厳密度条件のもとで、配列番号:1、3、5、7、9、1
    1またはそれらの断片の一つ以上のコード領域へのハイブリッド形成を行うポリ
    ヌクレオチドによってコード化された第一鎖; 高厳密度条件のもとで、配列番号:13、15、17、19またはそれらの断
    片の一つ以上のコード領域へのハイブリッド形成を行うポリヌクレオチドによっ
    てコード化された第二鎖;および 高厳密度条件のもとで、配列番号:21、23、25、27、29、31また
    はそれらの断片の一つ以上のコード領域へのハイブリッド形成を行うポリヌクレ
    オチドによってコード化された第三鎖を含み、 この第一、第二および第三鎖を組合わせて組換えヘテロ三量体ラミニン2にす
    る、請求項2に記載の実質的に精製された組換えラミニン2。
  5. 【請求項5】 配列番号:2、4、6、8、10、12またはそれらの断片
    の一つ以上と少なくとも70%は同一であるポリペプチドを含む第一鎖; 配列番号:14、16、18、20またはそれらの断片の一つ以上と少なくと
    も70%は同一であるポリペプチドを含む第二鎖;および 配列番号:22、24、26、28、30、32またはそれらの断片の一つ以
    上と少なくとも70%は同一であるポリペプチドを含む第三鎖を含み、 この第一、第二および第三鎖を組合わせて組換えヘテロ三量体ラミニン2にす
    る、請求項2に記載の実質的に精製された組換えラミニン2。
  6. 【請求項6】 第一、第二および第三ポリペプチド鎖を含み、 この第一、第二および第三ポリペプチド鎖が、(1)R1−R2−R3;(2
    )R1−R2−R3(e);(3)R3;(4)R3(e);(5)R1−R3
    ;(6)R1−R3(e);(7)R2−R3;および(8)R2−R3(e)
    (ここで、R1は、アミノ末端メチオニンであり;R2は、ポリペプチドの分泌
    の方向を定めることができるシグナル配列であり、このシグナル配列は、別の分
    泌タンパク質の特定のラミニン鎖についての自然シグナル配列であってもよいし
    、または人工配列であってもよく;R3は、第一ポリペプチド鎖についての分泌
    α2ラミニン鎖、第二ポリペプチド鎖についての分泌β1ラミニン鎖、および第
    三ポリペプチド鎖についてのγ1ラミニンであり;およびR3(e)は、R3と
    同一であるが、エピトープ標識をさらに含む) から成る群から選択される一般構造を各々含む、請求項2に記載の実質的に精製
    された組換えラミニン2。
  7. 【請求項7】 組換えラミニン2を発現する宿主細胞。
  8. 【請求項8】 細胞が、 ラミニンα2ポリペプチドに実質的に類似した組換えポリペプチドを含む第一
    鎖; ラミニンβ1ポリペプチド配列に実質的に類似した組換えポリペプチドを含む
    第二鎖;および ラミニンγ1ポリペプチド配列に実質的に類似した組換えポリペプチドを含む
    第三鎖を含む組換えラミニン2を発現し、 この細胞が、第一、第二および第三鎖を発現し、この第一、第二および第三鎖
    を組合わせて組換えラミニン2にし、これが培養細胞によって培地に分泌される
    、請求項7に記載の組換えラミニン2を発現する宿主細胞。
  9. 【請求項9】 細胞が、 高厳密度条件もとで、配列番号:1、3、5、7、9、11またはそれらの断
    片の一つ以上のコード領域へのハイブリッド形成を行うポリペプチドによってコ
    ード化された第一鎖; 高厳密度条件もとで、配列番号:1、15、17、19またはそれらの断片の
    一つ以上のコード領域へのハイブリッド形成を行うポリペプチドによってコード
    化された第二鎖;および 高厳密度条件もとで、配列番号:21、23、25、27、29、31または
    それらの断片の一つ以上のコード領域へのハイブリッド形成を行うポリペプチド
    によってコード化された第三鎖を含む組換えラミニン2を発現し、 この細胞が、第一、第二および第三鎖を発現し、この第一、第二および第三鎖
    を組合わせて組換えラミニン2にし、これが培養細胞によって培地に分泌される
    、請求項7に記載の組換えラミニン2を発現する宿主細胞。
  10. 【請求項10】 細胞が、 配列番号:2、4、6、8、10、12またはそれらの断片の一つ以上と少な
    くとも70%は同一であるポリペプチドを含む第一鎖; 配列番号:14、16、18、20またはそれらの断片の一つ以上と少なくと
    も70%は同一であるポリペプチドを含む第二鎖;および 配列番号:22、24、26、28、30、32またはそれらの断片の一つ以
    上と少なくとも70%は同一である組換えポリペプチドを含む第三鎖を含む組換
    えラミニン2を発現し、 この細胞が、第一、第二および第三鎖を発現し、この第一、第二および第三鎖
    を組合わせて組換えラミニン2にし、これが培養細胞によって培地に分泌される
    、請求項7に記載の組換えラミニン2を発現する宿主細胞。
  11. 【請求項11】 細胞が、第一、第二および第三ポリペプチド鎖を含む組換
    えラミニン2を発現し、 この第一、第二および第三ポリペプチド鎖が、(1)R1−R2−R3;(2
    )R1−R2−R3(e);(3)R3;(4)R3(e);(5)R1−R3
    ;(6)R1−R3(e);(7)R2−R3;および(8)R2−R3(e)
    (ここで、R1は、アミノ末端メチオニンであり;R2は、ポリペプチドの分泌
    の方向を定めることができるシグナル配列であり、このシグナル配列は、別の分
    泌タンパク質の特定のラミニン鎖についての自然シグナル配列であってもよいし
    、または人工配列であってもよく;R3は、第一ポリペプチド鎖についての分泌
    α2ラミニン鎖、第二ポリペプチド鎖についての分泌β1ラミニン鎖、および第
    三ポリペプチド鎖についてのγ1ラミニンであり;およびR3(e)は、R3と
    同一であるが、エピトープ標識をさらに含む) から成る群から選択される一般構造を各々含む、請求項7組換えラミニン2を発
    現する宿主細胞。
  12. 【請求項12】 宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項7〜11のいずれ
    かに記載の宿主細胞。
  13. 【請求項13】 第一、第二または第三鎖の少なくとも一つがエピトープ標
    識を有する融合タンパク質として発現される、請求項12に記載の宿主細胞。
  14. 【請求項14】 a.請求項12に記載の宿主細胞を提供すること; b.細胞培地中、組換えラミニン2鎖の発現を誘導する条件のもとで、細胞を
    増殖させること; c.細胞培地をアフィニティークロマトグラフィカラム(このカラムは、組換
    えラミニン2と結合する化合物を収容している)に通すこと; d.アフィニティーカラムを洗浄して、非結合材料を除去すること;および e.カラムから結合組換えラミニン2を溶離すること を含む、組換えラミニン2を精製する方法。
  15. 【請求項15】 請求項14の方法に従って単離した実質的に精製された組
    換えラミニン2。
  16. 【請求項16】 a.ラミニン2;および b.製薬上許容され得る担体 を含む医薬品組成物。
  17. 【請求項17】 ラミニン2が組換えラミニン2を含む、請求項16に記載
    の医薬品組成物。
  18. 【請求項18】 その必要がある哺乳動物に、神経再生を促進するために有
    効な量の請求項1〜5および15のいずれかに記載のラミニン2を投与すること
    を含む、哺乳動物の神経再生を促進する方法。
  19. 【請求項19】 その必要がある組織と、脈管形成を調節するために有効な
    量の請求項1〜5および15のいずれかに記載のラミニン2とを接触させて、脈
    管形成を調節することを含む、脈管形成を調節するための方法。
  20. 【請求項20】 医療用具と、医療用具の生体適合性を改善するために有効
    な量の請求項1〜5および15のいずれかに記載のラミニン2とを接触させるこ
    とを含む、医療用具の生体適合性を改善するための方法。
  21. 【請求項21】 医療用具の生体適合性を改善するために有効な量の請求項
    1〜5および15のいずれかに記載のラミニン2を有する医療用具を含む、改善
    された医療用具。
  22. 【請求項22】 細胞と、表面への細胞接着を促進するために有効な量の請
    求項1〜5および15のいずれかに記載のラミニン2とを接触させることを含む
    、表面への細胞接着を促進するための方法。
  23. 【請求項23】 改善が、細胞増殖表面への細胞付着を促進するために有効
    な量の請求項1〜5および15のいずれかに記載のラミニン2で被覆された細胞
    増殖表面を提供することから成る、改善された細胞増殖表面。
  24. 【請求項24】 その必要がある哺乳動物に、神経再生を促進するために有
    効な量の請求項16または17に記載の医薬品組成物を投与することを含む、哺
    乳動物の神経再生を促進するための方法。
  25. 【請求項25】 その必要がある組織と、脈管形成を調節するために有効な
    量の請求項16または17に記載の医薬品組成物とを接触させることを含む、脈
    管形成を調節するための方法。
  26. 【請求項26】 医療用具と、医療用具の生体適合性を改善するために有効
    な量の請求項16または17に記載の医薬品組成物とを接触させることを含む、
    医療用具の生体適合性を改善するための方法。
  27. 【請求項27】 医療用具の生体適合性を改善するために有効な量の請求項
    16または17に記載の医薬品組成物を有する医療用具を含む、改善された医療
    用具。
  28. 【請求項28】 細胞と、表面への細胞接着を促進するために有効な量の請
    求項16または17に記載の医薬品組成物とを接触させることを含む、表面への
    細胞接着を促進するための方法。
  29. 【請求項29】 改善が、細胞増殖表面への細胞付着を促進するために有効
    な量の請求項16または17に記載の医薬品組成物で被覆された細胞増殖表面を
    提供することから成る、改善された細胞増殖表面。
  30. 【請求項30】 配列番号1に示す配列から本質的に成る単離された組替え
    ラミニンα2鎖ポリヌクレオチド。
  31. 【請求項31】 配列番号2に示す配列から本質的に成る実質的に精製され
    たラミニンα2鎖ポリペプチド。
  32. 【請求項32】 配列番号1のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  33. 【請求項33】 請求項32の発現ベクターを用いてトランスフェクション
    される宿主細胞。
  34. 【請求項34】 請求項7〜13および33のいずれかに記載の宿主細胞を
    その必要がある哺乳動物に投与することを含み、 この宿主細胞が、変性筋肉異常を治療するために有効な量の組換えラミニン2
    または組換えラミニンα2鎖ポリペプチドを分泌する、哺乳動物の変性筋肉異常
    を治療するための方法。
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